キョン「要求箱?」(772)

キョン「何だそりゃ?」

ハルヒ「これよ!」ドンッ

キョン「ただのダンボール箱じゃないか、これがどうしたんだ?」

ハルヒ「今から説明するから黙って聞いてなさい!」

キョン(またろくでもないことを思いついたな、こりゃ)

ハルヒ「我がSOS団が結成されて1年以上が経ちました」

ハルヒ「その間いろいろイベントをこなしてきたし、いろんな出来事に遭遇したわ!」

古泉「そうですね、孤島や映画撮影、文化祭に雪山と本当にいろいろありましたね」

キョン(その裏で俺達は散々苦労してきたんだがな)

ハルヒ「そう! そしてそれらをこなすたび、あたし達5人の絆も深まっていったわ!」

ハルヒ「それはもう鉄の絆と言っても過言じゃないわ!」

みくる「て、鉄の絆ですか?」

ハルヒ「でもふと思ったの。あたし達の絆は本当に鉄の絆なのかって」

キョン(いきなり前言を否定するなよ)

長門「……」

ハルヒ「ひょっとしたらお互い言いたくても言えないことがあるのかもしれない」

ハルヒ「相手にこうしてほしいけど言えないってこともあると思うのよ!」

キョン(言いたくても言えないなんて、お前以外の4人にはごまんとあるぞ)

ハルヒ「そこで! 用意したのがこの要求箱よ!」

ハルヒ「というわけで! みんな、このクジひいて」スッ

キョン「唐突になんだ? 訳が分からん」

ハルヒ「いいから引く! つべこべ言わない!!」

キョン「分かった分かった。やれやれ」

みくる「あ、あたし1番って書いてます」

ハルヒ「あたしが2番ね!」

古泉「僕は3番のようです」

長門「……」スッ

キョン「俺は5番か。何のくじ引きだよ、これは?」

ハルヒ「1番はみくるちゃんね! はい、この箱持って」ズイッ

みくる「え? あ、は、はい」

ハルヒ「他のみんなにはこれ!」

キョン「メモ用紙? おいおい、まさか」

古泉「なるほど、この紙に朝比奈さんへの要求を書いて箱に入れるわけですね」

ハルヒ「さすが古泉くんね! その通りよ!」

ハルヒ「さっきのクジの順番に要求を書いてもらって、その要求には必ず従うの!」

みくる「ど、どんな要求でも従わないといけないんですか?」

ハルヒ「当たり前じゃない。そのための要求箱なんだから」

ハルヒ「みんないい? この機会に普段言えないようなことを何でもじゃんじゃん要求しなさい!」

みくる「ひえぇ~」

キョン「普段言えないこと、ねぇ」

ハルヒ「それからキョン、何でもいいと言ってもHなことやしょうもないことを書くんじゃないわよ!」

キョン「書くか、アホ」

古泉「何でもいいと言われましてもちょっと迷いますね。何か条件などはないのですか?」

ハルヒ「そうね、確かに何でもだと難しいかしらね」

ハルヒ「じゃあ学校内でできること限定! 休み時間や放課後を使ってやるわ」

ハルヒ「それからあんまりダラダラやられても駄目だから、1日でできる要求にすること!」

ハルヒ「要求を受ける人は家に帰ってから要求の内容を見て、翌日から実行にうつす」

ハルヒ「すべての要求に答えたら、翌日の放課後にまた集まって次の人の要求を書く」

ハルヒ「だいたいこんなところかしら? 他に質問は?」

古泉「いえ、どうもありがとうございます」

キョン(何やら王様ゲームの罰ゲームみたいなことを書かれるような気がするな)

キョン(何事もなければいいが……ま、とりあえず楽しませてもらうとするか)

キョン(何てったって初っ端から朝比奈さんだからなぁ、ふふふ)

ハルヒ「では早速始めるわよ! みくるちゃんはそれ持って廊下で待っててね」グイグイ

みくる「え? は、はわ」パタン

ハルヒ「さて、みんなみくるちゃんへの要求を書きなさい!」

キョン(朝比奈さんにしてほしいこと……か)

キョン(朝比奈さんにはいつもおいしいお茶をいれてもらっているし、何よりも癒しを与えてくれている)

キョン(嵐のようなSOS団において、唯一ともいえる清涼剤だ)

キョン(そんな朝比奈さんにこれ以上何を望めばいいというのか? う~む……)

ハルヒ「書けた! これでよしっと!」

古泉「ふむ、こんなところですかね」

キョン(あの2人はすでに書き終えたようだな。ん?)

長門「……」ジー・・・

キョン(長門も筆が進んでいないようだな、アイツが朝比奈さんに何を頼むのかも気になるな)

キョン(と、俺も人のこと気にしてないで早く書かないと。そうだな、こんな機会もないだろうし……)

『耳掃除をお願いしてもいいですか? キョン』

キョン(これでいいか。どうでもいいが自分で自分の名前をキョンと書くあたり、相当毒されてるな俺も)

ハルヒ「有希、まだ書けないの?」

長門「……」ジー・・・

キョン「……」ソォ~

ハルヒ「こら! 覗くな!」ゴンッ

キョン「いでぇ!!」

長門「書けた」

ハルヒ「うん、これでみんな書けたわね。みくるちゃん、入ってきてー」

みくる「あ、はぁ~い」ガチャ

ハルヒ「じゃあみんな、箱の中に紙を入れて」スッ

キョン「はいよ」スッ

古泉「よろしくお願いします」スッ

長門「……」スッ

ハルヒ「これでオッケィ! みくるちゃん、家に帰るまで開けちゃだめよ!」

みくる「分かりましたぁ」

ていうか名前書いたら箱に入れる意味ないだろ

>>11
こまけぇこた(
雰囲気でるじゃん?

ハルヒ「団活もしばらく休みにするわ、放課後も有効活用したいからね」

ハルヒ「みくるちゃん、楽しみにしてるわよ。それじゃ今日は解散! じゃあね」ガチャ


キョン「やれやれ、また妙なことを始めたな」

キョン「そもそもこんな箱作らなくても、アイツなら思いついたそばから無理矢理命令してやらせそうな気がするけどな」

古泉「そう言わずに。涼宮さんも普通に言うよりも、こういったイベントにして楽しみたかったのでしょう」

キョン「ふぅ、今回は他の人の意見というか要求も聞くみたいだし、少しは進歩したと思うことにするか」

みくる「皆さんどんなことを書いたんですか? 何だか少し怖い気もするけど楽しみです」

古泉「それは帰ってからのお楽しみですね」

キョン「長門、お前はどんなことを書いたんだ?」

長門「秘密」

キョン「だよな。俺達も帰るとするか」

キョン「朝比奈さん、頑張ってくださいね」

みくる「うん、精一杯やってみます」

『乳切り落とせ 長門有希』

みくる自宅


みくる「みんなどんなこと書いたんだろう、ドキドキします」

みくる「まずはこれから、えっと、キョンくんのですね」

みくる「え、ええ! み、みみ、耳掃除ですかぁ!」

みくる「でも、ちょっと恥ずかしいけど、これくらいなら……」

みくる「次は、えっと、これは……」

『みくるちゃん、あなた最近少し太ったでしょう!
 SOS団のマスコットたるもの、常に完璧なプロポーションでなければならないわ!
 明日の早朝、ダイエットのためにジョギングをするわよ!
 ジャージを持ってグラウンドに来なさい!  涼宮ハルヒ』

みくる「え、えええぇぇぇ!!」

みくる「涼宮さん、何であたしが太ったこと知ってるんですか~~!!!」

みくる「ふええん、仕方ないです……」

みくる「次は……ふええ、古泉くんもですかぁ……」

みくる「最後は長門さんですね、えっと」

『明日の放課後、コンピュータ研究部部室まで来てほしい 長門有希』

みくる「え? これだけですか?」

みくる「う~ん、行けば分かるのかなぁ?」


みくる「要求はこれで全部ですね。頑張らなきゃ」

みくる「あたし、普段はみんなの足を引っ張ってばかりなんだから」

みくる「いろいろお世話にもなってるんだから、あたしにできることを精一杯やります!」

翌日 早朝


みくる「あ、お、おはようございます、涼宮さん」

ハルヒ「やっと来たわねみくるちゃん! 早速始めるわよ!」

みくる「あの、ホントに走るんですかぁ?」

ハルヒ「当たり前じゃない! それがあたしの要求なんだから! ほら早く着替えて着替えて」

みくる「は、はいぃぃ!」


みくる「あれ? 何で涼宮さんも着替えてるんですか?」

ハルヒ「見てるだけじゃ退屈だから、あたしも一緒に走るわ!」

ハルヒ「ほらほら、着替えたんならさっさと行くわよ!」

みくる「は、はぁい!」

ハルヒ「うりゃ~~陸上部邪魔ー!!」

ハルヒ「まずは準備運動をしてっと」

みくる「んしょ、よいしょ」グッ グッ

ハルヒ「これで準備OKね! そうねぇ、軽くグラウンド50周ってところかしら?」

みくる「ご! ごご50周ですかぁ!!」

ハルヒ「行くわよみくるちゃん! ほりゃー」グィー

みくる「涼宮さん! 押さないでぇ! 自分で走りますから!」

みくる(あうぅ、大変なことになってしまいました)

みくる(でもでも、要求はちゃんと守らないと……)

みくる(うん! あたし頑張ります!!)

>>14
長門マジキチ

ハルヒ「はっ、はっ」タッ タッ

みくる「あうっ、はうっ」ペタッ ペタッ

ハルヒ「ふっ、ふっ」タッ タッ

みくる「へあっ、ほあっ」ペタッ ペタッ

ハルヒ「はっ、はっ」タッ タッ

ハルヒ「ふっ、ふっ」タッ タッ

ハルヒ「はっ、はっ」タッ タッ

ハルヒ「ふっ、ふっ……あれ?」

ハルヒ「みくるちゃん、どこ行ったの?」キョロキョロ

みくる「はみゅう……」ヘタァ・・・

ハルヒ「ちょっとみくるちゃん! 何でそんなところでへたりこんでんのよ!」

みくる「ご、ごめんなさい涼宮さん、少しペースが速くてついていけなくて……」

ハルヒ「はぁ? あれぐらいのペースで?」

みくる「はうぅ、ごめんなさいぃ」

ハルヒ「……」

ハルヒ「もう! しょうがないわね!」

ハルヒ「次はゆっくり走るから頑張って着いてきなさい、途中棄権は許さないわよ」

みくる「は、はい、頑張ります!」

ハルヒ「頑張って痩せて、またあのバニーで映画を撮るわよ!」

みくる「あうぅ……」

やめろ
校庭でお前そんな……ふぅ

みくる「はぁ、はぁ、ふぅ」グッタリ・・・

ハルヒ「みくるちゃん、やればできるじゃない! 50周走りきったわよ!」

みくる「あ、りがとう、ございますぅ」

みくる(最初は絶対無理だと思ったのに、あたし出来ました)

みくる(ペースは凄くゆっくりだったけど、こんなに走ったの初めてです)

ハルヒ「朝からいい汗かいたわね。はいみくるちゃん、アクエリアス」スッ

みくる「あ、え、いいんですか?」

ハルヒ「あたしだってたまには奢るわよ」

みくる「ありがとう、いただきます」ゴクゴク

みくる「おいしいです、でも奢るのならキョンくんにも奢ってあげればいいのに」ボソッ

ハルヒ「何か言った? みくるちゃん」

みくる「いいいえ、何でもないです!」

ハルヒ「今、キョンって聞こえたけど?」

みくる「いえ、あの、そのぅ」

ハルヒ「何か変なこと言ったわね! この~~」グワシッ

みくる「ひゃあああ! すす涼宮さん! やめてくださ~い!!」ワタワタ

ハルヒ「相変わらずでっかい胸ねぇ」ワシワシ

みくる「はうあうあう……んもう! やめてくださいってば~」グイィッ


プニッ


みくる「あ、あれ?」

ハルヒ「むっ、反撃してくるとは、みくるちゃん成長したわね! ん? どうかしたの?」

長門「とれた…!」

みくる「今、暴れた拍子に涼宮さんのお腹に触れちゃったんですけど……」

みくる「何か感触がこうプニッと……涼宮さん、ひょっとして」

みくる「……太りました?」

ハルヒ「!!」

みくる「まさか、自分のダイエットのためにあたしを巻き込んだんですかぁ!?」

ハルヒ「馬鹿なことを言わないで! あたしが太るわけなんて」

みくる「いいえ! 海やプールで見た涼宮さんのお腹はもっと引き締まってたけど、今のは」

ハルヒ「あーー!! それ以上言わないでーー!!」

ハルヒ「ええい! そんなこと言うみくるちゃんはこうしてやる! こうしてやる!」モミモミ

みくる「ほにゃああ! あああたしだって負けてばかりじゃないですよぉ!!」プニョプニョ

キャーキャー ワーワー


キョン「朝っぱらから何やってるんだ、あの2人?」

昼休み


みくる「朝は大変でした……えっと、キョンくんの教室は」

キョン「あれ? 朝比奈さん?」

みくる「あ、キョンくん、今から部室に来てもらえますか?」

キョン「え? ああそうか。分かりました、すぐ行きます」



部室


キョン(ふふふ、朝比奈さんの耳掃除か。当然ひざ枕で……)

