事の発端は、1通のメールだった。
――SOS団部室――
ハルヒ「さーて、今日は何しようかしら……あ、みくるちゃんお茶ね」
みくる「はい。どうぞ。キョンくんも」
キョン「ありがとうございます」
長門「ズズッ」
ハルヒ「あー! 一件メールが来てるわ!」
キョン「マジか! (どこの誰か知らんが、物好きなヤツだ)」
ハルヒ「本当よ。これ、見てみなさい」
キョン「どれどれ……『ヤンデレな私でも抱いてくれますか?』って、これスパムじゃねーか」
ハルヒ「そうとは限らないわ」
ハルヒ「もしかしたらこのメールの裏には、何かの不思議が隠されているかも知れないじゃない!」
キョン「そんな訳あるか!」
みくる「どんなメールなんですかぁ。私にも見せてくださいー」
キョン「いやいや、朝比奈さんはダメです。目が汚れます……ってこらハルヒ! 適当にクリックするんじゃない!」
ハルヒ「何よこれ、女の子の裸ばっか。こんなの見て何が楽しいのかしら」
みくる「ひゃぁぁぁ///」
キョン「俺には不思議探しなんかよりもそっちのほうがよっぽど楽しいけどな」
ハルヒ「なんか言った?」
キョン「いーや何も」
キョン「おい長門」
長門「なに」
キョン「あれって普通のスパムメールだよな。その、妙なことが起きたりは」
長門「おそらくない」
キョン「そうか、すまんな」
長門「いい。ただあなたの不用意な……」
ハルヒ「こらキョン! 何こそこそ話してるの! 有希から離れなさい!」
キョン「はいはい、わかったよ。さんきゅーな、長門」
長門「……」
ハルヒ「あー、やっぱり何もなしかー」
キョン「あってたまるか」
ハルヒ「ねぇキョン、ヤンデレってなに?」
キョン「は?」
ハルヒ「だからヤンデレよ。このメールのタイトルにあるヤツ」
キョン「どうせイヤらしい言葉だろ。そんなメールのタイトルなんて。ほっとけよ」
ハルヒ「いいえ、ダメよ。気になった事はちゃんと調べておかないと」
キョン「好奇心は猫をも殺すって言うだろ?」
ハルヒ「好奇心は猫をも殺すけれど、好奇心を失った猫はまた死んだも同然なのよ!」
キョン「相変わらずわけわからんな、お前は」
ハルヒ「で、意味わかるの? わかんないの?」
キョン「うーん、よくわからんな。谷口がツンデレがどうとか言ってるのは聞いたことがあるが」
ハルヒ「全く役立たずの馬鹿キョンね。みくるちゃんは?」
みくる「すみましぇん。私もわかんないですぅ」
ハルヒ「なら有希、あなたならわかるんじゃない? いつも本読んでるし」
長門「ヤンデレとは、主にフィクションに登場するキャラクターの特徴を表す言葉の一つで、
『病む』と『デレ』を融合したもの。ヤンデレにカテゴライズされるキャラクターは女性が多く、
特定の異性を愛するあまり異常な執着を見せ、自傷・他害などの奇特な行動を繰り返す。
最終的に対象の異性を殺害する場合もあり、ハッピーエンドになることはあまりない」
キョン「ほうほう」
ハルヒ「つまり、好きすぎて精神的におかしくなっちゃうってこと?」
長門「そう」
ハルヒ「ふーん。さすが有希ね。こんな事まで知ってるなんて」
長門「べつに」
ハルヒ「でも正直言って微妙よね。そんなことしても、相手が好きになってくれなきゃ意味無いのに」
キョン「いやー、でもかわいいんじゃないか?」
ハルヒ「!?」
長門「!?」
みくる「!?」
古泉「!?」
ハルヒ「ちょ、ちょっとキョン、それマジで言ってるわけ?」
みくる「そうですよキョンくん。好きだからって、ほかの人に怪我させたりなんかしたら」
長門「よくない」
キョン「いやいや、そこまで好きになってくれるっていうのはある意味男冥利につきるというか」
ハルヒ「……(こいつ本気なの? でもそれなら……)」
みくる「……(キョンくん、そういう人が好みだったのかぁ……)」
長門「……(不用意すぎる)」
キョン「あー、でもそれはあくまでフィクションの話であってだな」
キョン「っておい、聞いてるのか」
ハルヒ「! え、なに?」
みくる「ふ、ふぇぇ、ごめんなさい、ぼーっとしちゃってぇ」
長門「……」
ハルヒ「あ、もうこんな時間ね! とにかく今日は解散! 私もう帰るから!」
たったったった
みくる「そ、それじゃぁ私も着替えますぅ」
キョン「ああ、それじゃ俺は外に出ますね。……おい長門、大丈夫か」
長門「大丈夫」
キョン「そうか。それじゃ、また明日な」
バタン
長門「……ではないかもしれない」
――次の日――
???「キョンくーん、起きてー」
キョン「ふがふが」
???「キョンくーん、起きてってばー」
キョン「んんん……あと1時間」
???「ダメだよ。遅刻しちゃうよー。どうしても起きないんなら」
キョン(ん? この声は妹か? ということはやばい、妹プレスが降ってくるッ!?)
