木山「そ、そうだ」
上条「いや…別にいいですけど…何で急に?」
木山「そ、それは…」
・・・・・・
数日前
木山春生はここ最近、1日中街を歩き回っていた…上条当麻に会いたいがゆえに…
木山(はぁ…彼に会いたいな…でも、私は彼の連絡先どころか学校すら知らないし…)
生まれて初めて持った恋心…それがまさか16歳の少年だとは自分でも思わなかっただろう。
そして、自分はもう二十歳をとうに過ぎ三十路…とは言わないが、その手前の年齢まで達している…二人の年齢差は十歳以上もあり、ましてや相手はまだ高校生だ。
世間一般から見たら非難されるかもしれない。木山春生は大抵の事なら気にしない性格の持ち主だが、恋愛となると話は別だ。
常日頃から研究の事にしか興味を持たなかった自分が、非論理的である恋愛という感情に幸か不幸かは分からないが、上条当麻が原因で初めて関心を持ってしまった。
基本的に論理的な思考回路を持つ木山春生にとっては中々難しい問題であり、そのためか世間体も気にしてしまう。
木山(疲れたな…ちょっと休憩しよう…)
朝から探し回り、時刻は昼頃。街には夏休みを謳歌する学生達…その中から聞いた事のある可愛らしい声が聞こえてきた。
初春「あれ? 木山先生じゃないですか?」
木山「君は…初春…君?」
いや…本当にすまないんだが、書き溜め…してないんだ…遅くなるかもしれんが、やれることだけはやってみる。
初春「あぁ!! やっぱり!」
そう言って、頭に花飾りを付けたどこかあどけない感じの少女が近づいて来た。
初春「こんな所で会うなんて奇遇ですね!」
確かに…今の目的が無ければこんな所に来るなんてそうそうない…そんな事を思いつつ言葉を返す。
木山「…ふふっ、そう言われるとそうかもしれないな」
悪い。全然内容が思い浮かばんから、一回風呂入ってくる。
初春「? 今日はどうしたんですか? 誰かと待ち合わせをしているんですか?」
公園のベンチで一人で座っている木山春生を見て、初春は言った。
その瞬間、木山春生の脳裏には上条当麻の顔が浮かびあがり、みるみる顔が紅潮していく。
木山「い、いや…」
本当に遅くてすまん。クオリティも低くてすまん。ただ、一つ言わせてくれ。俺は木山先生が大好きだ。
しかし、あの日から一度も会えてない事実もあってか、すぐに落胆してしまった。
木山「いや…人を探しているんだが…見つからないどころか、手掛かりすらも掴めなくてね…」
木山春生は聞かれてもいない事まで話していた。それほどまでに気が滅入っていたのだ。
初春「人探しですか? それなら私、手伝いましょうか?」
初春は即答した。なぜなら、人探しは自分の得意分野である事。そして、ジャッジメントとして困っている人を見過ごすわけにはいかなかったのである。
木山「…すまないね」
木山春美は少しの間を空けて答えた。断ろうかとも思ったが、もうこれ以上何も進展が無いとどうにかなりそうだったから…
初春「えーっと、じゃあ、その人の特徴とか覚えてます?」
木山「特徴か…」
木山(特徴…特徴…特徴…)
顔や体重や背丈もだいだいは覚えているが、特徴と言われれば中々表現しにくい。
木山「うーん…難しいな…」
初春「何か印象的な部分とかありませんでした? そうですねー…あっ! ほら! あの人だったら髪型がツンツンしてるとか!」
初春は50メートルくらい先にある自動販売機の前で、まるでリストラされたサラリーマンのように途方にくれている雰囲気の少年を指差した。
木山(そういえば彼の髪型もツンツンだったな…って、あれ?)
初春「どうしました?」
木山「あそこに居る人…まさか…」
つんつん「俺がベジータだ!!ハアアアアアアアアアア」
ベジータ「なにっ!サイヤ人の王子である俺に友達になってほしいだとおおぉお」
ビックバンアタアアアアアアアック
どうせ1は帰ってこないさ
木山春生はベンチから立ち上がりゆっくりと少年の方へ期待と喜びの両方の思いを持ちながら近づいて行った。
初春は不思議そうな顔をしながらも木山春生に伴い、ついて行った。
木山春生は近づいてゆく内に少年の顔や体型、そして「不幸だぁー!」という声。
木山(間違いない! あの少年だ!)
だんだん早足になり、そして、より鮮明に少年の姿が見えてくる。木山春生の心の中では期待は確信へと変わり、喜ぶというどころではなく歓喜している。
上条「とほほ…俺の2000円が…不幸だ…」
そう言い終わった瞬間にガッと肩を掴まれた。
上条「えっ?」
振り向けば、息を切らしたあの時の急に脱ぎ始めた女性とビリビリの友人である初春飾利がいた。
木山「やっと…やっと見つけた…」
震える声で言う木山春生の目には涙がうっすらと浮かんでいた。
上条「えーと…どういう事?」
初春「あぁ、探してた人って上条さんだったんですか」
上条「俺を…探してた…?」
木山「そうだっ!!」
上条「うわっ!」
木山「本当に…何日も何日も君を探してたんだぞ!! 一体、君は何処にいたんだ!!」
まるで家出をした息子に叱りつけるような発言だ。さすがの上条当麻もこれは理不尽であろう。
上条「えぇ!! い、いきなり怒られても…」
初春「き、木山先生。お、落ち着いて下さい。」
木山「そ、そうだな」
一回…二回と深呼吸をして自分をおちつかせ、感情的になっていた自分を反省した。
木山「す、すまなかったな。いきなり怒鳴ったりして…」
上条「いや、別にいいですよ。それより…何で俺を探してたんですか?」
初春「あっ、それ、私も知りたいです」
二人が理由を知りたいのはもっともだろう。
初春はいざ人探しをしようと思ったら、急に先走られ、上条当麻に至っては心当たりもないのにいきなり怒鳴られたのだから。
さぞかし大変な理由があるに違いない。そう思っていた二人に返って来た答えは意外なものだった。
木山「あ、あの…わ、私と……と、友達になってくれないか?」
少しの沈黙の後、初春と上条は同時に同じ返答をした。
上条「…えっ?」
初春「…えっ?」
木山「だ、駄目なのか?」
上条(えっ? 今、何て言ったの? 友達になりたい? いやいや、あんだけ怒ってたんだからもっと重要な事のはずだ。
きっと俺の聞き違いだな! うん! きっとそう!)