みくる「あ、鍵は開いています。古泉くんも先に来ていますよ」

キョン「はい?」

古泉「どうも、こんにちは」

キョン「なぁぜお前がいぃる~~?」

みくる「あの、古泉くんもキョンくんと同じ要求だったので」

キョン「なぬ!?」

古泉「そういうことです」

キョン「古泉一樹くん、ちょっとこちらに来なさい」グイグイ


キョン「何でお前まで!!」

古泉「いえいえ、たまには僕も正直になろうかと思いまして」

古泉「女の子にひざ枕で耳掃除をしてもらうのは男の夢ですからね」

古泉「それとも、あなたに僕の願いを否定する権利でもあるのでしょうか?」

キョン「……チッ」

古泉「どうせあなたが耳掃除あたりを頼むと思って、『キョン君の要求を断る』、と要求したのですー」

みくる「あのぅ、2人ともどうしたんですか?」

古泉「いえ、何でもないですよ。では僕からでいいですか?」

キョン「勝手にしろ。朝比奈さん、俺は外で待ってますんで」スタスタ パタン

みくる「え、キョンくん?」

古泉「では、お願いします」

みくる「あ、はい、分かりました」

みくる「あの、頭を」

古泉「了解です」ゴロリ

みくる「始めますね」


キョン「あいつへの要求に『川へ飛び込め』と書くのは有効なのかな?」

古泉「朝比奈さん、なかなかお上手ですね」

みくる「そ、そうですか、あたし男の人に耳掃除をしてあげるのって初めてで」

古泉「すごく気持ちいいですよ、このまま眠ってしまいそうです」

みくる「うふふ。あ、反対向いてください」

古泉「はい、了解です」ゴロン

みくる「あたし頑張っちゃいますね。ふぅ」

古泉「ふふふ、朝比奈さん、初めては彼にしてあげたかったのでは?」

みくる「ええ!! なな何でそんなことを!?」

古泉「いえ何となく。違いましたか?」

みくる「そんなことないですよ! あたしはその、あの、えっと」

古泉「冗談ですよ、朝比奈さん」

みくる「もう……はい、終わりました」

古泉「どうも、お待たせしました」ガチャ

キョン「……どうだった?」

古泉「最高でしたよ、またお願いしたいですね」

キョン「川じゃなくて海のほうがいいな」

古泉「何のことでしょう?」

キョン「何でもない、とっとと行け」

古泉「では、失礼します」スタスタ


キョン「まったく。朝比奈さん、入りますよ」

みくる「はぁい、どうぞ」

キョン「あー、えっと、お願いします」

キョン「何かすいません、こんなこと要求しちゃって」

みくる「いえ、そんなこと。キョンくんなら……」

キョン「何か言いました?」

みくる「何でもないです! どどどうぞ!?」

キョン「あ、はい、では失礼して」


ポスン


キョン(ひざ柔らけぇ……)

みくる「うふふ、キョンくんをひざ枕するのも2回目ですね」

キョン「え? あ、そうか、初めて3年前に行った時に」

キョン(でもあの時は意識失ってたから、感触覚えてないしなぁ)

みくる「あの、始めますね」

キョン「あ、お願いします」

キョン(おおおう、これはまさしく天国!!)

みくる「どうですか、キョンくん?」

キョン「すごく上手ですよ、さすが朝比奈さんです」

みくる「いえ、そんな」

みくる(何だろう、すごくドキドキする……)

みくる(古泉くんがあんなこと言うから変に意識しちゃって……)

キョン「どうかしましたか、朝比奈さん?」

みくる「あ、いえ、何でもな……は、は…は…」

みくる「へっくち!!」ズボッ!!!

キョン「ぎゃあああああ!!!」

みくる「きゃあああ!! ごごごめんなさいぃぃぃ!!!」

イギャー

キョン「大丈夫ですよ、平気です」

みくる「ごめんね、本当にごめんね」

キョン(鼓膜突き破ったかと思った……朝比奈さんのドジッ娘ぶりも相変わらずだな)

キョン「じゃあ次は反対の耳をお願いします」

みくる「は、はい、分かりました」

みくる「ごめんねキョンくん、あたしいつもドジばっかりで迷惑かけてばかり……」

みくる「いつもあたしだけお役に立てなくて。自分が嫌になりそうで」

キョン「そうですか。でも俺、朝比奈さんがいなかったら確実にSOS団をやめていましたよ」

みくる「え? 何でですか?」

キョン「それはまあ、癒しというか何と言うか」

破れたら長門に治してもらえばOK

キョン「ハルヒには凄まじい行動力があるけど、常識に欠けるところがある」

みくる「え? そんなことは」

キョン「古泉は気配り上手で女にモテるだろうけど、どーもあの笑顔には胡散臭いものを感じますし」

キョン「長門だってほぼ何でもありの無敵超人だけど、他者とのコミュニケーションに難がある」

みくる「は、はぁ」

キョン「俺に至っては、何の能力も取り柄もないごく普通の一般人ですしね」

みくる「そんなことないです! キョンくんはいつだって頑張っていろいろ解決してきたじゃないですか!」

キョン「それだって長門や古泉、朝比奈さんの助けがあったからですよ。俺1人では何もできなかった」

キョン「誰だってできないことはあります。そして誰だってできることがある」

キョン「俺だってできることがあったんです。朝比奈さんだって大丈夫ですよ」

キョン(あの癒しは朝比奈さんにしかできませんよ、とは今は言わないでおこう)

>>55
みくるの処女膜が危ない!

みくる「キョンくん……ありがとう」

みくる「あたし、もっと強くなりますね」

キョン「強くなれますよ、俺が保証します」

キョン(何たって俺は、すでに未来から来た『強く成長した朝比奈さん』を見てるからな)

キョン「何かすみません。ベラベラと偉そうなことを言っちゃって」

みくる「ううん、嬉しかったです」

みくる「キョンくん、あたし頑張りますね」

キョン「ええ。あ、そろそろ昼休み終わりますね」

みくる「あ、本当ですね。急いで……は…は…は……」

みくる「へっくちん!!」ズボッ!!

キョン「ぎゃあああああ!!!」

放課後


みくる「何であたしってとことん失敗しちゃうんだろう……?」

みくる「でもでも、ここで落ち込んでたら駄目よね!」

みくる「えっと、確かコンピュータ研究部の部室でしたよね」

みくる「あの、長門さんいますか?」ガチャ

コンピ研部長「ん? ああ君か。長門さんならもう来てるよ」

長門「……」

みくる「あ、長門さん。えっと、何でここに?」

長門「……ここ、座って」

みくる「え! あ、は、はい!」ストン

みくる(な、何をされるんでしょうか?)

長門「パソコンはどのくらい使える?」

みくる「え? あ、その、パソコンは全然使えないです。この時代のは複雑すぎて」

長門「そう」カタカタ

みくる「あの、長門さん?」

長門「ブラインドタッチは?」

みくる「ブラインドタッチですか? それもさっぱり……」

長門「ブラインドタッチは慣れ。私が教える。やってみて」

みくる「はい? あ、はい! やってみます!!」

みくる(な、何だろう? 何でブラインドタッチ?)

長門「……」

長門「そこはこうやって、そう」

みくる「ふええ、難しいです」

長門「繰り返していけば慣れる」

みくる(何だろう何だろう!? 長門さん何を考えてるのかなぁ?)

長門「もっと力を抜いて」

みくる「ひゃ、ひゃいい!!」

みくる「え、えっとぉ~」カチコチ

長門「……」

長門「……」コチョコチョ

みくる「うひゃわわわ!!! ななな長門さん!! 何をぉ!?」

長門「人は笑えば力が抜ける」

長門(このまま脇から掠め取る…!)

長門「だいぶうまくなった」

みくる「あ、ありがとうございます……」

長門「そろそろ時間、私は帰る」スタスタ パタン


みくる「……結局、長門さんは何がしたかったんだろう?」

コンピ研部長「う~ん、あんな長門さんは初めて見たな」

みくる「え? どういうことですか?」

コンピ研部長「長門さんはいつも質問すると答えてくれるんだけど、それ以外は口を開かなかったからね」

コンピ研部長「少なくともここでは、長門さんが自発的に誰かに教えたのは初めてだよ」

みくる「あ……」

コンピ研部長「それに何だかいつもより楽しそうに見えたような気がする。同じ仲間だったからかね?」

みくる(そっかぁ、長門さんが望んだことって……)

帰り道


みくる「何だか今日は疲れました」

みくる「涼宮さん、朝からあれはやっぱりきついですよぅ」

みくる「キョンくんと古泉くんは満足してくれたかなぁ?」

みくる「あ、キョンくんには大変なことしちゃったんでした……」

みくる「そして長門さん……」

みくる「何だか疲れたけど、貴重な体験だった気もします」

みくる「みんな、ありがとう」

みくる「この時代での任務はまだまだ続くけど……」

みくる「あたし、もっと頑張ろうって気持ちになれました」

みくる「明日は涼宮さんか~、どんなことをお願いしようかな~?」

翌日 放課後

 
ハルヒ「みくるちゃん、昨日はお疲れ様!」

みくる「はい、ありがとうございます」

ハルヒ「今日はあたしの番よ!! 箱を持ってと」ガシッ

ハルヒ「それじゃ、あたしは廊下に出てるから、あたしへの要求をちゃっちゃと書いちゃいなさい!」パタン

キョン「ハルヒへの要求か……そんなもの山ほどあるぞ」

みくる「え~と、どうしましょう……?」

古泉「迷いますね、ここは慎重に」

キョン「ちょっと待て、ここは遠慮しちゃだめだ」

みくる「え?」

キョン「毎回毎回ハルヒに文句を言ったり暴走を止めたりするのは俺だけだ」

キョン「本当はみんなだって言いたいことがあるはずだ」

キョン「せっかくハルヒが『何でもいい』と言ってるんだ。むしろ遠慮するのは失礼だ」

古泉「……それもそうですね」

みくる「分かりました、ちょっと考えてみます」

長門「……」

キョン(こうは言ったものの、俺はどうしようかな)

キョン(とりあえず箇条書きにしてみたが……)


『いい加減俺にばかり奢らせるのはやめろ』
『少しは俺の話も聞け』
『団員の都合も考えろ』
『恐喝や暴力といった犯罪紛いなことは自重しろ』
『大声で喚くのはやめろ』
『少しは恥じらいというものを持て』


キョン(……これ、あいつへの要求というよりはただのグチだな)

キョン(そうだな。ここは諸々の恨みを込めつつ)

『明日1日は語尾に「にゃん」をつけて喋ること キョン』

キョン(これでよしと)

みくる(う~んと~えっと~~どうしよう)

みくる(キョンくんにもああ言われたし、ここは思い切って)

『涼宮さんのいろんなコスプレ姿が見たいです。 朝比奈みくる』

みくる(おお怒られちゃうかな、どうしようかな……)

長門「書けた」

古泉「僕も書けました」

キョン「朝比奈さんはどうです?」

みくる「へにゃ!! あ、かか書けましたぁ!!」

キョン「そうですか。お~いハルヒ、入っていいぞー」

ハルヒ「みんな何書いたのかしらね! 楽しみだわ!!」ガチャ

ハルヒ「はいさっさと箱に入れる!!」

キョン「へいへい」

みくる(大丈夫かな~~逃げちゃ駄目かな~~……)

