西木野総合病院にて
真姫『まだよ!まだ間に合うはず…。お願い、お願いっ!250にチャージ!』
ナース『チャージ、完了しました!』
真姫『離れてっ!』(バンッ
ナース『先生!心拍数未だに戻りません!』
真姫『くっ…300にチャージ!』
ナース『は、はい!』ピピピピッ
ナース『チャージ、完了しました!』
真姫『離れてっ!』(バンッ
モブ父親『その…うちの息子は…』
真姫『全力は尽くしました…。でも少しのところで間に合いませんでした…。』
モブ母親『そ、そんな…』
カラカラ…
モブ父親『おい!起きろよ?!嘘だろ?!治してサッカーするんじゃなかったのか?!お父さんのシュートなんてまたすぐ止めてやるって!』
モブ母親『ねえ…私ユニフォーム洗って、アイロンかけて、また使うからって、とっても綺麗にしておいたのよ?ねえ…ねえ…』
真姫『…。』
ナース1『今週こんなの多過ぎじゃない…?』
ナース2『いくら病院でも一週間に三人って…』
ナース1『しかも西木野先生の担当の患者さんばかり』
ナース2『でも…先生は何も悪くないわよ。あんなに患者さんに尽くしているもの…』
ナース1『親御さんの病院に勤め始めての一週間がこんな…』
ナース2『こればかりはどうしようも…ないわ』
真姫『悪いんだけど、今日はこれで上がらせてもらうわ…。
今週は大変だったからみんなにも休んで欲しいのだけど…ごめんなさいね』
ナース1『いえ!あくまでこれはシフトですから!…先生はゆっくり休んでください』
真姫『そう言ってもらえて助かるわ。ありがとう』
バタン
真姫『…帰ろう』
真姫『帰って…休もう。それが良いわ』
真姫『ただいま…』
にこ『あ、真姫ちゃん!』
真姫『あ、にこちゃん…今日はオフなんだ…』
にこ『今日真姫ちゃんのシフトがないって聞いて、ちょっとプロデューサーに無理を言っちゃったにこ』
真姫『…に、にこちゃん!』(ギュッ
にこ『えええっ!どうしたのよ!今日やけに素直じゃない!』
真姫『にこちゃ〜ん…』(グスグス
にこ『え…?泣いてる?どうしたのよ』
真姫『…』
にこ『もう…しょうがないわねー、少しこのままにしてなさい』
真姫『にこちゃん…にこちゃん…』(ギュッウウウウッ
にこ『…』(良い加減ヤバイんだけど…
真姫『…ありがとう、もう大丈夫だから』
にこ『ねえ…どうしたのよ?もう変な気分…』
真姫『な、なんでもないわよ』
にこ『はあ?!なんでもないのに抱きついて泣きついてくる訳ないでしょう?!』
真姫『それは…その…』
にこ『…そんなに私が信用ならない?私は世界を笑顔にするアイドル矢澤にこなのよ?』
真姫『まだ日本だけでしょ…バカ…』
にこ『そ、そのうち世界的なアイドルになってやるんだから!というか誰がバカよ!』
真姫『アイドルもおバカキャラで通ってるじゃない…』
にこ『う、うっさいわね…というか、話がずれてる!』
真姫『……』
にこ『…話してみなさいよ。ねえ…』
真姫『う、うん…』
*
にこ『じゃあその人って…』
真姫『え、ええ…』
にこ『これだけは笑顔だけじゃどうにもならないわよね…』
真姫『はは…でしょ?』
真姫『もう…誰かが死ぬのは嫌なの!』
にこ『…』
真姫『私の手を施した人が、こうも簡単に…それだけでもう怖いのよ…』
真姫『研修医の時にも患者さんが亡くなった事はあったわ…。でも自分の担当ってだけで重みが違い過ぎて…』
真姫『今まで何をしてきたんだろう、経験が足りないのか、勉強が足りないのか、もうわけがわからない…』
にこ『そっか…』
にこ『でもね?にこ知ってるよ?真姫ちゃんがどれだけ努力してきたのか』
にこ『にこは…真姫ちゃんの事なら何でも知ってる。だから…にこはいつでも真姫ちゃんの味方だから』
真姫『ありがとう…』
にこ『すぐに元に戻れとは言わない。でも…』
真姫『それぐらい言われなくても分かってるわよ』
にこ『そう…』
真姫『…話を変えてもらえると嬉しいわ。何か明るい話を』
にこ『あ、それならね!今日の昼頃…今からか、にこがテレビに』
真姫『ふふっ、それでいいわ、見ましょうか』
*
真姫『ねえ、にこちゃん』
にこ『ん、何?真姫ちゃん?』
真姫『このままだと下手したら一発屋じゃない?』
にこ『…はぁ?!』
真姫『にっこにっこにーだけじゃあねえ…』
にこ『私の根源でもあるにっこにっこにーを否定するのは真姫ちゃんでも許さないわよ?!』
真姫『その…そうじゃなくて…新しい何かもしなきゃダメって』
にこ『まあ…一理あるわね』
真姫『私…にこちゃんがテレビに出ている姿は長く見ていたいもの』
にこ『い、言われなくとも生涯現役してやるわよ!世界の矢澤にこだもの』
真姫『…ふふっ。楽しみにしてる』
にこ『見てなさいよ?』
真姫『ええ、勿論』(ギュッ
にこ『…最近さ、真姫ちゃん素直になったよね』
真姫『…そうかしら』
にこ『高校生の時なんてもっとツンツンしてたわよ…』
真姫『…あ、あの時は恥ずかしかったのよ』
にこ『頭の中身をさばいてあげるとかも言ってたわ』
真姫『…その話はちょっとやめて』
にこ『まあにこは真姫ちゃんにならさばかれてもいいにこ♪』
真姫『…急に恥ずかしいことを言わないでよバカ』
にこ『でも実際今頭の中身をさばくこともあったりして』
真姫『変な言い方しないでよ…
しかも私は脳外科医じゃないわ』
にこ『まあねえ…』
真姫『医者は万能じゃないのよ…』
にこ『…。ほ、ほら、でも今総合的な知識で診断をするところもあるんでしょ?』
真姫『総合診察の事?アレは本当の本当に果てしない努力が必要だわ…』
にこ『まあ、色んな範囲があるもんね』
真姫『というかにこちゃんがそんな事知ってるなんて意外』
にこ『こ、この前にこ医療系のバラエティに出させてもらったのよ』
真姫『にこちゃん健康だけが取り柄だから必要無いんじゃない…?』
にこ『健康だけがって何よ!』
真姫『まあ…少なくとも私がにこちゃんを診るなんて想像も出来ないわ』
にこ『私だってアイドルの仕事があるんだからそんな面倒事ごめんよ…』
真姫『…出待ちされて襲われないようにね?』
にこ『…昔は真姫ちゃんの方が出待ちされてたじゃない。というか今でも真姫ちゃん目当てに病院にくる人いるんでしょ?』
真姫『ゔぇえええっ!そんなのいないわよ!』
にこ『…でも2chこんなスレ見つけたよ?』
【朗報】元μ's西木野真姫は現在女医だと判明色気あり過ぎハァハァ
真姫『…何?このスレ』
にこ『何?じゃないわよ…
真姫ちゃんの病院が紹介されてるの。流石に今の真姫ちゃんの写真はまずいから昔のμ'sの写真しか貼ってないけど』
にこ『まず西木野って苗字が珍しいのに、西木野総合病院なんて名前でやってたらすぐバレるわよ…』
真姫『…なるほど』
にこ『今のインターネット舐めちゃダメ』
真姫『そうね』
にこ『でも…この色気ってのは私も認めるわ…。私アイドルでもその要素ないもの』
真姫『…に、にこちゃんこ色っぽい表情は私だけが知ってたらいいの』
にこ『…アレ?真姫ちゃん?』
真姫『冷たい火傷を教えてあげる…♪』
にこ『あっそんな真姫ちゃ…』
*
にこ『…も、もう強引よ真姫ちゃん』
にこ『寝ちゃうし…』
真姫『にこちゃ〜ん…』
にこ『…夢の中でも私とヤってるの?まさか真姫ちゃん発情期?』
にこ『…なんて言っても答えるわけないわよね』
にこ『明日は互いに仕事だしねえ…』
にこ『真姫ちゃんなら大丈夫よ、世界の矢澤がついてるもの』
にこ『…おやすみ』
*
真姫『それじゃ行ってくるわ』
にこ『…うん、気を付けて』
真姫『にこちゃんこそ』
にこ『ふふん、気にしなくても大丈夫よ。マネージャーさんもいるしね』
真姫『ならいいのだけど。じゃあいってく…』
にこ『真姫ちゃん、忘れ物』
真姫『え?何度も確認したけどそんなの…』
にこ『んっ…』(チュッ
真姫『ゔぇえええっ!』
にこ『ほら、いってらっしゃいのキスだから。最近互いに忙しくて出来なかったから』
真姫『…心臓に悪い。いってくる』
にこ『いってらっしゃい!』
バタン
にこ『…さて、私もマネージャーさんがくるまでに準備にこっ♪』
*
真姫『みんなお疲れ。戻ったわ』
ナース1『…大丈夫ですか?』
真姫『…何がよ』
ナース2『そ、その…』
真姫『私は医者よ、舐めないで。確かに親のを受け継いだだけだけど、それなりに何かを背負う覚悟は出来てるわ』
ナース1『せ、先生…』
ナース2『…わ、若手の言葉かしらこれ』
プルルルッ
医者『はい、こちら西木野総合病院』
救急隊『車同士の事故!頭に大きな外傷がありで、体中に打撲痕が見られます!搬送してよろしいでしょうか!』
医者『…』
真姫『…』(コクン
医者『分かりました!搬送お願いします!』
真姫『…行くわよ、みんな』
*
救急隊『患者は一名、運転手は軽いケガでしたが…』
ガラガラ…
真姫『に、にこちゃん?!』
ナース1『う、嘘っ…アレって』
ナース2『あ、アイドルの矢澤にこだよね…?』
真姫『う、嘘でしょ…?にこちゃんが、搬送…?』
医者『…先生、知り合いですか?』
真姫『…ええ、腐れ縁といったところかしら』
医者『…助けますよ』
真姫『…取り乱したわ。やるわよ!』
*
にこ『…あれ、ここ』
真姫『病院よ…私のね』
にこ『え、えええっ!?嘘でしょ?』
真姫『何を言おうとここは西木野総合病院よ』
にこ『そ、そう…。え、えっと真姫ちゃんが助けてくれたの?』
真姫『…そうなるわね』
にこ『あ、ありがとう』
真姫『でもさ、にこちゃんって本当にバカ』
にこ『…はあぁ?!』
真姫『ねえ、私何度気を付けてって言ったの?
にこちゃんの治療してる時…私…私…』
にこ『ま、真姫ちゃん…』
真姫『これで前みたいに失敗したらどうしようって。ついに私の手で一番大事な人を無くしてしまったらどうしようって…』
真姫『私の手にはかからないとか言ってたにこちゃんのくせに…バカ…バカ…』(グズグズ
にこ『な、泣かないでよ…
というか元々あの車運転してたのは私のマネージャーだし…』
真姫『いい、言い訳なんか聞かない。いくらにこちゃんがケガしても、自分の大切な人ぐらい自分で助けられるもの』
にこ『…』
真姫『にこちゃん、大好き』(ギュッ
にこ『…やっぱ真姫ちゃん、素直になり過ぎじゃない?』(ギュッ
終われ
以上です。
人の死と病院というとっつきにくいテーマに手を出してしまったため、
不完全なところが多々あると思いますが、にこまきに免じて許してください…
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません