キョン「ハルヒ、金貸してくれよ」(1000)


ハルヒ「――――なによ、キョン」

キョン「金だよ、金。今月こづかいがピンチなんだよ。貸してくれ」

ハルヒ「…………………………」



ハルヒ「……いくら」

ハルヒ「いくらいるのよ」


キョン「とりあえず、1000円あれば足りるかな」

ハルヒ「…………………………」

ゴソゴソ、スッ

キョン「おう。それじゃあ俺、今日は団活でないで帰るから」

ハルヒ「……キョン……」

キョン「あ?」

ハルヒ「お金……お金、何に使うの……?」



キョン「 ハァぁっ!? 」


ハルヒ「っ!」 ビクッ


キョン「おいおいハルヒよ、俺はお前にそんなことまでいちいち報告せにゃならんのか?
    俺にいつ、借りた金の用途をお前に明かす義務が課せられたんだ?
    そんな記憶、俺のちっぽけな脳みその中をいくら探ってもとんと見当たらないんだがな」

ハルヒ「っ、キョン…………ごめ……もう、いいわ……この話、もういいから――」

キョン「 もういいじゃねーだろうがッ!! お前から話振ってきたんだろッ、なにめんどくさそうな言い方してんだよオイ!!」

ハルヒ「ち、ちがっ……あた、あたしはッ――」


キョン「どうせアレだろッ、また俺が金返さないとか思ってんだろッ!? だったら使い道くらい把握しておく権利がある、とか思ってるんだよなぁ!? なぁ、そうだよなぁ!」

ハルヒ「っ……ちが、違うのッ、キョン……あ、謝るっ。謝る、からぁ……お願いだから、怒鳴んないで――」ジワ...

キョン「ハハッ、アレですか。また団長お得意の泣き落としですか。女の子はいいなー、いつでも誰かが守ってくれるもんなぁー!」

ハルヒ「――っ、ぅくっ……ぅふぅっ……!」


キョン「なんてな。嘘だよ。ちょっとしたジョークだろハルヒ。なに本気で泣いちまってんだよw」

ハルヒ「っ、っ……ぇ……うぐっ……ひくっ……」

キョン「まぁでも、金返さないのは本当かもな」

キョン「なんせ、“バ イ トも出来ない”学生の身だからな。まったく、ハルヒへのツケは増えていく一方だぜ。ハハッ」

ハルヒ「っ! ……ひくっ、ひっ――ふ、うぅううぅうぅぅぅぅっ……!!」 ペタン

キョン「それじゃまた明日な、ハルヒ。朝比奈さんたちによろしく言っといてくれ」

ガラガラッ ピシャン


古泉「……………………」

キョン「おお古泉。なんだよ、HR終わってたんだし、廊下で待ってることもなかったろうに」

古泉「……あなたと涼宮さんのやりとりが、聞こえたものですから……」

キョン「なんだよ、気を使うようなことでもあったか? 別に聞かれて困る話じゃなかった気がするが」

古泉「……涼宮さん、泣いてませんでしたか……?」

キョン「あー。そのうちケロっと治るだろ。図太さだけが取り柄みたいな奴だしな」

古泉「……確かに、私がとやかく口を出せる問題ではありませんが」

古泉「ですが、あなたは――」

キョン「古泉」

古泉「ッ――」


キョン「俺、今日はこのまま部室に顔出さないで帰るから」

古泉「………………」

キョン「朝比奈さんと長門に、よろしく言っといてくれ」

古泉「…………わかりました」

キョン「ああ。それじゃあな」


   かつっ、とっ……
             かつっ、とっ……
                        かつっ、とっ…………



古泉「……………………」

古泉「うまいものですね……もうあんなに遠くまで……」

古泉「人間の慣れというものには、つくづく驚かされますが……」

古泉「……彼の胸中を察すれば、『こんなことに慣れても嬉しかねーよ』、でしょうか……」


――キョン宅――

ガチャ

キョン「ただいまー」

ピョコ

妹「あ……キョンくん! ……お、おかえりっ」

妹「えとえと……キョンくん、大丈夫だった?」

キョン「え? ……ああ、別に。坂道ももう慣れたしな。心配してるのか、ありがとうな」

妹「ううんっ……! あ、わたしカバン持つよー」

キョン「ああ、すまん。どうにも靴脱ぐにも手間取ってな……」


妹「……? キョンくんこの袋なにー? お買い物してきたの?」ガサゴソ

キョン「ちょっとな。編み物でも始めようかと思ってな」

妹「わぁ、もじゃもじゃ毛玉だー。青いのと白いのとあるね」

妹「そっかぁ。うん、わたしも編み物するの、いいと思うよー」

キョン「とりあえず最初はマフラーからだな。
     それからニット帽、靴下、手袋と、徐々にスキルアップを図って――」



キョン「っと」

キョン「靴下はいらない、かな」

妹「っ……!!」



キョン「いや、編んだらお前にやろう。そうだ、それがいい。
    学校に履いていきなさい、きっとあったかいぞ」

妹「……うん……ありがとー……」

キョン「さて、部屋に戻るか……っと」

キョン「そういや、この家リフォームするって話、父さんから聞いたか?
    まさかそんな金がうちにあったとは、思ってもいなかったが」

妹「…………」

キョン「別に俺は、このままの家でもいいと思うんだがなー」

キョン「まぁ、建て替えるわけでもなし、そっちの方が安上がりなのかもな。
    詳しいとこは俺にもよくわからんが」

妹「……キョンくん……」

キョン「まぁ、購入したときでもう築20年とか言ってたしな。いい機会といえばいい機会で――」

妹「キョンくんっ……!!」


キョン「ん? ……どうした、妹よ?」

妹「……べ、勉強」

妹「わかんないとこ、あるの……キョンくん教えて……」

キョン「なんだ、そんなことか。もちろんいいとも」

キョン「それじゃ、部屋で先に待っててくれ。トイレ済ませてくるから」

妹「……うん……」

妹「気をつけてね……」


   とんっ……
            とんっ……
                      とんっ……


妹「………………」

妹「……キョンくんかわいそう……」


――部室――

ガチャッ

古泉「こんにちは、お二人とも」

みくる「あ、古泉くん。今日は遅かったですねぇ」

古泉「ああ……ちょっと、担任の先生から頼まれごとがありまして……」

みくる「お疲れ様ですぅ。あ、いまお茶を淹れますね」

長門「……………………」ペラッ

古泉「……………………」


みくる「はい、どうぞ」コトッ

古泉「ああ、いつもすみません。今日はダージリンティーですか、良い香りです」

みくる「今日のはちょっと、お茶っ葉を奮発してみちゃいましたぁ。とってもおいしいですよ?」

古泉「ええ……いただきます……」ズズッ...

長門「……………………」ペラッ

みくる「…………………………」

みくる「……涼宮さん、遅いですねぇ……」

みくる「早く来ないと、紅茶、風味が飛んじゃいますよ、ふふ」

古泉「……………………」


古泉「……朝比奈さん……何も聞かないんですね……」

みくる「? なにがですかぁ?」

古泉「……彼の……彼が、今日ここに――」

古泉「いえ。毎日、この部室に顔を出さないことを、です……」

みくる「……………………」

長門「……………………」ペラッ

みくる「仕方ないですよ……ここからキョンくんの教室まで、結構ありますから……」

みくる「キョンくん、人に手を借りて歩くの、嫌がってますし、それに……」


古泉「それに、教室以外の場所で、いまさら彼女に会いたくはない、と……」

みくる「そんなんじゃないと思いますっ……キョンくん、本当に本当に優しい子なんですよ……」

みくる「でもまだなんていうか、その……」

みくる「……心の折り合いが、付けられないだけなんだと思うんです――」





みくる「涼宮さんをかばって、右足を失ったことに」


長門「……………………」ペラッ


古泉「……彼女の行動が予測不可能なものとはいえ、あれは完全に僕の油断が招いた結果でした。
   彼女の身の安全を確保するのも、僕の役割だったはずなのに……」

みくる「古泉くんのせいじゃありませんよ……」

みくる「涼宮さんが赤信号に飛び出したのも、年上の私がしっかり注意してなきゃいけなかったんです……」

みくる「それなのに、キョンくんと追いかけっこしてるのを見てて、微笑ましいなーなんて、のん気なことを考えてて――」


みくる「っ、ダメですね、こんなの。誰のせいか、なんて、それこそ言っててもしょうがないです」

みくる「今はとにかく、キョンくんと涼宮さんの間の溝を埋めないと……」

古泉「……………………」

みくる「って言っても、私にできることなんて、少しでもおいしいお茶を淹れることくらいですけど……」

みくる「ホぉント、頼りにならない先輩ですぅ、私……」


古泉「……彼だって、心から涼宮さんを憎んでいるはずはありません。
   それなのに、自分の負うことになったハンデを前に、不安や苦悩を彼女にぶつけてしまう」

古泉「荒んだ言葉を発しながら杖をついている姿は、正直僕も見ていられませんよ……」

長門「……………………」ペラッ

古泉「しかし今ひとつ不可解なのは、なぜ長門さんにさえ、彼の失われた脚を復元することが出来ないんでしょうか?」

古泉「それにあの事件以来、閉鎖空間がまったく発生しなくなったのも気にかかります。
   正確には、最後に発生したのが事故の日の三日後でしたが……」

みくる「それは、私も……あれだけショッキングなことがあったら、前みたいなことが起こってもおかしくないのに……」

古泉「彼のあの姿を目にして、彼から毎日のように罵倒を浴びて……」

古泉「涼宮さんにとって、これほどの地獄はないはずですが、一体……」

長門「……………………」パタン




長門「……それについては、統合思念体によって、ある一つの仮説が導き出された」


みくる「長門さん? 本当ですかぁ?」

古泉「仮説――というのは、彼の脚を治せないことについてですか? それとも、閉鎖空間の件について?」

長門「結論を言えば、その二つの要素はお互い関連し合っている」

長門「『彼の脚が復元できない』という事実は、閉鎖空間が発生しないための条件のひとつに含まれている」

みくる「???」

古泉「彼の脚の欠損が、閉鎖空間の発生を抑制している、ですか――?」


古泉「閉鎖空間は、本来、涼宮さんのストレスによって発生するもの……
   しかし、涼宮さんは彼の右足が無いという現状を、ストレスとして捉えていない……?」

長門「加えて、涼宮ハルヒは自らの持つ願望を可能性として引き寄せる力がある」

長門「そしてあまりにも強い願望によって引き寄せられた未来は、そこに情報の改竄を加えるのは極めて困難」

古泉「ということは、つまり――」

古泉「ッ!!」

古泉「――そ、それは、なんというか……いやまさか……」

みくる「ふぇぇ? 二人とも、一体どういうことですかぁ?」


長門「そう」




長門「涼宮ハルヒは、彼の右脚の欠損を心から望んでいる」


――キョン宅――


カリカリ...カリカリ...


妹「……ねぇキョンくん……」

キョン「んー? どっかわからないとこでもあったか?」

妹「あのね、昨日ね……」

妹「えとね……えと……」


キョン「こら。もじもじ喋るのはやめなさいって、お兄さんいつも言ってるでしょう。
    言いたいことがあるならはっきり言いなさい」

妹「う、えとね、えと……」

妹「昨日、キョンくんがお夕ごはん食べてね、お部屋に戻ったあとでね……」

キョン「ああー……昨日は少し疲れてたから、その後すぐに寝ちまったな……」

キョン「何か用事でもあったのか?」

妹「ううん、ちがくてね、その……」



妹「……キョンくん寝た後にね、ハルにゃんが、家にき――」




             バンッ!!!!!!!!!!!!!!