ハルヒ自宅


ハルヒ「ふふふ。さぁみんなどんなこと書いたのかしら~」

ハルヒ「これはみくるちゃんのね……コスプレかぁ」

ハルヒ「あたしもバニーとかチアとかチャイナとか結構着てるんだけど。ま、いっか」

ハルヒ「次は有希ね。えっと……へ?」

ハルヒ「これだけでいいの? もうちょっとマシな要求はなかったのかしら?」

ハルヒ「ともかく明日はお金持って行かないとね。次は……」

ハルヒ「……」

ハルヒ「とりあえずキョンは焼却炉行きね」

ハルヒ「古泉くんは……って、ええ!! 何考えてんのよ古泉くん!!」

ハルヒ「うう、でも何でもいいって言ったのはあたしだし、分かったわよ!!」

ハルヒ「となると明日の予定は……」

翌日 教室


キョン「ようハルヒ、おはy」

ハルヒ「どりゃあ!!」ドスッ

キョン「ごふっ!! いきなり何を……」

ハルヒ「なにアンタ、あの要求は!! しょうもない要求は書くなって言ったでしょ!!」

キョン「要求には絶対に従うこととも言ったぞ」

ハルヒ「うぐ……言ったけど……」

キョン「さて、俺は何を要求したっけな~?」  

ハルヒ「…………にゃん」

キョン「ん? 何って? よく聞こえなかったんだが」

ハルヒ「覚悟しときなさいにゃん! この仕返しは絶対するからにゃん!!」

キョン「な、何も教室で連呼しなくても……」

ハルヒ「にゃん! にゃん! にゃん!!」

谷口「なんだなんだ?」

国木田「今、にゃんって言ってたような?」


ザワザワザワ・・・


キョン「う……何か俺のほうが気まずくなってきた」

キョン「トイレ行ってこよ……」スタスタ

ハルヒ「……」スタスタ

ガラガラ ピシャッ


キョン「……」スタスタ

ハルヒ「……」スタスタ

キョン「何でついてくるんだよ!」

ハルヒ「しょうがないにゃん! これも要求なんだからにゃん!」

キョン「要求? 俺はそんな要求した覚えは」

ハルヒ「古泉くんにゃん!」

キョン「古泉?」

ハルヒ「今日1日あんたと一緒にいろってのが古泉くんの要求だったにゃん!!」

キョン「はぁ? 何考えてんだあいつ……」

ハルヒ「要求は要求だから仕方ないにゃん! 今日1日あんたと離れないにゃん!」

キョン「勝手にしろ、まったく」

キョン(古泉の奴、あとで覚えてろよ)


キョン「って、男子トイレの中にまでついてくるんじゃない!!」

ハルヒ「にゃーー!!!」

授業中


教師「えーと、この問題を……涼宮」

ハルヒ「はいにゃん!」

教師「!!」

ハルヒ「ここがこうしてこうなるから、答えはこうにゃん!!」

教師「……」

ハルヒ「もういいですかにゃん?」

教師「あ、ああ、正解だ」

ハルヒ「にゃん!!」


ザワザワザワザワ ヒソヒソ ボソボソ


キョン「いかん、あいつ完全に開き直りやがった」

昼休み


キョン「さて、弁当食うか」パカッ

ハルヒ「キョン、食堂に行くにゃん」

キョン「え? いや俺弁当だから」

ハルヒ「いいから来るにゃん!!」ズルズル

キョン「お前1人で行けばいいだろ! 何で俺まで!!」

ハルヒ「しょうがないにゃん! 離れちゃいけにゃいんだから!!」

キョン「あーー!! からあげ落ちた! からあげ落ちた!!」


食堂

ハルヒ「お待たせにゃー!!」

長門「……」

キョン「長門?」

                 _, ._
               ( ・ω・)    .  .
               ○={=}〇, ; .'´ `. ゙ ; `

                 |:::::::::\,.'.;´," :´,´' . ゙ .` .
              ,.,.,,,.,し,,.,.,`(.@)
            / ⌒   ⌒ ::: \

            | (●), 、(●)、 |    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
            |  ,,ノ(、_, )ヽ、,,   |  < お客さん、ここは初めて?
            |   ト‐=‐ァ'   .::::|    \___________
            \  `ニニ´  .:::/
            /`ー‐--‐‐―´´\


                 _, ._
               ( ・ω・)    .  .
               ○={=}〇, ; .'´ `. ゙ ; `
                 |:::::::::\,.'.;´," :´,´' . ゙ .` .
            ,.,,.,,.,.,,,.,し,,.,.,`(.@)

            | (●), 、(●)、 |    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
            |  ,,ノ(、_, )ヽ、,,   |  < もみあげはどうします?
            |   r‐=‐、   .::::|    \___________
            \  `ニニ´  .:::/
            /`ー‐--‐‐―´´\

ハルヒ「もう席を確保してるなんてさすが有希にゃん!」

ハルヒ「じゃああたし注文してくるにゃん。何がいいにゃ?」

長門「カレー」

ハルヒ「分かったにゃん! 行ってくるにゃん!」タタタッ


キョン「長門、これはどういうことだ?」

長門「私が涼宮ハルヒに要求した。『学食を奢ってほしい』と」

キョン「なるほどな、そういうことか」

キョン「なら仕方ないな。俺もここで弁当食うか」

ハルヒ「お待たせにゃん! カレー特盛りにゃん!」ドンッ

キョン「早いな。こういう時は頼りになるやつだ」

長門「いただきます」

ハルヒ「召し上がれ♪ にゃん♪」

長門「……」モクモク

ハルヒ「にゃんよりもにゃ~のほうがいいのかしら?」

キョン「知るか、好きにしろ」

長門「ごちそうさま」

ハルヒ「あらもう食べたの? あ、にゃ~?」

ハルヒ「もっとじゃんじゃん食べてもいいにゃ! 遠慮はいらないにゃ~」

長門「……おかわり」

ハルヒ「またカレーかにゃ?」

長門「カレー……とラーメン」

ハルヒ「はいにゃ~。こらそこどけにゃーー!!」ドドドッ

キョン「猛牛みたいなやつだな。あのにゃん口調で誰も近寄らないし」

キョン「ごく稀にニヤニヤ笑いながら近づいてくる気色悪いやつもいるが。あ、ぶっ飛ばされた」

長門「おかわり」

ハルヒ「はいにゃん!」

長門「おかわり」

ハルヒ「召し上がれにゃ~」

長門「おかわり」

ハルヒ「えっと……」

長門「おかわり」

ハルヒ「にゃ~……」

長門「おかわり」

ハルヒ「……」

長門「おかわり」

長門「おかわり」

ハルヒ「ねぇキョン」

キョン「何だ?」

ハルヒ「お金貸して」

キョン「……少しは俺の苦労が分かったか?」

ハルヒ「うっさい!!……にゃん」

キョン「しょうがないな。ほれ」


長門「ごちそうさま」

ハルヒ「……おいしかった?」

長門「わりと」

ハルヒ「そう、よかったわ…………にゃん」

キョン「すげーな。周りから拍手が沸き起こってるぞ」 

放課後


ハルヒ「まさか有希があんなに食べるとは思ってなかったにゃん……」

キョン「俺が貸した金、ちゃんと返せよ」

ハルヒ「分かってるにゃん!!」

キョン「ついでに今まで俺が奢ってきた分も割り勘にして、差額を返金してもらいたいもんだがな」

ハルヒ「あれはあんたが遅刻するのが悪いにゃん! だからだめにょろ!!」

キョン「鶴屋さんを混ぜるな」


部室

みくる「あ、涼宮さん。あれ? 何でキョンくんも?」

ハルヒ「気にしなくていいにゃん。さ、始めるにゃん!」

みくる「にゃん?」

みくる「そういうことだったんですかぁ。古泉くんが」

キョン「いろいろと大変でした。特にトイレが」

みくる「だけど語尾ににゃんって……キョンくん、そういう趣味があるんですか?」

キョン「いえいえいえ!! ただ単にハルヒの少し困った顔が見たかっただけで!?」

みくる「駄目ですよ、女の子にそんなことしては」

ハルヒ「みくるちゃん! まずはどれから着ればいいにゃん?」

みくる「えっと、まずはナース服で」

ハルヒ「了解にゃん!!」

キョン「ふむ」ジー

ハルヒ「ちょっとキョン! さっさと廊下に出るにゃん!!」

キョン「今日1日は俺から離れないって言っただろうが!!」クワッ


キョン「ほ、ほんの冗談だったのに……いってぇ……」ボロ・・・

みくる「キョンくん、入っていいですよ」ガチャ

ハルヒ「どんなもんにゃ!!」

キョン「おお、これは……」

キョン(相変わらず何を着ても似合うやつだ。朝比奈さんほどではないがな)

ハルヒ「胸のところが余ってるのが気に入らにゃいけど、いいにゃんこれ」

キョン「痛いって言ってるのに力づくで注射を突き刺してきそうなイメージがあるけどな」

ハルヒ「何か言ったかにゃ?」

キョン「なーんも」

みくる「えと、じゃあ写真撮りますね」

ハルヒ「え、写真撮るの? にゃ?」

みくる「ええ、せっかくだから。キョンくん、カメラお願いします」

ハルヒ「まぁいっかにゃ!」

キョン「撮るぞー、はいチーズ」カシャ

ハルヒ「うん! 結構撮られるのもいいかもにゃ!」

みくる「う~ん……」

キョン「朝比奈さん、どうしたんですか?」

みくる「涼宮さん、ちょっといいですか?」

ハルヒ「え? 何かにゃ?」

みくる「ポーズなんですけど、もうちょっと手をこう……それで足がこうで……」

みくる「できました! キョンくんお願いします!」

ハルヒ「な、何かこのポーズちょっと不自然じゃない……かにゃ?」

キョン(気のせいか? 何かやけにエロいポーズだな)

キョン(ささやかな仕返しのつもり、なのか?)

みくる「いっぱい撮れましたね。次はこれです」バッ

キョン「ウェイトレス?」

ハルヒ「映画の時の衣装にゃ。早速着るにゃ」


キョン「それじゃ撮るぞー」

みくる「キョンくん待って。涼宮さん、次のポーズはこう……」

ハルヒ「また……?」

みくる「はい、OKです」

ハルヒ「ちょっとみくるちゃん! このポーズ、その、パンツが見えそうなんだけど!!」

キョン(朝比奈さんノリノリだなぁ。何か吹っ切れたというか何というか)

キョン(言いなりになるよりはよっぽどいい傾向だな。さて撮るか)スッ

ハルヒ「下から撮るな!!」ゲシッ

キョン「げぶっ!!!」

みくる「はい、いいですよ」

ハルヒ「これで部室にある衣装は全て着たにゃん!」

みくる「ありがとうございました。満足です」

キョン「待った。まだ着ていない衣装がある」

ハルヒ「え? どれにゃん?」

キョン「これだ」バッ

ハルヒ「カエルの着ぐるみ?」

みくる「去年のバイトの時のですね」

キョン「どうせなら完全にコンプリートしたほうがいいんじゃないですか?」

みくる「そうですね。涼宮さんお願いします」

ハルヒ「え~……何か暑苦しそう」

鶴屋さん「如論・・・・ッ!!如レ論・・・・・ッ!!」

キョン「ふざけたこと言ってないでさっさと着ろ」

ハルヒ「何よ偉そうに」

キョン「お前、この着ぐるみを入手した時のこと忘れたとは言わせんぞ」

キョン「俺たち4人が猛暑の中汗水たらして働いている時、お前はどこで何をしていた?」

ハルヒ「う……」

キョン「自分1人だけ涼しいところでアイス食ってたろーが」

キョン「この着ぐるみを手に入れたのは俺たち4人だ。お前は何もしていない」

ハルヒ「何よ、昔の事をグチグチと」

キョン「あの時働かなかった分、今働け。それぐらいしたってバチは当たらん」

ハルヒ「分かったわよ、もう。みくるちゃんの要求なのに何であんたが指示するのよ」ブツブツ

キョン「語尾」

ハルヒ「にゃん!!!」

>>147
Q:にょろーんとは何ですか?