妹「ちゅーしちゃうぞ」
ちゅっ
キョン「な、なにしとるんだー!!」
妹「あー、キョンくん起きた。おはよ、キョンくん」
キョン「今何をしたか言ってみなさい」
妹「えーと、ほっぺにちゅー」
キョン「お前はまだそういうことをしてはいけません」
妹「えー、だって好きな人にはちゅーするってみんな言ってたよ」
妹「わたし、キョンくん大好きだもん!」
ぎゅー
キョン「わかったから、抱きつくのを止めなさい。それからちゅーもだ」
妹「えー」
キョン「えー、じゃありません。ほら、いくぞ」
妹「あ、待ってよキョンくん」
妹「行ってきまーす!!」
キョン「行ってきます」
妹「ねーねーキョンくん、これお弁当! 今日のお弁当、わたしが作ったんだよ!」
キョン「ほんとか。ありがとうな」
妹「えへへー。だってわたし、キョンくん大好きなんだもん!」
キョン「そ、そうか」
妹「あいじょうもたっぷり込めたからね」
キョン(いつの間にそんな言葉を覚えたんだ)
妹「だから、女の人とはいっしょにご飯食べないでね」
キョン「え?」
妹「あーあ、わたしもキョンくんと同じ学校だったらなー」
キョン「それは無理だろう。年齢が違いすぎる」
妹「じゃあ、キョンくんがこっちにくるのは?」
キョン「それも無理だ」
妹「ぶぅー。じゃキョンくん、帰ってきたら一緒に遊ぼうね」
キョン「はいはい。転ばないようにな」
(なんか今日の妹はやけにスキンシップが激しかったな)
(何かうれしいことでもあったのか……)
――教室――
ガラガラッ
キョン「うぃーす」
朝倉「おはよう、キョンくん」
キョン「おう朝倉」
朝倉「あら、ネクタイが曲がってるわよ」
キョン「そうか? んーと」
朝倉「直してあげるから、ちょっと動かないで」
キョン「おい朝倉、ちょっと……」
朝倉「はい、できた」
キョン「すまんな」
朝倉「ふふ、キョンくん、顔がちょっと赤いわよ」
キョン(そりゃ、朝っぱらからあんな至近距離に……)
朝倉「キョンくんがそうしたいっていうなら、もっとくっついてあげるのに」
キョン「ばっ、朝倉! 冗談もほどほどに」
(やべぇ……ハルヒが殺し屋のような目つきで俺を見てる)
朝倉「でも、キョンくんも大変よね」
キョン「お、おいやめろ、顔が近いって」
朝倉「あんな変人の集まりに付き合わなくちゃならないなんて」
キョン「え?」
朝倉「イヤだったらすぐに言ってね。涼子はいつでもキョンくんのみ・か・た☆ミ」
キョン「……お前、そんなキャラだったか」
朝倉「ふふふ。そうよ。キョンくんのためなら、ね」
きーんこーんかーんこーん
朝倉「それじゃ、ね。キョンくん」
キョン「ああ……(何だったんだ?)」
キョン「お、おう。ハルヒ。おはよう」
ハルヒ「……ずいぶんと朝倉と仲が良いみたいね」
キョン「いや、そんなことはないだろ。あいつはみんなに優しいから」
ハルヒ「…………あのくそビッチが」
キョン「え?」
ハルヒ「あんたはSOS団の団員なんだから! 自覚あるんでしょうね!」
キョン「なんだよ突然。胸ぐらをつかむな。自覚って何だよ」
ハルヒ「……」
キョン「……」
ハルヒ「……」
キョン「そ、そろそろホームルーム始まるぞ」
ハルヒ「短い」
キョン「え?」
ハルヒ「朝倉としゃべってた時間より、あたしの方が短い」
キョン「そ、そうか? でも別に」
ハルヒ「もっと話して。それとも団長のあたしより、朝倉の方が大事なの?」
キョン「どっちが大事とか、そういうもんだ」
バンッ!!
キョン「おぅわっ!」
ハルヒ「……」
キョン「いきなり机を叩くな。びっくりするだろうが」
ハルヒ「……」
キョン「おいハルヒよ、何をそんなに……」
ハルヒ「……岡部が来たわ。ほら、前向きなさいよ」
きーんこーんかーんこーん
キョン「……ふぅ。やっと昼か」
谷口「ずいぶんお疲れのようだな」
国木田「あいわからずのもてっぷりだね、キョン」
谷口「しかもあの朝倉までもだぜ。まったく憎たらしいヤツだよな」
キョン「別にそういうんじゃあない」
キョン(なんだって朝倉はあんな態度を……それにハルヒの視線が痛い)
谷口「じゃ、飯にするか。キョンは弁当か?」
キョン「ああ、今日は弁当だ。妹が作ってくれてな」
国木田「えー、妹さんてまだ小学生でしょ? 偉いなぁ」
谷口「女にモテるばかりか妹にまで……なんでこいつばっかり」
国木田「じゃ僕らは購買で買ってくるから、ちょっと待っててよ」
キョン「ああ」
ハルヒ「ちょっとキョン」
キョン「なんだ」
ハルヒ「あんた今日お弁当なの? 妹ちゃんが作ったってほんと?」
キョン「そうだ。なぜか急に、な」
ハルヒ「……明日はあたし」
キョン「え?」
ハルヒ「明日、お弁当持って来ちゃダメよ」
キョン「何言い出すんだ急に」
ハルヒ「良いから! これは団長命令よ!」
朝倉「涼宮さん、大きな声出さないでくれる? キョンくんも困ってるじゃない」
ハルヒ「……関係ないでしょ」
朝倉「大有りよ。だって、キョンくんは大事なクラスメイトだもの」
朝倉「そのキョンくんが困ってるんなら、クラス委員としては放ってはおけないじゃない?」
ハルヒ「キョンはSOS団の団員なの! 口出ししないで!」
朝倉「その何とか団の前に、このクラスの一員よ」
キョン「お、おいおいお前らやめろ」
ハルヒ「何よ、あんたコイツの肩持つ気? SOS団の団員のくせに」
朝倉「うふふっ。SOS団だって、高校生にもなって子どもっぽいったら」
ハルヒ「何ですって!?」
キョン「やめろ! 朝倉もハルヒを煽るようなこと言わんでくれ」
朝倉「別に煽ってなんかないけど、キョンくんが言うならやめるね。ごめんねキョンくん」
ハルヒ「いちいち頭に来るわね、あんた。ほらキョン、あっちで一緒にご飯食べるわよ」
ぐいぐい
朝倉「ダメよキョンくん。あんなのほっといて、こっちで食べましょう」
ぐいぐい
谷口「……おいキョン、そりゃ何のマネだ」
国木田「たぶん、先に手を離した方がキョンの本当のお母さんなんだよ」
キョン「馬鹿なことを言っとらんで何とかしてくれ」
谷木田「「そんなことを言われても」」
???「はいはい、どいたどいたー。おーいキョンくーん。一緒にご飯食べよー」
キョン「鶴屋さん?」
鶴屋さん「おやおや、ずいぶんと酷いことになってるみたいじゃないか」
キョン「そうなんですよ、実はこの」
鶴屋さん「まったく困った雌豚どもだよねー。これだからさ、躾のなってない貧乏人には困っちゃうよ」
キョン「え?」
鶴屋さん「さあさあ、さっさとキョンくんから手を離した離したー。さもないと、殺しちゃうよー」
ハルヒ「鶴屋さんといえど、あたしとキョンの邪魔はさせないわよ」
朝倉「そうそう。年増のデコッパチは、とっとと巣にお戻りなさい」
鶴屋さん「あははは、言うじゃないか二人とも。それじゃ、こっちも容赦しないからねー」
スッ
バババババッ
キョン「なんで銃を持った外人が学校に……」
鶴屋さん「鶴屋家の私設部隊さ。ほらほら、早くキョンくんの事離してあげなさいって」
ハルヒ「くっ……」
朝倉「そう。そうくるんだ。それなら私も、本気出しちゃおうかな」
キョン「!? おいよせ朝倉! 鶴屋さんも、冗談にしては笑えませんよ」
鶴屋さん「冗談なんかじゃないのさ。私のキョンくんへの気持ちだよ?」
キョン「なっ……」
鶴屋さん「キョンくんが、その二人を置いて私のところへ来るなら、こいつら下がらせるよ」
鶴屋さん「でも、来ないって言うなら……」
ダダダッ ダダダッ
キョン「おおわっ!」
鶴屋さん「二人は蜂の巣になっちゃうかなー。あたしはそれでもかまわないんだけど、どうする?」
朝倉「行くこと無いわよ、キョンくん。あんな連中、ちょっと本気を出しちゃえば」
ハルヒ「行かないで、キョン! 行ったら承知しないんだから!」
鶴屋さん「おやおや、やっぱり二人は死にたいみたいだねー。じゃあしょうがないかー」
キョン「ちょ、待ってください! 鶴屋さん」
鶴屋さん「んー? なんだいキョンくん。あたしの気持ちに応えてくれる気になったのかい?」
キョン「……とりあえず、その物騒な人たちを下がらせてください」
鶴屋さん「ダメダメ。だって、いつ雌豚どもが牙をむくかわかったもんじゃないからね」
キョン「その、雌豚っていうのも止めてもらえませんか」
鶴屋さん「んん? 雌豚を雌豚って言って、何が悪いんだい?」
キョン「鶴屋さん、あなたはそんな人じゃなかったでしょう。もっと快活で」
鶴屋さん「あは、あははははははは! キョンくんそーいうのがタイプなんだ」
鶴屋さん「それなら、あたしたちぴったりじゃないか。でもさ、邪魔者はちゃんと片づけないとね」
キョン「鶴屋さん……(いったい何がどうなっているんだ!?)」
ハルヒ「さっきから聞いてれば好きなこと言ってくれちゃって」
ハルヒ「言っとくけど、キョンはあたしのものよ。鶴屋さんには渡さないわ」
朝倉「それには同意見ね。キョンくんは私のものだけど」
鶴屋さん「こいつはおかしな事を言うね。キョンくんが本当に好きなのはあたしなのに」
ハルヒ「………」
朝倉「………」
鶴屋さん「………」
キョン(なんだこの雰囲気は……耐えられん!!)