上条「あのー、すいません。よく聞こえなかったので、もう一度言っていただいてもよろしいでしょうか?」
木山「き、聞こえてなかったのか…しょ、しょうがない…わ、私と友達になって下さい!!」
上条「えっ?」
木山「えっ?」
上条「えっ? と、友達!?」
木山「そ、そうだが…駄目なのか?」
上条「い、いや…別にいいですけど…なんで急に?」
木山「そ、それは…」
木山春生は恋愛をした事が無かった。元々、人間関係にあまり興味を持っていなかったというのもあるが、
男性との関わりがあまりにも少なかったのだ。しかし、今は恋をしている…目の前にいる高校生の少年に。
特別、何かされたわけでもない。ただ、ちょっと親切にされただけ…ただそれだけなのに恋愛感情を持たされてしまった。
恐らくこの少年には、どこか人を魅了する何かを持っているのだろう。
そして、何故、木山春生が友達になりたいなんて言ったのかというと、初めに言った通り木山春生には恋愛をした経験が無いのだ。
とりあえず見つけたものはいいものの、何をしていいのかなどさっぱりわからない。しかし、何もせずに別れるわけにはいかない。
何とかして交流の糸を付けようと必死になって自分の記憶を絞りだすと、ある事を思い出した。
それは自分が昔たまたま見た恋愛ドラマの中で「恋人になるには、まず友達から」なんていう言葉があったのを思い出して、「友達になろう」なんて言ってしまったのである。
木山「え、えっと、ほ、ほら君にはお礼があるじゃないか!」
上条「…それは友達とは関係ないんじゃ」
そう言い切る前に木山春生は言った。
木山「そ、そうだ! で、電話番号! 電話番号を交換しよう! なっ! なっ!」
大丈夫かこれ…ちゃんとSSとして成立しているのか?
木山春生は上条当麻の返答も聞かずにポケットから出ていた携帯電話を素早く抜き取り、自分の携帯の電話番号と赤外線で交換した。
上条当麻はあまりの素早さにただ呆然と眺める事しかできなかった。
木山「そ、それじゃあ、で、電話してくるんだぞ!!」
そう言うと、顔を真っ赤にしながら急ぎ足で帰って行った。木山春生としてもこれ以上の事はできなかったんだろう。
上条「…何これ」
初春(それは私のセリフです…)
・・・・・・
その日の夜
上条当麻は悩んでいた…電話をするべきなのかを…木山春生の事は嫌いではないが、
別に自分から電話を掛けてまで話しをしたいとも思わないし、仮に電話を掛けたとしてもはたして何を話していいのかも皆目見当がつかない。
向こうから電話をしてくれれば対処できるのだが、「電話をしてこい!!」なんて言われたらこちらから掛けるしかないだろう。
上条当麻の検討はもう少しだけ続いた…
・・・・・・
その少し前
木山春生はまだかまだかと部屋の中を電話片手にうろつき回っていた。
「あれだけ言ったのに!!」「何で電話してこないんだ!!」と少し自己中心的な事を思いつつ上条当麻からの電話を待っていた。
木山春生はあの時、精一杯の勇気の勇気を振り絞って言った…まるで初めて告白する女子のように…だから、こんな考えになってしまうのかもしれない。
木山(そ、そうだっ! で、電話が掛ってきた時に話す内容を決めておこう)
今の木山春生の中には電話が掛ってくる事が前提で考えているが、はたして…
・・・・・・
何であれだけの間が空いてたって?
寝てたんだよ。
本当にすいませんでした。orz
その後、待てば待てばでいるけども、一向に電話が掛ってくる気配がない。
さっきの気持はどこへ消えたのだろうか、今の木山春生はただ呆然とし、意気消沈している。
「なんで電話が掛ってこないのだろう…」そう思う顔は哀愁に満ちていた。
木山(もしかして…私は彼に嫌われているのだろうか…)
上条当麻の事になると感情の起伏が激しくなる。いつもの知的で冷静な木山春生の姿はどこにも見られない。
というか、自分から電話を掛けるという選択肢は無いのだろうか、しかし、このような判断ができないのも、ある意味で上条当麻のせいだと言えるかもしれない。
木山「はぁ…」
・・・・・・
その頃、上条当麻の中で一つの決心がついた。
上条「くよくよ悩んでてもしかたないよな! よし! 電話しよう!」
そう電話をする決心がついたのである。
上条(電話してこいって言ってたしな、まぁ、大丈夫だろ)
prrrrr
・・・・・・
その頃、木山春生の顔はすっかり憔悴していた。別に振られたわけでもないし、嫌われたわけでもない。
ただ、電話が掛ってこないというだけ。しかし、木山春生にとってはそれだけの事がとても大きな事なのだ。
木山「…今日はもう寝るか」
時間は夜の12時。さすがにこの時間に電話は掛ってこないだろうと思い、今日はもう寝ようとした。
それに、今になって数日間の疲労がどっと出てきて、今は凄く眠たい状況である。
しかし、その数日間の疲労すらを吹き飛ばす出来事が起きた。
prrrrr
・・・・・・
殆ど何も設定していない携帯電話の着信音が部屋に鳴り響く。部屋を暗くしていざベッドに入ろうかという瞬間の出来事だった。
脳細胞が活性化していくが如く木山春生の眠気さは吹き飛び、すぐさま携帯電話を手に取り、表示されている名前を見た。そこには…
ー上条 当麻ー
と書かれていた。その文字を見た瞬間に一気に心拍数が急上昇し、体中が歓喜で震えていた。
その震える手で携帯電話の通話ボタンを押した。
ピッ
木山「は、はい」
上条「もしもし? あの、上条ですけど」
ずっと思い焦がれていた声が携帯から聞こえてきた。
その声は木山春生の呼吸を荒げる程までに心拍数をさらに上げた。
木山「か、か、上条君か。こ、こんな遅くに電話してくるから、だ、誰かと思ったよ」
、
好きだと悟られないように、まるで中学生のようにそっけのない振りをする。
上条「あー、すいません…もしかして、寝るところでした?」
上条当麻の予想は半分は当たりで半分はずれというところだろう。
確かに眠ろうとしてはいたが、それは、上条当麻の所為のための行動なのだから。
木山「い、い、いや、だ、だ、大丈夫だよ。そ、そ、それで、な、何か用かい?」
上条「えっ、えーっと、電話を掛けろって言われたから、掛けたんですけど…」
木山「えっ、あっ、ああ! そ、そういえばそうだったね!! あははは…」
木山(だ、大丈夫だ。落ち着くんだ私!! さっき練習したじゃないか!! それをただ言えばいいんだ!)
そう。木山春生は上条当麻との電話をイメージトレーニングしていたのだ。
しかし、練習の成果が生かされるとはなかなか限らないのがこの世の中である。
木山「きょ、今日はいい天気だねっ!!」
上条「………えっ? そ、そうですね」
きっと上条当麻は困惑しているだろう。
まさかそれを言うためだけに電話を掛けさせたのかと。
木山「い、いやー、そ、それにしても最近は暑いなー。こ、こう暑くては脱がないとやっていけないな」!
上条「えっ? あ、あのー」
木山「そういえば、最近、学校はどうなんだ? 楽しいかい?」
上条(親かよっ!!)
上条「ちょ、先生、お、落ち着いて」
木山「落ち着け? ふふふ、何馬鹿な事を言っているんだ君は。最初から、落ち着いているじゃないか?
それより・・・」
その日の夜の木山春生は物凄く反省し、物凄く自己嫌悪していたという。
・・・・・・
>>112 これってRough Sketchだったっけ?
てか、もっと木山先生の同人誌出してくれよ。頼むよー
次の日の朝
上条当麻は帰りにいつも通る公園のベンチに蒸し暑い中座っていた。
本当なら、今の時間は家で「夏休みはいいなぁ」等と呟きながらゆっくりとしているはずだった。
しかし、昨日の電話の最後に「明日の朝、9時に公園まで来てくれ!!」とまるで脅迫されるように言われては来るしかないだろう。
上条「暑い…そして遅すぎる…」
時間はもう10時を回ろうとしていた。自分から呼び出しておいて遅刻するなんて事は人のモラルとしてあまり良くはない。
だが、そこで帰らないのが上条当麻である。そういう所が彼の魅力の一つであり、寛大さを表している。
上条(そういえば、木山先生の私服ってどんなんだろう…)
確かに、木山春生の私服といえばあまり想像がつかない。
常に白衣またはフォーマルなスーツを着ているイメージがある。
上条(まぁ、別にいいか。それよりも…)
上条「暑い…」
そうして独り言を言っている内に、上条当麻の元に一人の人影が近づいて来た。
?「ちょっとあんた。何一人でぶつぶつ言ってんのよ、暑さで頭でもおかしくなったの?」
上条「えっ?」
後ろを振り向くとそこには…
御坂「あんたよ。そこのつんつん頭のあ・ん・た」
そこには茶髪で短髪。そしてスカートの下に短パンを履くというファッションセンスの持ち主がいた。
上条「あぁ、何だ。ビリビリか」
御坂「だから! ビリビリって呼ぶなっ!! あたしの名前は御坂美琴って言ってるでしょうが!!」
そう。少女の名前は御坂美琴。名門である常盤台中学に通う女子生徒であり、
この学園都市にも7人しかいないLV5の第5位である。
なんとなく御坂入れたんだが、入れない方が良かった?入れない方がいいってんなら書き直すけど。
第5位…
なるほど、平行世界か
↑ごめん。安価すらもミスった。orz
すまなかった。急に消えたりして、急用が入ってしまたんだ。今から続き書きます。
本当に皆ありがとう。俺としても久々のSSだから完結させたいんだ。
上条「こんな所でどうしたんだ? 補講か? びり…み、御坂っ!!」
いくら常盤台中学とも言えど、特別なカリキュラムを除けば行事や休暇は他の学校と殆ど同じであるために
上条当麻は聞いたのである。だが、常盤台中学には補講等というものは無く、それを知ってて尋ねたのかはわからないが…
御坂「補講って…あんたと一緒にしないでくれる? 私は「能力測定」に行かなくちゃいけないの。めんどくさいけどね…ところであんたは何やってんのよ?」
LV5である御坂美琴には2週間に一回、通常とは別の能力測定をする義務がある。ちなみに、これによる協力費はかなりの額である。
そして、御坂美琴がした質問。確かに、公園のベンチで一人「暑い」だの「遅い」だのと呟いていては聞いてみたくなるのは当たり前だ。
上条「んっ? あぁ、待ち合わせしてんだよ」
誰かとは言わない。別に言う必要もないし、言ったところで少しの関心を持つか持たれないかぐらいかのものである…普通の人ならば。
しかし、御坂美琴は違う。少なくとも上条当麻に「好意」以上の感情を抱いている。
そんな感情を持つ人間が「待ち合わせ」をしているとなれば、誰か…正確には女性と待ち合わせをしているかどうかが気になってしまうのは当然の事である。
御坂「ふーん………誰と?」
さりげなく聞いたようだが、御坂美琴は内心では凄く緊張していた。
男か女か。そして、女であれば、年齢や関係も知りたいところである。
上条「木山って人だけど…び、み、御坂! は知ってたっけ?」
御坂美琴はわかっていた。木山春生が上条当麻に好意を抱いている事を。
女の感というのもあるが、それ以外に木山春生が上条当麻に会う理由が見つからないのだ。
しかし、御坂美琴は焦ってはいなかった。なぜなら…
御坂「んっ? あぁ、木山先生の事でしょ? 知ってるわよ」
御坂(まぁ、かわいそうだけど、あんな年増じゃ相手にされないでしょ)
御坂美琴は心の中で笑った。そう、木山春生が上条当麻に相手にされないと見込んだのである。
恋敵としても、自分は全く負ける要素が無いと自負していた。
だから、たとえこれからデートなりなんなりしようが結局は無駄だと思っていた。
御坂「それじゃあ、私は行くから。じゃあね」
特に心残りも無く立ち去ろうとする御坂美琴に上条当麻は
上条「あぁ、じゃあな。「能力測定」? ってやつも頑張れよ!!」
はにかみながらそう言って、御坂の口角を少し上げ、頬をピンク色を染めた。
・・・・・・
時間は少し遡り、ここは木山春生の家。木山春生はある事に悩んでいた。
木山「ふ、服が…無い…」
服が無いといっても、一着も無いというわけではない。
スーツや白衣等の仕事上の必要最低限の服しかないと言っているのだ。
木山(どうすれば…今から買いに行って間に合うか?)