妹「っ!!」ビクッ


キョン「今は宿題やる時間だろう。おしゃべりはやめなさい」

妹「……でも」

キョン「ほら。ここ、計算が間違ってるだろ。集中してないからこういうことになるんだ」

妹「でもね、キョンくんっ――昨日、ハルにゃんが」



キョン「  余計なことはいいから、早く勉強しなさいッッッ!!!!  」



妹「っ、っ……! うぅぅっ……………………ひくっ」ジワ...

キョン「っ」


キョン「ああぁぁ、ごめんな? 怒鳴ったりして悪かったよ……。怖かったか? ごめんな……」

キョン「でも、今はお勉強をする時間だろう? だったらきちんと集中しなきゃだ、な? そうだろ?」

妹「ひ、グシュ……」

妹「ぐすっ、ごめっ――ごめん、なさいっ……ひくっ――ふっ……」ゴシゴシ...

キョン「ほらほら、こっち向きなさい。鼻でノートが汚れるから……」

キョン「それじゃこうしよう。宿題終わったら、なんでもご褒美をあげるぞ」

キョン「だからな、今は泣くのもおしゃべりもやめて、お勉強するんだ。な?」

あれ?最近金貸してってSS見た気がする。
でも支援


妹「ぅくっ、ひっく……」

キョン「な?」

妹「っ……な、なん、でもぉ……?」

妹「ほんとに、ほんとになんでもごほうびぃ?」

キョン「ああ、なんでもだ」

キョン「一緒にゲームやるか? それともお菓子買いに行くか? ん?」

妹「っ、ひっく……ひっく……」

妹「それ、じゃぁ……それじゃぁ、ねぇ……っ……ひっく」


キョン「ん? なんだ? お兄ちゃんに、どーんと言ってみなさい」

妹「っ……ぅっ……っ」

妹「……じゃぁ、ねぇ……? わた――わたし、ねぇ……? っ、ひっく……ひっ――!」








妹「――キョンくんのおひざに、乗っけてほしかったよぉぉおおぉぉ……!!!」


ボロボロボロボロ....



キョン「……………………」


妹「ぅぅぅぁあぁあぁああぁあああぁあぁんっっ!!」



――――…………・・


――部室――

・・…………――――


古泉「――彼の右脚が治らないのが、涼宮さんの願望のせい、ですか……?」

みくる「ふぇぇっ!? じゃ、じゃあじゃあ、今回の事故は、涼宮さんが自分から引き寄せたってことなんですかぁ!?」

長門「違う」

みくる「ふぇっ……!」

古泉「……あの事故の直後、彼が病院で集中治療を受けている間、涼宮さんの憔悴は本当にひどいものでした」

古泉「表情は絶望の一色で、実際、機関の人員を総動員したにも関わらず、閉鎖空間の肥大化を食い止めるのが精一杯でしたから……」


古泉「少なくとも、彼女は彼が車に轢かれるような未来を、望んではいなかった。
   彼女は彼が自分をかばって重傷を負ったことで、自らを強く責めていたのですから」

長門「にも関わらず、あれだけ激化していた閉鎖空間の発生が、事故の三日後に突如途絶えた」

古泉「彼を傷つけたという現実から、逃避した末?」

みくる「ありえないです! 他のことならともかく、キョンくんのことなんですよ!?」

古泉「……特殊な性嗜好に、目覚めたとか?」

みくる「~~~~~!!(怒」

古泉「じょ、冗談ですよっ……」

古泉「――しかし、彼の脚に情報操作が及ばないという事実と、
   先程の長門さんの『彼女がそれが望んでいるから』という言葉から鑑みるに、
   事故直後の三日間で涼宮さんの心境に変化があったことは確かです」


古泉「その変化の末、彼女はあれほど拒んでいた彼の右足の負傷という事実を、
   なぜか肯定し、あまつさえそれを甘受してさえいる」

長門「その動機が、現時点では統合思念体にも掴めない」

長門「なんにせよ、彼の右脚部には強い情報プロテクトが掛けられているのが現実」

長門「涼宮ハルヒの精神推移を解明しない限り、彼を元の姿に戻すことはおそらく不可能」




長門「…………でも」ボソッ


みくる「――よ、要するにっ、涼宮さんがキョンくんをどう思ってるかが分かれば、
    対策が立てられるってことですよねっ?」

古泉「僕が機関に掛けあいましょう。
   機関の組織力なら、秘密裏に涼宮さんの精神分析を行うことも十分可能で――」


長門「おそらく、無理」

みくる「ど、どうしてですかぁっ!?」

長門「古泉一樹。事故当日から今日で、すでに二週間が経っている」

長門「その間に、あなたが閉鎖空間の処理に出動した回数は何回?」


古泉「それは……事故直後の三日間は、先程も言った通り、数えきれないくらいに神人の相手をしましたが――」

古泉「ですが、ですが、我々機関が緊急性を認めるような事態は、それ以降はまったく――」

古泉「――――ッ!!」

古泉「――んふっ。なるほど……」

みくる「古泉くん……?」


長門「そう」

長門「彼の脚が欠損したことによる、現実世界への影響はともかくとして」


長門「事故後の三日目以降、『閉鎖空間は一度も発生していない』」


古泉「……波風を立てたくない、というところですか……」

古泉「われわれ機関の目的は、あくまでも『現状の世界を維持する』ことですから……」

みくる「!! それ――それって、それじゃあ……!」


古泉「小規模の閉鎖空間すら起きないのであれば、機関としてはむしろ、そちらの方が都合がいいのですよ……」

古泉「『彼の脚ひとつで世界が安定しているのなら』、機関として、これ以上望ましい展開はない、と……」

長門「……………………」

みくる「……っ」


古泉「んふっ……閉鎖空間の起きない現実を喜ぶより、彼の負傷に気を向けているとは……」

古泉「先程の僕の提案、森さんが聞いたら一体なんと言うでしょうね……」

みくる「………………」

古泉「……正直なところ、ここまで自分の中で判断が揺らぐとは思ってもいませんでした」

古泉「孤高の人を気取るつもりはありませんが、こういう場合、もっとドライな考え方ができると思っていましたから……」

古泉「――正直いまは、彼の右脚を切り捨てる選択に……大きな反発を抱いています。が……」

みくる「わたっ、私もっ……!」


みくる「私だって、古泉くんと同じ気持ちですぅ!!」

みくる「だってキョンくんは、私の可愛い後輩だし、
    それに涼宮さんとも前みたいに仲良くして欲しくて、それで、それでぇっ……!!」

古泉「……おそらく朝比奈さんは、
   彼を助けることで自分の存在する未来が消滅したとしても、それを望むんでしょうね……」

古泉「所属も違う僕たちが、いつの間にかこの部屋でひとつの問題に対し知恵を出し合っている」

古泉「機関の指示でここに転校してきた当初では、考えも及ばなかったことです」

長門「………………」


古泉「――しかし、我々機関の目的は、あくまでも世界の安定です」

古泉「僕はこの問題について、機関の方針通り、傍観を貫くでしょう」

みくる「そんなっ……! 古泉くん……!」

長門「統合思念体の見解では――」

長門「――依然として、『観察』状態を保持するとの意向。
   自律進化の兆候が見られない限り、私も古泉一樹のスタンスに同調することになる」

みくる「……長門さんまで……ひどいです……」

古泉「心苦しいのはやまやまですが……わざわざ僕たちが手を出すことで、
   また以前のような世界崩壊規模の事態を引き起こしてしまっては、元も子もないのです……」

長門「事故以来、涼宮ハルヒの行動に関する不確定要素が激減したことも厳然たる事実。
    リスクは可能な限り排除すべき」

みくる「………………」

これ前あったよな
著作権砲異半


古泉「……朝比奈さんは、どうされますか?
   我々としては、事なかれ主義に徹していただけるのが最良なところですが……」

みくる「わ、私は……」

古泉「ですがもしも、未来確定のため、二人の関係に“操作を加える”のであれば――
   その時は我々としても、容赦はしません」

みくる「っ!」



みくる「“操作”ってなんですかっ!! そういう言い方、やめてください!!」

古泉「…………失礼」

みくる「っ…………」


長門「……朝比奈みくる。あなたは彼らに感化されすぎている」

みくる「ッ――!! 余計なッ……!!」

みくる「………………」




みくる「………………余計な、お世話ですっ……」

古泉「………………」

書きため分終了
ちょっと間を置く

>>79
mjd?
ぶっちゃけハルヒほとんど読んでないんだわ
アニメも断片的にしか見てないし
オリジナルにあった展開ならこんな恥ずかしいことはないなw

>>47
ぶっちゃけ昨日だかに立ってたスレのタイトル見て思いついたwww

とりあえず23時くらいからまた投下するわ
それまで可能な限り書きためとくから待

あんま書けなかったが有言実行


――キョンの自室――


キョン「………………」

キョン「……………………クソッ!!」

  ポイッ
     コロンコロンコロン....


キョン「本の通りにやってるのに……全然うまくいかんッ……」

キョン「……編み物なんて、やっぱり俺には柄じゃなかったか……?」

キョン「………………」


 ==============================================================================

  ハルヒ『あ、謝るっ。謝る、からぁ……お願いだから、怒鳴んないで――』


  妹『ひ、グシュ……ぐすっ、ごめっ――ごめん、なさいっ、ひくっ――ふっ……』

 ==============================================================================


キョン「…………」

キョン「ッ――――!!」


キョン「畜生ッ!!!」


  ボスンッッッ!!


キョン「……………………」

キョン「なんなんだよ」

キョン「絶対お前、謝んなかっただろうが」

キョン「泣いた顔見たの、初めてじゃないか?」

キョン「怯えるくらい、俺が怖いかよ」

キョン「……………………」

キョン「なんなんだよ、お前は」



 ==============================================================================

  ハルヒ『――っ、ひっく……ゆる、し――ゆるして……』

  ハルヒ『お願い――ゆるして、くださ……』

  ハルヒ『なんでも――なんでもするからぁ……』

  ハルヒ『ゆるして――ゆるしてよぉ……っ……』

 ==============================================================================


キョン「――――――っ」


   ....シュッ....

            シュッ....
    シュッ....





キョン「…………………………ハァ…………ハァ…………ハァ…………」





.


 ==============================================================================

  ハルヒ『――るして……ゆるしてぇっ……!! あんっ……! ぁうっ……!!』

  ハルヒ『 もう、ゆるして。お願い、だからぁ――ぁぅっ――!! っ……!』

 ==============================================================================

      シュッ....
            シュッ....
    シュッ....


キョン「――ッ……ハァッ……」



 ==============================================================================

  ハルヒ『んっ――ちゅ……はむっ……っ、はぅ……』

  ハルヒ『っ! んっ、んぅっ……!! んぐっ――がっ……ふっ、ぅふ――!!』

  ハルヒ『っ、んンっ……!! ン――――ん、ごほっ、げほっがほっ! ――は……』

 ==============================================================================


キョン「ッ……は、ぁッ……!」


      シュッ....
            シュッ....
    シュッ....


 ==============================================================================

  ハルヒ『ひっ……! ぁっ……! 、めてっ――キョン――あふっ……!』

  ハルヒ『あぐっ……!! やめ、ゆるし――ぁうっ……っ……きっ……ょ……!』

  ハルヒ『っ……!! っ、ぁ、は――――っ――――っ――――!!』

 ==============================================================================



 キョン「はぁッ……ハッ……はッ……ハァッ――」


 ==============================================================================

  ハルヒ『あはぁッ――!! はぁぅッ……んぁっ――ひ、き――ぃ……!!』

  ハルヒ『ッ、ッー!! ぃ――ょん――キョぉンっ!』

  ハルヒ『っーーーーーーーーーっ――!!』

 ==============================================================================



キョン「――――――――っ、ぅ……」



                      ドクッ  ドクッ.....


キョン「――――はぁッ……はぁ……」

キョン「………………」




キョン「――――――フフッ」

キョン「何やってんですかね、俺は……」


キョン「……………………」



  コンコンッ


キョン「ッ――!!」 ガバッ!


妹『……キョンくん、起きてる?』

キョン「っ、い――今開けるッ! 待ってくれ……!」



ガチャッ

キョン「……な、なんだ? どうした?」

妹「あ……えと……」


妹「玄関にね……お客さん……」

キョン「?」

キョン「客って、俺にか? 誰だ?」

妹「…………、…………」ソワソワ



キョン「……っ」

キョン「………………」

キョン「……わかった。今行くから、待ってるように伝えてくれるか」

妹「! うんっ!」

トタタタタッ...

キョン「……どんな顔して……クソッタレ……!」


・・…………――――


ガチャッ....バタン


ハルヒ「あ……」

キョン「………………」

ハルヒ「ご、ごめんね? わざわざ玄関まで出てこさせちゃって……」

ハルヒ「あ。妹ちゃん、大丈夫だった? なんか、いつもより元気なかった……」

キョン「………………」

ハルヒ「や、やっぱり、嫌われちゃってるかな、あたし……」

ハルヒ「っ、それも、当然よねっ。だ、だって、こんなことに、なっちゃったんだし……
    妹ちゃん、キョンにすっごく懐いてたし、それで――」

キョン「――つだな」


ハルヒ「え?」

キョン「学校の外じゃ、気持ち悪いくらい卑屈なんだな」

ハルヒ「っ」

キョン「昨日もうちに来たそうじゃないか。いまさら御機嫌うかがいに来たってか?」

ハルヒ「っ……それは……」

キョン「だったらどうして学校で話さない? 他人にはとても聞かせられないような話だったのか?」

ハルヒ「キョン、聞いて。違うの、あたしね――」

キョン「今まで俺に偉そうにしてた手前、クラスの見ている中じゃ頭も下げられないか」

ハルヒ「っ!!」


キョン「退院して初めて学校に復帰した朝、俺は我が目を疑ったよ」

キョン「いつも通り後ろの席に、お前が仏頂面で座ってたんだからな」

キョン「それで国木田たちに手を引かれる俺を見て、お前はこう言ったもんだ」



キョン「『おはよう、遅かったじゃない』」

ハルヒ「…………っ」


キョン「驚くより先に笑い出しそうになったもんだ……!」

キョン「五体不満足になりたての知り合い目にして、それも半分はお前に巻き込まれた形だってのに」

ハルヒ「――めて……」

キョン「宇宙人未来人超能力者異世界人には興味あっても、やっぱりカ○ワには興味ありませんか!」

キョン「そりゃそうだよなぁッ、俺を引っ張り出したのも、元はと言えば体の良い雑用を見繕っただけだもんなぁ!」

ハルヒ「違うのッ……!! やめてキョンっ、そうじゃないのッ」


キョン「違わないだろうッ! お前のご機嫌取るためにこっちはいつも必死だった!」

キョン「あの事故だって、俺がお前のこと好きだから庇ったとでも思ってるのか!?」

ハルヒ「っ……やめ――やめ、てぇ――」ポロポロ..

キョン「褒めて欲しかったのかもなぁ!

    いつの間にかお前にコキ使われるのに、どマゾ根性が疼いてたのかもなぁ!」

キョン「男らしく車の前に飛び込めば、
    女神様のお褒めの言葉に預かれるとか、変な勘違いしてたのかもな!

キョン「笑えるだろ!? 笑えよッ!」

ハルヒ「っ――っ――」


キョン「もっとも、雑用としても役立たずな俺だよ」



キョン「せめてもの一世一代、体張った渾身のギャグは、いい暇つぶしになりましたかな? 団長殿」

ハルヒ「っっっ――!!」



ハルヒ「っ、ぅ、ぅえっ」

ハルヒ「――うぇええええぇええぇえぇええぇえっっ!!」


ビチャビチャビチャッ

キョン「………………」


ハルヒ「っ。ひっ。ひっく。ひぐっ。ひっく……!」

キョン「……それだよ」

キョン「どうにも、気に食わないことが一つだけあったんだ」

ジャリッ...ジャリッ...


キョン「学校じゃいつもすました顔してるくせにさ」

キョン「こっちから少しつつくと、すぐ崩れるな、お前」

  ガッ!!


ハルヒ「ッ、ぐ――!」

キョン「なんだ? なんなんだ、お前は?

    いつもは言い返してくるくせに、コレについては被害者面かよッ?」

ハルヒ「ぅ……ぅぇ……っ、はっ……ひッ――!」


キョン「なんで泣くんだよッ?」


キョン「どうせ俺みたいな存在、

    やるならやるで、徹底的に無視してくれればいいだろう!?」


ハルヒ「っ、メン――メン――ナサ――」


 ドンッ

ハルヒ「ッ、くっ――ぁ」 ドザッ

キョン「二度と家に来ないでくれ」


ハルヒ「――――」


キョン「それからソレ、かたしていけよ」


ハルヒ「――はい………………ゴメン、、ナサイ。。。」



 ガチャッ..........

      バタンッッ





ハルヒ「。。。ゴメン、、ナサイ。。。ゴメン、、ナサイ。。。ゴメン、、ナサイ。。。……」

ハルヒ「――ごめんねぇ。キョン」

さぁ~、弱ったぞ! 書き貯めが! 1時間足らずで無くなった!♪
どうしよう! どうしよう! オラに、時間を分けてくれ!♪

1レスずつ投下と時間指定してまとめて投下どっちがいい

じゃあ1時30分に投下するかどうかのアナウンスだけするわ
分量十分なら投下、たぶん無理だろうが一応そういうことで

落ちてたら製作速報VIP? って方で同じスレタイで立てる

ちょっと保守がてら訊きたいんだけどさ、

おまえらうんことおしっこどっちが好き? これアンケね

あ、ID変わったけどNHgSG4I30は>1ね

7レス分じゃぁどうしようもねぇな
予想通り投下は見送りだぜヒャッハー

とりあえず夜通し書くよ
暇なやつは、朝までキリコと地獄に付き合ってもらう

読む側としてはそういうもんなのか?
うんことかしっことかキンモチワリーなおまえら
こっちはSSスレに張り付いたことないんでアレだが、
遅筆がチョロチョロ垂れ流すのはイライラしないか?
「どっちが好き」って訊かれたからってどっちか選ぶのかよ
1時間半で7レスのペースだぞ?

じゃぁ朝にまとめて落とすわ
つうかここまで終わりが見えねぇ闘いになるとは

すまん、かなり書き溜めたがつなぎの部分ができてねぇ
めちゃモテ委員長だ
めちゃモテ委員長までには絶対投下するからマテ

投下す


――

――――

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・・……――きゅうしゃッ!! きゅうきゅうしゃ、いそいでぇーー!!」


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ああ。

またこの夢だ。

もう見たいなんて思わないのに。

でも本当は見たいのかも。

誰かに見てほしいのかも。



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古泉「――――うです。そこの交差点です。至急『機関』の人員を――」


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古泉くん。なにか携帯で話してた。

学校じゃ見たことない、怖い顔。

携帯どっかにいってなかったら、写メール撮ってみんなに見せちゃうのに。


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みくる「――さんっ、すずみやさぁんッ!! 

         ――くんが、――くんのあしがぁっ!!!」


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みくるちゃん。

耳元でそんなに叫ばないでよ。

いつもはそんな声どこ触っても出さないくせに。

ところで誰のこと呼んでるの?



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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


長門「――ルネーム『涼宮ハルヒ』の半径200M以内に、指向性防御プロテ――」


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有希。

相変わらずわけわかんないこと言ってるわね。

でもなんだろう、すごく安心かな。

このまま死んじゃってもいいくらい。



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医師「――けでして、右腿の付け根から切除しなければならない状態で――」

女性「――すから! ――は、――の命は助かるのか、それをきいて――」

妹「――ぁあああああああっ!! ――くん、しんじゃうのぉ!!

       やだよぉ、――くぅんしんじゃやだぁあああぁあぁ!!」


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………………………………。





いっぱい聞いた、みんなの泣き声。

おばさんも、妹ちゃんも、みくるちゃんも知らない人も。

誰かがあたしに話しかけたけど、

ずっと下を向いてて、誰だかわからなかった。




――

――――

――――――――――――


「奇跡的ね。脚以外は傷ひとつなかったんだって」

  「ハルヒのことかばってくれて、
    あの子には一生感謝しなきゃいけないわね」


   「あなたのせいじゃないわよハルヒ」

         「悪いのは全部トラックなんだから」


ママ。本当?

本当に、あたしは悪くない?

あいつのキーホルダー、取って逃げたの。

それでもあたし、悪くない?


「傷ひとつないようで何よりですよ」

  「彼のことは――非常に立派かと」

   「女の子をかばったなら、名誉の負傷です」

  「心配いりません。僕たちが支えますから」


古泉くんが言うなら間違いないかな。

あたしかばって、喜んでくれたかな。

古泉くんはいつもやさしいけど。

そんなに笑ってると、ちょっと不安になる。


「この度は、大変な目に遭われましたね……」

  「私たちに出来ることは、ほんのささいなことですが……」

 「なにかあったら、遠慮せずご相談くださいね」

   「涼宮さんのお力になれるなら、私たちは……」


森さん。古泉くんの知り合い?

会う人会う人、あたしを慰めてくれる。

会う人会う人、当たり前みたいに。

そうよ。あたしは悪くない。

あたしは絶対、間違ってない。


「精密検査では問題なし」

  「ご飯も全部、食べられてるらしいですぅ」

 「これから彼の病室を訪問する予定」

  「もう長門さん、そんな分厚い本、
    退院するまでに読みきれませんよぉ」


そっか。もう退院なんだ。

聞いてるよりも、意外と平気なのかな。

いい加減ちゃんと、

顔見てお礼しなきゃ。


・・……――――

コンコン


みくる「キョンくぅん? 私ですぅ、朝比奈でぇす」

みくる「今日は大勢で来ちゃいましたぁ」

みくる「入りますよぉ。いいですかぁ?」



…………どきどき。

顔見たら最初、なんて言ってやろうかしら。

心配かけんじゃないわよ。

退院祝いパーティくらいやってあげてもいいわ。

……。

まぁ、いっか。

考えなくても、自然に出てくるでしょ。


ガチャ....

      バタン


キョン「――――――――よう」



    「久しぶり」


ハルヒ「――――――」






なかった。



ホントに、脚が、なかった。



あたしは


――翌日・放課後――



ハルヒ「聞いて、みんな! あさって隣街で、フリマのイベントがあるらしいわよ!」

みくる「ふぇえ、そうなんですかぁ?」

古泉「聞いた話では毎回出店もあって、それなりの規模のものらしいですね」

ハルヒ「そうそう! きっとなにか掘り出し物があるに違いないわ、あさっての日曜はみんなでそれに行きましょう!」

みくる「フリーマーケットですかぁ~。それなら安くつきますし、見てるだけでも楽しそうですぅ」

ハルヒ「有希も、もちろん来るわよねっ?」

長門「……そこに古書があるなら」


ハルヒ「古泉くんはっ!?」

古泉「……え、ええ。もちろん、僕もご一緒させていただきますよ」

ハルヒ「決まりね! それじゃあ――」


ハルヒ「――集合のこととか、みんなで決めておきましょうか! みんな何時頃なら都合つくかしら?」

みくる「えっ?」

古泉(…………おや?)

