アルミン「喪失」(166)
「ミカサが最近とっかえひっかえ色々な男と寝ている」
最近そんな噂が流れていた。
※細かいツッコミどころ多いと思う。
調査兵団に入って結構たったくらいと思っていただけるといいかも?
男子寮
深夜、目が覚めた。
珍しくのどが渇いたらしい。
普段なら起床の時間まで無理矢理にでも寝なおす。
…どちらかというと外にある井戸まで行くのが面倒なのだ。
しかし、この日は珍しく耐えられそうになかった。
(仕方ない、井戸まで行くか…)
隣のベッドに目をやる。
…そこは何度見ても空だった。
「……はぁ…」
深いため息をついた。
井戸に着くと水をくみ上げる。
渇いた喉に冷たい水が染み渡った。
「ふー…」
これでもう一度眠れそうだ。
満足して桶を戻そうとする。
「アルミン?」
「え?」
女の声がした。
ここは男子寮近くにある井戸だった。
女がこの時間、この場所にいる事はあまりない。
「ミカサ…?」
立っていたのはよく見慣れた顔だった。
よく見慣れた顔ではあるが月明かりでぼんやりと照らされた顔はいつもより綺麗で白い。
なんとなく生気を感じなかった。
長年一緒にいた幼馴染に対する言葉にしてはひどいが不気味だった。
「眠れないの?」
ミカサが少し距離を詰めた。
「…ううん。ちょっと喉が渇いて…ミカサはどうしたの、こんな時間に…」
…こんな場所で。
ミカサはキョトンとしていた。
「噂…知らないの?」
こともなげに言う。
―ミカサが最近とっかえひっかえ色々な男と寝ている―
そんな噂を最近聞くようになった。
以前のミカサだったら僕は即座に否定しただろう。
噂の元を調べ上げ何かしらの制裁を加えたいとすら思ったに違いない。(出来るかどうかは別にして)
でも最近のミカサを見ているとその噂はありえなくはないと思っていた。
ちらりとミカサの首元を見る。
胸元のボタンが二つ外れていた。
彼女のトレードマークだった赤いマフラーは今はその首に巻かれていない。
代わりにいくつもの赤い痣があった。
その痣ができた経緯を想像するとミカサの顔を見る事ができない。
「…マフラー、巻いてないんだね。」
ミカサの問いにどう答えていいのかわからないので話題をそらそうとする。
「汚されると嫌だから」
カァっとなって僕はミカサに背を向け走り出した。
まるで悪い夢を見ているようだ。
―食堂
訓練兵時代は足並みを揃える訓練の一環として全員でそろって食事をとっていた。
しかし調査兵団に入ってからはある程度の自由が許されるようになった。
食事時間内ならいつでも自由に出入りができた。
僕はトレーにのせた食事を持って適当に座る。
この時間、人はまばらだった。
以前はミカサと一緒に食事をとる事が多かった。
エレンは調査兵団にその身を管理される事になり一緒に行動することが少なくなっていたから余計にそうなった。
よく寂しそうな顔をミカサはしていた。
「アルミン」
声をかけてきたのはジャンだった。
「おはようジャン」
挨拶を交わすと自然とジャンは僕の前に座った。
普段のジャンはわざわざ僕と食事をとろうとしないだろう。
…なんとなく目的はわかる。
食事もそこそこにジャンがあの話題を切り出した。
「アルミンはあの噂を知ってるか?」
ジャンはミカサに想いを寄せていた。
僕を含めその事は同期なら誰でも知っているだろう。
…知らないのはミカサくらいだった。
「……ミカサが最近色々な男と寝ているってやつ?」
どう答えるか迷ったがストレートに言った。
「…それだ」
なんと答えたらいいのだろう。
昨日ミカサは誰かと寝て朝帰りしてるのを見たよ。とでも言うのか?
ミカサが好きなジャンに?
「おはようアルミン」
どう答えるか考えてるうちにタイミングがいいのか悪いのか、ミカサがやってきた。
当たり前のようにアルミンの隣に座る。
「ジャンも」
にこりと笑いかけた。
なんとなく艶っぽい笑い方だった。
ミカサはいつからこんな笑い方をするようになったのだろう。
「お、おう…おはようミカサ」
さきほどの話題のせいか挨拶されて嬉しいのか頬がうっすらと赤い。
…ますます何も言えなくなる。
ミカサは隣で食事をはじめた。
それからしばらく当たり障りのない話をした。主にジャンが話題をふった。
ミカサもジャンの話題に相槌を打つ。
今日はジャンがいてくれてよかった。
僕はミカサに対してどんな顔をしていいのかわからない。
以前無表情に近かったミカサが最近それなりに笑うようになった。
正直その笑いに違和感を感じていたが笑ってるならいいか、と思っていた。
…ずっと悲しそうな顔をしているよりはいい。
「アルミン、口元に食べカスが残ってる」
ミカサが僕に手を伸ばした。
「!」
急にの夜のやり取りがフラッシュバックした。
「やめてよ!僕はエレンじゃない!」
はっとなった。
やってしまった。
勢いよく立ちあがったのでイスが倒れている。
食堂にいる人達が僕を見ていた。
「す…すいません」
僕の謝罪の言葉を聞くとみんな食事を再開した。
ミカサは無表情だった。
僕を見てるようでどこも見ていないような目だ。
「アルミン!」
ジャンは諫めるような口調だった。
「ごめんねミカサ。…先に帰るね」
「ええ…」
「…ミカサ…エレンは死んだんだよ…」
そういうとトレーを持って食堂を後にした。
「わかってる」
ポツリとそんな声が聞こえたような気がした。
とりあえずここまで。需要なさそうなら途中でやめる。
1です。
今更見てる人いるかわからないけどどうでもいい余談。
ちょっぴり元ネタ(というのも変ですが)があります。
とあるゲームなんですがまぁそのゲームも色々あって一概にこう!と言えないんで説明は難しいんですけど。
まあざっくりと説明すると主人公がヒロインに生き方を変えられて徐々にヒロインに惹かれ、強くなって
ヒロインと
ラブラブになるんですけどヒロインが死んでしまい(殺されて?)
その後覚醒(?)し魔王として君臨。
おだやかな性格のふりをしてたけどヒロインに関わった奴らを処刑するしたり残酷な事をする。
そしてヒロイン似の娘を何人もはべらせてたって記述があるんですよ。本編では語られてないのですが。
主人公の強いのに弱い、弱いのに強いみたいな危うい感じを妄想するのが好きでした。
後進撃と世界観似てます。
元ネタの元ネタ?と言われてるのを見かけましたね。
ガンパレ知ってる人がいて嬉しいw
まぁ元ネタって言っても雰囲気だけって感じですねけどね。
没シナリオは夢散幻想が一番好き。
このSSの締めもそれっぽくしてみてる。
どういう感想を持っても自由なのでなんでもいいです。
ありえないと思うならそうなんでしょう。
でも私も同じくらいありえそうと思ったから書いただけです。
人によって考え方はそれぞれ。
ひとつだけどうしても言いたいのは「アルミンを主人公にする為」ではなくエレンが死んだらどうなるか
と考えてたら「アルミンが主人公になった」のです。
そこだけは譲れん。
批判は見るけどレスは特に返しません。
議論に発展したらめんどくさいからね。別に議論したいわけじゃないし。
オナニーしたいだけなんです!
終わったからつらつらとこんな事言ってますが。
それでも構ってくれてうれしいかったよ!って話です。
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