時計はもう8時を回っていた。もっと、早くに起きればよかったのだが、木山春生は低血圧であり、朝が苦手だ。
しかし、理由はそれだけではない。子供が遠足の前日が楽しみで眠れないように、また、木山春生も今日が楽しみで眠れなかったのだ。
木山(考えるだけ時間の無駄だ! よし! 今すぐ買いに行こう!!)
木山春生は黒のスーツを身を着け、愛車のランボルギーニ・ガヤルドを飛ばして、
ショッピングモール・「セブンスミスト」へと向かった。
服売り場に着いた早々から木山春生は悩んでいた。
木山(うーん…一体、どれにすればいいのだろうか…)
元々ファッションに無頓着で流行に疎っかったため、
案の定というか、必然的というか、何を選んでいいのか全くわからなかったのだ。
しかし、今日はデートだ! …木山春生にとってはだが…そんな日に畏まった服でというのはいかがなものか。
いたずらに時間が過ぎていく中で、助け舟を出すかの如く、声を掛けてくれた人物がいた。
佐天「あれ? 木山先生ですよね?」
「あれ? これデジャビュ?」と言いたい程にあの時の…初春に声を掛けられた時の状況とよく似ていた。
彼女の名前は佐天涙子。初春飾利と同じ柵川中学の一年生である。二人の間柄はとても仲が良く、親友というのはこういうのをいうのだろうとまでに互いを信頼しあい、尊敬している。
その風貌は初春飾利とはまるで逆の(いい意味でだが)…とても中学一年生であるとは思えないくらいに綺麗な顔をしており、スタイルもかなりいい方である。そして、ファッションに対するセンスが良く中々のオシャレさんである。
木山「あぁ、佐天君か」
本来ならば軽い世間話でもしたい所だが、木山春生には時間がなく、とても焦っていた。
しかし、やっている事はめちゃくちゃで男物の服に女性用の服を合わせるという自殺行為とも思えるような行動をしていた。
目の前の光景を不思議に思った佐天は、これは何かあるなと思い、ある質問を木山春生にいやらしく問いかけた。
佐天「あれぇ、先生? もしかして、今日、「で・ぇ・と」ですかぁ?」
「ギクリッ!!」という擬音語が実際に伝わる程、問題を的確に当てられた木山春生にもはや隠し通すすべはなく、佐天涙子に今の状況を端的だが話した。
佐天「ほほぅ…そういう事ならば、この佐天涙子に任せて下さいっ!」
まるで「大船につもりで安心して下さい!!」と言わんばかりの表情で言われた木山春生は、どこかでほっとして、自分の全てを佐天涙子に委ねる事にした。
それからの二人…正確には一人の服選びは着々と進み、あれだけもたついていたのは何だったのかというくらいスムーズに終わった。
時刻はもう9時前。木山春生は選んでもらった服を駆け足で着て、佐天涙子に御礼を言い、急いで店を出ようとした時だった。
木山「ありがとう!! 佐天君! この御礼は必ずするよ!!」
一刻の時を争う木山春生を佐天涙子はとある理由のために「ガシッ!!」っと肩を掴み、こう言った。
佐天「先生、まだですよ。まだ終わってません」
その言葉からは悪意は感じられず、その真剣な眼差しは木山春生を納得させた。
木山「し、しかし、時間が…」
木山春生の言う通り、時間はもう無かった。無いどころか、今のやり取りで丁度9時になってしまった。
焦燥している表情の木山春生に佐天涙子は安心させるように言った。
佐天「大丈夫ですよ! 男は待たせるものですから!!」
妙に説得力のある力強い言葉と、人に安らぎを与えるその笑顔は木山春生を納得させた。
木山「そ、そういうものなのか?」
佐天涙子の言葉の真偽は佐天涙子自身でもわからない。自分も恋愛経験など無いし、ただ適当に言っただけなのだから。
ただ…中途半端に終わらせたくなかった。このまま行かしたくはなかった。なぜなら、木山春生はもっと美しくなると確信したのだ。
そんな人物を完璧にしてから行かせてあげたい。多少のエゴも入っているかもしれないが、全ては木山春生のためを思っての事だ。
佐天(だ、大丈夫…だよね?…)
・・・・・・
二人が向かった先は美容室。佐天涙子は木山春生の髪型も変えてあげたいと思っていた。
なんせ、今の木山春生の髪はボサボサであちらこちらに跳ね上がっている。
確かに髪型を変えたいと思うのは不思議ではないかもしれない。
そして・・・
・・・・・・
美容室から出てきた木山春生を見て、佐天涙子は言葉を失った。
あまりにも別人すぎるのだ。あれだけ長かった髪はナチュラルな感じのショートヘアーになり、
化粧は全体的に薄めの感じで、目の下の隈も無くなっている。
木山「へ、変かな?」
自分を見て何も言わずにいる佐天涙子を見て、少々不安になった木山春生は聞いた。
佐天「へ、変じゃないです!! めちゃくちゃ綺麗ですよ!!」
自分の思いつく限りの言葉で褒めようとしたが出来なかった。思い浮かばなかったのだ…綺麗という言葉しか…
木山「そ、そうか。あ、ありがとう」
今の木山春生の恥ずかしがる仕草を見て、恋に落ちない男性がはたして何人いるのだろうか。