長門「………………」


ハルヒ「? どうしたの三人とも? おかしいことあった?」

みくる「え、えぇっとぉ……」

みくる「あのぉ、てっきり、涼宮さんがそういうの、全部決めてくれるんじゃないかなぁ、なんてぇ……」

ハルヒ「はぁーっ!? ちょっとぉ、あんたたちってば、あたしに全部押し付ける気だったのっ!?」

古泉「い、いえ、決してそういうわけではないのですが……」



古泉「……何しろこういうことは、今まで涼宮さんの独断で決まっていましたから……」

ハルヒ「んなっ……それってあたしが、今まで独裁政治を強いてたみたいじゃない!」

長門「……“みたい”では不適切。“強いていた”、が正しい」

ハルヒ「まっ……! 何よ、有希も言うようになったわねぇ……!」


みくる「びっくりですぅ。涼宮さんが私たちに相談ごとなんてぇ」クスッ

ハルヒ「な、なによッ……! みくるちゃんまで……」

ハルヒ「………………」


ハルヒ「――ぱりあたし――ぶんの――っかり――」ボソッ...

古泉「ッ――!!」

古泉「――いえいえ、驚いたのは確かですが、僕はそれも嬉しいと思っていますよ」

古泉「僕たちが涼宮さんにとって、信頼に足る存在だということですから」


古泉「ねぇ、長門さん。あなたもそう思うでしょう?」チラ

長門「………………」

 コクリ

みくる「えっ!? ――あ、そっかぁー!」

みくる「そうですね! それってつまり、そういうことですよねぇ!」ニコニコ

ハルヒ「………………」

ハルヒ「そうよっ! その通りだわっ!!」

ハルヒ「あたしはSOS団の団長よ!」

ハルヒ「この団の団長だもの! 団員の意見にだって、きちんと耳を傾けるんだから!」


ハルヒ「さぁ、三人とも! 意見あったら、バンバン出しちゃいなさい!」

みくる「任されましたぁ~!」

長門「…………」コクリ

古泉「ありがたいことです――」


古泉「では早速、当日の予定を固めていきましょう。目的地までは学校から電車で二駅ですが、それぞれの家から――」



ハルヒ「……………………」


――同時刻・病院――

医師「さてと、ね」

医師「それじゃあね、今日は糸を抜くから。麻酔しても痛いけど、ちょっとの間だけ我慢してちょうだいね」

キョン「あの……先生」

医師「なんだね?」

キョン「やっぱりこれ、義足つけるのって難しいんですかね……」

医師「……うーーーーん……」

医師「……何度も説明したけどね」

医師「君の場合、神経が剥き出しになるまで肉がすり減っちゃってるのね」

キョン「………………」

医師「そこに義足をかぶせようとすると、体重が掛かったときものすごい激痛が走るわけ」

医師「神経を切り取るにしても、それだと脚どころか腰の方からゴッソリ抜かないといけなくなるから……」

キョン「……そうですか……」


医師「……まぁ、確かに君のような患者さんはね、みんな自分の脚で歩きたがるよ」

医師「でもね。手術のリスクとか考えても、性能のいい車椅子にしといた方がいい」

キョン「………………」

医師「義足のリハビリと車椅子の運転じゃ、どっちがお手軽かなんて目に見えてるし……」

医師「それにホラ、お値段的にもね? そっちの方がお得だから、ハハッ」

医師「君の場合、ここの治療代も相手側の賠償持ちでしょ?」

キョン「………………」

医師「っ、あー……それじゃ、そろそろ抜糸の方……」


・・……――――

――病院・待合室――


キョン「くそ、あのじいさんドクター……!」

キョン「デリカシーの微塵もないこと言いやがってッ……!」

キョン「お前に俺の気持ちの何がわかるってんだッ……!」

キョン「………………」

キョン「はぁ……」

キョン「………………」


キョン「……帰り、どうするかな。面倒だからタクシーで帰るか……」

キョン「ハハ、意地なんざ張らんで、おふくろに付き添ってもらえばよかった……」

キョン「………………」

キョン「つーか、タクシー代……」

キョン「………………」

キョン「………………」

キョン「歩こう。歩くの好きだろ、俺」


・・……――――

   かつっ、とっ……
             かつっ、とっ……
                        かつっ、とっ…………


キョン「あー、くそ……」

キョン「日に日に杖突くのが楽になってきてやがる……」

キョン「坂さえなければ、普通に歩くよりかえって楽かもな、ハハ」

キョン「………………」

キョン(今頃の時間だと、長門が本を閉じる頃か)

キョン(古泉、成功しないからってクロンダイクでジョーカー使うのはせこいと思うぞ)

キョン(朝比奈さんの淹れたお茶、最後に飲んだのはいつだっけな……)

キョン「………………」

キョン「……確かにそれだけは、心の底から惜しい気分です……」

ちょっとここまでで切りましょう
もうねみいや死にそう
さるさんうるさいし萎え萎えですわよ

再開は夜
つーか板移動するか・・・?
もうなんもかんがえられんやごめふ

今起きた産業
12時間放置して残ってるとはさすが土曜日なんともないぜ
保守してくれた人に心から感謝

30分待ってくれ、投下する


キョン「………………」

pi pi pi

prrrrrrrr....


キョン「……よう、古泉か」

キョン「……ああ、ちょっと話があるんだ」

キョン「今から会えるか」


――公園――

古泉「お待たせしました」

キョン「そうでもない」

古泉「それで、僕にお話とは?」

キョン「ああ。話……っていうかな」

キョン「単に、侘びの言葉を言っておきたくてさ」

古泉「侘び……ですか? あなたが、僕に? なぜ?」

キョン「そりゃあお前、俺だって馬鹿じゃあないさ」

キョン「お前に余計な苦労をかけてることは、百も承知だよ」

古泉「……すみません……少し、話が見えないのですが……」

キョン「ッ、くそ、じれったいやつだなぁ……!」

キョン「あいつのことだよ!」

キョン「それで、余計な仕事増やしてすまんって、そう言ってんだ!」


古泉「………………」

キョン「団活に出なくなったら、お前ともめっきり会わなくなったからな」

キョン「さぞかしバイトが忙しかっただろう? 本当に迷惑かけた。森さんにも謝っといてくれよ」

古泉「………………」

古泉「……全くです」

古泉「あなたの彼女への仕打ちのおかげで、我々機関がどれだけの労苦を強いられていることか」

キョン「………………」

キョン「すまん」


古泉「いえ。それも機関の、ひいては僕の使命ですから」

古泉「あなたは僕に恨み言を吐かれながら、今まで通りに生活していただければいいのです」

キョン「………………」

古泉「まあしかし、それだけでは僕も腹の虫が収まりませんから――」

古泉「ここはひとつ、僕からの質問にも答えていただけませんか?」

キョン「……ああ。俺に出来ることなら、言ってくれ」

古泉「ありがとうございます。訊きたいことは単純です」

古泉「事故後の三日間、彼女との間に何か変わったことはありませんでしたか?」



キョン「……さあな、特に思い当たることはないな」

古泉「神に誓って?」

キョン「お前のいう神ってのは、あいつのことか?」

古泉「ごまかさないでいただきたい」

キョン「………………」

キョン「……殴った」

古泉「………………」

キョン「入院中、あいつを一度だけ殴った」


古泉「……それはいつの話ですか」

キョン「お前の言う事故の三日目さ」

キョン「あの時は、おふくろも妹も席外してて」

キョン「そこにあいつが来た、一人で」

古泉「……それで?」

キョン「………………」

古泉「彼女が無配慮な発言をして、それにカッとなった。そんなところですか?」

キョン「……そうじゃない」

キョン「あいつが、謝ってきたから」

古泉「意味がわかりません」

キョン「……わかってもらう必要はないさ」


古泉「まあいいでしょう。事の経緯はわかりませんが、とにかく、あなたは涼宮さんを叩いた。そういうことですね?」

キョン「……何度も言わせるなよ」

古泉「失礼。確かに女の子を殴ったなんて、口外されてうれしいものではありませんからね」

キョン「案外、根に持つんだなお前」

古泉「失礼。こちらから訊きたいことは以上です」

古泉「では……」

キョン「ッ、ちょ、ちょっと待て!」

古泉「はい?」


キョン「呼び出したのは、謝りたかったからだけじゃないんだ」

古泉「まだ何かあるのですか?」

キョン「ああ。これは、朝比奈さんにも伝えておいて欲しいんだが……」

古泉「直接言えばいいじゃないですか」

キョン「いや……あの人には、ちょっと言いづらいんだよ」

古泉「わかりました。そうしておきましょう。それで?」

キョン「俺な」

キョン「転校しようかと思ってる」


古泉「……それは……」

古泉「それは、困ります。機関として」

キョン「どうしてだよ。むしろそっちの方が、お前も楽が出来ると思ったんだがな」

古泉「………………」

キョン「病院行ってきた帰りなんだけどな。やっぱりコレ、義足は無理らしい」

キョン「医者には車椅子を勧められたよ。俺としては座りっぱなしはどうにもなんだが……」

キョン「とにかく、普通の高校に通うんじゃ、杖のままにしろどっちにしろ、な」

古泉「……機関に対応を求めましょう」

古泉「それか、長門さんにお願いして校舎を改造し、学習カリキュラムも――」

キョン「いいんだ古泉。そういうのに疲れたんだ」

古泉「ッ…………」


古泉「……この話は、他の誰かには?」

キョン「お前が最初だ。お前に話すのが、一番気を使わんで済む」

古泉「賛辞と受け取っておきましょう。ですが僕はそれを認めるわけにはいきません」

キョン「泣かせること言うもんだ。そこまで俺が恋しいか?」

古泉「そうです」

キョン「……冗談に真顔で返されても困るが」

キョン「この際だからお前に言おう」

キョン「俺は生涯、ハルヒを許さない」

古泉「………………」

キョン「だけどな、それって不毛だろ?」


キョン「いつまでも俺はこのことに――あいつに縛られてたくないんだよ」

キョン「こうなっちまった今、それに見合った身の振り方を、これから見つけたいと思ってる」

キョン「わからんが多分、それはあいつも同じだろう」

古泉「……違います。彼女はあなたを――」

キョン「はっきり言って、今回のことは全員が忘れるべきだ」

キョン「俺はSOS団を去って、あいつは新しい雑用を迎え入れる」

キョン「お前と長門は変わらずあいつを影でフォローして」

キョン「朝比奈さんが、おいしいお茶を淹れる」

キョン「それで元通りだ。カタがつく話だ」

古泉「違います。彼女は、涼宮さんは……」

古泉「ッ…………」


古泉「……転校先は、もう見つけたのですか」

キョン「いや。全部これからさ」

古泉「よろしければ時間をいただけませんか。機関が最適な環境を見つけてご紹介します」

キョン「そりゃ悪い。これ以上お前んとこに世話になるのは……」

古泉「友人として、せめてもの助けになりたいのです」

古泉「お願いです。どうか僕たちに、時間を」

キョン「………………」

古泉「どうか」

キョン「……わかった。頼むよ」

古泉「はい」

古泉「ありがとうございます」


・・…………――

私怨


――二日後・フリマ会場――



ハルヒ「ほら見て、有希! あそこ、絵本がいっぱい並べてあるわよ!」

長門「……あれらは資料性に乏しい部類。費用対効果も低いと推測される」

ハルヒ「バッカねー、哲学よ、哲学。世の中には大人が読むための絵本だってあるんだから」

 ズリズリ...