キョン「あ、あの……」
ハルヒ「じゃあ、キョンに決めてもらいましょ」
キョン「なんですとー!?」
朝倉「そうね。キョンくんなら私を選んでくれるに決まっているし」
鶴屋さん「雌豚にしては知恵が回るようだね。キョンくんなら鶴屋さんを選ぶに決まっているのさ」
キョン「い、いやそれはちょっと……」
ハルヒ「あたしを選ばなかったら、どうなるかわかってるんでしょうね」
朝倉「もし私を選んでくれなかったら、右腕を切り刻んであなたの出方を見る」
鶴屋さん「さぁさぁキョンくん。ほかの女を選んだら、穴だらけになっちゃうからねー」
キョン「」
朝倉「ほらほら、キョンくん。大丈夫よ、ほかの女どもには手出しさせないから」
ハルヒ「キョン、何迷ってるの! 早くこっちに来なさい!! さもないと、あたし……」
鶴屋さん「うーん、しょうがないねぇ。こうなったら、実力行使でかっさらうしか」
キョン「……オレには無理だぁー!!」
だだだだっ
国木田「あ、逃げた」
谷口「まぁ、それもしょうがないわな」
「「「待ぁてぇぇぇいいい!!!!」」」
ざっざっざっざっ
国木田「アレを見てもまだキョンがうらやましいって言える?」
谷口「正直微妙だな」
キョン「いったい何だったんだアレは……あれが長門の言ってたヤンデレってヤツか」
……まぁてぇぇい……
キョン「いかん、奴らが追ってくるっ!」
たったったった
――1年6組――
ガラッ
キョン「おい、長門! 長門いるか?」
ざわ ざわ
キョン「あの、すみません。長門、長門有希はどこに」
女生徒「な、長門さんなら、今日はお休みしてますけど」
キョン「そんな……」
きょんくーん どこにいるのかなぁ
キョン「やばい、来た! す、すみませんでした!」
女生徒「……何だったのかしら?」
――屋上――
キョン「はぁ、はぁ、はぁ、どうやら、この辺りは安全みたいだな」
???「キョンくぅん」
ビクッ
キョン「だ、誰だ!?」
みくる「私です。みくるです」
キョン「ああ、朝比奈さんですか。よかった」
みくる「すごい汗……大丈夫ですか」
キョン「ええ、ちょっと逃げ回ってまして」
みくる「何か怖いものでも出たんですか? うふふ」
キョン(良かった、朝比奈さんは普通だ)
みくる「ところでキョンくん」
キョン「はい」
みくる「私のことはみくるちゃん、と呼んでください」
キョン「え?」
みくる「朝比奈さん、なんて他人行儀な呼び方は、その」
キョン「あ、ああ。わかりました。えーと、み、みくるちゃん(照れるな)」
みくる「はいっ」
キョン(……この笑顔、いいなぁ。天使すなぁ)
みくる「ずいぶんと慌ててたみたいですけど、また涼宮さんがらみですか」
キョン「ええ、まぁそうですね」
みくる「キョンくんも大変ですね」
キョン「まぁ、ははは」
みくる「あ、そうだ! これからお弁当なんですけど、キョンくんも一緒にどうですか。
ちょっと作り過ぎちゃって」
キョン「すみません、実は妹が弁当作ってくれたんで」
みくる「……」
キョン「あ、でも量が少ないから、一緒にいただこうかなー、なんて」
みくる「ありがとうございます、キョンくん(にこっ)」
みくる「お味はどうですか?」
キョン「はい、おいしいです」
みくる「たくさんあるから、どんどん食べてくださいね」
キョン「(うっぷ)朝比奈さんは、食べないんですか?」
みくる「……」
キョン「あ、み、みくるちゃんでしたね。みくるちゃんは、食べないんですか」
みくる「はい、実はちょっと……」
キョン「もしかして、ハルヒがまた暴走した件と関係がありますか」
みくる「やっぱり、涼宮さんから無理矢理迫られてたんですね」
キョン「そうなんですよ。ハルヒどころか、朝倉や鶴屋さんまで……」
みくる「そうですか。大変でしたね、キョンくん」
ぎゅっ
キョン(おおおお! 胸が! 顔が胸に包まれて! ぱふぱふ!)
みくる「涼宮さんに加えて、ほかの女の子まで……やっぱり、あの方法をとるしかなさそうです」
キョン「ふがふが」
みくる「キョンくん、私の話を聞いてくれますか?」
キョン「ふぁい(おお、今回は朝比奈さんが解決してくれるのか?)」
みくる「私は、未来から来た人間だから、この時代の男の子との恋愛は禁じられていました」
キョン「???」
みくる「だから、好きな人がいても心の中で思いやることしかできなかった」
キョン(朝比奈さんに好きな人だと!? いったい誰だその幸運な野郎は!)
みくる「でも一生懸命考えたら、私わかったんです」
キョン「ふぁい?」
みくる「好きな男の子と一緒にいる方法です」
キョン(解決方法じゃなかったか。でも朝比奈さんの好きな人って……?)
みくる「キョンくん、私のこと嫌いですか?」
キョン「いえいえ、そんなことは絶対にありませんよ」
みくる「よかったぁ! じゃあ」
キョン「え?」
みくる「おとなしく、私に食べられてください!」
ヒュン
キョン「おわっ!」
みくる「どうして避けるんですかあ」
キョン「いやいや、包丁振り下ろされたら、誰だって避けますよ!」
みくる「私のこと嫌いになったの? 私、こんなにキョンくんのことが好きなのに」
キョン「い、いや、好きとか嫌いとかじゃなくてその」
みくる「ならどうして避けるの? 私がキョンくんを食べちゃえば、未来へ帰っても一緒にいられるんだよ?」
ヒュン
ヒュヒュン
キョン「わ、ちょ、あ、朝比奈さ」
みくる「また朝比奈さんて。あのときからずっと、みくるちゃんて呼んで欲しかったのに!」
キョン「わ、わかりました。これからはみくるちゃん、と、呼びますから……って、うわ!」
ヒュンヒュン
みくる「だいじょうぶですよ、痛いのは最初だけですぅ」
ヒュン
みくる「そうしたら、もうずっとずっと一緒にいられるんですよ」
ヒュン
みくる「そうしないと、ほかの女の子たちがキョンくん取っちゃうから」
ヒュン
みくる「そんなのだめ! ゆるせない!」
ヒュヒュヒュン
キョン「わ、あの、ちょ、やめ……」
みくる「私、ちゃんとお腹減らしてますから、キョンくんのこと全部食べられるから、」
みくる「食べきれない分は、ちゃんと持って帰って少しずつ食べるから、」
みくる「だから、ね?」
キョン「ね、じゃないですよ! 落ち着いてください朝比奈さん!」
みくる「…………」
キョン「ハルヒも朝比奈さんも、どうしたんですか! いったい何があったんですか」
みくる「……また、朝比奈さんて」
キョン「え?」
みくる「また朝比奈さんって呼びました。やっぱりキョンくん、私のこと嫌いなんですね」
キョン「い、いや、そういう話ではな」
みくる「私を嫌いなキョンくんなんていらないっ!!!」
トスッ
キョン「……っ」
ボタボタボタボタボタ――
キョン「ってぇーーーーーー!!」
みくる「ほら、下手にかばうから腕に刺さっちゃいました」
キョン「おおお、血が、血が……」
みくる「これじゃ痛みが長引いちゃいますよ。ほら腕を引いて、お腹をこっちに向けてください」
ヒュン
キョン「うわっ! あさひ……じゃなくてみくるちゃん! もういい加減に止めてください!」
みくる「うふふふふふ。キョンくんのお腹、おいしそう」
キョン「(こりゃだめだな……)とりあえず、逃げるしか!」
だっだっだっだ
みくる「あーキョンくん、逃げたらだめですよぅー」
――校内――
キョン「はぁ、はぁ、はぁ……」
キョン「こ、ここまでくれば大丈夫か。とりあえず、長門に相談しないと……はっ!?」
鶴屋さん「お前たちっ! キョンくんはまだ校内にいるはずだからね。蟻の子一匹見逃すんじゃないよ!」
Soldier「Sir,Yes Sir!」
ざっざっざっざ
鶴屋さん「さて、私も行こうかな……ん?」
キョン(あ、血が垂れてしまっている!)
鶴屋さん「(ペロ)これは……キョンくんの血! しかもまだ温かいね」
キョン(や、やば……)
鶴屋さん「この近くにいるんだね。おーい、キョンくん。出ておいでー」
鶴屋さん「全く手間掛けさせてくれちゃって。でも、そういうキョンくんも好きだけどね」
鶴屋さん「ほらほらー、早く出てこないと、ちょっと手荒なことしちゃうよー」
キョン(まずいまずいまずいまずい)
キョン(とりあえず、見つからないように、そーと)
ガタンッ
キョン「!!?」
鶴屋さん「あーっはっはっは。キョンくんそんなところにいたのかい? やっと見つけたよ」
キョン「や、やべっ!」
鶴屋さん「やっぱり、あたしのところに来てくれたんだねー」
鶴屋さん「うんうん、お姉さんは分かっていたよ。さ、あたしと一緒に行こう!」
キョン「……行こうって、いったいどこへ行くんですか」
鶴屋さん「良いところさ。あたしとキョンくんしかいない、二人っきりの世界。素晴らしいと思わないかい?」
キョン「そんな……学校とかどうするんですか」
鶴屋さん「大丈夫大丈夫。キョンくんの義務教育は終わってるし、問題ないよね」
鶴屋さん「それに、勉強が必要ならあたしが教えてあげるさ。手取り足取りね。あっはっは」
キョン「でも家族が……」
鶴屋さん「もう、心配性だなぁキョンくんは。鶴屋家の婿になるって言えば、大抵のご家庭はOK出しちゃうよ」
キョン「そんな……」
鶴屋さん「これで分かったかい? キョンくんは、もうあたしと一緒に行く以外に選択肢はないんだよ」
キョン(ここまでか……くそっ、何か、何とか逃げられないか!?)
???「こんなところにいたの、キョンくん」
キョン「あ、朝倉!」
朝倉「こんなデコッパチに絡まれて、さぞかし怖かったでしょう? 今、助けてあげるからね」
鶴屋さん「おやおや、眉毛星人が言うじゃないか。こちらが本気を出せば、キミなんか3秒でミンチだよ」
朝倉「ふふっ。生身の人間がどこまで抵抗できるか楽しみだわ」
キョン「お、おいよせ! 二人とも」
ジャキン!
ダダダッ ダダダダッ
どかーん
鶴屋さん「あっはっはっはっは」
朝倉「うふふふふふ」
キョン「おうっぷ、こりゃとんでもないことになって来やがった」
キョン「……いや、これはチャンスだ。今のうちに逃げろっ!」
――長門マンション――
キョン「はぁ、はぁ、はぁ」
キョン「ようやく長門のマンションにたどり着いた」
キョン「長門だけは正常でいてくれると良いな……頼む、居てくれ!」
ピンポーン
???「…………」
キョン「長門、いるか。俺だ」
キョン「ハルヒが、いやみんながおかしいんだ。相談に乗ってくれないか、頼む」
???「…………」
ガー
キョン(良かった、いてくれたか)
長門「……」
キョン「長門、良かった。実は……って、震えているのか?」
キョン「そういえば今日学校休んだよな。大丈夫なのか」
長門「問題ない。入って」
――長門の部屋――
キョン「――と、まぁこういう訳なんだ。何か理由とか分かるか、長門」
長門「今起きている状況は、昨日のあなたの発言を受けて、涼宮ハルヒが情報改変を行った事が原因」
キョン「昨日のって、ヤンデレがどうのってアレか?」
長門「そう。あの発言で、涼宮ハルヒがあなたに好かれるべくヤンデレ化してしまった」
キョン「でも、それだけじゃ朝比奈さんや朝倉の行動は……」
長門「涼宮ハルヒの能力は無意識下で発現するため、必ずしも理想通りの世界が構築されるわけではない」
長門「今回はその影響が拡大され、あなたに好意を持つ女性全てがヤンデレとなった」
キョン「そうか。何だかよく分からないが、長門が言うならそうなんだろうな」
キョン「それで、元に戻す方法はあるのか」
長門「ある」
長門「あなたがヤンデレになった涼宮ハルヒではなく、通常状態の涼宮ハルヒが好きだ、と言うこと」
キョン「なっ!?」
長門「こうすることで涼宮ハルヒは元に戻り、同時に世界も元の状態へと復帰する」
キョン「し、しかしなぁ」
長門「ほかに方法はない」
キョン「……やむを得ないな」
長門「涼宮ハルヒが元に戻った時、おそらく今日という時間は存在しなかったことになる。安心して」
キョン「そうなのか! そうか、それなら安心だ」
長門「ただし、本心から言わないとおそらく涼宮ハルヒの心には届かない」
長門「だから、涼宮ハルヒの目を見て、本当に気持ちを伝えるつもりで挑んでほしい」
キョン「……ああ、分かったよ」
キョン「何だか、解決策が分かったらほっとしたよ」
長門「そう」
キョン「しかし、長門が普通でいてくれて良かった」
キョン「これでお前までおかしくなってたら、どうしようもなかったもんな」
長門「……」
キョン「しかし、体調は余りよくなさそうだな。顔も赤いし、熱でもあるのか」
ぴとっ
長門「!!?」
ざざっ
キョン「な、長門? すまん、どこか痛かったか」
長門「そうではない」
キョン「じゃあ何でそんな後ずさりを」
長門「あなたは思い違いをしている」
キョン「???」
長門「私もこの空間にいる以上、情報改変の影響を免れることはできない」
長門「今も、あなたに抱きついて、独占したい思いを必死にこらえている」
キョン「そ、そうなのか」
長門「そう。だから、不用意に私に近づいたり、私に触れたりするのは控えて欲しい」
キョン「そ、そうか。すまん、お前にも迷惑かけていたんだな。態度が変わらないから、全然気づかなかった」
長門「私は涼宮ハルヒが世界を改変する直前に情報爆発に気づき、とっさに対策を施した」
長門「そのおかげで、かろうじて理性を保っていられる状況」
キョン(やばい、何だか可愛いな)
長門「……」
キョン(長門の潤んだ目でじっと見つめられると、照れちまう)
キョン「そ、そういえば、対策したって言ったけど何したんだ?」
キョン「やっぱりバリアとか、そういうヤツなのか。それとも情報何とか体に頼んだとか」
長門「そうではない。どちらかと言えば、場当たり的な対応」
キョン「場当たり的?」
長門「そう」
キョン「いったい何なんだ?」
長門「少し驚くかも知れないけど、見る?」
キョン「あ、ああ。そうだな」
キョン(やっぱりいつもの長門とは少し違うな)
長門「こっちに来て」
キョン「これは、朝比奈さんと俺が昔寝た部屋か」
長門「ここに、対策が置いてある」
ガラ
キョン「!! な、な……」
長門「驚いた?」
キョン「こ、これって、お、お、俺じゃないか! 何だこれは!!?」
長門「あなたの構成情報を解析し、同じ個体を作り上げた」
キョン(あ、頭が沸騰しそうだ)
キョン「で、でも、何で椅子に縛られているんだよ!?」
長門「この個体はあなたと全く同じ情報を持っている。しかし人間ではなく、いわばクローンと言った存在」
長門「しかし、それをこの個体に理解させることは不可能に近い。だから拘束してある」
長門「それに……」
キョン「それに、何だ?」
長門「クローンとはいえ、こうしてあなたを束縛し、私の意のままにすることが」
キョン(な、長門が笑っている!? でも、なんだこの不気味な微笑みは……)
長門「最も有効な対策」
キョン「」
長門「でも、やはり本物のあなたとは違う。私があなたを意のままにできるのなら」
長門「このまま。このまま二人でいつまでも一緒にいたい」
キョン「! お、おい何を……やめろ、長門!」
長門「もう抑えることはできない」
ピキーン
キョン「なっ! か、身体が動かな……!」
長門「……」
キョン「お、おい長門、よせ! これはお前の本心じゃないんだろう!?」
長門「……」
キョン「ハルヒの馬鹿のせいで、ちょっとおかしくなってるだけだ! オレがすぐ元に戻してやるから、落ち着け!」
長門「違う」
キョン「何が違うんだ!」
長門「先ほど説明したはず。今回ヤンデレ化したのは、“あなたに好意を持つ女性”だと」
キョン「な……」
長門「私という個体は、あなたと親密になることを望んでいる」
長門「今を逃せば、その機会は永久に訪れない」
長門「やらなくて後悔するより、やって後悔する方が良い」
キョン(長門もその思考パターンかよ!)
長門「大丈夫。全て私に任せて」
キョン「ダメだ長門! お前は知っているはずだ! 俺が以前どんな選択をしたか!!!」
長門「……」
キョン「あれからお前は変わったんだろう? 作られた世界じゃない、本当の世界に帰ってきたんじゃないか!!」
長門「…………」
長門「……そう、だった」
キョン(……身体が動く、か)
長門「すまない」
キョン「いや、いいんだ。お前にはいつも世話になってるからな。このくらい構わないぜ」
長門「早く、涼宮ハルヒの所へ」
キョン「ああ。分かった」
長門「……」
キョン「それと」
キョン「俺は、ヤンデレになった長門より、普通の長門の方が好きだ。ちゃんと覚えておけよ」
長門「……ありがとう」
――校門――
キョン「はぁ、はぁ」
キョン(何か今日は走ってばかりだな……)
キョン「で、ハルヒのヤツはどこにいるんだ」
ハルヒ「……ここにいるわよ」
キョン「のわっ! お前、いるなら声くらいかけろよ」
ハルヒ「学校中捜したのにいなかったから、校門で待ってれば会えると思ったのよ」
ハルヒ「そうしたらなに? なんで外から帰ってくるわけ?」
ハルヒ「女の子? だれか女の子と会ってたんでしょう?」
キョン「い、いや、ちがうって」
ハルヒ「嘘。今日だって朝倉とばっかり話して私とは話してくれないし、お弁当は妹ちゃんだし、
鶴屋さんとか来てキョン逃げちゃうし……」
キョン「お、おい。泣くな、頼むから……」
ハルヒ「泣いてなんかない!」
キョン(参ったな……)
ハルヒ「ねぇキョン」
キョン「何だ」
ハルヒ「キョンは、あたしだけのキョンよね?」
キョン「え?」
ハルヒ「みくるちゃんや有希には優しいし、鶴屋さんとか朝倉ともよくしゃべってるけど」
ハルヒ「でも、本当はあたしだけが好きなのよね? あたしだけのものよね?」
キョン「い、いや……」
ハルヒ「あたし、分かってるんだけど、でもキョンが他の女の子としゃべるのが、許せないの」
キョン「おい、ハルヒ。それはな……」
ハルヒ「今日は我慢したわ。でも、明日はどうなるか分からない。明日になったら、キョンの周りに群がる女どもは……」
キョン「ハルヒ!」
ハルヒ「それがイヤなら、ちゃんとあたしのものになって。だって、キョンはあたしのこと好きでしょう?」
キョン「……」
キョン「ああ。好きだよ」
ハルヒ「ほんと!? やっぱりそうよね! キョンはあたしだけのキョンだもの」
キョン「でも、今のお前は好きじゃない」
ハルヒ「え……」
キョン「俺は、いつでも無茶して突っ走って、ほかの事なんか目もくれないハルヒが好きだ」
キョン「こうやって、変なことでうじうじ悩んでるハルヒは好きじゃない」
キョン「ハルヒ。俺の好きな、いつものハルヒに戻ってくれ」
ハルヒ「でもキョン、あっ」
ぎゅっ!
ハルヒ「キョン……」
キョン「元はと言えば、俺が変なことを言ったからこうなっちまったんだよな。すまなかった、ハルヒ」
ハルヒ「……ううん」
キョン「でも、やっぱりヤンデレになったお前は好きじゃない。いつもの元気なハルヒに戻ってくれよ」
ハルヒ「……キョン……うれしい……」
・
・
・
???「キョンくーん、起きてー」
キョン「ふがふが」
???「キョンくーん、起きてってばー」
キョン「んんん……あと1時間」
???「ダメだよ。遅刻しちゃうよー。どうしても起きないんなら」
キョン(ん? この声は妹か?)
???「喰らえー!」
ドスッ メキョッ
キョン「ぐはっ!」
妹「あ、キョンくん起きた。おはよ、キョンくん」
キョン「いつつ……お前は、もうちょっとましな起こし方はできんのか」
妹「だってキョンくん、いつまでも起きないんだもん」
キョン「……ところで、今日は抱きついたりちゅーしたりはしないのか」
妹「え? キョンくん、ちゅーして欲しいの?」
キョン「あ、いや、そういうわけではな」
妹「おかーさーん、キョンくんがねー、ちゅーして欲しいってー!」
キョン「お、おい! そうじゃない! 大声で叫ぶのは止めろ!」
キョン(昨日? はあれからの記憶がないな)
キョン(でも、腕の怪我は消えてる。無かったことにされたか、時間が巻き戻ったか……)
――教室――
ガラガラッ
キョン「うぃーす」
朝倉「あ、キョンくんおはよう」
キョン「お、おう」
朝倉「ん? どうしたのキョンくん」
キョン「いや、別に何でも」
朝倉「何でもないなら、そんなおびえた目で女の子を見ないの。傷ついちゃう」
キョン「ああ、すまん」
キョン「ふぅ(どうやら元に戻ったようだな)」
キョン「お、おっすハルヒ」
ハルヒ「おっはよう! キョン!」
キョン「……朝からえらいハイテンションだな」
ハルヒ「当たり前じゃない! 今日という日を有意義に楽しむためには、もたもたしてはいられないわ!」
ハルヒ「こんな日に学校なんかいられない。不思議探しに行くわよ!」
キョン「ずいぶんと元気が良いことだな。じゃあがんばれよ」
ハルヒ「は? 何言ってるの? あんたも一緒に行くに決まってるじゃない」
キョン「は?」
ハルヒ「ほら、早く行くわよ」
ずるずる
キョン「おいこら、離せ! これから授業だろうが」
ハルヒ「この世には、授業なんかより大切なことはたくさんあるわ」
キョン「そういう話じゃねぇだろう……」
ハルヒ「そういう話よ! この世にはたくさんの不思議があって、あたしが見つけるのを待っているの」
キョン「そいつはわかった。でもそれはお前一人で行ってこい」
ハルヒ「それじゃ意味無いの!」
キョン「何でだよ」
ハルヒ「うるさい。黙ってついてきなさい!」
キョン「だから、俺はいy」
ハルヒ「何よ! あんたがいつものあたしが好きだ、って言ったんじゃない!」
キョン「……え、お前……」
ハルヒ「……あっ///」
ハルヒ「……ゆ、夢の話よ。夢の」
キョン「……あ、ああ」
ハルヒ「……」
キョン(なかったことになるんじゃなかったのかよ……)
ハルヒ「ほ、ほら。行くわよ」
キョン(でも、そうだな。たまにはいいか)
キョン「わかった。でも遠出は勘弁してくれ」
ハルヒ「何軟弱なこと言っているのよ、しょうがないわね。……ま、今回は手加減してあげるわ。感謝しなさい!」
キョン「やれやれ」
完
ここまでです。読んでいただいた方、ありがとうございました。
初めてだったので投下間隔とか文字数とか適当でした。すみません。
それと、ハルヒがいまいちヤンデレになってなかったような気がします。
もうすぐヤンデレCDの3が発売されるので、カッとなって書きました。
>>1はみくる好きです。みくるのヤンデレには結構満足しています。
それでは、お付き合いありがとうございました。
佐々木は流れ的に出せませんでした……あと古泉も。
長門の作ったクローンキョンも動かそうと思ったんですが、
これもうまく動きませんでした。
ヤンデレCDのMADは、興味があったらCLANNADの杏が
ヤンデレ化したやつとかおすすめです。広橋だし。
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