その破壊力は女性である佐天涙子さえも魅了してしまった。まさか、自分も初恋の相手が同性になるとは思っていなかったであろう。
佐天「…」
ただ、何も言わずに自分を見つめる佐天涙子を不思議に思いながらも、すぐさま公園に向かいたかった木山春生は、また最後に御礼を言ってその場を去った。
佐天「…先生…好きになっちゃいました…」
・・・・・・
その頃、上条当麻はまだ待っていた。時計の針はもう少しで12時を示そうとしていた。
しかし、このうだるような暑さの中で2時間も待ち続けるというのは苦行に近いものがあり、
さすがの上条当麻も参っていた。
上条「あれ? 何で空にソフトクリームが浮かんでんだ? まぁ、いいか。美味しそうだし」
と、危ない発言をしているそんな時だった。公園の入り口から誰かがこちらへ向かって走ってきた。
遠目だが、どうやら女性に見える。しかも、かなりの美人だ。
上条「パトラッシュ…俺はもう駄目だよ…すぐにお前の所に行くから…ちょっと待っててくれよ…」
どうやら本気で危なそうだ。それを察知したのか、こちらへ向かっている女性は上条当麻に向かって叫んでいるが、上条当麻の耳に届く事はなかった。
・・・・・・
―SSスレにありがちなこと―
・書き手の体調が悪くなる
・馴れ合い厨が沸く
・SS終了してもいつまでもクソみたいな馴れ合い
・「誰も見てないからやめようかな」→「見てるよ」→「>>◯◯ ありがとう」とかいうショートコント
・なぜかかなり腰低めの書き手だが他のスレじゃキチガイ
・エロを入れたがる奴がいる
・聞いてもないのに「◯◯で再生された」「○○ちゃんでイメージ」とかいうレス
・「嫌なら見るな」とかいう感情論丸出しのレス
・「SS書くの初めてorまだ◯回目だから~」とか言って進行の遅さや文章が拙い事の言い訳をする
・「これは稀に見る良SS」
・「あとは任せた」「こんな感じのを誰か頼む」 と他人任せ立て逃げ
・途中まで面白かったのに安価なんか始めて激しく萎える
・一方的に妨害活動は成功したと宣言する
・書き手が失踪して保守レスを最後にスレが落ちる、もしくは他の奴が代わりに書き始める
_ハ,_yv-∧/} -――- _ /: / : : / : : : ヽ:\ヾ、:\: : : : : : >
{\∠ >┘ o└r'^V⌒)/.:.::.::.::.::.::.::..:.::.::.::.`丶/: / : : : |: : :| : :│i小、\: ヽ: : :\\
く(⌒V⌒)<人_>v< >::.::./.:.::.::.::.::.::.::.:⌒∨|: : :i: :|: : :| : : j∧i:_| `V^\ : ∨:\ーァァ=-、
乙(_ O 人__〈_人__x< `⌒>V.:./.::.::.::.::.::.::}.:.::ヽ:ヘ|: : :i:八 : :i: : //j斗-、 }: : \__∨/ >―yヘ、
∧ (V厂:∨::::/:::::/:::::∨勹 )゚ ∨.::./::.::.::.::.:| :.::.::';ハ: : l:⌒\|∨ 弋沁 ′_>v'´ ̄: : : : :`丶/⌒}_/ >
///::V/:::/::::/|::::/|:::::i::|∨:\人∧>メ::.::/.:: /|::.::.i::.}:: | : ⅣYr芯 ¨´/: : :〃: : : : : :く⌒\{ /: : :`ヽ/
<::::::::i:::::厶::L 土|-」 |:::::i::|:::::::::〈__ レ仏イ.::.:;'.::.:/=ト/::|.::|:: |\小ゝ)沙 , /: : : : :⌒\ : : : : 〉 入 :`ヽ: : : \
/ :: /|::::::|fア示ミ \|人:::/::/:::::V'::}ヾV/厶‐くⅣ ;'::.:|\ヽハ /⌒7 : : : : : : : : : \: :{__/ ∧: : :\: : :
厶イ.八::从弋)ソ =ミ\/::/:::::::ノ-'' r'::リ ル /::.i::| V| : ゝ { /´ /: : : ムヘ: : : : : ヽ: : :ん-{_入: : : : \
. 八{. ` r尓ハ ∨::::// , ヽン厶イ ::.:i::| | : {:.: :{>イ: : ' : {: :{ `\: : : ∧ : 从: :ノ : \: : : : :\
_厶::::ハ ' ヾ)ンノ/:::::乂 、 ∧::.::.::i::| |: ∧: :∨:.|: : i: 八: : 、 ∨/匕∨ ∨⌒ヽノ\_: : : :
_∠...∧ f^ 、 厶イ::(丶 ー' .::.::.!\/:/ ∨ 〉∨: :|: 八: : ヽ:ィ\ 弋芯^ }∧: : :ヽ>‐
:::::::::::「 ー イ::.ヽ∧:ゝ > _. <|::.::.i::.|: ∨ {__{: : :Ⅵ: :ヽ: : Yf示 `¨´ rヘ ゙̄ヽ: : : :
:::::::::::| >r--:::::< │::.::i::.:| ー}:::::::::::/|::.::.i::.| | │: : : {\: \ハゞ'' , /∨ } ̄ ̄
:::::::::::マ ー|::::::::::::::/\|::.:| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| / ノ |
.\::::::::\__/:::::::::: /}/ V| ト _ ⌒ />く__ノ
\:::::::ヽ/:::::::::/厶-―ヘ| 保守レス多数の長編SSはパー速で | /  ゙̄「 ノ \ jj i
\__>、厶___ノ | |/⌒\ しヘ、 く || i
亡〕 /'⌒ | | `\} i\ || 〔
//∧ 人 __| |-―…―ヘ i \iリ
/{ /ハイ⌒ } ∧ | パー速VIP@VIPServise ト、 ‐-=-ム i
_ / ∨ }\ ヽ/ >、| http://ex14.vip2ch.com/part4vip/ ト、\ /ハ i \
上条「う…うーん…あ…れ…?」
目が覚めると見知らぬ顔があり、自分をとても心配しているように見ている。
目が合うと、その女性はほっとしたように胸を撫で下ろした。
上条「あ…れ? 何で…俺…」
あの時、上条当麻は意識を失った。恐らく軽い熱中症だろう。
日は沈みかけ、空はオレンジ色に染まり、時刻はもう夕方。
急いで駆け付けた木山春生がずっと見ていてくれたのだ。
上条「急に友達とか言われても……」
木山「嫌か?」
上条「いえ、嫌じゃないですけど、あまりに唐突なんで」
木山「あぁ、教え子にいい年なんだから彼氏でも作れと言われてね」
上条「はい?」
木山「さりとて研究仲間や教授達ではそんな気にはなれないし」
木山「何より考えてみたら異性の友人があまりいなかった」
木山「教え子はまだ手をつけるには早いし」
木山「総合的な判断の結果、君が最も望ましいんだ」
木山「他に何か質問は?」
上条「むしろ疑問しかないんですけど」
上条「まずですね、生徒さんに彼氏作れと言われてホイホイ従うのはどうなんですか」
木山「彼らには返しきれない借りがある、望みは何でもきいてやりたいんだ」
上条(微妙にズレてる気が)
上条「あといきなり彼氏とか言われても、俺は先生の事をよく知りませんし」
木山「だから友達から始めようと言っているじゃないか、一目惚れじゃあるまいし」
上条(何故呆れ顔……つーか、そこは常識的なのね)
上条「あー……先生なら俺なんかよりもっと良い男をゲット出来ると思いますけど」
木山「言ったろう?私は友人が少ないんだ」
上条「あー……んー……」
木山「嫌なら嫌と言ってくれないか」
上条「いやむしろ、こっちからお願いしたいくらいなんですが」
木山「なら迷う事はあるまい」
上条「それもそうですね!俺も美人の知り合いが増えたら嬉しいし!」
木山「ふふ……君はお世辞が上手いな」
上条「本心ですって」
木山「さて……友達とは何をしたら良いのだろう?」
上条「うえっ!?」
木山「恥ずかしながらこういう経験に乏しいのでね」
上条「へぇ、モテそうなのに意外ですね」
木山「まぁ……彼氏がいなかった訳でもないよ」
上条「ぶはっ!?」
木山「何だその反応は……」
木山「学生時代に告白されたは良いものの、恋人らしいことは何もしなかったからな」
木山「研究に没頭していたら離れていったよ、気付かぬ内にね」
上条「それ付き合ってる言わないんじゃ……」
木山「あぁでも性行為はしたな、相手に任せてただけだが」
上条「もういいです、過去の話に上条さんのピュアハートは耐えられません」
上条「まぁとりあえずどこかブラブラしますか」
木山「目的が無いのは返って辛いな」
上条「う……じゃあどこか行きたいとこあります?それかしたいこととか」
木山「質問で返して悪いが、普段の君はどうなんだ?」
上条「と、言いますと?」
木山「異性の……まぁこの際同性でもいい、友人と出掛ける際にどんなことをしているのか」
上条「うーん……」
上条(思い返せば遊んだ記憶少ねぇ……当たり前か)
上条「何にせよ、動いたらきっと解決しますって。ゲーセン行きましょゲーセン」
ゲーセン
木山「えらく騒がしいな」キョロキョロ
上条「その幻想を……ぶち殺す!!」バキャーン
マシン「120ポイントデース」
上条「三位か……まぁまぁだな」
上条(一位のRUIKOって誰だ?二位のKONJYOUとか名前なのか?)
木山「それは面白いのか?」
上条「パンチングマシーンは男のロマンです」
木山「ふぅん」
上条「やってみます?」
木山「ふむ、何事も経験だな」チャリン
木山「……えい」ポスン
上条「測定不可……」
木山「…………ほら、理系だから」
> 木山「ふむ、何事も経験だな」チャリン
>
> 木山「……えい」ポスン
> 木山「ふむ、何事も経験だな」チャリン
>
> 木山「……えい」ポスン
> 木山「……えい」ポスン
> 木山「……えい」ポスン
ボッキーン!
木山「なぁ、あの人だかりは何だ?」
上条「ん?あぁ、スーパーウメハラファイターの新作ですね」
木山「?」
上条「大人気の格闘ゲームですよ」
木山「ふむ……」ジー
ゲーマー「くぁー!また負けた!」
オタク「むふふ、僕のサンキエフは無敵でござる」
木山「……」ジー
上条「あいつは有名なゲーセン荒らし……」
木山「強いのか?」
上条「ゲームならレベル5って噂ですよ」
木山「ふぅん……ちょっと挑戦してくる」
上条「へ?」
木山「心配いらない、操作方法ならだいたい解った」
木山「失礼するよ」
オタク「おやおや、これはこれは美人……ちょっと残念な美人のチャレンジャーでござるなコポォ」
木山「どうも」
オタク「僕が勝ったら是非ともリアルファイトを望みたいですなぁ、セクシャルな意味で」
上条「おいお前……」
木山「あぁ良いよ」
上条「先生!?」
木山「勝てば問題無いだろう?」
上条「実は超上級者だったり……?」
木山「いや、見るのも初めてだ」
上条「えぇ……」
オタク「ごふふふふ、これで童貞ともおさらばでござる」
木山「えぇと、このボタンが攻撃で」
上条(やべぇなこりゃ、いざとなったらやるしかないか)
オタク「ぶひゅるるる、いくでござる!」
ウーワウーワウーワ
オタク「サクッと先勝でござる!」
木山「反応速度は上々……娯楽にしては良いプログラムが組んであるな」
上条「笑ってる場合じゃないですよ!」
木山「え、あぁ、次は勝つよ」
オタク「無理でござる無理でござる無理でござるぅ!」
木山「……」カチャカチャ
オタク「ん、お?」
木山「……」カチャカチャ
オタク「あ、あれ?」
上条「おお!」
木山「フィニッシュだ」
オタク「ば、バカな!なんで僕が……」
木山「難しい事じゃないさ、君のプレイパターンを予測して次の手を打つ。常に先を行けば勝つのは道理だ」
上条「いや……廃人達が泣きますよ」
オタク「ぶひひーん!」
上条「可哀想に……強く生きろ」
木山「人の脳を読むのは得意でね」エッヘン
上条「得意を超えて反則ですよ」
上条「そうだ、UFOキャッチャーやりませんか?」
木山「特に欲しい景品など無いが」
上条「ぬいぐるみでもお土産にしてあげたら、生徒さんも喜ぶんじゃないですか?」
木山「解った、すぐやろう」スタスタ
上条(早ぇ)
木山「なるほど、あのアームを操ればいいのか」
上条「結構難しいっすよ」
木山「アームの握力と景品の負荷を計算すれば何とかなるだろう」ウィーン
ポロリ
木山「…………」
上条「……ドンマイですな」
上条「こういうのは計算より勘なんですよ」ウィーン
スカッ
上条「……」
木山「なるほどねぇ、随分冴え渡っているな」
上条「も、もう一回!」
スカッスカッスカッ
上条「嘘だろ……」
木山「買った方が早いんじゃないか?」
上条「いいぜ……俺に景品を捕らせないってんなら、まずはその幻想をぶち殺す!」
木山(聞いてないな)
三十分後
上条「はぁはぁ……やっと捕れたぜ……手こずらせてくれたなクマちゃんよ」
木山「捕れたか、良かったな」ギュー
上条「……」
上条「あの……その手に抱えてらっしゃるぬいぐるみは一体?」
木山「他の筐体で捕ってきた。大物だろ?」
上条「あはは……不幸だ……俺の夕飯代まで注ぎ込んだのに……」
木山「まぁ、そんな日もあるさ」
上条「ちぇ……インデックスは欲しがらねぇだろうし……」
上条「これ、先生にあげますよ」
木山「え?」
上条「男部屋にクマちゃんってのも似合わないし、良かったら」
木山「……」
帰り道
上条「うぅ……またもやし生活か……いっそ家庭菜園でも始めるかな……」トボトボ
木山「……」テクテク
上条「ぬいぐるみ、喜んでもらえるといいっすね」
木山「あ、あぁ」
上条「あーあ、俺も木山先生みたいな綺麗なお姉さんが先生だったらな……いや小萌先生は最高の先生ですよ?」
木山「誰に言い訳してるんだ?」
上条「あ、いや一応」
木山「ふふ……君は面白いな」
上条「そうですか?上条さんは至って普通なつもりですが」
木山「これ、大事にするよ」
上条「うっす」
木山「また誘っても?」
上条「もちろんっす!……何か事件に巻き込まれてなければ」
木山「今日はありがとう、今度は食事でもご馳走しよう」
上条「マジすか!?」
木山「あぁ約束だ……それじゃ」
上条「しゃー!幸福だー!」
木山(本当に……面白い子だな)
木山「さて、帰ったら君の寝床を用意しないとな」
クマ公「……」
木山「ふふふ……プレゼントなんて、初めてかもしれないな」
>>1、オナニーして悪かったな
頑張ってくれ
>>320いやいや、頑張ってくれよ。正直、このスレは木山先生の良さを皆にわかってもらおうと思って立てたし。
すいません。普通に考えたら、俺が頑張れとか言える立場じゃありませんでした。
このスレの皆さまにorzです。
それでは続きを投下していきたいと思います。
木山「ごめんよ…私が遅れたせいで…」
悲しそうな顔でこちらを見つめる瞳には涙が浮かびあがっていた。
しかし、上条当麻には何がなんだかさっぱりわからない。というか、この女性は誰だ?
自分の知人ではないし、この女性を見かけた事すらない。それ程までに木山春生の外見は変化していた…もちろん良い意味で。
上条「あの…すいませんけど…誰ですか?」
その言葉に木山春生は強いショックと罪悪感を受けた。
もしかして、記憶喪失になったのではないかと思った。
そして…もし、記憶喪失になったのなら私の所為だと…そう思った。
熱中症で記憶喪失など起こるはずもないのに悪い方向へ考えてしまう。
その原因は木山春生にはなかった。上条当麻…自分の好き人に言われたためであった。
木山「わ、私の事を…お、覚えていないのかい…?」
頬に涙を垂らしながら、震える声で言うその言葉はとても悲しげでとても切なかった…
しかしながら、その言葉は上条当麻にある効果をもたらしていた。
上条(えぇ!! 何でこの人泣いているの!? しかも、覚えてないとか!? 私の記憶にはあなたのような美しい女性は存在していませんから!!)
さっきまで朦朧としていた様子はどこにいったのか。
涙する木山春生を見て、上条当麻はすぐさま木山春生の太ももから跳ね上がるが如く体を起きあげた。
上条「ちょ! ちょっと!!…って、あれ? もしかして…木山先生ですか?」
ぼんやりと見ていた先程の状況とは違い、明らかな眼で見るとその女性は木山春生と良く似ている。
しかし、その理由だけで木山春生の名を出したわけではない。
先ほどの涙のお陰か、目の隈を隠していたファンデーションは落ち、逆にメイクをしたのかというくらいの隈がはっきりと表れていた。
そんな隈を持っている人物はそうそういるものではなく、上条当麻の知る限りでは木山春生くらいしか知らない。
木山「!? そ、そうだよ! 私の事がわかるのか!?」
雨模様から一転し、「ぱぁ!!」と晴れたような笑顔を見せる木山春生は、
夕日に照らされて、まるで絵画の様に美しかった。
上条「は、はい。それにしても…随分と変わりましたね…」
昨日とはまるで別人であった。
あれだけ長かった髪はショートヘアーになり、服装はジーンズにブラウスというシンプルな格好だが、とても良く似合っている。
木山「に、似合ってないかな?」
照れながら、恥ずかしそうに言う木山春生の仕草は、思わず抱きしめたくなるほど愛らしく、独占したくなるほど愛おしかった。
>>341
マジか!?
いや、製作に来られても困るけどね
ちゃんと書くなら別だろうけど
木山先生補給所はこちらです
>>343
おおこんなスレが……ありがたやありがたや
すいません>>1ですけど、先読みしていくと終わりが全然見えてこないんで、少しずつ投下します。
上条「そ、そんな事ないです!! た、大変お似合いでございますよ!!」
思わず「ドキッ!!」っと、してしまった。いつもは冷静で殆ど感情を表に見せなかっただけに凄く可愛く思えた。
自分と一回りも年齢が違うとても綺麗な女性が自分に対してそのような態度を取れば、流石の上条当麻でも平静を装う事ができなかった。
上条(あ、危なかった…これが『ギャップ萌え』って奴か…)
・・・・・・
日は沈みかけ、辺りに人も見かけなくなってきた時、二人はまだ公園にいた。
少しの間を開けてベンチに座っている二人に会話は無い。
木山春生は頬を紅潮させ、手をもじもじさせながら恥ずかしげに俯いている。
一方、上条当麻は緊張で何も考える事ができず、遠くの方を見ていた。
しかし、二人の間には気まずい雰囲気は無く、むしろ、どこかでこの空間を心地好いと思っていた。
・・・・・・
先に気付いたのは上条当麻であった。
時間が経つにつれて少し緊張が取れたのだろうか、空がもう暗くなっているのが視認できた。
少し名残惜しかったが、インデックスの事もあったので、木山春生に『帰る』と、その旨を伝えようとした…
上条「き、木山先生っ!!」
ただ、『帰る』と言いたいだけなのに…少し緊張が取れて、逆に勇み立ち過ぎたのか、
その迫力のある振る舞いはとある勘違いを生み出していた。
木山「が、がんばって覚えてみたんだけど、どうかな?////」
ヘ(^o^)ヘ いいぜ
|∧
/ /
(^o^)/ てめえが何でも
/( ) 思い通りに出来るってなら
(^o^) 三 / / >
\ (\\ 三
(/o^) < \ 三
( /
幻想をぶち殺す
上条「…………////」(俺こんな恥ずかしいことしてたのか!?)
>>329
木山「!? そ、そうだよ! 私の事がわかるのか!?」
木山「 私の事がわからないのか…」
木山(えっ!? ま、まさか! こ、告白!?)
突然の言動に、木山春生は間違った解釈をしてしまい、そのせいか、間違った仮想が膨らんでいった。
木山(い、いきなりすぎやしないか!? で、でも、か、上条君なら私は…)
ありもしない仮定を立て、ありもしない告白を受け入れる準備を木山春生はしてしまった。
自然と早くなる心拍数は少し息苦しかったが、辛いとは思わなかった。
上条「あ、あのっ!?」
まるで勿体を付けるかのように言う上条当麻に対して、痺れを切らしたのか…
または、助け舟を出そうとしたのかはわからないが、頭より先に口が勝手に先走っていた。
木山「わ、わ、私でよければっ!! よ、よろしくお願いしますっ!!」
薄暗い空と相対する程、頬は真っ赤に染まっている。
しかし、自分に頭を下げ、手を差し出す意味が上条当麻にはわからなかった。
『帰る』…その行動にここまでする必要があるのだろうか?
木山春生の言葉にも会話の擦れ違いを感じる…
上条(うーん…これはどう解釈したら…はっ!! そ、そういう事かっ!!)
ふと何かに気付く上条当麻。その表情はまるで褒めてくれと言わんばかりに慢心している。
上条(ふふふ…この上条当麻、女性に関してはそこら辺の男とは経験値が違うのですよ…潜った修羅場もね…
木山先生の「私でよければお願いします」、この言葉、俺の言おうとした『帰る』とは何の脈絡も無いように見える…だがっ!!
これを木山先生がもし『一緒に帰ろう』と勘違いをしていたら? そうっ!! 全てが繋がるっ!!)
まるで矛盾を解き明かしたような自信満々な顔と、恐ろしい程の勘違いっぷりには脱帽を覚える程である。
木山「ど、どうかしたのか?」
上条「いえいえ…ふふっ。さぁ、帰りましょうか」
勘違いしながら帰る二人の表情は、恥ずかしながらも嬉々としている顔と、自惚れ、自信に満ちた顔…
違う勘違いをしている二人だが、満足している、という点では同じなのかもしれない…。
取り合えず、一旦終わりです。何日も何日も保守させてしまい、本当にすいませんでした。
続きは全部書いてから、またスレを立てたいと思います。本当にorzでした。
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