古泉(……彼が不在の今では、長門さんが手近なパートナーですか)

古泉(これでは長門さんに、先日の彼の話を持ちかけられません)

古泉(なんとか隙を見て二人になれればいいのですが……)


みくる「す、涼宮さぁ~んっ! 待ってくだしゃぁ~いっ」

ハルヒ「あ……ゆ、有希っ。ストップストップ」

長門「……私は微動だにしていない。手を取られて引きずられただけ」


みくる「はひぃ、はふぅっ、はぃい……」

みくる「しゅ、しゅみませぇん、人が結構多くて、さらわれそうになりましたぁ……」

ハルヒ「みくるちゃん平気? 歩き回るのはいったんやめて、いったんベンチで休憩にしましょうか?」

みくる「えぇとぉ……でもぉ……それじゃぁ長門さんが、絵本見て回る時間が……」

長門「私の所望は、古書」


古泉(……!)

古泉「それではこうしたらどうでしょう」

古泉「僕が長門さんに付き添いますから、涼宮さんと朝比奈さんはどうぞ休んでいてください」

ハルヒ「さすが古泉くん、いい考えね! みくるちゃんを一人にするわけにもいかないし、そうしましょうか」

みくる「ふぇえ……すみません涼宮さぁん、あたしのためにぃ……」

ハルヒ「いいのよ。あたしもちょっとつかれちゃったし」

ハルヒ「古泉くんは、有希が絵本に釣られて人ごみに紛れないようお願いね」

古泉「任されましょう」

長門「古書」

ヨエン


みくる「いってらっしゃぁ~い」

ハルヒ「みくるちゃん、冷たいものでも買ってきましょうか? 手頃な売店、見てくるわ――」

古泉(案外、すんなりいきましたね……)

古泉(彼女の性格なら、僕を残す選択を取るかと思っていたのですが)


古泉「――長門さん、ちょっと」

長門「待って。《ウォーリーのえほん》シリーズの未読作を発見した。難易度も高そう」

古泉「めちゃくちゃ食いついてるじゃないですか。それよりですね――」

古泉「彼が涼宮さんと距離を置こうと考えています」

長門「……その話なら、私も聞いている」ペラ カキ


古泉「なるほど。それなら話は早い。彼に思いとどまらせるべきです」

長門「なぜ?」ペラ

古泉「言わずもがなです。彼女の安定が崩れます」

長門「関連性が見出せない」カキ

おじさん「お嬢ちゃん……ウォーリーをペンで囲むのは止めてもらえるかい……」


古泉「彼がいなくなるのですよッ? その影響は推して知るべしでしょう」

長門「涼宮ハルヒの執着の対象は彼の右脚部。彼そのものではない」

古泉「長門さん……ひょっとして、あなたは彼女に憤りを感じているのですか?」


長門「私はその感情を理解しない」ペラ

古泉「自分が彼の身体を治せないことに、彼女がそれを望んでいることに。不満を持っているのですか?」

長門「その問いに対する回答を、私は持たない」カキ

古泉「長門さん。僕はずっと疑問に思っていました」

古泉「どうして涼宮さんは、あの彼の右脚のことを受け入れていられるのでしょうか」

古泉「僕はてっきり、彼女は彼に好意を寄せていると考えていたものですから」

古泉「どうして愛する人の身体を、彼女は傷つけていられるのでしょうか」

長門「……私に『愛』という概念を論じることは不可能」


長門「現状、涼宮ハルヒを取り巻く精神世界はなんら問題なく運行している」

古泉「本当にそうでしょうか」

長門「我々は涼宮ハルヒの問題について慎重を期すべきとの判断を、先の事件で学習した」

古泉「本当にそうなのでしょうか」

長門「涼宮ハルヒは彼の現在の姿を望んでいる。それによって世界は無上の安定を得ている」

長門「これが全て。これが事実」

長門「我々は世界の危機が迫った際にのみ問題に対処する。そのための存在」

古泉「涼宮さんにとっても、本当にそうでしょうか」

長門「………………」

長門「……あなたの発言の真意が掴めない」

ハルヒ「暇だからウォーリー探そうっと」
長門「・・・・ウォーリーの情報連結解除開始」

ハルヒ「あー腹立つ!ぜんっぜん見つからないわ!!!」

古泉「ふんもっふ!・・・どうやら世界もこれで終わりのようですね・・・」
長門「・・・・ユニーク・・・・」


古泉「すみません。僕自身、自分が何に疑問を持っているのか、よくわかっていないんですよ」

古泉「彼が彼女の前から姿を消して、それですべてがうまくいくのかもしれません」

長門「………………」

古泉「しかしながら、僕は漠然とですがその未来に不安を感じている」

古泉「気づいていますか? 以前に比べて、涼宮さんが我々に対し気を配るようになったことに」

古泉「無軌道だった彼女からは想像もつかないくらいに協調性を発揮しています」


長門「………………」

古泉「戻りましょう。我々は彼女の内面を見誤っています」

古泉「彼女の心を知らなければ、いずれ後悔することになるでしょう」

古泉「そうならないためにも、彼女をもう一度観察するべき――」

prrrrr....prrrrrr....



古泉「――森さんですか? なにかありまし――」

古泉「……ええ、わかりました。すぐに行きます」


pi.

長門「………………」

古泉「戻りましょう」

古泉「閉鎖空間が発生しました」


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


ハルヒ「みくるちゃんお待たせー。ソフトクリームでよかったかしら?」

みくる「すみませぇん涼宮さん」

ハルヒ「バニラとチョコ、どっちがいい?」

みくる「私が選んでいいんですかぁ? じゃーあぁ、こっちで」

ハルヒ「バニラね、はい。後で一口交換しましょ」

みくる「ふふ、いいですねぇ」

みくる「………………」

ハルヒ「それにしてもいろんなとこから人が集まってくるもんねー。どっから来たのって感じだわ、ホント」

みくる「……そうですねぇ……SOS団の活動で、こういうところ来るのは初めてでしたけど」

みくる「こういう時間がゆっくり流れるの、あたし大好きですぅ」


ハルヒ「ゆっくり、かしら……? 人ごみ多くて、あんまそんな感じしない気がするけど……」

みくる「そうですよぉ」

ハルヒ「……ま、みくるちゃんが楽しいならそれでいいわっ」

ハルヒ「あ、あそこ見て、犬用のカツラですって。あんなのまで売ってるんだ、おっかしーわね」

みくる「涼宮さんはぁ」

ハルヒ「んー?」

みくる「キョンくんのこと、どう思ってるんですかぁ」

ハルヒ「………………」


みくる「………………」

ハルヒ「……すっごい、ストレートな聞き方するんだ、みくるちゃん」

みくる「はい」

ハルヒ「もちろんそれ、あの日のことに関して、って意味よね?」

みくる「えぇ」

ハルヒ「……そっか。そうよね、そりゃ気になるわよね、やっぱ」

ハルヒ「うーん……

ハルヒ「困ったわね。別に感想なんかないんだけど……」

みくる「っ、…………」


ハルヒ「強いて言えば――『よくやった』、ってとこかしらね」

みくる「っ」


みくる「……よく……やった……?」

ハルヒ「そう」

ハルヒ「だってそうでしょっ? 団長のこのあたしを身を呈して助けたのよっ?」

ハルヒ「軍隊だったら二階級特進よねっ。あ、それじゃ死んじゃうかしら」

ハルヒ「まぁとにかく、よくやった。あれは素直に褒めてあげたいわ」

みくる「――――――」


ハルヒ「でもあいつったら、退院してから全然部室に顔出さないんだから」

ハルヒ「せっかくあたし直々に復帰のお祝いパーティを計画してるってのにね」

ハルヒ「あ、これはみくるちゃんたちにも言ってなかったわね。サプライズでやろうと思ってたんだけど」

みくる「――さん――さんは――」

ハルヒ「おかげで用意したケーキ、ダメになっちゃったわ。1ホール全部ひとりで食べちゃったけど」

ハルヒ「ああ、最近駅前に出来たケーキ屋さんのやつだったんだけどね。噂の通り、すっごいおいしかったわぁ」

ハルヒ「そうだわ、今度みんなで食べに行きましょ。店内でも食べれるようになっててね――」




みくる「――みやさんはっ、なんでそんなこと言えるんですかッ!」


ハルヒ「………………」


みくる「え……? なんで?」

みくる「わかんないです。私。なんで? そんな、よくやったとかって」


 ポロッ...ボトッ


ハルヒ「アイス。落ちたわ」

みくる「わかんない。涼宮さん、なに考えてるんですか?」

みくる「キョンくんの脚、なくなっちゃって――え?」

ハルヒ「………………」

みくる「――るいと……わるいと、おもわないんですか……?」

ハルヒ「………………」

みくる「キョンくんに、わるいって! おもわないんですかっ!」

ハルヒ「くすっ」

みくる「っ……!?」


ハルヒ「ふふっ、ふふ」

みくる「……涼宮さん?」

ハルヒ「だってあたし、団長だもの。SOS団の団長」

ハルヒ「古泉くんも言ってた。団長がすべて正しいの」

みくる「っ……!」

ハルヒ「そうよ。あたしは悪くない」



ハルヒ「だって今日まで、みんなあたしのこと、責めなかったじゃない」

ハルヒ「みくるちゃんだって、それは同じでしょっ?」

みくる「っ、あ…………」


ハルヒ「団長は平団員に、頭下げちゃダメなんでしょ……?」

ハルヒ「だってあたし、団長だもんね」

ハルヒ「団長だもん。しっかりしてなきゃ。そうよ」

ハルヒ「だってみんなが、それを望んでるから……」







ハルヒ「誰もあたしを、罰してくれないから」

みくる「――!!」


ハルヒ「だからね、あたしね、今まで以上に団長やったわ」

ハルヒ「そうすれば有希もみくるちゃんも古泉くんも喜んでくれると思ったから」

ハルヒ「あたし、精一杯自分が正しいって思い込んだわ」

ハルヒ「そしたらみんな、喜んでくれるから」

みくる「っ、あ――ぅ、あのっ」

ハルヒ「でもダメみたい」

ハルヒ「あたし、わかってるもの」

ハルヒ「あたしのせいで、キョンがケガしたの」

ハルヒ「脚がないのは、あたしのせいなの」


古泉「朝比奈さんっ!」

みくる「っ、こい、古泉、くんっ……!」

古泉「何があったんですか!?」

みくる「あの、あた、あたし――」

みくる「涼宮、さんにッ、キョンくんにっ――あ、ごめ、ごめん、なさいっ――」

ハルヒ「古泉くん。あたし間違ってないわよね?」

古泉「ッ、……・?」




ハルヒ「あたしは謝らなくていいのよね?」

古泉「……涼宮さん……」

ハルヒ「そうでしょ?」

古泉「………………」

ハルヒ「ねぇ」

古泉「………………」

古泉「本当に、ごめんなさい」

古泉「あなたに、都合を押し付けて。ごめんなさい」


長門「………………」

ハルヒ「ありがと、みくるちゃん。あなたが初めてだったわ」

ハルヒ「キョン以外で、初めてあたしを怒ってくれた」

ハルヒ「でも遅い。遅すぎよ。全然ダメ」

みくる「ごめんなさいっ……ごめんなさぁいっ……!」ポロポロ..

ハルヒ「キョンだけだもの。うん。キョンだけ」

ハルヒ「ふふ。キョンだけ。キョンだけよ。ふふ」

ボロボロ....


ハルヒ「キョンだけが、あたしの気持ちわかってくれてる……」

ハルヒ「あたしはキョンに、謝りたかった……」



古泉「………………」

みくる「……っ……ひくっ……」

長門「………………」


・・…………――

――ハルヒ宅前――


ガチャ...バタン


古泉「――彼女、もう落ち着いてましたか?」

みくる「はい。心配ないって、言ってました」

長門「………………」

古泉「………………」

みくる「………………」

古泉「……僕の所属する機関では、涼宮さんをまさしく神として信奉しているものも多くいます」

古泉「浅はかでした。彼女もひとりの少女であるということを、我々はあまりにも忘れていた」

長門「………………」


みくる「……涼宮さんは、きっと不自然に感じてたんでしょうね」

みくる「あんなことになったのに、誰も涼宮さんのこと、責めませんでしたから……」

古泉「彼女は自分が世界の命運を握っていることを知りません」

古泉「涼宮さんの心が転べば、世界の形も大きく転ぶ」

古泉「……自分が腫れ物のように扱われていることに、薄々気付いたのかもしれませんね……」

みくる「それで、私たちは涼宮さんに、知らないうちに距離を置いてました……」

みくる「でも……キョンくんだけは違った」


長門「涼宮ハルヒが彼の右脚部の欠損を望んだのは、自らの罪の意識を自覚するため」

長門「彼に中傷的な態度を取られることで、むしろそれを贖罪と見做していた」

長門「……理解可能だけど、不可解。私は人間的情感に欠けている」

古泉「んふ、それは僕も同じですよ……」

古泉「結局、誰ひとりとして神の心を理解するものは居なかったわけです……」

古泉「おそらく彼でさえ、ね……」

みくる「……ほんとに涼宮さんに、非はあったんでしょうか……? 思わず私、涼宮さんを責めちゃって、だけど……」

古泉「……友人としては……んふ、僕は本当に彼らの友人なのか……」

長門「………………」

ちょい休憩


古泉「とにかく、涼宮さんの中の真実においては、彼女に非はあったのでしょう」

古泉「そして彼だけがただ一人、知ってか知らずかその真実に沿って彼女を糾弾した」

古泉「……皮肉と笑うには、あまりにも痛々しい……」

みくる「………………」

古泉「……しかしこれで事のからくりはわかりましたが――問題は彼のことです」

みくる「? キョンくんのことですか?」

古泉「朝比奈さんには伝わっていないでしょうが……彼は転校を考えています」

みくる「!」

長門「………………」

古泉「疑問が氷解した以上、なおさら彼には涼宮さんのそばにいてもらわなくてはいけません」

古泉「どうにかして、彼に思いとどまらせなければ――」

みくる「ちょ、ちょっと待って――待ってくださぁいっ!」


古泉「どうしましたか」

みくる「これ以上あの二人のことに、自分たちの都合を押し付けるんですか!?」

長門「彼は涼宮ハルヒの自罰の象徴」

長門「涼宮ハルヒがそれを認識し続けなければ、おそらく、世界は」

みくる「そういう考え方で、涼宮さんを追いつめたんじゃないですか……!」

古泉「その通りです」

古泉「僕がここにいる理由も、あなたがこの時代に来た理由も、すべては自己保身のためです」

みくる「っ、……!」


古泉「我々は彼女ら二人に対して、偽りの友人関係で接していました」

古泉「最低です」

古泉「唾棄に値します」

古泉「しかし、彼らとの友情はこれから築いていけます」

みくる「………………」


古泉「……そのためにも、僕は世界を終わらせたくない」

古泉「5人で集まるあの部室が、もう一度欲しい」


長門「………………」

みくる「…………こ――」

古泉「………………」

みくる「――この前、怒鳴ったりしてすみませんでした」

みくる「古泉くんの考え方も理解しないで。おバカな先輩で、ごめんなさい」

ペコリ

古泉「……こちらこそ」ペコ

みくる「な、長門さんにも、余計なお世話とか言っちゃいました」

長門「………………」

みくる「ごめんなさい」ペコリ

長門「………………」

長門「……気にしないで」


みくる「――キョンくんのことは、私に任せてもらえませんか」

古泉「……何か、説得のあてが?」

みくる「あてに出来るかわかりませんけど……」

みくる「がんばります。がんばらせてください」

長門「………………」

コクリ

古泉「……よろしくお願いします」

みくる「はい」


・・…………――

風呂入ってくる
多分1000行く前には終わるとおもう


・・…………――

――夕方・病院前――



妹「――今日でキョンくん、病院おわりー? もう来なくていいんでしょ?」

キョン「ああ……全治2週間ちょいか……思ったより掛からないもんなんだな」

キョン「父さんたちは今日も弁護士さんのとこか?」

妹「うん、そうだってー。お夕ごはんのお金ももらったよー」

妹「ねぇねぇどこがいいー? キョンくん何食べたいー?」

キョン「うちも羽振りがよくなったもんだ……」

キョン「ま、せっかく隣駅まで来たんだし、ちょっとその辺――――っ」

妹「? キョンくんどしたのー?」クルッ


妹「――あ! みくるちゃんだー! みくるちゃんやっほー!」


みくる「――こんばんは、キョンくん」

キョン「朝比奈さん……奇遇ですね……」

妹「みくるちゃんこんばんわー」

みくる「はぁい、こんばんわですぅ」

キョン「えぇっと、家ってこっちでしたっけ? 朝比奈さん」

みくる「今日はお買い物の帰りなんです」

みくる「そしたらキョンくんが病院から出てくるのが見えて、それで……」

キョン「はぁ……駅一つ隣の、こっちまでですか……?」

みくる「はい~」

キョン「……手カバン一つで?」

みくる「お金が足りなかったんですぅ」コツンッ

キョン「………………」

妹「みくるちゃんもご飯いこー」クイクイ


みくる「あらぁ? キョンくんたち外でお食事ですかぁ?」

キョン「えぇまぁ……ちょっと親、家に居ませんでして……」

みくる「へぇ……そうなんですかぁ……」

みくる「あっ――じゃぁじゃぁ~」

みくる「私がお夕ご飯、作りに行ってもいいですかぁ?」

キョン「ぶッ……!?」

妹「やったー! みくるちゃんのごはーん!」

キョン「こら! お外で大声出すんじゃありません!」

キョン「……朝比奈さん、あのですね。流石に親の居ない男の家に可憐な乙女が上がりこむのはちょっと……」

みくる「それじゃぁ、私の家にどうぞぉ」

キョン「そいつはもっと駄目ですッ!!」

妹「みくるちゃんのおうちー!!」


みくる「それじゃぁやっぱりぃ、キョンくんのお家ですかぁ」

キョン「聞いてます!? 俺の話聞いてますか!?」

妹「やっほー! みくるちゃんのごはんやっほー!」ピョンピョン

キョン「ああ畜生ッ……! こいつの頭の中じゃ朝比奈さんの手作りが確定しちまってるぞ……!」

みくる「いいじゃないですかキョンくんっ。私がそうしたいだけですからぁ」

キョン「しかし……!」

みくる「妹さんも喜んでくれてますし――」


みくる「それに、キョンくんの力になりたいんです。ねっ、キョンくんっ」

キョン「………………はぁ……」

キョン「それじゃあ……お願いできますか……」

みくる「はいっ」ニコ

妹「ごっはん! ごっはん!」ピョコピョコ

キョン「君はもう少しテンション下げられないかなぁー!?」


――キョン宅――


妹「ごちそうさまでしたー!」

みくる「はい、お粗末さまですぅ」

キョン(朝比奈さんと妹連れて、スーパーで買い物……)

キョン(できちゃった婚の若年夫婦って、こんな感じなのかしらん……)フルフル

妹「ねーみくるちゃーん、みくるちゃん編み物できるー?」

キョン「……!」

みくる「編み物ですかぁ? はぁい、少しだけですけどぉ」

妹「じゃあねー……」ゴソゴソ...

キョン「ば――やめなさい!」

妹「これー!」パッ

みくる「これは……ぞうきん」

キョン「マフラーです!」

みくる「キョンくぅん?」


キョン「すみません……それ、俺が編んでるやつなんですよ……」

みくる「え、あ――ご、ごめんなさぁい、私、すっごく失礼なこと言っちゃって……!」

妹「ほらー、やっぱりぞうきんだってー」

キョン「マフラーです! マフラーとの呼称以外は断固受け付けません!」

妹「2たい1ー! みんしゅしゅぎー!」

キョン「認めません! 私が議長です!」

みくる「ふふっ……なんか安心しちゃいましたぁ」

キョン「……?」

みくる「やっぱりキョンくん、いつもどおりで。クラスでのこと聞いてて、ひょっとしたらって」

キョン「ッ………………」

妹「?」


みくる「本当はさっき、SOS団の帰りだったんです。たまたま今日はそっちに行ってて」

キョン「………………」

みくる「編み物始めたんですねぇキョンくん。私も、すっごくいいと思いますぅ」

妹「みくるちゃん、なんか編んでー」

みくる「いいですよぉ。何がいいですかぁ?」

妹「……えっとね、えっと」チラ


妹「……くつした。ひとつだけ、キョンくんに」

キョン「ッ…………」

妹「キョンくん、おでかけいっぱいするから。だから、やっぱりいるの」

みくる「はい。いいですよぉ」

キョン「……、……」


キョン「……いいんです、朝比奈さん。そいつの言う事、真に受けないでください」

妹「それとねっ、キョンくんにマフラーのやり方! やり方、おしえてあげて!」

みくる「はい。任せてください」

キョン「朝比奈さんッ……!」

妹「それでね、それでねっ、マフラーできたらねっ!」


妹「ハルにゃんにあげたら、よろこぶかなっ!」

キョン「ッ――!」



妹「………………」

みくる「はい」

みくる「絶対、喜びますよ」

みくる「絶対です」

キョン「――――――」

ちょっとメシ休憩
1時間しないで戻る


みくる「キョンくん」

みくる「古泉くんから聞きました」

みくる「転校なんかしちゃダメです」

キョン「っ……」

キョン「あいつ――!」

妹「っ? てんこう……?」


みくる「もちろん、涼宮さんにつらく当たるのもダメです」

みくる「涼宮さんと。ちゃんと向きあってあげてください」

キョン「――――ひなさんに」

みくる「仲直りしなきゃダメです」

キョン「あなたが俺に、何を口出しできるってんですかッッ!!」

妹「っ……!」ビク

みくる「………………」


キョン「だってそうでしょうッ……!」

キョン「ずっと聞くまいか迷ってたんですッ……」


キョン「――朝比奈さんなら、あの時ああなることも、知ってたんじゃないですかッ……!?」


みくる「……禁則事項です」

キョン「俺がこうならなかったら、あんたの世界が消えちまうからッ……!」

みくる「禁則事項です。ごめんなさい」

キョン「それを抜きにしたってだッ……!」


キョン「あなたは俺に、あいつの正体を話したッ!」

みくる「自覚してます。ごめんなさい」


キョン「勘弁してくれよ……」

キョン「俺、一般人なんすよ……?」

キョン「なんで右脚持ってかれてまで、あいつの相手しなきゃいけないんですかッ……」

キョン「なんで長門にもコレ、治せないんですか……」

妹「……? ……キョンくん」オロオロ...

みくる「涼宮さんは、あなたに謝りたがってるんです」

キョン「謝るくらいならとっくにしてますよッ……! この家までわざわざ押し掛けてきたんだッ……!」

みくる「キョンくんに悪いことしたって、そう思ってます」

キョン「だったらなぜ学校じゃ言わない!? 言えない!?」

みくる「それもやっぱり私たちのせいです。ごめんなさい」


みくる「私たち、いっぱいキョンくんに押し付けてました」

みくる「そのせいでいろいろと話がこじれちゃって……」

みくる「キョンくんのその脚は、私たちが奪ったも同然です」

キョン「………………」

みくる「でも、古泉くんはもう一度、キョンくんたちとお友達になりたいって言ってました」

みくる「長門さんは、今も涼宮さんの心を理解しようって、本をたくさん読んでます」

みくる「あたしはキョンくんに、お料理食べてもらって、すっごくうれしかった……」

みくる「涼宮さんにも食べてもらえたら、もっとうれしいです」


みくる「キョンくんが涼宮さんをぶったとしても、私はたぶん止めないです」

キョン「ッ……」

みくる「代わりに私をぶってくれても、痛くてもがんばって我慢します」


みくる「でもどうか、時間だけは捨てないでください」

みくる「両足で歩くより、ちょっとだけ遅れちゃったかもしれませんけど……」

みくる「今までのことがぜんぶ損だったなんて、そういう風に思わないでください」

キョン「………………」



みくる「お願いします。少しだけ、やり直す時間を預けてください」ペコリ


キョン「……」

キョン「――――ッ」


 パシッ



みくる「………………」

妹「っ! キョンくんっ」


 パシッ

妹「キョンくんっやめてっ」

キョン「俺があそこで飛び出したのは、なんでだったんだ……?」 パシッ

みくる「………………」

妹「やめてっ! やめてよぉ!」


キョン「絶対轢かれるなんて、分かりきってたのにな」 パシッ

みくる「ッ、………………」

妹「だめっ! たたいちゃ、だめっ!!」 グイグイ

キョン「ハルヒが吐いてるの見て、うわっ、汚ねぇ、って思ったんです」 パシッ

みくる「………………」

妹「だめぇっ! キョンくんっ!!」グイッグイッ

キョン「病室入るなり、人を殺してきたのかってくらい謝ってきて」 パシッ

みくる「………………」

妹「~~~っ! ~~~っ!!」 グイグイグイグイッ


キョン「それでなんか、イライラきて。それからすごく、先が不安になりました」 パシッ

みくる「………………」

妹「キョンくんっ!」

キョン「それくらい、なんか必死だったんです。殴ってやらなきゃ、死んじまうんじゃないかってくらい」 パシッ

妹「キョンくんっ!!」

キョン「なんでなんですかね? なんでそんな可哀想なやつを」 パシッ

妹「キョンくんっ!!!」

みくる「………………」

キョン「そんなみじめなやつを、俺は」

キョン「なんで俺は、あいつ助けたんですかね?」


ファッ...




妹「――ヒーローだから!!」


 グイッ!


キョン「っ!?」 ガクッ

みくる「………………」



妹「キョンくんっ、ヒーローだから!!」

妹「キョンくんハルにゃんのっ、ヒーローだからっ!!」

キョン「ッ――――!」

妹「だからだからっ――! キョンくんはねぇっ――!!」


妹「――ハルにゃんと仲良くしなきゃ、だめだよぉぉおおぉっ……!!」ポロポロ...



みくる「………………」

妹「ぅああぁぁああぁああぁあああぁぁああんっ!!」

キョン「………………」

 フラッ...トス



妹「ひっぐ! ひ――ひっぐっ! うぅぅう、うああぁ……!!」ゴシゴシ...

キョン「………………」

みくる「………………」



 スクッ...


みくる「――民主主義。2対1です。ね?」


  ニコッ


キョン「………………」

キョン「………………ははっ」




   「――――適わねぇや……」





・・…………――

昼飯
13時には戻る


――Someday――

ザワザワ...


妹「キョンくん見て見てー! 玉ねぎー!」

キョン「おいおい、そりゃ玉ねぎじゃないぞ。球根だ」

キョン「それに隣の人の売り物を勝手に触るんじゃありません」

老紳士「いいんですよ。良ければお嬢さんにひとつあげよう」

妹「いいのー!? ありがとおじさーん!」

キョン「『ありがとうございます』」

妹「ありがとうございますおじさーん!」

老紳士「ハッハ。いやしかし、君も大変そうだね。走り回る妹さんは手に負えないんじゃないかね?」

キョン「叱ればやめるよう躾けてありますから。むしろ俺にいろいろ手を焼いてくれます」

老紳士「実に仲が良さそうだ。女房に先立たれた身としてはうらやましいよ」

キョン「あはは、どうも……」

古泉「――キョンさんっ」


キョン「おお古泉。長門と朝比奈さんは?」

古泉「まだ会場内を回ってます。絵本を見つけるたび、長門さんが立ち止まるもので」

キョン「はは。いつからあいつ、絵本があんなに好きになったんだろうな」

古泉「店番を代わりますよ。妹さんと一緒に、キョンさんも見て回ってきたらどうです」

キョン「ああ、いいよ。ここにいるのも、日なたぼっこみたいで気持ちいい」

キョン「それといい加減、『キョンさん』はやめろっ」

古泉「んふ、いやはや……呼び捨てはなかなか気恥ずかしいもので」


みくる「――ふぇ~……長門さん、買いすぎですよぉ……」

長門「問題ない。資金は潤沢にある」

みくる「そうじゃなくって、どうやって持って帰るんですかぁ、これぇ……」

キョン「古泉のやつに持っていかせますよ。な、古泉?」

古泉「そうならざるを得ませんが……ずるいですよ、キョンさん」

キョン「まともな男手はお前だけだ」

みくる「あ、そうですぅ、さっき電話がありましたぁ」

みくる「駅を降りたところらしいです。もうすぐですねぇ」

古泉「今日も盛況ですからね。すぐにここを見つけられればいいですが」


キョン「ったく、なんで俺より遅れてこられるんだか。あいつからも罰金取るか?」

妹「ばっきーん! 罰金ひゃくまんえーん!」

古泉「まぁまぁ。受験に向けて、勉強が忙しいらしいですから」

みくる「県立の工学部ですよねぇ。私のところより、全然難しいみたいですぅ」

長門「そもそもあなたと彼女では、比較対象にならない」

みくる「~~~~!」ポカポカッ

妹「みくるちゃんおこったー!」ポカポカ

長門「痛い。二人掛かりは卑怯」

キョン「つーか古泉、他人事みたいに言うが俺たちもだぞ」

古泉「まだ夏休みにも入ってません。慌てる時間でもないでしょう」

キョン「近頃のお前を鑑みるに、余裕というより駄目思考に見えるぞ……」


古泉「失敬ですね。僕はやればできる子ですよ? 1年の時の成績表、あなたにも見せたはずでしょう」

キョン「思いっきり過去の栄光じゃねーか! 今を見ろよ、今を!」

長門「……助けて。数の暴力に飲み込まれる」クイクイ

みくる「言葉の暴力使う人に、手心は加えましぇん!」 ポカポカ

キョン「ああ、はいはい。そういう時は素直に謝りましょうね長門さん」

長門「ごめんなさい」ペコッ

みくる「わかればよろしいです!」フンス


妹「――あ! きたー!」


妹「ハルにゃーん! やっほー!」ブンブンッ

原作どうこじゃなくて、「キョン」って呼び捨てにしろって言われたけど慣れないから
とりあえず「キョンさん」って呼んでるだけだろw


ハルヒ「――ごっめんねー! 昨日徹夜しちゃって、起きたら昼過ぎになっちゃっててー!」

妹「遅いよーもー!」

ハルヒ「ごめんね、アイスおごったげるから許して」

妹「やったー! アイスー!」

みくる「お茶淹れましょうか、涼宮さん。水筒ありますよぉ」

ハルヒ「悪いわねみくるちゃん! 一杯くれるっ?」

古泉「ご苦労様です。ちょうど今、受験対策についてみんなで議論していたところです」

キョン「お前は議論のテーブルにもつけないだろうがっ……!」

ハルヒ「うわっ、なにこの本の山!? これ全部買ってきたの!?」

長門「……古本の魔力。買ったあとに重量に気づく」

このSSでのキョンの妹怖すぎるだろ…
完全に悪魔

妹「――キョンくんのおひざに、乗っけてほしかったよぉぉおおぉぉ……!!!」

妹「ぅぅぅぁあぁあぁああぁあああぁあぁんっっ!!」

    /\___/ヽ   ヽ
   /    ::::::::::::::::\ つ
  . |  ,,-‐‐   ‐‐-、 .:::| わ
  |  、_(o)_,:  _(o)_, :::|ぁぁ
.   |    ::<      .::|あぁ
   \  /( [三] )ヽ ::/ああ
   /`ー‐--‐‐―´\ぁあ


ハルヒ「これじゃ4人で分けても相当よ……」

妹「あたしも持つよー」

ハルヒ「助かるわ、妹ちゃん。それで、ええっと――」

キョン「………………」

ハルヒ「………………」


 スッ

ハルヒ「……これが、キョンの編んだやつ?」

キョン「…………まぁ、一応な」


ハルヒ「青と白のマフラー……」

キョン「巻いて歩くには、季節遅れだけどな」

みくる「………………」

ハルヒ「……これ、いくら?」

キョン「いらないさ」

ハルヒ「?」

キョン「1年前にもうもらった」


ハルヒ「…………っ」

ハルヒ「そっか」

ハルヒ「先行投資ね」

キョン「そんなとこだ」


 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~


「――キョン。あのね」

「……なんだ」

「あの日から、ずっと言いたかったの」

「……謝るんなら、さんざん聞いたよ……」

「ううん、違うの、キョン」

「……?」



「……助けてくれて、ありがと」

「………………」


「…………ん」


 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

最後に長門が足を復活させそうで心配です


古泉「――それにしても、これはプロ並ですね。編み物を極めたら、今度は何を始めるんですか?」

みくる「レザークラフトとかどうですかぁ? いろいろ作れて楽しそうですぅ」

長門「ブックカバーとしおりを所望する」

妹「あたしはカバンほしー!」

キョン「決める前からさっそくリクエストですか。つぅかカバンは革いっぱい使うだろ!」

妹「えー、カバンー。入れるくらい大きいカバンー」

ハルヒ「ふふっ、キョンがカバン作れるようになる頃には、妹ちゃんもっとおっきくなってるわね」


妹「それでもほしー! 入れるカバンー!」

キョン「全く、この子はッ……」

キョン「………………」

キョン「まぁでも、筆箱くらいならすぐに作れるようになるかもな」

キョン「来年の受験に、間に合うまでには」

ハルヒ「…………!」

キョン「つーことで、悪いな」



キョン「ハルヒ、金貸してくれ」



END.

いちおつー

正直すまんかった
二日やぞ。スレ立てから完結まで二日やぞ。
最初は単にヤンデレ展開にしようと思ってたのに書いてるうちにあばばばばば

寝こけてたときに保守してくれた人マジ感謝

                   ::  -──- 、_::..                 _____
               ::   ´            `丶、::..         /            ヽ
              ::/                  \::.       /   ___       l
         ::ー=≠彡               、       \::..     |      /        |
          :://                 \        ヽ::.    |    /   (⌒⌒) |
        :://          \   \    ヽ      ',::   |   /     \/  |
       :://       l {      ヽ   ヽ   ハ      ::.   、   ̄ ̄ ̄      ノ
      .::/〃   /     lハ      |イ  丁`ヽ |  \/  |::   \            /
     .::/ /       / 丁 ∨     |ヽ、  | l  |  /\  |::.     ノ/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      .::/     l  〃l |  \(\  l }\ l ∧  |  l    八::.
      ::′ / |  { | ィ予x、  \ \l    }ハ l  |  |      \::.
      ::i  ' {  {   {∨ ):ハ       x=≠=ミ |  ハ      \::.
      ::| /  |  '、 ∧{ Ⅶ:xj|          /  }/ }    }  \\::.
      ::l/  .:| l  \ ∧ ゞ沙          / /   |   ハ 八_ヾ`::.
      ::{  .:八    |\ \    ,       //}  ノ _儿_ / }ノ :::
          ::\   ! ハ>-     r   ̄}    ノ/( ___)   `ヽ :::
            ::〉ヽ}  ゝ       ー‐ '   イ ( __) /    `ー────‐-    ::.
           .::/  /   }  ≧ー--r --r__≦___j_( ___,) {                    \::.
          ::///   ノ|ハ///ハ( _____                          〉::
            ::{  /, '⌒{>r---‐ノ      _ )   -─ イ´ ̄ ̄ ̄ ̄「 ̄ ̄ ̄ ̄   .::
            ::|//   マハ   ´    - ´/ /      /       ノ       /::
            .::/  {   マハ`ヽ、   /   (_//      /      /    _    ´::

>>書き溜め
ですよねー
アドリブでどうにかする類の話でもなかったしな

ところで妹ってみくるの幼少期だよね?