A:にょろーんは漢字で如論(にょろん)と書く
一見の論が通っているように見えるが
果たして本当にそうであろうかという時に使う言葉。

唐代の豪商 鶴屋山(かく・おくざん)が、
友人の虚雲君にいぶした酪(牛の乳を固めた食べ物)を求めた時
虚雲君は「さっき食べたでしょう」と答えた。
どうしても納得できなかった鶴屋山は
「論の如し(筋が通っているようだけど、本当だろうか?)」と答えた故事に由来している。


史通外偏による原文
唐人少女在。名鶴屋山也。豪商好酪。鶴曰、「虚雲君、子我酪与乎」
虚曰、「子既酪食也」。鶴對曰、「如論」。
(唐人に少女在り。名は鶴屋山なり。豪商にして酪を好む。鶴曰く、「虚雲君、子、我に酪を与ふるか」と。
虚曰く、「子、既に酪を食らふ也」と。鶴對へて曰く、「如論」と。)




                  民明書房刊 スモークチーズスィートホーム より抜粋

>>151
一理ある
(認識を)切り替えていく

みくる「でもこれだと中が誰なのか分からないですね」

キョン「じゃあ頭はいいか。おい、頭とっていいぞ」

ハルヒ「ぶは! 地味にきついにゃん、これ……」

キョン「あの時の俺たちの苦労が少しは分かったろ? ほらポーズポーズ」

ハルヒ「そりゃ悪かったかなって思うけど、あんたに言われると何かむかつくにゃん」


みくる「あ、あの、キョンくん、何もそこまで言わなくても」

キョン「ハッキリ言わないとあいつは分かりませんよ、そういう奴です」

みくる「はう……」

キョン「それに」

みくる「?」

キョン「今のあいつなら、ハッキリ言えば分かってくれますよ」

ハルヒ「ほら! ポーズはこれでいいでしょ! さっさと撮りなさいにゃん!!」

みくる「キョンくん……」

キョン「よし、いいぞー」

みくる「涼宮さん、お疲れ様です」

ハルヒ「はぁ、結構疲れたにゃん」

キョン「疲れた? あの時の俺達や普段の朝比奈さんに比べたら全然大したことないだろ」

ハルヒ「何よ! まだ言うの!?」

キョン「おっ、SOS団員募集のチラシの余りがあるな。その格好で配りに行くか?」

ハルヒ「誰がそんなこと」

キョン「そうだよな、お前は快適な場所で高みの見物決め込んでるのがお似合いだもんな」

ハルヒ「あーもう!! 分かったわよ!! 行ってやるわよ!!」

キョン「え? おい?」

ハルヒ「頭装着!! 見てなさい、全部配ってきてやるから!!!」ズダダダ バタン

キョン「……冗談だったのに」

みくる「キョンくん、言い過ぎです」ポコン

キョン「ちょっと調子に乗り過ぎました」

キョン「しかし、バニーガールの前科があるのにまた捕まったら……大丈夫かな?」

古泉「どうも、こんにちは」ガチャ

キョン「古泉? 何でここに?」

古泉「昨日ここに忘れ物をしたもので」

古泉「それよりもここに来る途中で妙なものを見ましたよ」

キョン「妙なもの?」

古泉「カエルの着ぐるみと生活指導の先生が追いかけっこをしていたんです。何ですかね?」

みくる「ああ……」

キョン「当分戻ってこれないな。先に帰るか」

ハルヒ「こら! 置いてくな!!」バタン

キョン「おっ、お帰り」

鶴屋山「にょロォ~~~~~~ン・・・・ッ!!」ぐにゃ~

帰り道


キョン「だから悪かったって」

ハルヒ「うっさい! ふんだ!!」

キョン「はぁ、やれやれ」


古泉「ふむ、僕の要求は失敗でしたかね?」

みくる「いえ、そうでもないと思いますよ」

古泉「そうですか? ふふ」


キョン「今回のことで分かっただろ? お前ももう少し他の人の意見に耳を傾けてだな」

ハルヒ「偉そうに言ってんじゃないわよ、バカキョン!!」


みくる「学校を出たから、もう2人一緒にいる必要はないのに、うふふ」

ハルヒ(癪に障るけど、確かにキョンの言うとおりかもね)

ハルヒ(キョンは論外として、有希やみくるちゃんから頼み事をされたのなんて初めてだし)

ハルヒ(何か新鮮な感じだったわね。でも悪くなかったわ)

ハルヒ(古泉くんのは何だったんだろ? 結局何がしたかったのかしら?)

ハルヒ(あれ? そういえばみくるちゃんと古泉くんは?)キョロキョロ

ハルヒ(あ! あんな遠くに!)

キョン「ん? どうしたハルヒ?」

ハルヒ(全然気づかなかった……キョンといるのが当たり前みたいな感じになって)

ハルヒ(って、そんなわけないじゃない! ちょっとうっかりしてただけよ!!)

キョン「おーい、ハルヒー?」

ハルヒ「調子に乗んな馬鹿!!」ゲシッ

キョン「いっでぇ!! 何すんだ!!」

ハルヒ(そんなんじゃない…………よね?)

翌日 放課後


ハルヒ「ヘイ古泉くん、パァス!」ポーン

古泉「確かに受け取りました。では外で待ってますね」パタン

キョン「今日は古泉か。実はもう決めてるんだよな」カキカキ

キョン「昨日のお返しだ。これでよしっと」

みくる「えっと、どうしようかな?」

長門「……」

ハルヒ「そうねー、あたしもたまにはネタじゃなくて……よし書けた!」

キョン「今までのはネタだったのか、おい」

ハルヒ「有希とみくるちゃんも書けたみたいね! 入っていいわよ!」

古泉「ふふふ、結構楽しみですねこれ」ガチャ

キョン(ふっふっふ、笑ってられるのも今のうちだ)

古泉宅


古泉「では、開けてみますか。これは朝比奈さんのですね」

『新しいお茶をいっぱい買ったので、味見をお願いしていいですか? 朝比奈みくる』

古泉「おや、彼に知られたらまた何か言われそうですね」

古泉「次は、えっと、長門さんですか」

『部室の本棚の整理を手伝ってほしい 長門有希』

古泉「そういえば最近本が増えてきてましたからね」

古泉「誰もいない時に情報操作を使えばとか、そういう野暮なことは言わないでおきましょう」

古泉「これは、涼宮さんのですね」

『1度団長と副団長の2人だけで話し合いたいわ! 放課後にじっくりとね! 涼宮ハルヒ』

古泉「ほう、これは少し予想外ですね。どんな話になるのやら」

古泉「最後は彼ですね。えっと」

古泉「……」

『お前の家にあるエロ本かエロDVDを持ってこい
 拒否は許さん
 ないとは言わせん キョン』

古泉「何を考えてるんですか、彼は……」

古泉「僕が涼宮さんにあんな要求をしたお返しですかね? しなければよかったです」

古泉「しかし、要求には絶対に従わないといけないのがルールですし……」

古泉「……しょうがないです。えっと、あれはどこにしまいましたっけ?」ゴソゴソ

古泉「あったあった、ありました。処分に困ってたんですが、まさかこんなことに使うとは」

古泉「とりあえず、彼にメールを送っておきましょう。早朝に……」

古泉「涼宮さんが放課後指定ですので、他のお2人は昼休みに」

古泉「こんなもんですかね。楽しみでもあり、おもいきり不安でもありですね」

>>168
キョンなに考えてんだ

翌日 早朝


キョン「よう。すまんな、待たせちまったか?」

古泉「いいえ。さっさとすませてしまいましょう」

キョン「こんな朝早くに誰もいない部室に呼び出しやがって」

キョン「そんなに俺の要求は嫌だったか?」

古泉「当たり前でしょう。そもそもなぜこんな要求を?」

キョン「別に。ただ単に普段クールなお前の意外な一面が見たかっただけさ」

古泉「よく言いますよ。はい、これです」パサッ

キョン「ほうエロ本か。しかもメイド物ときた」

キョン「森さんの影響か? それともまさか朝比奈さんをそういう目で……?」

古泉「違いますよ、多丸さんに貰ったんですよ」

古泉「僕がこういう類の物を持っていないと言ったら無理矢理……」

古泉「『淫乱テディベア』という上物です」

>>170
アッー関係だったら洒落にならんぞwww

キョン「本当か? それは高校生男子として少しおかしくないか?」

古泉「そうですか? そのへんはよく分かりません」

キョン「黙ってても女が寄ってくるから、こういうのは必要ないってか。嫌味な奴だ」

古泉「そんなこと言ってないでしょう」

キョン「で、もちろん使用したよな?」

古泉「いえ、貰ってすぐに押入れにしまっちゃいましたから」

キョン「つまらん奴だな。まあいい、ちょっとそれ持ってそこに立て」

古泉「え? ここにですか?」スッ

キョン「表紙が見えるようにこっちに向けろ」

古泉「はぁ」サッ

キョン「はい、チーズ」カシャッ

古泉「えっ、ちょっと、何してるんですか!」

キョン「うむ、バッチリ撮れてるな」

古泉「それをどうする気ですか?」

キョン「こんなおいしいネタを独り占めするわけにはいかん。是非ともみんなに公表して」

古泉「何言ってるんですか、させませんよ」ガシッ

キョン「おいおい、いきなり腕を掴むなよ」

古泉「デジカメを渡してください。データを消しますから」グググッ

キョン「そうはさせん! せっかく撮ったんだからな!!」

古泉「よこしてください!!」グイグイ

キョン「だーめーだ!!!」グイイイ


ハルヒ「何やってんのよ、あんたら……」

古泉「す、涼宮さん?」

キョン「何でお前がここに……?」

ハルヒ「ちょっと忘れ物したから取りにきただけよ。で、あんたらは何してるわけ?」

キョン「いや、そのだな」

ハルヒ「あれ? 何よこの本?」

古泉「あ! それは!」

ハルヒ「……」

キョン「あーハルヒ、それはだな……」

ハルヒ「こんの馬鹿キョン!! 神聖な部室に何てものを持ち込んでんのよ!!」

キョン「ちょっと待て! それは古泉のだ!!」

ハルヒ「下手な言い訳してんじゃないわよ!!」

キョン「本当だ!! 裏を見てくれ!!」

ハルヒ「裏? あら本当ね。マジックで『古泉一樹』と書かれてるわ」

古泉「!!」

>>181
ちょwwwwww

ハルヒ「古泉くん、男ならこういう本の1冊や2冊持ってるのは仕方ないと思うけど」

ハルヒ「いくらなんでも学校には持ってきちゃだめよ」

古泉「はぁ、すみません……」

ハルヒ「じゃああたし行くから。あんた達も遅れないようにね」パタン


古泉「いつの間に書いたんですか……?」

キョン「いやー危なかった。ま、気にするなよ」

古泉「この恨み、忘れませんよ」

キョン「分かった分かった、ほら行こうぜ」ガチャ

キョン(俺の要求で無理矢理持ってこさせられたって言えばよかったのに。まぁそれは黙っておこう)

古泉(いくらなんでも涼宮さんがあんな子供だましに引っ掛かるでしょうか? う~ん……)

昼休み 部室


古泉「失礼します」ガチャ

みくる「あ、古泉くん。お待ちしてました」

長門「……」

古泉「早速始めましょうか。そうですね、どちらからいきましょうか?」

みくる「先に長門さんのほうをお願いします。その間に準備しますので」

古泉「分かりました。では」ガタッゴトッ

長門「……」スッ

古泉「長門さんは座っててください。これが僕への要求なんですから」

長門「……分かった」

古泉「何だか以前より本が増えている気がしますね」

長門「300冊ほど追加した」

古泉「そういえば本棚が若干大きくなっているような……?」

長門「……」

古泉「それは聞かないでおきましょうか。どのようにしましょうか?」

長門「この本をこっちに……」


古泉「分厚い本が多いですね、これはルーマニア語ですか?」

長門「……」

古泉「おや、これはパソコンの本ですね。こっちは映画の本ですか」

古泉「ふふ、長門さんも趣味が増えてきましたね」

長門「……」

古泉「これで全部ですね。終わりましたよ」

長門「……ありがとう」

古泉(おや? 長門さんに礼を言われるのは初めてじゃないですか?)

みくる「お疲れ様です古泉くん。お茶も用意できましたよ」

みくる「ちょっと温くなってるかもだけど。長門さんもどうぞ」

長門「……」

古泉「ありがとうございます。おや、3種類ありますね」

みくる「この中のどれかを今度の団活で出そうと思ってるんです。それで味見を」

古泉「ふむ、了解しました」 


みくる「まずはこれ、お願いします」

古泉「ズズッ……ふむ、結構渋みが強いですね。僕はむしろこれくらいが好みです」

みくる「次はこれを」

古泉「ズズッ……これは何といいましょうか、不思議な味ですね。薬湯みたいな感じです」

みくる「えっと、最後はこれです」

古泉「ほう、紫色のお茶とは珍しいですね」

古泉「では、ズズッ…………ごぶひゅっ!!!」

みくる「ひゃあああ!! ここ古泉くん、大丈夫ですか~!?」

古泉「ごほっごほっ!! す、すみません、口の中がいきなり爆発して……」

長門「大惨事」

みくる「えっとえっとふきんふきん~~やややっぱり不味かったですかぁ~?」

古泉「一瞬硫酸かと思いましたよ。いったいどこでこのお茶を?」

みくる「魔法使いの格好をしたおじさんに無理矢理買わされたんですけど……」

古泉「朝比奈さん……けれど、涼宮さんや彼が飲む前に阻止できてよかったですよ」

長門「これは不味い」ペッペッ

古泉「ふう、ようやく口の中の感覚が戻ってきました」

みくる「本当にごめんなさい……」

古泉「いえいえ。しかし……ふふっ」

みくる「どうかしたんですか?」

古泉「この3人でいるのは珍しいなと思いまして」

みくる「そういえばそうですねぇ」

長門「……」

古泉「いつもなら彼か涼宮さんがいますからね」

みくる「不思議探索でもこの組み合わせは滅多にありませんね」

古泉「あったとしても世界崩壊の危機であったり、エンドレスサマーであったり」

古泉「緊急事態の時ぐらいしかありませんね」

みくる「たまにはこのメンバーでのんびりするのもいいじゃないですか」

古泉「しかし、今でも不思議な感じはしますよ」

みくる「え? 何がですか?」

古泉「僕の機関、朝比奈さんの未来人組織、そして長門さんの情報統合思念体」

古泉「敵対とまではいかなくても、本来なら決して相容れないはずなんです」

古泉「涼宮さんに対する見解も違いますからね」

長門「……」

古泉「ですが今、僕達3人はこうして一緒にのんびりとお茶を楽しんでいる」

みくる「……うん」

古泉「つくづく涼宮さんの力は凄いと思い知らされますよ」

みくる「そうですね。でも、それだけじゃないです」

古泉「え?」

みくる「古泉くんも分かってるんじゃないですか?」

みくる「確かにあたし達は涼宮さんの力によって、ここに集められました」

みくる「それぞれ偶然であったり、指令を受けてのものだったり」

みくる「でもあたしは今、自分の意思でここにいたいと思っています」

みくる「指令とかそんなの関係なく、SOS団もみんなも大好きです」

みくる「古泉くんはどうですか?」

古泉「……そうですね、僕もですよ」

古泉「最近ぼくはずっと思っていますよ」

古泉「機関の一員の古泉一樹ではなく、SOS団副団長の古泉一樹として行動したい、と」

古泉「ふふ、何だか照れますね。あらためてこういうことを言うと」

みくる「あたし、時々思うんです。もしも涼宮さんに能力がなくて」

みくる「あたしも長門さんも古泉くんも普通の人間だったらって」

古泉「そうですね。どんな感じになってたんでしょうかね」

長門「私は……」

古泉「長門さん?」

長門「『もしもみんなが普通の人間だったら』」

長門「私はかつて、そんな世界を創造したことがある」

みくる「あ……」

長門「彼はこちらの世界を選んでくれた。普通の世界よりもこちらの世界を受け入れてくれた」

長門「彼が受け入れてくれたこの世界、私は大切にしたい」

長門「…………これは、私自身の意志」

古泉「……僕は神人との戦いでひょっとしたら命を落としてしまうかもしれません」

みくる「あたしはいつかは必ず未来に帰らないといけないです」

古泉「でも、だからこそこの時間が大切なんです」

みくる「だから、いっぱい楽しい思い出を作りたいんです」

長門「私の役目は涼宮ハルヒの観察。けれど……」

長門「こういうのも悪くはないと思う」

みくる「そろそろ時間ですね。片付けないと」

古泉「ええ。あ、ところで朝比奈さん」

みくる「はい、何ですか?」

古泉「彼と涼宮さんは今後どうなるんですか?」

みくる「え? どうなるって……?」

古泉「やはり結婚したりするのでしょうか?」

みくる「へえう!! き、きん、禁則事項ですぅ!!」

古泉「ほう、そこで『知らない』ではなく『禁則事項』ですか。やはり……」

みくる「それも禁則事項ですぅ!!!」

古泉「駄目とは分かっていてもやはり気になりますからね。どうなんですか?」

みくる「駄目です駄目ですぅ!!!」


長門「こういうのも……悪くはない……」

放課後 


古泉「昼は楽しかったですね。また機会があれば」

古泉「では、失礼します」ガチャ

ハルヒ「あ、古泉くん。来たわね」

古泉「どうも、よろしくお願いします。ところでどうしてこのような要求を?」

ハルヒ「そうね、キョンは雑用だからいいとして」

ハルヒ「みくるちゃんとは常にコミュニケーションとってるし、有希ともそれなりにね」

ハルヒ「他のメンバーに比べて古泉くんとはあまり話してなかったかなぁって」

古泉「そうですか? そんなことはないと思うのですが」

ハルヒ「何より古泉くんは副団長だからね! 1度徹底的に話し合いたいと思ってたのよ!!」

古泉「そうなんですか、分かりました」

古泉「しかし、話し合うと言われましても具体的にはどんなことを話しましょうか?」

ハルヒ「う~ん、そーねー」

ハルヒ「どこか行く時っていつも古泉くんが手配してくれるわよね」

ハルヒ「それも古泉くんが全部調べてくれたりもして」

ハルヒ「毎回凄くいいところ見つけてくるし、手際もいいわよね」

古泉「僕の親戚のツテがほとんどですよ。あとはそうですね……」

古泉「北高に来る前は結構いろんなバイトをしていましたので、そういうのは慣れてるんですよ」

ハルヒ「そういえば今もバイトしてるのよね。何のバイトしてるの?」

古泉「今言った親戚のお手伝いです。と言ってもごくたまに必要な時に呼び出されるだけですね」

ハルヒ「そうなんだー。いつもありがとね。何かろくにお礼も言ってなかった気がするわ」

古泉「いえいえ、喜んでいただければ満足ですよ」

古泉(実際、手配はほとんど機関がしていますからね)

ハルヒ「そういえば、古泉くんっていつも敬語よね」

古泉「そうですね。このほうがしっくりくるんですよ」

ハルヒ「小さい頃からそうだったの?」

古泉「そんなことはないですよ。さっきも言ったように僕は結構バイトをしてまして」

古泉「そこではずっと敬語を使っていましたからね。それでだんだん普段でも敬語が普通になってきまして」

古泉「気がついたらもう無意識で敬語でしたね。染み付いてしまいました」

ハルヒ「ふーん。でもそれって結構疲れない?」

古泉「そうでもないですよ。むしろ敬語じゃないと落ち着かないくらいです」

ハルヒ「そんなものかしらねぇ」

古泉(若干嘘は混じっていますが、仕方ないですよね)

古泉(でも僕は信じています。いつかきっと……)

ハルヒ「古泉くんっていつも笑顔よね。ひょっとしてそれも?」

古泉「ええ、もうこれが普通です」

ハルヒ「孤島の時に真剣な表情を見たけど、あれは演技だったわけだし……」

ハルヒ「ねぇ、ちょっと真面目な顔してみて」

古泉「こうですか?」キッ

ハルヒ「さすが、様になってるわね。じゃ次は怒った顔」

古泉「ぬん!!」クワッ

ハルヒ「普段笑顔の人の怒り顔って何か怖いわね……」

古泉「そうですか」ショボーン

ハルヒ「悲しそうな顔は何か可愛いわ」

ハルヒ「結構話したわね。ねぇ古泉くん」

古泉「はい、何でしょう?」

ハルヒ「SOS団……楽しい?」

古泉「もちろんです。今まで生きてきた中で1番充実していますよ」

ハルヒ「そう……うん!!」

ハルヒ「いろいろありがとう古泉くん! これからもよろしくね!」

古泉「はい、よろしくお願いします」


古泉(正直、憎んだこともありました)

古泉(けれど今は全力で守りたいと思っている。みんなを……SOS団を……)

古泉(しかし、ふふっ、彼と涼宮さんがくっついてくれれば手っ取り早いんですけどね)

古泉(今はそれは言わないでおきましょう。僕自身ももっとこの日々を楽しみたいですしね)

帰り道


古泉「今日はなかなか充実した1日でしたね」

古泉「彼は……まぁ置いておくとして」

古泉「朝比奈さん、相変わらず可愛らしいお人です。彼の気持ちもよく分かりますよ」

古泉「長門さん、結構意外な一面が見られましたね。これも彼の影響でしょうか?」

古泉「そして涼宮さん。彼の影響を受けて1番変わったのが彼女でしょうね」

古泉「ふふ、こうして考えてみると彼の存在がいかに大きいかがよく分かりますね」

古泉「……僕も何か変われたのでしょうか?」

古泉「……」


古泉「さて、明日は長門さんですね。楽しみです」

翌日 放課後


古泉「はい長門さん、お渡ししますね」スッ

長門「受け取った」

長門「待ってる」スタスタ パタン

ハルヒ「有希かー。実はもう内容は決めてるのよねー」

みくる「あ、あたしもです」

古泉「僕も結構前から決まってましたね」

キョン(長門か……長門には随分助けられてきたからな)

キョン(むしろ何かお礼をしたいくらいなんだが。これ以上あいつに何を要求しろと)

キョン(うーん……)

キョン(1つあるにはあるが、あれはちょっとな)

キョン(そもそも、今長門は何か望んでることなんてあるのか?)

キョン(あいつのことだから『私の役目は涼宮ハルヒの観測』としか言わないような気もするが)

キョン(最近は少しずつ趣味も増えてきてるようだが、そうじゃないんだよな)

キョン(もっとこう、心からの望みというか……それは宇宙人に限らず人間でも難しいか)

キョン(…………よし決めた!!)カキカキ

『今お前が1番望んでいることを教えてくれ ハルヒ絡みを除いてな  キョン』

キョン(ちょっと抽象的というか変則的な要求のような気もするが、いいだろ)

ハルヒ「みんな書けた? 有希ー、入ってきてー」

長門「……」ガチャ

キョン(さて、どんな答えが返ってくるのか)

長門自宅


長門「……」ペラッ

長門「……」ペラッ

長門「……」ペラッ

長門「ここまで3人とも同じ要求」

長門「彼の要求は……」ペラッ

長門「……」

長門「私が……今1番望んでいること……」

長門「……」

長門「私が……望むのは……」

ナッがとぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!

翌日 放課後


ハルヒ「まさか3人も同じ事を考えてたなんてね」

みくる「だって1度でいいから見てみたいんですもん」

古泉「そうですね、普段はまず見れませんがこういう機会ならひょっとして」

ハルヒ「あたし達の有希に対する要求は……」


ハルヒ「有希の   『笑顔』 が見たいわ!!」
みくる「長門さんの 『笑顔』 を見たいです」
古泉 「長門さんの 『笑顔』 を見てみたいですね」


長門「……」

キョン「確かに真っ先に思いつくよなそれは。しかし大丈夫なのか、長門?」

長門「大丈夫。一応練習もしてきた」

キョン「そ、そうか」

ハルヒ「はいはい、あんたは外に出てなさい」グイグイ

ハルヒ「せっかく有希の笑顔が見れるチャンスなのに勿体無いわねー」

ハルヒ「あんたはいったい何を要求したのよ?」

キョン「黙秘権を発動させてもらう」

ハルヒ「あっそ。じゃあそこで待ってなさい」パタン

キョン「やれやれ。長門の笑顔か、俺だってそれは思いついたさ」

キョン「けどなぁ。何か違うんだよ」

キョン「こういう言われたから見せたような笑顔じゃなく……」

キョン「もっとこう自分の意思で、心からの笑顔が見たいからな。どうせなら」

キョン「それに、別世界とはいえ俺は1度長門の笑顔を見てるしな」

キョン「……1人で何言ってんだか、俺は」

古泉『長門さん、今更ですが無理をする必要はありませんよ?』ボソッ

長門『平気』ボソッ

ハルヒ『じゃあ有希お願い!!』

みくる『何だかドキドキしますね』

長門『……1回だけ』

長門『……』

長門『……』ニコッ

みくる『ひゃああああ!! 笑いました! 笑いましたよぅ!!』

古泉『これは……なかなか素晴らしいものを見せていただきました』

ハルヒ『ああんもう、可愛いじゃないの!! 有希!! もっかい! もう1回お願い!!』

長門『1回だけ』


キョン「……羨ましくなんかないぞ」

ハルヒ「いやー満足したわ!!」ガチャ

みくる「カメラ持ってくればよかったです」

古泉「素敵な笑顔でしたよ。あなたにも見てもらいたかったですよ」

キョン「ほっとけ」

ハルヒ「じゃあキョン、さっさとあんたの要求も済ませてきちゃいなさい!」

ハルヒ「あたし達は先に帰ってるわ。明日はあんたの番なんだから心の準備しときなさいよ」

キョン「分かった。長門、入るぞー」ガチャ

長門「……」

キョン「随分好評だったみたいだな」パタン

キョン「笑顔か……お前も本当に変わったよな」

長門「……要求」

キョン「ん?」

長門「あなたからの要求」

キョン「ああ、聞かせてもらおうか。お前が1番望んでいること」

長門「……」

キョン「どうした?」

長門「……分からなかった」

キョン「え?」

長門「ずっと考えてみた。しかし、結論は出なかった」

長門「私は今何を望んでいるのか。『長門有希』という個体は何を望んでいるのか」

キョン「ハルヒ絡み抜きでとなると、やっぱり難しかったか?」

長門「曖昧な答えを出すことはいくらでもできる。しかし、私はそれをしたくない」

長門「あなたが出してくれた要求、私は精一杯答えてみたい」

キョン「長門……」

キョン「長門、難しいんだったら別に無理しなくていいぞ」

キョン「長門がこういう考え方が出来るようになったって分かっただけでも、俺は満足だしさ」

長門「時間が欲しい」

キョン「え?」

長門「もっと考える時間が欲しい。そうすれば恐らく答えは出ると思われる」

キョン「……そうか、分かった。じっくり考えてみるといいさ」

長門「明日、あなたへの要求の時に答えたいと思う」

キョン「それでいいぞ。楽しみにしてる」

キョン「……じゃあ今日はもう帰るか」

長門「帰る」


キョン(あの長門が、他でもない自分自身についてここまで考え悩むなんてな)

キョン(いい傾向だ。本当に明日が楽しみになってきたな)

翌日 放課後


長門「……」スッ

キョン「はいよ、受け取ったぜ」

ハルヒ「じゃあさっさと出て行きなさい」ドカッ

キョン「ぐわっ!!」ゴロゴロ

バタン

キョン「自分で出て行くっつの、たく」


ハルヒ「いよいよこれで最後ね。トリがキョンっていうのが気に食わないけどまぁいいわ!」

古泉「僕はもう決めています。リベンジです」

みくる「あたしはそうですね~~あ、そうだ!!」カキカキ

長門「…………」

ハルヒ「あたしは……そうね」

ハルヒ「……」キョロキョロ

ハルヒ「……」カキカキカキ

ハルヒ「できた! みんなは?」

古泉「書けましたよ」

みくる「あたしもです」

ハルヒ「有希は?」

長門「……」コクッ

ハルヒ「キョン! 入っていいわよ!!」バァン ゴンッ!!

ハルヒ「ん? なに後頭部押さえてのたうち回ってんのよ?」

キョン「お前なぁ……」

ハルヒ「はい、全部箱に入れたわ! 大事に持って帰りなさい!」

キョン「へいへい」

帰り道


キョン「いざ自分の番となると、結構そわそわするな」

キョン「みんなどんなことを書いたんだか」

キョン「ハルヒは……あんまり想像したくないな」

キョン「朝比奈さんはなんだろう? 意外と予想ができないな」

キョン「古泉は……まさか仕返しとか考えてないよな?」

キョン「そして長門……あいつの望みって何なんだろう」

キョン「そういえばもう紙にその望みが書かれてんのか?」

キョン「それとも改めて呼び出して教えてくれるのか?」

キョン「ま、帰って中身を見れば分かることか」

キョン「よし、急いで帰るとするか」

キョン自宅


キョン妹「キョンくん何それ~?」

キョン「しっしっ」

パタン

キョン「さて、見てみようかな。まずはこれだ」パラッ

キョン「……あれ? おかしいな?」

キョン「こっちはどうだ? こっちもかよ!」

キョン「おいおいまさか」ゴソゴソ

キョン「全部そうかよ! どうなってんだ!?」

キョン「何で……」


キョン「何で全部白紙なんだ!?」

キョン「書き忘れか? いくらなんでも4人とも書き忘れるなんてことはないか」

キョン「ハルヒのドッキリとか? ありえそうだがこんなタイミングでやるか?」

キョン「誰かにスリ替えられた? いや箱はずっと俺が持ってたし」

キョン「何なんだ? 俺が何かしたか?」

キョン「……しょうがない。これでは何もできないしな」

キョン「電話して聞いてみるか。とりあえず長門に」ピッ

キョン「……出ないな。なら古泉だ」ピッ

キョン「古泉も出ない……まさか」

キョン「朝比奈さんもハルヒさえも出ない! 何だってんだ!!」

キョン「また何か、異常事態なのか? しかし今の俺にできることは何もない」

キョン「しょうがない。明日学校で相談してみるか」

キョン「どれどれ…」

みくる「く」
ハルヒ「び」
古泉「括」
長門「れ」

翌日 朝


キョン「ふああ、朝か」

キョン「う~~、とりあえず早めに学校に行って長門か古泉あたりに……」

キョン「ん? あれ?」キョロキョロ

キョン「お~い、どうなってんだ~?」

キョン「今度は箱がなくなってやがる……」

キョン「やれやれ。しかし今さらこの程度で驚かんぞ」


キョン「おい、昨日俺が持ってた箱を知らないか?」

キョン妹「箱~? 知らないよ~」

キョン「う~む、もう1度よく捜してみるか」

学校


キョン「くそっ結局見つからなかった。しかも捜してたせいで遅刻ギリギリだ」

キョン「はぁ、ハルヒになんて言い訳するかな」ガラガラ

ハルヒ「あ! 遅いわよキョン!!」

キョン「ハルヒ、あ~実はだな」

ハルヒ「キョン、今日の放課後に重大な話があるからね! ちゃんと来るのよ!」

キョン「え? あ、ああ」

キョン「いやハルヒ、それよりもだな」

教師「HR始めるぞー席に着けー」

キョン「あ、と……」

キョン(はぁ、結局言いそびれちまった)

放課後


キョン「あの後もずっとタイミングを逃し続けて、結局誰にも相談できなかったな」

キョン「しょうがない。素直に謝るしかないか」

キョン「いや、そもそも紙は白紙だったんだから俺が謝る筋合いはないような気がするが」

キョン「うぃっす」ガチャ

ハルヒ「やっと来たわねキョン」

古泉「どうも、こんにちは」

みくる「キョンくん、今お茶を淹れますね」

長門「……」

キョン「あーその、みんな、えっとだな」

ハルヒ「それでは、あたしから発表があります! あたしは昨日とある物を作ったのよ!」

キョン「とあるもの?」

ハルヒ「名付けて『要求箱』よ!!」

キョン「!!!」

                ハ        _
    ___         ∥ヾ     ハ
  /     ヽ      ∥::::|l    ∥:||.
 / 聞 も  |     ||:::::::||    ||:::||
 |  き ..う  |     |{:::::∥.  . .||:::||
 |  た  ・   |     _」ゝ/'--―- 、|{::ノ!
 |  く  ・  |  /   __      `'〈
 |  な  ・  ! /´   /´      __  ヽ
 ヽ い    / /     ゝ●ノ   /´  i
  ` ー―< {      U    ゝ● ′|

        厶-―    r  l>  U    |
      ∠ヽ ゝ-―     `r-ト、_,)      |
      レ^ヾ ヽ>' ̄     LL/  、   /
      .l   ヾ:ヽ ` 、_      \\ '
     l    ヾ:ヽ   ト`ー-r-;;y‐T^
      |    ヾ `ニニ「〈〉フ /∥. j

ハルヒ「ふっふっふ、これよ!」ドンッ

みくる「あの、どんな箱なんですかぁ?」

キョン(どうなってんだ!? あの箱は今朝なくなったはずの……)

ハルヒ「いいわ、説明してあげる! 我がSOS団が結成されて1年以上が経ったわ!」

キョン(ハルヒのこのセリフ、数日前に要求箱を初めて披露した時の……)

古泉「そうですね、本当にいろいろありましたね」

キョン(みんなも初めて要求箱を見たかのような反応……)

みくる「て、鉄の絆ですか?」

キョン(おいおい、まさか……もしかして)

ハルヒ「というわけで! みんな、このクジひいて」スッ

キョン(数日前に逆戻りしちまってんのか?)

キョン(他のみんなは特に違和感を感じていないようだな。俺だけか?)

ハルヒ「キョン」

キョン(忌まわしい記憶が蘇る……間違いない、確実にループしている)

ハルヒ「キョン!」

キョン(勘弁してくれよ。夏休みだの文化祭前日だのゲーム作りだの、もうループはたくさんだ!)

ハルヒ「ちょっとキョン!!」

キョン「うわっ!! なな何だハルヒ!?」

ハルヒ「何をボーッとしてるのよ! さっさとクジ引きなさい!!」

キョン「あ、ああ、すまん」スッ

ハルヒ「順番決まったわね! じゃあ詳しく説明するわよ!!」

キョン(面倒なことになったな、もう……)

