夜神月「大丈夫かリューク!! おい!! リュークッッ!!」
リューク「……」
夜神月「おいおい……冗談だろ……」
夜神月「目を開けてくれよ……リューク……」
リューク「……」
夜神月「そんな……こんなことって……」
夜神月「うああああああああああああああああああ!!!」
夜神月「嘘だッ!! リューク!! 嘘だと言ってくれ!!」
夜神月「なぁリュークッ! どうせ聞こえてるんだろ!?」
夜神月「お前の耳には……この僕の声が!!!」
夜神月「聞こえてるくせに、ただ無視してるだけなんだろ!!??」
リューク「……」
夜神月「……」
夜神月「は、はは……なるほど、そうか……そういうことか……」
夜神月「全てが演技……僕を驚かす作戦ってわけだ……」
夜神月「クックック……驚いたよリューク。僕の負けを認めてやってもいい」
夜神月「だから馬鹿やってないで早く目を覚ませ。ほら、りんごだぞ、りんご……」
リューク「……」
夜神月「りん……ご……」
リューク「……」
夜神月「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
夜神月「リューク!! なぁ!! リューク!!!」
夜神月「僕が悪かったよ!! ほんとに……僕が……!!!」
夜神月「僕があのときお前の言うことを聞いてさえいれば、お前は……!!」
リューク「……」
夜神月「リュウウウウウウウウウウクウウウウウウウウウウウウッッ!!!」
―――――
―――
――
夜神月「よし。渡るぞリューク」
リューク「おいライト。信号赤だぞ」
夜神月「大丈夫だよリューク」
夜神月「信号が赤だといっても今は深夜」
夜神月「車が通る確率は0に近いさ」
リューク「でも……」
夜神月「心配性だなリュークは。仮に車が来たとしても光で分かるだろ?」
夜神月「それに光を察知してから車がここに到達するまで少なくとも8秒は猶予がある」
夜神月「18才の少年が、この横断歩道を渡るのに8秒も掛かると思うか?」
リューク「いや、俺が言いたいのは交通ルールを守r――」
夜神月「いいから! ほらいくぞ! リューク!」
リューク「おい、腕を引っ張……」 夜神月「あ……」
キィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイッッッ!!
ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!!!
――
―――
――――
夜神月「ごめん……ごめんリューク……」
夜神月「まさか無灯火の車が来るとは思わなかったんだ……」
夜神月「歩行者である以上、想定外のことも想定しておかないといけないのに……」
夜神月「僕は交通ルールの基本中の基本を忘れていた……」
夜神月「ごめん……リューク……」
夜神月「リューーーーーーーークゥウウウウウウウウウッッッッ!!!!!」
リューク「……」
ライトは延々と叫び続けた。
ただその声は、リュークに届かない。
~完~
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