>>806
ガセじゃね?
ミステリーサークルでみくるは船知らなかったけど、
妹がいっしょに来てるからみくる=妹が成り立たなくなる

どこでどう間違えればあの元気いっぱいな妹が
みくるみたいなオロオロしたやつになるんだ

>>809>>816
(・3・)アルェー
そっちのがロマンとエロスを感じるんだがないのか……

いうの忘れてたが読んでくれた人にも っ乙
あんま自分で語ってもなんだからスピードなんたらはクールになんたらだぜ

古泉も朝比奈も超能力者や未来人である前に
人間なんだからしょうないよな。長門なんてまだ3歳

よく考えたらこのハルヒとキョンがセクロスするときは否応なしに対面座位になるんだよな・・・
きっと毎回「や……顔、見るな……ばかぁ……///」みたいなことになるんだろうなぁ・・・
















うはwwwwwwwwwwwwwリビドーテラ全開マックスwwwwwwwwwwww

ねろ


                          刀、           , ヘ
                  /´ ̄`ヽ /: : : \_____/: : : : ヽ、
              ,. -‐┴─‐- <^ヽ、: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : }
               /: : : : : : : : : : : : : :`.ヽl____: : : : : : : : : : : : : : : : : : /
     ,. -──「`: : : : : : : : : :ヽ: : : : : : : : :\ `ヽ ̄ ̄ ̄ フ: : : : :/

    /: :.,.-ァ: : : |: : : : : : : : :    :\: : : : :: : : :ヽ  \   /: : : :/
    ̄ ̄/: : : : ヽ: : : . . . . . . . . . . .、 \=--: : : :.i  / /: : : : :/
     /: :     ∧: \: : : : : : : : : : ヽ: :\: : : 〃}/  /: : : : :/         、
.     /: : /  . : : :! ヽ: : l\_\/: : : : :\: ヽ彡: : |  /: : : : :/            |\
   /: : ィ: : : : :.i: : |   \!___/ ヽ:: : : : : : :\|:.:.:.:/:!  ,': : : : /              |: : \
   / / !: : : : :.ト‐|-    ヽ    \: : : : : l::::__:' :/  i: : : : :{              |: : : :.ヽ
   l/   |: : :!: : .l: :|            \: : : l´r. Y   {: : : : :丶_______.ノ: : : : : :}
      l: : :l: : :ト、|         、___,ィ ヽ: :| ゝ ノ    '.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /
      |: : :ト、: |: :ヽ ___,彡     ´ ̄´   ヽl-‐'     \: : : : : : : : : : : : : : : : : : イ
        !: :从ヽ!ヽ.ハ=≠' , ///// ///u /           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      V  ヽ|    }///  r‐'⌒ヽ  イ〉、
              ヽ、______ー‐‐' ィ´ /:/:7rt‐---、       こ、これは>>1乙じゃなくて
                  ィ幵ノ  ./:/:./:.! !: : : : :!`ヽ     ポニーテールなんだから
              r‐'T¨「 |: | !:.∨:/:./: :| |: : : : .l: : : :\   変な勘違いしないでよね!

               /: : .|: :| !:.!ィ¨¨ヾ、:.:/ !: : : : l: : : : : :.\

うは、まだ残ってるのwww
しかもまとめられてるw
初SSなのにwwwうれしいwww

よーし、パパ埋め立てがてら、おまけ書いちゃうぞー


――ある日の部室――

長門「………………」ペラ

長門「………………」カキ

キョン「……ふぁー…………ねむ……」ゴシゴシ

長門「………………」ペラ..


長門「……なぜ」

キョン「――ん?」

長門「なぜウォーリーは、いろいろな場所を旅しているの?」

キョン「……んん?」

キョン「なぜって、そりゃぁ――」

キョン「……うーむ。なんでだろうな?」


長門「シリーズを追うごとに、彼の行動範囲は広がっている」

長門「時間旅行や、映画の中に入り込むことすら彼には可能」

キョン「まあ、絵本だしな (そんなことも出来るのかウォーリー)」

長門「それほどの能力を持つ彼が、なぜルンペンのような生活を送っているのか、実に不可解」

キョン「ルンペンって……今時な言い方だな……」

長門「彼なら莫大な富を築くことも可能なはず」

長門「にも関わらず、どうして?」

キョン「……なんていうか、あれじゃないか」

キョン「何かを探してるんじゃないか、きっと」


長門「何か? 何かとは一体?」

キョン「あー、と……彼にとって、大事なもの、かな」

長門「大事なもの?」

キョン「そう。そうだ」

キョン「旅を通じて、いろいろな人と出会うことでだな……」

長門「………………」コクコク

キョン「こう、かけがえのない、なんていうか、その――」

長門「…………(真剣)」

キョン「――あー……」

長門「…………」ジー...

キョン「ぅー……」


長門「じー」

キョン「…………!」

キョン「そう! 思い出!」

長門「……思い出?」

キョン「思い出という名の、宝物を集めてるんだ!」

長門「………………」

キョン「そうだ。そのために、彼は世界中を旅してるんだよ! な?」

長門「………………」

キョン「………………っ」

キョン(くっ……今のは流石に、子供だまし過ぎたか……?)


長門「……ウォーリー……」


長門「……実に人間的……」ギュ...

キョン「  !?  」


長門「彼の生き方には、学ぶところがある」


 スクッ

キョン「おいっ――長門、ちょっと」

長門「人間との交流。今の私に不可欠なもの」スタスタ

キョン「あれッ? 長門さん、ちょっとどちらへ――」

長門「私は今日から旅に出る」

キョン「ちょ、あれー? スイッチ入っちゃった?」

長門「涼宮ハルヒのことを任せる」


ガチャ...バタン


キョン「………………」

キョン「見つけてこい……」

キョン「お前自身の……」

キョン「長門有希だけの、サムシングってやつをよ……!」








ハルヒ「いいから早く連れ戻してきて」

キョン「ヤー」



ぎゃふん

うわ、つまんねwww

まぁお茶濁しだしこんなもんで許せ


妹「もらった球根を育てるよー」

古泉「んふ。植物栽培はアサガオの観察以来です」

みくる「なんだか楽しみですねぇ」

長門「わくわく」


妹「古泉くんも手伝ってー」

古泉「お安い御用です。ではまず何から?」

妹「お庭に植えるの。まずはスコップー」ヒョイ

フラッ

妹「っ、とと。あれぇ?」

古泉「んふ、妹さんには少々大きすぎるようですね」

妹「ぶー」


古泉「掘るのは僕に任せてください。こう見えても得意なんです」

みくる「またまた誤解を招きそうな発言ですぅ」

長門「兄貴オッスオッス」

妹「ホントー? じゃあおねがーい」

古泉「ふんもっふ!」


ザクザクザクザクッ!!!


妹「すごいすごーい! あっという間に腰まで掘っちゃったー!」

古泉「んふ。これくらいなら朝飯前です」

長門「土が眼鏡の隙間から目に……」ワシャワシャ...

みくる「球根一個にどんだけ掘ってるんですかぁ、ありえないですぅ」ニコニコ


妹「それじゃ、次は肥料だね!」

妹「でも肥料って、何を入れればいいのかなぁ?」

古泉「バイト先の先輩に訊いてみましょう。ああ見えて園芸が趣味なんです」ピポパ

prrrrrr...

妹「はーやく! はーやく!」

みくる「さっきから役に立つアピールが激しいですねぇ。ホモじゃなかったんでしょうか?」

長門「ロリコンは病気」


古泉「――あ、森さんですか、突然すみません。実はご相談したいことが……」

古泉「……なんですか、ツバメの巣っ? それが本当に肥料になるんですか?」

妹「つばめー?」

長門「※このお話はフィクションです」

古泉「……なるほど……いえ、わかりました、ありがとうございます」ピ

みくる「ツバメの巣なんて高価なもの、どこで手に入れるんですか?」

妹「それって高いの、みくるちゃん……?」

みくる「ええ、すっごく。時価100万とかします」

長門「※」


妹「肥料、買えないんだ……残念だね……」ショボン...

古泉「……安心してください、妹さん」

妹「?」

古泉「僕が天然もののツバメの巣を採ってきてご覧に入れましょう」

妹「ほんとー!?」

みくる「アナツバメは獰猛な生物……屈強なハンターでさえ、生きて巣を持ち帰れる確率は五分と五分です……」

長門「この愛は本物。私はただただ祝福を送りたい」


古泉「ひぐらしのなく頃には帰ります。それまでどうか、待っていてください――!」

古泉「いざ、東南の国、タイ島へ……!!」


キュゥン、バシュゥー....!!


妹「古泉くんいってらっしゃーい!」

長門「死にゆく男を見送るのはつらい……」サメザメ

みくる「男意気ですぅ」


みくる「ところでこれって、なんの球根なんですかぁ?」

妹「わかんなーい。聞いてなかったよー」

長門「形状からして、おそらくヤマユリ」

妹「ゆりぃ?」

長門「そう。ちなみに、根は食用にもなる」

妹「食べれるのー!?」

みくる「中華料理なんかに使われるらしいですねぇ。テレビで見ましたぁ」


妹「それじゃあそれじゃあ、これ使って何作れるー!?」

みくる「炒め物とかどうですかぁ?」

長門「時刻は12時を回った。そろそろ昼食時」

妹「わたしゆりの根たべたーい! みくるちゃんお料理してー!」

みくる「ふふ、いいですよぉ」

妹「やったー! みくるちゃんのごはーん!」

みくる「それじゃあ三人でお買い物に――」

妹「ゆりの根ってどんな味かなー――」


   テクテクテクテク....


長門「………………」

長門「この穴はもう必要ない」

長門「情報を書き換えて元に戻しておく」シュンッ..


ギャフン

やっぱつまんねwww
オチよええwww

まあギャグの勉強にはなった、うめ

つまんねーならやめろよキョンくん

>>978
ブヒヒwww埋めレスありがとうございますwwwフヒwww

ないよ
さっさとうめてくれ

キョン「ハルヒよ、帰り道で札束がたっぷり入ったトランクケースを拾いたいと思わないか?」

ハルヒ「はぁ?何意味わかんないこと言ってるのよ!?」

キョン「いや素直に考えるんだ、そんなもの落ちてたら嬉しいよな?」

ハルヒ「まあ怪しい気もするけど……たしかに儲けもんよね」

キョン「だろ!?よし、じゃあ今から『帰り道で大金を拾いたい』と強く念じるんだ!」

ハルヒ「そんなことしてなんの意味あるのよ?」

キョン「いや、まあ願掛けみたいなもんだ。日々そういう願いを持っていたほうが運もついてきてくれそうだろ?」

ハルヒ「意味わかんないけど……まあ面白そうだから念じてみるわ(キョンの願いだしね☆)」

キョン「よし……そうだ、今日は2人で帰らないか?」

ハルヒ「えっ?(キョンに誘われた////)」

キョン「たまにはいいだろ?(素直に乗ってくれよ?)」

ハルヒ「ま……まあ別にいいわよ///」

キョン(しゃあぁぁぁ!!!儲けたぜ!!!!!)」



古泉「困ったものです」

バレましたか^^

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