ハルヒ「みくるちゃん、楽しみにしてるわよ。それじゃ今日は解散! じゃあね」ガチャ

古泉「ふふ、また面白いことを思いつきましたね」

みくる「ふわ~、何だかドキドキします」

長門「……」

キョン「あ~ちょっといいか?」

古泉「はい? どうされましたか?」

キョン「お前達は何か違和感を感じなかったのか?」

古泉「違和感ですか? いえ、特に何も」

みくる「キョンくん、どうかしたんですか?」

キョン「ええ、実は……」

みくる「えええ! そ、そうなんですかぁ!?」

古泉「僕達は今日初めて要求箱を見ました。どうやら記憶が残っているのはあなただけのようですね」

キョン「信じたくはなかったがループ確定か。ところで今日は何日だ?」

古泉「今日は15日ですね」

キョン「え? 15日! 15日って言ったか!!」

古泉「え、ええ、そうですが」

キョン「おかしいな。ループしてるんなら6日に戻るはずなんだが……」

キョン「日付はループせずにそのままか。そういえば授業内容も前の内容に戻ってたりはしてなかったな」

キョン「何か頭がこんがらがってきた……どうなってんだよ」

古泉「どうやら我々以外、つまり世界には特に影響は現れていないようですね」

みくる「えと、その、よく分からないです……」

古泉「つまりこれは、世界がループしているのではなく」

古泉「涼宮さん、朝比奈さん、長門さん、僕の4人の記憶が書き換えられているだけのようです」

キョン「マジか? いったい誰が何のためにそんなことを?」

古泉「そこまでは分かりません」

古泉「しかし、長門さんまで記憶が無くなっているというのは珍しいですね」

キョン「そういや長門、お前も本当に記憶が無くなっているのか?」

長門「あなたの言うような要求箱の記憶は存在しない」

キョン「そうか。これって緊急事態だったりするんじゃないのか?」

古泉「確かに早急に手を打つべきでしょうが……」

古泉「今のところは特に打つべき手が見つかりませんね。普通に過ごしてみましょう」

キョン「そんなんでいいのかよ?」

古泉「これは僕の勘なのですが、以前ほどの危機的状況ではないような気がします」

キョン「当てになるのか、それ」

帰り道


キョン「はぁ、結局もう1度繰り返さないといけないのか」

キョン「またハルヒの仕業なのか? だとしたら今回は何が不満だ?」

キョン「そもそも何で俺だけ記憶が残っている?」

キョン「まったく、分からないことだらけだな」

キョン「確かに誰の仕業なのかも原因も分からない以上、打つ手がないな」

キョン「しょうがない、頑張って考えてみるか」

キョン「そういや朝比奈さんへの要求また耳掃除にしたけど、どうせなら他の要求にした方が良かったかな?」

キョン「……いや、何か前回と変えない方がいいような気がする」

キョン「さて、こういう時の俺の勘はあてになるのかな」

翌日


みくる「キョンくん、その、前も耳掃除を?」

キョン「ええ、あんまり前回と内容を変えないほうがいいような気がしまして」

みくる「あたしは記憶が残ってないから、何だか申し訳ないです」

キョン「え? 何で朝比奈さんが申し訳なく思うんですか?」

みくる「だって記憶が残ってるのキョンくんだけでしょう? ずっと覚えてるのってつらくないですか?」

キョン「長門の件がありましたからね。でも俺わりと何とかなるんじゃないかって思ってるんです」

みくる「え?」

キョン「古泉に言われたからじゃないんですけど、すぐに解決しそうな気がするんですよね」

キョン「まったく根拠のない、ただの勘ですけど」

みくる「そうだといいんですけど……は、は、は……」

キョン「あ! 朝比奈さん、くしゃみには気をつけて!!」

みくる「へっくち!!」ズボッ

キョン「ぎゃああああ!! 遅かったああああ!!!」

2日後


ハルヒ「にゃん!! にゃん!!」

キョン「ぷっ、くくく……やっぱり何度聞いても面白いな」

ハルヒ「何ニヤニヤ笑ってんのよ、キョン!!」

キョン「おっと、語尾がにゃんになってないぞ」

ハルヒ「ふにっ!!!」バリッ

キョン「いってぇ!! ひっかくんじゃねーよ!!」

ハルヒ「うっさいにゃん!! ふんだ!!」

キョン「怒ってもあんまり迫力ないな」


キョン「あ、しまった。今思いついた」

キョン「ハルヒのにゃん口調、録音しておけばよかったな」

2日後


古泉「あ、あなた、前回もこんなことをしたんですか!!」

キョン「ええい! デジカメから手を離せ!!」

古泉「前回の結末はどんなものだったのかは知りませんが、させませんよ!!」

キョン「前回の結末? はっ!!」

キョン「……あれ? ハルヒ来ないな。毎回同じ行動をするわけじゃないのか」

古泉「もらった!!」バッ

キョン「だぁ!! しまった!!」

古泉「まったくもう。消去っと」

キョン「ああ、勿体無い。古泉のこんな一面を見たみんなの反応が見たかったのに」

古泉「何を考えてるんですか? まったく……あれ?」

長門「……」

古泉「い、いつからいらっしゃったのですか……?」

長門「最初からいた」

古泉「……」

キョン「ぶふっ!! 全部見られていたようだな」

古泉「……」ズーン

キョン「長門、どうだった? 古泉のあんな一面は?」

長門「ユニーク」

古泉「止めを刺さないでください……」

キョン「はっはっは……ん?」

長門「……」

キョン(気のせいか? 何か長門の様子がおかしいような……?)

2日後


みくる『ひゃああああ!! 笑いました! 笑いましたよぅ!!』

古泉『これは……なかなか素晴らしいものを見せていただきました』

ハルヒ『ああんもう、可愛いじゃないの!! 有希!! もっかい! もう1回お願い!!』

長門『1回だけ』


キョン(長門の番か。そういや前回は結局、長門の望むものは分からなかったんだよな)

キョン(今回は聞けるかな? 楽しみだ)

キョン(……おいおい、こんな事態になってるのに楽しみって。緊張感ねえな俺)

キョン(ま、余裕があるってことにしておこう)

ハルヒ「終わったわよ。あたし達は先に帰るから、あんたもさっさと済ませなさい」

キョン「はいよ」

キョン「さて、と」パタン

キョン「長門よ、答えは見つかったのか?」

長門「……」

キョン「もちろんこの繰り返しの原因も気になるが、それ以上にお前の答えも気になるんだよなぁ」

長門「……」

キョン「じゃあ長門、教えてくれるか?」

長門「……」

キョン「長門? どうしたんだ?」

長門「……」


長門「…………ごめんなさい」

キョン「え? ごめんなさいって……何がだ?」

長門「あなたには多大なる迷惑をかけた」

長門「私1人の都合のために、本当にごめんなさい」

キョン「迷惑って……まさか……」

キョン「長門、お前だったのか? 4人のここ数日間の記憶を消したのは」

長門「……」コクリ

キョン「何でだ? 何でこんなことをしたんだ?」

長門「……」

キョン「言えないのか? それとも言いにくいことなのか?」

長門「私は……」

長門「私は頑張って考えてみた。情報操作に頼らず自分自身で」

長門「しかし、どんなに頑張っても答えが出なかった」

長門「私は何を望んでいるのか。私自身のことなのに分からなかった」

キョン「長門……」

長門「しかしこれはあなたからの要求、何としてでも答えを出したかった」

長門「けれど、もう時間はなかった」

長門「あの時、私はおそらく焦っていたのだと思われる」

キョン「焦った? お前がか?」

長門「何とかもう少し考える時間がほしいと思った。そして気がついたら……」

キョン「みんなの記憶を消してなかったことにし、もう1度やり直すことで時間を稼いだってわけか」

長門「……」コクリ

キョン「う~ん、そこまで深刻に考え込まなくても……」

キョン「というか、何で俺の記憶だけそのままだったんだ?」

長門「あなたがもう1度同じ要求をしてくれるか分からなかったから……」

キョン「なるほど。もっと軽い気持ちで答えてくれてもよかったんだけどな。長門らしいと言えばらしいが」

長門「ごめんなさい」

キョン「いやいや、こんな要求をした俺も悪かったさ。それにしても、くくっ、ふふふ」

長門「なに……?」

キョン「いや、何かあっさり解決したなと思ったら笑えてきてな、くっくっく」

キョン(それに、長門のこの顔……)

キョン(何というか、大事なお皿を割ってしまった子供のような顔、とでも言えばいいのか?)

キョン(凄くバツが悪そうな、申し訳なさそうな顔をしてるように見える)

キョン「はっはっはは、お前も本当に人間らしくなってきたよなぁ!! 何か嬉しいぞ」

長門「……?」

キョン「けど、もうこういうのは勘弁してくれよ」

長門「本当にごめんなさい」ショボン

キョン「くくくっ、人間らしくなってきたとはいえ、まだまだ未熟なようだな」

キョン「って、俺が言えることじゃないか。ふふふ」

長門「……よく分からない」

キョン「それはそうと、一応おしおきはしておかないとな」

長門「……!!」

キョン「もうこんなことはしちゃ駄目だぞ、チョップ」

コツン

長門「……ごめんなさい」

キョン「ま、今までさんざん助けられてきてるからな。大して気にしてないさ」

キョン「それに、そこまで真剣に考えてくれてありがとな」

翌日 放課後


ハルヒ「じゃあキョン、頑張りなさいよ! じゃあね」パタン

キョン「ふう、そういや長門、みんなの記憶はどうなってるんだ?」

長門「涼宮ハルヒの記憶はそのまま。今回の記憶だけが残っている」

長門「古泉一樹と朝比奈みくるの記憶は復活させてある。前回と今回、両方の記憶を持っている」

みくる「本当に2回もやってたんですねぇ」

古泉「僕は2回もあなたとあんな不毛な争いをしたのですか……」

キョン「長門、今度はちゃんと書けたのか?」

長門「私なりの答えを見つけた」

キョン「そうか、楽しみにしてるぞ」

キョン「さて、これが本当に最後だ。帰るとするか」

キョン自宅


キョン「よし、今度は白紙じゃないな」

キョン「まずは長門のから」

『放課後に部室に来てほしい。私の望みを実行する  長門有希』

キョン「ふむ、これは行ってからのお楽しみか」

キョン「次はハルヒか」

『放課後に部室に来なさい!  涼宮ハルヒ』

キョン「こっちも呼び出しかよ! かぶってるぞ」

キョン「これは古泉だな」

『あなたの持っている18禁の本かDVDを持ってきてください
 無いとは言わせませんよ
 拒否は許しません     古泉一樹』

キョン「仕返しのつもりか? 上等だ!!」

キョン「最後は朝比奈さんだな。えっと」

『部室のパソコンの「mikuruフォルダ」の中身を見せてくれませんか? 朝比奈みくる』

キョン「やばい」

翌日 早朝


キョン「早く部室に行って、mikuruフォルダの中身を何とかしなくては!!」ダダダッ


部室

キョン「着いた!!」バァン

みくる「あ、キョンくん。おはようございます」

キョン「ぶわぁ!!!」

キョン「ああ朝比奈さん! 何でこんな朝早くから!?」

みくる「う~ん、何だかどうしても気になっちゃって……」

みくる「でも、1人で勝手に見てませんよ。というわけでキョンくん、よろしくね」

キョン「え、あ、うう……」

キョン(どうする!? どうすりゃいいんだよ、俺!!)

みくる「うふふ」

キョン(だめだ!! 一瞬たりともパソコンから目を離してくれない!)

キョン(これではどうしようもない! どうしても誤魔化せない!!)

キョン(し、しかし、要求で書かれた以上どのみち逃げ道は無い……か)

みくる「キョンくん、どうかしたんですかぁ?」

キョン(諦めるしかないか。いつまでも未練たらしく残してた俺が悪いんだ)

キョン(はぁ、絶対嫌われるだろうな……)

みくる「キョンくん?」

キョン「あ、はい、今見せます」カチカチ

キョン(ああ、さようなら。楽しい日々よ……)

みくる「わぁ、素敵です」

キョン「え?」

みくる「これは去年の運動会の写真ですね。こっちは映画撮影の時の」

キョン「え? え?」

みくる「孤島や雪山の写真、節分の時のもありますね」

キョン(あれ? どうなってんだ?)

キョン(何で朝比奈さんの写真が、こんなたくさんの思い出写真になってるんだ?)

みくる「これ、キョンくんが撮ったんですかぁ?」

キョン「え? あ、はい、そうなんです。いつかサプライズで公開しようかなーっと」

みくる「そうだったんですかぁ。ごめんね、無理矢理見せてもらっちゃって」

キョン「えと、いいんですよ」

みくる「あー、あたしの寝顔。いつの間に撮ったんですか?」

キョン(俺はこんな写真を撮った覚えは無い。自分で撮った写真は全部自宅にあるし)

キョン(しかし、こんなことができそうな奴といえば……)

みくる「うふふ、懐かしいな」

キョン「そうですねぇ」

みくる「いいですよね、こういう思い出って」

キョン「そういえば、未来には写真やアルバムってないんですか?」

みくる「ありますよ。そういうのはいつの時代でも受け継がれるものなんです」

キョン「あれ? それって禁則事項じゃないんですか?」

みくる「ふぇ? あれ!? 何であたし喋れて!?」

みくる「おかしいなぁ~? 何でだろう?」

キョン「いいじゃないですか。これからもいい思い出を作っていきましょう」

みくる「うん。そうですね」


みくる「ところでキョンくん、何でmikuruフォルダって名前にしたんですか?」

みくる「あれ? いないです」キョロキョロ

昼休み 部室


キョン「待たせたな、古泉」バァン

古泉「ふふふ、お待ちしていましたよ」

古泉「では、例のブツを見せて頂きましょうか?」

キョン「ああ、これだ!!」ダンッ

古泉「ふむ、あなたはDVDですか。しかもコスプレ物ときた」

キョン「はい終わり!」ササッ

古泉「おや? どうかされましたか?」

キョン「どうせこのあいだのお返しで、俺がこいつを持ってるところを写真に撮る気だったんだろう?」

キョン「だが残念だったな! そんなのはお見通しだ!!」

古泉「それはそれは。しかし、甘かったですね」

キョン「なに! 何がだ!?}

古泉「これですよ」スッ

キョン「そのボールペンがどうかしたか?」

古泉「これボールペン型のカメラなんですよ。機関特注です」

古泉「このカメラであなたが部室に入ってきてからの一部始終を撮らせていただきました」

キョン「よこせぇぇぇぇぇ!!!」グオッ

古泉「おっと」ヒラリ

キョン「そいつをどうするつもりだ?」

古泉「部室で上映会をするっていうのはどうです?」

キョン「ちぇぇい!!」ガシッ

古泉「おっとぉ」ガクン

キョン「捕まえたぞ!! さぁカメラをよこせ!!」

古泉「いいえ、よこしません!!」

キョン「こぉの!!」ドドドッ

キョン「どうだ、マウントとったぞ。さぁ渡せ!!」

古泉「全力で死守させていただきます」

キョン「そうかどうしても渡さないか。ならこうだ!!」コチョコチョコチョ

古泉「ぶはははは!! ちょ!! 何してるんですか!!」

キョン「おらおら! いつまで耐えられるかなぁ~?」コチョコチョコチョ

古泉「ぐひひひひ!! ごぎょぎょぎょぎょ!!!」

キョン「おお、古泉の口から普段は絶対に聞けないであろう声がもれている」

古泉「ぶじゅじゅ!! ちょ、調子に乗らないで下さい!!」ガバァ

キョン「おわ!!」

古泉「ふふ、形勢逆転ですね」

キョン「ま、待て古泉!! ちょっと待て!!」

古泉「待ちません」コチョコチョコチョ

キョン「ぶひひひひ!! ちょちょちょ、おひょひょひょひょ!!!」

古泉「人間ってこんな声が出せるんですねぇ」コチョコチョコチョ

キョン「ぴょ~ろろろろ!!! はは鼻水が!! ぐぢゅぢゅぢゅ!!!」

キョン「だああ!! いい加減にしろぉ!!!」グワァ

古泉「おっと。いい加減にしろって、最初に仕掛けてきたのはあなたでしょう!!」

キョン「やかましい!! 喰らえ!!」

古泉「させません!! とりゃあ!!」


ハルヒ「何やってんのよ、あんた達……」

古泉「あ……」

キョン「ハルヒ……なぜここに……?」

ハルヒ「そろそろ終わったかと思って昼食を食べにきたのよ」

ハルヒ「で、このDVDは何?」

キョン「それは古泉のだ!!!」
古泉 「それは彼のです!!!」

ハルヒ「どっちでもいいわよ! 部室にこんな物持ってくるんじゃないわよ!!」

ハルヒ「まったく!! これだから男は!! ふん!!」バタン

キョン「……」

古泉「……」

キョン「あ~あ……」

古泉「またやっちゃいましたねぇ」

キョン「またと言ってもハルヒに前回の記憶はないがな。やれやれ。あとで謝りにいくか」

古泉「しかし、ふふ、あなたのあの声」

キョン「何だよ?」

古泉「いえ、思い出したら笑えてきて」

キョン「人のこと言えるのか、たくっ」

古泉「ですね。それにしても、あそこまでハメを外したのは久しぶりですよ」

キョン「そうかい」

古泉「少々地が出ちゃいましたからね」

キョン「ま、あんな馬鹿騒ぎ、男同士じゃないとそうそうできないわな」

古泉「ふ、ふふ、ぷくくっ」

キョン「はっはっは! なーにやってんだろーな、俺達」

古泉「たまにはいいじゃないですか、こういうのも」

キョン「くすぐりはもう勘弁だぞ」

古泉「あらためて思いますよ。SOS団のメンバーでよかったって」

キョン「なんだそりゃ?」

古泉「もしもSOS団のメンバーではなく、ただの機関の一員だったら」

古泉「僕はこんな楽しく清清しい気持ちにはなれなかったと思います」

古泉「そういう意味ではあなたに感謝していますよ。本当に」

キョン「俺は何かした覚えはないぞ」

古泉「それはまたじっくりと話せる機会があれば。そろそろ時間ですよ」

キョン「ああ。古泉」

古泉「何でしょう?」

キョン「たった2人しかいない男同士だ、頑張っていくか」

古泉「ええ」

放課後 部室


ハルヒ「何? 有希とかぶっちゃったわけ?」

キョン「ああ、長門は最後でいいそうだ」

ハルヒ「そう。じゃあ待っててね有希」ガチャ

長門「……」コクリ

パタン

キョン「それで、俺はお前に何をすればいいんだ?」

ハルヒ「そこの椅子に座りなさい」

キョン「え? ああ」スッ

ハルヒ「次はこれをっと」ススッ

キョン「おい! 何で目隠しをするんだよ!!」

ハルヒ「最後にこれ」ゴソゴソ

キョン「耳栓まで!! 俺は何をされるんだ!?」

ハルヒ「キョンうるさい! 黙ってなさい!! ってもう聞こえないわよね」

ハルヒ「あーおほん。えっと」

ハルヒ「キョン! 今日はあんたに言いたいことがあるわ! 心して聞きなさい!!」

キョン「助けてくれ! 俺は処刑されたくない!」

ハルヒ「するか! したいけど」

ハルヒ「ともかく! あたしが言いたいのは……え~と、その~」

ハルヒ「北高に来て、最初に話しかけてきてくれたのがあんただったよね」

ハルヒ「SOS団を結成するきっかけもあんただった」

ハルヒ「思えば、あんたがいなかったら今のあたしはいないのかもしれない」

キョン「何されるんだ!? 俺は何をされるんだー!!」

ハルヒ「あんたには本当に感謝してる」

ハルヒ「いつも何だかんだいってついて来てくれるし、あたしに意見してくれるのもあんただしね」

ハルヒ「だから、その……1度くらいはお礼を言っとくべきかな~って」

ハルヒ「調子になるんじゃないわよ! あああたしはあくまで厳しくしすぎるのもあれかなって」

ハルヒ「たまには優しくしとかないと、あんたがいなくな……てぇぇぇ!!」

ハルヒ「何考えてんのよあたしはぁぁぁ!! 何かこんがらがってきた!!」

キョン「俺は無実だ!! 弁護士を呼べ!!」

ハルヒ「ああもう!! とにかく!!」

ハルヒ「あーう~~、その……」


ハルヒ「あ、ありがとね、キョン……」

キョン「おい、いつまで待たせる!」

キョン「まだ何もしないのか! やるならひとおもいにやれ!!」

キョン「まったく、何でいつもお前は訳の分からんことを!!」

ハルヒ「……」イラッ

ハルヒ「うっさいわね!! こぉの馬鹿キョン!!」


バッシィィィィィン!!!


キョン「うっぎゃああああ!! いっでぇぇぇぇ!!!」

キョン「いきなり何しやがる!! お前のやりたいことってのは俺の背中にもみじを貼り付けることか!!」

ハルヒ「そうよ!! あーすっきりした!!」

キョン「この野郎……まったく!」

ハルヒ「じゃああたしは帰るわ。じゃあね」パタン

キョン「何だったんだ、ちくしょう」

   /  ̄  ̄ \

  /  _ノ  ヽ、_  \
/ o゚|⌒|  |⌒|゚o  \   /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
|   | (__人__). |    | _/|  _/|    /   |  |  ― / \/    |  ―――
\  | `|⌒|´ |  /    |    |  /    |   丿 _/  /     丿
/ ̄ |川!| ̄|川i| ̄\


長門「大丈夫?」ガチャ

キョン「ああ、長門か。大丈夫だよ」

キョン「それよりこれでラストだな。ところで1つ聞きたいことがあるんだが」

長門「なに?」

キョン「その、mikuruフォルダの中身を変えたのってお前なのか?」

長門「そう」

キョン「やっぱりか。しかし、あの写真は?」

長門「私が今まで撮ってきた写真」

キョン「お前も写真撮ってたんだな。気づかなかったよ」

キョン「何はともあれ助かったよ。ありがとな長門」

長門「いい」


キョン(ん? ということは長門にmikuruフォルダの中身を見られたってことか? ああ……)

キョン「そ、それで、お前の『望むこと』の答えは見つかったんだよな?」

長門「……」コクリ

キョン「じゃあそれを教えてくれないか?」

長門「そこに立って」

キョン「え? ここか?」スッ

長門「そのままじっとしてて」

キョン「あ、ああ」

キョン(何だ?)

長門「……」

長門「……」スッ


ダキッ


キョン「!!!!!!」

               ____
            ,. -'"´      `¨ー 、

           /   ,,.-'"      ヽ  ヽ、
        ,,.-'"_  r‐'"     ,,.-'"` ノ (  ヽ、
      /    ヾ (    _,,.-='==-、ヽ ⌒    ヽ、
      i へ___ ヽゝ=-'"/ ●   _,,>         ヽ   ながもん・・・・・・・ちくしょう・・・・
      ./ / ● > ='''"  ̄ ̄ ̄             ヽ
     / .ヽ-‐´''"       ヽ          ノ (   i
     /    i   人     ノ          ⌒   l
    ,'     ' ,_,,ノ  `─-‐' ヽ  ノ (          /  
    i      `、  _y──‐ l   ⌒          /  
    ',       i_/  / _ '             /
     ヽ、       ̄ ̄              /
      ヽ、_                    /

         `¨i                    ヽ

キョン「なな長門!! 何だいきなり抱きついたりして!?」

長門「これが私の答え」

キョン「こ、答えって……」

長門「どんなに考えても私の望むことの答えは出なかった」

長門「そこで私は、考えを一旦リセットした」

長門「そして無の状態から1番最初に現れたもの……」

長門「それが、あなたの姿だった」

キョン「お、俺?」

長門「考えるよりも先に、純粋に触れたいと思った」

長門「あなたと一緒にいたい。あなたに触れていたい」

長門「そして、出た結論がこれ」ギュゥゥゥ

キョン「長門……それって……もしかして……」

長門「分からない」

キョン「え?」

長門「これがいわゆる『恋心』と呼ばれるものなのか、それとも別のものなのか」

長門「私にはまだ分からない」

長門「けれど私は今、心の底からこうしていたいと思う」ギュゥゥゥゥ

キョン「そっか……そうだよな」

キョン「長門、今のその気持ちを大切にしろ。それはお前にとって重要なものだ」

長門「そう」

キョン(あの長門がなぁ……本当に今回は驚かされっぱなしだ)

キョン「長門、そろそろ時間だ。帰ろうか」

長門「……」スッ

長門「ありがとう」フッ

キョン(え……今、確かに……)


キョン(長門が……笑った……)

校門前


ハルヒ「あ、やっと来た!!」

古泉「どうも、こんばんは」

みくる「お疲れ様です」

キョン「あれ? 何で3人ともここに?」

ハルヒ「2人とも用事があったらしくてまだ残ってたのよ」

ハルヒ「で、ついでだからあんた達を待とうってことになったのよ」

キョン「そうかい、ありがとよ」

ハルヒ「有希、どうだった?」

長門「満足した」

ハルヒ「そう! じゃあみんな、帰りましょっか!!」

帰り道


ハルヒ「明日の団活は今回の企画の大反省会よ!!」

ハルヒ「詳しい話は明日聞くとして、みんなどうだった?」

古泉「楽しかったですよ。誰かさんとの絆も深まりましたしね」チラッ

キョン「こっちを見るな、こっちを」

みくる「あたしも楽しかったです。いろいろ考えることも多かったです」

ハルヒ「有希は?」

長門「今回の企画、私にとってとても有意義なものだった」

長門「感謝する。ありがとう」

ハルヒ「もう! 大げさねぇ! ま、そこまで言われるとあたしも嬉しいわ!」

キョン(俺は……)

キョン(ハルヒによって非日常に巻き込まれ……)

キョン(さんざん引っ張りまわされ、命の危険にも晒され……)

キョン(それでも俺は……楽しかったんだよなぁ)

キョン(あの冬の事件でも思ったことだが、今回さらに確信した)

キョン「俺はSOS団が……みんなが好きなんだな」

ハルヒ「え? 何か言った?」

キョン「いいや、俺も楽しかったぜ。いろんな発見も出来たしな」

ハルヒ「そうでしょうそうでしょう!!」

ハルヒ「でも!! まだまだこれからよ!!」

ハルヒ「これからもいっぱい不思議を捜して、いっぱい楽しいことをするわよ!」


キョン「ああ、よろしくな」



おしまい

無事に終了させることができました
こんな時間までかかってしまい、申し訳ないです
次回からはもっときっちりまとめてきます

支援してくださった方
最後まで読んでくださった方
本当にありがとうございました!!

こんなクソSSがおもしろいの?
アニメ化(笑) 
夏厨帰れよ

アニメ化クソワロタ 
谷川クビ(笑) 
中学生マジで多いな^^;

というかSS総合スレの方が明らかにクオリティ高い
それに乙してる奴がほとんど電話ってどういうこと?

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom