妹「兄ちゃんが」 (15)
妹「キャトられた」
妹「家から出た瞬間、円盤型の如何にもな飛行物体が出す」
妹「謎の光に吸い寄せられて連れ去られた」
妹「……どうしよう」
幼馴染「おはよう。どうしたのこんな所で空を見上げて」
妹「あ、おはようございます。実は、兄ちゃんがキャトられまして」
幼馴染「は?」
妹「兄ちゃんがUFOにキャトルミューティレーションされまして」
幼馴染「……」
妹「どうしようかな、と」
幼馴染「そうね、どうしましょう。困ったわ」
幼馴染「とりあえず、あの白い建物まで行きましょうか」
幼馴染「高い所からなら、連れ去ったUFO見つかるかもしれないし」
妹「……あれ、病院ですね」
幼馴染「そうね」
妹「病院とかはいいです」
幼馴染「え、なんで?」
妹「……私の話、全然信じてませんよね」
幼馴染「信じてるわよ。大丈夫、大丈夫だからとりあえず脳外科に行きましょう」
幼馴染「それとも、まずは精神科かしら」
妹「いや絶対信じてませんよね」
幼馴染「あなたこそ、私を信じて。この目を見て、これが人を疑う目に見える?」
妹「……見えます」
幼馴染「違うわ。これは可哀そうな子を見る目よ」
妹「……やっぱり信じてないですよね」
幼馴染「ええ。信じてないわ」
妹「ちょっと待ってください証拠があるんです」
幼馴染「証拠って……キャトルミューティレーションなんて現実にあるわけが」
妹「これです。この動画。キャトられる瞬間を取ってますから」
幼馴染「そんな馬鹿な……」
幼馴染「あ、本当だわ。兄くんが爽やかな笑顔のまま光に包まれて天空に上ってる」
妹「でしょ。これで信じてくれますか?」
幼馴染「ええ。これは、まずいわね」
妹「そうなんですよ、まずいんですよ。どうしましょう?」
幼馴染「助けに行きましょう」
妹「……は? 何が」
幼馴染「兄くんを助けに行きましょう」
妹「いやいや無理でしょう。どこにいるかも分かりませんし」
幼馴染「大丈夫よ。兄くんには発信機付けてるから」
妹「……え?」
幼馴染「いつでも私には兄くんがどこにいるか分かるわ」
妹「……」
幼馴染「見つかったわ」
妹「どこにいましたか?」
幼馴染「これは……宇宙ね」
妹「は?」
幼馴染「今、地球の軌道を離れてどこかへ向かったわ」
妹「宇宙……これは、無理ですね。諦めましょう」
幼馴染「大丈夫よ。追いかけましょう」
妹「いや、無理でしょう。いくらなんでも」
幼馴染「ついてきて」
妹「ここ、どこですか?」
幼馴染「うちの地下基地よ」
妹「地下基地って……何か物置みたいに見えますけど」
幼馴染「ここはね、まだ物置。ちょっと待ってて入口開けるから」
幼馴染「パスワード長いのよね。寿限無かよってくらい」
妹「……それにしても、色々ありますね。これなんですか?」
幼馴染「え? 何……駄目よ、触らないで」
妹「あ、すみません。割れ物でしたか?」
幼馴染「いえ、あなたの手が割れるわ」
妹「……は?」
幼馴染「その辺の物、下手に触れたら手足の一本は無くなるから」
幼馴染「なるべく触らないでね」
妹「……」
幼馴染「よし、開いたわ」
プシュー
妹「おおっ、何かSFっぽい」
幼馴染「さ、入るわよ。時間も無いし、あれがあるの最深部なのよね」
妹「……あれ?」
幼馴染「ほら入った入った」
妹「あ、待ってください」
妹「あの……」
幼馴染「なに?」
妹「何か、円柱の水槽の中にエイリアン的なものが眠ってるんですけど」
幼馴染「エイリアンよ」
妹「これ、何かリトルグレイっぽいんですけど」
幼馴染「リトルグレイよ」
妹「……何ですか? この宇宙人研究所的な施設」
幼馴染「宇宙生物研究所よ」
妹「……」
妹「あ、これは普通のタコですよね。昨日食べました。おいしかった」
妹「でも何で宇宙生物と同じ扱い?」
幼馴染「それはタコ型の宇宙生物よ」
妹「……嘘ですよね。どうみても普通のタコじゃ」
幼馴染「現在、タコだと見られている生物の約70%のタコ型の宇宙生物よ」
幼馴染「特殊な生物でね。一見しんだように見えるタコやその触腕は」
幼馴染「食べられた後、胃の中で卵を産みつけ孵化させるの」
幼馴染「孵化した幼生は、しばらく胃の中に留まって入ってくる食物を食べ大きくなって」
幼馴染「夜、寝ているときに口から出て去っていくのよ」
幼馴染「まぁでも、体に直接的な害はないから安心して」
妹「……幼馴染さん。トイレあります?」
幼馴染「そこの角、曲がってすぐよ」
妹「ちょっと吐いてきます」ダッ
幼馴染「あ……冗談なんだけど」
このSSまとめへのコメント
タコ型の宇宙生物=殺せんせー