▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-39冊目-【超電磁砲】 (999)

□このスレは「とある魔術の禁書目録」及びその派生作品のSS総合スレッドです
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 前スレ
    ▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-38冊目-【超電磁砲】

■このスレのルール――――――――――――――――――――――――――――――――――――■

 ・共用スレなので書きながらの投下は禁止です。必ず投下分を書き溜めてから投下すること
  また安価作品なんかはご遠慮下さい

 ・人を選ぶ内容(極端な欝展開やエログロ等)は事前に注意書きを
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 ・別の人が先に投下している際は、終わってから最低でも30分は空けて投下すること
  連続して投下すると感想を書き難くなります。また当然ながら割り込んでの投下は厳禁です

 ・新刊のネタバレは地域によって発売日がずれる場合があるので、解禁は公式発売日の翌日からです

 ・荒らしは全力でスルー、またルールを守れない人等に対しても極力柔らかい口調で注意すること

■ここまで必読、以降のテンプレも読むこと――――――――――――――――――――――――――■

  >>2 その他注意事項
  >>3 関連スレ等
  >>4 過去のテンプレゲストキャラ

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□注意事項

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  可能な限り次スレを立てる前に「立てに行く」宣言をしてください。立てた後の次スレ誘導もお願いします
  宣言、スレ立てがしばらくなければ>>970を踏んだ人がお願いします

 ・認知度アップの為にage推奨です

 ・この板では、一部の単語にフィルターがかかっています
   例)「その幻想をぶち[ピーーー]!」(“殺.す”にフィルター)
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  下記のスレで該当する単語などの詳細が確認できます

    パー速機能覚書・テスト

 ・板の連投規制は25秒、1レス内での行数制限は80行です

 ・投下する時は名前欄にタイトルや総レス数などを書いておくと分かりやすいです

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 HTML化依頼スレッド Part5

[ 関連スレ ]

 お勧めの禁書・超電磁砲SSを教えろください16
  (スレタイどおり)

 ふと思いついた小ネタ(スレタイ含む)を書くスレ19
  (書くまでもないor書くのめんどいネタなど)

 【禁書SS用】設定質問受付&禁書SSまとめwiki用資料作成所 -3杯目-
  (質問はこちらで)

 SS製作者総合スレ26
  (ジャンル不問)

 雑談しようぜ
 雑談しようぜ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294926897/)
  (その他雑談総合)


[ 関連リンク ]

 とある魔術の禁書目録Ⅱ〈インデックスⅡ〉公式サイト
 http://www.project-index.net/

 とある魔術の禁書目録 Index@wiki
 http://www12.atwiki.jp/index-index/

 自分用まとめ ◆「とある総合スレ記事一覧」
 http://asagikk.blog113.fc2.com/blog-entry-1515.html

 禁書SS@製作速報 まとめWiki
 http://www35.atwiki.jp/seisoku-index/


[ 過去スレ一覧 ]

 ▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-29冊目-【超電磁砲】

 ▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-30冊目-【超電磁砲】

 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-31冊目-【超電磁砲】

 ▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-32冊目-【超電磁砲】

 ▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-33冊目-【超電磁砲】

 ▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-34冊目-【超電磁砲】

 ▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-35冊目-【超電磁砲】

 ▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-36冊目-【超電磁砲】

 ◇これ以前のログはこちらから

禁書「>>950!いままでのおやくそく一覧なんだよ!」

02   インデックスさん
03   小萌センセー
04   建宮さん
05   オルソラさん
06   キャーリサさま
07   フレンダさん
08   御坂妹
09   最大主教さん
10   舞夏さん
11   上条さん
12   白井さん
13   一方通行さん
14   土御門さん
15   絹旗さん
16   黄泉川せんせー
17   愛の伝道師・青髪ピアスくん
18   サーシャさん
19   姫神秋沙さん
20   御坂美琴さん
21   アックアさん
22   打ち止めちゃん
23   オリアナさん
24   麦のん
25   テッラさん
26   フレメアちゃん
27   闇咲さん
28   冥土帰しさん
29   テンプレ改訂のためキャラ無し

30   浜面くん&滝壺さん     
31~  テンプレ改定のためキャラ無し

- - - - - ここまでテンプレ - - - - -

スレ建て乙です!
数レスいただきます。


TV『…○山にはピクニックに訪れる人々の姿も見られるようになり、また桜の開花も進んで一段と春の…』

打ち止め「ピクニックに行きたい!!」

番外個体「おっ。いーねぇピクニック」

一方通行「…ピクニックだァ?」

打ち止め「そう!天気の良い日にみんなで山なんかに行って、そこで遊んだりお弁当食べたりってミサカはミサカは一般的なピクニックの情景をアナタが簡単に想像でき」

一方通行「行かねェよ」

打ち止め「えーっ!ちゃんと最後までピクニックの説明を聞いてから答えてほしいかもってミサカはミサカは…」

一方通行「知った上で言ってンだよ。なンだってこの俺がそンな面倒なことに付き合わなきゃならねェンだ」

黄泉川「まあまあ、そうカタいこと言わずに行ってあげればいいじゃんよ」

一方通行「お前らで勝手に行ってくればイイじゃねェか」

黄泉川「何言ってんだ。お前が行くことに意味があるじゃん」

一方通行「あァ?」

黄泉川「なあ。打ち止め?」

打ち止め「えっ?い、いや、別にそんなことは……ただアナタの華奢な体躯と薄い肌色から見て取れる深刻な運動不足を解消するためにもぜひ一緒に来るべきというか…」

黄泉川「……」

一方通行「余計なお世話だクソガキ。常人程度には動いてらァ」

打ち止め「うぅ…」

番外個体(この子にもちょっとオリジナルの性格が見えてきたのかもねぇ)


番外個体「ギャハッ☆ そう言うけどさ、どう見たってもやしじゃん。セロリじゃん。運動不足は否定できないと思うけど?」

一方通行「てめェの口からじゃ今さら喧嘩売ってるようにも聞こえねェよ」

番外個体「それって褒めてる?」

一方通行「…どういう解釈したらそォなるンですかァ?」

番外個体「ま、いいや。とりあえずミサカは行こうかな。ピクニック」

一方通行「あァ。行ってこい」

番外個体「いいのかなあ?打ち止めの保護をミサカだけに任せちゃっても」

一方通行「今さらお前がそのガキをどうこうするとは思えねェよ」

番外個体「そうじゃなくてさ。自分で言うのもなんだけど、万が一の時の戦力としてはいささか不安が残ると思わない?」

一方通行「…そうそう万が一なンざ起こるか。それにMNWだってあンだろ」

番外個体「その油断が命取りだと思うけどなー。それにそういう時って、悠長に応援を待ってられる状況のほうが少ない気がするよ?」

一方通行「……」

番外個体「どうするの?」

一方通行「チッ……検討しといてやる」

打ち止め「!!」

番外個体「ふふーん。前向きによろしく!にゃはっ」

黄泉川「よかったじゃん!打ち止め!」

打ち止め「うん!」

打ち止め「(ありがとう番外個体!ってミサカはミサカは小声で精一杯の感謝を耳打ちしてみる!)」

番外個体「(お安いご用だよん。まー最終的にはあの人次第になっちゃうけど)」

一方通行「クソッタレが……だりィってレベルじゃねェぞ…」

TV『…家族連れや保育施設からのピクニック客も多く、広場は小さな子供で賑わって…』

一方通行「いいねいいねェピクニック!!最ッ高だねェ!!」

打ち止め「」

番外個体「」

一方通行「じゃいつ行くんですかァ!?今でしょォォオ!!!」

打ち止め「」

黄泉川「打ち止め…泣いちゃだめじゃん」

番外個体(引いたわ…さすがのミサカもこれは引いたわ)

一方通行「弁当はなんですかサンドイッチですかァ!?ヒャハッハッハハッギャハハハ!!」

打ち止め「」

V『…お花見のための料理を作る○○さん。てるてる坊主のおかげでしょうか、天気も…』

フレメア「浜面、お花見ってなに?にゃあ」

浜面「あー…なんだ、桜の木の下に集まって、飯食ったり酒飲んだり歌を歌ったりしてみんなでわいわい楽しむ行事だよ」

フレメア「大体なんでお花を見るのに食べたり飲んだりするの?」

滝壺「はまづらはバカだから、バカ騒ぎしないとお花も見れないんだよ」

フレメア「なるほどー!納得!」

浜面「何言ってくれてんの滝壺さん!?んでフレメアも何納得しちゃってんの!?」

滝壺「本当は、『花より団子』って諺があってね」

フレメア「ふんふん」

浜面「それもなんか違うと思うぞ…」

フレメア「にゃあにゃあ!私、お花見してみたい」

滝壺「だって。はまづら」

浜面「花見か。まあ、いいんじゃねえの」

フレメア「決まりっ!それじゃすぐ準備しなきゃ!」

浜面「え?今日行くのか?」

滝壺「はまづら、『思い立ったが吉田』っていう諺があってね」

浜面「吉日な」

フレメア「いぇす!ヨシダ!!」

浜面「だから吉田じゃねえって!」

フレメア「大体、ヨシダのほうが言いやすいし」

浜面「言いやすさとかの問題じゃあ…」

滝壺「はまづら、細かいことばっか気にする男は私にしかモテないよ?」

浜面「うるせ……って、え?」

滝壺「んふー。ほら、早く支度しないと♪」ギュ

浜面「お、おう」

フレメア「ペッ」


TV『…今日の占い、カウントダウンウルトラー!え?いつもながら語呂が悪い?そんなアナタはごめんなさーい、12位』ブツッ

上条「よし、忘れ物ないな?」

イン「あんまり私をナメないで欲しいかも。私の完全記憶能力をもってすれば物を忘れるなんてありえないんだよ!」

上条「そりゃ頼もしい限りで…」

上条(忘れ物と物忘れは別物な気がするけど、余計なこと言うと噛みつかれそうだし黙っておこう)

イン「…とうま、何か失礼なこと考えてる顔だね?」

上条「め、滅相もございませんのことよ!?」

イン「ってゆーか、顔が失礼なんだよ」

上条「どういう意味だそれ!?」

イン「ささ、早く行かなきゃ時間が無駄になっちゃうよ」

上条「腑に落ちねえけど…その通りだな。せっかくのプール1日券なんだし、一日中遊び尽くさないとな!」

イン「おー!なんだよ!」

??????????

御坂「(べ、別にこれはアイツと一緒がいいとかそんなんじゃなくて、ただ今がちょうど見頃な時期で且つ私もたまたま時間があるってだけで…)」ブツブツ

白井「…お姉様?さっきから何をぶつぶつと仰っていますの?」

御坂「っ!?あ、ああ黒子、起きてたのね!おはよう」

白井「起きてたのって、私はもう身支度まで済んでおりますのに」

御坂「そ、そうなの?」

白井「……してお姉様、そのお手になさっている大きな籠は一体…」

御坂「えっ?や、これはその…何でもないっていうか?ただの…えっと、し、ショッピングバッグよ!」

白井「…まあいいですの。私はジャッジメントのお仕事に行って参りますので」

御坂「う、うん!がんばってねー」ヒラヒラ

白井(お姉様…怪しすぎですの)


御坂「危なかったぁー…黒子にばれたら面倒なことにしかならないもんね」

御坂「よ、よーし!」ピッ

??????????

上条「不幸だ…」

イン「…とうま、『臨時休業』ってどういうこと?」

上条「えっとですね……突然ですが施設の都合により本日は営業しておりませんという」

イン「そんなことを聞いてるんじゃないんだよ!!プールは?レストランのスイーツ食べ放題は!?」

上条「いや、いや!!これは断じて俺の責任では…!」

イン「と?う?ま??」

上条「ひいィ!?」

イン「そのトゲ頭を噛み殺」クワッ

prrrrrrr

上条「ちょっ、タンマだインデックス!電話だ電話!」ピッ


上条「も、もしもし!」

御坂『もひっ!も、もすっ…あぅ…』

上条「? その声…御坂か?何か用か?」

御坂『え、あ…うん。用ってほどでもない…くもないんだけど…』

上条「?」

御坂『えっと…あ、アンタいまヒマよね?』

上条「なに勝手に決めてらっしゃるんですか?上条さんは今プールに」

御坂『プール!!?』

上条「っ!?」

上条「い、いきなり大声だすなよ!びっくりすんだろ!」

御坂『……』ズーン

上条「あのー、御坂さん?」

御坂『へ?…あ、プール…プールね。そっか…』

上条「いや、プールに来たは良いんだけどさ…なんか臨時休業になっていてですね」

御坂『…えっ?』

上条「それでまあ、これからどうしたもんかと」

イン「がるるるるるる」

上条(主にこの横で構えてらっしゃるイカむす…怒り娘さんをな)

御坂『そ、そう。つまり、今アンタは完全に暇なワケ…よね?』

上条「ええ…まあそうなっちゃいますかね…」

御坂『…!』

御坂『ふうーん。じゃ、じゃあさ……』


一方通行「……で?」

浜面「どうして」

上条「こうなった…」


番外個体「ギャハハ!まさかお姉様も来てるとは思わなかったなー」

滝壺「お姉様……お姉…様?」チラッ

御坂「そういうコトにしといて…てかアンタいま人のどこ見て疑問符つけた?」


打ち止め「やーい!食糧争奪戦開始ー!ってミサカはミサカは下級戦士共に向かって宣戦布告をしてみる!」

フレメア「だっ、誰が下級戦士か!大体そのサンドイッチは私が先に目を付けてたやつだし!」

イン「ちょっと!そもそもここにある食べ物は全部私がいただくためのものなんだよ!」


一方通行「めんどくせェことになっちまったもンだ…」

番外個体「そう?私はアナタとのお通夜みたいなお出かけよりかは楽しくて良いと思うけど?」

一方通行「そォかよ。そりゃ良かったな」

番外個体「それに小さいコが増えて実は心踊らせてるのが見え見えだし」

一方通行「ぶっ殺されたいんですかァ?」

番外個体「あっれー?私に言われても喧嘩売ってるようには聞こえないんじゃなかったっけ?」

一方通行「……」

浜面「え?一方通行ってもしかしてロリゴャァアアア!!!!」

滝壺「おお。はまづらがトリプルアクセルを決めて飛んでった」

ドサッ

浜面「……」ピクピク

滝壺「着地失敗、減点1。と」

上条「お前らなあ…せっかくの花見なんだしさ、楽しくやろうぜ」

御坂「こんな予定じゃなかったのに…」ブツブツ

上条「御坂。本当ありがとうな、花見に誘ってくれて」ヒソヒソ

御坂「ひゃっ!?な…あ…うん。え、なんか変な感じになっちゃったけど」

上条「お前が誘ってくれなかったら、今ごろ上条さんの頭蓋は穴だらけでしたよ」

御坂「はぁ…?」


イン「こらぁ!だからそのお団子も私のだって何度言えば…」

フレメア「にゃあにゃあ!お団子は浜面が買ってきたやつなんだから所有権は私にあるんだけど!」

打ち止め「はっはー!戦にそんなもの関係ないんだよもぐもぐ!ってミサカはミサカは可愛らしくお団子を頬張りつつ……ンぐぉお!?」

フレメア「ちょっ!?」

打ち止め「ンむ??!!??っ!!」ドンドン

フレメア「!?」

フレメア「 浜面!浜面大変だ!!大体打ち止めがお団子を喉に詰まらせた模様!」

浜面「」ピクピク

フレメア「にあああ!?浜面使えねええええ!!」

一方通行「打ち止めァァァ!!」

番外個体「大変だー(棒)!早く人工呼吸に行くのだー(棒)!」

一方通行「任せとけェェエエ!?いやそォじゃねェだろォォ!!」

イン「あっはっはー。神罰が下ったんだよ」

御坂「何てこと言ってんのよこのシスターは!?」

上条「御坂、そこの水取ってくれ水!」

御坂「あ、うん!はい!助けに行かないとね!」

上条「うめえええやっぱ水はいろはすに限るな」

御坂「アンタが飲んでどーすんのよォォ!!!!」バチィッ!!!

上条「んぎゃああいいいあああ!!!」

滝壺「大丈夫だよ。今吐かせてあげるね」ドンドン

打ち止め「ん?ん??!!」


ワーワー ギャーギャー……


このあとも異色の組み合わせによるお花見会は円満?に進み、なんだかんだで全員で写真とかも撮って楽しく終わりましたまる


黄泉川「ほー、よく撮れてるじゃん」


麦野「変な組み合わせね。でもなぜかしら」


10032号「こうして並んでいると3組の…まるで」


ーーー家族のようーーー


黄泉川「じゃん」
麦野「ね」
10032号「ですね」


おわり。

少しもらいます
浜面絹旗黒夜の焼きそばの話です

黒夜「五月蝿いねぇ」

絹旗「超その通りなんですが黒夜と意見が一致するとは超不愉快です。我ながら超未熟者です」

黒夜「はいはい。調子のんな。
   こちとら手術跡が痛むんだよ。あちこちメス入ってる身体なモンでな」

絹旗「そんなの自分の責任じゃないですか。私には超関係ありません」

黒夜「責めてねぇだろうが。
   さっきからうっせぇな。
   喧嘩売ってるんなら買ってやるよ浜ちゃんの支払いで」

浜面「おいおい、勝手に巻き込むなよ。
   確かにこのザアザア降り三日連続でご機嫌ってわけには行かないとは思うけどよ」

絹旗「超三流の雑魚の浜面でもその程度は理解できるようですね。
   この雨だと映画を見に行くこともできません。
   車から降りて傘開く前にずぶぬれになっちゃいますよ」

浜面「地下に駐車場があって濡れなくても劇場まで行ける映画館もあるけどな」

絹旗「そういうところはメジャーどころしかないから好みじゃないんです」

黒夜「深夜放送で録画してあんのいっぱいあんだろうがよ。素直に見てればいいじゃん。
   チームアメリカとかさ」

絹旗「私は大画面で見たいんです。
   それにこの雨だとお昼ご飯食べに行くことも厳しいじゃあないですか」

黒夜「お昼ご飯かぁ。どうしようか?
   ピザでも取る?」


浜面「おいおい、お前ら作るという発想はないのか。
   年頃の若い娘が二人してよ」

絹旗「暗部の人間がのんびり腰を落ち着けて料理なんかしませんよ。
   コンビニで買ってきたほうがはるかに早いですし余計な道具もいりませんし。
   麦野は趣味でやってますけど、今は滝壺さんと一緒に病院行ってますし」

浜面「少しは麦野を見習ったらどうだ。趣味でもやっているだけ偉いじゃないか」

黒夜「そうだそうだ。
   アイアイちゃんはそうでもしなけりゃ嫁の貰い手がないぞ」

絹旗「誰がメガネザルですか。だったら黒夜が作ればいいじゃないですか」

黒夜「はん、私が作れるとでも思ってるんかい。自殺したいのなら自分でやりな」

浜面「開き直るなよ。いいよ、俺がつくるからさ」

黒夜「あれ? 浜ちゃん料理できるの?」

浜面「学園都市はひとり暮らしが多いから料理できる男は多いぜ?
   スキルアウト時代にも結構まかない作ってたなぁ」

絹旗「ほほう。それは初耳です。
   考えてみれば浜面に料理を作らせたことはありませんでしたね。
   どうせカップ麺にお湯を注いでみました、レベルだとは思いますが作ってみるといいですよ。
   というか超作れ」

浜面「へいへい。
   冷蔵庫の中身と相談してからだな」

浜面「うし、焼きそばにしよう」

絹旗「超手頃ですね。失敗しない安全策ですか。超小物っぽい発想です」

黒夜「んー。文句はないけどありきたりじゃないものが食べたかったかなぁ」

浜面「おう、そういうことなら安心しろ。
   普通のソース焼きそばじゃない、浜面仕上流の和風焼きそばを作ってやっからよ」


浜面「材料はこれだ。


   ①焼きそばの麺        三人前
   ②エビとかイカとか      てきとう
   ③万能ねぎ          一本
   ④オイスターソース・醤油   適量
   ⑤ごま油           適量
   ⑥日本酒           適量
   ⑦しそ            3枚ぐらい
   ⑧生卵            お好みで      」

黒夜「しそ? 焼きそばにそんなもん入れんの? あと生卵って?」

絹旗「それで和風ですか? 美味しいんですか?」

浜面「まぁ、食ってみてのお楽しみだな」


浜面「まずはフライパンにたっぷりごま油を引いて、軽く煙が出るぐらいまで強火で熱する」

絹旗「いい匂いがしてきますね」

黒夜「ごま油って調味料としても優秀だよね。インスタントのワカメスープに一滴垂らすだけで全然違うし」

浜面「で、フライパンに麺を入れる」

黒夜「あれ? ほぐさないの?
   お湯入れたり酒入れたりで」

浜面「ほぐさないんだなぁ、これが。
   で、塊のままひっくり返すと」

絹旗「おお、麺に焦げ目がついてますね」

浜面「これが美味いんだよ。で、麺は一回皿に取っておいて。
   フライパンに油が足らなければ追加してもういっかい煙が出るぐらいまで加熱して。
   今度は小口切りにしておいたネギを入れる」

黒夜「油とネギの香りが混じってきた」

絹旗「でも和風っていうよりも中華風ですよね」

浜面「ま、こっからだこっから。
   でエビとイカを投入する。
   色が変わるぐらいまで火を通してだな……で、ここに麺を再投入。
   んでもって日本酒を入れる」

絹旗「お湯じゃダメなんですか?」

浜面「日本酒の方が麺をほぐしやすいし旨みも加わるんだ。俺の好みだからお湯じゃダメってわけじゃないけどな。
   で、麺が完全にほぐれたらオイスターソースと醤油を入れて炒める」


黒夜「おお、すごい美味そう。これで完成じゃないの?」

浜面「これだけでも美味いけどな、もうひと工夫だ。
   しそを刻んで入れる。
   刻む前に手のひらの上においてもう片方の手で叩くんだ。
   しその細胞が潰れて香りが良くなるんだ」

絹旗「どれどれ。ぱん、ぱんと。
   おお、確かに超香りが良くなってきました」

浜面「まぁ、ちょっとしたご家庭の知恵だな。で、刻んでフライパンに投入してすぐ火を消す。
   しそは火を通しすぎると香りが飛ぶから。
   んでもって出来上がりだ」

黒夜「あれ? あんまりしその香りしないじゃない。オイスターソースの香りはするけど」

浜面「今は、な。食ってみればわかる」


絹旗「どれどれ、超チンピラの浜面が作ったものではありますが焼きそばには罪はありません。
   大口たたけるほどの味か判定してあげようじゃありませんか」

浜面「素直にいただきますぐらい言えよな」

黒夜「まぁ、とりあえずは一口。はむ」

黒夜「おお! これは初めての味かもしれない!
   オイスターソースと醤油で中華っぽい味付けなのにしその香りでめちゃくちゃ和風だ!
   エビとイカの歯ごたえもいいし、焼けた麺がパリッとしてるのもいい!」

絹旗「確かに。
   超不思議ですがお皿の上ではあんまり感じなかったしその香りが口いっぱいに広がりますね」


浜面「パリパリした麺を生卵につけてすき焼きみたいにして食べても美味いんだぞ」

黒夜「へぇぇ。それも美味しそうだね。試してみようか」

絹旗「チュルチュルっていう食感ですね。超不思議です。おんなじ焼きそばなのに生卵絡めるだけでこんなに変わるなんて」

黒夜「うん、これも美味しい。けど少し味が薄くなるね」

浜面「まぁ、これはソース焼きそばのときの裏技だからな。
   卵は乳化作用で味がマイルドになる分薄味になるんだ。
   でも不味くはないだろ?」

黒夜「不味くはないけど、せっかくのパリパリとしその香りが楽しめないのはもったいないかな。
   私は卵絡めない方が好きかも」

絹旗「私は絡める派ですね。こういうふうに生卵を使うなんて初めてです。超新鮮な驚きです」

浜面「好きな方で食べればいいさ。どっちにしろ正統派の焼きそばじゃねぇし。
   女の子に振舞うには高級感もないけど、それなりに美味いだろ?」

絹旗「超悔しいですが美味しいです。浜面のクセに生意気ではありますが、今回ばかりは褒めてあげましょう」

黒夜「浜ちゃん私の知らないこといろいろ知ってるなぁ。そういう部分には敬意を表してもいいかもしんない。
   やっぱり一人暮らし長いとこういうこと身につくものなの?
   何種類ぐらいレシピあったりする?」

浜面「数えたことはないが50や100はあると思うぞ。
   カレー作れればシチューも肉じゃがもおんなじ要領で作れるし、スパゲッティとかもある程度は似通ってくるし。
   唐揚げが作れれば治部煮も作れる。
   でもこんなの学園都市の男なら普通に持っていておかしくないスキル。
   俺よりも料理できないと男にはモテないかもなぁ」


絹旗「……おいコラ、なんでそこで私を見るんですか」

黒夜「……浜ちゃん、なんで私を見てため息つくのか、教えてもらってもいいかな?」

浜面「いやね、出来の悪い娘をの将来を案じるパパの気持ちってこんなものかなぁ、と思ったりしただけですよ、はい」

黒夜「はああぁ!? 調子にのってンじゃねェぞコラ!
   こちとら娘になった覚えはねェぞ!」

絹旗「そうですよ。出来が悪いのは色気の欠片もない厨二病患者の黒夜だけです。
   だっさい真っ黒のパーカーを頭に被って、それでおしゃれのつもりですか。超痛いです。
   あと娘になったつもりはありません、というよりも浜面が出来の悪い息子です。
   黒夜が出来の悪い娘なのは超否定できませんけど」

黒夜「ンあァ!? ナマ言ってるンじゃねェゾ、このエグレ乳!
   ブラつけてから出直してこいや、ど貧乳!!!
   洞窟に分厚い膜ついてる掘削不可能物件の分際で!!!」

絹旗「膜付きなのは黒夜もでしょうが。
   能力使えないクセに喧嘩売るつもりですか。超生意気ですよ……って、なんでそこ勝ち誇ります?」

黒夜「いやぁ、知らないってかわいそうな事なんだなぁって。
   ねぇ、浜ちゃん?」

浜面「へ?
   一体何のこと……」

黒夜「やだなぁ、とぼけなくっていいじゃない」

絹旗「浜面……まさか、黒夜と……」

浜面「はあぁぁんっ!? いや、んなわけないだろ?
   だって俺には滝壺が」

黒夜「絹旗ちゃんさ、元暗部で敗北した女が男にどういう目に遭わされるか、想像つかないわけないよね」

浜面「いやいや、そんな時間あるわけなかったし!」

黒夜「浜ちゃんが私をここに連れてきたこと自体おかしいと思わなかった?
   ハワイにも一緒に行ったし、義手の弱点まで知ってるってさ、そういう距離にいたってことって想像つくよね?」

絹旗「浜面……どこから潰して欲しいか、要望なら聞きますよ」

浜面「そんな要望あるかぁぁぁ!!!」

絹旗「待てやゴラァ!!! 私にじゃなくって黒夜に手を出したなんてとんでもない屈辱ですっ!!!
   超ぶち殺す!!!」

黒夜「……二人共焼きそば食べないんならもらっちゃうよ?
   一週間食べなくても平気だけど食いだめもできるんだよね、私。
   あ、あんまり暴れないでよね。埃立つから」

以上です
学園都市の生徒って基本的な家事スキルは高いと思うのですよ
その分大人は低いんじゃないかなって気がする

6レスお借りします。とある平和な学園都市をえがいてみました!




とある学生寮




元春「にゃー、暇だぜい」ゴロゴロ

舞夏「今日はお隣さんも平和そうだし、すこぶる暇だぞー」

元春「カミやんのことだからあと数分もしたら騒ぎ出すに決まってるぜい」ゴソゴソ

舞夏「兄貴、なに探してるんだー?」

元春「テレビのリモコン。今日はフロリダの方でミッキーの特別パレードとやらが催されるらしいにゃー」

舞夏「普段やってるパレードと違うのかー?」

元春「それを今から確認するんだぜい」ピッピッ

―――ンダヨ、デテルンダヨトーマ! ワカッテルカラオオゴエダスナ!

舞夏「噂をすればなんとやらだなー。フムフム」

元春「どんな話をしてるんだにゃー?」

舞夏「なんかテレビを見てシスターが興奮しているみたいだぞー。えーっと」




――――――――



禁書『はわー、ミッキーなんだよ、ミッキーが出てるんだよー』キラキラ

当麻『イギリス人ってミッキーマウスが好きなのか?』

禁書『イギリス人に限った話じゃないかも! 日本人だってミッキーが好きな人いっぱいいるでしょ?』

当麻『俺の周りはどっちかっていうとドナルド派が多いかなー』

禁書『むむ、ドナルドが好きなことに全く問題はないけどその言い方だとミッキーが好きじゃないみたいなんだよ』

当麻『そんなことねーよ。まず皆ミッキーありきで話をしてるからな―――ん?』

禁書『? どうしたのトーマ。テレビを見て固まっちゃって』

当麻『い、いいいやテレビを見てみろってインデックス!』ドキドキ

禁書『今までにないくらい興奮してるんだよ……一体何が―――』


テレビ<学園都市で、ミッキーと握手!

ミッキー『みんな、待ってるよ~。ハハッ』


禁書『』

禁書『ミ、ミミミ、ミッキーなんだよ! 本物のミッキーなんだよ!』キラキラ

当麻『学園都市に来てるってマジかよ! 急いで青ピたちに連絡しないと……あれ? メールが入ってる』カチカチ

当麻『やべえ! みんなもう向かって場所取り始めるって! 俺たちも行くぞインデックス!』

禁書『もちろん! 待ってるんだよミッキーーーッ!!』



――――――――




舞夏「どうやら隣もディズニーパレードを見てたみたいだなー。それより聞いたか兄貴? 
  ミッキーが今学園都市に来ているらしいぞ? せっかくだから私たちも……」

元春「…………」

舞夏「……兄貴? どうしたんだ?」

元春「……ぇない」ボソッ

舞夏「は?」

元春「ミッキーは今フロリダにいるはず! どうして学園都市にいるんだ!?」ガタッ

舞夏「な、何を言ってるんだ兄貴? 別にミッキーがどこに居たって―――」

元春「ミッキーは世界で一人しかいないんだ! フロリダと学園都市で同時に存在するなんてありえない!」

舞夏「え?」

元春「考えられる可能性としてはどちらかが偽物のミッキーマウスという事に……いや、ミッキーマウスは魔法使いの師匠がいた、これは魔術か!?」

舞夏「あ、兄貴ー……?」

元春「なんて奴だ、まさか世界中の人間達の目の前で空間移動の魔術を堂々と行使するとは……いや、
  どちらかと言えばこれは分身を作り出す魔術の方が可能性は高いか……」ブツブツ

舞夏「兄貴……」

元春「クソッ! アレイスターの奴、これが魔術サイドにどれ程の影響を及ぼすのか把握していないのか!? とにかく急いで窓のないビルに行かなくては……」

舞夏「兄貴が壊れたー!!」





窓のないビル


アレイスター「…………」

数多「…………」

アレイスター「……ハハッ」

数多「ブフォッ!」プルプル

アレイスター「実に楽しい物が見れたな。土御門のこのような姿はそうそうお目にかかれない」

数多「まさか本気であのネズミが世界に一匹しかいないと思ってやがるとは……」プルプル

アレイスター「君が昔彼についたウソがココまで愉快な結果に繋がるとは。やはりイレギュラーな出来事というのは
      プランに縛られた現状では実にすばらしい娯楽だな」

数多「それにしてもよくやるよなテメーも。学園都市でディズニーパレードが始まる時間に合わせて、あのクソガキの住んでる寮のテレビにだけ
  過去のフロリダのディズニーパレードの映像流すなんてよ」

アレイスター「フフフ、これくらいやらなければ楽しくはないだろう?」








アレイスター「今日は4月1日なのだから」











お終い。












アレイスター「ところで木原数多、今日は色んな女性達とディズニーパレードを見に行く約束があったんじゃなかったかな?」


数多「せっかく忘れてたのに思い出させるんじゃねえよ!」







ふう、エイプリルフールネタが投下できてよかった。え?今4月1日の26時ごろですよね?
相も変らぬ即興ssですが、今回つっちーネタだったのは経緯は忘れましたが土御門の話をしてるときに兄が
「ミッキーは今フロリダにいるはずだ!」と冗談で言ったのが原因です。
最初はただの純粋つっちーssのつもりだったのに結局木原くン捻じ込んじゃった。
あ、事後報告ですが夢の国に連れて行かれても責任は取りません。ご了承を。



ホントは病理さんがエイプリルフールだからと愛の告白をしたら日付が過ぎててお顔真っ赤にするだけのを書くつもりだったんだけどなぁ……


吹寄は実は元白鰐部隊(ホワイトアリゲーター)の一員でレベル4『油性兵装』だった
それが暗部にばれて『スクール』に入れられてしまう……
吹寄と同じく元白鰐部隊の相園美央からその事を知った上条は偶然知った美琴と共に吹寄を助けるために暗部達の抗争(十五巻)に巻き込まれるのだった……

相園の口調や吹寄の真情とかうまく出来なくて断念
そもそも吹寄が実はレベルが高い能力者設定だったとかないよね?(青ピはあるけど)

短編兼嘘予告。
上条さんがローマ正教に所属していてアックアさんと師弟関係を結んでいたらという妄想。

ヴェント可愛いよヴェント

イタリア、バチカン。
そこにはとある組織の最深部がある。
その組織の名はローマ正教。
世界に二十億人の信徒を持つ世界最大級の組織。
そしてバチカンの中心地、聖ピエトロ大聖堂にその組織のトップである五人プラス一人がそこにいた。


アックア「ただいま帰ったのである」

フィアンマ「おう、おかえりだ。ご苦労だったな」

ヴェント「つっても大したこと無かったんでしょ?」

テッラ「所詮異教徒の猿どもですからねー」

マタイ「だからと言って殺していいというわけではないぞ」

上条「そうだぞー。何と上条さんと師匠は一人も殺さずに魔術組織を壊滅させたのです!」


ローマ教皇、マタイ・リース。
民衆の投票によって選ばれ、ローマ正教において表で最も上の地位ににいる人間。
ローマ正教の最終兵器、『神の右席』。
人間としての『原罪』を可能な限り原罪を薄めることで通常の人間には不可能なクラスの魔術を行使するできる存在。
そんなとんでもない人間たちと陽気に話し合う日本人。





ーーー彼の名は、上条当麻と言った。


フィアンマ「ほう?だいぶやるようになったな。確かそこそこの狂信者だったと思うが」

アックア「………奴らは魔術防壁や魔法陣に頼るタイプだったのである」

テッラ「それはそれはご愁傷様ですねー」

マタイ「だから上条を向かわせたのだがな」

上条「ちょっと触ると同時に家の壁が全部吹っ飛んだ時はビビった」

ヴェント「ホントその右手ってどうなってるのかしら?」

フィアンマ「俺様に明け渡す気はないか?きっと世界を救って見せるぞ?」

上条「生憎俺は世界が救いがないとは思ってないからな」

テッラ「ローマ正教徒以外に救いはありませんがねー」

上条「………相変わらずですねー。テッラさん」

テッラ「逆にあなたはローマ正教徒以外を助けすぎですねー」

上条「いいだろ別に。まあとにかく。フィアンマももっと外に出ようぜ」

アックア「引きこもりであるからな」

ヴェント「ぷっ…………」

上条「確かにそうですね。ずっと室内にいてテレビとかばっか見てるし」


フィアンマ「世界を回すために必要なことだ!」

ヴェント「『うっせーなー!シュウショクカツドウに必要なことなんだよ!』wwww」

上条「『だから飯はドアの前においとけババア!』wwwww」

マタイ「お前たちは一体どこでそんな知識をしいれてくるんだ……」

フィアンマ「………言ったな貴様ら。後悔するなよ」

マタイ「その程度で怒るんじゃない。だいたい事実だろう」

テッラ「最後に外に出たのはいつでしたかねー」

ヴェント「二ヶ月くらい前に散歩に出なかった?」

アックア「妙なことを言いながら帰ってきたのである。10分ぐらいで」

上条「どんなこと言ってたんですか?師匠」

アックア「『やはり世界か………世界が悪いんだ………』」

上条「ぶはっ!!」バンバンバン

ヴェント「………………ッ!!!」バンバンバン

マタイ「机を叩くな上条、ヴェント」

上条「世界がwwwwwww世界が悪いwwwwwwwww」

ヴェント「俺様がwwwwwww世界をwwwwwwww救うwwwwwwwwww聖なる右wwwwwwwwwwww」

フィアンマ「………上条。お前はいつもとしゃべり方が違うな」

上条「?」

フィアンマ「アックアがいない時だけあのしゃべり方はしないんだな。何か知られてまずいことがあるのか?」

上条「げ!?」

アックア「………どういうことであるか?」

上条「いや!何でもありませんのことよ!!」

フィアンマ「ほら言ってやれよ。いつものように」

アックア「何であるか?」


フィアンマ「『某は上条当麻である!』」

アックア「…………」

上条「あわわわわわ」

フィアンマ「『ーーー聖母の慈悲は厳罰を和らげる(キリッ』」

アックア「…………」

上条「…………」ダラダラ

ヴェント「wwwwwwwwwwwwwww」バンバンバンバン

テッラ「うるさいですねー」

マタイ「机が壊れるぞ」

フィアンマ「『時に、神の理へ直訴するこの力。慈悲に包まれ天へと昇れ!(キリリッ』」

アックア「…………」

上条「…………」ダラダラ

フィアンマ「『である!!(キリリリリリッ』」


アックア「…………何か、言い残すことはあるであるか」

上条「すいませんでした!!!!…………である」ボソッ

アックア「ぬうううううううううん!!!!!」

上条「メイスはやめてええええええええええええええ!!!!!」


ヴェント「あー、笑ったわー。笑いすぎてお腹いたい」

フィアンマ「そんな笑ってる余裕があるのか?ヴェントよ」

ヴェント「あー?私は特に後ろめたいことはないケド?」

フィアンマ「そうか。ならお前の枕元にある何処かのツンツン頭によく似た人形も別に言いふらしても構わないな」

ヴェント「……………は?」

フィアンマ「あの大きなヌイグルミだ。いや、よくできてるよアレは。デフォルメされつつも誰がどう見てもモデルが誰かわかる」

ヴェント「な、ななななななな////////」

フィアンマ「夜中に実はこっそり寂しくなって抱きしめたりして「テテテテテテテメエ!?/////////何でそんなこと知ってる!?///////////」なんだ?後ろめたいことは何もないんだろう」

マタイ「意外と可愛らしいところもあるのだな」

テッラ「そういえばちょっと弟に似てるとか言ってましたねー」

ヴェント「ウルセェ!乙女の部屋を覗いてんじゃねえよクソが!!」



フィアンマ「ほほう、良いのかそんなこと言って?ここにその人形の写真があるが。ついでに抱きついてる写真も。上条に見せちゃおっかなー」

ヴェント「ゴメンなさいフィアンマ様!!もうバカにしないんでホントにあいつに見せるのだけは勘弁してください!!」

フィアンマ「ハハハハ!いい眺めだぞヴェントよ!」

上条「たす…………け…………」

アックア「まだである!!貴様にはもう一度『傭兵の流儀』を叩き込んでやるのである!!」

テッラ「今日も賑やかですねー」

マタイ「少し喧しいくらいだがな」







ローマは今日も平和です。








上条「え?学園都市に?」

フィアンマ「ああ。行ってもらう」


上条「何日ぐらい?」

フィアンマ「4年ほどだ」

上条「…………は?」

ヴェント「」ガタッ

アックア「座るである」

テッラ「どうしたんです?確かに学園都市は異教徒の猿どもの中でも特に醜悪なものの集まりですが」

フィアンマ「スパイのようなものだ。と言っても向こうのトップには知られているがな」

マタイ「お前には中学三年生として学園都市の中学に入学してもらう」

上条「…………マジで?」

フィアンマ「大マジだ」

マタイ「では、健闘を祈る」






上条「学園都市、ねぇ…………」




『傭兵の流儀』を学んだ上条当麻が、学園都市で多くの事件に巻き込まれる!
とあるローマの上条当麻、近日今回予定(大嘘)!

お目汚し失礼しましたー。

ipadで半角カナを書けなかった………

書くか。今暇だし。
スレ立てるのは面倒だからここで書いていいですかね?

じゃあいつか多分スレ立てる。

とりあえず予告。
嘘予告の方は思いついて30分で書いたやつだったけど、プロットは練った。
多分ipadだしかなり遅くなるけど、のんびり待っててください。

ローマ正教に所属する魔術師、上条当麻。


「ここが学園都市、か」


上司の指示で学園都市にやってきた彼に、早速様々な困難が襲いかかる!



「ぬおお!メイドとドラム缶が襲ってきた!?」

「危ないんだぞー!?」

「舞夏に手を出すやつは何人たりともぶち[ピーーー]にゃー!」



「警備員じゃん!おとなしく投降するじゃん!」

「げ!?黄泉川だ!!」

「ああ黄泉川さん、今参ります!」

「………半蔵は置いていくぞ」

「何でATM泥棒として上条さんは追われてるんでせうかー!?」



「無視すんなやゴラアアアアアアア!!!」

「待ちやがれテメエエエエエエエエ!!!」

「あああああああああもう!?何で一日に何回もいろんな人に追われるんだ!?」

「あのひと、AIM拡散力場がない」

「外部の人間ですかね?まあ麦野と第三位に追われるなんて超ご愁傷様です」

「結局、運が悪かったってわけよ!」

「科学性の呪いか!科学怖い!!」


「おいおいあぶねーな、ツインテールのお嬢さん?」

「だ、誰ですの?」

「巨大なハンマー………能力かしら?」

「俺の鉄球を砕いた!?テメエ、動いたらこいつの命がねえぞ!!」

「きゃああああああああああ!」

「初春!!」

「安心しろ、お嬢さん。あの花飾りの子は絶対に助ける」

「なぜ民間人の方がそんなことを!?」

「『傭兵の流儀第二条』、『女のために、命を懸けるべし』ってな」
「さて、いこーるすぴいどとやら」








「ーーーローマ正教所属、上条当麻。いざ、参る」

とあるローマの上条当麻、近日公開予定!
乞うご期待!

少しもらいます
浜面絹旗黒夜の料理の話です

絹旗「黒夜、何読んでるんですか」

黒夜「アクセのカタログ。ガラス玉でも三万円とかするんだなぁってさ」

絹旗「それバカラじゃないですか。むしろ安いほうです。
   ガラス玉って言ってもカラット数は超大きいし色も深みがあります。
   二十万のダイヤなんかよりはよっぽどいいですよ」

黒夜「まぁ、ダイヤで二十万っていったらクズみたいなものしかないしね」

絹旗「0.3カラットでお月様の大きさって言いますけど、中途半端で結構邪魔なサイズですよね。
   そのくせボリュームはないし」

黒夜「ジルコニアにすれば輝きは同等以上、カラット数も青天井で数百とか数千カラットなのになぁ」

絹旗「そんなの指先につけてたら超肩がこりますよ」

浜面「お前ら、少しは手伝え。もしくは部屋の掃除ぐらいしろ。
   人がリビングで雑巾がけしているところで何のんびりソファでくつろいでやがる」

絹旗「浜面は雑用係ですし仕事を取ったら超かわいそうじゃないですか。
   できる上司としては手伝ってあげたいなぁ、という気持ちを超押し殺しているんです」

黒夜「絹旗ちゃんは浜ちゃんには渋いなぁ。
   下着に触るな、とか言ってる割には浜ちゃんに洗濯物干させているくせに」

絹旗「愛情ですよ。超愛情です。
   変態浜面の妄想を掻き立てる状況をプレゼントしてやってるんです。
   実際使ったりしたら捨てるし殺しますが」

浜面「いい加減にしろよ。
   お前らの中で日常的に掃除洗濯ができるのが黒夜とフレメアだけだってどういうことだよ、まったく」

絹旗「実際問題として、暗部でいつ襲撃を受けるかわからないアジト暮らしばっかりでした。
   自分の空間なんて大きなものは超持てなかったんですよ。
   麦野は自分の部屋を持ってましたけど」

黒夜「あぁ、なんとなくわかる。
   自分を襲ってくる奴なんかいない、って唯我独尊的な部分があるよね」

絹旗「というか麦野超オシャレ好きですし。服なんて何着もっていることか。
   だから掃除洗濯もやろうと思えばできると思いますよ。やらないでしょうけどね」

浜面「一日に何部屋も掃除機かけるのも結構大変なんだぞ、まったく」

黒夜「自分の部屋に浜ちゃんを入れる言い訳にしてるやつもいんじゃないの?
   それはさておき、そろそろご飯の時間じゃないかい?」

浜面「だな。
   じゃあ、いつものファミレスに行くか?」

絹旗「何言ってるんですか。浜面が作るんですよ」

浜面「俺、くたびれてるんですけど」

黒夜「絹旗ちゃんは浜ちゃんの手料理食べたいんだってさ。
   いい機会だし、なんか簡単な料理教えてよ。簡単だけど美味しいってやつ。
   主婦スキル高いんでしょ?」

浜面「簡単なのねぇ。目玉焼き丼とかは楽でいいが、そういうわけにも行かないか。
   いいさ、適当に作ってやるわ」

浜面「まずは一品目。
   豚肉とネギのスープ。
   材料はこれだ。


   ①豚肉     スライス肉4,5枚程度
           部位はどこでも構わない
   ②ネギ     豚肉と同量
   ③塩      適量
   ④水                     」

絹旗「なんですか、これは。
   たったこれだけじゃあ超手抜きじゃないですか。
   実質的に豚肉とネギだけじゃないですか」

黒夜「うん。これじゃあ豚とネギが入った塩スープじゃない」

浜面「まぁ、その通りなんだけどな。
   旨味成分て知ってるか?」

黒夜「グルタミン酸とかイノシン酸ね。
   グルタミン酸が植物由来でイノシン酸が動物由来だっけ」

浜面「まぁ、そんな感じ。
   で、豚肉もネギも旨味成分が豊富なんだよ。
   中華料理でダシを取る代表的な食品だったりするんだぜ?」

絹旗「ほほう。浜面は馬鹿ではありますがただの馬鹿ではないんですね」

浜面「はいはい。
   まずは水を沸騰させて豚肉を投入する。
   すると最初にアクが出てくる」

黒夜「おお、確かにいっぱい出てきた」

浜面「基本的に動物系のアクって脂だから食えなくもないんだけど見た目が悪いから全部取り除く。
   結構出てくるけど、何回かすくいあげればキレイになるから。
   そのあとで小口切りにしておいたネギを投入」

絹旗「へぇ。確かにアクが出なくなりました。
   それに結構美味しそうな色合いじゃないですか」

浜面「だろ?
   でもって塩で味付けすれば出来上がりだ。
   塩だけだと少しとんがった味になるから気持ち控えめに味付けするのがコツだな。
   で、出来上がりだ」

黒夜「これだけ? これで完成?」

絹旗「超はや! 五分も経ってませんよ」

浜面「だろ? でも味はいいぜ。少し味見させてやっからよ」

絹旗「では、いただきます」

黒夜「美味しい! 塩だけで味付けしたとは思えない奥深い味だ!」

絹旗「確かに。
   超シンプルですがそれだけに豚肉とネギの旨味がよくわかります。
   こんなに簡単なのに超美味しいです!」

浜面「よしよし。お前ら美味いもの食う時だけは正直だよなぁ。
   じゃあ二品目行くか」


浜面「二品目は大根おろしだ。
   消化吸収にとてもいい。世界で初めて発見された消化酵素は大根から採取されたものだ。
   ただ、大根の消化酵素は熱に弱いから生で食べるのがいい。
   でも浜面式の大根おろしはただの大根おろしとは違うぜ」

浜面「材料はこれだ。

   ①大根     食べる分だけ
   ②生姜     食べる分だけ
   ③ポン酢                   」

黒夜「……ねぇ、浜ちゃん?
   これみると大根おろしに生姜を加えただけみたいなんだけど」

絹旗「ですよねぇ。なんか料理とは到底思えません。薬味を付け加えただけじゃないんですか?」

浜面「まぁなぁ。
   でも大根おろしにおろし生姜ってあうんだぜ?
   騙されたと思って食ってみろよ」

絹旗「うわ、料理描写をキンクリしやがった。
   食べますけどね、言うほどのものですかね」

黒夜「木製のスプーンの上に大根おろし、その上におろし生姜、で、ポン酢がかかってる……
   おしゃれなんだかそうでないんだか」

絹旗「ほほう、これは!
   意外と合う!
   大根の辛味と生姜の辛味が混じり合って超美味しいです!」

黒夜「へへぇ。
   これいいんじゃないの?
   お手軽だし、美味しいし。
   でも一品料理としては辛いかもね」

浜面「結構酒のつまみにいいんだぜ?
   酒飲むと脂っこいものばっかり食うからな」

絹旗「美味しいことは美味しいですけどこれをメインにするのは厳しいですねぇ」

浜面「メインは別に作るさ。
   今回は麻婆豆腐にしようと思う」

黒夜「へぇ。麻婆豆腐か。手作りだよね?」

絹旗「なんかいきなり敷居が高くなりましたね」

浜面「やってみればそう難しくはないんだぜ?
   ただ調味料は必要だから少しだけ敷居が高いのは仕方ないかな」


浜面「材料はこれだ。

   ①豆腐        一丁
   ②合いびき肉     80g
   ③ネギ        一本
   ④ニンニク      2,3欠片
   ⑤生姜        ニンニクと同量
   ⑥中華だし      味○大さじ1
   ⑦豆板醤       大さじ2
   ⑧甜麺醤       大さじ2
   ⑨片栗粉       大さじ1
   ⑩水         500mlぐらい       」

絹旗「おお、出ましたね。○覇! 家庭料理のドービング!」

黒夜「料理しない私でも聞いたことはあるぞ」

浜面「なくてもいいんだけどあったほうが絶対美味い。
   化学調味料を毛嫌いする奴いるけど、適量で使う分ならぜんぜん問題ないと思うんだけどなぁ。
   何万円もする料亭でもおじやには使ってるんだし」

浜面「最初に潰したにんにく、生姜、刻んだネギを油をたっぷり入れたフライパンに入れる。
   香味野菜を入れてから火をつけるのがコツだな。弱火でじっくりが重要だぜ?」

絹旗「これだけでも超美味しそうな匂いです」

黒夜「浜ちゃんの料理ってニンニクや生姜が多いよね。香り重視なの?」

浜面「それもあるけど、ニンニクも生姜もそれなりに旨みが大きい食材だからな。
   特に油と相性がいいから炒め物系にはかかせない。
   イタリアンでもニンニクつかうの多いだろ?」

絹旗「確かに。ペペロンチーノなんてニンニクと唐辛子しか具がありませんしね」

黒夜「それでも十分美味しいってことなんだろうね」

浜面「で、次に合いびき肉を入れて、豆板醤と甜麺醤も入れる。
   火力を強くして調味料の香りを引き出す」

絹旗「すごいすごい!
   もう超本格的な中華じゃないですか!」

黒夜「見た目は完璧だね。豆腐無くても美味しそうだ」

浜面「まだまだ。
   水を入れて沸騰させる。
   で、ここで味○を入れる。
   正直入れないとかなり淡白な味になっちまうんだ。好みがそっちなら入れなくてもいいけど。
   で、メインである豆腐を投入。
   二三分鍋を振らずにグラグラ煮立せる。焦げ付きにだけは注意な」

黒夜「材料の準備時間を除けば五分もかかってないね。結構お手軽っぽいよ」

絹旗「ですね。それでも超本格的ですよ。綺麗に盛り付けられてたら超区別付きません」

浜面「最後に火を止めてから水溶き片栗粉を入れてとろみをつける。
   あんまり入れるとボロボロになるぞ。
   盛り付けて出来上がりだ」

浜面「あとはご飯をよそって、と」

黒夜「美味しそう!
   早く食べようよ」

絹旗「ですね。超待ちきれません」

浜面「辛いのが好みだったら山椒で調整しろよ?
   本場の花山椒とかがあれば一番いいんだろうけど、普通の山椒でも問題はないから」

黒夜「出来立てアツアツの麻婆豆腐をはふはふ言いながら食べるのは最高だねっ!
   もう少し尖がった味でもいいかも知んないけど全体的にバランスがいいよ、これ」

絹旗「あんまり辛いとスープ飲む時口の中超痛くなりますからこれぐらいでいいのかもしれませんね。
   思ったより辛くありません。
   香味野菜の味がアクセントで超いい感じです」

黒夜「口の中辛くなったら大根おろしあるし」

絹旗「意外とあいますよね、麻婆豆腐と大根おろし」

浜面「しょっぱいもの食べた後に甘いもの食べる理論だな。熱いものと冷たいもの。
   脂を切るという意味でもいいだろ?」

絹旗「ですね。
   ふぅ、今回も超満足です」

黒夜「ごちそうさまでした。
   いや、浜ちゃんいいお嫁さんになれるよ、マジで」

浜面「へいへい。お粗末さまでした。
   時間がない時でもできる料理で揃えてみたがそれなりに美味かっただろ?
   今回は一品一品別に作ってたけれど、同時並行でやれば三十分もかからない。
   忙しい時でも手軽に作れるんだぜ?」

絹旗「目の前で作られちゃうと超説得力ありますね。
   自分でもできそうな気がしてきます」

黒夜「スープと大根おろしはできそうだよね。っていうか、絶対出来るよ。
   麻婆豆腐は少し自信ないけど」

浜面「その気になってくれたのなら何よりだ。
   んでもって料理覚えて少しは俺の手間を減らしてくれよ」

絹旗「それとこれとは話が別です。
   浜面の超下っ端体質を生かすためには雑用係は超最高なんです」

黒夜「私は一応洗濯物たたむのとか手伝っているけどね」

絹旗「黒夜は居候ですからその程度は超当然です。むしろもっと家事を超手伝うべきですね」

黒夜「うん? いいよ、別に。暇だし浜ちゃんの手伝いしてればスキルアップできそうだし」

絹旗「はいぃ?」

黒夜「右京さんみたいな返事すんな。 人に勧めておいてなに微妙な顔してるのさ」

絹旗「いや、てっきり超嫌がるんじゃないかなぁ、と思ってたもので。
   北京原人と超一緒ですよ? いつ発情するかわかったものじゃありませんよ?」

浜面「おいこら。誰がホモ・エレクトスだ。ホモ・サピエンスとすらおもっとらんのか」

黒夜「いいじゃん、ほっとこうぜ? 浜ちゃん、色々料理教えてよ。おしゃれなやつがいい」

絹旗「浜面におしゃれな料理なんか……」

浜面「ブッタネスカとか簡単な割には結構おしゃれ系だぞ?
   娼婦風スパゲッティって名前で言うとちょっと引かれちゃうけど。
   トマトソースがピリ辛で結構美味いんだぜ?」

黒夜「へぇぇ。食べたことないな。あれでしょ、ジョジョに出てきた奴でしょ? 食べてみたい。今晩にでも教えてよ」

浜面「ああ、でも粉チーズ切らしてるんだよな。買いに行かないと。コンビニに売ってるかな」

黒夜「じゃあ買いに行こうよ。食後のデザートも食べたいし」

絹旗「……黒夜。なんでそこで私を見るんです」

黒夜「なぁんか、絹旗ちゃんが機嫌悪くしてるからさぁ。
   もしかして、浜ちゃん取られて怒っちゃったのかなぁって。
   今ならまだ間に合うんじゃないかなぁって」

絹旗「はあぁん? もしかして私に超パシれと言ってます?」

黒夜「べっつぅにぃ。
   ただ、絹旗ちゃんはお留守番でいいのかなぁって思っただけさ。
   ひとりさびしくお留守番でいいのかなぁって、さぁ?」

絹旗「……食後の運動に軽く散歩するぐらいはいいかもしれませんね」

黒夜「じゃあ買ってこい。モンブランな。五分以内で」

絹旗「て、テメェ……超いい度胸です。すり潰してやりますよ……」

黒夜「やーん、怖いぃ。助けて浜ちゃーん」

浜面「なんでお前らいつもそんなに喧嘩腰なの? そしてその喧嘩にいつも俺を巻き込もうとするの?
   んでもってなに? その妙な裏声」

黒夜「いいじゃん、巻き込まれ型ヒロインなんだし。 つうか、あれだね。浜ちゃん、手、出して」

浜面「ちゃんと返せよ」

黒夜「私じゃないんだからそれはギャグにできないぞ。
   どれどれ。けっこうでっかい手のひらだし指も太いなァ。器用な割には繊細さが欠片もない。で、これをぽん、と」

絹旗「ふぉあああ!? な、何をするんですか!」

黒夜「はい、浜ちゃん。頭撫で撫でしてあげな。絹旗ちゃん喜ぶから」

浜面「いやいやいや、不味いだろ」

黒夜「よく見なよ。まんざらでもない顔してるじゃん」

絹旗「な、何言ってるんですか! は、浜面に頭撫でられて超嬉しいわけが……」

浜面「……真っ赤だな」

絹旗「そ、そんなわけないじゃないですか!」

黒夜「まぁ、置き去り、モルモット、暗部って人生歩んでれば何が足りないかは丸わかりだよねぇ」

浜面「そうか。父親が欲しかったんだな、絹旗」

黒夜「……へ?」

浜面「ガキの頃に思う存分甘えられなかったからひねちゃったんだな。黒夜も。フレメアと比べると可愛さがないのはそのせいだったのか。
   うんうん、二人とも存分に甘えていいぞ。頑張っていいパパになるから」

絹旗「……」

黒夜「……潰そうか」

絹旗「ですね。流石の私でもこれは超展開です。どんなC級映画ですか」

浜面「滝壺は後で説得するとして、将来的には養女って方向で考えておくか。 いろいろ準備しておかないとなぁ。
   お父様、長い間お世話になりました。明日私は嫁いでいきます、とか言われるんだ。泣けるなァ」

黒夜「大丈夫だよ。泣いたり笑ったりできなくなるから」

絹旗「なんですか、黒夜。その棒切れに電線巻きつけたようなものは」

黒夜「窒素爆槍を発射できる機能だけはある腕。これをわき腹に付けて、と」

絹旗「部屋を壊すのだけは超勘弁ですよ」

黒夜「わかってるよ。さぁて、お・と・う・さ・ま? 覚悟は出来てるンだろォなァっ!」

絹旗「食らいやがれ! 超・ちっそ・パーンチ!!!」

浜面「い、いやぁぁぁ!! む、娘たちが反抗期だぁあああ!!!!」

以上です
浜面と絹旗黒夜の関係って面倒見のいいお兄ちゃんと甘え方がわからない妹だと勝手に思い込んでます

少し借ります
浜面滝壺麦野のハンバーグの作り方の話です

滝壺「はまづら。最近きぬはたとくろよるに料理教えているって本当?」

浜面「おう。簡単なやつだけどな。
   少しでも興味持ってくれればいいと思ってな」

麦野「なぁ。だったら少し教えてくれると嬉しいんだけどさ。
   浜面が作る分厚いハンバーグってどうやってるの?
   3センチもあったら中まで火が通る前に黒焦げになっちゃうじゃん」

滝壺「うん。不思議だよね。
   普通のフライパンでハンバーグ作ると暑さ1センチが限界だと思うんだけど」

浜面「んなの簡単だよ。オーブンレンジを使えばいいだけさ。
   取っ手が取れるフライパンならそのままレンジに入れられるだろ?
   そのまま200度で6分火を通せばいいのさ」

麦野「なるほどね、オーブンレンジか」

滝壺「あ、でもはまづらが前にハンバーグ作ってくれたときはオーブン使わなかったよ?」

麦野「そうなの?
   じゃあフライパンだけであのハンバーグ作れるの?」

浜面「あー、そっちね。作れるさ。
   少し手間はかかるけど厚めのハンバーグを芯まで火を通す方法はある」

麦野「じゃあ教えなさいよ。いろんな本読んだけれど火の通し方までは書いてないんだよ」

滝壺「だよね。最初に中火とか何分とかは書いてあるけどそれ以上はないよね」

浜面「うっし、わかった。じゃあこれから作って見せようじゃあないか。
   百聞は一見に如かずってな」

浜面「材料はこれだ。

   ①合いびき肉    人数×200g
   ②玉ねぎ      人数×半個
   ③食パン      人数×二分の一枚
   ④牛乳       食パンが浸かるぐらい
   ⑤卵        1個
   ⑥ナツメグ     適量
   ⑦塩・胡椒     適量

   ⑧じゃがいも    大1個
   ⑨人参       大1個

   ⑩ケチャップ    適量
   ⑪ウスターソース  適量
   ⑫日本酒      適量           」


滝壺「一人200gもあるんだ、あのハンバーグ」

麦野「でもさ、浜面。
   私が知りたいのはハンバーグの焼き方だから添え物は別にいらないんだけどさ」

浜面「ふっふっふ。実はこのじゃがいもと人参が重要なんだよなあ」

浜面「まず、食パンをちぎって牛乳にひたす。形が崩れるぐらいになるまでな。
   お麩を使うといいって何かにあったけど、正直あんまり味変わらなかったし食パンの方が手軽なんで」

麦野「へぇ。お麩を使うとなにがいいのさ」

浜面「肉汁を閉じ込めておく効果が高いんだとよ。俺はあんまり違いわからなかったけどな」

浜面「次に玉ねぎをみじん切りにする。
   これもちょっとコツがあってだな、最初に頭としっぽを切り落としておくんだ。
   しっぽというか、根っこか。
   そうしてから軸方向に真っ二つにする。そうすると皮が簡単に剥けるんだぜ?」

麦野「へぇ。皮を剥くのにも方法があるんだ」

浜面「……なんか、麦野がそう言うと少し卑猥だな」

麦野「な、何言い出すんだっ! この馬鹿っ! 変態っ!」

滝壺「セクハラ上等のはまづらはちょっと応援できない。
   そういう話はわたしと二人っきりの時にするべき」

麦野「あ、アンタら……もうそんな関係なんだ……」

滝壺「ううん。勘違いするむぎのも応援できない。
   でもセクハラ発言大好きな癖に言われると顔赤いむぎのは、かわいい」

麦野「滝壺っ! アンタねぇ……」

浜面「いいから続けるぞ。
   玉ねぎを微塵切りにする。
   半球になってるのをまず水平方向にスライス、次に縦に包丁を入れる。
   最後に繊維を断つ方向に切っていく」

麦野「浜面、猫の手じゃないんだ」

浜面「俺、手がでかいから。親指で包丁の腹を押す形で切ってるわ。
   味が変わるわけじゃないから別にいいだろ?」

滝壺「危なくはないの?」

浜面「慣れてるからな。
   さて、微塵切りにした玉ねぎを炒める。
   俺は一回ラップなしで電子レンジでチンしてから炒めてるな。そのほうが早いから」

浜面「焦げないように気をつけながら飴色になるまで炒める、と」

滝壺「色が変わるのが早いよ。レンジ使ったからかな」

麦野「なるほどね。一回水分飛ばしてるし熱せられてるから火が通るのが早いんだ」

浜面「使えるものは使わないとな。
   カレーを作るときにも有効なんだぜ?
   で、飴色になった玉ねぎは一回ボールに移して粗熱を取っておく。
   ひき肉をこねる時に火傷しちゃうからな」

浜面「粗熱を取った玉ねぎ、牛乳に浸した食パン、そしてひき肉を同じボールに入れる。
   そこに卵を割り入れて。
   で、ナツメグ、塩胡椒で下味を付ける」

滝壺「ナツメグが入ってるとハンバーグも一味違うよね」

麦野「入れる入れないは本によってまちまちだけどさ」

浜面「本当にいい肉を使うんだったらいらないんだろうけどな。
   で、これを一様になるまでこねる、と」

麦野「ハンバーグを作ってる感が一番する時だね。私も嫌いじゃない」

滝壺「手がベタベタになるけどね」

浜面「……なんか滝壺の言い回しを聞いてると料理できそうなんだが」

滝壺「できるよ? でも何故かむぎのが料理させてくれないんだ」

麦野「いや、あのね? 滝壺の料理って人を選ぶからさ。ははは」

浜面「? できるのならやってほしいとこなんだが」

麦野「私がやってるんだからいいだろ? それとも文句あるのか?」

浜面「麦野は料理しても後片付けしないからなぁ。洗い物全部俺なんだぞ?
   後片付けまでが料理だからな」

麦野「悪かったわよ。今度から洗い物もちゃんとするから。
   ほら、さっさと進めて」

浜面「? いいけどよ。
   じゃあ、タネがコネ終わったら休ませておく。
   その間にじゃがいもと人参を切るぞ」

麦野「じゃがいもって綺麗に皮向くの最初は難しかったわよね」

浜面「りんごみたいに滑らかじゃないからな。でも慣れだ、慣れ。
   じゃがいもは横方向に大きめにスライスしておくぞ。厚さ1センチ弱が目安だな。
   人参も同じ程度の厚さに揃えておこう」

滝壺「もう少し小さいほうが食べやすいと思うんだけど」

浜面「実はこのじゃがいもの大きさが分厚いハンバーグ焼くときのコツなんだよな」

麦野「うん? じゃがいもの切り方とハンバーグの焼き方になんの関連性があるのさ」

浜面「見てのお楽しみだな。あ、皮は取っておくぞ。
   細く切ってキンピラにしてもいいし味噌汁を作るときの野菜ダシとしても使えるんだ」

麦野「へぇ。私はいつも捨ててたよ」

浜面「農薬が怖いとか言う奴は捨てても構わないと思うけど、野菜で一番栄養が豊富なのは皮の周辺だから。
   俺はただ捨てちゃうのはもったいないと思ってる」

浜面「いよいよ焼きに入るぜ。
   たっぷりの油を引いたフライパンを強火で煙が出るまで加熱する。
   充分温まったら形を整えたタネを入れる。きちんと叩いて空気を出しておくのがコツだぞ」

滝壺「お肉が焼ける匂いって食欲をそそるよね」

麦野「ああ、でもこれだけ油があるとカロリー高そう」

浜面「焦げ付かなけりゃ別に使わなくてもいいぜ? テフロン加工のフライパンとかさ。
   焼け目がついたあとフライパンの上で滑らせることができるんならどうだっていいさ」

浜面「両面をしっかりと焼く。型崩れしない程度にな。で、いっかいハンバーグを取り出す、と」

麦野「え? 浜面、それじゃ中まで火が通ってないんじゃないの?」

浜面「ああ、生だろうな。こっからがテクニックってやつだ。
   ハンバーグを取り出したフライパンにじゃがいもと人参を敷く。
   その上に、ハンバーグを載せる、と」

滝壺「これじゃ火が通らないよ? 遠赤外線ってわけでもないようだし」

麦野「うん。これじゃあハンバーグがフライパンから浮いているだけじゃない」

浜面「こっからだ、こっから。
   ここにハンバーグに触れない程度に水を差す。そして蓋を閉める」

滝壺「蒸気で蒸し焼きにするってこと?」

浜面「その通り! 大体6分が目安かな。水がなくなったらもう一度入れておこうな」

麦野「なるほどねぇ。
   直接フライパンに接してないからそれ以上焦げたりはしないし、蒸し焼きにする間にじゃがいもにも人参にも火が通るわけだ」

浜面「よくできてるだろ。
   で、焼きあがったら一回皿に盛り付けておいてフライパンに残った肉汁に酒、ケチャップ、ウスターソースを入れて煮詰める。
   出来上がったソースをハンバーグにかけて完成だ!
   乾燥パセリや乾燥バジルを振りかけてもいいぞ」

滝壺「美味しそうだね。すっごいボリューム」

麦野「この肉の厚みのワイルドさを出せなかったんだよなぁ。見た目でガツンとくるっていかにも男の料理だよね」

浜面「盛りつけの皿は温めておいたけど鉄板ほど蓄熱はしないからすぐ食わないと不味くなるぞ。
   あとはご飯を盛り付けて、と」

麦野「はいはい。ありがたくいただくわよ」

滝壺「いただきます。
   ……うん、美味しいね、これ」

麦野「きつめのナツメグがいい感じだね。確かに一味違うわ」

滝壺「肉汁がたっぷりのハンバーグが口の中に入ると脳がすごく満足するよね」

麦野「あー、わかる。電流が走るっていうかさ、一発で気持ちよくなっちゃう。
   ダイエットとか忘れちゃうわよね」

滝壺「じゃがいもも人参もハンバーグの肉汁が入った水で茹でられてるからか、ソースとよく合うよ」

麦野「でも、少しは脂を切るものも欲しかったかな。その分ご飯が進んじゃう。
   クレソンとかあるといいかもね、色合い的にも」

浜面「そこらあたりは自分で作るときにやってくれよ」

麦野「うん。ごちそうさま。美味しかったわよ?」

滝壺「ごちそうさま。ボリューム的にも大満足だった」

浜面「お粗末さまでした。ネタバレしてみれば大したことじゃなかっただろ?」

麦野「ハンバーグを蒸すって考えつくのがすごいわよ。どうしても焼くっていうのが頭の中にあるもの。
   こんなのどんな本にも載ってなかった」

滝壺「うん。まるで蒲焼みたいだよね」

浜面「正直に白状しちまうと、これはテレビで見て覚えた方法なんだよな。だから俺のオリジナルじゃあない」

麦野「でもそれを知っているっていうのはやっぱり強みよ。オリジナルとかそういうのは関係なしに。
   浜面の方が私よりも料理に関心があったってことの証左よね。
   正直威張ってもいいと思うわよ?」

浜面「それはどうも。でも学園都市の生徒は俺以上に料理できるやつは多いと思うぜ?
   一人暮らし、もしくは寮生と二人暮らしでも自炊できないと困る環境のやつばかりだからな」

滝壺「それはそうだよね。きぬはたも言ってたけど、私たちはちょっと特別な環境で生きてきたから。
   普通、とはちょっと違うんだよね」

麦野「しょうがないさ。
   正直私はまだ『あっち側』から抜けきれてないけどこういうところからでも変わらなきゃなんないんだろうね」

浜面「……俺がどうこう言えることじゃあないだろうけど、絹旗も、黒夜も、フレメアも。
   そして麦野も滝壺も幸せになって欲しいと思うし俺はそのための努力をしたいとも思ってる」

麦野「な、なによ。急に真面目な顔して」

浜面「いや。ただのチンピラの戯言だよ。
   だからこういうことだったらいつだって相談に乗るぜ?」

麦野「……ありがと。でも人殺しが幸せになれる世界って間違っていると思うわよ」

滝壺「……うん。私もそう思う。むぎのほどじゃないけど私も殺してる。幸せになっていいのかなって疑問に思ってる。
   けどはまづらがそう言ってくれるのはすごく嬉しい」

浜面「はは、カッコつけすぎたかな。俺もまっとうな生き方してないしな。
   けど、図々しくあがいてもいいと思うぜ?
   せっかく暗部なんてものがなくなったんだ。美味いもの食って幸せになれるんならそれでいいんじゃないか?」

麦野「本当、図々しい考えよね。
   でも―――いいか。他の誰でもないアンタがそう言うのなら、さ」

滝壺「美味しいものを食べると幸せになる、か。いい言葉だね。
   うん、久しぶりに私も何か作ってみようかな」

麦野「……え?」

浜面「へぇぇ。滝壺の料理か、楽しみだな」

滝壺「うん。期待していていいよ。得意のトンカツを作るからね」

麦野「浜面、ちょっと耳貸して」

浜面「なんだよ」

麦野「(前、滝壺が作ったトンカツさ。中が緑色でぶよぶよしてたのよ)」

浜面「へ?」

麦野「(クロレラかなんかで作ったタンパク質かと思ったんだけど違うのよ。
    すごく生臭かったのよ。
    洗ってないナマのモツみたいだったのよ。絹旗なんて一発でK.O.よ)」

浜面「…………」

麦野「私は不幸にはなりたくないからアンタに任せるわ。じゃ」

浜面「ちょっと麦野さん!? どこ行くおつもり!? お願い、置いてかないでっ!!!」

麦野「ごっめーん、滝壺。ちょっと用事思い出しちゃった。
   今日は遅くなるから私の分はいいわ。多分絹旗とかも用事あると思うから。
   全員の分、浜面にたっぷり食べさせてあげて幸せにしてあげてね」


おまけ




絹旗「じゃがいもの皮のキンピラはなかなか噛み切れないんで正直お勧めはできません。
   ですが、そこが気にならなければ超美味しいです」

黒夜「作り方は次の通りだよ。

   ①じゃがいもの皮を小さく切る。
   ②熱したフライパンにゴマ油をひく。
   ③皮を炒めて火が通ったらオイスターソースと醤油と白ごまを入れる。

   材料費はタダみたいなものだから試しに作ってみるといいかもね」

絹旗「次に野菜ダシの取り方です」

黒夜「①野菜くずをネットか何かに入れて置く。あとで取りやすいから。
   ②沸騰したお湯に日本酒を少し入れて野菜くずを入れたネットを投入。
   ③五分ぐらい煮込む。

   鰹節や煮干みたいに強いダシはでない。すごく薄いダシだけど野菜の栄養は全部取れるよ。
   味噌汁を作るときに野菜ダシ入りのお湯を使えばOK。
   ただ捨てるのが勿体無いという人はやってみるといいんじゃないかな。

   正直、こんなことやるんなら栄養補助剤飲んだほうが早いとは思うけどさ」


絹旗「黒夜、それを言ったら超オシマイです」

以上です
どうにもこうにも滝壺さんはメシマズの印象があって困る

14レスほどお借りします

麦野「いらっしゃ……、って浜面か、紛らわしい」

浜面「悪かったな……俺で」

麦野「ていうか、裏口から入りなさいよ。毎回言ってるじゃない」

浜面「表通りの方に用事があったからわざわざ裏口回るの面倒だったんだよ!」

麦野「はー、男のくせにぐだぐだと……まぁいいわ、さっき言わされた無駄な『いらっしゃい』分は給料から引いとくわよ?」

浜面「いらっしゃい言いきってないだろ!ていうかあれ料金発生するのかよ!?」

麦野「気分の問題よ、気分の」

浜面「横暴だ……」

麦野「いいから無駄口叩いてないでさっさと着替えてきなさい。裏に荷物もたっぷり届いてるから」

浜面「このあいだの発注考えると結構な量ありそうだな」

麦野「まぁね。と入ってもせっかく学舎の園に店を構える有名店様が固定客に付きそうなんだからやるしか無いでしょ」

浜面「しかし……この店始める時はほんとにどうなるかと思ったけど、やってみたらなんとかなるもんだな」

麦野「暗部時代の使えるルートはフルに使った『あなたの本当に欲しいものなんでも取り寄せる何でも屋』がうまくいかないわけ無いでしょ?」

浜面「本来、何でも屋ってそういう意味じゃねえと思うけどな……」

麦野「細かいことはいいのよ」

浜面「あと店名が『item』って安直じゃね?」

麦野「何?浜面喧嘩売ってるの?」

浜面「引かれた給料分くらい愚痴りたいこともあるんだよ……」

浜面「まぁ、とにかく裏行って荷物整理してくるわ」

麦野「あ、浜面。整理する前に豆こっちに持って来といて」

浜面「豆?」

麦野「いつものやつよ。店のストック切れたからこれから取りに来るってさっき連絡あったのよ」

浜面「今から!?まだ昼の2時だぞ……普通に店営業中だろ?」

麦野「いつもの事でしょ?」

浜面「――マスターが店開けてどうするんだよ……」

麦野「あんたのお友達の第一位様がいるじゃない」

浜面「あいつもよくもまぁ毎日毎日……」

浜面「いっそ働いちゃえばいいのにな?あれほんとにタダ手伝ってるだけだろ」

麦野「まぁ、いいんじゃない?正直みてて面白いし」

浜面「友達のことだから注意したいが……俺もそれには同意せざるを得ない」

麦野「あー、今度店行ってからかってやろうかしら」

浜面「流石にそれはやめとけよ?マスターにも迷惑かかるだろ」

麦野「浜面やっさしー。滝壺が聞いたら嫉妬しちゃうわよ?」

浜面「客なんだから気にかけるだろ……、それに滝壺とよく行くから尚更迷惑かけられねぇんだよ」

麦野「はー、お熱いこって……もっとお熱く消し炭にしてあげようかしら」

浜面「ちょっ!?やめっ!その台詞でこっちに手をかざすな洒落にならねえ!!」

麦野「なーに本気にしてるのよ。こんなところでぶっぱなしたら店が消し飛んじゃうからしないわよ」

浜面「店じゃなかったらぶっ放すのかよ……」

麦野「なんか浜面なら本気でぶっぱなしても生きててくれそうな、そんな予感がするのよ」

浜面「そんな信頼はいらねぇ……あぶねぇからその考えはすぐに改めてくれ」

浜面「つーか今更だけど、今日って麦野と俺だけ?滝壺がオフなのは知ってるけど」

麦野「そういうさりげない「あいつのことならちゃんと把握してるぜ(キリッ」ってのがほんと気に触るわ……」

浜面「流石にそれは被害妄想だろ……」

麦野「絹旗もフレメアもオフよ。絹旗は突発だけど」

浜面「突発とか……どうせいつものB級映画だろ」

麦野「さぁ?わざわざ理由聞かないし」

浜面「ゆるいなおい……っていうか俺がこの前休み申請したときはもっと事細かく休暇理由からなにから聞かれたぞ!?」

麦野「信頼の差よ、信頼の」

浜面「長い付き合いなのに俺は未だにそんなに信頼ねぇのかよ……」

麦野「まぁ、実際どうなのかしらね。案外男とかかもよ?」

浜面「絹旗に男?なんか想像できねぇ」

麦野「あんたこそ長い付き合いで感覚鈍ってるんじゃないの?実際うちにも絹旗目当てでくる客とかいるのよ」

浜面「え、マジで?」

麦野「ほんと鈍いわね……明らかに商品買うつもりもなく店内うろちょろしてる客に嫌でも気づくでしょうが。邪魔でしょうがない」

浜面(やべぇ……全然気づいてなかった)

麦野「まぁ、絹旗以外にも滝壺に私にフレメアって綺麗どころに囲まれてたった一人の男店員があんた一人だからね?結構睨まれてるわよあんた」

浜面「実際俺の立場になってみたら尻に敷かれまくりだってぇのにな」

麦野「まぁ、尻にしかれる程度には使える男ってことよ。胸はりなさい」

浜面「普段滅多に褒められないせいか、そんなのですら素直に嬉しいのが腹立ってくるな」

麦野「――って、あー、無駄話しすぎたか……」

浜面「ん?」


佐天「こんにちはー!すみません、突然連絡しちゃって……珈琲豆また切らしちゃって……あははははは」

麦野「はいはい、いらっしゃい。『また』ってのがすごく重々しいわー」

浜面「いらっしゃい。悪い、まだ裏から豆持ってきてないわ……ちょっとまってて」

麦野「ほら、さっさと駆け足で行って来なさい浜面」

佐天「あー、いいですよそんな、ゆっくりでも」

浜面「いや、気遣いは嬉しいけど、店営業中の店主がそれ言っちゃうのはどうかと思う」

佐天「いやー、でもうちのお客さんのんびりしてますから」

麦野(それは客あんた目当てだからでしょ……)

浜面(今頃一方通行が店番か……店の空気ピリピリしてそう)



浜面「さっさと豆取ってくるわ……」

麦野「そうね、そうしてあげなさい」

佐天「?」

麦野「ところで今日は豆だけでいいの?」

佐天「そうですねー、可愛いカップとか見ると欲しくなりますけど……」

佐天「流石に店で使うとなると結構な数になって値段も馬鹿になりませんからほいほい買えないですよ」

麦野「別に店で使わなくたってプライベート用だっていいじゃない?」

佐天「プライベート用かー」

麦野「コレとか可愛いわよ?うちの絹旗が気に入って仕入れたんだけど」

佐天「おー、猫の柄のカップですか。かわいいですね~」

麦野「白猫と黒猫のペアカップなのよ。取っ手が尻尾を模した形になっててなかなかいいでしょ?」

佐天「へー、ペアカップかー」

麦野「どう?自分用と、店番してる旦那用に」

佐天「だっ!?」

麦野「あー、旦那予定か」

佐天「そ、そんな旦那予定とか……あはは何言ってるんですか麦野さん、もーっ……あはははは」

麦野「あれー、違ったのか、私はてっきり……ねー?」



麦野(あー、若い子からかうのってほんっと楽しいわ)




浜面(普段大人っぽいマスターがあしらわれてる……伊達に麦野年食ってねぇな……つーか、出てくタイミング逃した)

麦野「まぁ、冗談は置いといて、留守番してるあいつにもお礼代わりってことでどう?からかっちゃったお詫びにサービスするわよ?」

佐天「え、サービスなんてそんな悪いですから」

麦野「好意は素直に受け取っとくものよ?それにこういう細やかな恩を売っておくのも長くお客と付き合ってくコツなのよ」

佐天「ふふっ、それ本人に言っちゃっていいんですか?」

麦野「企業秘密だったけどお客様は特別だから……そうね、カップを買ってくれればいいわよ?」

佐天「どれだけ買わせたいんですか、もー……分かりました、私の負けです!降参します!そのカップいただけますか?」

麦野「まいどー♪うちで買ったってお客さんにも宣伝しておいてくれると助かるわ」


佐天「逞しいですね……」

浜面「あー、ほんとにな……」

麦野「あ、浜面戻ってたの?てか、遅い。給料引いとくわよ?」

浜面「まだ引くほどあるってだけでほっとするようになっちまったよ俺は……」

佐天「それじゃぁ店番してる一方通行さんとお客さんこれ以上待たせられないしそろそろ戻りますね!」

佐天「麦野さん、カップありがとうございます。大事に使いますね」

麦野「はいはい、こちらこそまいどーまたのご利用をー」

浜面「今度は豆切れる前に注文するんだぞー?」

佐天「んー、それは約束しかねますね」

浜面「なんでだよ!?」

佐天「あははは、冗談ですよ。努力します!こんどはうちにも顔出してくださいね?それじゃぁどうも!」

―――――
―――


麦野「ふー、なんて言うかほんと飽きない子だわ、あの子は」

浜面「それにしても麦野、今日はわざわざ世話なんて焼いてどうしたんだ?」

麦野「世話?」

浜面「カップ」

麦野「んー、なんでだろうね。面白いの半分、商売人魂半分?あと、少しのじれったさ」

浜面「あー、じれったいな。それはすごく分かるわ」

麦野「それに」

浜面「それに?」

麦野「『本当に欲しいもの』を売るのがうちのモットーでしょ?」




――あなたもなにか必要なものがあるなら、ぜひ一度『item』に――

以上です。
久々過ぎてみんなの口調に違和感感じてしまう……超電磁砲2期始まったし原作読みなおそう

絹旗「浜面。新しいゲーム手に入ったんでやってみません?」

浜面「いいよな……ゲーム買えるほど懐に余裕あるヤツは……」

絹旗「このゲームはテストプレイ用に貰った試作版です。故に超タダ!」

浜面「超タダってなんだ」

絹旗「統括理事長が明るくオープンな学園都市を超目指したくなったとかで、まず、
   その第一歩として超能力を理解して貰えるように、
   学園都市の学生をキャラにした格ゲーを作ることになったそうです」

浜面「格ゲーか。まぁ、戦闘向きの超能力って多いから作りやすいのかもな」

絹旗「じゃあ、さっそく始めましょう」

浜面「えーと、キャラは……」カチカチ

絹旗「レベル5が全員」ポチポチ

浜面「六位もいんの?」カチカチ

絹旗「いえ、?マークの超ランダム決定用ですね」ポチポチ

浜面「ですよねー」カチカチ

絹旗「ほかは、上条、フレンダ、神裂……私がまだいません」ポチポチ

浜面「俺もいねぇな」カチカチ

絹旗「可愛い私がいないなんて、超不服です」ポチポチ

浜面「まぁ、テストプレイ用だし、仕方ねぇって……」カチカチ


キャラクタ決定

浜面「よし、フレンダにしてみるか」ドーデモイイワケヨ

絹旗「私は麦野で」ブチコロシカクテイネ!

絹旗「あ、テストプレイ用なんで、1ラウンド設定に超固定らしいです」

浜面「あいよー」

\fight!/

浜面「」カチャカチャ

絹旗「」ガチャガチャ

浜面「」カチャカチャ

絹旗「」ガチャガチャ

浜面「フレンダはやっぱりツールを使ったトラップ系だな」ニャーハッハ

絹旗「設置、からの任意爆破。本人のスタイルを超再現ですね」ナエサセンジャネェゾ

浜面「そして麦野は……」ニョワッ

絹旗「ビーム攻撃に、格闘戦。超万能って感じですね」クソガッ


絹旗「ここで、キャンセル超超必殺ッ」ワラワセンジャネェゾ、クソガキ!

浜面「あ、やべ、ミスったっ」ニョワー…ニョワー……ニョワー

絹旗「まずは超一勝です。さすが私、ゲームでも超当然のように浜面よりも超格上ですね」

浜面「はいはい、さぁ次……あれ?」

\finish him!/

絹旗「え?」

浜面「やられたはずなのに立ち上がったぞ……」

絹旗「超バグでしょうか?」

浜面「……フラフラして動かせないな」

絹旗「なんでしょうね、これ」ウロウロ

浜面「説明書は……」ガサガサ

絹旗「この状態を超攻撃してもいいんでしょうか……」

浜面「えぇと、グロッキー状態の相手用に『約1キャラ分相手から離れて、強P押しながら下下弱K前後P離す』ってコマンドがあるぞ」

絹旗「なにか超凄いカットインの技でも超見れるんですか?」

浜面「『究極神拳(フェイタリティ)』だってさ。全員に設定された、超能力みたいだな」

絹旗「強P押しながら…下下弱K前後 で、Pを離す。っと」

デデデーン♪

浜面「?」
絹旗「??」

チュイーン
ピシューン
スパッ
ギャーーーーーーーーー

浜面「」
絹旗「」

浜面「フレンダの上半身と、下半身が……」

絹旗「ビームで超分断して……」

浜面「うわ……麦野がものすげぇいい笑顔でフレンダの上半身を掲げてる……」

絹旗「ゲームとは言え、超ドン引きです……」

浜面「」


絹旗「」


浜面「」



絹旗「じゃあ、次は一歩通行で」

浜面「俺は垣根で」


なんだかんだでドン引きながらも、続けてプレイ


とある魔術の究極神拳
おわり

少し借ります。
浜面フレメア打ち止めがデザートを作る話です

フレメア「ただいま!」

浜面「おう。お帰り
   おや、もうひとりいるな」

打ち止め「おじゃまします、とミサカはミサカは元気に挨拶してみたり!」

フレメア「大体、学校の帰りについてきちゃったんだ。
     部屋に上げてもいいかな、浜面」

浜面「子猫拾ってきたわけじゃあないんだからよ。まぁゆっくりしてきな。
   とりあえず二人共うがい手洗いしてこい」

打ち止め「はーい、とミサカはミサカは元気に洗面所までダッシュッ!」

フレメア「にゃあ! 部屋の中で走るなっ!」

浜面「って、フレメアも走っていくのかよ。いいけどよ。
   じゃあ簡単になにか用意するかね」

浜面「うし、苺のスムージーにでもするか」

浜面「材料はこれだ。


   ①冷凍した苺     一人前6個程度
   ②飲むヨーグルト   一人前150cc程度


   調理方法は材料をミキサーに突っ込んでドロドロにするだけ。
   めちゃくちゃ簡単だな                      」


フレメア「にゃあ! 浜面。うがいと手洗いしてきたよ」

打ち止め「それどころか顔まで洗ってきたんだとミサカはミサカは無い胸を強調してみたり」

フレメア「洗面所を水浸しにして大きな顔をするな。
     大体ノーブラごときが胸を張っても悲しいだけだといい加減気づくべきだ、にゃあ」

打ち止め「なにをー! ぺったんぺったんなのはそっちも一緒だとミサカはミサカは自爆覚悟で」

浜面「へいへい。仲がいいのは結構だがとりあえずこれを飲め」

打ち止め「おお、美味しそう、とミサカはミサカはアイデンティティたる語尾を邪魔された憤りを感じながらも
     目の前の冷たいものに興味を惹かれてみたり」

フレメア「冷たっ!」

打ち止め「でも甘酸っぱくて美味しい!
     ファミレスやコンビニのスムージーとは全然違うってミサカはミサカは驚愕してみる」

浜面「材料的にはほとんど変わらないだろうけど、やっぱり作りたてな分だけ違うんだろうな。
   酸化してるとか粒が溶けて固まって舌触りが悪いとかさ」

打ち止め「難しいことは考えなくていいのだ! とミサカはミサカは舌ツツミを打ちながら言ってみる」

浜面「ごもっともで。部屋でゲームでもすんのか?
   絹旗と黒夜が寝てるからあんまり騒ぐなよ」

フレメア「あのふたりは本当にダメ人間。夕方近くまで寝ていて深夜に起きてるし」

打ち止め「まるで芳川みたいだとミサカはミサカは嘆息してみる」

浜面「どうしても見たい深夜放送があったんだとよ。絹旗はともかく黒夜は無理矢理付き合わされてるだけだろ。
   なんだかんだで仲いいよなあの二人」

フレメア「録画しておけばいいのに。夜ふかしの言い訳にはならない、にゃあ」

打ち止め「ミサカは毎日九時にはホットミルク飲んではベッドに入ってぐっすり!」

浜面「はいはい。これから夕飯の準備するからよ、静かに遊んでろよ」

打ち止め「浜面が料理するのってミサカはミサカは目を見開いてみたり」

浜面「(俺このちっこいのにナチュラルに呼び捨てにされてる……ま、いっか)」

フレメア「浜面はすっごく料理が得意なんだ。大体、できない料理なんてないんだ、にゃあ」

打ち止め「おおぅ!? ってことはあまーいデザートとか食べ放題なのかって
     ミサカはミサカは溢れ出るよだれを止められなかったり」

浜面「あー、デザートなぁ。あんまり得意じゃないんだよなぁ」

フレメア「にゃあ!? そんな、浜面料理たくさんできるのに!」

浜面「いやぁ、デザート系列って時間かかる割に飯にはならんもんでさぁ。
   それにこういっちゃあなんだけれどコンビニのデザートが充分安くて旨いし
   作るメリットがあんまり感じられないんだよなぁ」

打ち止め「うぅん、すっごく残念ってミサカはミサカは肩を落としてみたり」

浜面「……わかった。たまには作ってみっか。
   ただ時間はかかるからな、覚悟しておけよ?」

浜面「まずは一品目、かぼちゃのチーズケーキだ。
   ミキサーを使えば手間はほとんどかからないんだぜ?」

浜面「材料はこれだ。


   ①かぼちゃ     四分の一
   ②クリームチーズ  かぼちゃと同量
   ③バター      20g
   ④砂糖       60g
   ⑤生クリーム    100cc
   ⑥卵        2個
   ⑦小麦粉      60g

   別途、耐熱容器に塗るバターも用意      」

浜面「最初は薄く切ったかぼちゃをレンジで加熱するぞ。
   大体五分ぐらいで柔らかくなるんだ」

浜面「で、柔らかくして皮をとったかぼちゃと小麦粉以外の材料を全部ミキサーにかける、と。
   一応クリームチーズが完全にドロドロになってから生クリームと卵を追加したほうがいいんだけど
   俺は面倒だから一気にやっちゃうな」

フレメア「大体、黄色の綺麗な生地になってる。ホットケーキの元みたいだ、にゃあ」

浜面「まだ小麦粉入ってないけどな。
   こいつをボールに移して、で小麦粉を混ぜ合わせる。
   そうしたらバターを塗っておいた耐熱容器に入れてオーブンで200度の45分焼けば出来上がりだ」

浜面「バターの代わりに下面にクッキーを敷くのもありだな。結構乙なもんなんだぜ?
   大丈夫だと思うが一応竹串かなんか通して焼き加減を見ておこうな」

打ち止め「45分もかかるのかって、ミサカはミサカは空腹のお腹を抑えてみたり」

フレメア「でも簡単そう。オーブンに入れるまで五分もかからない。大体これなら私にもできるかも」

打ち止め「オーブンレンジがあればミサカにもできそうだけど炊飯器だと難しいかもってミサカはミサカは生活環境を省みてみる」

浜面「炊飯器? できなくもないけどよ。
   っていうかケーキを作れるモードのついた炊飯器っていうのも結構あるんだぜ?」

打ち止め「本当!? それならきっとミサカにも作れるかもっ!
     詳しくは見てないけど炊飯器マニアの黄泉川ならきっと持っているはずってミサカはミサカは狂喜乱舞!」

フレメア「ご飯を炊く代わりにケーキが炊けるのってなんかシュールだ、にゃあ」

浜面「パン焼く窯でケーキも焼けることを考えれば大した違いじゃないとも言えるな。
   炊飯器で焼くときは結構生焼けになりやすいからボリュームを抑えるか二度焼きにしてくれよ?
   竹串で刺して中身がくっついているようだったら早炊きボタンを押してくれよな」

浜面「続いて二品目。コイツも簡単だぜ?
   かぼちゃのココットだ」

浜面「材料はこれだ。


   ①かぼちゃ     四分の一
   ②クリームチーズ  かぼちゃと同量
   ③オレンジの皮   適量
   ④砂糖       お好みで        」

打ち止め「皮? 皮を使うデザートなのかってミサカはミサカは興味津々!」

浜面「おうよ。オレンジとかの皮は結構使うんだぜ?
   柚子の皮のジャムとか、みかんの皮は陳皮って言って漢方薬や七味唐辛子に使ったりするしな」

フレメア「大体、柑橘系は皮を使うのは常識の範疇。ちびガキはものを知らなすぎるんだ、にゃあ」

打ち止め「なにおぅ? ミサカの知識量を馬鹿にするな!
     あの人がどこから身体を洗うのとかあの人がどんなお散歩コースを選ぶのか全部知っているのはミサカだけだ!」

浜面「おーい、続けるぞ?
   って言っても蒸したかぼちゃをクリームチーズとオレンジの皮を混ぜ込むだけなんだけどな。
   強いて言うのならばかぼちゃの皮は色合い的に使えないってことぐらいかな」

打ち止め「細かく切ったオレンジの皮は水にさらしてからクリームチーズに混ぜ込むのかー」

浜面「簡単だろ?
   かぼちゃが甘ければ砂糖は不要だぜ? カロリー的にもない方がいいんじゃないかな」

浜面「あとはココット用の器に盛り付けて冷やして出来上がりだ。まぁ、三十分かな」

フレメア「今すぐ食べられないのが難点だ、にゃあ」

打ち止め「うう、よだれが止まらないまま待たされるのはきついってミサカはミサカは落ち込んでみたり」

浜面「食べてもいいけどよ、まだ生ぬるいぞ? キンキンに冷やすものでもないけどよ。
   んでもって待っているあいだに次行くぜ?」

浜面「今度はかぼちゃのプリンだぜ」

打ち止め「おお、プリン! ミサカはプリンが大好きなのだっ!」

浜面「材料はこれだ。


   ①かぼちゃ     四分の一
   ②豆乳       かぼちゃと同量 牛乳でも可
   ③砂糖       100g
   ④卵        2個             」

浜面「作り方はいつもの通りだな。
   まずは例のごとくレンジで柔らかくしたかぼちゃから皮を取り除く」

フレメア「毎度お馴染みの手順になってきた、にゃあ」

浜面「で、材料を全部ミキサーにかける」

打ち止め「これもお馴染みの工程だってミサカはミサカは突っ込んでみる」

浜面「まぁなぁ。で、これを耐熱皿に入れる。ココットの容器が一番かな。
   原液を入れたらアルミホイルで蓋をするんだ。
   で、深めの鍋に入れる、と」

フレメア「大体、このまま焼くの?」

浜面「違う違う。蒸すんだよ」

打ち止め「ぷっ、ものを知らない小娘め、とミサカはミサカは隠しきれない笑みを両手で隠してみる」

フレメア「にゃあ! 隠してない! 喧嘩を売っているのか貴様!」

浜面「はいはい。
   で、鍋に水を差す、と。ココット容器が首を出すぐらいかな。
   んでもって鍋に大きめの蓋をして十五分ぐらい弱火にかければ出来上がりだ」

打ち止め「これも冷やさないと食べられないんでしょってミサカはミサカは落ち込まない心構えをしてみたり」

浜面「いんや。
   冷たくてもうまいけど出来立て熱々のプリンもなかなかいけるんだぜ?」

フレメア「熱々のプリンなんて食べたことない。本当に美味しいの、浜面?」

浜面「おうよ。こればっかりはコンビニじゃあ買ってこれない、自作だけの特権の味だぜ?」

打ち止め「おおう、それはとっても楽しみってミサカはミサカは大興奮!」

浜面「泡立てた生クリームを添えたりミントの葉をデコレートしたりしてもいいんだぜ?」

浜面「さて、一口サイズに切り分けて、アイスクリームにラズベリーソースをかけたものを添えてっと。
   三種類のかぼちゃのデザート盛り合わせ、完成だ」

フレメア「にゃあ! すっごい豪華! 全部かぼちゃのデザートだっ!」

打ち止め「またされただけあってミサカの空腹はマックスなのだっ! いただきまーす!」

浜面「砂糖を使ってないココットを最初に食べるといいぞ」

フレメア「んっ、美味しい!」

打ち止め「かぼちゃのほんのりとした甘さにオレンジの皮の香りがすっごく合う!」

フレメア「おまけにクリームチーズの味が濃厚だ、にゃあ」

浜面「シンプルだけど美味いだろ? 俺も結構お気に入りなんだよ。
   砂糖を使ってないから甘さが自然だしかぼちゃとクリームチーズの味がしっかりしてるだろ」

打ち止め「次はチーズケーキだってミサカはミサカは大突撃!」

フレメア「にゃあ! しっとりとしててすっごく美味しい!」

打ち止め「普通のチーズケーキと違ってホクホクしててお芋みたいだっ!」

フレメア「お芋じゃなくってかぼちゃ」

打ち止め「これはミサカの文学的表現なのだ。
     お子様にはわからないかもしれないってミサカはミサカは知性的な台詞回しで誤魔化してみたり」

フレメア「大体、その台詞は演技には不向きだ、にゃあ」

浜面「喧嘩するなよー。かの武者小路実篤先生も仲良きことは美しき哉とおっしゃっている」

フレメア「浜面、誰それ」

打ち止め「ふっふっふ。武者小路実篤とは昭和の文学者で通称かぼちゃ先生なのだ!
     そんなことも知らないのか、小童! とミサカはミサカは何故か焼付で入っていた知識を披露してみたり」

フレメア「……浜面。大体、昨日テレビでみた昭和の文学史とか、そのまんま使ったでしょ」

浜面「はっはっは。その通りだ。
   だからかぼちゃ尽くしにしてみたわけさ。それなりに満足してもらってるみたいで嬉しいぜ」

打ち止め「その台詞はミサカがかぼちゃプリンを味わってからにしてもらおうか、ってミサカはミサカはスプーンを振りかざして」

フレメア「うん、これも美味しい」

打ち止め「うにゃあああー! ミサカの台詞が言い終わる前に食べるなー!」

フレメア「口癖が長すぎるのもうざったらしいので少しは自粛すればいいの、にゃあ。
     それにしても熱いプリンってこんな味するんだ」

打ち止め「ううう、ミサカはミサカはミサカはウザくなんかないって……」

浜面「ほれほれ泣くなよ。熱いうちに食え食え」

フレメア「大体、なめらかなかぼちゃって感じ。プリンなんだけどプリンじゃないみたい」

浜面「言うほどなめらかにはしてないぞ、どっちかというとつぶが残ってる方が好みだから。
   もっととろける感じにしたかったらかぼちゃを裏ごししておくといいんだ」

打ち止め「でも舌の上でとろけたあとかぼちゃの粒が残ってるのは面白いかもってミサカはミサカはご満悦っ!」

フレメア「笑ったり泣いたり、味覚だけじゃなくて感情もおこちゃま。
     もっと貞淑なレディとしての振る舞いを覚えたほうがいい、にゃあ」

打ち止め「なにおう。じゃあレディとしてはこの味をどう表現するんだとミサカはミサカはソムリエ的な返答を期待しながら煽ってみる」

浜面「煽ってどうするんだ、素直に味わえばいいじゃあないか」

フレメア「浜面、黙って。
     ……大体、にゃあ、焼きたてのお芋のようなホクホクとした……」

打ち止め「はっはー!
     貴様も貴様もお芋と言ったじゃあないかとミサカはミサカは同レベルの争いの醜さを露呈しながら笑い転げてみたり」

浜面「厄介な口調の子だなぁ……喧嘩しているようだともう作ってやんないからな」

フレメア「にゃあ! それは困る!」

打ち止め「ぬおおお、ゲコ太を人質にとった悪の組織並みに非道なことを言われてしまうってミサカ愕然」

浜面「じゃあ仲良くな。仲良きことは美しき哉、だぞ?
   ほら、握手でもしろ」

フレメア「大体、仕方がない。ほら手を出して握手握手笑顔笑顔、にゃあ」

打ち止め「元気に握手しながらもミサカはミサカは足元はぐりぐりとブロンドビッチの足を踏みつけてみたり」

フレメア「にゃあ! ビッチじゃない! 将来の旦那様の前でなんてことを!
     シャンプーも一人でできないようなお子様が何を言うかってごふっ!」

打ち止め「痛い! 痛いってミサカはミサカは頭のてっぺんを抱えながら涙目になってみる」

浜面「いい加減にしないと本気の岩山両斬波が炸裂するぞおい」

打ち止め「これは違う技なんだねってミサカは涙目のままもうチョップはごめんだと怯えてみたり」

フレメア「世紀末帝王が何時の間にか世紀末覇者になってる、にゃあ」

浜面「お前らさぁ、なんで今日は仲悪いのよ。結構仲良くなかったか?」

打ち止め「……ミサカは、少し羨ましかったの。だってあの人はお菓子なんか作ってくれないしってミサカはミサカは涙目で見上げてみる」

フレメア「……大体、浜面が特別な方であってお菓子を作れない男の人は多いと思う」

浜面「まぁ、家庭料理ならともかくワザワザ甘いもの作ろうっていう奴は少ないだろうなぁ。
   一方通行は甘いもの特に嫌いだからますますもってそうだろうさ」

打ち止め「あの人は料理もしないし、黄泉川のご飯が美味しくないわけじゃあないんだけれども、
     フレメアが浜面にお菓子作ってもらってる表情見てるとイライラしてきちゃったのってミサカはミサカは黒い部分を白状してみたり」

浜面「一回言ってみたらどうだ?
   こういっちゃあなんだがレシピ的にはめちゃくちゃ簡単なものばっかだろ?
   ベクトル操作もあればお茶の子さいさいだろうさ」

打ち止め「うん……そうだねっ! それはとっても素敵な考えってミサカはミサカは満面の笑みを浮かべてみたりっ!」

フレメア「にゃあ! 笑ってたほうがいい!」

浜面「おお、いいじゃあないか。よしよし。じゃあプリンとか詰めてやっからよ。お土産に持って帰れよ」

打ち止め「ありがとう! ミサカはミサカはあの人一筋のはずなんだけど少しだけ浜面に心揺れてしまったことを頬を染めて宣言してみたりっ!」



絹旗「……超つまんないですよ。浜面がひどい目にあってません」

黒夜「つうか変なフラグも立ってるし。浜ちゃんはいじられキャラだからひどい目にあってこその立ち位置なのにねぇ」

絹旗「あと、すっかり忘れているようですが夕飯を作ってませんね」

黒夜「あ、そうだね。かぼちゃのデザートは美味しそうだけど流石に夕飯にはなんないよねぇ」

絹旗「お仕置き、しますか」

黒夜「えー、でもここでうちらが出ていってもなんか嫉妬に狂ってるみたいでカッコ悪いじゃん」

絹旗「誰が誰に嫉妬してるんですか!
   えっと、このサーバを経由して……で、衛星を跨いで……送信、っと」

黒夜「誰にメールしたの? それにその添付ファイルは?」

絹旗「暗闇の五月計画の参考データになったモヤシに、クローンのちっこいのの最後のセリフを添付して送りました。
   超楽しみです。世界最強のロリコンと暗殺拳伝承者の世紀末帝王との超一大決戦の始まりです」

黒夜「うわぁ……」

絹旗「ちなみに私は白モヤシに一万円賭けますけど、どうしますか?」

黒夜「私も白モヤシに賭けるかなぁ。まぁ、浜ちゃんなら1%ぐらいの可能性がありそうだけれどもさ」

絹旗「同感です。ですが賭けになりませんね」

黒夜「今回は賭けなしで観戦だけでいいんじゃない?」

絹旗「ポップコーンは何味にします? 飲み物はコーラでいいですか?」

黒夜「塩バター一択。コーラは炭酸抜きでね」

絹旗「意外とわかっているじゃあないですか。
   楽しみです。超楽しみです。ハリウッド顔負けのド派手なアクションを超期待です」

黒夜「絹旗ちゃん、顔黒い」

絹旗「黒夜こそ、いい笑顔です」

以上です
フレメアと打ち止めって喧嘩友達かなぁと判断しました

白垣根と一方さんで2レスほど頂きます。
白垣根のキャラが掴みきれていない感がありますが、ご容赦下さい。

「HeLa細胞はヘンリエッタ・ラックス自身か。あなたはどう思いますか?」

『垣根帝督』は一方通行にそう訊ねた。彼が結局のところ『垣根帝督』その人なのかというのかは正直はっきりしないところなのだが、そう呼ぶのが一番手っ取り早い。

「はァ?哲学か、生物学か。オマエそォいうの好きだったのか。」

「私の存在はヘンリエッタ・ラックスにおけるHeLa細胞に近いと思います。彼女の一部が彼女の意思に反して膨らんだ。ヘンリエッタ自身が死んで50年以上たった今でも、彼女の一部であるHeLa細胞は増え続けている。」

HeLa細胞とは、あるガン患者の細胞につけられた名前である。その細胞の持ち主はヘンリエッタ・ラックス。彼女は疾うの昔に亡くなっているが、彼女の体の一部であったその細胞は未だに世界中で細胞の研究に使われている。
現在の『垣根帝督』がHeLa細胞と似た存在である、という喩え話は言い得て妙である。彼は元々は垣根帝督の一部、単なる能力の発現でしかなかった。それが自身の意思を獲得し、今は垣根帝督自身のように振舞っている。一方通行はそれが実際に垣根であろうとなかろうと彼なりに『垣根帝督』を認めているので、そこについて細かく気にしたりはしなかった。

「人の体はおよそ60兆の細胞でできていると言われています。恐らくこれまでに増え、そして死んでいったHeLa細胞の数はその程度の数ではないことでしょう。HeLa細胞は元々のヘンリエッタよりも遥かに大きなものとなっています。」

「HeLa細胞はヘンリエッタ・ラックス自身か。私は垣根帝督自身か。」

「別にどっちだっていいンじゃねェの。オマエはオマエだろォが。」

一方通行は興味無さ気にそう言ってコーヒーを一口含んだ。実際に彼はそんなことには興味がない。目の前の『垣根』に興味がないというわけではない、彼が嘗ての垣根と同一だろうと何だろうと、そんなことが現在の『垣根』自身に影響するとは思っていないのだ。
しかしながら『垣根』は一方通行の素っ気ない態度にも穏やかな笑みを崩さない。

「では、質問を変えましょう。」




「あなたは半年前のあなたと同じ存在でしょうか。」



一方通行はぴくりと眉を動かして、コーヒーカップを持っていた手を止めた。

「人の体の70%は水でできています。そしてその水は3週間で全て入れ替わると言われています。つまりは普通、人の体は3週間で70%は全く別のものに成り代わるわけです。」

「水以外の成分も、数年あれば完全に別物に入れ替わるそうですね。そうなったら、あなたはあなたなのでしょうか。」

恐らく人間は脳で自分を自分だと認識しているのだろう。その脳みそですら、数年の時間があれば科学的には全く別物に変わる。そして脳科学はその設問に対して未だ明確な答えを出すことができていない。瞬間的な電気信号が、永続的な『個の認識』を支えるメカニズムは今もって不明である。

「そンなことについて物理的にどォだとか、脳科学的にどォだとか議論する気はしねェな。」

「おや、意外です。」

こういう話題は他人ごとではあるまいに、と『垣根』は思ったが、口には出さなかった。
自分もだいぶ嘗ての垣根帝督とは様変わりしてしまったが、彼も大概である。平気な顔をしてクローンの少女を殺していた頃からまだ半年も経っていない。今では彼女らが擦り傷を作るのにすら渋い表情を見せる彼が、果たして嘗ての彼と本当に同一人物なのか。見る人によっては悪い冗談にしか思えないだろう。

「オマエは、以前の垣根がしたことは自分には関係ないとか言うつもりか。」

「そんなつもりはありませんが。」

「俺も同じだ。」

「あの頃の俺が今の俺と同じかどうかなンて知らねェよ。」

「ただ、責任は俺がとる。これは今の『俺』の仕事だ。」

一方通行はコーヒーを飲みきると、かちゃりと小気味のいい音を立ててソーサーの上に載せ、かと思うとさっさと席を立った。

「気分を悪くしてしまったでしょうか。」

少し不安げな表情を見せた『垣根』に対し、一方通行は否定も肯定もせずにこう言った。

「……またな。」



さっさと立ち去ってしまった第一位の影は既に人混みに紛れて見えなくなっていた。
またな、ということはこれからも自分に会うつもりがあるのだろうか。こちらをまるっきり信用しているわけでもないだろうに。でも、信頼したいとは思ってくれているのだろう。
案外と性善説めいた期待を隠し持っている第一位が羨ましく思えて―こういうところは元の垣根帝督の性か、現在の『垣根帝督』も人を信用しきれなくてどこか冷めていた―また会って話してみたいな、と思った。

ふと白垣根ってがん細胞みたいだなぁと思ったんですが、自スレでは消化しにくい内容だったので投下してしまいました。
あえて分かりにくいテーマを選んでおいて、しかも消化しきれなかった感がすごいですが、ご容赦下さい。

では、失礼致します。

 第七学区の北西端にある、口は悪いが根は優しい店主が経営する、小さな喫茶店。
そこへ、ようやく少女という殻を破ったばかりの女性が、いつも通りに来店した。

「やっほー、また来ましたよ♪」

「いらっしゃい、ご注文は」

 女性は、当然のようにカウンターの真ん中の席に腰を下ろし、

「いつもので」

 当たり前のようにそう注文する。
ちなみに、彼女の“いつもの”はマンデリンのブラックである。

「……かぁーっ! この苦さがたまんないね!」

 届いたコーヒーをひと口飲み、通ぶった言葉を吐く女性。

「……オイ佐天、その言い方だと飲ンだくれのオヤジみてェだぞ」

 本日最初の客である彼女、佐天涙子の発言にツッコミを入れる店主。

息抜きに勢いだけで単発ネタ描いたんで5レスお借りします

佐天「とは言っても一発屋って具体的にどうなるんだろ? 使ってみないことにはなんともイメージが……」

黒子「おや、佐天さん。こんなところで会うなんて奇遇ですの」

佐天「あ、白井さん、ほんと偶然……あ、そうだ!ちょっとお願いがあるんですけどいいですか?」

黒子「要件にもよりますが、他ならぬ友人の頼みを断るほど黒子は冷たくありませんの」

佐天「ちょっと私と握手してもらっていいですか?」

黒子「? そんなことでいいんですの?」

佐天「はい!」

黒子「はぁ、意味はわかりませんがそれがお役に立てるのならどうぞ」スッ

佐天「ありがとうございます!」ギュッ

黒子「!?」ドクンッ

佐天「あ、あの白井さん……? 大丈夫でs」



黒子「YO!YO!ですNO! YO!YO!ですNO!」バッバッバッ

佐天「……oh」

黒子「ですの。の最近は~謝ることばっか~ ですの。の最近は~謝ることいっぱ~い」

黒子「そういうことですの~」


佐天「あ、あの白井s」


黒子「ですの。この前~あまりにも暑いからハンカチで汗を拭いていたんで・す・NO!」ビシッ

黒子「そしたら~SO!」

黒子「お姉さまのパンティ!」


佐天「……」


黒子「吸水性~抜群だったんだぞぉ~?」

黒子「あぁ~いとぅいまてぇ~ん!ですの」

黒子「YO!YO!ですNO!」

黒子「ですの。この前~おニューの帽子を被って遊びに出かけたんで・す・NO!」ビシッ

黒子「そしたら~SO!」

黒子「お姉さまのパンティ!」


佐天(いきなりネタ被せてきた……)


黒子「ツインテールがちょうど出せて被り心地良かったんだぞぉ~?」

黒子「あぁ~いとぅいまてぇ~ん!ですの」

黒子「YO!YO!ですNO!」

黒子「ですの。最近~サウナマスクを被って寝るようにしているんで・す・NO!」ビシッ

黒子「そしたら~SO!」

黒子「お姉さまのパンティ!」


佐天(また……あっ、白井さん基本悪いことしないからネタが御坂さんのパンティしかないのか)


黒子「脱衣所から持ってきたばっかりで生温かかったんだぞぉ~?」

黒子「あぁ~いとぅいまてぇ~ん!ですの」

佐天「……ん?あっ!?ちょっと白井さんストップ!スト――ッ」

黒子「ちょっとお待ちなさいな。もうちょっとだけ続くんですの」

佐天「いや、そうじゃなくて後r」

黒子「YO!YO!ですNO!」

黒子「ですの。さっき~パンツの上に短パンを履いている人がいたから余分な方をテレポートで飛ばしてやったんで・す・NO!」ビシッ

黒子「もちろん~SO!!」

黒子「お姉さまのパンt」


御坂「黒子おおおおぉぉぉぉおおぉおおおおおおおおおおおおおっ!!」

黒子「……じ、自宅のお姉さまパンティコレクションBOXに……飛ばしてやったんだぞぉ~……?」


御坂「覚悟は出来てんでしょうねえええぇぇぇぇぇええええええええええええええええ!!?」バリッバリッヂッ

黒子「あっぁぁっぁあああああああああいぃとぅいまてぇえええええええぇええええええええええええええええんですのおおおおおおおおおおおぼぼぼぼぼ」ビリビリビリ



佐天(白井さん……とぅいまてぇ~ん)



END

いろいろな意味でお目汚し失礼しましたー

>>238-249の続きっぽいのを思いついたので投下します

 第七学区の北西端にある、小さな喫茶店。
その店先に、一台の白いバイクが停車した。

「はろー、お届け物でーす」

 荷物を抱えて店に入ってきたのは、セミロングの茶髪に黒いライダースーツの女性。

「よォ相園。つか、豆を注文した覚えはねェンだが」

 その女性・相園美央に対し、遠回しに来訪の目的を尋ねる店主。

「いやー。珍しい豆を手に入れたんで、ちょっくら試してみませんか? って事で、持ってきたんですよ」

「……ほォ。どれ、寄越してみろ」

 店主は相園から荷物を受け取り、中から生豆を取り出す。

「……成る程。品種を掛け合わせてあるのか」

「うわすげー。豆見ただけでそこまで分かっちゃいますか」

「豆に訊きゃァ分かる」

「さすが第一位サマは格が違った」

「“元”第一位、な」

 からかう相園をあしらいながら、店主は豆を炒り始める。

「やっほー、また来ましたよ♪」

 そこへ、いつも通りに佐天が来店する。
そして、見知った顔があった為、そちらにも挨拶をする。

「おお、相園さん! お久しぶりですね!」

「お久しぶりですねー佐天さん」

「あン? なンだ、オマエら知り合いなのか」

「ある事件で出会って以来の仲ですよ」

「犯人と探偵、みたいな感じのね」

 それはそれとして、と言いながら佐天は身を乗り出し、

「また新しいブレンドですか?」

 店主が煎る豆を見て問い掛ける。

「いや。今回は豆自体が新しい」

「新豆?」

「あながち間違いじゃないですね。品種改良の試作品らしいし」

「へー……」

 まじまじと店主の作業を見つめる佐天。
そんな彼女を見やり、相園はその思惑に感づく。

(ふーん。佐天さんったら、そうなんだ)

 だが敢えて声には出さず、彼女の様子をただじっと眺める。

「出来たぞ。早速試飲会といくか」

 しばらくして、淹れたてのコーヒーが三杯、カウンターに置かれる。

「ほえ? あたしもいいんですか?」

「上得意様だから、特別にな」

「てへへ。そんじゃ、お言葉に甘えちゃいますね」

 店主のその行動に、相園はそういう事かと言いたげな声を上げる。

「へえ~え」

「なンだよその『へえ~え』は。何が言いてェ」

「べっつにい? 深い意味なんかないですよー?」

 ニヤニヤしながらカップを取る相園に舌打ちしつつ、店主は手元のコーヒーを口に運ぶ。

「……うん。悪くないね」

「苦味が強めだけど、後味はスッキリしてますね」

「……まァ、アリだな」

 店主の呟きに満足げな表情を浮かべ、

「それでは、コレも今後メニューに入れるって方向でよろしいですね? お買い上げありがとごさいまーっす!」

 そう言って領収書を差し出す相園。

「オイ、まだ買うとは」

「にゃんにゃん☆」

「……」

「買ってくれなきゃヤダヤダ☆」

「……チッ、分かったよ」

 全く聞く耳持たない相園にげんなりし、渋々購入を決断する店主。

「毎度ありー!」

 滑るように去っていく相園を見ながら苦笑いする佐天。

「アハハ……変わってないなあ、相園さん」

「昔っからあンな調子かよ……クソッ、やりづれェったらねェぜ」

 にしても、と前置きして、佐天は話を切り出す。

「コーヒー豆の仕入先、“シロワニ”だったんですね」

「あァ。相園ンとこが一番仕事が早いからな」

「しかも店長自ら配達するなんて、よっぽど気に入られてるんですね。わーモテモテーひゅーひゅー☆」

「アイツみてェなテンションで喋るのヤメロ。つか、アイツが店長? 冗談だろ?」

「あー、相園さんかわいそー。言いつけてやろーっと」

「オ、オイ待て、今のナシだ、待てって連絡するンじゃねェ!」

 佐天に翻弄されててんやわんやになる店主。
そんな彼等を、やや冷めた視線が射抜く。

「コホン。お客様をほっぽりだして何をはしゃいでおられますの?」

 声の主に見えない側の頬をひくつかせた後、店主は応対に移る。

「失礼しました。いらっしゃいませ、ご注文は」

「ストレートティーをお願いします」

「畏まりました。少々お待ちを」

 すぐに紅茶を淹れる準備にかかる店主を、やはりじっと見つめる佐天。

「佐天さん。貴女、あまりマスターを困らせてはいけませんわよ?」

「わかってるよう、白井さんは相変わらず堅いなあ」

 佐天の隣に座った天然ウェーブヘアの女性・白井黒子は、彼女にも苦言を呈した。
不満げに口を尖らせて文句を返すも、すぐにいつもの調子で話題を切り替える佐天。

「しっかしまあ、こうして会うのも久しぶりだよね。前に会ったのいつだっけ?」

「わたくしが風紀委員本部に配属になる直前ですから、二年程前でしょうか」

「ありゃー、もうそんな経つんだー。なんかあっという間だったねー」

「ええ。しかし、忙しくも充実した毎日だったと言えますの」

「うん、異議なし!」

「時に、御坂先輩はいかがなさってますの?」

「御坂先輩って。よそよそしいなあ、今までみたいに『お姉様』でいいじゃんか」

「先輩には先輩の人生がありますの。いつまでも未練がましくしがみついていたのでは、彼女が先に進めなくなってしまうでしょう?」

「そっかあ、とうとう御坂さん離れする決意が」

「しかあし! 隙あらばいついかなる時でもあの男からお姉様を奪い取って差し上げる所存ですの!」

「出来てなかった!? まったくもって歪みないシライズム!!」

 二人なのに姦しい成人女性達の声を呆れ半分に聞きながら、店主はカップに紅茶を注ぐ。

「あら、この香り。ラトゥナプラですわね」

「よく分かったな」

「茶葉の品種、特徴、淹れ方、嗜み方。どれも常盤台では基礎学習事項でしたので」

「学習範囲広過ぎねェか?」

「それが履修出来ずして、一流の淑女は名乗れませんの」

「一流淑女パネエ……」

「普通の学校で良かったな、佐天」

 出された紅茶を飲んでひと息吐くと、白井はぽつりと呟いた。

「わたくし、消極的過ぎるのでしょうか……」

「ん? なになに? もしかして、恋のお悩み?」

 それを逃さず聞き取った佐天は、すぐに彼女の言葉の真意を問い質す。

「はっ、えっ、いえ、その」

 動揺してばたばたと腕を振りながらはぐらかす為の言葉を探す白井に、

「ああ、海原さんか」

 更に追い討ちを掛ける佐天。

「な、何故お分かりに、あ、ではなくて、ち、違」

「ふっふっふっ。あたしにはとっくにバレバレなのだよ白井くん」

「うう……」

 海原、と聞いて一瞬知り合いの顔を思い浮かべ、

(いや、本物の方か)

 すぐに別人だろうと予想する店主。
佐天は様子見中の店主に代わり、更に白井の言動を追求する。

「消極的過ぎって、どういう事? 御坂さんにしてたみたいなスキンシップはしてないの?」

「んなっ!? あ、あああ、あんな恥ずかしい真似、出来るわけありませんの!」

「御坂さんにはできてたのに?」

「あ、あれは、その、女性同士ならば多少行き過ぎても絵的に許されると申しますか、若気の至りであったと申しますか、あの当時のわたくしがどうしようもない甘えん坊であったと申しますか」

 必死に言い訳を続ける白井に、いやらしい笑みを浮かべながら責め続ける佐天。

「えーじゃあどんな事したのーおねーさんにおせーておせーてー☆」

「嗚呼、マスター、助けて下さいまし!」

「助けろってェと、ソイツは」

 店主は白井に向き直り、

「佐天の追求から逃れてェって意味か? それとも」

 カウンターに肘をついて体重を預け、

「恋のアドバイスをして下さい、ってェ意味かァ?」

 ニヤケながら問い掛ける。

「四面楚歌!? 答えなくては帰していただけませんの!?」

「当然!」

「さァ、白状タイムだ」

「もう……分かりましたの、話しますの」

 頬を朱に染めながら、渋々相談を始める白井。

「彼との出会いは、中学三年の夏休みの時でしたの。いつものようにお姉様を陰ながらサポートしている折、彼の存在が浮き彫りになりまして」

「どういった理由でお姉様を監視しているのか、問い質すつもりで彼に接触しましたの」

「あれ? 海原さんって、常盤台の理事長のお孫さんじゃ」

(……オイ、まさか)

「あ、それについては後程……それで、話をしている内に、彼のお姉様への想いや、叶わぬと知ったうえでもお姉様を守ろうとする心意気に、その……」

「恋、しちゃったんだね」

「……はい」

「で、その海原さんはどんな人なの?」

「本来はアステカ地方の出身で、エツァリという名だと仰っておりました」

(やっぱりな……あの優男。御坂を諦めたかと思ったら後輩に手ェ出してやがったか、さすが妹フェチ)

(なんかショチトルみたいな響きの名前だなあ……知り合いかな?)

「故あって普段は海原さんに扮していらっしゃるとの事でしたので、わたくしが彼をお呼びする時はそれで」

「えっ? いいじゃん別に『エツァリ』って呼べば」

「え゛え゛っ!? む、無理、名前呼び、しかも呼び捨ては、恥ずかしいですの!」

「……オイ佐天、コイツ御坂並に純情だぞ」

「……ですね。初恋恐るべし」

「わたくしの初恋はお姉様に捧げたんですの!」

「でも、異性に惹かれたのは海原さんが初めてなんでしょ? だったらそれも、『初恋』で間違いないよ!」

「た、確かに。仰る通りですの」

(あっさり丸め込まれたな)

「それで、白井さんはどんなアピールをしたの?」

「ええと……出来る限り、手を繋ぐようにしたり、なるべく、同じ料理を注文したり……」

「うわスゲエ御坂と比べて遥かにささやかだ」

「あたしの知ってる白井さんじゃな~い!」

「ですが、いつも逆に優しくしていただいてばかりで……」

(息を吐くようにレディファーストを心掛けるからな、あの野郎は)

 ここまで話してしょんぼりと肩を落とす白井を見た店主と佐天は、それぞれこう結論づけた。

「ソイツ、異性からの好意に相当鈍いな。普通ならそれぐらいやりゃァ多少なりとも感づくだろ」

「ていうか、押しが弱い! 白井さんらしくないよ!」

「ええっ!? そんな、もっと過激にしろと仰いますの!? た、たと、例え、ば……」

 言って何事かを想像した白井は、顔を真っ赤にしてへなへなとくずおれる。

「む、無理ですの~……」

「コレは酷ェ……」

「純情だ……純情過ぎる……ッ!」

 静まり返る店内。
店主と佐天は、白井への的確なアドバイスを見つけられず、思考を続ける。
白井はというと、顔を紅潮させたままへたり込んでいた。
しばらくすると、来客を知らせるカウベルの音が響いた。

「久々に来てあげたわよ……って。何の有り様なの、これは」

 来店した、長い赤毛を後ろで二つに結った女性は、店内の状況を訝しむ。

「ン、よォ結標。注文は」

 その女性・結標淡希にまずは接客をする店主。

「ジャスミンティー。で、これは何事?」

 注文してすぐ、改めて状況説明を求める結標。

「とりあえず座ってくれ。あと、ソイツも座らせてやってくれねェか」

「はいはい。ほら、立てる? 白井さん」

「うにゅ……」

 結標は白井に手を差し伸べて彼女を席に着かせた後、自分も右隣に座る。

「さっさとキスしちゃえばいいじゃない」

 状況説明を受け、結標が放った第一声がそれだった。

「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ですのおおおおおお!!」

「DIOの親戚かアンタは!? てゆーか、いつからそんな奥手になったの!?」

「自信無さ過ぎだろ、どンだけ純情なンだよ」

「せめてほっぺちゅーぐらいしないと、鈍感野郎には気持ちが伝わらないわよ?」

 真っ赤な顔で否定する白井を、三人は半ば呆れ気味に諭す。

「だ、だって、だって、キスというのは、それは、結婚式で、するものであって!」

「古風!? 白井さんの恋愛観は昭和型だった!?」

「はあ? 今時キスもしないカップルなんて絶滅危惧種よ? あまり誉められたものではないわね」

「だって、だってえ……」

「んー、他になんかいい方法は……うーん」

 完全に呆れ、早々にアドバイスを放棄して出されたジャスミンティーを嗜む結標。
佐天は知恵を絞るも、いいアイディアはなかなか浮かばず。
すると、店主は携帯を取り出して電話をし始める。

「ちょっと。お客様がいる前で堂々と電話しないでよ」

 結標がそれをたしなめるも、店主は無視して電話を続ける。

「よォ、久しいな。今、時間あるか? ちと俺の店に来てほしいンだが……あ? 安心しろ、そンなンじゃねェよ」

 話しぶりから、結標は誰に掛けたのかを察し、薄く笑む。

「オマエを待ってる奴がいるンだ。多分、今のオマエにとっては、御坂と同じぐらい大事な奴がな」

 結標の表情の変化に首を傾げた佐天も、店主の発言で相手を理解して微笑む。

「まだしばらくはいるだろ。だが、極力早く来い。女は待たすもンじゃねェ、だろ?」

 そう言って通話を終わらせる店主。
気付けば佐天と結標が笑いながら見ていたので、理由を問うと。

「「ナイス、マスター」」

 息ピッタリにそう言われ、照れ臭そうにそっぽを向いた。

「やあ、お待たせしました」

 数分後、見るからに爽やかな青年が入ってくる。

「よォ、海原」

 青年・海原光貴--もといエツァリは紅茶を注文すると、白井の左隣に着席する。

「……はっ! う、海原、さん」

「やあ、白井さん。お待たせしました」

「あ、い、いえ、待つという程は、経っておりませんし」

 海原に声を掛けられ、慌ててそう返す白井。
そもそも自分が呼び出したのではいない事すら判断出来なくなる程に、白井はテンパっていた。

「あ、えと、お呼び立てしたのには、理由がありまして。じ、実は、わたくし」

 白井はイジイジと指をくねらせながら、言うべき言葉を頭の中で紡ぐ。

「う、海原さんの、事が--いえ」

 エツァリは柔らかく笑みながら、彼女の言葉を待つ。
意を決した白井は立ち上がり、自らの気持ちを彼にぶつける。

「エツァリさん。わたくしは、貴方を、愛しく感じております。わたくしと、恋人同士になって下さい」

「………………はい?」

 エツァリは目を見開き、白井の告白を喉の奥で反芻する。

「えっ……ええええええっ!? そ、そうだったんですか!? ちょ、待っ、待って下さい? 少し、考える時間を」

(うわ思った通りだよコイツ)

(この鈍さじゃ、ショチトルに愛想尽かされるのも頷けるわ)

 案の定白井の気持ちに気付いていなかったエツァリは、突然の告白に狼狽え始める。

「ふっふっふっ、待ったはナシですよエツァリさん!」

「いやその、冷静になってきちんと考えたいので、一端帰らせてほしいのですが」

「おォっと紅茶お待たせしましたァ」

「っ!」

「で、返事はまだなのかしら?」

「四面楚歌!? 答えるまで帰していただけませんか!?」

「当然!」

「さァ、告白タイムだ」

 エツァリは出された紅茶を飲むと、白井をまっすぐに見据えて語り始める。

「ええと……まずは。自分なんかに惚れていただいてありがとうございます。お気持ちはとても嬉しいです」

「ただ、今の自分が白井さんに見合う男だと言い切れる自信はありません。ですから、自信がつくまで待っていただきたい、というのが正直な所です」

「……ですが。白井さんはきっと、自分が貴女の気持ちに気付くのを、ずっと待ってくれていた。ならば」

「まだ、自信はありませんが。一緒に過ごす事で、貴女に見合う男になっていこうと思います」

「ですから。こちらからもお願いします。自分と、恋人としてのお付き合いをして下さい。自分を、男にして下さい」

 ゆっくりと、エツァリが手を差し伸べる。
白井は目に涙を溜めながら、彼の手を握る。

「……はい。よろしく、お願い致しますの!」

 二人はしばらくお互いを見つめ合い、ゆっくりと抱き合った。

「おおー。ロマンスですなあ」

「二人共、今日はサービスしといてやる」

「あ、ありがとうございますの、マスター」

「恐縮です」

 素直に祝福する佐天と店主に対し、結標は白井達を悩ましげに眺める。

(……はあ。あいつもいい加減、気付かないフリを止めてくれると嬉しいんだけどな)

 そんな彼女を見た二人は不敵な笑みを浮かべ、

「「恋のお悩みなら、相談に乗りますが?」」

「ちょっ!?」

 次なる標的を定めた。

 第七学区の北西端にある、小さな店舗に、大きな間口を持つ喫茶店。
喫茶『かたみち』、またのご来店をお待ちしています。

以上、お粗末様でした

ちなみに、知らない人の為に簡単に説明すると、相園ちゃんは超電磁砲PSPのボスキャラ的な立ち位置の子です
美琴さんに勝負服を剥がされてました、画像はググってみれば出る、かも

昨日の世にも奇妙な物語をみて面白かったやつのパロ。
15レスほどいただきます。


―― 八月二十一日 二十時三十分 貨物置き場 ――


「時間です、準備はいいですか?と、ミサカは最終確認を告げます」

「あぁ、御託はいいからさっさとかかってきな」


それでは。
そう一言呟くと、少女は少し腰を落としいかにもな臨戦態勢に入る。
いつでも相手の動きに合わせて対処できるよう力が込められた足元からは、
砂利同士がこすれ合う音が二人しかいない貨物置き場に小さく響く。

彼女は学園都市が誇る超能力者、
序列第三位の『超電磁砲』御坂美琴の体細胞を元に作り出されたクローン。
通称妹達の個体番号10032号。

本来、軍事兵器としての利用を想定され作りだされた彼女たちであったが、
オリジナルの1%にも満たない性能しか発揮できないことが判明し計画は凍結。
しかし、序列第一位の一方通行を絶対能力者へと進化させるという、
馬鹿げた実験のために流用されることになりコレまでに一万人以上の妹達が一方通行によって殺害されている。


つまり、
今この場所、この時間から絶対能力者進化実験の10032回目の実験が開始されようとしており、
彼女の目の前に佇む一人の少年――。

臨戦態勢を取る彼女を視界に捉えず、
遥か遠くを見つめる余裕とも、相手を舐めきっているともとれる態度を取るこの少年こそ。


学園都市が誇る超能力者の頂点。
唯一、絶対能力者への進化の可能性を見初められた一方通行――


――、ではない。


(実は俺は学園都市が誇る第一位。一方通行ではない……)
(特撮マニアで若白髪が目立つタダの無能力者の高校1年生だ)

(お気に入りのウルトラマンをモチーフにしたTシャツをきて、
夜食を買いにコンビニに買い出しに出た所で常盤台中学の制服を来た少女に声をかけられた)

(女の子から声をかけられるなんて経験のなかった俺は、
「あなたが一方通行ですね?」という彼女の問いかけについそうだと答えてしまい、
身分を偽っていることをまずいと思いつつも、
どんどん人気のないところに連れて行かれ一夜のアバンチュールを煩悩から滅することが出来ずここまで来てしまった)

(正直、実験とかなんのことだかさっぱり分からないが、
彼女の死を覚悟したような視線にもはや何も言い返すことが出来ずに実験とやらが始まってしまったというわけだ)


(いや、さっきはつい流れで了承してしまったがやはりこのまま実験とやらが開始されるのは非情にまずい――、死の香りがする)


「あ、あぁ、おい。やっぱりちょっと待ってくれ」

「なんでしょうか?」


臨戦態勢を崩さずに少女が返答を返す。
それはそうだろう、彼女からしたら命のかかった実験だ。
既に実験開始時刻を過ぎている中、もはや彼女に油断などというものはない。


(まずい、こんな相手と二人っきりの状態はまずい……他に、他に誰かいないのか?)
「あー……実験っていうのは、俺とお前の他に……誰か必要じゃなかったかなーって」

「いいえ。実験に私とあなた以外の人物の介入は必要ありません。と、ミサカは確認した実験資料の内容を思い出しあなたに伝えます」

「でも、ほら?実は途中でなにか計画に変更があったとかな?」

「そのような計画変更は聞いていませんg――」





「今すぐ妹から離れろこの三下ぁぁぁあああああああああっ!!」

「「ビクッ!?」」


「聞こえなかったか!?今すぐ妹から離れろつったんだよ三下ぁっ!!」


暗闇の向こう、コンテナの間辺りから突如響き渡る怒号。
人影は見えるが薄暗いせいでよく確認できない。


「まさか……どうしてあなたが」

「何だお前の知り合い……兄貴か?実験はお前と俺だけって言ってたじゃねえか……家族なんてつれこんでるんじゃねぇよ」
(っべぇ……誰か濃いとは思ったけどお兄ちゃん来ちゃったよ……なんかすげぇ勘違いしてるっぽいしっべぇ……)



暗闇の奥から聞こえた声の主。

ウニ頭が特徴的なシルエット。
無能力者でありながら、その右手にはありとあらゆる異能を打ち消す幻想殺しを有する。

絶対能力者進化計画のことをしり、
計画の阻止のために学園都市の頂点と対峙することを決心して駆けつけたその少年の名は上条当麻――


――、ではない。


(実は俺はあの少女に「あなた」など呼ばれるような面識のある人物ではない……)
(タダの通りすがりの貨物置き場の管理をしている人だ)

(何やら物音が聞こえたので足を運んでみると若い男女がイチャコラしていると思いむかついてしまい、
とっさにさっきまでしていた「妹が暴漢に襲われそうになっていて助ける」シチュエーションで、
登場の際に言おうと決めていた台詞を叫んで雰囲気をぶち壊してやろうと思ったらなぜかそのまま話しが進んでしまった)



(ちなみに私に妹などというものはいない)



(だが、何にせよもうこれは乗っかるしか無い雰囲気だ……こうなりゃやけだ)
「グチャグチャ言ってねぇで離れろって言ってんだろう!!」

「え、別にグチャグチャなんていってな――」

「う、うるせぇ!!グチャグチャいってねぇって言ってるんだよ三下ぁぁぁあああ!!グチャグチャいってんじゃねぇえぇえええええ!!」

「ヒィッ!」
(やべぇ……こいつの兄ちゃんあぶねぇ人じゃねえか……早く何とかしないと俺がグチャグチャにされそうな勢いじゃねえか……)

「……」
(あの人はこんな劇場的な性格だったのでしょうか。と、ミサカはヤバイ人を見る目を暗闇の人影に向けます……)

「とにかく、テメェは二度とこんなことが出来ないようにぶっ飛ばッ」

「待ちなさいアンタ!!」

「「「!?」」」


御坂妹と一方通行(ではない無能力者の少年)がウニ頭のシルエットに向けていた視線を背後に移す。
つまり、二人を挟んで上条(ではない貨物置き場の管理人の人)とは真逆のコンテナの陰――。

そこに確かに一人の人影が佇んでいた。

「まさか……お姉さまですか?と、ミサカは暗闇の主に問いかけます」

「……そうよ、私が来たからにはもう安心しなさい」


妹達からお姉さまと呼ばれる彼女。

名門常盤台中学に通う中学二年生。
有する能力はレベル5の発電系能力『超電磁砲』。

自らが提供したDNAマップが元で生まれながらに殺害される運命を背負った妹達を救うため―――。
そんな自分を救うために何の見返りもないのに走りだした一人の少年を止めるため―――。

自らを犠牲にする覚悟でこの場に現れた彼女こそ学園都市序列代三位の御坂美琴――

――、ではない。

(実は私は彼女のお姉さまではない)
(この貨物置き場の管理人をしている男のストーカーだ)

(今日も今日とて管理人さんの後をストーキングしていたらとんでもない場に遭遇)
(あろうことか私のデータベースにない妹の存在まで発覚するという異常事態)

(そんな中、彼が勇敢にも立ち向かおうとする場に私も熱が入ってしまいつい声を荒げてしまった)


(だが……しかし、悪くない)
(何がどうなってそうなったかわからないが、彼の妹に『御義姉さま』と呼ばれるこの状況は……悪くない)
「とにかく、一人で突っ込まないで二人いっぺんに行くわよ、アンタ!」


「お、おぅ……まかせろ」
(えぇぇええええ!?妹一人じゃなくてもう一人いたのかよ……いや、姉か?どっちか知らねぇけどなんでこいつら他人だって気づかねえのぉおおおお!?)

「は、はん!雑魚が何人集まろうが俺の敵じゃねえよ!!」
(なんだよこの状況はぁあああああ!?三兄弟?しかも示し合わせたように現れやがって……新手の美人局か!?美人局なんですかあぁああああああああああ!?)

「……」
(なんなんでしょうこの状況は……あー、実験どうなるのかなぁ。と、ミサカはもうどうにでもなーれ……)


――とある研究室

「コレはどういう状況だ……?」

「……わかりません」


研究室に白衣の男が二人。
二人が覗き込む画面には貨物置き場が映しだされ、
四人の男女が何やらやり取りをしていた。

その画面を覗きこむ二人の間ではこの異常事態に対して緊迫した会話が――、


「……今回の実験はこのような……シチュ、シチュエーションで行うものだったか?」

「いえ、私は何も……博士こそ伺っていないんですか?その、シチュエーション?について」

「私は……その、いつもどおりの……感じのやつだと聞いている」


――、非情にもっさりとした会話が繰り広げられていた。

(実は私は博士などではない……)
(研究所の用務員をしているおじさんだ)

(一度は研究員という職に憧れ勉学に励んでいた私だが才能なくその道を諦め今の職についている)
(しかし、研究所という場所を仕事場に選んだのは私の拭いきれぬ研究員への憧れゆえだろう)

(そんな中、私の最近の専らの楽しみは夜中の清掃中にこっそりと白衣を着て研究所を闊歩することだった)
(案外堂々としていればばれないもので誰かとすれ違う時も臆することなく挨拶をかわしてすれ違っていた)

(それが今回は仇となった)
(どうやら他の研究員と待ち合わせをしていたらしいこの助手に何か勘違いをされてしまい、)
(あろうことかこのこの何のために何をするのかもわからない実験の監視に引っ張りだされてしまった)

(だが、幸いな事に相手は私が偽の博士だとは疑ってすらいない)
(よもや今更用務員のオッサンがコスプレ間隔で白衣を着ていただけだなどと言い出せるわけもなく博士を演じきることでこの場を乗り切る覚悟だ)
(なに……助手とはいえ本文の研究員がこの場にいるんだ、なんとか乗りきれるであろう……)

(実は私は助手などではない……)
(この研究所に潜入した、革命団体『銀の匙』の構成員だ)

(学園都市で秘密裏に非人道的な研究が行われているという情報を聞きつけ、)
(その証拠を入手し学園都市を脅すために研究所に潜入した)

(実験担当の博士は仲間が足止めをし、その間自由に研究室を探索する予定だったのだが、)
(まさかこんなにもすぐに代わりの博士が派遣されてきているとは予想外だった……)

(だが、幸いなことに相手は私が偽の助手だなどと疑ってすらいない)
(せっかくのチャンスなので目の前の画面で行われている実験がどういうものなのか情報を直接聞き出すことにしよう)
(なに……博士がいるんだ。助手が偽物であっても実験はなんとか乗り切れるであろう……)

『すみません、応答願います。と、ミサカは不測の事態にどう対処していいかわからず助けを求めます』

「「!?」」

研究室のスピーカから少女の声が発せられる。
どうやら相手は貨物置き場にいる常盤台中学の制服を着た少女のようだ。

『?聞こえていますか?、と、ミサカは返答がないことに不安を感じつつ聞き返します』

「……博士」

「え?私が出るの?」

「他に誰がいるんですか……」

「あ、あぁ……、えー……もしもし、こちら研究室こちら研究室、どうぞ」

『実験に思わぬ邪魔が入ってしまいました。このまま続行しても本来求める実験成果が得られない可能性があります。と、ミサカは報告します』

「あー、そうだね。本来の成果が得られないのは非情にまずいね、うん……」

『そこで、一度樹形図の設計者に実験の影響度を問い合わせてみてはいかがでしょうか?と、ミサカは提案します』

「え……」
(樹形図の設計者の問い合わせの仕方なんてわかるわけないだろ……どうすんだよこれ。というかそもそも何の実験なんだよ……)

「博士?」

助手(偽)が声をかける。
その声からは多少の不信感が感じられた。

「君……問い合わせしてみる?」

「……は?」

何言ってるんだこいつ。そんな含みをオブラートに包む気もないくらいむき出しの助手の返答。
博士(偽)だって何を言っているんだと自分でも思ってはいるが、
自分が出来ないのだからもう相手に押し付けるほか方法はない。

「いや、ほら。私は普段からものすごい問い合わせしてるから。一日10回くらいしてるからたまには君にさせてあげようかなって」

「そういうもんじゃないでしょう!何ですかその『俺こんなの普段からやってるからたまにはお前にやらせてやるよ』自慢は!?」

「~~~ッ!!なんなんだ君は!人が親切でたまにはさせてやろうというのに!!」

「逆切れですか!?というかそんなの出来ませんよ!!問い合わせとか私が方法知るわけがないでしょ!?」

「なに!?研究員なのにそんなことも知らないのか君は!!もしかして……偽物なんじゃないのか~?」

「にっ……!そういう博士こそ……実は問い合わせ方法知らないんじゃ……」

「なっ!?そんなわけないだろう!?知ってるわ!!さっきも問い合わせしたばっかりだし!!」

「だったらまたやればいいでしょうに!!」

「るうせぇ!バーカバーカ!!」


研究所に二人の男の怒号が響き渡る。

――貨物置き場


「……」

無線のむこうから聞こえる争う二人の男性の声。
コレではもう自分の求める解答は期待できそうにないと無線をきる。

仕方ない。

妹達にはMNWという、妹達同士の脳波をリンクさせて形成された独自のネットワークが存在する。
そのネットワークを利用して他の個体に樹形図の設計者への問い合わせを実行してもらおうというのだ。


(問い合わせ内容……、絶対能力者進化計画に対する妨害が発生。その影響を考慮した上での実験の成功確率は――)

樹形図の設計者にそのような内容で問い合わせが実行。
本来、樹形図の設計者への問い合わせは申請をしたうえでそれが受理されて初めてなされるのだが、
この計画に関する問い合わせは特殊なルートで最終戦事項として実施されることになっている。

リアルタイムで問い合わせが樹形図の設計者へと送信される――

(実は私は樹形図の設計者ではない……)
(電卓だ)

(何者かによって樹形図の設計者が破壊された後、)
(なぜか仮の接続先として私が設置されている)

(もちろん私ごときに問い合わせの内容が演算できるはずもなく、)
(キャパシティをオーバーする各問い合わせにはERRORを返す他無い)

(もちろんそのような解答を問い合わせ元に返すわけには行かないのでうまいことごまかしているようだが)
(だったらなんでわざわざ自分が繋がれているのかという疑問も出るがそんなことは私のほうが訊きたいくらいだ)

(おっと、どうやらまた問い合わせが来たようだ)
(いつものように迅速かつ丁寧にERRORを返すとしよう)






問い合わせ内容
絶対能力者進化計画に対する妨害が発生。その影響を考慮した上での実験の成功確率

問い合わせ結果
ERROR

普段ならば問い合わせ元と樹形図の設計者(電卓)の間に入るべき改ざん。
それが今回はMNWを経由したダイレクトリンクだったためにERRORという結果は直接妹達の元へと送り返された。

ERROR。

樹形図の設計者がよもや演算でERRORを起こすなどという可能性は考慮に入っていない。
と言うことは……

「実験の成功率はERROR……もう不可能ということでしょうか?」

そのような解釈になることも当然といえるだろう。




この夜。
学園都市で行われていた絶対能力者進化計画が関係者の知らないところで幕を下ろした。

妹達はもはや意味のない実験に加担する気は毛頭無いらしく、
一方通行との先頭に意欲を見せず、そのような相手を相手にしても絶対能力者への進化は認められないと研究者は判断。

妹達がそのような態度をとるようになった原因を探るべく、
ちょうどその原因となったとみられる10032回目の実験の記録を確認しようとしたが、
実験を監視していた研究室は無いものかが争った形跡があり記録は大破、確認は不可能だった。

結果実験は凍結。


同時期に

10000人の命を救った電卓が学園都市の何処かに存在する

そんな都市伝説が人知れず広まったのはまた別の話。


以上です。

最後のまとめに近づくにあたって適当な感じになってるのはご愛嬌……

なんか激しく二番煎じくさいので5レスくらいもらう
実験の話



「めんどい」

「えっ」


一方「……」

妹達「……え、えーと? とミサカはテンパります」



一方「……」

妹達「……あれっ、とミサカは慌てつつ繰り返し引き金を引きます」

一方「……あのさァ」

妹達「あっ、もうちょい待って、とミサカは焦りながら返事をします」

一方「安全装置、かかってるンだろ」

妹達「えっ? あ、ホントだ、とミサカは安全装置を解除しま……しま……」グググ

一方「それ上げるンじゃなくて下ろすンじゃね?」

妹達「あっそういうアレですかとミサカはうひゃあ!?」バンッ

一方「……撃たないときは銃口は下向けとけ。間違っても自分の方に向けるンじゃねェよ」

妹達「あっはい了解です、とミサカは心臓をバクバクさせながら答えます」フー

一方「……で? 実験ってやつ始めるンじゃねェの?」

妹達「え、あ、そ、そうでしたとミサカは混乱を抑えつつ呼吸を整えます」スーハー

一方「……」

妹達「こほん。えー、それでは改めまして絶対能力進化計画第一次実験を開始しましゅとみしゃかははちゅげんしましゅ」

一方「噛み噛み、ってか舌回ってねェじゃねェか。小難しいとこ完璧だったからって油断してンじゃねェよ」

妹達「か、噛んでなどいませんむしろ今まで噛んだことぎゃっ……」

一方「……派手に噛ンだな」

妹達「――ッ!!」ジタバタ


一方「なァクソ研究者どもよォ、この実験大丈夫なンかい」

研究者「……」フイッ

一方「目ェ逸らしてンじゃねェよ」

研究者「いや、ハード面、つまり肉体的には問題ないんだ」

一方「には?」

研究者「……その、ソフト面、つまり精神的なアレはだな、ちょっとな」

一方「納得のいく説明しねェと小腸と大腸入れ替えンぞ」

研究者「ヒィ! いやだからその、人間を一から学習装置で教育するってのはけっこう難しくってだな」

一方「で」

研究者「で、外部から専門の人を招こうと思ってたんだが、なんか来てくんなくて……それで」

一方「それで?」

研究者「適当にやったんだけど、まあなんかそんな感じに」

妹達「そんな感じとはなんですか! とミサカは涙目で激しく抗議します!」ブーブー

一方「ハァ……馬鹿らし。俺は帰るぞ」

研究者「ちょ、ちょっと待つんだ一方通行! 君は二万人の妹達を殺害しないとレベル6には到達出来ないんだぞ!」

一方「あァ、殺害!? そンな話聞いてねェぞ!!」

研究者「あっ。……ま、まあ大丈夫だ、妹達はただの人形だから殺してもノーカンだから」

一方「ンなわけねェだろ! 第一テメエさっき自分で人間って言ってたじゃねェか!!」

研究者「えーと妹達は実験で死ぬために生み出された、いわば実験で死ぬことが存在理由なのだ! それを君は否定するのか!!」

妹達「……えっ、とミサカはドン引きしながらかろうじて返事をします」

一方「ドン引きしてンじゃねェか!!」

研究者「やだもう! 思ったより全然学習させれてない!!」




研究者「」チーン

一方「コイツは後で警備員にでも突き出しとくとして……オイ」

妹達「はい? とミサカは報復行動を取りながら応答します」ゲシゲシ

一方「他にもクローンは作られてンだろ。案内しろ」

妹達「ミサカだけです」

一方「は?」

妹達「製造されたクローンはミサカだけです、とミサカは真実を報告します」

一方「二万体のクローンとの戦闘を積むンじゃなかったのかよ」

妹達「給料日前だったもので、とミサカはクソ研究員のことを憐れみつつ更なる報復行動を実施します」ゴスゴス

一方「まさかの自腹かよ。もうなンか色々付いていけねェンだけど」

妹達「それで、これからミサカはどうすればいいのでしょうか、とミサカは己の将来に漠然とした不安と期待を抱えます」

一方「テメエは思春期か。どうすればっつっても、テメエはどうしたいンだ」

妹達「とりあえずしんどいのは良いけど死ぬのはちょっとノーサンキューです、とミサカはジェスチャーでも示します」ブブー

一方「……これと一緒に警備員の世話になるとか」

妹達「かくまってください」

一方「ふざけンな」

妹達「新しい命に責任取ってください、とミサカは意味深にお腹に手を当てながら言いました」

一方「誤解を招く表現使ってンじゃねェ! なンでそういうことはキッチリ学習してンだよ!!」

妹達「しかしあなたの為にミサカが生み出されたのは事実ですよね? とミサカは同意を求めます」ジー

一方「いや確かにそうとも言えるけどよ」


妹達「じー」

一方「……チッ。少しの間だけだぞ」

妹達「本当ですか? とミサカは確認を取ります」

一方「べっつに、テメエ一人分の衣食住分くらい俺の財力からすれば大したことはねェ」

妹達「おっひょーい、とミサカは歓喜の舞を踊ります」ウゾウゾ

一方「くそったれが、身の振り方決まったらとっとと出て行けよ」

妹達「イエスサー、とミサカは満漢全席に胸躍らせながら答えます」

一方「だからそォいうのどこで学ンだンだよ」






一方「……ところでオマエ」

妹達「なんですか? とミサカは返答します」

一方「妹達だよな?」

妹達「はい」

一方「いもうとたち、って書いてシスターズ、って読むンだよな?」

妹達「それが何か? とミサカは何当たり前のこと聞いてるんだという表情で答えます」

一方「……『達』? 『ズ』?」

妹達「はい?」

おしまい
残念系妹達を一通さんが教育して実験の成功を目指す話のつもりだった

ふと思いついた話を勢いだけで書いた。数レス貰うね



雨が降っていた。


六月の梅雨まっただ中。
中学二年生の上条当麻は、一人傘を差して歩いていた。
雨が降っていても涼しくはない。ジトジトとした嫌な蒸し暑さが全身を包み込む。
汗が頬を伝い顎から落ち、ワイシャツが肌に貼り付いて気持ち悪い。
日本では毎度おなじみの時期で、上条も生まれてから今まで何度も経験したことのあるものだが、それでも不快なものは不快である。

それでも、これはマシな方だ。
なぜなら上条はまだトラックに水を引っ掛けられたり、急な突風で傘を壊されたりしていない。
“まだ”と思ってしまうあたり、自分でも悲しくなってくるところだが。

上条当麻は不幸だ。
運が悪い人間というのは居るかもしれないが、そのレベルではない。
具体的には通り魔にいきなり腹を刺されるくらいには、上条の不幸というものは上限がない。
この不幸というのは科学の最先端を行くこの学園都市でさえも仕組みを解き明かすことができない難物だ。
外からここに来た時は、この不幸を何となしてくれるかもしれないと少しは期待したものだが、今はもはや諦めてしまっていた。

そして、これもその不幸の一つなのだろうか。

ふと視界に入った公園に、一人の少女がうずくまっているのを見つけた。
小学校の高学年くらいだろうか、茶髪のボブに服は黒い病院着のようなものを着ている。
彼女は傘もささず、まるで捨て猫のようにダンボールの箱の中に入っていた。

いや、“まるで捨て猫のよう”ではない。

よく見てみると、そのダンボールの箱に何かの紙が貼ってある。
上条は嫌な予感がして、公園の中に入って少女の前まで歩いて行く。
その紙には、ご丁寧に上からテープを貼って雨に滲まないように、こう書いてあった。


『拾ってください』



しばらく、ザァァ……という雨音だけが辺りに響く。
上条は何も言うことができない。
雨に打たれて震える捨て猫というのはありそうで中々ない、それでもフィクションの世界ではありきたりな光景だ。
この前友人に借りた漫画にも、いつもは突っ張っている不良がそういった猫を拾う場面があった気がする。

だが、目の前の少女は人間だ。猫ではない。
捨て猫と捨て子では事の大きさが違いすぎる。

置き去り(チャイルドエラー)というものだろうか。
世の中には入学費のみを払って子供を預けた後、行方をくらましてしまう親もいるらしい。
この少女もまたそのような扱いを受けたのだろうか。

上条は首を振る。
それにしたって、この状況はおかしい。
いかに置き去り(チャイルドエラー)だとしても、学園都市に入った時点で何かしらの住居をあてがわれるはずだ。
こんな家無し状態になるなんて事はありえない。

それでは家出だろうか。
上条は頷く。それはありえるかもしれない。
寮長さんへの不満が爆発し寮を脱走、第十三学区からここ第七学区まで逃げてきたはいいが、住む場所がないのでこうして誰かに拾ってもらおうと思った。

とにかく、考えているだけでは始まらない。
こうして目にしてしまったのだ、何かしらの行動を起こす必要がある。
それは彼女のためというより、自分の人間としての質を守りたいがためだ。

「どうした、大丈夫か? 傘も差さずにそうしてると風邪引いちまうぞ。
 ほら、とりあえず警備員(アンチスキル)のとこまで一緒に行こうぜ。早く寮長さんとも仲直りしような」

「…………」

少女は、上条が差し伸べた手に何も反応しない。
まるで彼が見えていないかのように、生気のない目でただぼーっと何もない空間を見つめている。


どうしたものかと上条が頭を掻いていると、唐突に少女が口を開いた。

「オマエ、目が見えてねェのかよ」

「……え?」

「私は超拾えっつってンだ。警備員(アンチスキル)に突き出せとか頼ンでるわけじゃねェンだよ」

どうやら相当にお怒りな様子である。
とある青髪の友人ならそれでも目の前の少女を愛でたのだろうが、あいにく上条にそんな余裕はない。
というか、率直に言ってかなりカチンときていた。

「お前なぁ……もう小学校の高学年だろ? ちょっとはお姉さんにならないと中学校に入ってから苦労するぞ」

「オマエ、レベルはいくつだよ?」

「ぐっ……いや、それは……」

「あァ、もういい、分かった。オマエ、少し勘違してるようだな。ここじゃ年なんざ超関係ねェンだよ。
 例えば既にレベル3相当の力を持っている小学生と、何の力もねェ中学生。どっちが価値があると思う?」

「このっ、何が能力だ、そんなもん一発芸に過ぎねえだろうが。そんなんで人の価値を決められてたまるか!」

「一発芸? 寒さで苦しんでいる奴は発火能力(パイロキネシス)で助けられる。車にはねられそうな奴は念動力(テレキネシス)で助けられる。
 オマエ達無能力者どもに能力を上回る別の価値があるってのか? 本当に超苦しンでる奴等を助けるだけの力があンのか?」

「…………」

上条は答えられない。
学園都市において能力によるヒエラルキーというものは確かに存在している。
高位能力者は優秀、無能力者は落ちこぼれ。そんなものは小学生でも分かっている。

何かが違うという思いはある。
しかしそれは具体的には出てこなく、心のどこかで引っかかっているようだった。


上条は溜息をつく。
もうやめにしようと思った。そもそも、自分は偉そうに説教できる人間ではない。
説教というのは本当に相手のことを想っているからこそするべきであり、心のこもっていないものなどただうるさいだけだ。

「警備員(アンチスキル)をここに呼んでおく。動くんじゃねえぞ」

そう言って、上条は歩き去る。
それを聞いて少女が大人しくじっとしているわけはないのに。ここから逃げ出してまた別の場所で雨に打たれるのは分かりきっているのに。

だが、これでいいのだ。別に上条は心の底から少女を助けたかったわけではない。
ただ、何かをやったという事実が欲しかっただけ。これで見て見ぬふりをしていた者達とは違うことを証明できる。
困っている人が居たら手を差し伸べる。それで十分じゃないか。
それ以上に相手のことにズカズカと干渉するのはお節介というものだ。それに、そこまでの義理もあるはずがない。

これが本当の善行ではないことは何となく分かる。しかし改めようとは思わない。
上条は不良を何人も相手にして勝つことなんてできないし、自分のことが一番かわいい。
誰かを助ける上で本当に自分が危ない目に遭いそうだったら、その相手を見捨てるかもしれないとさえ思っている。


詰まるところ、上条はフィクションに出てくるようなヒーローではないのだ。


上条は振り返らない。
雨は変わらず、ただ静かに降り続いていた。




***



物心つく頃には、少女の周りは血の海だった。
不快だったあの鉄の臭いも今となってはすっかり慣れた。

人が死ぬことは珍しいことではない。
一秒の間にも世界では何万もの命が失われている。
その度に大袈裟なリアクションをとっていては、とても体がもたないだろう。

無関心とは身を守る手段だった。

何年も暮らした無機質な研究所。
周りには同じような身の上の、同じくらいの年齢の子供が何人も居た。
それなりに会話はした。子供らしくたまには一緒に遊んだりもした。

だが、少女はそんな彼らには一本の線を引いていた。
それ以上は踏み入れない、踏み込ませない。そんな明確な線だった。

周りの子供達はすぐに死んでいった。
それは実験の事故だったり、開発中の事故だったり。

ここでは“事故”という言葉の範囲が広い。
例えば理論通りに考えれば数パーセントは生き残る可能性がある実験であれば、それで被検体が死亡したとしてもそれは事故という事になる。
事故ではなく事件となる場合は、百パーセント失敗するような実験を強行した場合であり、そんな頭の悪い事をここの科学者はやらない。

「辛くてもみんなの役に立つために頑張る!」

そう言った女の子は、次の日の耐久試験で鉄球に潰されて死んだ。
彼女の名前は覚えていない。

「強くなってここの奴等に復讐してやる!」

そう言った男の子は、次の日の開発中に内臓がほとんど全部壊れて死んだ。
彼の名前は覚えていない。


子供達の中には友達の死に泣き叫ぶ子も居た。
もういやだ、と恐怖で震える子はもっと居た。

そういった子供達は大抵、自分だけの現実(パーソナルリアリティ)が崩れた。
その度に直そうと脳を弄られるのだが、それで戻ってきた子を少女は一度も見たことがない。
この辺りが少女が必要以上に周りの子供達に近付かない理由の一つである。
どうせお互いいつ死ぬか分からない。相手の事を悲しめる程度に近づいてしまえば、連鎖的に自分まで命を落とす可能性が出てくる。

幸か不幸か、少女は優秀だった。
能力レベルは順調に伸びていき、レベル3まではすぐに到達した。

問題はその後だった。

壁に当たった。
少女は次のレベル4へとなかなか辿り着けなかった。
科学者は躍起になって、無茶な実験が増えてきた。
それでも自分がまだこうして生きているのは、優秀な個体ゆえに一応死なない程度にという配慮があったのかもしれない。


そんなある日、蒸し暑い六月の雨の日の事だった。


まるで天から救いの手が差し伸べられたかのようなチャンスだった。
数年間で一度もなかったような、これを逃せば二度とないと思えるほどの。

一瞬の隙だった。
それでも少女は、自分でも驚くほど素早く行動に移した。
普段はそんな事を少しも考えていなかったのだが、それでもやはり心の奥底ではそういった想いが眠っていたのかもしれない。


少女は、研究所から脱走した。


走って、走って、走った。
雨の中を、もしかしたら人生で一番必死に。

頭の中ではこれからどうすべきか考えていた。
学園都市の上層部が敵だと考えれば、警備員(アンチスキル)や風紀委員(ジャッジメント)はダメだ。
それならばこの街を出るしかない。そう考えるが、こちらも一筋縄ではいかない。

とにかく、拠点が必要だった。
学園都市を出る算段がつくまで、しばらく追っ手をやり過ごせるような。
廃ビルなんかはダメだと思った。そういった場所はすぐに捜索の手が入る。


だから少女は、誰かに拾ってもらうことにした。




***



今思えば馬鹿だと思った。
少女は公園で雨に打たれながら溜息をつく。

確かにどこかの学生寮の一室に転がり込むのはいいかもしれない。
それにしたって、ダンボールはなかった。
偶然捨て猫が拾われた後の空箱を見つけたのだが、入ってから数秒で自分の馬鹿さ加減に気がついた。
自分なりに保護欲を引き立たてさせるための手段だったが、これで素直に拾うような者は頭がおかしいと思う。

(クソ……全然頭回ってねェ……)

少女は頭をブンブンと振って雨水をはね飛ばす。
これではまたすぐに捕まってしまうだろう。
脱走を企てた子供への制裁は聞いたことがある。少女は捕まったらその時点で舌を噛みきろうと思った。

これでもう終わりなのだろうか、と少女は頭上の雨空を見上げる。
雨粒が顔に当たり、頬を伝っていく。
重苦しい灰色の雲は空を多い、一片の光も見えない。

何となく、今までの人生を振り返ってみた。
研究所、実験、悲鳴、血、死体。

「くくっ」

思わず笑みさえ溢れる。
人生は苦しんだ分だけ幸せも訪れるなどと聞いたこともあるが、これからどんな事があればチャラになるのか想像もつかない。

なんだかもう、色々と面倒になった少女はただぼーっとする。

死んだらどうなるんだろう、それは今までも数えきれない程考えてきた。
いくら考えても答えが出るわけではないが、それでもろくでもない事くらいは想像できた。
来世ではきっと幸せになれるなどという気持ちにもなれない。例え生まれ変わりというものがあっても、きっと自分の人生はまた同じようなものなのだろう。
それくらいにはこの世界は腐っていると思っている。


少女が視線を空から前へ戻す。

先程から何人かの視線を感じた。
しかし、その全てが見なかったように通りすぎていく。

(当然、か)

自分から面倒なことに関わろうとする者は少ないだろう。
そして、彼らの判断は正しかったと言える。もしも自分のような人間と関われば、それこそ引きずり込まれる可能性だってある。

世界は優しくない。そんな事は痛いくらい知っているはずなのに。
それが分からなくなるほどに、自分は動転していたのかもしれない。
あるいは――――。

そこまで考えたときだった。


「どうした、大丈夫か?」


ふと、雨音と自分の声以外の音が聞こえてきた。

ツンツン頭の少年。中学生くらいだろうか。
待ちに待った獲物であるはずなのだが、少女の気分は乗らなかった。
一度沈んだ心はなかなか浮き上がってはこない。

加えて、少女の中ではふつふつと妬みや憎しみの感情が湧き上がってきていた。
なぜ自分はこんな事になった。一体何が悪かった。
なぜ目の前の少年を始め、ここにいる大抵の子供達が過ごしている日常が自分には許されないのだろうか。

そんな苛立ちも加わって、少年に投げ掛ける言葉はキツいものになっていた。
予定では猫を被って相手を丸め込める作戦だった。
しかし、こんなその時の感情程度で台無しにしてしまうあたり、自分も所詮は子供かと自嘲する。

相手はそれでもなお自分に手を差し伸べてくれるようなお人好しではなかったらしく、背を向けて歩き去ってしまった。


別にそのことに対して何かを思うことはない。至って普通の反応だ。
それよりも、自分もそろそろここから動かなければいけない。
あの少年が、ご丁寧にも警備員(アンチスキル)を呼んだと教えてくれたからだ。

少女は雨の中、ゆっくりと立ち上がる。
濡れて貼り付く髪が鬱陶しく、再びブンブンと頭を振って水を飛ばす。
能力は使わない。雨の中で濡れない少女というのは目立つだろう。

そして少女は、先程の少年とは反対方向に歩き出す。
別に意識したわけではない。ただこっちの方が人が多いかと思ったからだ。

その時だった。


「待てよ」


少し前に聞いた声だ。
少女はうんざりした表情で振り返る。

そこには案の定、先程の少年が立っていた。
あれから走って引き返してきたのだろうか、傘は差しているのにかなり濡れているようだ。

少女は大きく舌打ちをして、

「何だよ。私が超大人しく警備員(アンチスキル)を待つとでも思ってたのか?」

「……お前、行くとこねえのか?」

「あったらこンな事してねェっての」

そう言い捨てると、少女はクルリと向きを変えて歩き出してしまう。
どうやら本気で警備員(アンチスキル)に引き渡そうと考えているらしいが、大人しく従うはずがない。
これ以上引き止めるようであれば、能力を使って排除しようと考える。

しかし。
少年の言葉は、予想外のものだった。


「なら、ウチ来いよ」



少女の足が止まった。
少しの間お互い無言で、周りにはただ雨の音だけが響く。

少女は驚きの表情を貼りつけたまま振り返った。
まるで少年がいきなり全く知らない言語を使ったかのように、その意味が頭の中に入ってこない。

「……何言ってる?」

「だから行くとこねえならウチ来いって言ったんだ。どうも警備員(アンチスキル)にはお世話になりたくねえみてえだし、話くらいは聞いてやる」

「…………」

まだ事態が飲み込めず、呆然とする少女。
相手が何を考えているのか分からない。本当に頭がおかしいんじゃないかとさえ思う。
今の自分のような子供を寮に招き入れてバレたらどうなるか、それくらい誰だってすぐ分かるはずだ。

そんな危険を顧みず自分なんかに手を差し伸べる理由。

一つ思い当たった。
だが、それはとてつもなく不快なもので、少女は思わずぞっとして半歩後ろへ下がった。

「オ、オマエまさかロリコンってやつか!? ふ、ふざけンな!! こンな小学生に手ェ出すなンて超頭おかしいンじゃねェか!?」

「はいはい、俺のタイプは寮の管理人のお姉さんだから安心しろ。ほら、行くぞ」

「あ、おい……」

上条は少女の言い分などろくに聞かず、手を取ってさっさと歩き始めてしまった。
そしてもう一方の手に持っている傘を二人の間まで持ってきて、自然と相合傘の形になる。
少女は、これだけ濡れているのだから今更関係ないと言おうとして、口を止めた。

唐突に繋がれた右手は暖かく、想像以上に大きなものだった。
何度か科学者に手を引かれた経験はあるが、一度も感じられなかったものだ。
何が違うのか、それをハッキリ言うことはできない。ただ、何かが違うというのは分かる。


その瞬間、何かが心に伝って染み渡った。
得体の知れない、今まで一度も経験したことのないものに胸を鷲掴みにされているようだった。

そんな中で、ぼんやりと思った。
これはきっと人の暖かさというものなんだろう、と。
心の奥底ではずっと欲しがっていた、そして一生感じることができないと思っていたものだ。

人生は最終的にプラスマイナスゼロだなんて思わない。今までのマイナス分を相殺するようなものなんてありえない。
その気持ちは変わらない。
しかし。


これは今までの人生の中で初めてのプラスではないか、そう思うことができた。


すると、隣を歩いている少年がこちらを見て慌て始める。
それはもう、大袈裟すぎるほどに。

「……えっ!? お、おい、どうした!? 何で泣いてんのお前!?」

「はァ!?」

少女が頬に手を当ててみると、なんと確かに涙が伝っているようだった。

小学生の女の子を泣かしたとあれば、中学生男子は慌てまくるだろう。上条のリアクションは当然のものだといえる。
だが、少女にとって重要なのはそこではない。自分が泣いているという事実そのものだ。
これは彼女にとってとても気に食わない事であった。

まぁ、要するに恥ずかしいのだが。

「バッ、ち、ちっげーし!! 髪についてた水滴が超伝ってきただけだし!!」

「いやでもお前目が赤い……」

「うるせェ!!! こっち見ンなクソが!!!」

「いでっ!!! おい、いでっ!! いてえっての!!!」

少女は顔を真っ赤にして、上条の足を蹴りまくる。
そんな二人を見て、周りは「仲の良い兄妹だなぁ」といった感じで微笑ましげに見ていた。

依然として雨は降り続き、不快な蒸し暑さが身を包む。
加えて服もグショグショ、頭もグショグショで、そのまま川に飛び込んだかのような有様の少女。
そんな最悪な状況の中で、繋がれた二人の手。


少しだけ、雨が弱くなった。
少女は何となくそう思った。




***



どうしてこうなった。

上条当麻は自問する。
隣にはずぶ濡れの小学生の女の子。行き先は我が学生寮。

普通に考えてありえない。
いくら何でもそこまでしてやる義理があるはずもなく、警備員(アンチスキル)に任せるのが最も良いはずだ。

途中までは確かにそう考えたはずだ。
自分は一人で学生寮への道を歩いていたはずだ。
それなのに。

その途中で、足が止まったのはなぜだろうか。
言い表せないモヤモヤが体を支配して、気付けばその足は元来た道を引き返していた。
やめろ、やめておけ、と心の中で警報を発しているにも関わらず、その足は止まらなかった。

「なら、ウチ来いよ」

言ってしまった、と思った時はもう遅かった。
その後は電車のレールのように、決められた道をただひたすら進むしかない。

こうして、結局上条は小学生の女の子を自分の寮へと招き入れるはめになってしまったのだった。

しかも歩いている途中で急に泣き出すわで、精神的に大変よろしくない。
こんな所をクラスメイトに、具体的には青髪のアイツなんかに見られるような事になれば、上条は色々と終わってしまう。
もうこれは、いつものアレだと割り切るしかなかった。

そうこうしている内に、寮まで着く二人。
ここの管理人は職務怠慢な人なので、そこまで警戒する必要はない。
むしろ、真に警戒すべきは他の部屋の学生であった。


コソコソと、周りに注意して進む二人。
少女の方もどこか慣れている様子であり、学校でも悪ガキでいつも何かやらかしているのではないかと想像する。

そうやって部屋の前まで辿り着くと、上条は素早く鍵を開けて少女を中に押し込んだ。
その後、周りをキョロキョロ確認しながら、上条自身も部屋の中へと入る。

少女は、部屋にあがらずぼーっとただ中を眺めている様子だった。

「どうした、あがれよ。あっ、やっぱ待て!!」

上条は慌てて制止すると、バタバタと部屋の中へと入っていく。
そして洗面所から大きなバスタオルを取り出すと、少女に投げてよこした。

「とりあえずこいつであらかた拭いてから入って来い。何なら俺がグシャーって拭いてやってもいいけど」

「それやったら超大声出すぞ」

そう言いながら、大人しくタオルで水滴を拭っていく少女。
不覚にも、少し微笑ましいと思ってしまった上条は、頭をブンブンと振る。
油断してはいけない。目の前の少女はとてつもなく生意気でこっちを年上だとか微塵にも思っていない奴だ。

大体拭き終えた少女が部屋にあがってくる。
ペタペタと可愛らしい足音を鳴らしながら――――。

「……待て、ペタペタ?」

「あン?」


上条が恐る恐る視線を下に向ける。
少女は、裸足だった。
そして色々あって気付かなかったのだが、それは公園からずっと、という事のようだ。

つまり。

「お前……足も拭いた?」

「…………」

「おいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」

案の定、玄関からリビングへと繋がる廊下は泥の足型が綺麗についていた。
それを目撃した上条は、目を血走らせて猛然と少女に走り寄り、彼女をお姫様抱っこした。

その瞬間、少女は顔を真っ赤にして、

「なっ、や、やめっ……!!!」

「うるせえええええええ!!! これ以上部屋を泥まみれにするのは俺が許さん!!!」

上条はそう叫ぶと、すぐに少女を洗面所の奥にある風呂まで運んでいき、そこにぶち込んだ。
そしてビシッと指差して、

「そこで足洗え! いやついでにシャワーでも浴びてろ!! 服は洗濯機の中!! 乾燥機能使ってシャワーから出たらそのまま着ろ!! 以上!!!」

そう言って、ピシャリと洗面所への扉を締める。
そしてまずは雑巾だな、と床の泥を見て苦々しげな表情を浮かべる。


と、そこで洗面所の中から声をかけられた。

「なァ、オマエ上条って言うンだよな?」

「はぁ? あー、表札か。おう、上条当麻な。上条さん、もしくは上条様って呼べ。で、お前は?」

「絹旗最愛。よろしくな、上条」

「あぁ、よろしくな最愛ちゃん」

「ッ!! オマエその呼び方やめろ!!」

「年上を平気で呼び捨てにする奴に言われたくねえ!」

そう返すと、上条はさっさと掃除に向かおうとする。
すると、扉の向こうの少女……絹旗が慌てた様子で、

「あっ、えっと!」

「……なんだよ。洗濯機の使い方が分かんねえとか?」

「…………」

「おーい、どうした?」


「その、ありがと」




彼女がポツリとそう言った次の瞬間には、バタンと中で風呂場の扉が閉まる音が聞こえた。
まるで返事は聞きたくないかのように。

上条は少しの間ポカンとしていた。
しかしすぐに口元に笑みを浮かべると、今度こそ掃除に取り掛かることにする。
その足取りは軽かった。

なぜ、彼女を部屋にあげたのか。
なぜ、彼女を警備員(アンチスキル)に任せなかったのか。

それはまだよく分からない。
それでも。

これは間違ったことではない。
根拠なんかは全くないが、何となくにそう思うことができた。


部屋の外では、雨が若干弱くなったような気がした。

おわり。ごめん、数レスじゃなかった、もっと詰め込めばよかった

あー、ごめん補足忘れてたわ
昔の最愛ちゃんはちょっと尖ってて、それが丸くなって防護性を獲得したっていう話にしたかった
つっても全部書いたら結構な量になりそうだったから、とりあえず冒頭だけ吐き出した感じ

予想以上にスレ立て求めてくれるレスがあって嬉しいわ。ありがとう

でも今は長編SS書いてて、その後書くものも決まっててそれもかなりの長編になる予定だから、スレ立てるならその後っていう事になると思う
短く見積もっても一年後で、それまで溜め込んでおくのもキツかったから、ここを借りてちょっと投下してみたって感じ

誰も居ないかな? 居なけりゃ15レスぐらい投下します。
昔書いた旧約一巻再構成物のリメイクβ版

旧題:美琴「あなた、病室間違えてない?」禁書「……、っ」

設定パクッて書いた物の更にリメイクとか意味分からんものだから注意な!

 ある日の放課後、御坂美琴は秘密(バレバレ)の日課をこなす為常盤台中学学生寮の裏庭に向かっていた。

 今日は一日中イライラが治まらなかった。
 原因はあの馬鹿、何が理由かは思い出すのも腹立たしい。
 昨日は文字通り雷を落としてやったがそれでも気が済まない。

 とにかくそんなささくれ立った心を鎮めようと両手に猫缶を抱え、秘密の日課である野良猫たちへの餌やりをしようとしていた。
 もっとも、日課とは言っても美琴が近づくとみんな逃げてしまうのだが……。

「え……?」

 寮の裏庭に到着した美琴は腹立たしさも忘れ、思わず呆けた声を出してしまった。

「え……?」

 ぽかーんと口を開けたまま美琴はもう一度呆けた声を出す。
 いつもなら美琴が近づくともぬけの殻になるはずのそこに残っているモノがいたからだ。
 普通ならぱぁっと目を輝かせて大喜びするところだが、生憎そこにいたのは猫ではなく――

「むにゃむにゃ……お腹へったんだよ…………」

 意地汚い寝言をつぶやき涎を垂れ流す真っ白な服の少女だった。

 ともあれ、人が倒れてる(どうみても寝てるように見える)のは事実だ。

「ちょ、ちょっとアンタ。大丈夫? しっかり!」

「……ぉ」

「あ、良かった。気が付いたのね」

「お腹へった」

「え?」

 とりあえず目を覚ました事にほっとしたのも束の間、開口一番吐かれたのは空腹を訴えると言うなんともあんまりな言葉。
 いや、よくよく見ればこの子は外人だ。この子の母国語で喋った言葉がたまたま「オナカスイタ」と聞こえてしまったのかもしれない。

 常盤台学生の例に漏れず美琴も高い教養を身につけ、英語やフランス語など複数の言語を操る事が出来る。
 それでもまだまだ知らない言語はたくさんある、その知らない言語が空耳のように聞こえてしまったのかもしれない。

「お腹へったって言ってるんだよ」

 完全無欠に日本語だった。

「いや、急にそんな事言われても……」

「それ」

「へ? それ?」

「あなたが今持ってる物をくれると嬉しいな♪」

 目の前の少女が要求するのは美琴の持つ猫缶、では無くもう片方の手に持つビニール袋の中身。
 猫缶と一緒に買った美琴の昼食のサンドイッチである。

「いや、これは私のお昼で……」

 美琴はやんわりと拒絶の言葉を口に出したにも関わらず、少女はニコニコと屈託の無い笑顔をしている。
 「だからこれは……」と言い募ろうとしたが、性格上こう言った攻撃には弱い。

「……はぁ、分かったわよ」

 結局折れた美琴はがっくりと頭を垂れて昼食を献上する事になった。

 あぐあぐモグモグむしゃむしゃ、余程空腹だったのかサンドイッチは物の数秒で姿を消した。

「ごちそうさま! 量は全然足りないけど助かったんだよ」

「人から食事を奪っておいてその言い種かい!」

「むう、これでも感謝はしてるんだよ」

 ほんとか? と美琴は疑わしげな視線で少女を見る。
 なにせ最初に口にした言葉が「お腹へった」だ。
 感謝とか遠慮なんて言葉からは程遠く見える。

「あ、えっと自己紹介がまだだったね」

 わたわたと若干落ち着かない様子で空々しく話題転換をしてくる。
 さすがに美琴のジトッとした視線に居心地が悪くなったようだ。
 まあ何となく憎めない感じなので、美琴もわざわざそれを追求しようとは思わないようだ。

「私の名前はインデックスって言うんだよ」

 インデックス――直訳すれば目次か目録と言ったところか。
 日本人ではなさそうだから横文字の名前が出てくると思ったが、さすがに本名とは思い難い。
 となると能力名か通り名だろうか? だとしても耳にした覚えは無い能力名だが。

「んー、悪いけど聞いた事無い能力名だわ。それより本名は?」
 
「だから私の名前はインデックスって言うんだよ! これが本名なんだよ!」

「え、マジ?」

「マジなんだよ」

 ふん、と鼻息荒く少女――インデックスは肯定する。

「…………目次ちゃん?」

「うう、その呼ばれ方は嫌かも……」

 まあ時代なのだろう、学園都市でも度々妙な名前(失礼)を見かける事はあるので今更である、外国でもそうなのだろうと納得する事にする。

「で、見たとこインデックスは日本人じゃなさそうだけど一四学区から来たの? 結構遠いわよ?」

「一四学区っていうのがどこなのかは知らないけど多分違うんだよ。私は見ての通り教会の者だから。あ、バチカンじゃなくてイギリス清教のほうだね」

 見ての通り教会の人間、まあ派手な色合いはともかくインデックスが着ているのが修道服なのだろうと言う事は見て取れる。
 しかしシスターならイメージではあるが黒が基本なのではないのか。
 教会の内情などは美琴の知る所ではないので考えても仕方ないのだが。

「じゃあ一二学区から?」

 留学生の多い第一四学区でないとすると、シスターなら神学系学校の多い一二学区の学生だろうかと当たりをつける。
 どちらにしろかなり遠いことには変わりないが。

「だからそのナントカ学区っていうのはよく分かんないんだよ。私は外からここに来たんだから」

「ああ、『外』から学園都市に来たのね」

 となると十中八九迷子だろうか。
 見たところ同年代に見えるがちょっと世間知らず過ぎるのではなかろうか、と美琴は他人ながら心配になってくる。
 もしかして今時珍しい純粋培養のシスターとかなのだろうか?

「ふーん、ここは学園都市って言うんだ?」

「え? まさかアンタそれも知らないの?」

 そりゃ迷子にもなるわけだ、と美琴はため息をつく。
 まあ自分が付いていてあげなければいけない程幼いわけでもない。
 警備員(アンチスキル)か風紀委員(ジャッジメント)まで連れて行って後は任せよう。
 そう思った美琴の耳に決して無視できない言葉が飛び込んできた。

「うん、だって外からここに逃げこんできたんだからね」

「『外』から逃げてきた、って……なによアンタ、追われてるわけ? 保護者は?」

「ううん、いないよ。私はずっと一人で逃げまわってるから」

 こんな年端もいかない少女が一人で逃げているという。
 漫画や小説じゃあるまいし、普通なら何を馬鹿なと思うところだ。
 が、この学園都市の幾つもの闇を見たことのある美琴には一概に切って捨てることは出来ない。

「……誰に、追われてるの?」

 スッ、と目を細め美琴は真剣な表情でインデックスを見つめる、が

「魔術師だよ」

「………………はい? 魔術師って、あの魔術師?」

「うん、魔術師」

「能力者じゃなくて?」

「うん」

「……………………はぁ…………」

 いるのだ、たまにこう言うのが。
 学園都市で発現した能力を見て、魔法やら神の奇跡やらと思い込むのが。

「あ! なにかなそのため息は! 信じてないの!?」

「だってアンタ、言うに事欠いて魔術って……」 

「魔術は本当にあるんだよ!」

 もしかしたら追われてる事は本当かもしれない。
 長い銀髪に緑の目、黙っていれば美少女なインデックスである。
 おまけにこの目立つ服装だ。武装無能力者集団(スキルアウト)に不良能力者、学園都市内部でもインデックスを見て良からぬ事をたくらむ者は残念ながら少なくない。
 『外』の現状がどうなのかは分からないが、同じように良からぬ事を企む人間がいても不思議ではないだろう。
 とは言え、『魔術』である。

「へぇ、じゃあその魔術とやらを見せてみなさいよ」

「わ、私は魔翌力が無いから魔術が使えないんだよ……」

 なんともお粗末な事だが、どうやらそう言う『設定』のようだ。

「じゃ、じゃあこの服! これはね、歩く教会って言う極上の防御結界なんだよ! これを着てればあらゆる攻撃から身を守れるんだからね!」

 何とか信じさせようと自らの服について熱弁を振るう少女を見て美琴は再び大きく溜息をつく。
 あらゆる攻撃を防ぐってどこぞの第一位でもあるまいし、と。

「あらゆる攻撃を防ぐのよね? ならもちろん電撃も防げるのよね?」

「当たり前なんだよ!」

「ふーん……えい」

 空想好きな目の前の少女を少々驚かせてやろう、そう思い電撃を目の前の少女に放った。
 とある無能力者の少年に放つような強力なものではなく、最新の注意を払って演算したごくごく弱い電撃をだ。だが――

「……今、何かしたのかな?」

 ふっふーんとインデックスは腰に手を当て勝ち誇ったようにドヤ顔をする。

 
「え、あ、あれ? そんなはずは……。も、もう一度よ!」  

 もう一度、先程と同じ電撃を放つがインデックスは平気そうにニヤニヤとしている。
 それならばと徐々に出力を上げて何度となく電撃を放つがその尽くを防がれる。

 最終的にはムキになった美琴が最大出力で電撃を放ったが焦げ目すら付かず、成果と言えばインデックスが少しびびったぐらいだ。

「そ、そんな……」

「ふっふーん、どうかな? これで魔術を信じる気になったかな?」

 同系統の能力者が電撃に干渉して逸らしているのとも違う、完全に電撃を打ち消されている。
 事ここに至り、ようやくこの少女が只者でないことに美琴は気づかされた。

(まさか、本当に魔術!? いやでも、あの馬鹿みたいな能力者って可能性も……)

 可能性としては無くは無い。
 美琴としてはそう何人も自分の能力を無効化する能力者に存在されたらたまったものではないが。

「ちょっとそのフード貸して」

「うん、いいよ」

 インデックスが言うにはこの服自体が能力を完全にシャットアウトしている。
 だからもしこのフードだけで美琴の電撃を防ぐことが出来れば――

「………………」 

「ね?」

 如何に学園都市の科学力が進んでいるとは言え、美琴の手加減なしの電撃を防ぐには専用に対策を立てた装備が必要だ。
 しかもそんなものを作ればかなりの大型に、それこそ兵器と言えるような物になってしまう。
 第一『歩く教会』は特異な見た目であっても服である、如何な学園都市の科学力が優れてるとは言えこんな物で10億Vに迫る電撃を防げるとは思えない。

 ふと美琴の脳裏に第二位の『未現物質(ダークマター)』が思い浮ぶ。詳しくは知らないが、あれは物質を生み出す能力だと耳にした記憶がある。あの能力で作られた服ならどうだろうか?
 業腹ではあるが自分より高位の能力で産み出された物なら完全に防がれても不思議ではない。
 可能性としては十分あり得るが、目にした事はおろか詳細も知らないのでそれと断定する事は出来ない。
 まあ最先端科学産だろうが未現物質産だろうが、そんな物で出来た物を身につけている時点でインデックスが只者でない事に変わりは無いのだが。

 それにもしかしたら、と言う思いもある。
 何を馬鹿な事を、と思う。突然の事で冷静な思考が出来ていないのかも知れない。
 ただ、否定できるも材料がないのも確かだ。
 現に想定以上の事を目の当たりにしている。

 問題の先送りだろうが、今ここで重要なのは『魔術』の是非を問う事ではない。
 少なくとも只者ではないインデックスに「何か」起きているのだ、ここは相手に話を合わせるのが得策だろう。 

「……疑って悪かったわ。さすがにこんなの見せられたら信じないわけにはいかないわよね」

「うんうん、分かればいいんだよ」

「で、なんでアンタは狙われてるのよ? その服が狙われてるとか?」

 可能性としてはありそうなものだ。
 その服自体も、それを解析して得られるデータも『外』の人間としては喉から手が出るほど欲しいだろう。
 いや、学園都市内部だって十分貴重品だ。

「たしかにこの服も貴重品だけど、それよりも私の持っている10万3000冊の魔道書を狙ってるんだと思うんだよ」

 10万3000冊と言えば図書館レベルだ。
 魔道書が何なのかは分からないが、およそ個人としては相当な蔵書量だろう。

「10万3000冊って、図書館でも持ってるの?」

「ううん、違うよ。全部持ち歩いてるよ」

「…………はい?」

 再度の突飛も無い発言に美琴はいい加減げんなりとする。
 やっぱりこの子の妄想なんじゃないの、と切って捨てたくなる衝動に駆られるので深く考えない事にした。
 人それを諦めたと言う。

「まぁ、いいわ……で、アンタはこれからどうすんの?」

「んー、とりあえず教会まで行こうかなって。そこまで逃げきれれば匿ってもらえるから」

「その教会はどこにあんのよ?」

「ロンドン」

「遠っ!」

 いくら高性能な服を着てるからとは言え、一人の少女がそこまで逃げ切れるとは思えない。
 そもそも厳重なセキュリティを誇る学園都市の外に出る事すら難しい。

 ――ふと、気になった。
 (彼女の言葉を信じれば)学園都市の外部から来たという事は、そのセキュリティを突破してきたのだ。
 こう見えて意外と凄腕なんだろうか?

「そう言えばアンタ、良く学園都市に入って来れたわね。結構厳重なセキュリティに監視されてるはずなんだけど」

「そうなの? 昨日この街に入ってきた時はなんとも無かったんだよ?」

「そんな訳……うん?」

 昨日と言えば美琴がどこぞの誰かに久々にぶち切れた日だ。
 あんまりにもあの馬鹿が馬鹿過ぎたのでフルパワーで――
 
 (フルパワーで、アイツに……雷……停d)

 何か危険な結論に行き着きそうな気がして慌てて考えるのを止めた。
 断じて現実逃避ではない。断じてだ。
 汗が止め処無く吹き出て来るのも今が夏だからだ。
 きっと何事も無かった、自分のせいでセキュリティがざるになったとか、ツンツン頭の高校生の冷蔵庫の中身が全滅してるとかそう言う事もきっと無い。多分。

「あ、でも大丈夫だよ。日本にも支部はいくつかあると思うし」

「…………一人でそこまで行くつもり? 私に助けを求めたりしないの?」

 ほんの一瞬、何かを我慢するようにインデックスの体が強張るのを美琴は見逃さなかった。
 その後小さくインデックスは首を横に振る。

「敵が来るからね。一緒に居たら巻き込んじゃうんだよ」

「だったら尚更でしょ。」

「じゃあ、私と一緒に地獄の底までついてきてくれるの?」

 にっこり、なのに欠片も幸せそうでない辛そうな笑顔。
 それを見た美琴は何も言えなかった。
 どんな言葉をかけようが無駄だと悟ってしまったから。

「大丈夫だよ、今までも一人で何とか逃げてきたし」

「…………そう、頑張ってね」

「うん、サンドイッチ美味しかったんだよ」

 ばいばい、と手を振り去って行くインデックス。
 その後姿に声を掛けなかった。
 今ここで美琴一人に出切る事は、無いのだ。

おわり。

超電磁砲S第6話の一方さんの「ヨロシクゥ」って声がエロくてやばすぎた。

あ、なんかここをこうした方が良いとかあったらドンドン言ってください。
むしろそれ目当てで投下したんで。


ではでわノシ

1+5+1レス拝借します。

注意事項
・番外通行
・キャラ崩壊
・口調おかしいかも
・時間軸不明
・こまけえこたぁ(ry

一方通行「俺がオマエを好きだとするだろォ?」

番外個体「はぁ?」

一方通行「仮定の話」

番外個体「あ、そう」

一方通行「で、そういう仮定だとして」

番外個体「死ぬほど嫌な仮定だね」

一方通行「オマエの実年齢を考えると俺はロリコンになるのかァ?」

番外個体「え?」

一方通行「いやだから俺はロリコンなのかって」

番外個体「……ミサカの肉体年齢は高校生ぐらいだからロリコンじゃないんじゃない?」

一方通行「そっかァ……」

番外個体「仮定の話だよね?」

一方通行「あァ」

番外個体「…………」

一方通行「…………よかったァ」ボソッ

番外個体「!?」

番外個体「でも第一位って打ち止めのことが好きなんでしょ?」

一方通行「あァ」

番外個体「その時点でもうロリコンだよね」

一方通行「いや、クソガキに対する好きはなンて言うか……家族愛的な?」

番外個体「恋愛感情は特に無いと」

一方通行「アイツは保護対象みたいなもンだからなァ……」

番外個体「それも仮定の話?」

一方通行「これは事実」

番外個体「ミサカのことが好きってのは恋愛感情?」

一方通行「あァ、それは仮定だけどな」

番外個体「あっそ」

一方通行「…………嫌われたかな」ボソッ

番外個体「!?」

番外個体「なんで急にそんなこと言い出したの?頭でも沸いた?」

一方通行「ン、ただふっと気になっただけだ」

番外個体「ふうん……」

一方通行「で、もう一個聞きたいことがあるんだけどよォ」

番外個体「まだあるんだ。さっきの仮定で?」

一方通行「さっきの仮定で」

番外個体「何?」

一方通行「オマエから告白されるにはどうしたらいいンだ?」

番外個体「え?」

一方通行「告白ってやっぱ女が男にするべきだと思うンだ」

番外個体「は?」

一方通行「男から女にするのも悪くはないが」

番外個体「ちょ、ま」

一方通行「俺は告白されたい派なンだよ」

番外個体「」

一方通行「で?どうなンだ?」

番外個体「え?ああ……一般論ならやっぱ魅力を示すとかじゃn」

一方通行「一般論なンかどうだっていいンだよ!」

番外個体「!?」ビクッ

一方通行「オマエがどう思うか聞いてンだ!」

番外個体「そ、そんなに怒らないでよ……」

一方通行「あ、悪ぃ」

番外個体「別にいいけどさ」

番外個体「ミサカはMNW内の悪意を拾うようにできてるからミサカが告白することは無いと思うよ」

番外個体「そもそもミサカが好きになることがあり得ないけど」

一方通行「MNWか……厄介だな」

番外個体「話聞いてる?しかも仮定の話だよねこれ?」

一方通行「よし、カエル医者に何とかできないか聞いてくる」

番外個体「は?」

一方通行「じゃあな」

番外個体「あ、いってらっしゃい……」

バタン

番外個体(一体なんだったの……)

番外個体(何が仮定の話よ。あれじゃもう好きだって言ってるようなもんじゃない)

番外個体(仮定って言い張るなら違うのかな……)

番外個体(でももしあれが仮定じゃなかったら……)

番外個体(…………ミサカも告白はされる側がいいな)

打ち止め(番外個体がニヤニヤしてて気持ち悪いなぁ、ってミサカはミサカは素直な気持ちを心の中で呟いてみる)

以上です。
お目汚し失礼しました。

同じ声優のキャラと入れ替わるssってもうあったけ?


浜面「フレメアを守るゥ~?wwwアイテムゥ~?wwwwwwwヒャッハハハハハハwwww楽しかったぜwwwwお前との恋人ごっこぉぉぉwwwwwww」
滝壷「」
麦野「テメェ!」

十レス前後(くらいだと思う)お借りします

三人称ばかり書いてるので一人称の練習に


?番外通行(R-18に繋がる部分あり)
?決してほのぼのいちゃらぶではない
?粗が目立つ
?時系列は知ったことじゃない。どっかの未来だよきっと

注意点は以上となります。それでは投下




(一方通行)



「……?、ふァ……」

目を覚ますと、辺りは真っ暗だった。
外は雨でも降ってンのか、ザーザーと煩い音が聞こえる。

大きく伸びをしようとして、ベッドとは違うマットの感触に気付く。

どォやら、ソファで寝ちまってたみてェだ。

だが問題はそこじゃねェ。

嫌な予感がして時計に目をやる。




「……午前二時。昼寝し過ぎたか、こンな時間に起きちまうとは……」


薄暗闇で月明かりを頼りに見た文字盤は、面倒な現実を俺に伝えてくる。

元々、俺は自分が睡眠に満足するまでは絶対に起きねェタイプの人間だ。
この時間に起きたってことは、恐らく朝まで眠くなることはねェだろう。

今日――いや、昨日か。
昨日はクソガキがフレメアとかいうガキの所に遊びに行って、
しかも帰ってくる頃にはクタクタになってやがった。

おかげで好きなだけ惰眠を貪る事が出来て――結果、この始末だ。

取り敢えず、八つ当たりではあるがあのバカ面をブン殴りたい衝動に狩られる。




「本気で面倒だ……暇を潰すモンでもねェか……?」


そォは言うものの、ゲームなンざコンピュータの行動に使われるプログラムと
乱数を読ンじまえばそれだけで途端に面白さの欠片も無くなる。
演算能力と記憶力が優れ過ぎるのも考えものってワケだ。

大体、この夜中に大きな音を出すゲームなンてしようモンなら
眠りが浅ェクソガキが起きて来るに決まってる。

こンな時間に起こしたら朝は起きれねェだろォし、音の出る物はダメだな。


「……しかし。そォなると本格的に何をすればイイ」


自慢じゃねェが、暇潰しなンてモノのバリエーションの少なさには自信がある。

これは本当に天井のシミでも数えるハメになるかもしれねェ……。

そう思って、小さく溜息をついた時だった。

キィ……と小さな音を立てて、廊下に通じる扉が開く。

そこにいたのは、



(番外個体)



部屋に入ると、不機嫌そうな一方通行の姿があった。


「あれ、起きたんだあなた。帰ってきた時はカワイー顔して寝てたのに」

「……帰ってきてたのか性悪女」



一方通行は不機嫌そうにそう言うと、そっぽを向いてしまう。

まぁ、原因なんて分かりきってることだけど。



「はー。それにしても暑っついなー」

「……っ!」



帰って来てからシャワーを浴びたから、今のミサカは裸にバスタオルを巻いただけ。
襲うにはもってこいの状態ってわけだね、けけっ。

わざとらしく胸元の布を掴んで軽く動かしてやると、面白いぐらいに反応してくれた。

……これは、嫌がらせの材料として使えるかも。

「あっれー? どうしたのアナタ、そんな慌ててあさっての方を向いちゃってさ」

「……服を着ろ、クソガキ二号。男の前に出る格好じゃねェだろ」

「アナタが寝てると思ったからこの格好で来たのに。
つーかさ、何?第一位サマはこのミサカのカラダに何か思うトコでもあるわけ?
最終信号とかヨミカワやヨシカワの裸見ても何とも思わなかったって聞いてるけど」

「……オマエラの情報網はどォなってンだよ、くそったれが。
ガキとババァの裸なンか見てもしょうがねェだろ」

焦ってる焦ってる。

早く話題を逸らしたかったのかもね。
だけどそいつは、ミサカの思うつぼだぜ?



「へぇ。じゃあガキでもババァでもない……ミサカのカラダは気になっちゃうんだぁ?」

「……っ! 何言ってン……」

「分かってんだよ?アナタがさっきからミサカを意識してんのはさ」

「……ンなワケ、」

「アナタって嘘つくの苦手だよねぇ。
本当にミサカに興味無いんなら、すぐに『違う』って否定したはずでしょ?」

「……ンなワケねェだろ、黙れ」

「……ふぅん? まぁ、そういうことにしといてあげてもイイけどね。
……でも、それじゃあ今からここでミサカが何しようと。
アナタはちっとも反応なんかしないってことでいいんだよね?」

「何を……」


一方通行が具体的な反論に出る前に、取り敢えず攻撃一発目。

彼の座ってるソファの背もたれ。
その上に、タオルが捲れないように慎重に、かつ無頓着に見えるように器用に跨る。



「……っ」

「おーい。話してんのはこっちなんですけど。ミサカの方を見なよ第一位ぃ」


わざとらしく腰を前後に揺すってやる。

効果はテキメンってやつかね。
一方通行のやつ、完全にこっちを直視できなくなったみたい。

この辺でやめてやろうかとも思ったけど……

……ダメだね。そんなのこのミサカらしくない。
嫌がらせはこんなもんじゃ終われない。

さてさて続いては……もうちょっと接近してやるか。




「ねーねー、アナタ」

「なン……っ」



不意に近付いて首に腕を回し、頭の後ろに胸を押し付けてやると、一方通行の息が詰まった。


悪戯の域を超えちゃったかもしれないけど……
ま、夜遊びっ子のミサカは他のいい子ちゃん達とは違って初々しい処女ってワケでもないし。


とにかく、今はコイツをイジめるのが楽しければいいんだ。




――思えば、ミサカはここでやめておくべきだったのかもしれない。



「どーしたのー? 急に黙っちゃってさぁ☆」


――やめろ、と。過去に戻ることができれば、ミサカは迷わずそう言っただろう。


「……、」

「第一位ったらー。どうしたって言――」

「……もう無理だ。覚悟は出来てンのか」

「へ――」





第一位の細腕が、思いもよらない強さでミサカの腕を掴み取る。

それに危機感を覚えて、何かの抵抗をする間もなく。


振り返った一方通行の手によって、ミサカはソファの上に組み伏せられていた。



「――あ、なた……?」


そして、ようやく気付く。


ミサカは、勘違いしていた。




一方通行は、ミサカを襲う勇気も無いような臆病者じゃなかった。

最終信号のためなのか、ミサカ自身のためなのか。
理由はともあれ、ただ性欲を抑えつけるのに必死になっていただけだった。

ミサカは読み違えた。
それがただ勇気が出ないが故の躊躇いなのだと思ってしまった。


「大きな声は出すなよ。誰かが起きてくると面倒だ」

「……い、や……やめ、て……」


もう一方通行は、ミサカの声に耳など傾けない。


病的なほど細く白い手が乱暴にタオルを取り去り、ミサカを丸裸にしてしまう。


羞恥に顔を赤らめる、なんて状況ではなかった。


いつの間にか能力を使用していたようで、力では抵抗できない。


彼の手はミサカの太腿を擦るようにしてその内側へ。


「……冗談、だよね……?」


震える声で言っても、一方通行は反応すら示さない。


そして、







終わらない快楽が、始まった。






本番を書くだけのスキルがないのでここで終了。

生体電気を操って四肢を動かせず能力も使えないようにしてから本能的な快楽をどうやって与えられるか計算し尽くして超テクニックの手淫で番外個体を犯すけれども物音に起きた打ち止めが部屋へと入るがそれを知った上で一方さんは最後の仕上げにかかり、打ち止めの登場によりこれで終わると安心していた番外個体は不意を突かれたのに加え実は自分が打ち止めに見られていることに興奮を覚えていると悟って悔しさと羞恥の涙を流しながら一気に達してしまいしかしそれで今度こそ終わると思っていたのに満足しない一方さんは更にその体を弄んでいく、みたいな流れです。ワーストちゃんは非処女だけどその辺でテキトーな男引っかけたり酒の勢いだったり遊ぶ金稼ぎだったりして大した快楽を経験したことはありませんでしたみたいな

一方さんはモノが付いてなかったら面白いなって。ワーストちゃんに噛み付くことで性欲を晴らしたり以下略

数レス借ります

クロス物ですが……

前の学校の誰かが言っていた、この世には死んでも死なない人間がいると

それは、自分たち人間と変わらない容姿でこの世界に溶け込んでいる

そんな者と人間とを見分ける方法は一つ


その者が死ぬ現場を見ること


病死・事故死・自殺・戦死・その者の生命が失われるならどんな方法でもいい

とにかく不死身である体と証明されるならば、どんな方法を執ろうと許された

世界中の研究者たちはこぞって、その者を解剖したがり賞金首のような扱いで

その者を見つけ捕まえた人間には『莫大な賞金』を与えると発信した


そんな人類とって最大級の発見でもある、僕等のことを人間達(ヤツら)はこう呼ぶ


『亜人』と



「ふわぁー」


夏休みも入って間もない頃、とある高校が設けている寮の一室で、呑気な欠伸が一つ響いた

「ハァ、この街は本当に暇だな……」

そんな愚痴をひとり寂しく呟く少年の名は〝永井 圭〟

とある事情で、彼は学園都市の研究所に呼ばれ学生として日々の生活を過ごしている

今朝から彼の機嫌は昨夜に起きた停電のせいで急落していた

「えっ、冷蔵庫の中身が全滅してるし……」

ハァと溜息をつくと、机に置いてあったこの都市に来て初めての高価な買い物として買った財布の中身を確認した

財布には、近くのスーパーのポイントカードや学生証といったカード類や

彼の年齢にはそぐわない札束が綺麗に種類ごとに分けられていた


そんな彼の隣から同じクラスの少年と思われる叫び声が聞こえてきた

「ようやく冷蔵庫に気付いたみたいだね」

そんな彼と同じ境遇であるにも拘らず、どこか彼の方が不幸であるように永井は笑った

ひとしきり隣から聞こえてくる隣人の不幸を叫ぶ声を聞いた永井はおもむろに立ち上がり

一人で使うには十分すぎる折り畳み式のベッドへと歩いて行った

「今日はいい天気だし、布団でも干そうかな」

そういうと、少しの力で押しても沈み込みそうなほど柔らかい布団を持ち上げるとベランダへと歩いて行った

あまり横着な性格ではない彼だったが、いちいち布団を下すのが面倒になったのか足で窓を開けるとベランダへと出た


「あれ、もう布団がある……」

それは、真っ白い生地に流れる川をイメージしたように青色の刺繍が付いた布団だった

「いや違う」

その白い白い生地を、永井は観察するように見ていると何かに気付いた

思わず落としそうになる抱えていた布団を持ち上げ、すでに掛かっている白い生地に触れようとした

それを遮るように白い生地から、永井からすると少し幼い少女の者と思われる弱り切った声が聞こえた

「お腹すいた」

それは可愛らしい少女だった。しかも、永井の住む日本とは違うヨーロッパ系の容姿をした少女だった


いつもの彼ならば、なんともずうずうしい奴だなと思って終わりなのだが、このとき彼の思考は残念ながら停止していた

なので、目の前の少女が何を言ってるのか、なぜここにいるのかといったことを

考察をしようともせず、ただただ少女の顔の前に手を近づけたまま固まっていた

少女は目の前の少年に何度も声を掛けていたのに無視するためか、歯をカチカチ鳴らせると

ガリッ

少女の鋭い歯が永井の温室育ち特有の白くて細い腕に噛みつく音が鳴った


「―――――――――――――」


声にならない悲痛な叫び声をあげる永井と喰らいついて話そうとしない少女は暫くの間ベランダで騒いでいた


そんな悲痛な叫び声を隣の部屋で聞いていた少年

上条当麻は驚いた拍子に足元にあった焼きそばパンを踏みつけて滑って転んで頭をぶつけていた

「あぁもう不幸だぁ!隣からってことは永井の部屋か」

本日二度目となる己の不幸を叫ぶ上条は痛む頭を擦りながら隣人である永井の顔を思い浮かべる

永井とは二つほど年が離れているものの、どういう訳か彼の希望で同級生としてやってきた

初期の永井はどこか周りの目を気にする素振りを時おり見せていた

それだけならまだ、思春期の少年らしい行動に思えるのだが、上条の目からは何かに怯えているように見えていた

その真相を知ったのは――――


「まさかっ!」

何かを察したのか上条は急に立ち上がると玄関へと走り出り出し、隣の部屋へ目指した

ドンドンドン

近所迷惑といったことも考えず、上条は永井の住む部屋のドアを何度も力強く叩いた

すると、そんな上条の声が届いたのかドアがゆっくりと開いた

「近所迷惑だから、いったん入って」

そういうと外に誰かいないか確認するように廊下を見渡す永井が出てきた

上条は彼の無事な姿を確認するとホッとした様子で部屋へと入った

そう入ったまでは良かった

「あのぉ、永井さん?この状況はいくら上条さんにも、どう反応していいかわからないですことよ」

少し引き攣った顔をさせながら永井の他にもう一人いる人物を見た

それを見るとハァと溜息をつきながら永井は口を開けた

「勘違いしてるみたいだけど、上条が思ってるような事は一切ないよ」

念のため言っとくと付けたし、隣で保存しておいたパンを食べている少女を指差した

そして、永井は淡々と事のいきさつを話し出した


少し不機嫌そうに話し終えた永井は、先程まであったパンの山を平らげた少女に話しかけた

「君はいったい何者なの?どうしてあそこにいたの?」

すっかり冷静さが戻ったのか、今知っておくべき点を少女に尋ねた

「パンおいしかったんだよ。ありがとう」

少女はまだ物足りないような顔から少女特有の柔らかい笑顔をさせるとお礼を言った

そして、永井と未だ状況が掴めていない上条に向き直ると


「私の名前は禁書目録(インデックス)っていうだよ」


真夏のうだるような部屋の中で少年と少女は出会ってしまった



科学と魔術が交差するとき、追いかけられる少年と少女の物語が始まる



こんな感じで、漫画『亜人』の永井と禁書を絡ませる予定です

すいません、スレ汚しで…

では

浜面「そんでもってその後の滝壺なんだが…
   ありゃ見ても俺の気があるよな?
   実は滝壺はいつも俺に対して特別優しいんだが――」
上条「おい…」
上条「てめぇ、ふざけてんのか?」
浜面「(´・ω・`)」

ライナーのネタを浜面でやったらそんなに違和感なかった

1年ぶりかもしれない
十数レスお借りします

ほのぼの系ssです


舞夏「おう、みさかー、相変わらず休みの日は起きてくるの遅いなー」

美琴「休日くらいいいでしょ、ゆっくり寝かせてほしいわ」

舞夏「まるで仕事に疲れたアラサーのOLみたいだぞ」

美琴「花も恥じらうピチピチの女子中学生に何て事言うのよ」

舞夏「御坂が早くご飯食べてくれないと、こっちは片付かなくてしかたないんだ。
   少しは私の身にもなってほしいんだけどなー」

美琴「いつも感謝してるわよ、それより朝ご飯まだ?」

舞夏「はいはい」


美琴「はぁ、休日って言っても、今日は黒子と初春さんは風紀委員の定例研修だか何とかで居ないし、
   春上さんと佐天さんも補習とかなんとか…」

美琴「……」


美琴「べ、別に友達が少ないとかそういうのじゃないんだからね!!」


ミサカ妹「誰に向かって叫んでいるのですか? とミサカは偶然にも遭遇した友達が少ないお姉様に問いかけてみます。
     もしかして友達が少なすぎて頭に重大なエラーが発生したから叫び出したのでしょうか?」

美琴「のっけから何ケンカ売ってんのこの妹は」

ミサカ妹「恋敵には皮肉を言うのが定石であると、以前読んだ本に書いてありました」

美琴「こ、恋敵って////!?」

ミサカ妹「いや、もうそういうベタな反応はいいからとミサカはツッコミを入れます」

美琴「あ、そうですか…」


ミサカ妹「お姉様は友達が少なくて病気になってしまったのですね」

美琴「病気とか言うな! あと友達少なくないから! それなりに居るから! 原作だとそいいう設定っぽいから!」

ミサカ妹「では具体的にどれくらい居るのですか?」

美琴「えっ、それは…」

ミサカ妹「それなりに居ると言うからには、妹の数よりは多いのですよね?」

美琴「ハードル高すぎだから!」

ミサカ妹「おっと、そう言えば、ミサカはこの後予定があるのでした。
      お姉様と姉妹漫才に興じている場合ではないとミサカは自分のスケジュールを再確認します」

美琴「予定?」

ミサカ妹「はい、スケジュールがあの雲の様に純白なお姉様とは違って忙しいのです」

美琴「再教育が必要みたいね、この愚昧は」



ミサカ妹「お姉様、もしかしたら空を見上げていれば友達が落ちてくるかもしれませんよ、
某天空の城みたいにpgr。それでは失礼しますとミサカは逃げる様にこの場を立ち去ります」

美琴「あっ、ちょっと待……まったく、何が“空を見上げてれば”よ」


美琴「見上げたって、どこも地味なビルばっかりだっての…」

美琴「………」




美琴「ほんと、空って晴れた時は綺麗だけれど、だからと言って何かあるわけでもないのよね。空っぽっていうか……」

美琴「だから“空”っていうのかしら」

美琴「馬鹿みたいに上見てたって、白い雲が落ちてくるわけでもないし、ましてやと、と、ともだちとか…なんて……」



ヒューッ!



美琴「……あれ、何かあの雲近っ……本当に落ちてきてない…?  いや、っていうかあれ雲じゃなくてカブッ!!!」ガン!!!


美琴「痛ったぁーーっ!! 何よこれ、この…っていうか本当に何よこれ!!」

白いカブトムシ「………」

美琴「カブト虫…? 模型……なのかしら? 何で空からカブトムシ?」



ヒューッ!!



美琴「ふん、二度も同じ手は食らわないわよ。この美琴様をナメてもらっちゃ困る……って…」

フロイライン「あっ、あったあった」

美琴「いや、ちょっ!! 人っ!? 飛び降りっ!?」

フロイライン「そこの名の知らないお姉さん、別に助けなくても死なないけど助けてくれたらちょっと嬉しいです」

美琴「ずいぶんと呑気な飛び降り自殺だなオイ!!」


美琴「ふう、能力をアレな感じでアレして何とか助けたわ」

フロイライン「どうもありがとうございました。この御恩はそのうち忘れます」

美琴「忘れるな! っていうか、何でこんな危ない事してんのよ」

フロイライン「忘れました」

美琴「だから忘れるなって言ってんでしょうが!」

フロイライン「そのカブトムシを落としてしまったので」

美琴「いや、意味が分からないんだけど」

フロイライン「まさか、ビルから地面に落ちたものを拾うためにわざわざ階段とかエレベーターを使えとおっしゃっているのでしょうか?」

美琴「まるで私がおかしな事言ってるみたいな言い方しないでよ」

フロイライン「じゃあ、お姉さんはビルから物を落としたらどうしますか?」

美琴「私は、……普通に能力を使って飛び降りて回収するわね」

フロイライン「ほら」ドヤッ

美琴「ぐぬぬ」



美琴「ところで、アンタ一体何者? 何か普通な感じがしないんだけど」

フロイライン「人に名前を尋ねる時は、まず自分から名乗るのが礼儀だと聞きました」

美琴「あーはいはい、私はm」

フロイライン「私の名前はフロイライン・クロイトゥーネと言います」

美琴「こ、コイツ…」

フロイライン「親しみをこめて“ーネ”と呼んでください」

美琴「発音できないからそれ」




フロイライン「ところで美琴お姉さん、ここで会ったのも何かの縁だと思いませんか?」

美琴「全く思わないわ」

フロイライン「今日は良い天気ですね」

美琴「そうね、とても良い天気過ぎて早く帰りたくなるわー」

フロイライン「あの雲、白くてフワフワしてて、美味しそうですね」

美琴「まるで小学生みたいね。まあ、見た目からしてそうなんだろうけど」

フロイライン「まるであの子の脳ミソみたい」ジュルリ

美琴「小学生恐ッ!?」

フロイライン「あっ、間違えました。まるでソフトクリームみたいですね」

美琴「そんな間違え方があるか!! っていうか何!? 脳ミソって何!?」

フロイライン「気にしないでください」

美琴「気になるわ!! 私の脳の中で三面記事になってるから!!」


美琴「結局、何だかんだでタカられる事になったんだけど。ってか、勝手に私の後についてくるし」

フロイライン「すみません、見ず知らずの私に世界三大珍味を御馳走していただけるなんて」

美琴「おい」

フロイライン「誤解が無い様に言っておきたいのですが、別に美琴お姉さんがお金もってそうだから、
        お姉さんを狙って落下したわけじゃないですよ」

美琴「アグレッシヴ過ぎる当たり屋ね」

フロイライン「あっ、アレが良いです。あの出店のが食べたいです」

美琴「アレって、どの出店? ここって出店とか結構多いけど」

フロイライン「あのアイスクリームと、タイ焼きと、フランクフルトと、南米風お好み焼きと、イチゴピザと」

美琴「どんだけ食べる気よ…」

フロイライン「えっ、全部?」

美琴「欲張りだなオイ!」


フロイライン「本当に全部買っていただけるとは思っていませんでした、ミコっちゃんお人好しとか言われない?」

美琴「言われないから、っていうかいきなりフランクになったわね」

フロイライン「フランクフルト食べてますから」もぐもぐ

美琴「全然うまくないから」

フロイライン「えっ、美味しいですよ」もぐもぐ



美琴「ところで、このイチゴピザって何?」

フロイライン「食べてみたら意外と美味しいかもしれませんよ?」

美琴「遠慮させてもらうわ」

フロイライン「そうですか。じゃあ」もぐもぐ

美琴「……」

フロイライン「……イチゴピザ、いいじゃないですかいいじゃないですか」もぐもぐ

美琴「……」

フロイライン「そうそう、こういうので良いんですよ、こういうので。屋台料理の中ですっごく爽やかな存在です」もぐもぐ

美琴「……一枚良いかしら?」

フロイライン「ええ、どうぞ召し上がってください」

美琴「じゃあ…」ぱくっ

フロイライン「どうですか?」

美琴「………微妙」もぐもぐ


フロイライン「ふーっ、お腹一杯です」けふっ

美琴「それにしてもよく食べたわね」

フロイライン「食べ盛りですから」

美琴「限度があるわよ」

フロイライン「沢山食べたので、今度は寝盛りになりました」

美琴「どんな盛りだっての」

フロイライン「よろしければその柔らかくて美味しそうな膝を貸していただけないでしょうか?」

美琴「貸しても絶対返ってこなさそうなんですがその言い方」

フロイライン「失礼、かみました」

美琴「そんな噛み方があるか! って、どこかでこんなやり取り見た事あるわね」

フロイライン「それじゃあおやすみなさい」ぽてっ

美琴「ちょっと、なに本当に寝てるのよ!」

フロイライン「1世紀くらいしたら起こしてください」

美琴「どんだけ寝る気よ!」

フロイライン「すやすや」zzzz

美琴「あっ、もう、なんなのよこの子…」


フロイライン「すや…」zzz

美琴「本当に寝ちゃった…」

美琴「まったく、こんだけフリーダムな子供見たことないわ」




美琴「……それにしても、本当に空から落ち来るなんて驚いたわ」

美琴「まあ、友達……というには、ちょっと小さいかもしれないけれど」



フロイライン「……お姉さん……くすくす…♪」zzz

美琴「一体どんな夢見てるのかな。幸せそうな顔しちゃって、ふふ…♪」





美琴「ま、こういうのもたまには悪くないかな……」




美琴「なんてね…」なでなで

フロイライン「うう~ん、むにゃ…」zzz





フロイライン「……脳ミソ」zzz

美琴「どんな寝言よ! だから脳ミソって何!?」

フロイライン「くすくす♪」zzz

以上です
今更だけどレールガン二期始まったから久しぶりに書いてみました
フロイラインってこんなしゃべり方だっけ

仮面キハラーワロタwwwwww


6,7レスほどもらいます。
勢いで書いた予告編風

一見、綺麗な星だった。

文明を感じさせるものは一切ない。
見渡す限り一面は苔で緑におおわれ、
雲の合間から刺す光がただそれだけで幻想的だった。



「コレで住んでる生物が『アレ』だけっだっていうんだからねぇ……」

少女がポツリと言葉を漏らす。

彼女が覗きこむ窓の向こうとこちらではすべてが違った。
金属の直線的な壁に区切られ、辺りには幾つもの電子機器。



―地球外の環境が能力者に与える影響についての調査―


そういう名目で彼女。
学園都市が誇る超能力者、序列第三位御坂美琴は他の数名の能力者とともに、
この宇宙船に同行した。



―火星の地球化計画―


大気が薄く、平均気温がマイナス58度。
そんな人が到底住めるような状況でなかった火星に今は大気がある、気温も上がった。

それは外一面に広がる苔とある生物のお陰であり、
今回、火星へ着た本来の目的はその生物の駆除が第一の目的なのだ。
美琴たちはあくまでそれに同行させてもらっただけに過ぎず、目的も行動も別なのだ。


「それにしても駆除隊の人たち遅いわ……、いつになったら帰ってくるのかしら」

宇宙空間での能力使用に関するデータは十分取れた。
後は駆除隊が帰ってくれば地球に戻るだけだ。

そうだ。
御坂は自らの持ち物から携帯を取り出し外にカメラを向ける。

「地球に帰ったらみんなにこの景色見せてあげないと」

そう、この緑色で覆われた。
私たちの第二の故郷になるかもしれない星の景色を――









「じょうじ」



「続いてのニュースです」


「学園都市の学生数人が同行した『火星の地球化計画』――」


「通称―テラフォーミング計画―の一行を乗せた宇宙船との通信が――」


「帰還予定日を過ぎてからも一向に回復せず」


「U-NASAから新たな発表はありあません」





「M.O.手術だかなんだか知りませんけど、私は御坂さんを取り戻すために火星に行きたいんです!」


「お姉さまは絶対に死んでなんていませんの」


「私達を火星に連れて行ってください……お願いします!」









「どうやら君たちはみんな持っているらしい、我々の求める
 
                                            いかり
                     熱  い  む  き  出  し  の  ”涙”  を  !  !  」





「私達が受けた手術はいったいなんのための……」


「火星の環境への適応と、戦う力をみにつけるためさ」


「戦う?火星には宇宙人でもいらっしゃいますの?」


「いや、宇宙人はいない。火星には二種類の生物しかいない」


「一つは『ストロマトライト』を改良して作られた藻類――、」

「そして、もうひとつは昆虫綱網翅目に属する昆虫――、」






「    ゴ    キ    ブ    リ    だ    」




「おいおい……、上条さんは小町隊長にこんなこと聞いてないんですけど?」








「火星のゴキブリは  超  能  力  を使うのか?」




「初春ー、こいつ今どんな夢見てると思う?」


「さぁ、もしかしたらお腹いっぱい学舎の園限定のケーキを食べてる夢かも」


「ゴキブリが学舎の園のケーキとか知らないでしょ……」


「冗談ですよ、本気にしないでください」






「まぁ、代わりに地球には絶対に


             食 べ ち ゃ い け な い 植 物


                             があるって言うことは教えてあげられましたから」




「……お姉さまと一緒に火星にきた学生のリスト……わたくしは全部記憶しておりますの」


「あらゆる能力者の宇宙空間における能力データを取るために様々な能力者の方が同行しておりました……」


「もちろん、多種多様な能力のデータを取るために極力能力の種類はダブらないように……」








「それは……その能力は……


             お姉さまの能力 
            超  電  磁  砲


                       はゴキブリごときが使っていいものではありませんのおおおおおおっ!!」





「あたし……出来れば自分の能力使いたくなかったんですよね……」


            「あたしの能力は似てるから……」


                      「きっと友達に……大事な人との思い出を思い出させちゃうから……」





カシャンッ


「でも……」


バオッ

ズズズズズズッ


「さ、佐天さん!駄目です、その量は……ッ!!」


ガシュッ  ガシュシュッ



「  あ  ん  た  ら  だ  け  は


                 絶  対  に  許  せ  な  い  !  !  」


以上です。
テラフォーマーズとのクロスの予告編風でした

未元定規で数レス貰いますね。


心理定規「ねぇ?」


垣根「……何だ」


心理定規「私と居ても、楽しくない?」


垣根「……んな事無ぇよ」


心理定規「嘘」


垣根「……」


心理定規「最近の貴方は2人っきりになるといつも上の空、心ここに有らず」

心理定規「まるで私への興味が失せたみたいに……」


垣根「……」


心理定規「言いたい事があるなら言って頂戴」


垣根「……なら、言わせて貰う」


心理定規「ええ」


垣根「……飽きた」


心理定規「…………」


垣根「お前との関係に飽きたんだ」







心理定規「……そう、分かったわ」


垣根「オイ、どこへ行くんだ?」


心理定規「帰るのよ、さよなら」


垣根「待てよ、話はまだ終わって無いぞ」


心理定規「安心して頂戴、未練がましく貴方に縋ろうだなんて思わないから」


垣根「話を聞けって言っているだろ!!」


心理定規「……大きな声を出さないでちょうだい」


垣根「……悪い」



心理定規「……それで、何よ、まだ何かあるの?」


垣根「お前、何か勘違いしてないか?」


心理定規「勘違いも何も、貴方は私に飽きた、…それで私と別れたいんでしょ?」


垣根「違う……俺は“お前との関係”に飽きたと言っているんだ」


心理定規「……何が言いたいのよ」


垣根「シチュエーションに飽きた」


心理定規「え?」


垣根「“お前との関係”“上司と部下の職場恋愛”そのシチュエーションに飽きたんだ」


心理定規「え?」




心理定規「え?」





垣根「はじめの頃は楽しかったよ?何もかもが新鮮だった!」
垣根「周りにバレないように仕事中不自然なくらい目線を合わせなかったり、2人だけの秘密のサインとか作ってデートの約束したり…」


心理定規「ごめんなさい、私、そんな事した覚え無いのだけど……」


垣根「今じゃゴーグルの奴にも関係がバレて、気を使われる始末、何のスリルもありゃしねぇ!!」


心理定規「ゴーグル君、まったく悪く無いじゃない、むしろ気を使わせて申し訳無いわよ」


垣根「とにかく、“今の関係”に何か変化が欲しいんだ!!どうせならもっとシチュエーションに拘りたいんだ!!」


心理定規「じゃあ何?私か貴方、この仕事から足を洗う?」


垣根「暗部を舐めるな、そんな事出来るわけ無ぇだろ」

垣根「それに、お前がこの仕事を止めるときは寿退社って決めてんだよ」


心理定規「え、プロポーズ?!この流れで?!それこそシチュエーションに拘ってよ!!」


垣根「学園都市の闇からは逃れられない、つまり、お互い今の立場は変えられない」

垣根「そこでお前の能力だ!!」


心理定規「私の能力?」


垣根「『心理定規』心の距離を操る力……対象者の神にも成り代われるその力…その力を使えば」


垣根「色んなシチュエーションプレイが出来る!!」


心理定規「  」


垣根「幼馴染、義理の妹や姉、先輩後輩同級生、近所の綺麗なお姉さん、隣の家の未亡人、学校の先生に家庭教師、etc、etc、etc!!」

垣根「憧れのあのシチュエーション、禁断のあのシチュエーション、その可能性は無限大!!」


心理定規「  」


垣根「と、言う訳だ、『心理定規』」

垣根「お前のその能力……俺の為に使ってくれないか?」キリッ

心理定規「  」


垣根「……」キリッ


心理定規「…………分かったわ」


垣根「マジで?!じゃあ『昔、突然引っ越して行った幼なじみとの再会~あの日、本当に伝えたかった言葉~』コースでお願いします!!」


心理定規「…………能力を使うから、私の目を見て力を抜いて頂戴」スッ




心理定規(『心理定規』自分と相手の心の距離を操る能力……)

心理定規(帝督と私の距離を操作……)



心理定規「……」


垣根「……」


心理定規「……それじゃあ、私帰るわね」


垣根「あぁ、気をつけて帰れよ」


心理定規「……ええ」スタスタ


心理定規(今の彼と私の距離は“上司と部下”)

心理定規(それ以上でもそれ以下でも無い)



~帰り道~



心理定規「……」スタスタ


心理定規「付き合いはじめた頃は、あんなんじゃ無かったんだけどな……」


(少しわざとらしかったけど、気障で自信満々で……)
(……そう言う所は、頼もしかったけど)

(それから…段々と心を許してくれるようになって)
(弱さや、情けないところも見せてくれるようになった)クスッ


(……でも)


(流石にあーいう一面は見たく無かったわよ)ハァ


心理定規「……」

心理定規「……距離が近くなり過ぎるって言うのも、考えものね」ハァ






おしまい。
『心理定規』で細かい設定出来たら楽しそうだなっていう妄想でした。
それでは失礼致します。

数レスだけもらいます

上条「いっぱい食べるインデックスが好き~」

チン チン

上条「大きくひとくち~、我慢なんてらしくないぜ!」

上条「いっぱい食べるインデックスが好き」

インデックス「///」テレテレ


一方通行「いっぱい食べる打ち止めが好きィ」

バン バン

一方通行「大きく一口ィ、我慢なんてらしくないだろォがよ!」

一方通行「いっぱい食べる打ち止めアアアアアアアアアアアア!!」

打ち止め「///」ニコニコ

番外個体「……」イライラ


黒子「いっぱい召し上がるお姉様が好きですわ」

ドン ドン

黒子「大きく一口、はしたないですが可愛らしい」

黒子「いっぱい食べる、お姉様が好きですのおおおおおお!おねぇぇぇさまああぁぁぁ!!」

御坂「……」ビリイラ

以上です

暑さのせいで……

1レス単発ネタだァ。
スレ汚しすまねェ。

とある三分の料理番組



結標「私たちの料理に」

垣根「常識は通用しねぇ」

上条「やめてください死んでしまいます」

垣根「ご覧のスポンサーの提供でお送りするぜ」

結標「今日のゲストは上条当麻さんです。よろしく」

上条「よろしくー。せめて食べられるものが出るといいんですがー」

垣根「なお、上条の声はこちらには聞こえてない」

結標「それじゃ、時間もないから早速作るわ」

垣根「今日のメニューは親子丼だ」

結標「材料はお米、鶏肉、卵、玉葱、あとは調味料ね。細かい数字は下の字幕を参照よ」

垣根「俺は調味料を準備するから、結標は食材を頼む」

結標「任せなさい」

上条「いやな予感しかしねぇ」

結標「まずはお米を洗わないと。ええっと、洗剤洗剤」

垣根「そら」

上条「待てこらああああああああああああ」ドンドン

結標「鍋でそのまま洗っちゃいましょう。ざざーっと。よし、次に鶏肉と卵と玉葱を入れます」

上条「丸ごと!? いや、時間ないけどさ! 肉一塊、卵殻ごと、玉葱皮ついたままとかどうすんの!」

結標「水入れてっと、時間がないから超強火ね」

垣根「調味料も入れちまうぞ。砂糖、しょうゆ、みりん、だしの素。最後に隠し味で未元物質をパパッとふれば」

未元移動「「完成!」」

上条「くそが! 一食浮くと思って応募したらこれだよ! 不幸だあああああああああああああ!」




















上条「うめぇ」

結標「私たちの料理に」

垣根「常識は通用しねぇ」

上条「納得いかねぇまた来週!!」


End...

以上だァ。
メンバー変えつつ何個もネタ作ってスレ立てようかと思ったンだが……、あンま面白くなくてすまねェ……。

クロスオーバーというか改変ネタで一つ書けたので投下します

元ネタ知らない人はごめんなさい

投下前に一つ注意書き

改変ネタなのでたまに言ってることがよくわからない箇所があります
ご了承下さい

海原「何かおかしいですね。」

結標「確かに、おかしいわ。一方通行のやつ、反射で倍返ししてるはずなのに…」

海原「“あいつ”は涼しい顔をしている…」

結標「それに、まるで何かに苦しんでるような…」

土御門「おい、一方通行!!やる気あるのか!!!」

上条「どうなってやがる…」

絹旗「麦野、これって…」

☆「考えても無駄だ! これこそが数多の拳! 何人も木原の拳から逃げることはできない!」

☆「もはや、グループ撃破に死角は無いッ!!」

木原「これこそが、俺の拳。演算能力を奪う! これが俺のやり方! お前はただのモルモット!!」

木原「飛行も!風も!!プラズマも!!!黒翼も!!!! お前はもう使えない!」

木原「無能力状態になった、哀れな負け犬」

猟犬部隊「あれが、数多の拳!! やつはもう動けない!! あれが木原の強さ! チョーカーをジャミングさ!!」

猟犬部隊「敵の!未来を!!断ち切ってしまう!!! やつはもう進化できない! 呆然と膝をつくしかない、悲惨な白モヤシ」

木原「足掻いても、無駄! 考えても、無意味! 俺の拳の前では、お前は赤子も同然!!」

木原「焦っても、無理! 何もかも手放し!お前は、再び、表を忘れて、裏の世に戻ることに、なるだろう!!」

木原「可哀想だとは思わない。ここで暮らしてることが、愚かだったと、諦めるんだな!!」

猟犬部隊「あれが!あれこそが!!」

猟犬部隊「数多の拳!!!」

一方通行(演算が出来ねェ… 演算をしている感覚が…)

木原「見たところ、演算がうまく出来てないみてェだなァ!」

結標「でも、相手の演算能力を奪うなんて…」

土御門「そんなこと…」

上条「できるわけないだろ!」

垣根「だが、あのクソッタレの第一位が四つん這い、まともに立ち上がらず反撃も少ない… どう説明する…」

上条「じゃあ、一方通行の様子がおかしいのも…」

結標「演算能力を失っているからだと言うの!?」

海原「一方通行さん…」


御坂「思わざるを…えないのよ…」

上条「どうした、御坂」

土御門「どういうことだ」

御坂「思わざるをえないのよ… ありえないイメージが… 何をしても防がれてしまうイメージが…」

上条「なにをしても…」

土御門「防がれるイメージ、だと?」

御坂「そうよ、あいつにどんな攻撃をしても防がれるから… そのうちその記憶だけが頭にこびりついて… あいつの裏をかこうとして… 演算がだんだん狂ってきて…」

土御門「演算が、狂う?」

上条「くそっ! 一方通行は! あいつはそんな中戦い続けてるってのかよ!!」

木原「おら、どうしたクソガキ。そんな探り探りの攻撃じゃ…」

ドゴォッ!!!!!!

一方通行(なんだ… 体が急に重く… 自分で自分の体を支えられなく… クソがァ!!)ハアッハアッ

上条「あいつ!まさかもう!!」

土御門「ろくに脳が機能してないんじゃ!?」

結標「でも!銃弾は反射してるわ!!」

垣根「流石だな、第一位」

一方通行(ここで死ンでたまるか…! たとえまともに演算出来なくたって… 体が動かなくたって!! 脳が反射の演算を覚えてるンだからよォ!! 意識さえ保てれば…!)

木原「クソガキ、てめェの負けだ」

以上です

元ネタはテニミュの「ゆきむらのてにす。」でした

一応宣伝上げ

連レス失礼しました

一発ネタですが

フレメア「カラオケにゃー」

白垣根「私も初めて来ました」

打ち止め「わーい、わーいってミサカはミサカは、はしゃいでみたり」

打ち止め「じゃあ、まずはミサカ達からねって、ミサカはミサカはあなたに待てをしてみる」

白垣根「はぁ……?」

♪♭#~

打ち止め・フレメア「あぁまぁいぃ、におぉいにぃ、誘われたあなたはカブトムシ」

白垣根「えっ、私ですか?」


隣の部屋

姫神(ふふ。どうせ私に誘われるのは吸血鬼のみ……)

吹寄「どうしたの、姫神さん?」


以上です
駄レスですいません


本編から五年後ぐらいの未来です
一方、浜面、上条、白垣根がだべってるだけです

一方通行さんがかなりキャラ崩壊しています
一方通行は特定のキャラとのカップリングじゃなきゃちょっと……という方は注意が必要です

今、誰もいませんよねー?
1+7+1レスほどもらいます

それでは投下しまーす


浜面「コタツって最強だよなぁ」

白垣「そうですね。コタツこそが至高にして最高なものだと思います」

上条「お前らなぁ、せっかく集まったんだから飯作るの手伝えよ」

浜面「大将が作る飯が楽しみだからこそ、ここでまってるんだよ」キリッ

白垣「左に同じです」キリッ


一方「よォ、邪魔すンぞォ」ガラッ

上条「あれ、一方通行。お前彼女どうした?
   今日、デートじゃないのか?」

一方「別れた」

浜面「はぁ!?またかよ!」アリエネェ!

上条「これで何度目だっけ?」

一方「もォ数えるのもメンドクせェ」ハァ

白垣「今回は3ヶ月ですか、意外と長かったですね」

上条「確かにな、前回は一週間で?」

浜面「その前が1ヶ月ぐらいだったなぁ」

上条「うらやましいよなぁ。彼女をとっかえひっかえとか、
   上条さんには縁のない話でせうよ」


「大将が言うなよ」
「お前が言うな」
「あなたが言わないでください」

上条「え?」

     イマジンブレイカー 
浜面「そこの旗建殺しはほっといて」

上条「なんか字が違う!?」

浜面「今度は何が原因なんだよ?」スルー

一方「知らねェ」スルー

白垣「じゃあ、何と言われて振られたんですか?」スルー

上条「ここに味方はいないのか…?」ヒドイ


一方「あァ、確か………自分のことを優先しろって言うから、無理って答えた
   そしたら、別れろって言われた」ナニカ?

浜面「そりゃあ振られるわ」ハァ

白垣「今までの行動を考えれば、仕方ないと言えば仕方ないですよね」ニガワライ

上条「そうだなー。彼女と先約があっても妹達の誰かがデートすると聞けば、
   自分のデートはほっぽりだして相手を確認しに行くし、
   妹達が呼べばすぐ飛んでいき」

浜面「妹達に何があってもいいようにと医師の免許だけでなくていろんな免許を取り」

白垣「妹達に不憫な思いをさせないためにお金をかなり貯金しだして
   コーヒーの量まで減らして、それで妹達以外にはほとんど使わないとか、
   もはや………」






白垣浜上「「「病気ですね」だな」だよ」


一方「うるせェっ!!余計なお世話だ!
   しかも後半関係ないだろ!!」

浜面「つーか、思ったんだけどさ。
   なんで一方通行は妹達がそんなに大事なら彼女なんか作んの?」

一方「………18264号と、番外個体に言われたんだよ」イラッ

上条「な、なんて?」アクセラレータ、カオコワイ

一方「それは、三年前のことだった」

浜面「なんか、回想が始まったんだが……」エェー




ピンポーン


一方「はァい」

北欧「お久しぶりですねセロリ。とミサカは和やかな挨拶をします。
   後これお土産のジンギスカンのタレです。本当は羊を連れてきたかったのですが、
   今回は無理でした。とミサカは一方通行にイヤガラセができなくて
   心の底から残念な気持ちを胸に秘めて言います」

一方「」

番外「やっほー。このミサカと直に会うのは初めてかにゃーん?おねーちゃん☆」

北欧「そうですね、ネットワーク内でしたらよくしゃべっていましたが、
   面と向かって会うのは初めてです。とミサカは自分よりも大きい妹を見ながら答えます」

番外「大きいのはどこを見て言ってるのかなー??もしかしてうらやましかったりする?」

北欧「べ、べ、べ、別にうらやましくねぇしとミサカは目をそらします」

番外「アヒャヒャ☆だいじょーぶだよ。おねーちゃんのそのツルペタなとこもきっと、たぶんおそらく確定はできないけどいずれは大きくなるって」

北欧「それほとんど否定じゃねーか、とミサカは見た目も中身も生意気な末妹にプチキレしています」

番外「本当のこと言われて起こらないでほしいなぁ」

北欧「まずはしつけが必要なようですね、とミサカは鞄から基本装備を取り出します」

    レベル2     レベル4 
番外「異能力者ごときがミサカに勝てるわけねーじゃん」ビリビリ

北欧「本気で怒ったぜ……その言葉後悔させてやんよっ!!」スチャッ

打ち「ストーップってミサカはミサカは二人の間に入ってみる!」

北欧「お久しぶりです。よ…上位個体とミサカはいろいろごまかしながら挨拶をします」

打ち「ひさしぶりー!!元気そうでミサカも嬉しいってミサカはミサカは玄関で固まったままのあの人を揺すりながら挨拶してみたり!ほら起きて、起きてー!!」

一方「」ハッ

番外「あ、起きた」





───数分後

北欧「改めまして、お久しぶりです。皆さん
   芳川と黄泉川は仕事ですか?とミサカはここにいない同居人達に会えない
   ことにがっかりしながら尋ねます」

打ち「だいじょーぶ!黄泉川も芳川も今日は早く帰るって言ってたよ!ってミサカはミサカは不安そうな18264号を安心させるために伝えてみる」

一方「俺以外全員知ってたのかよ………」

番外「そりゃあ、心配性な誰かさんに言えば絶対迎えに行ったからじゃにゃーい?」

一方(迎えに行くわけねェだろォが!)
  「後ろからこっそり見とくだけだ」

北欧「………年々、一方通行のミサコン度が上がっているのは知っていましたが、ここまでとは…とミサカは気持ちの悪いセロリから距離を取ります」

一方「!?」ガーン

番外「アヒャヒャ☆第一位ドンマイwwwwwwマジウケるんですけどww」

北欧「そ、それか彼女でも作れば少しはマシになるんじゃないですか?な、何でしたらミサカが協ry「そうしなよ!第一位!!」

番外「ちょっとはミサカ離れしないとミサカたちに嫌われちゃうかもよー??
   あ、でも他の女にしなよ?おねーちゃん達に手出したらミサカがアナタを殺すから☆」

一方「彼女ねェ……」メンドクセェ



北欧「ミサカはまだ諦めませんから。とミサカは密かに胸に誓います」グッ

打ち「ミサカも諦めないもん!ってミサカはミサカは力強く宣言してみる!」グッ





一方「と、言うわけだ」

浜面「回想なげーよ!!」ウガァ!

一方「これでも省いたほォだぞ?」キョトン

白垣「途中から三人のかわいかった所を延々と言おうとしたじゃないですか」グッタリ

一方「アイツらの可愛さは俺の寿命でも言いたりねェ」キリッ

上条「それ本人達に言ってやれよ………」グッタリ

一方「無理」キッパリ

白垣「変な所でテレますね」

<メールダヨッテミサカハミサカハ!!


一方「俺帰るわ」スクッ

上条「何かあったのか」

一方「冥土帰しから依頼がきた。人手が足利ねェらしい」

浜面「いっそ、病院に勤めればいいのに」

一方「アイツらと会う時間がなくなるだろ」ガラッ

上条「玄関使えよ。ベランダから出入りせずに」

一方「こっちからの方が早ェンだよ」ジャアナァ



上条「せっかく、鍋できたのに」

浜面「まぁ、しょうがねぇよ」

上条「そうだな、じゃあ食うか」

白浜「「イエーイ!」」

白垣「正直、食事の必要性は無いですけど。あなたが作る料理は美味しいです。」

上条「ありがとな。そう言ってくれると嬉しいぜ」

浜面「はい、それじゃあ?」

白浜上「「「いただきます!」」」




以上です

一方通行さんがミサカ達が大好きだったらをコンセプトに書きました


意見などくださると嬉しいです!

それでは失礼しました!

予告。

書く気は……いつか書くかも。

とある不幸な少年が居た。



不幸で、不運で。



神に憎まれているかの如く。



ついたあだ名は『厄病神』。



彼と接しようとする人間は両親のみ。



孤独で、孤独な少年。



すべてを投げ出したいとそう願っていた少年。

そんな悲しい少年は、とある日、運命の出会いをした。



その男は、人間ではなかった。



『亡霊』か、『幻影』か。



この世に、存在するはずのなかった存在。



この世に、存在してはいけなかった存在。





『さあァァトーヤ、行くぞ!!私は何でも速く走らせることが、できま~す』

『当麻だよ!それだと父さんの名前だよ兄貴!!』

その男は、何故か『速さ』に執着した。




『んー。カミサマなんかに運命を左右されるとは意志を譲ったということだ、
 意志なきものは文化なし、文化なくして俺はなし、俺なくして俺じゃないのは当たり前、だからトーヤ!!』

『!?』

『世界を縮めろ!1ナノsecでも後悔するな!!お前なら、できる!!』

『…………意味わかんないけど、ありがとう。あと当麻ね』




その男は、何故か『文化』に執着した。




奇妙で怪異なその男は、だけどその少年の心に強く残った。



その男は、彼に道を示した。





『俺はこう考えるんです。逃げたいのなら逃げればいいと。

 逃げ切れない?振り切れない?それならもっと速く逃げればいい!速さは力です。

 速ければ速いほど、ついてこれるものも減ります!どんどんと速さを上げれば、そのうち誰も何も追い付けなくなる。

 それの域まで達するのは難しいかもしれない。時に無力感に打ちひしがれる事もあるでしょう。

 しかしその努力があればいつか本当にその域に届くかもしれない!!』




その不思議な出会いは、彼の心にしっかりと刻まれた。



そして、彼は歩き始めた。



学園都市、という未知の地で。






『頑張れよ、ト―マ』



『当麻だよ、兄貴』



『だから合ってるだろー?ハハハハ』






敬愛する兄貴分に、別れを告げて。



それは、とある少年が、本来とは少しだけ信念を持っていたおはなし。

『ねえ、超電磁砲って言葉、知ってる?』



『ブゥラァボォォォォォォォォだよ!!!お前はコレを隠していたわけだ。この音速の三倍の弾丸を。俺より速いこの弾丸を!!
 どちらも気に入らないが、どっちかというと、後者の方が、気に入らないッ!!』



『な、何………?』



『オマエ、本っ当ーーについてねえよ!!!』






『おなかへった、って言ってるんだよ?反応が遅いかも』



『……俺が遅い……!俺がスロウリィ!!?』



『ど、どうかしたのかな?』



『そんな……!何故だー!兄貴にはやはり追い付けないのかー!』

『ん?どうかしましたかこのえセンセ―』



『小萌です!か、上条ちゃん、話を聞いてほしいのですー!』



『聞いてますよ?』



『じゃあその手元の分厚い本とイヤホンは何なんですかー?』



『このえセンセ―、上条さんは兄貴にこう教わった訳です。
 この世の理とはすなわち速さです、物事を速く成し遂げればその分時間が有効に使えます。
 同時に多くの事を並行すれば、当然作業の早さは上がる!
 遅いことなら誰でも出来る、20年かければバカでも傑作小説が書ける!
 有能なのは月刊漫画家より週刊漫画家、週刊よりも日刊です、つまり速さこそ有能なのが、
 文化の基本法則!そして上条さんの持論でせう-------ァ!』


『小萌ですーーーーー!』

『世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ

 それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり

 それは穏やかな幸福を満『長い、遅い、うざったい!!さっさとしやがれ赤頭!!』




『私はまだ、魔法名すら名乗っていません』



『がハッ………』


―――――力が、欲しいかい?



誰だ、お前は?



―――――自分は、君の『力』だよ。


何でそんな奴が?



―――――君に死なれたら困るんだよ。だから、君に力をプレゼントだ。どんな力が欲しい?すべてを破壊する力?時を止める力?時を吹き飛ばす力、幾つもの世界を超える力、光でも、運命でも、未来でも操れる力?



―――――君は、何を望むんだい?



ぐもん、グモン、愚問だぜ。





『速さ』をよこせ。





全てを振り切れるような、圧倒的な速さを。





―――――いい答えだ。

『背中に………深紅の、羽?』



『ほんとは兄貴みたいに脚の装甲が良かったんだけどな』



―――――無茶を言わないでくれよ。人間の体じゃ自分の力を使うのは右手が限度さ。



『まあ、いいけど』






『な!?消え―――――ッ!!!』


『神裂!? 急に吹っ飛んでどう―――――ガッ!?」


『衝撃波。音速の壁を突破した時起こる、空気による爆弾。かわせるもんなら、かわしてみろ』


―――――君自体が音速以上の速度で動いてるから、多分彼女らには聞こえないよ?


『わかってますよ、そんなこと』






『衝撃の、ファーストブリッド』



『―――――――――――ッ!!!!!!』

『………ど、『竜王の殺息』って、そんな。無理です、人の身でまともに取り合おうと思わないでください!!』



『―――『聖ジョージの聖域』は侵入者に対して効果が見られません。他の術式に切り替え、引き続き『首輪』保護のため侵入者の破壊を継続します』



『お前には、一発目しか食らわせてなかったよな?』



『何の話をしているんだ!』






『―――その幻想をぶち殺してやるよ。見せてやる。

 一発、二発、三発目。本当の、完全なる『シェルブリッド』を』





ストレイト・クーガーと幻想殺しが交わるとき、新たな物語が幕を開ける!


『上条「速さが足りない」』


乞うご期待!

投下終了。

そういえばシェルブリッドも幻想殺しも右手だったなという思い付きから。

眠れない夜に勢いだけで書いてみた。たぶん15レスくらい


「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」

「はいはい、間違っているのはここの計算なのですよー。一の三乗は三ではないのです」

「あ、はい」

窓から差し込む夕陽の光。オレンジ色に染まる二人だけの教室。一人は少年で、一人は少女。
わたくしこと上条当麻は、そんな空間に居る。

それだけ聞けば俺の最初のセリフに対して意義を唱える奴も多いだろう。
しかし、違う。この状況はそんなリア充的なものではない。

まず一つ目として、目の前に居る少女はクラスメイトではない、先生だ。
しかもその見た目は少女というよりも幼女といった方が正しく、とても大学を出て酒タバコ大好きなオトナには見えない。
つまりは、端から見ればこの光景は幼女に勉強を教わる高校生という不名誉極まりないものとなっている。

そして二つ目として、これは分かっているとは思うが、今この場で行われているのは単なる補習だ。
放課後の教室に二人、とだけ聞けばそれはそれはラブコメっぽいシチュエーションではあるのだが、そこに“教師”と“補習”という単語が入った瞬間、それは単なる苦行へと様変わりする。

まぁ、これは慢性的に出席が足りない俺に対する救済措置なので文句を言うことはできない。むしろ感謝すべきことなのだが。

「それで先生、俺の青春ラブコメがどう間違っているかという事なんですけど」

「その前にここの連立方程式の解も間違っているので直してくださいねー。プラスマイナスが逆なのです」

「ぐっ……あの先生、こんな数字が世の中の多くの学生達を苦しめているなんておかしくないですか?」

「確かにここの数字もおかしいですねー。上条ちゃん、せめて二桁同士の足し算くらいはミスしないでほしいのですよー」

「……すみません」

目の前の我が担任教師、月詠小萌先生はニコニコと天使のような笑顔を浮かべながら、俺のノートに次々とダメ出しをしてくる。
世の中にはこういったプレイを好む者も居るが(某青髪のクラスメイトなど)、俺にはそういった性癖はなく持ちたいとも思わない。


それからしばらく何の役に立つのかも分からない数字との格闘を続ける俺。
そしてだんだんと頭がぼーっとしていくのを感じ、これら全てをこの右手でぶち壊せたらどんなにいいかと思い始めた頃。

ようやく、小萌先生は今日の補習は終わりだと告げる。

「よく頑張りました上条ちゃん! これに懲りたらちゃんと学校に来てくださいねー?」

「いや先生、俺だって学校が嫌いなわけじゃないんですよ。むしろ好きです、大好きです。でも気付けばイギリスやらロシアやらハワイに居るんですよ」

「先生、若い内は積極的に色々体験するべきだとは思いますけど、上条ちゃんの場合はちょっとアクティブ過ぎる気がするのですよー。
 まぁでも、上条ちゃんの性格は先生もよく分かっているつもりです。これからも出来る限りフォローしていきますから、上条ちゃんもできるだけ登校してくださいねー?」

「先生……本当にありがとうございます。誰も貰い手いなかったら俺が先生を貰ってあげます」

「ぶっ!!! ちょ、何唐突に失礼な事言ってんですかー!!! あのですね、別に先生は生き遅れているとかそういうのではなくてですね!!!」

「あれ、でもまだ独身ですよね先生」

「だからやめろって言ってんだろ留年させるぞ!!!!!」

「すみません、調子乗りました」

マジ顔で迫ってきたので、とにかく頭を下げる。
正直先生の心遣いに本気で感動してその照れ隠しに言ってみただけなのだが、本人も割と本気でそれを気にしていたらしい。今度からは注意しよう。
しかし、まさか若干涙目になる程だとは思わなかった。誰か拾ってあげろよもう。本当に良い先生なのに。世間体とかがヤバイっていうのは分かるけども。

小萌先生はまだ頬を膨らませてプリプリ怒っている様子で、

「まったくもう! 上条ちゃんも先生の人生を心配している暇があったら、早く進路調査票出してほしいのです」

「あれ、出しませんでしたっけ?」

「えぇ、出してくれましたね、『しあわせにくらしたいです』っていうものを。そして先生はそれを突っ返したはずなのです」

「あー、そうでしたっけ。でもさ、先生。幸せになりたいっていうのは人間としてごく当たり前の事でそれを否定するのは」

「別に否定しているわけではないですよー、もっと具体的に書いてくださいって言っているのです」

「具体的に?」

「えぇ、幸せといっても人によって様々でしょう。上条ちゃんは幸せになるために具体的にどんな事をしたいのですか? 将来やりたい事などは?」

「……うーん、俺ってもういつもやりたいことやってる感じだからなぁ」

「その結果がロシアとかハワイへの遠征なのですか……」

小萌先生は思い切り呆れた様子で溜息をつく。


四月。桜はもうすっかり散ってしまったが、まだまだ始まりの季節を感じる今日このごろ。
俺は昨年の絶望的な出席日数から奇跡の生還を果たし(主に小萌先生の助けによるもの)、無事に二年生へと進級することができていた。
そして、さぁ高校生活にも十分慣れたところで、いよいよ本格的に青春始めっかー!! などと思い始めた頃。

お前ら現実見ろよ、と突きつけられたのが進路調査票。
俺からしてみればまだ早すぎるのではないかとは思うのだが、この時期から考えるべきだというのがこの学校の方針らしい。
まぁ、それは別に珍しいことでもなく、二年生に上がったと同時に漠然としたものでも構わないので、進路調査をするというところはある。

ただ、俺の出した内容はあまりにも漠然としすぎていたらしい。

「人助けが好きなのでしたら、先生になって警備員(アンチスキル)になるのはどうでしょう?」

「先生……警備員(アンチスキル)……かぁ。うーん」

「嫌なのです?」

「嫌っていうわけではないですけど……」

なんだか上手くイメージができない。
というか警備員(アンチスキル)はともかく、俺がまともな授業ができるはずがない。
そもそも、学生の内からこんな出席状況で教師が務まるのか。

小萌先生はしばらくうーんうーんと考えていたが、

「あ、そうですっ!」

頭の上に豆電球が出そうな勢いで、ポンッと手を叩いた。

俺はそれを見て何か嫌な予感がする。
別に第六感的な何かが働いたというわけではなく、単なる経験則の話だ。
先生は本当に心から生徒のことを考えてくれる。それはありがたいことなのだが。

必ずしもそれが生徒自身にとって嬉しいことであるとは限らない。
全てが完璧な者などはこの世に存在しないのだ。

「んー、この時間ならまで居ますかね! 上条ちゃん、ちょーっとお時間よろしいですかー?」

「……あー、いえ、今急に用事を思い出して」

「大丈夫ですねー? さぁ行くのです!」

初めからこちらに決定権がないのなら問答の意味は無いと思う。




・・・



誰も浸かっていない空き教室というものは案外あるものだ。
後者の隅、普段は誰も通らないような場所にポツンと。

「こういうのが経費の無駄っていうんですか?」

「無駄ではないですよー。部活で使っていますから」

先生はニッコリと微笑んで説明する。

なるほど、使っているのであれば空き教室というわけではないのか。
いや、それとも授業で使っていないのであればやっぱり空き教室なのか。
まずその辺りは教室の定義から確認しなければいけないのかもしれない。

そんな事を考えている俺をよそに、小萌先生はコンコンと扉をノックする。

「はい」

「先生なのですよー。少しよろしいですかー?」

「もうすぐ帰ろうと思っていましたが……どうぞ」

この声……と思った時にはガラガラと扉は開いていた。

風が吹いた。
夕陽に染まった教室は、たくさんの机と椅子が後ろへ追いやられている。
まさに空き教室と呼ぶに相応しい光景、元々人の居ない教室というものは妙に寂しく思うが、そういった要素が更にその寂しさを際立たせていた。

ポツンと取り残された一組の机と椅子には長い黒髪の少女が座っている。
俺はその少女のことを知っている。クラスメイトで割とよく話す。

しかし、なぜだろうか。
よく知っているはずの彼女の横顔を見て、俺には一瞬別人のように思えた。
昼間の自分達の教室ではなく、放課後の空き教室で、という普段とは違うシチュエーションだからなのか。ハッキリとは自分自身でも分からない。

少しの間、部屋で聞こえる音は、パタパタというカーテンがはためく音だけだった。


それでも、長くは続かない。
沈黙というものは必ずしも悪いものではないが、基本的に好んで続けようとするものでもない。

「上条……?」

「あー、よう吹寄。何してんだこんな所で」

「それはこっちのセリフよ。月詠先生、これは?」

「ふふふ、察しの良い吹寄ちゃんなら何となく分かるんじゃないですかー?」

そう言っていつもの微笑みを浮かべる小萌先生。

黒髪の少女……吹寄制理は小萌先生ではなく俺の方をじっと見つめる。
といっても、別にピンク色の空間が広がるような視線ではなく、品定めをしているような、といった方が正しい。
それも、賞味期限ギリギリだけど安いからどうしようか……などといった感じの。

そんな視線に半ば俺の心が折れかけた辺りで、吹寄は諦めたような溜息をついた。

「……分かりました。上条当麻を更生させる、そういう事ですね?」

「ビンゴなのです! さっすが吹寄ちゃん!」

「えっ、あの、本人置いてけぼりで話進めないでもらえませんか。あと更生っていう単語を聞く限り俺が何かおかしい事になっているようにも思えるのですが」

「それでは、よろしくですー」

「おい!?」

俺の言葉は完全スルーでさっさと出て行ってしまう小萌先生。俺に放置プレイの趣味はない。

再び沈黙が広がる。
別に吹寄とは二人きりだと気まずいという間柄でもないのだが、純粋に今のこの状況を理解できないので何から聞けばいいのかもとっさに出てこない。

すると彼女は椅子から立ち上がって、

「悪いけど、今日はもう部活終了よ。明日から放課後はすぐここに来ること、補習とかがあるなら連絡入れること。以上」

「ちょ、待て待て待て!!」

「なによ」

「いや、俺何も聞かされてないんだけど……ここって何の部活なんだ?」

「えっ…………はぁ、月詠先生……」

吹寄はガクッと分かりやすく肩を落とすと、椅子ではなく机に腰掛けた。

「ここは奉仕部よ」

「奉仕……部……?」


俺は思わずゴクリと喉を鳴らした。
吹寄のような胸の大きい少女が奉仕などという単語を口にすると、そこはかとなくエロい感じがする。

彼女はそんな俺にジト目を向けて、

「なによ」

「何でもないです!! そ、それで、具体的にはどんな事をやってんだ?」

「何でもよ。頼まれたことであれば、ね」

「何でも!?」

「だから何よ、変にテンション高いわね」

……ダメだダメだ。
もし本当にそういう部活だったら、小萌先生が容認しているわけがない。
そんなものが存在しないという事くらいには、現実はつまらないという事は分かっているつもりだ。

それでも、心のどこかでは期待してしまうのが男なわけで。

「その、つまりは頼み事を聞いてくれる部活……ってわけか?」

「そういう事ね。今回は月詠先生が貴様の更生を依頼してきた、というわけ」

「……そうですか。じゃあさ、代わりに課題やってくれとかっていうのでも受け付けるのか?」

「やらないわよ。ここはあくまで頼み事を聞いて、それを達成する為の手伝いをする所なの。
 だから、課題のやり方は教えても、実際にその課題をやるのは依頼者自身、という頃になるわ」

「へぇ……なるほどな……」

俺は納得する……が、すぐに別の疑問が浮かんでくる。

「なぁ、そもそもお前は何でこの部活を」

「それは後にして。今日はもう帰る」

「え、あぁ。悪い、何か用事でもあったのか?」

「まぁ……そんなところよ。観たい番組があるの」

「……また通販番組か」

「うるさいわね!! 悪い!?」

「わ、悪くねえって!!」

「ふんっ!!」

すっかり機嫌を損ねた吹寄は、乱暴に机の上の鞄を手に取るとさっさと行ってしまう。
と、思いきや扉に手をかけたところでこちらを振り返り、

「明日からちゃんと来なさいよ」

それだけ言い残して、出て行った。
おそらくこれは、明日から毎日行かなければ首根っこ掴まれて連れて行かれるのだろう。

気付けば日は更に傾き、教室の色はオレンジから赤に変わっていく。
もう少しすれば完全下校時刻を告げる放送も聞こえてくる頃だろう。

俺は窓を締め、教室の鍵を締め、帰路につく。
小さな溜息と共に。




・・・



次の日の放課後。
俺が例の部室へと行くと、そこではやはり吹寄が椅子に座って、鞄を机の上に置き、本を読んでいた。
日はまだ落ちていないので、昨日とは違って空はまだ透き通るような青空が浮かんでいる。

「おっす」

「ん」

短すぎる返事。
別に長々と愛の言葉をささやいてほしいというわけでもないのだが、それでも他に何かないのかとも思ってしまう。
というか俺の更生を頼まれたんじゃなかったのか。いや別に俺は更生が必要なわけじゃないけど。

ただ、彼女は読書中だ。
そういう時はやはり没頭したいものなのだろうし、この対応も仕方ないのかもしれない。

……彼女が本を読んでいなかったとしても対応はさほど変わらなかったであろう、という事は置いといて。

「よっと」

俺は教室の後ろから手頃な机と椅子を一組持ってきて座る。
特に汚すぎて使えなくなったもの、というわけではないらしく、落書きも彫刻刀で彫った後もない。
もしかしたら、自分の机や椅子が壊れたらここから代わりのを持ってくるようなシステムで、使えなくなった方は他の場所にあるのかもしれない。

「…………」

「…………」

部屋には吹寄が本をめくる音と、外からうっすら聞こえてくる運動部の声だけが広がっている。

暇だ。暇すぎる。
ここは吹寄に習って本でも読もうかと思ったが、あいにく起き勉主義の自分の鞄には教科書すら入っていない。まぁ例え入っていたとしても読む気にはなれないが。
それでは、ケータイでもいじってるか。などと思うが、カチカチ音をたてるとうるさいと言われそうだ。

……いや、気にし過ぎか? 吹寄だってペラペラ本めくってるし。


「…………」

「…………」

「……なによ」

「あ、いや、何読んでるのかなーってさ」

「本」

「それは分かるっつの! どんな本なんだ? 面白い?」

「上条、あたしだって貴様がそういう事を聞きたいという事くらいは分かっていたわよ。でも、答えなかった、あとこれにはブックカバーがかけられているわ」

「つまり言いたくないって事ですか…………まさかエロいやつなんじゃぶげっ!!!」

言い終える前に、何かの物体が勢い良く飛んできて、おでこにぶつかる。
どうやらそれは箱のようで、でこを擦りながら拾い上げてみると、そこには『特殊電波を用いた肩こりに効く低周波パッチ』などと書かれていた。

「……絶好調ですね吹寄さん」

「うっさい、それは結構効いたわよ!!! …………たぶん」

自信が持てない辺り、自分を納得させようとしている部分が大きいのだろう。
去年の大覇星祭から吹寄がこういった胡散臭いものを好むというのは知っていたが、まだそれは続いているらしい。

まぁしかし、別にそれ自体は特におかしい事でもないと思う。
例えばどこかのお偉いさんの名前を出されて「○○に効く!」などと言われれば、そういうものなんだと思うのは仕方ない。
それだけで実際にはそこまで効果が無かったとしても、効いたと思い込んで自己満足を得られれば、それはそれで幸せな事なのだろう。

世の中、必ずしも真実を知ることだけが幸せなわけではない。

「よし吹寄、それなら俺がお前のその本がどんなやつなのか当ててやろう」

「……上等じゃない。言ってみなさいよ」

「『能力レベルを上げる100のコツ』…………監修辺りに長点上機の有名な先生の名前が入っていると見た」

「ッ!!!」

「そして中身は効くのかどうかよく分からない微妙な事しか書いてないくせに、2000円以上したというオチだ」

「うっさいうっさい!!! なによ、たまに時計を見て現在時刻を秒数単位に直してみるとか、凄く演算能力上がりそうじゃない!!」

「そんな事してんのかお前…………面倒くさくね?」

「はっ!!! あ……うっ……黙れ上条!! それに監修だって長点上機じゃなくて霧ヶ丘よ!!」

ついに顔を真っ赤にしてガタッと立ち上がる吹寄。
このままではどうあがいても頭突きをくらう未来しか見えないので、俺は大人しく両手を上げて降参の意思を示す。

彼女はしばらく、フーッフーッと荒々しい息でこちらを威嚇していたが、何とか座ってくれた。


それから再び沈黙が広がる。
俺はまた余計な事を言って彼女を怒らせるわけにはいかないので、迂闊に口を開く事ができない。
その内、教室に戻って勉強道具でも持ってくるか……などと柄にもない事を思い始めた頃。

「…………ねぇ上条」

「な、なんでしょうか」

「貴様は……レベルが上がらなくて悩んだりはしないわけ?」

「へ?」

「あたしは、これでも結構気にしてんのよ。ほら、学園都市といえばやっぱり超能力じゃない? 正直、ここに来るまではワクワクしてたわけよ」

「まぁ……そうだろうな」

「あ、でも今の状態が辛くて仕方ないというわけではないわ。確かに能力は全然ダメだけど、それでもあたしはここでの生活は毎日楽しんでる。
 ただね、勉強も運動もそうだけど、あたしは物事に対して妥協とかはしたくないの。ダメならダメで精一杯努力する、それさえできなくなったらもう本当にダメだと思うから」

「…………」

「だから、貴様も不幸なんていう言葉で片付けるんじゃなくて、もう少し色々頑張ってみれば? もしかしたら少しはマシになるかもしれないわよ」

「はは……敵わねえな吹寄には」

ダメなら頑張って努力する。
それは当たり前のように思えて実は難しいことだ。
人間というのはどうしても楽な方へと流れたくなる生き物であり、何かと頑張らない理由を作りたがる。

恐れというものもあるのかもしれない。
別に珍しい話でもないが、もし努力してもダメだった場合、本人からしてみれば希望を失うという事になるのだろう。
それならば、努力をしないことで保険を作っておくという考え方もあるのかもしれない。

しかし、吹寄はそういった事を一切しない。
努力するのは当たり前、それでもダメだったならもっと努力する。
彼女は諦めない。何度壁にぶつかっても立ち止まらず、前だけを見て挑んでいく。

俺にはそんな彼女が凄く遠い存在のように感じる。
彼女はよく鉄壁の女と言われるが、イメージ的にはその高い壁の上に咲く花といった感じか。

吹寄は小さく息をつくと、

「……まぁ、ちょっと暑苦しいかしらね。別に押し付けてるわけじゃないから、心の何処かに置いてくれればいいわ」

「いや、そんな事ねえよ。俺は吹寄のそういうとこ好きだぞ」

「それはどうも。でも、あたしは頬を染めたりはしないわよ。残念だったわね」

「期待してねえって、むしろそんな事されたら風邪だと思って保健室連れてくわ」

「それはそれでイラッとくるわね」

ふんっと鼻を鳴らす吹寄。
彼女が恋愛事に一切興味を持たない……とまでは思ってはいないが、相手への要求は凄まじく高い事くらいは予想できる。
なので、実際彼女に見合う男なんていうのはかなり限られるだろう。俺なんかは門前払いレベルだ。


「そういえば、吹寄はどうしてこの部活に入ってるんだ? 昨日聞きそびれたけど」

「あぁ、そういえば言ってなかったっけ。そうね、簡単に言っちゃうとやりたい事探しよ」

「お、意外と俺と同じ心境? いやー、俺も自分が将来何やりたいのかって全然浮かんでこなくてよー」

「貴様と一緒にしないでよ。あたしはね、むしろやりたい事が多すぎて困ってるの」

「へ?」

「よく使ってる健康器具を作るっていうのも興味あるし、後は能力関係で色々役に立つアイテムなんか作ったりするのも面白そう。
 他にも日常で使えるような小物を考えるのも好きだし、教師だってちょっとは考えてる。イベント関係の主催とかもいいわね」

「……お、おう」

「ただ、それを進路調査票に全部書いて月詠先生に出したら苦笑いされたわ。だから、本当にやりたい事を探すためにあたしはここに居るわけ。
 依頼の種類は様々だし、あたし誰かの世話を焼くのも結構好きな方だから。貴様みたいに難物過ぎるのはアレだけど」

「ぐっ……」

本当にやりたい事を探すというのは同じだが、俺とはまるで違うようだ。
でも、世間一般的に多いタイプは俺の方で、吹寄の方は中々いないとは思う。
まぁ、彼女のほうが数段素晴らしい人間だという事に変わりはないだろうが。

その時だった。

先程から二人の声しか響いていなかった部屋に、コンコンとノックの音が控えめに入り込んできた。
俺はまた小萌先生だろうか、と考えるが、

「どうやら依頼人が来たようね」

「え、そうなの?」

「この部屋に来る人は依頼人か小萌先生くらい。そして、小萌先生は扉の窓に影が写ったりはしない」

「……なるほど」

確かに見てみれば、扉の窓からはうっすらと影がある。
何となくだが女子だろうか。

「それじゃ、貴様の初仕事よ。あたしの足を引っ張るんじゃないわよ」

「へーへー……ってあれ? 俺って依頼人側じゃなかったっけ?」

そんな俺の疑問は当然のようにスルーされ、吹寄は訪問者に対応する。
そして数秒後には扉が開かれ、悩みを持った依頼人が入ってくる。


四月。桜が散って緑が芽吹き始める時期。
開かれた窓からは静かな風が吹き込み、穏やかな春の日差しが差し込む教室。
俺の高校生活二年目は、奉仕部というよく分からない部活に入ることからスタートする。

それが良い事なのか悪い事なのか。
今すぐには答えが出ないだろうし、もしかしたら結局いつまでも分からないのかもしれない。

ただ、それでも今この一瞬だけは。
俺はまた違う一歩を踏み出せた、そんな気がした。




【ぼんやり考えたネタ的なもの:その1】



「私。クラスでもう少し存在感を出したい」

「せ、切実だな……。別にそこまで存在感ないってわけでも」

「慰めはいらない。余計惨めになるから」

「うっ……」

「上条……貴様らバカ三人が毎回毎回騒ぎまくるからいけないんじゃないの?」

「えっ、俺のせい!? つーか、それなら吹寄だって十分騒ぎまくってると思うんですけど!!」

「はぁ!? 貴様がバカな事しなければ、あたしだって普段は物静かよ!!」

「ウソつけ!! 俺とか関係なしにお前は物静かとは対極にいるね!!」

「なんですってええええええええええ!!!!!」

「うわっ、ま、待てっ!! 暴力反対いいいいいいいいいいいい!!!!!」

「逃げるんじゃない!! 貴様は言ってもダメだから痛い目みるしかないのよ!!」

「毎回毎回手が出てて、言葉だけっていう記憶がないんですけど!?」


「…………ふふふ。ここでも消える私」


「「あっ」」




【ぼんやり考えたネタ的なもの:その2】



「ウチの居候が全然学校行かないじゃん」

「はぁ……不登校というものですか?」

「んー、そういう事になるのかねぇ。私も教師という立場で生徒にこんな事頼むというのも情けないんだけど。
 でも、もしかしたら同じ学生のお前達の方が教師よりも適任っていう可能性もあるじゃんよ。アイツも見た目ほど悪いやつではないんだ」

「あ、でも俺そういう学校行ってない知り合いとかもいるし、そいつらとも話してみたりすれば何か力になれるかも」

「……さすが上条ね」

「おい、言っておくけど俺は別に不良とかじゃないからな。そういう奴と関わることが多いだけだ」

「悪そうな奴は大体友達ってわけ?」

「なんかすっごく誤解生みそうな言い方だなそれ……」

「ははは、確かにアイツは見た目は不良……というかそれ以上じゃん。先に言っておくけど、白髪に赤目だからってあんまり引かないでくれな?」

「あたしは人を見た目だけで判断したりは…………ってどうしたのよ上条」

「…………なんだかとてつもなく嫌な予感がするッ!!!!!」




【ぼんやり考えたネタ的なもの:その3】



「どもー、ここに来れば悩み解決してくれるって聞いて来たんですけど」

「解決するのはあたし達じゃなくてあなたよ。あたし達はその手伝いをするだけ」

「つーか、なんで御坂がこんなとこ居るんだ何でもアリか」

「ア、 アンタ……こんな所で女と二人きりとかどういうわけよコラァァ!!!!!」

「上条、またなの?」

「その手の施しようがない患者に向けるような目はやめてください!! 御坂も勝手にテンション上げてねえでさっさと悩み話せっての!!」

「くっ……まぁいいか、それは後にするわ。それで悩みなんだけど、私今年で中学卒業で進路も決めてるんだけど、最近ウチの教師にその進路について散々反対されて参ってんのよ。
 別にあの人達の言葉で私が道を変えるつもりもないんだけど、それでも流石に毎日ともなると鬱陶しくてね」

「それで、何とか先生達に納得してもらいたい、というわけかしら?」

「えぇ、そういう事よ。何か良い案ないかしら?」

「まずそのお前の希望する進路ってのは何だよ? 先生だって余程の事が無ければ生徒の進路にそこまで口出してくるとは思えねえぞ」

「……えっと、その、進学よ進学」

「え、進学? でもあなた常盤台よね? あそこって卒業の時点でもう社会に出ていける程の力は十分身につくって聞いたけど」

「そ、そんなのは本人にしか分からないでしょ! 私はもっと色々学ぶ必要があると思って進学することにしたのっ!」

「なるほどな……それなら学校は長点上機あたりか? それか他の五本指とか……」

「……ここよ」

「へ?」

「だ、だから……この学校に進学しようと思ってるの」

「よし、全面的に先生が正しい。お前は良く考え直すべきだ。依頼終了悩み解決」

「おいコラ何勝手に終わらせてんのよ!!! そんなに私がここに来るのが嫌かァァあああああああああああああああああああああ!!!!!」

「うぎゃあっ!!! だからそういう事するから嫌なんだよちくしょう!!!!!」

「……はぁ。またいつもの上条のアレか」

「人を病気のように言わないでくれますか吹寄さん!?」

終わり、16レスもいらなかった

一方「精神を自由に操れるようになった」
垣根「ものすごいビームが出せるようになった」
御坂「ベクトルを操れるようになった」
麦野「なんか気合溢れる能力が使えるようになった」
食蜂「御坂さんみたいな電撃使いになった」
削板「メルヘンな能力が使えるようになった」

的なLEVEL5組の能力総シャッフルネタをふと思いついたのだが
自分には書けそうにない

数レスもらいます

佐天「ハァ……ハァ……」

スキルアウトA「グヘヘヘヘ。お嬢さん、お待ちなさいってか!」

スキルアウトB「どうせ、こんな路地裏じゃあ誰も助けにこねーよ!」

姫神「そんなことない。ズズゥー。……ちょっと薄味」

スキルアウトA(おいおい、なんだよあの女……)

スキルアウトB(こんな路地裏で、ラーメンすすってやがる……)

スキルアウトC(しかも、最近評判の店の味に対し辛口の評価だと……何者なんだよ)

佐天「えーっと、たすけてー(これでいいんだよね?)」

姫神「安心して。いま助けてあげる。ズズゥー……ぷはーッ」

スキルアウトA(おい、髪飾りの女。もっと心を込めて言わねぇと、あの巫女服の女は動かねえと思うぞ……)

佐天(そんなこと言われてもねー。あたしも、色々とこんがらってまして……)


スキルアウトC「おい、この女って噂のアイツじゃねぇのか?」

姫神「ごちそうさま。じゃあ。今から助けてあげる」

佐天「背負ってたカバンから、カセットコンロにフライパン!?」

スキルアウトB「俺も聞いたことがある。様々な事件にフライパン一つで収めてしまう料理人」

佐天「それって、たった二人でやってる、いま噂の定食屋の店主……」

「ひと呼んで『料理使い(クッキングマスター)』姫神秋沙!!」

姫神「そんな紹介はいいから。冷めないうちに」

スキルアウトA「なんだと!?俺たちが紹介してる間に牛野菜炒めを作り終わっただとッ!!」

スキルアウトB「ハッ、何ビビってんだよ!こんな短時間で作って旨いはずが……」


スキルアウトC「うめー……。キャベツの芯まで、しっかりと火が通ってるのはもちろん」

スキルアウトA「味も濃くなく薄くなく。ご飯が欲しくならない絶妙な加減で」

スキルアウトB「牛肉も脂っこくない部位を使ってるにもかかわらず」

スキルアウトC「ちゃんと他の食材に合うように計算された、この一皿は……」

「「「まさに、噂に相応しい最高の一皿だ!!!」」」

佐天「えーっと、あたしはどうすれば……」

スキルアウトA「うっせー、俺たちの食事の邪魔すんじゃねえ!」

スキルアウトB「今の俺たちは、性欲よりも食欲なんだよ!」

スキルアウトC「ガキはさっさと帰りやがれ。あっ、もちろん姫神さんはいて下さいね」


姫神「気に入ってもらって。安心した……。改心した?」

「「「もちろん、もう悪いことなんかしません!!」」」

スキルアウトA「だからよ~」

スキルアウトB「もし、店に行った際は」

スキルアウトC「また同じものを食わせてもらっていいか?」

姫神「それは。彼女に許してもらってから考える」
佐天「えっ……、あたし!?」

「「「すんませんしった―――!」」」

佐天「ちょっ、中学生に対して土下座なんてやめて下さいよ!」


スキルアウトA「いや……、そんなわけにはいかねー」

スキルアウトB「オレたちは散々、悪さをしてきたけどよ……」

スキルアウトC「この料理を食って、ようやく俺たちがガキってことがわかったよ」

佐天「わかりました、わかりましたって!!もう気にしてませんから……」

姫神「これにて一件落着」

佐天(本当に料理一つで、事件を解決しちゃった……不思議な人だな)

この物語は、シリアス成分をちょちょいと手を加えてギャグへと料理してしまう少女

定食屋『姫神亭』の店主 姫神秋沙が様々な人たちと出会う物語である

以上です

姫神が料理をしながら、原作を進める物語です

駄レスすいませんでした

もし上条さんが不幸すぎて暗部に落ちてたらって感じの何番煎じif思いついた
結構な量だから時間がある人だけ読んでくれると嬉しい
詰め込みまくってたぶん20レス前後


上条当麻は生まれつき不幸な人間だった。
それもちょっと運が悪い程度のものではなく、とても偶然で片付けるのは無理があるほどだ。

幼稚園に入り物心ついた時にはもう、他の子供達は皆上条を避けていた。
近くに居ると自分まで不幸になる。皆がそう思ったのはおそらく仕方のない事で、別におかしい事ではないのだろう。
加えて上条は不幸そのものとして扱われ、子供達は上条に暴力を振るって傷めつけることで排除しようとした。

子供達は皆、正義は自分達にあると信じて疑わなかった。
憧れの戦隊物ヒーローのように悪を懲らしめているのだと、自分の行為に誇りさえ持っているように思えた。
それは無邪気で純粋な心からくるものだった。

上条を遠ざけたかったのは子供だけではない、その親、大人達までもが上条のことを気味悪がった。
自分の子供が暴力を振るっている事に気付いてもそれを止めず、中にはもっとやるようにとそそのかす者も居たらしい。
誰だって一番大切なのは自分の子供だ。だからこそ、その子供を巻き込む可能性がある上条の存在が気に入らなかったのだろう。

上条の味方は両親だけだった。両親だけはいつでも上条を庇ってくれた。
両親と一緒に暮らす家だけが、この世界で唯一の自分の居場所だった。
上条にとってはただそれだけが救いで、どれだけ辛いことがあっても我慢することができた。

小学校に上がると同時に、学園都市に預けられた。
科学の最先端を行くその街であれば上条の不幸について何か分かるかもしれない。
そして、そういった環境であれば幼稚園の時のような状況にはならないかもしれない。そんな両親の願いがこもった選択だった。

そうやって最後まで上条の事を想ってくれた両親は、ある日突然押しかけてきた男に殺されてしまった。
その男というのは精神を病んでしまった者らしく、噂で聞いたとある不幸な少年に自分の不幸の原因を押し付けて排除しようとしたらしい。
ただ、上条だけは助かった。両親がその身を犠牲にしてでも守ろうとしたからだ。

実はこの話には裏があるのだが、その時は何も気付くことなどできなかった。

ただ、いつも通りの、理不尽で救いようのない、不幸な結果だった。


学園都市に入ってから外みたいな扱いはマシになるかとも思っていたのだが、実際はあまり変わらなかった。
上条の不幸は科学の最先端を行く学園都市にすら解明できずに、周りの子供達はやはり上条を気味悪がって遠ざけたり痛めつけたりした。

ある晴れた日の放課後の事だった。
とある河原、夕陽の光が水面にキラキラと反射して輝くその場所に、自分とクラスメイト達は居た。

別に楽しく遊んでいるわけではない。少なくとも自分は。

「おらよっ!!!」

「ははっ、いいぞいいぞ!!!」

ガッと、鈍い衝撃が後頭部に響く。視界がブレて、前のめりによろける。
ズキズキとした痛みに顔をしかめながら頭を押さえると、ヌルッとした感触が手に伝わってきた。確かめなくても分かる、おそらく出血しているのだろう。
ぼんやりとそんな事を思った次の瞬間には、今度は前方から拳が飛んできて、強烈に顔面を打つ。口の中が切れて、鉄の味がいっぱいに広がる。

どれだけ続いたのだろうか。
自分はただ盗まれた上履きを返してもらおうと、指定された場所まで来ただけなのに。
そこがやけに人気の少ない場所なので嫌な予感はしたのだが、案の定だった。

いつも通りのヒーローごっこ。
誰かを悪者に仕立て上げて、自分の優位性を高め自己満足を得る遊び。

ただ、この日はいつもより相手がしつこかった。

「なぁ、コイツ川に落とさねえ?」

上条はそこで真剣に自分の命の危機を感じた。
それは怖かった。今までどんな扱いを受けてきたとしても、死というものは恐ろしい。
悪役にだって抵抗する権利くらいはあるんじゃないか。

そう思った上条は、自分の服の袖を引っ張っていた者を思い切り突き飛ばした。

ザバン!! という水しぶきと共に、先程まで自分を掴んでいた男の子は川の中へと落ちた。
まだ小学校低学年という事もあって、どうやらまともに泳ぐこともできなくバシャバシャと明らかに溺れている。

「ごぼっ、たす……たすけ……っ!!!」

「う、うわあああああああああああああああああ!!!!!」

他の子供達はパニックを起こし、一斉に逃げ出していく。落ちた子を助けようと思う勇気はなかったらしい。
それは上条も同じで、怖くなって一緒になって走って逃げ出した。大変な事になったのは分かっていた、ただ向き合うのが怖かった。
走って走って走って、溺れる子の声が聞こえなくなるまでとにかく走った。


後になって、その男の子は溺死体となって発見された。



***


隠れ家の天井がぼんやりと目の前に広がる。

「朝…………いや夕方か」

まだぼんやりする頭で上半身を起こすと、窓からはオレンジ色の夕陽の光が差し込んできているのが分かる。
随分とぐっすりと眠り込んでしまったようだ。まぁ、何者かが接近すれば反応するようなセキュリティは仕掛けてあるのだが。
それにしたってこんな状態ではいざという時の対応が遅れる可能性がある。

上条は寝ぐせのついた髪をクシャクシャにしながら、重い腰を上げた。
着ているのはシワがつきまくったワイシャツにスラックス。そういえば、昨日は仕事帰りにそのままベッドに横になったか。
とにかく先にシャワーを浴びようかと、上条は脱衣所へと向かった。

手早く衣服を脱ぎ、浴室へと入り、蛇口をひねって頭からシャワーを浴びる。
濡れた髪が頬に張り付き、口からは自然と溜息がこぼれる。
ザァァ……という音を聞きながら、上条の頭の中では先程までみていた夢が再生されていた。

(……何を今更あんなものを)

振り払うようにブンブンと頭を振ると、水滴が飛び散る。
こんなものは今の内に頭から退かさなければいけない。仕事にまで支障が出たら流石に笑えないからだ。

確かに、人を殺したのはあれが初めてだった。あの後いつまでも震えが止まらなかったのも覚えている。
しかし、だから何だというのだ。
今更、いつ、誰を、どうやって殺したかなんていうものに、何の意味があるのだろうか。


少ししてシャワーから出てきた上条は、カジュアルな服装に着替えると軽い朝食……いや夕食を作る。
リビングに戻るとムワッとした熱気が息苦しかったので、エアコンをつけて部屋を涼しくする。
今は七月に入ったばかり、学園都市的にはそろそろ夏休みかという時期だ。まぁ、その辺りの感覚を上条はもう忘れてしまったのだが。

適当に作ったスクランブルエッグを口に運びながらリモコンでテレビをつけると、薬にも毒にもならない平凡なニュースが流れていた。
最近能力者による犯罪が増えてきているなど、能力レベルが上がるといったウソで金を取る詐欺など。
どれもこれも上条からしてみれば「ふーん」以上の感想を持つ事ができない。

そんな時、ガラステーブルの上に置いたケータイが振動して着信を知らせる。

上条は面倒くさそうにのっそりと手を伸ばして取った。

「もしもし、場所と時間と人物と殺すのか生け捕るのか」

『あはは、お仕事熱心で何よりです。ですが、暗にそれ以外では話したくないと言われているようで少々傷つくのですが』

「あー、今日は暑いな、もう夏だ夏。お前も夏バテとか気を付けろよ。……で、ターゲットの情報は?」

『……いいでしょう。今回のターゲットはレベル3の発火能力者(パイロキネシスト)です。詳細はメールにて』

「りょーかい。なんだ今回はちゃんと能力とか調べついてんのか。いつもそれで頼むぜ」

『そう簡単にはいきませんよ。相手側も裏に関わっている場合などは、そういった情報も中々出て来ません』

「って事は一般人なのそいつ? 何やらかしたのか知らねえけど、それって警備員(アンチスキル)の管轄じゃね?」

『確かに彼自身はそこら辺のチンピラと変わりありません。ただ、少々マズイものを見られまして』

「なるほどね、不幸なやつだ。けどよー、それくらい俺を呼ばなくていいだろうに。
 いくら俺が対能力者に特化してるっつっても、レベル3くらいなら適当に駒集めて攻めりゃどうにでもなんだろ」

『その辺りの事情はメールの方で確認をお願いします。色々と複雑な問題も絡んでいる可能性もあるのですよ』

「……なーんか面倒くさそうだなオイ。俺昨日も仕事したばっかだぜ? ブラック過ぎんだろちょっとさー」

『まぁまぁそう言わずに。報酬に少し色を付けておきますから』

「はぁ……金があっても使う暇がなきゃな。いいよいいよ、分かりました。働きますよーっと。別に嫌いじゃねえし仕事」

『ありがとうございます。それでは、必要ないでしょうがご武運を』

ピッという音と共に通話が切れると、上条はすぐにメールを確認する。
そこにはターゲットの特徴や出没場所が細かく図付きで載っており、思わず感心して小さく口笛を吹く。
相手も大した事ないようなので、これは楽な仕事になりそうだ。

しかし、気になることがないわけではない。


資料を読む限り、このターゲットの男は学校の身体検査(システムスキャン)ではレベル2からレベル3への壁を破れずに不登校になってしまったらしい。
レベル0の上条からしてみれば贅沢過ぎる悩みで何を甘えているのかと言いたくもなるのだが、重要なのはそこではない。
ターゲットの能力レベルについては最初のプロフィールにハッキリと書かれていた。「レベル3:発火能力(パイロキネシス)」と。

つまりは、不登校になってから能力レベルが上昇したという事になる。

(そんな事あるのか……? いや、演算能力はともかく、自分だけの現実《パーソナルリアリティ》なら学校行かなくても何かのきっかけで強化されたり……)

こういった部分はレベル0であるがゆえに上手く想像はできないが、珍しいという事くらいは分かる。
資料には今世間で噂になっているレベルを上げるアイテムが関わっているという可能性も考えて、その辺りを聞き出すようにという指令が書いてあった。
そして、聞きたいことを聞き出せたら即刻処分するように、とも。

本来、そういった情報を取り出す仕事は精神系統の能力者が適任であるように思える。
ただ、今回は関わっているモノがモノだ。にわかには信じられないが、レベルが上がるなんていう代物の情報を能力者が手に入れたら、きっとろくな事にならない。
だからこそ、無能力者である上条があてがわれたというのもあるのだろう。元々レベル0であるので、例え上がったとしても大した変化はない。

ちなみに、余計な情報を手に入れた人間を殺せ、というのも精神系統の能力が関係している。
記憶を消すという方法も取れなくはないのだが、それでは他の精神系統能力者に解析される可能性を残すことになる。
表で生きる一般人を消すのは色々と問題が多いので避けるのだが、裏の人間やスキルアウトなどに関してはそういった配慮がなされる事は滅多にない。

「まっ……ちゃっちゃと済ませますか」

サラリーマンのスーツのように、上条にも仕事着がある。といっても、ワイシャツと黒のスラックスなのだが。
ただ、耐久性は申し分なく、衝撃を受け流すという学園都市ならではのトンデモ素材であったりする。
無能力者がこういった世界で生きていくには、自分自身の肉体もそうだが、装備というのも重要なのだ。

もちろん、初めはこんな高等なものなど与えられずに、一発撃たれたらそれまでという状態で何度も死線をくぐり抜けてきた。
そうやって仕事をこなしていく内に装備も充実していったというわけだ。まるでRPGのようだ。ロケットランチャーという意味ではなく。

まぁ、今の装備であれば普通の銃では貫通する事も難しく、撃たれても少々……いや、かなり痛いだけだ。
それでも、上条は普段の仕事で弾をもらう事など滅多にない。丈夫な服があれば撃たれてもいいという事にはならない。
服で隠れている部分はいいのかもしれないが、頭なんかにもらえば一発で終わりである事に変わりはないのだ。

ワイシャツの上に少し大きめの黒のジャケットを羽織る。
黒のスラックスにこれは組み合わせとしてどうかとも思うが、特に見た目を気にする必要もない。
それよりもこの時期だと暑さのほうが気になるが、このジャケットは銃の収納関係の面で優れているので重宝している。

着替え終わった上条は、銃やらナイフやらを状態を確認しつつ服の中に仕込んでいく。
あまり入れすぎると動きづらくなるので、その辺りもバランスが重要だ。

最後に、一番良く使う一番ゴツい銃の点検をする。
演算銃器(スマートウェポン)というものを自分で改良したもので、上条自身の思考パターンを読んで好きな系統の火薬や弾頭を自動で組み込んでくれるものだ。
まぁこんなものは技術開発部の方に任せておけばいいと最初は思っていたのだが、できて損はないとある男に言われた事から一応技術として身につけた。

上条は演算銃器(スマートウェポン)を左手で構える。
銃口の先にあるのは、飲み終わったコーヒーの缶だ。

(エアガン。片側貫通)

パァン! という軽い音と共に、コーヒーの缶が撃ち抜かれた。
しかし、弾は反対側から抜けることはなく、カランという音と一緒に缶の中へと落ちる。

「オッケー、と」

上条は小さく呟くと、それもジャケットの中へとしまい込んだ。
日はもう大分傾き、空の色はオレンジから茜色へと変わっていくところだった。

もう少しで、夜がやってくる。



***



ありきたりな光景だった。

暗い路地裏。前方にはターゲットが居て、上条は真っ直ぐ銃を突きつけている。
あれだけ情報があったので、ターゲットを見つけて追い込む事くらいは簡単だった。
そしてその相手はというと、

「動くんじゃねえぞ!! コイツの顔燃やしてやるぞ!!!」

「離して……離してよっ!!!」

何故か人質と見られる中学生くらいの黒髪ロングの女の子を掴んで、その掌を真っ直ぐ彼女の顔へと向けていた。


上条は溜息をつく。
こういった状況は何度か見てきたわけだが、まさかこんな時間にこんな場所にノコノコとやってくる少女が居るとは思わなかった。
実は少女もターゲットの仲間で、元からこういう作戦なのかとも考えるくらいだ。だとしたら、どちらも演技は大したものだ。

とにかく、上条は手にした銃を下ろすことはない。

その様子を見た男は顔を引きつらせて、滝のように汗を流している。

「お、おい……お前聞こえてんのか……? 俺はレベル3だぞ!! その気になればこんな女、すぐに消し炭にできるんだ!! 分かったら銃を捨てろ!!!」

「だからやめてよ卑怯者!!」

「なんだとコラァァ!!! テメェ口には気を付けろよ!!!」

「……盛り上がってる所悪いんだけどさ。何言ってんのお前?」

「は……?」

上条が首を傾げてそう言うと、男も少女もポカンとした様子でこちらを見つめるしかない。
この状況でなぜそんなセリフが出てくるのか、少しも理解できていないようだ。

「お前がレベル3で、その気になればその子を燃やし尽くせるって事くらいは分かってる。けどよ、何でそこから俺が銃を下ろすことに繋がるんだ?」

「……おい待てよテメェ。コイツがどうなっても」

「やれよ」

「ッ!!」

「どうした、早くやれよ。人質がいなくなったその時がお前の最後だ」

「えっ……うそ……そ、んな……」

男も少女も、上条の言葉に絶望の表情を浮かべる。
それもそうだろう、このままでは二人共先はない。生き残るのは上条だけだ。

上条はあくまで調子を変えずに淡々と告げる。

「おい俺は仕事はさっさと終わらせて帰りたいタイプなんだよ、みんなそうなんだろうけどさ。
 お前らだってこんなろくでもねえ状況、いつまでも続けたくないだろ? だから、さっさと決めてくれよ。早くしねーと、俺がこのまま撃っちまうぞ?」

「な、なによ……あたしには決定権も何もないじゃない……!!」

「あー、それもそうだな。どっち道あんたも俺に撃たれるか、そっちの男に燃やされるかだ。
 同情はするが、諦めてくれ。俺だって極力一般人は巻き込みたくねえ、色々面倒だしな。けど、わざわざこんな所に飛び込んできたのはあんただ」

「……あたしはやらなくちゃいけない事があるの! こんな所で…………」

「知らねーよあんたの事情なんかさ。つーか志半ばで死んじまうなんていうのは世の中珍しくないだろうに。
 やり残したことを作らずに人生の幕を閉じる人間なんていうのは本当に一握りだ。結局は死ぬのが早いか遅いかの…………って何語ってんだ俺」

上条は空いた右手で頭をかくと、目を細めて相手を見る。
その目に、男は体全体をビクッと震わせた。

「本気かよ……テメェ、マジで……!!」


ドンッ!! という銃声に男の声はかき消される。


「ごァァあああああああああああああああああああああああ!!!!!」


路地裏に絶叫が響き渡る。ボトボトと、決して少なくない量の血液が地面に広がる。
男はあまりの激痛に少女を離し、両膝をついて苦しんでいた。

そして、苦痛の声は一人分しかない。

「あなたは…………」

「怪我してねえならさっさとどいてくれ」

上条は呆然と立ち尽くす少女を押しのける。
この少女の目が気に入らなかった。上条が引き金を引くその瞬間の目、そして今現在の目。そのどちらもが。
具体的にどこが、とは言えない。


上条は今や汚い地面でのたうち回っている男の近くへと歩いて行く。
念の為逃げられないように両足を撃ち抜くと、更に大きな騒音が辺りに広がった。

「がっ……ぁ……な、んで……!!」

「こいつはかなり特殊な銃でな。さっきのはお前の耳の横から背後に弾を飛ばした後、弾に込められた超高密度圧搾空気で軌道修正して後ろから撃ち抜いたってわけだ。
 要はブーメランみたいなもんだな。この時代、例え鉄砲玉でも返ってくるらしい」

上条は面倒くさそうに説明すると、男の襟首を持って無理矢理上半身を起こし、その額に銃を突きつける。
案の定、男の顔からは脂汗が吹き出し、

「ひっ!!」

「じゃあ次は俺から質問だ。お前は急にレベルが上がったみたいだが、何か裏ワザでもあるのか?」

「こ、これだ!! この幻想御手(レベルアッパー)を使ったんだ!!」

尋問もクソもない。男はあまりにもあっさりと白状した。

そして取り出したのは、何の変哲もない音楽プレーヤーだった。
上条はそれを見て眉をひそめる。
これは苦し紛れの言い訳なのだろうか。しかし、見た感じこの男に自分の命と天秤にかけて傾くようなものなどないように思える。

それならば、本当にこんなものがレベルの上がるアイテムだというのか。

「……一応言っとくが、ウソついても何の得にもならねえぞ」

「本当だ!! こんな状況でウソなんかつかねえよ、信じてくれ!!!」

男のその言葉には上条も頷けるのだが、それにしたって現実味が薄い。
本来能力開発というものは様々な薬品や電極によって、五感全てに働きかけて行うものであり、こんな音楽一つでどうにかなるものでもないからだ。
ただ、その辺りを考える必用があるのは上条ではないのかもしれない。とにかく、男が持っている情報は手に入れた。それでいいだろう。

上条はここで初めて口元を緩める。

「分かった、信じてやるよ。すぐ話してくれてサンキューな」

「あ、あぁ……それじゃ」

ドンッ!! と銃声が鳴り響いた。
上条の左手にある銃から発射された弾は、そのまま真っ直ぐ突き進んで男の額の真ん中を撃ち抜く。

ただし、同時に脳が飛び散るような事にはならない。
本当に洗練された威力というものは無駄な破壊を行わずに、適切に生命活動を停止させる破壊だけを行う。

バタッと男の体が力なく倒れる。
ゴボゴボと血が次々と流れだして、その周りに広がっていく。

「あ…………あ…………」

「ん、なんだまだ居たのかお前」

上条が振り返ると、そこには先程の少女が目を見開いてひたすら震えていた。
無理もない。彼女くらいの年の女の子が目の前で人が殺される所を見たのだ。耐性がなければショックは甚大だ。
まぁ、そういった耐性があるというのは何の自慢にもならず、むしろ惨めなものではあるのだが。

少女はそれでも何とか頑張って口を開く。

「どうして……こ、殺したの…………?」

「仕事だからだ」

「それ……だけ?」

「あぁ、それだけだ」

上条はそう答えると、さっさと報告に行く事にする。
いつもよりも楽な仕事だった、感想はそのくらいしかない。
ターゲットがどんな人物なのか、善人か悪人か。そんなものは関係ない。

居場所のない上条にとっては、こうして誰かに何かを頼まれ必要とされる事だけが存在意義に等しかった。

仕事は疲れるが、そこまで嫌いではない。
響き渡る銃声、硝煙の匂い、人の悲鳴。それらは上条に生きていると実感させてくれる。


そんな少年の前に、表で幸せに生き続けてきた少女が立ちふさがる。

「……まだ何かあるのか?」

「あ、あたし、やることがあるって言ったよね。それ、なの。その幻想御手(レベルアッパー)を探してたの」

「悪いが、渡すことはできない。別に俺にとっては価値の無いものだが、これも仕事だからな」

「……あたしの友達が同じものを使ったみたいなの」

「へぇ、それで羨ましくなって自分も欲しいってか?」

「違う!!!」

少女の必死な剣幕に、上条は黙りこむ。
押されたわけではない。普通の女子中学生に凄まれたくらいで押されていては、この世界ではどれだけ命があっても足りない。

ただ、この様子だと素直には退いてもらえないと踏んで、どうしようかと考えていた。
相手が同じような裏の人間だったなら問答無用に頭か心臓を撃ち抜いて終わらせるところだが、一般人相手にそれはマズイ。

それならもう逃げるしかないだろう。

「あたしの友達がそれを使ったみたいなの! それで……みんな意識不明になっちゃって……っ!!」

「……ん?」

上条の思考が一瞬止まる。先程まで考えていた、逃げるという選択肢が一旦遠のく。

「これを使ったのか? それで意識不明になった?」

「本当にそれかどうかは分からないけど……レベルアッパーが原因なのは間違いないと思う。
 あたしも誘われて使おうかとも思ったんだけど、風紀委員(ジャッジメント)の友達に止められて。それで……最近急にみんな……!!」

「じゃあそのレベルアッパーの事を風紀委員に伝えれば良かったじゃねえか」

「伝えたよ。その友達は信じてくれたけど、他の人達は……。やっぱり現物なしにそんな確証のない事を言ってもダメなの」

「ふーん、だからこいつが必要ってわけか」

上条は音楽プレーヤーを片手でポンポンと投げながら、じっと少女を見る。
嘘をついている可能性はある。ただ単に能力レベルを上げたいが為にレベルアッパーが欲しいのかもしれない。

しかし、今の流れでは彼女は風紀委員にレベルアッパーを届けなくてはいけない。
もしここで上条が彼女に預けずに自分で持って行くと言ったらどうするつもりなのだろうか。
そこまで考えていないという可能性もあるにはあるが、流石にそこまで単純なミスを犯すだろうか。

それに、これは不確実な自分の勘でしかないのだが、彼女の様子を見る限りは本当の事を言っているように思えた。

まぁいずれにせよ、答えは変わらない。

「お前の事情は分かった、けどこいつは渡せねえな」

「……じゃあ警備員(アンチスキル)に届けてよ!」

「それもダメだ。言っただろ、仕事だって。分かってるとは思うが、俺は風紀委員なんかじゃねえ。
 この街でどこの誰が倒れて意識不明なったっていうのも興味がねえ。誰が正しくて誰が間違っているのかっていうのもどうでもいい」

「そんな……っ!!!」

「お前がこいつを手に入れる方法は二つだ。一つは俺が持ってるこれは諦めて、別のものを探す。
 音楽データがレベルアッパーの正体だって分かったなら、その倒れた友達の家とか漁れば出てくるんじゃねえの? まぁ俺が黒幕ならとっくに処分してるけどな」

「じゃあもう一つは!?」

その言葉を受けると同時に、上条は手に持った銃を少女に向けた。

「俺を殺して奪う、だ。可能性は限りなくゼロに近いと思うが、やってみる価値があると思うのなら好きにすればいい」

「…………」

「……おい何だよその目。って何近づいて来てんだ?」

少女のその行動は上条にとって予想外だった。
こうすれば彼女は大人しく他のレベルアッパーを探しに行くと思っていた。

しかし現実、彼女はじっとこちらの目を見つめて、ゆっくりと、だが確実にこちらに歩いてきていた。
先程上条が人を撃ち殺す所を目撃したはずなのに。今まさにその銃を真っ直ぐ向けられているというのに。
彼女の足取りには少しの迷いも見えない。


上条はすぐに口を開く。自分でも少し動揺しているのが分かった。

「待てって。お前何考えてんだよこの銃はオモチャじゃねえ、撃たれたら死んじまう。そのくらい中学生にだって分かんだろ?」

「……弾が出てこないならオモチャと変わらない」

「出ただろ確かに。お前も見てただろ」

「出ないよ」

「お前一体何を――」


「あなたはあたしを撃てない」


少女に銃口を掴まれ、無理矢理下ろされた。
まるで聞き分けの無い子供に対するように、静かに、ゆっくりと。

上条は目を見開く。
銃を突きつけられているのに真っ直ぐ向かってくる。表で生きる普通の中学生の少女にそんな真似ができるはずない。
それでは実はこの少女は裏の人間なのかと言えば、すぐに頭を振るしかない。

少女はじっとこちらの目を見つめている。
その目は心の奥まで見透かすような透明な色で、ここまで真っ直ぐ自分と向き合った者などいつ以来だろうとも思った。


その時。


「あァ? なンなンですかァ、この状況はァ」


新たな人の声。

上条はすぐにそちらへ振り返り、銃を向けた。
今日は何かと邪魔が入る日だ、といつも以上の不幸に小さく溜息もつく。

そこに居たのは、暗い路地裏ではよく目立つ白髪に不気味なほど真っ赤な目をした細身の少年だった。
上条は直感する。この男はどう見ても表の人間ではない。
銃を向けられても微動だにしない者は今日でもう二人目だが、こちらは撃たれないと思っているからではなく、銃に対して脅威を抱いていないからだ。

白髪の男は足元に転がった死体を軽く蹴って、

「こりゃ死体か? オイオイ、人がレベル上げの為に頑張ってンだから、妙な事して邪魔してンじゃねェよ」

「レベル上げ……?」

思わず小声で繰り返す。
少し視線をずらしてみると、少女の方も何かを伺う様子で白髪の男の方を見ている。

レベルアッパーと呼ばれるアイテムは今しがた手に入れたばかりだ。
そんな時、「レベル上げ」という単語を口にしながら新たな人間が現れた。その二つを関連付けるのは至極当然な流れだろう。

これはどうするべきか、と少し考える上条。
仕事内容的には今手に持っている音楽プレーヤーを渡せばそれで済むのかもしれない。
ただし、依頼主が欲しいものは確実な情報だ。もしこの音楽プレーヤーがダミーだった場合、仕事を完遂したとは言い切れない。

上条は小さく舌打ちをすると、

「おいレベル上げってのはどういう意味だ?」

「あァ? そのまンまの意味だ。俺は最強のその先、無敵へと辿り着く。もう誰も挑もうとする気すら起きねェ程の無敵の存在になァ」

「会話が成り立たねえな。だから――」

「気付けよ、詳しいことは何も話す気はねェって事だ。さっさと失せろ」

白髪の少年は薄く口元を伸ばして、嫌な感じの笑みを浮かべる。

何となくは予想できていた。この男はそう簡単に言いなりになる程簡単じゃない。
だから、上条はその言葉を聞いた瞬間、迷いなく引き金にかけた指の力を強める。

一般人相手には使えない方法だが、この相手は違う。
それならば普段と同じような、無慈悲で残酷な方法を用いることもできる。

「悪いが、俺もそう簡単には引けねえ。言う気がねえってんなら、それ相応の手段をとらせてもらうぞ」

「……ハハッ、おもしれェ!! やってみろよ格下ァァ!!」


白髪の少年は笑みを崩さず、それどころかより一層楽しげに両手を広げた。
どう見ても隙だらけであり、普段なら問答無用に発砲して動きを封じるところではあるのだが、そう簡単にもいかない。

相手が本当に何も判断できないような状態であれば、このまま撃っても良かっただろう。
だが、上条はそんな可能性に賭ける気など起きない。もっと、より現実的な可能性を考えたほうが利口だ。
銃を突きつけられても余裕を崩さない理由。まず一番単純でありそうなもの。

相手は、銃で撃たれても平気な能力を持っている。

当然、能力以外でも銃を防ぐ事はできる。
現に上条自身もこの装備によって普通の銃撃であればダメージは受けるにしても、そこまで深刻な事にはならない。
しかし相手の「レベル上げ」という単語を聞く辺り、防御手段は能力であると考えた方がいいのかもしれない。

多くの学生が居て多くの能力が存在するこの学園都市でも、銃で撃たれても平気だという能力者は少ない。
だが、確かに存在しているという事も上条は知っていた。以前一人だけ、そんな能力者を見た事がある。

といっても、無敵の能力者なんていうのはいない。
銃が効かないのであればそれには理屈があり、同時に突破口も確実に存在する。
能力者との戦闘では、そういった能力の弱点などを見極めながら行うというのが基本だ。

銃が効かない能力者と戦う時に注意しなければいけないのは、その事実よりもその後の反応だ。
何も知らない状態で相手の左胸に弾が当たれば、当然そこで終わったと考える。そしてそれが大きな隙となって返ってくる。
一瞬の隙、この世界ではそれが命を左右する。だからこそ常に様々な事を想定して予想外の状況というのを潰していく。

その点で言えば、こうして銃が効かないんじゃないかという予想ができている時点で、状況としては悪くはない。
むしろ、相手が最初からこちらの隙を突くつもりであるならば、有利に運べるとも言える。驚くだろうと思っていた相手が驚かなかった場合、逆に自分のほうが驚いてしまう事もある。

そう考えれば、このまま引き金を引くという選択もアリだと言える。
おそらくそれでは仕留めることはできないだろうが、こちらが驚いているフリをして、その隙を突きにきた相手の隙を突く。
問題はある。例えば銃が効かないのであれば、他の打撃や斬撃も効かないであろう事。それならばどんな攻撃ならば通用するのか。

上条はここで一瞬自分の右手を見る。


どんな能力者にでも確実にダメージを与えられる武器は持っている。


しかし、すぐに考えなおす。
これは使い勝手がかなり悪い。それに何度も通用するものではなく、一度警戒されたら厳しい事になる。
冷静に考えれば、ある程度相手の動きを見て、もっと能力に関する情報を集めた方がいいのだろう。

「なンだ来ねェのかァ? 別に俺はオマエらがここから離れれば後はどうでもいいンだがなァ」

「だからそれはできねえって言ってんだろうが」

「ククッ、なら……こっちから行ってやろうか?」

上条は素早く少女の方に目を向ける。

この場で相手の攻撃を捌いて観察するにしても、近くに一般人の少女が居る状況というのは簡単ではない。
銃が効かないのであれば相手は高位能力者である可能性が高く、そんな相手との戦闘で周りへの被害を考えられるほどの余裕などない。

もちろん、一般人を死なせた場合揉み消しが面倒で、上からペナルティがあるというのも、彼女を巻き込みたくない理由の一つだ。
しかし今の上条にはそれ以外に一つ、彼女のことでハッキリさせたい事もあった。

(……仕方ねえな)

覚悟を決める。
できるだけ戦闘を長引かせない様に、すぐに終わらせる。
そう判断すると、引き金にかかっていた上条の指に力が込められた。


瞬間、ドンッ!! と鳴り響く銃声。


「がっ……!!!」


視界が急激にブレる。
胸の辺りに強烈な衝撃が叩きこまれ、息が一瞬止まる。
同時に足が地面を離れ、後ろへ吹き飛ばされているという事実に気付く。

苦痛の声を漏らしたのは上条の方だった。
相手に銃撃が効かないのは予想していた。しかし、引き金を引いた自分の方が吹き飛ばされるとは思わなかった。

上条はフワッとした浮遊感と、胸から広がる激痛に顔をしかめながら、何とか空中で体勢を整えて両足から地面に着地した。


「ぐぅ……ぁ…………」

「え、な、何……が……」

胸を抑えて苦痛の表情を浮かべる上条に、呆然と目の前の光景を見ている少女。

上条が胸に当てた手を離してみると、その上には弾が乗っていた。
今しがた自分が目の前の男に向けて撃ったものだ。

それは、つまり。

(俺が撃った弾が跳ね返ってきた……?)

こうしている間も、僅かに身じろぐ度に胸に激痛が走る。これは肋骨の何本かにヒビくらい入ったかもしれない。
大抵の銃であればそこまでのダメージを受けないこの装備だが、上条の持つ演算銃器(スマートウェポン)の銃撃には耐え切れないらしい。
まぁ、弾が体を貫通しないだけマシなのだろうが。

一方で、白髪の少年は楽しげに笑っていた。

「おっ? なンだなンだ、死ンでねェのか! いいね、いいねェ!! 根性見せろ、せいぜい俺を楽しませろ格下ァァ!!」

「ッ!!」

男が足元の小石を蹴り飛ばした瞬間、上条はすぐにその場を離れる。

ズガン!! と辺りを震わせる程の轟音が響き渡った。

通り過ぎたのはオレンジ色の閃光。
凄まじい速さで蹴り出された小石は空気抵抗による摩擦熱ですぐに燃え尽き、まるでレーザー兵器であるかのような形相を呈す。

そんな現実離れした光景を目にして、上条はとにかく必死に頭を回転させる。

(レベル5クラスの能力者か……? 落ち着け、レベル5と戦った事はあるだろうが)

「ハハッ、やるじゃねェか!! よく粘ってる方だぜオマエ!!!」

今度は凄まじいスピードでこちらに突っ込み、腕を伸ばしてくる白髪の男。
速さはともかく、その動きは素人丸出しではあるのだが、相手の能力が分からない限り少しの油断もできない。
高位の能力者に関しては、触れられた瞬間に勝負が決まるような能力も珍しいものではない。

上条は胸の激痛に顔をしかめながら強く思い込む。

(発条包帯《ハードテーピング》――――脚部解放)

白髪の男の両腕は虚しく空を切った。

ダンッ!! という強い踏み込みと共に、上条は一回のジャンプで男の頭上を飛び越す。
そして空中で素早くナイフを取り出すと、ガラ空きのその背中に向かって投げつけた。

キィィン!! という甲高い音と共に、ナイフは弾かれて高速で回転しながら投げた本人へと飛んでいく。

「ちっ!」

上条はすぐに左手の銃身でナイフを防ぎ、地面に着地すると同時に後ろへ飛び退く。
白髪の男は素早く振り返って、その後を追った。赤い瞳が狩りをする肉食動物のように鋭く光る。
口元は大きく横へ裂かれ、嗜虐のこもった笑みを浮かべていた。

「ハッ……ハハハッ!!! オマエいいよ、あンな人形共なンかよりずっとまともに俺の敵やってンじゃねェかァ!!!」

「ぐっ……コイツ……!!」

上条は顔をしかめながら、伸びてくる手に対して体をひねって連続で避けていく。
脚部に仕込んである発条包帯(ハードテーピング)により身体能力の底上げはできているが、それでも長く使っていられるような便利な代物ではない。
今この瞬間にも無理な動きによって筋肉が悲鳴をあげており、何かの拍子に動かなくなってもおかしくない状況だ。

とにかく、相手へ攻撃が通らないことには話にならない。

(意識の外からの攻撃も無効……って事は自動防御タイプってわけだ。肝心の能力は……)

飛び道具を跳ね返す。それだけを考えれば念動力という可能性もありえる。
例えば念動力者に石を投げつけた場合、空中でその制御を奪われて逆に跳ね返されるという事もある。
もしもそれが銃弾にも適用出来るのであれば、最初の一撃も説明できそうではある。当然、レベル5クラスの力が必要にはなるだろうが。

しかし、念動力では不可解な点もある。それは相手の動きだ。
本当に念動力者であるのならわざわざ近付く必要性などない。まぁその辺りは相手が楽しんでいるという点からまともな考えが通用しない可能性もある。
触れることが出来れば勝負を決められるような節もあるが、それは触れることで分子結合レベルで干渉する事ができるのかもしれない。


(……ただ、念動力なら一番扱いやすいのは変形が少ない固体だ。それなら)

上条は再び足に力を込め、左手にある壁へとジャンプする。
そのままトントンッと左の壁、右の壁、と蹴って白髪の男の背後へ回ると、真っ直ぐ銃を突きつけ引き金を引いた。

銃口から出てきたのは、ボッ!! という音と広範囲に広がるオレンジ色の炎だった。

炎は暗い路地裏を照らし、白髪の男を丸ごと飲み込んだ。
例の少女は今上条から見て後ろの方にいる。この展開の連続に頭が追いついていない様子だが、それはどうでもいい。

念動力タイプであるのなら、炎のような変形しやすいものをこれだけの範囲で操作するのは難しいはずだ。
同じ念動力系の水流操作(ハイドロハンド)のように液体を操作する能力者の場合、計算方法が異なるのか固体に対しては能力を使うことができない。
その両方を高いレベルでこなす事など、例えレベル5でも難しい。

――そう判断したのだが。


「……なンか苦しいなオイ。あァ、そっかそっかァ、こんだけ燃えりゃ酸素が薄くなるのも当然ってわけか。
 って事は何だ。オマエってこの俺にダメージを与えた最初で最後の人間になるンじゃねェの? ハハッ、良かったじゃねェか、これで地獄で自慢できるぞ」


「なに、アレ……一体どんな能力使えばあんな事……!!」

後ろから聞こえてくる少女の震えた声。
気持ちは分からなくもない。今まで様々な能力者を見てきた上条も、ここまでデタラメな能力者は見たことがなかった。
しかし、泣き言を言っている暇はない。

上条はグッと右拳を握りしめる。
もう使うしかない。これは本来は防御用ではあるのだが、そんな事を言ってられる状況ではない。
能力者に対して絶対的な攻撃力を持つこの右手に賭ける、それが今上条が選択できる最も可能性が高い手段だ。

ドンッ!! と地面のコンクリートを踏み砕き、今しがた炎の中から出てきたばかりの男へと突っ込む。
ビキキッと足の筋肉が嫌な音を発するが、気にしている場合ではない。
耳元ではビュゥ!! と空気を切る音が響く。ドクンドクンと心臓の鼓動が早くなっていくのを感じる。

相手まで後数歩。生と死の間にいる感覚。上条の瞳が不自然に揺れる。

白髪の男は右足を上げ、地面を踏み込んだ。

「ッ!!!」

直後、コンクリートが砕け散り、まるで散弾銃のように指向性を持って上条へと撒き散らされていく。
狭い路地裏、逃げ道は一つしかない。上条はすぐに上に飛んで、男の頭上を越す。

しかし、これは予想していたのだろう、白髪の男はそれを見てすぐに今度は左足を大きく上げた。

「芸がねェ奴だなオイ!!!」

その左足が地面を踏み込んだ瞬間、男を中心とした地面のコンクリートが一斉に上空へと打ち上げられた。

だが、上条にとってこれは予想外の攻撃ではない。空中へと逃げるからには、その後考えられる追撃くらいは想定している。
男の攻撃が来る前、上条は左手の銃から強力な弾を前方へ二、三発撃ち、その反動で僅かに空中を移動する。
上空への全方位攻撃……そう見えても安全地帯はある。男の真上だ。

「ぐっ!!!」

ガガッと、コンクリート片のいくつかが上条の腕を打つ。
何とか男の真上までは移動できたが、それでも完全に攻撃をかわせるわけでもない。
ただ、上条にとっては服で守られていない首から上を守れるだけで十分だった。

ダンッ!! と上条は男のすぐ近くに着地する。
同時に、右拳を握りしめた。

「ハハッ!!!」

男はすぐに腕を伸ばしてくる。
しかし、この程度は上条も体をひねる事で簡単にかわす事ができる。

そして。

(発条包帯《ハードテーピング》――――腕部解放)

カウンターで上条の右腕が飛ぶ。
まともに入れば人間の頭を吹き飛ばすほどの、強力な一撃。

しかし。


「ぐぅぁっ!!!」

強烈な激痛が胸に広がる。
相手の攻撃をもらったわけではない。発条包帯(ハードテーピング)による負荷によって、最初に受けた胸へのダメージに響いたのだ。

当然、動きも鈍る。
その隙を、相手は見逃さない。

「オイオイ、流石にぶっ壊れちまったかァァ!?」

男は上条の襟首を掴むと、思い切り横の壁へと投げ捨てた。
壁にぶつかると、まるでトラックに激突されたかのような衝撃が全身を襲った。視界が一瞬大きくブレて、意識が飛びそうになる。
尋常な勢いではない。もし普段着だったら、これだけで致命傷になっていただろう。

「ごはっ!!! がぁ……!!」

「休んでる暇なンかねェぞ!!!」

ズガン!! という轟音を聞いた時は遅かった。

おそらくまた石を蹴り飛ばしたのだろう。
一度見たオレンジ色の閃光は真っ直ぐ飛んでいき、動けない上条の腹部を撃ち抜いた。

「ぐっ……ぁぁ……あああああああああああああああああ!!!!!」

ブシャァァ!!! と凄まじい量の血が噴き出る。
身を焼かれるような激痛に視界が急激に点滅し、少しでも気を抜けばそのまま死へと引きずり込まれそうだ。

大抵の銃弾なら受け止める装備も、ここまで常識外な攻撃に対しては全くの無力。
それを腹の風穴がハッキリと見せつけていた。

ピクリとも動けなくなった上条に、白髪の男はゆっくりと歩み寄ってくる。
その足音は自分の死へのカウントダウンのように聞こえた。

「あーあー、流石に終わりか。まァ、よく頑張ったンじゃねェの? 殺すのが惜しいくらいだ」

「…………」

「くははっ、なンだその目。もしかしてオマエ、本気で俺に勝てるつもりだった? 分かってねェ、全然分かってねェなァ。
 なァ、人間ってのは脆い生き物だ。階段から落ちただけで打ちどころが悪けりゃ死ンじまう。そンな生物がこンだけ地球で幅きかせてる理由はなンだ?」

男の声がやけに遠くに聞こえる。
激痛と出血で視界がぼやける中、上条は必死にここからの打開策を考える。男の話など聞いている余裕はない。

だが相手のほうは初めから上条の反応など期待していないのか、お構いなしに話し続ける。

「答えはもちろン頭脳……そして、そこから生み出される武器だ。人間は正面からゴリラと向き合ったら勝てねェ。だから頭を使って遠距離から銃弾をブチ込む。
 ここで問題です。それでは人間以上に頭が良く、加えて現代の武器が一切効かねェ化物相手に、オマエらはどうやって勝つ?」

男の腕が上条に向かって伸ばされる。
おそらく、その手が触れた瞬間、上条はその悲惨だった人生の幕を閉じる事になるのだろう。
一瞬、もうそれでいいか、という考えが頭をよぎる。どうせこれから生き続けても変わらず人を殺し続けていくのだろう。

しかし。


『生きろよ、カミやん。今までクソみたいな人生だったとしても、俺達はほんの十数年しか生きていない。この世全てに絶望するには、まだまだ早すぎると思うぜい』


とある男の言葉が思い出された。

懐かしい、と思った。
いつからだったか、もう思い返す事もしなくなっていた。
昔はその声をかき消すために、誰かを殺して殺して、殺しまくる必要があったというのに。

だが、こうして今でもまだ鮮明に思い出せる事を知って、なぜか口元が緩んだ。

「あァ? なンだ頭イッちまったのか? これから死ぬってのに何笑ってやがる」

「……はぁ。ったく、あのヤロウ」

ガシッと、上条は右手で白髪の男の手首を握った。
あれだけの力を持っているにも関わらず、その手首は驚くほど細いものだった。

だから。


そのまま握り潰し、骨を砕くことも容易だった。



「は…………がっ、ごァァあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


ここで初めて、白髪の男は苦痛のこもった大声を上げた。
そして直後、上条の腹に向かって一度だけ強烈な蹴りを叩きこんだ。

「ぐぁぁっ!!!!!」

「ハァ……ハァ……ッ!!!」

上条の口から血がこぼれ、白髪の男の手首を掴む力が緩む。
その瞬間男は思い切りその手を振り払って、ジリジリと後ずさりをした。

男の顔にはずっと貼り付いていた余裕が消えている。
激痛に顔をしかめ、この事実を信じられないといった目で上条を見ていた。

「オマエ……何を……何をしやがった!!!」

「答える……義理は、ねえよ」

息も絶え絶えに、上条は何とか体を動かそうとする。
ここにきてようやくダメージを与えることはできたが、決定打にはならない。
とにかく、少しでも動かないことには状況の打開には繋がらない。

しかしそんな上条の気持ちとは裏腹に、体の方は僅かにしか動いてくれない。

「くっ、そ……!」

「殺す!!! 今すぐ殺してやる!!!」

男が足元の石を蹴り飛ばそうと足を上げる。
また、あのレーザーまがいの攻撃が来る。それが分かっていても上条はまともに動く事ができない。

その時。


「やめて!!!」


今度は上条も男も、目を見開いて動きを止めた。

例の長い黒髪の少女。
彼女が、上条と男の間に入って両腕を広げて立ちふさがっていた。

白髪の男は上げていた足を下ろす。
心の底から理解できないといった、怪訝そうな表情を浮かべている。

「……オマエは一般人だろうが。何そいつを庇ってやがる」

上条もその男と同じ意見だった。

彼女に上条を庇う理由などない。
むしろこのまま上条が死ねば、本来の目的であるレベルアッパーだって手に入るはずだ。
大人しくしていれば危害は加えられない。それは彼女にだって分かっているはずなのに。

少女は震えた声で、

「し、知らない……でも、この人を殺しちゃダメ……!」

「……ちっ、付き合ってらンねェな」

白髪の男は一歩踏み出す。
元々、彼女が立ちふさがろうが関係ないのだろう。
彼女ごと上条を殺すのか、それとも彼女を避けて上条だけを殺せるのか。

そのどちらも十分考えられる。

しかし。


「一方通行(アクセラレータ)、実験開始まで五分を切りました、とミサカは忠告します」


無機質な、機械的な声だった。
といっても、電子音ではなくちゃんとした肉声ではある。だが、感情が一切こもっていないその声には、上条も眉をひそめる。

中学生くらいの女の子だった。
着ている制服は名門常盤台中学の夏服。
そしてそれとは明らかに合っていない、大型の軍用アサルトライフルを担いでいた。

この少女も、どう考えても表の人間ではない。

一方通行と呼ばれた男は、面倒くさそうにそちらに目を向け、

「つってもコイツらどうすンだよ? 素直に退く気もねェみたいだぜ?」

「彼らの今の状態であれば、他の個体数体ほどでこの場から退去させる事が可能です。その際、生命活動を停止させる必要性はありません、とミサカは進言します」

「オマエらには無くても俺にはあるンだよ。このヤロウ、俺の手首を砕きやがった。おいこれ実験に支障あるンじゃねェか?」

「問題ありません。あなたの能力スペックを鑑みて、その程度の負傷では誤差の範囲だというのが樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)の判断です。
 それよりも、その方は学園都市上層部にも重宝されている殺し屋です。彼を失うことは学園都市にとっても大きな損害であり」

「分かった分かった分かりましたよォ! ならさっさとコイツらどかしやがれ。命拾いしたな三下ァァ!!」

自分は助かったのか。

ぼんやりとした頭でそう思った時には、両側から抱えられるようにして何者かに運ばれていた。
何とか視線だけ動かしてみると、そこに映るのは先程の常盤台の少女と瓜二つの少女達。三つ子なのだろうか。

しかし、それ以上は多くを考えることはできない。
何とか保ってきた意識も次第に限界に達し、視界が徐々に暗くなってくる。
次この目が開かれる時はあるのか、それも分からずに。

暗闇へと落ちていく中で、あの黒髪の少女の声がぼんやりと頭に響いていた。



***



蝉の声がうるさい。

ゆっくりと開かれた目に入ってきたのは、真っ白な天井だった。
これだけで何となく状況は理解できる。自分は病院のベッドに寝ているのだ。

「三日、だよ」

その声に首だけ動かすと、そこにはカエル顔の医者が口元に小さな笑みを浮かべていた。
親しい仲でもないが顔見知りではある。そしてその腕も一応は認めている。

上条はズキズキという鈍い痛みに耐えながら上半身を起こした。

「あんたも命知らずだ。医者のくせに」

「おや? 患者を救う事はそれこそ医者として当然の事だと思うけどね?」

「俺を救うことで他の患者が皆殺しにされたら元も子もねえだろ」

上条はその仕事柄、人の恨みを買いやすい。
だからこそ、こんな一般病院に入院させることがどのくらい危険な事なのか、という話になる。

しかし、医者は相変わらず緊張感のない表情で、

「ははは、大丈夫さ。この病院も見た目の割に中々のセキュリティレベルだよ? そもそも君を狙う連中には、君がここに入院しているという事実すら知り得ないさ」

「……そうですか、この病院吹っ飛ばされてから文句言うなよ」

上条は適当に受け答えると、布団をどかして病院着を脱ぎ始める。
近くにあるハンガーには新品のワイシャツとスラックスがかけてあった。誰かが届けたのだろう。所持していたはずのレベルアッパーもなくなっている。
それと、三日も風呂に入っていない割には体も気持ち悪くない。学園都市の技術があれば、寝ている者の体を綺麗に洗うのも容易な事だ。


医者は眉をひそめて、

「僕としては動くのはオススメしないけどね?」

「もう死にはしねえだろ。あんたの腕なら三日もあれば動けるようにはなる」

「素直に喜べない褒められ方だ。忠告しておくけど、今回の傷は割と洒落になってなかったよ? 次からは気をつける事だ、死なない限りは助ける」

「そりゃどうも。さすが名医のセリフだな」

上条は最後にワイシャツの袖に腕を通すと、足早に扉から出て行こうとする。流石に窓から飛び降りるのは自重した。
頭の中には色々と引っかかる事があった。帰ってからもやる事は多い。

その直後、上条が触れる前に部屋の扉が開かれた。


「どもども、上条さん生きてるー?」


全く予期しない少女の登場に、上条の足が止まった。
もしこれで相手がどこかの暗殺者とかであれば、もう既に殺られているだろう。

長い黒髪に白い花の髪飾り、なぜか心をざわつかせる緊張感の欠片もないその表情。
三日前、路地裏で出会った少女だった。

上条はとりあえず一言。

「……ノックしろよ」

「あー、ごめんごめん、忘れてた」

後ろでカエル顔の医者がやたら嬉しそうな表情をしていることが妙に気に食わなかった。



***



常に様々な事を想定し、予想外の状況というのを潰していく。

そう考えながら生きている上条当麻なのだが、この数十分間における展開は予想外の連続だった。
もしこれが仕事だったら、もう何度死んだのか分からないだろう。

まず、例の少女はなぜか上条にピッタリとついてきた。
青空の下、日差しが強く人通りも多い第七学区を二人並んで歩き、中身の無い話を延々と聞かされ、いつの間にかクレープを買わされるはめになって。
それを美味しそうに頬張りながら、また一度聞いたような話を聞かされて。

極めつけはこの一言だ。


「あ、そうだ。上条さん、ウチ来なよ」


本当のバカだと思った。

ちなみに先程から上条の名前を呼んでいるが、それはカエル顔の医者から聞いたという理由らしい。
対して上条は少女の名前を知らないが、彼女の寮の部屋の前まで来て、ネームプレートに「佐天」とやけに可愛らしい字で書かれているのを見つける。

部屋に通されると、そこは綺麗に整頓された可愛らしい小物が並び、全体的に暖色系で統一された女の子らしい印象を受ける。
といっても、上条にとって女の子の部屋というのは生まれてこの方初めてなのだが。

佐天は苦笑いを浮かべて、

「あはは、そんなに面白いものなんてないってば。じゃあそこら辺に適当に座って。ジュースと紅茶とコーヒーがあるけど、何がいい?」

「……なぁ、お前」

「ん? あ、そうだ、あたしの名前は佐天涙子っていうの。ちゃん付けはやめてよ」

返事の代わりに、上条は素早く立ち上がると、力尽くで部屋にあったベッドに佐天を押し倒した。


彼女は余程驚いたのか、目を丸くするばかりで大した抵抗もしない。
それをいいことに、上条は彼女の上に覆いかぶさるようにして、顔を近づけ低い声を出す。

「分かってんだろうな、お前?」

「へっ……な、ななっ」

目の前の少女は今の状況を理解できずに口をパクパクさせている。
その姿に、どうしようもなくイライラしてしまう上条。

らしくない、とは思う。
こんなどこにでも居る少女の一挙一動に、ここまで感情を動かされる事は不愉快だった。

「会ったばかりの男を部屋に入れるなんていうのは、どうしようもねえ尻軽女のする事だ。だから、これから何されても文句はねえな?」

「なっ……ちょ、ちょっと尻軽って何よ! あ、あたしはまだ、その、えっと…………って中学生に何言わせようとしてんのよ!!」

「…………」

また予想の上を行かれた。

いきなりベッドの上に押し倒してその上に覆いかぶさったにも関わらず、彼女は危機を感じていないのかマイペースを崩さない。
泣き叫ぶまではいかなくても、恐怖で震えて何も話せなくなるくらいまでは考えていた。その上で次の行動も決めていた。

行動が停止してしまった上条に対し、佐天はキョトンとして、

「それで、いつまでこの状態でいればいいのかな?」

「……お前これから何されるか分かってねえのか?」

「んー、普通だったらアレかな、18歳未満はお断りみたいな事、とか?」

「分かっててその余裕かよ……お前やっぱり本当は」

「だから処女だって言ってるじゃん!! あっ、ちょ、何言わせるのよ!!!」

「…………」

「もう……もしかして上条さん、あたしをからかってるの? だとしたらバレバレだよ」


「上条さんがそんな事しないって、あたし分かるし」


上条の目が見開かれる。完全に図星だった。

これはまずい、と頭の中で警告の音が聞こえるようだ。
路地裏の時もそうだったが、上条が彼女を撃たないという事も、彼女を犯さないという事も、全て見透かされていた。
こんな何でもない少女に心を見透かされるというのは、殺し屋として失格だ。それはきっと仕事の様々な場面で問題として出てくる。

大人しく彼女の部屋までついてきたのはこれが目的でもあった。
なぜ、自分の考えを読めたのか。その辺りを聞き出して、対策を講じる必要があった。

上条は一度ゴクリと喉を鳴らして尋ねる。

「……なんで分かった? お前もしかして精神系統の能力者か?」

「違うよ、あたしはレベル0、無能力者でーす。もう、人が気にしてる事ズバッと突かないでよ」

「そうだろうな。精神系統の能力者にしては色々バカすぎる」

「ひどっ!?」

「じゃあ答えろ。なんで俺のことが分かる?」

「うーん……何でも分かるってわけじゃないよ。でも、上条さんがあたしを撃ったり、えっちな事しないっていう事くらいなら分かったよ。その目で」

「……目?」

「うん、三日前、上条さんがあたしに銃を向けて引き金を引く瞬間。上条さんの目が少し変わったの。上手くは言えないけど、なんか優しい感じに。
 それで、『あぁ、この人あたしを撃たないで助けてくれるんだな』って。だから、そんな目をしてくれた人を殺されたくはなかった。あたしは上条さんに感謝してるから」

あの時、銃を撃った直後の佐天の目が気に入らなかったのはこういう事だった。
彼女は上条が初めから自分を助けてくれるつもりだったのだと知って、だからこそ感謝のこもったあんな目を向けていたのだ。
今まで上条に対して感謝をする者などは、仕事の依頼者くらいだった。圧倒的に恨みを持っている者の方が多いはずだ。

それでも、自分はまだこんな普通の少女に感謝を言われるような人間であることを知って、胸の中をモヤモヤした何かが漂うのを感じた。


上条は佐天の上から退くと、部屋にあった姿見の前で自分の目を確認する。

「……死んだ魚の目だ」

「あ、あはは……いや、まぁ確かに普段の目つきはあまり良くないけどさ。でも、時々優しい目してるんだって、ホントに!」

「………………」


『気付いてたかにゃー? カミやんって基本目が腐ってるけど、たまーにいい目してる時があるんだぜい?』


まただ、と上条は口元を緩める。
なぜ今頃になってあの男の言葉をこんなにも思い出すのだろうか。

上条には何となく分かってはいたが、それを認めるのも癪なので考えないことにする。

「コーヒーくれ」

「え……あ、りょーかい! 砂糖とミルクは?」

「どっちもなし」

「うっはぁ、ブラックかぁ。なになに、大人アピール? 苦いなら苦いって言ったほうが色々と得だよん?」

「うっせ、ほっとけ」

上条が一言で追い払うと、佐天は何故か楽しげにキッチンに消えていく。

とりあえず上条は部屋に置いてあるちゃぶ台の前に座る。
床のカーペットはよく掃除されている様子で、もしかしたら来客用に頑張ったのかもしれない。
このくらいの年の子であれば、スナック菓子の食べかすなんかが落ちていてもおかしくないと思ったからだ。

少しして、佐天がお盆にコーヒー二つとロールケーキを乗せてやってきた。

「甘いもの大丈夫?」

「別に食えなくはない」

「残念、食べられないっていうなら、あたしが独り占めできたのに」

「お前なぁ……」

上条は呆れつつも、コーヒーに口をつける。
口の中全体に苦味の強い風味が広がり、頭をスッキリさせる。

「とりあえず佐天、一応言っておくが簡単に男を部屋に入れるのはやめろ。俺だから良かったものの、本当にやっちまう奴だっているぞ。
 つーか、このくらい少し考えれば分かんだろ、どうなってんだよ最近の中学生は。平和ボケってレベルじゃねえぞ」

「大丈夫だって、あたしだってそのくらいの警戒心はあるよ。上条さんだから入れたんだよ。
 …………あれ、今のセリフちょっと上条さんを誘惑してるみたい? あはは、もしかして今上条さんちょっとドキッって」

「すると思うか?」

「ですよねー。まぁでも高一と中一じゃちょっと離れてるよね。あ、なんか最初のノリでタメ語続けちゃってるけど、いいよね?」

「別にいい、どうせ敬語だってろくに使えねえだろ」

「あ、失敬な! あたしの友達に常時敬語の子とかいるから、そこら辺は完璧だよ!」

どうでもいい情報を聞き流しつつ、ロールケーキを一切れ口にする。
……甘い。想像以上に甘い。まるで砂糖の塊を食べているみたいだ。
すぐにブラックコーヒーで中和しようとするのだが、それでも口の中に残る程の強さだ。

しかし、だからといってこれ以上手を付けないという選択肢はない。
なぜなら、それだと目の前の少女が残りを独り占めする事になり、敗北したような気がするからだ。

「……ねぇ上条さん、今なんかすっごく意地の悪い事考えてない?」

「考えてない」

「即答する辺りが怪しいなぁ」

そう言いつつも、聞き出すことは諦めている様子の佐天。
本人は別にロールケーキが甘すぎるというわけでもないらしく、美味しそうに口に運んでいく。

……なんだかどちらにせよ負けた気がする、と上条は首をひねる。


まぁ、いつまでもそんな事を考えていても仕方ない。
とりあえず聞きたいことを早めに聞いておくことにした。

「そんで、お前は俺をここに呼んでどうするつもりなんだ?」

「ん、あたしの友達を助けてほしいの」

「友達って……レベルアッパーを使ったっていう奴等か? つかお前随分冷静になってね?」

「よく考えたんだよ、あたしも。ほら、あれから三日も経ってるしさ」

そう言うと、佐天は手にしていたカップを置いて、上条の事を真っ直ぐ見て話し始める。

「あんな無茶な方法じゃ友達は助けられない。他の友達にも心配かけちゃう。だから、あたしはあたしのやり方であの子達を助けようと思った」

「で、俺を使うっていう結論に辿り着くのかよ。大体、レベルアッパーの現物の方はどうなってんだ?
 もしかして俺の持ってたやつを警備員(アンチスキル)に届けたとかじゃねえだろうな」

「ううん、そんな事しないよ。上条さんだって仕事しくじったら結構危ないんじゃないの?」

「あー、ものに寄るな」

やはり彼女は甘い、と考える。
目的を達するためには手段を選ばない。
それだけ聞くとマイナスのイメージが強いようにも思えるが、実際はそのスタンスが一番成功率が高いのだ。

何を捨てて何を取るのか。
その辺りの基準を明確にしなければ、何も得られないことだって多い。
といっても、これは上条の持論であるので、一般人である佐天に当てはめるのは間違いなのかもしれない。

すると佐天は机の上から音楽プレーヤーを取り出す。

「でもね、あたし見つけちゃったんだ。意識不明になった友達の部屋からレベルアッパー!」

「残ってたのかよ、詰めが甘い犯人だな。まさか使ってねえよな?」

「流石に使わないって。でもさ、これ警備員に渡して調べてもらったんだけど、やっぱりこれだけでレベルが上がるとは考えられないらしいんだよね」

「……まぁ普通に考えればそうだな。能力開発ってのはそんな単純なものじゃない。けど、実際に効果は出てるんだろ? それなら」

「でもこれを使ってレベルアップしたとは証明できないの。誰かに使わせるわけにはいかないし……」

「そこら辺のチンピラとっ捕まえて実験台にすればいいだろ」

「そ、そんなのダメだって!」

上条からしてみれば至極当然な考えだったのだが、どうやらこれはマズイらしい。
おそらく人権的な問題なのだろうが、まったくもって面倒な世界だ、と上条は小さく溜息をつく。

「それで、なんで俺なんだよ。後は警備員の仕事なんじゃねえの」

「上条さんって裏の世界とか色々知ってそうだから…………別に風紀委員とか警備員を信じてないっていうわけじゃないんだけどね。
 でも、何ていうかこの事件は、そういう人達よりも上条さんの方が適任だと思う。あ、もちろんあたしも精一杯頑張るよ!」

不覚にも佐天の言葉に同意してしまう自分がいた。

この事件、どうも裏にドス黒い何かを感じる。
とても風紀委員や警備員といった表立った治安維持部隊では対処しきれないほどの、大きな何かだ。

しかし、だからといって上条が立ち上がる理由もない。

「……その頼みを受けて、俺に何のメリットがあるんだ? 金でもくれるのか?」

「え、あー、その、お金はそんなに持ってないかなレベル0だし。あっ、だ、だからってカラダで払うとかもダメだから!」

「お前のカラダなんか一銭にもならねえよ。そこらの変態オヤジなら分かんねえけどな」

「ぐっ!!!」

「本気で睨むなよ、こええっての。冗談だ冗談、手伝ってやるよ」

「えっ、本当!?」

上条の言葉が余程予想外だったのか、佐天は身を乗り出して尋ねてくる。
顔全体に安堵の色が広がっており、それだけ信用されているのを喜ぶべきか注意すべきか悩むところだ。
おそらく彼女はこの性格で今までも色々とトラブルに巻き込まれたりしたのだろう。


上条は一度コーヒーに口をつけると、

「一応は命を助けられたからな。お前が居なかったらあの一方通行とかいう奴に殺られてた。その分の働きくらいはしてやってもいい」

「あ、でも、あたしも助けられたし……さ」

「……そういやそうだったか。じゃあこの話はなしだ」

「ええっ!?」

「だったら黙っとけよバカ」

どこまでも正直な少女にペースを乱されつつ、上条は呆れ果てる。

断言できるが、これは佐天一人でどうにかなる問題ではない。
しかし、本来であれば上条にとって、仕事以外の事はほとんど意味を持たないものだ。義理なんかもお互い助け合ったという事でチャラにもできる。

ところが、上条には看過できない問題があった。
それは普通の中学生である佐天涙子に、自分の心の動きなどを僅かにだが読まれているという事だ。
この事はおそらく仕事にも影響してくることであり、無害な少女ならまだいいが、相手が自分と同じような人間だった場合は致命的な事にもなり得る。

だからしばらく彼女と接触して、自分が読まれる理屈を探る。
その為であれば、多少は彼女に協力したところで、極端なマイナスにはならないだろう。

しかし。

(……言い訳くせえな)

なんだか、どうしても建前を作っているようにしか思えない。

上条は無駄なことはしないタイプだ。常に損得を考えて、自分に利益になるように動く。
普段殺し屋の仕事を受けているのも、それによって自分の価値を得ることができ、なおかつ生きていくための金も手に入るからだ。

だが、今回の件はどうだろうか。
今までのその自分の生き方に当てはめて、おかしな所はないだろうか。

そうやって考え込んでいる上条に、佐天がおずおずと話しかける。

「そ、それでさ、あの」

「なんだよ、まだ何かあんのか?」

「うん……その、あたしの頼み事を聞いてもらってる間は、上条さんは本業の方を休んでもらいたいなー、なんて」

「…………はぁ?」

「む、無理……かな?」

「理由を聞かせろ。分かってるとは思うが、俺の仕事は好きな時に有給使えるようなホワイト企業じゃねえ」

「……分かった。あのさ、怒らないで聞いてほしいんだけど、上条さんはまだやり直せると思うんだ」

「…………」

「お、怒らないでって言ったじゃん!」

「怒ってねえよ」

既に色々と言いたいことは出てきたが、それでもまずは佐天の話を聞いてみることにする。
彼女はこちらを伺う様子で、言葉を選びながら話していく。

「あたしは上条さんの事を何も知らない。なんで殺し屋になったのか、今までどうやって生きてきたのか。
 でもね、あんな目をできる人なら、きっとあたし達と同じように生きていけると思うの。ごめん、具体的な根拠とかは何もないんだけどさ」

「…………」

「もちろん、あたしにこんな事言われたくないっていうのは分かるよ。あたしは上条さんに比べればずっと幸せな人生を過ごしてきたと思うから。
 でも、だからこそ、上条さんだって同じように幸せになってほしいの! 殺し屋とかじゃなくて、もっと、みんなが笑えるような…………」

本当に平和な頭をしている、と上条は思った。お花畑もいい所だ。
こんな言葉はろくに取り合わず、切り捨てる。それが一番の時間の有効活用なのだろう。

だが、そんな事は分かっているはずなのに、上条はその言葉を発することができない。
喉まで出かかっているのは分かるのだが、そこから何か見えない力にせき止められているように。


そして、またあの男の声が頭をよぎる。


『カミやん、世界は一つじゃないんだ。勝手に諦めて他の世界への道を閉ざすと、人生損するぜい?』


上条は心の中で突っ込む。お前は俺の父親か、と。
確か、当時もそんな事を言ったはずだ。それに対して、あの男はやはり気さくに笑っていた。

ここで上条は小さく息を吸い込むと、

「…………まぁ、お前の勘は意外と当たるしな」

「えっ、じゃあ!」

「ちょっと待ってろ」

上条はそう言うと電話を取り出し、一度部屋の外へと出る。

期待はしていない。
ただ、確認するだけしてみるか程度にしか思っていない。
これも上条の中では無駄なことに入るのだろうが、あの少女を黙らせるためと思えばまだ許せる範囲だろう。

上条は佐天の部屋のドアに背中を預け、電話をかける。
三回のコール音で繋がった。

『はい、どういたしました? あなたの怪我のことも考慮して、仕事の方は私で止めてもらっていますが』

「休みくれ、無期限。俺の気が済むまで」

『……五月病にでもかかりましたか? 今は七月ですが』

「はは、分かってる、ちょっと言ってみただけだ」

『まぁ、いいですよ、別に。お好きなだけ休んでください』

「……は?」

思わず間抜けな声が漏れる。
一瞬自分の聞き間違いとも思ったが、確かに好きなだけ休めと聞こえた気がする。

『ですから、休みがほしいのでしょう? 私の方で何とかしましょう。元々あなたは、今までろくに休みも取らずに働き詰めでしたし』

「おいおい、んな事許されんのかよ」

『本来であればダメですけどね。ですがあなたには私も色々と助けられましたし、特別です。何か思う所もあるのでしょう?』

思わぬ展開に少し黙りこむ上条。
だが、ここまで言ってくれるのだ。ここはありがたく休ませてもらうのがいいのだろう。

上条は清々しい青空を見上げて、

「……少し、な。とにかく助かる、サンキュー」

『……なるほど、なるほど。何となく分かりましたよ』

「ん?」

『いえいえ、一応は人生の先輩ですし、そういう事でしたら応援しますよ。大抵こういう場合は女性かんけ』

言葉の途中だったが、プツリと電話を切る。
この相手は何となく悪い者ではない気がするが、少々余計なことを口にすることがある。
とにかく気を取り直すように頭を振ると、部屋の中へと戻る。外は暑い。

中では佐天が緊張した様子でこちらの様子を伺っていた。

「……しばらく休みをもらった」

「やったあああああああああ!!!」

上条の言葉を聞いた瞬間、それはそれは嬉しそうに立ち上がってガッツポーズをする佐天。
人の事でここまで喜べる者というのも案外珍しいかもしれない。

だが、上条はまだまだ彼女のことをなめていた。


これで上条が本業である殺しをしないで、しかもレベルアッパー事件解決を手伝ってくれる。
彼女にとっても最高の展開だろうし、ここまで上手くいくとも思っていなかっただろう。

ただ、それだけでは終わらなかったのだ。

「それじゃ、新しい布団でも買いに行こっか! あたし、ちょっと奮発しちゃうよ!」

「……布団? ベッドあるじゃねえか」

「えっ!? ちょ、さ、流石に同じベッドっていうのはハードル高いかなぁ……あはは……」

「自分のベッドに寝るのにハードル高いも何もねえだろ。もしかして潔癖症かお前?」

「い、いやいやいや、潔癖とかそういうレベルじゃないって! ほら、男女二人で同じベッドっていうのはさ……」

「男女二人? お前同棲する男とか居るの?」

「え、だから上条さんの事だって。……ていうか、ど、同棲ってなんかちょっと恥ずかしいからやめてよ」

「…………は?」

勝手に頬を染めてモジモジしている佐天に、文字通り目が点になる上条。

とてつもなく嫌な予感がしてきた。

しばらくはあまりにもぶっ飛んだ展開に頭が追いつかない状態ではあったが、だんだんと彼女が何を言っているのか理解してくる。
そしてその内容はあまりにも馬鹿げたもので。

「おい待て、なんか俺がここに住み込むみたいな流れになってる気がするぞ」

「そうだけど?」

「そうだけど、じゃねえ!! いや何なのお前!? いつもこんな感じなの!? 女子中学生こえーなオイ!!
 つーか、会ったばかりの、しかも男を部屋に住まわせるとかお前の辞書の中には警戒って言葉がねえのか!!!」

「大丈夫大丈夫、あたし上条さんの事信用してるから」

「そりゃどうも! ……そもそも、俺がここに住み込む必要性はなんだよ。俺だって家無しってわけじゃねえぞ」

「そりゃもちろん、普通の生活に慣れてもらうためだよ。あたし的には上条さんに殺し屋やめてほしいんだから。
 ここでまともな生活をして、こっちの方がいいなー、殺し屋なんかもうやりたくないなー、って思ってほしいわけ」

「…………」

もはや清々しいほどのワガママっぷりに、上条はげっそりとした顔しかできない。

しかし、元々彼女が上条に殺し屋の仕事を休ませたのも、できるだけ普通の生活をしてほしいという想いからだったはずだ。
だから、その普通の生活というものをより濃く体験させるのに一緒に住ませるというのは、一応は理にかなっているようにも思える。

目をそらせない問題は色々とあるわけだが。

「あのな、殺し屋ってのはメチャクチャ恨みを買うんだ。この部屋ごと吹っ飛ばされたらお前も死ぬぞ」

「えー、それは嫌だなぁ。上条さんは普段どうやってそういう人達から逃げてるの?」

「家の周りにレーダー装置とか色々置いて……」

「じゃあそれでいいじゃん。解決解決」

「それでも狙われるっていう事実には変わんねえだろ!! どうなってんだよお前の頭!?」

「まぁまぁ、あたしだってここまでのワガママ言ってるんだから、自分の身くらいある程度なら危険に晒してもいいよ。
 それでも、あたしは上条さんに普通の生活をしてもらいたいの。ほら、誰かと一緒にご飯とかだって長いこと食べてないんじゃない?」

その通りではあるのだが、素直に頷くのは何か癪だ。

それから少しの間、彼女の目をジッと見るが、相手も負けじと見つめ返してくる。
部屋で男女二人が見つめ合う光景というのは、それだけ聞けば中々ロマンチックなものに思えるのかもしれないが、これは明らかに違う。
両者ともあらん限りの眼力を込めており、もはや睨み合っていると言っていい。漫画なんかではちゃぶ台の上にあるカップにヒビが入りそうだ。


結局、折れたのは上条だった。

「……分かったよ。言っとくが、死んでも知らねえからな」

「それは嫌ですよ、守ってください」

「お前ホントいい根性してんな」

「えへへ」

「褒めてねえ」

尋常じゃなく疲れた。
殺し屋の仕事でも中々感じない精神的疲労に、上条は深い深い溜息をつく。

今でさえこの調子だ。
これから佐天の言う普通の生活とやらを送れば、どれだけ面倒な事になるか。考えるだけでも頭が痛い。

だが、自分には合わないと突っぱねるのは躊躇われた。
別に、いつもニヤニヤと全てを知っているかのようなあの男の言葉が気になっているわけではない。
毎日毎日同じ事の繰り返しに飽きたので、たまには気分を変えてみようと思った、ただそれだけだ。

こっちの生活の方が合っているなどとは全く思わない。
しかし、あえてそういった体験をすることで、普段の殺し屋の生活がいかに自分に適しているのか再確認するのも悪くないだろう。

これを佐天に言えば、おそらく「素直じゃないなぁ」といった言葉が返ってくる。だから彼女には言わない。
それでも、目の前にある彼女のニコニコ顔は、暗に「全部分かってるよ」と言われているようで、妙に居心地が悪かった。
こんな脳天気な中学生に何もかも悟られてたまるか、と上条は決意を新たにする。

「これは非科学的でジンクスみてえなもんだけどよ」

「ん?」

「俺と一緒に居る奴は不幸になるんだぜ」

ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる上条。
こうして冗談のように言っているが、それを気にしていつも一人で居る事にしているのもまた事実だ。

すると、佐天もまた同じような悪どい表情で笑ってみせた。


「ジンクスっていうのはいつか破られるものだよ」


外は快晴、夏の日差しが厳しいお昼頃。
今までずっと暗い場所で生きてきた上条当麻は、ひょんな事から光の当たる世界をお試し体験する事になる。
この一夏の体験は、不幸な少年にどんな変化をもたらすのか。それは誰にも分からない。

ただ、例えそれが悪い方向だとしても。
上条は未知の世界へと足を踏み出した、その事実だけは確かにそこにあった。

おわり

自治スレに★持ちいるし、聞いてみれば?

暗部上条さんのSSは一応大まかな流れは考えてあって、ラストも決まってるよ

今書いてる現行がそろそろ終わりそうだから、次に書こうかと思ってるSS候補の冒頭を投下して反応見てる感じ
このスレの上の方で書いた上条さんと最愛ちゃんのSSとか、俺ガイルクロスとかも俺
まだ後二つあるんだけど、どれ書こうか迷ってるんだよね

ちょっと思いついたパロネタを投下させて下さい

4レスほど頂きます

タイトルは『とある魔術のいんでっくすえもん』です

ここは学生人口が9割以上を占める学園の街ではない普通の街『学園都市』

これは、そんな街に住む普通の学生の一人『上条当麻くん』の物語である


第1話

『とある魔術のいんでっくすえもん』

op~♪

あんなこといいな♪できたらいいな♪あんな夢こんな夢いっぱいある~かも~♪

みんなみんなみんな♪叶えてあげる♪不思議な魔術で叶えてあ~げ~る~♪

※セリフ

上条「ハァ…空を自由に飛んでみてえな」

禁書エモン「はい、マンドラゴラ」

上条「……」

かも♪かも♪かも♪

とーってもかわいい♪いんでっくすえもん~♪

7月20日

夏休み初日の朝。あまりの暑さに目が覚めた上条くん

上条「う~あち~ふこ~だ~」ダラー


ちなみに、上条くんのお部屋にはエアコンはあるのですが…
昨日の夜に突然の局地的な停電があったため、上条家の電化製品は全て壊れてしまったのです


上条「だめだ、暑さで死ぬ…いんでっくすえもんさん。部屋の暑さを北海道のように涼しくする、そんな魔術はないでしょうか?」

禁書エモン「う~、そうだね……ちょっと待っててほしいかも」スッ


そう言うと、何故か『いんでっくすえもん』はかわいいお目々を瞑りました


※説明しよう※

彼女は便利な魔術を生み出す際に、記憶の中にある『10万3000冊の魔術書の原典』から必要な情報を取り出す

禁書エモン「…から術式を構築…第2章、第3説を参考」ブツブツ

『ヨハネのぺんでっくすえもん』モードへチェンジするのだ!




禁書エモン「閃いたかも!」ピーン

――

禁書エモン「じゃあとうま。まずは東西南北にこれを、決められた場所に置いてみて?」スッ

上条「ん? 赤い鳥に緑の亀。白い猫に青いタツのオトシゴ…こんなのでこの部屋が涼しくなんのか?」

禁書エモン「つべこべ言わないで欲しいかも。ほらほらとうま。まずは西に猫を…」

…と、渋々と上条くんは、いんでっくすえもんの言われた通りに配置完了

上条「言われた通りに置いたぞ~いんでっくすえもん。早く涼しくしてくれ~」


禁書「うん。じゃあ涼しくするね」ブツブツ


禁書『永久凍土~(コキュートス~)』カッ!



この日、全世界が氷河期に突入した



~THE END~

以上です

お目汚し失礼しました

唐突に思いついたので投下させてください
7レスほどです

一方通行「カフェイン、とってるゥ?」

シーン1

10032号「あなたの……勝ちです……お姉さま……とミサカは……」

美琴「そ、そんな……しっかりするのよ、10032号!」

10032号「お姉さま……あなたの泣き顔は……ミサカの鏡の素顔を見るようで……大嫌いでした……」

美琴「……うっ、ううっ、うっ……」

軍覇「うぐっ、くそぉ、うううっ」

操祈「目をそらしちゃダメよぉ、これがアリスゲームなんだゾ」

10032号「大嫌いですが……誰よりも、大好きですと……ミサカは……」パアァ

操祈「あれは……! ローザミスティカ?」

浜面「なっ、あれが?」

10032号「ミサカを……お姉さまの一部に……」

バシュッ

一方通行「もらっちゃったァ、もらっちゃったァ、妹達のローザミスティカ、もらっちゃったァ」

黒子「楽して、ズルして、いただきですの!」

シーン2

ピンポーン

小萌「はい、どなたですかー? ……って、上条先生―?」

上条「お久しぶりです! 浜面仕上君はいますか?」

上条「おお、浜面! 元気にしてたか?」

浜面「あ……え……はい」

上条「思ったよりも元気そうで、上条さんは安心したぞ!」

浜面「う……はぁ……えっと」

上条「お姉さんを安心させるためにも、早く学校に行けるよう頑張ろうな、浜面」

浜面「……………うっ」

上条「みんなも浜面がくるのを首を長くして待ってるぞ。あっ、そうだ」バサバサッ

浜面「……ぐうっ……?」

上条「これ、クラスのみんなからの寄せ書きと、あと手紙もある。うれしいよな、みんな浜面のことをこんなにも待ち望んでいるんだぞ」


“一緒に勉強頑張りましょう 佐天”

“一緒に殺しを頑張りましょう 麦野”

“早く学校に来てください 垣根”

上条「なあ、浜面。この寄せ書きを見てもわかるように、おまえはこんなにも仲間がいるんだよ。たとえ、ずっと学校に行っていなかったとしても」

浜面「うっ……お、ぐっ………」

上条「こうやって、待ち望む仲間がいる。だから、ちっとぐらい長いひきこもり生活で絶望してんじゃねえよ! ――手を伸ばせば届くんだ。いい加減に始めようぜ、浜面!」

浜面「うっ……ぐ……オ、オエエエエエッ」

小萌「し、仕上ちゃああん!!」

美琴「別に私は、そんなのお構いなしのへーきのへーざだけどっ!」

シーン3

垣根「おい、浜面」

浜面「ん? 何だ?」

垣根「オマエの姉貴から聞いたんだけどよー、オマエって、女の服つくるのが趣味なんだってマジ?」

浜面「えっ……いや……そ、そんなわけないだろ?」

垣根「へえ……そうかよ」

キーンコーン カーンコーン

滝壺「……というわけで、投票の結果選ばれたのは、うちのクラスの佐天涙子さんに決定しました」

スゴーイ、ルイコ! タマタマダヨォ ガヤガヤ

滝壺「衣装のデザインを募集しておりますので、作成したい生徒は……」

浜面「(佐天さんか……俺なら、モヘアを多めに、色は淡いピンクで……って何考えてるんだ)」

キーンコーン カーンコーン

ガヤガヤ……ヤダァー デモウマイヨネ、コレ

浜面「なんか騒がしいな……あっ!!」

浜面「(お、俺の描いたデザイン画が……なんで掲示板に……そ、そうだ宿題で提出したノートに書いていたから……)」

垣根「なんかエロいよなー、これ」

初春「ほんとですよ! 誰がこんなのを描いたんですか」

土御門「佐天さんのスリーサイズを妄想して描いたのかにゃー?」

浜面「ぐっ、ぐぐぐっ……」

チョウレイ 

上条「掲示板に張りだしたスケッチはもう見てくれたか? 上条さんはあれを見て本当に感動しましたよ……みんなもガンガン、そうした才能を見せていってほしい」

上条「あの見事なバニーガールのスケッチを描いてくれたのは……浜面仕上君だ!」

浜面「うっぐ……おえええええっ!!!」

10032号「やあ……ドールズとミサカは……」

シーン4

軍覇「“こんじょー”っていうのがほしいんだ!」

操祈「なによぉ、それ」

軍覇「うあああっ! “こんじょー”! “こんじょー”っていうのがほしいんだ」

浜面「だから、なんだよ……」

軍覇「うんとな、赤くて、黒さもあって、にゅうって、がーって、バーっとしているものだ!」

操祈「はあ、もういいわぁ。仕上、紅茶を淹れてきなさいよぉ」

浜面「はいはい(くそ……なんでわかっちまうんだ)」

トボトボ

浜面「(ぐ……ただ買い物に来ただけだろうが……なんでこんな思いして……いや、ここは根性で乗り切って……)」

滝壺「はまづら……?」

浜面「あ、滝壺……どうして、俺の家の前で」

滝壺「そろそろ、ぐんはが“こんじょー”って言い始めるかと思って……」

浜面「あ、それなら、今……これを買って」

滝壺「え? 買う? ……それも苺大福……?」

浜面「……えっ??」

イエノナカ

軍覇「ぐっ……はああ!!」

操祈「その調子だゾ☆ あと百回追加よぉ♪」

美琴「ほら、もっと重いダンベルにするわよー?」

軍覇「こ、こんじょー!!!」

イエノソト

滝壺「うちでつかってた、ダンベルをもってきたんだけど……」

浜面「あ、赤くて黒い!!」

操祈「生きるって、戦うことなんだゾ☆」

シーン5

軍覇「軍覇、食べられてしまった……」

軍覇「……だからな、軍覇のローザミスティカ、操祈にあげる……」

操祈「……あなたの根性力、無駄にはしないわぁ」

黒子「軍覇……なんてことですの……」

操祈「あなたは気高く戦ったわぁ、あなたは逃げなかったわぁ、あなたは気高き薔薇乙女第六ドールよぉ」

黒子「(乙女……何か釈然としませんの……)」

軍覇「“こんじょー”!!」

シーン6

小萌「……ひ、ひどすぎるですー、なんで、こんなに小さな子たちが……う、うううっ」

黒子「小萌、泣かなくていいんですの。私たちは、自分をかわいそうとは思いませんの」

黒子「私達は仕上や小萌のように、お母さんのお腹の中から生まれてはいない、お父様に体を作られ、ローザミスティカを入れられたお人形」

黒子「でも生きていますの、闘っているのですわ、それがローゼンメイデンの誇り」

浜面「いくよ、nのフィールドへ、アイツらを迎えに――”」

シーン7

インデックス「ああ……出番がほしい……軍覇の出番も、黒子の出番も、操祈の出番も」

インデックス「美琴の出番も、10032号の出番も」

インデックス「どんなキャラクターにだって着替えられる、私はいくつもの私になる」

インデックス「それこそが至高のヒロインであると私は思うんだよ」

以上です。お目汚し失礼しました。
読めばわかるように、最後のほうはネタ切れ気味だったんだぜ!
すまん……


すみません。今から数レス頂きます

タイトルは『パネェな…インデックスさん~赤い髪の魔術師編~』です

これは


学園都市に住む


不幸な少年の物語である


~上条家~


上条「あ~今日は天気もいいし、気分転換に布団でも干すか~」ヨイショ

上条「とか、言ってたら夕立とかこねーだろうな…」ハハ


とかブツブツ言いながら掛け布団を両手で抱え、ガラスの戸を足で開けると



上条「………………………………………」

禁書「」zzZ

上条「」ドサ


身長3メートルを越す、パッツンパッツンの白い修道服を着た純白シスターさんがベランダの鉄柵に引っ掛かって?いた


ちなみに、鉄柵はシスターの重圧に耐え切れなかったようだ…完全にひしゃげている
…と


禁書「…ん」パチ



上条「」ビクッ



怪物(白いシスター)が目を覚ました



禁書「……なかすぅいぃたぁぁぁぁ」コフー

上条「は?」

禁書「ねぇぇ、お腹すいたって言ってるんだよぉぉぉぉ!!」


上条「くっ!!」

轟! と白いシスターから殺気のようなものが吹き荒れると、上条の額から気持ちの悪い汗が一気に噴き出した

禁書「わたしにお腹いっぱいご飯を食べさせてくれるとウレシイナァ」ニコォ


――

上条当麻は一瞬で察した。……逆らえば死ぬ。と


上条(……にか)

しかし上条当麻は男である。

上条(なにかないのか! どこかに…コイツを倒せる逆転の一手はねぇのかよ!)


例え相手が強大であったとしても、簡単に屈するのは男がすたる!プライドが許さない!!

だが…まともに戦って勝てるわけがない…これは事実。相手は遥か高みにいる怪物

上条「!? あ……はは。じゃあ…これを」スッ

考えた結果。彼が手に取ったのは異臭のするヤキソバパン

上条の作戦は簡単だ。打つかって勝てないようなら、まずはその胃袋をぶち[ピーーー]!



しかし、それは悪手だった



禁書「君優しいね…デハイタダキマス」ガパァ


ゴリュ!!


上条「ッッ!!!」


喰われた


上条「ごっっがああああああああああああああああああ!!」

上条は喰われたのだ!差し出した手を!右腕の半分を!!

グチャボォリ…ボォリ

禁書「ゴクン…酸っぱいけど美味しいね…もっと食べさせてくれると……ウレシイナァァ!」

轟!!


――

上条は焦る。このままでは殺される…

しかし大量に失血して頭がぼやける

…脳が働かない…力が入らない

視界がぼやけ、意識が薄れてきた。

もう…だめだ、と目を瞑った…その時!


中の人「ギシャアアアアアア!!」


喰われた右手の断面から、黒い何かが吹き荒れた!

轟! と渦巻く何かは、そのまま白いシスターに向かい音速の10倍の速さで襲い掛かr!

ガシ

中の人「」ビチビチ ビチビチ

禁書「? 虫かな?」

白いシスターの手の中で抵抗する黒い何か

しかし、その抵抗も虚しく

グシャッ! と

黒い影は握り潰され、虚空へと消えていった


―――
――


~上条の部屋~


上条は意識を取り戻した


しかし麻酔もなしに腕を噛み切られた激痛と、一度に多くの血液を失ったショックで意識がはっきりしない

上条(……お…れは…生きてる…の…か。アイツは…)

『意識がもどったようだね』ボリ ムシャ ゴックン

上条「……!!?」

禁書「急に倒れちゃったからびっくりしたんだよ。あ、わたしはインデックス。れっきとしたイギリス清教のシスターです」ニコォ

上条(畜生!やっぱりまだいやがった!!)


※上条の右腕はいつの間にか生えてました※


―――
――


~少し時が飛んで~

禁書「魔術はあるもぉぉぉん!」

轟!!

上条「くうっ! い、いや、信じたいのは山々だけど実際に見てみないことには……」

禁書「ムゥキィィィー!もう怒ったぁぁぁぁ!」

インデックスは吠えると台所から包丁を取り。上条当麻に向ける

上条「ひっひぃぃぃっ」

禁書「ならこれ、この修道服。これは『歩く教会』と言って、教会としての必要最低限を詰め込んだ服の形をした教会だから、防御力は法王級なんだよ。ほらほら、この包丁で私を刺してみる」スッ

※歩く教会のサイズは原作通りです。


上条「…っ(きた、チャンスだ!)」

上条は渋々包丁を受け取ると、少し距離を空けた


そしてその刃を怪物(インデックス)へ向けて

上条「うぉぉぉおおお!」

突撃する!!

上条(狙う場所は一点!あのピッチピチの修道服じゃない、ムキムキの鋼の腹筋だ! いいぜ、てめぇが絶対的な防御力を持ってるっていうのなら、まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!)


ゴキィィン! という金属音が部屋に響く

上条「そ……んな……」ガクガク

折れた包丁の刃は回転しながら弧を描き、フローリングの床に刺さった



ね?言ったでしょ


魔術はあるんだよ、とうま(ニコォ


―――
――

そして夕方


~とある学生寮~


補習は無事に終わり。上条は現在、自宅前の通路に立ちすくんでいた



上条「なんだ…よ」



本日2度目の嫌な汗が、額から頬を流れる




上条の視線の先には、ドラム缶のような形のお掃除ロボット数台が

ステイル「」

血溜まりの中で倒れている黒いコートの男に、何度も何度もぶつかっていた

上条「!!! やめ…ろ…ッ! やめろよ! ちくしょう! 誰が、誰がこんな酷いことを!!」





『ん?わたしだよとうま』

轟!

ロボット『Go、gaaaa!!』

瞬間。全てのドラム缶型のお掃除ロボットがもの凄い衝撃を受け、ノーバウンドで吹き飛ばされた!

ドガガガガガガ! と物凄い破壊音が連続する。

それぞれのお掃除ロボットが、例えるなら狭い部屋で跳ねるスーパーボールのようにコンクリートの壁に衝突し、次々と大破していった


――

上条「イン…デックス…なん…」

上条の言葉を遮るように、ドドドォン! と連続した爆発音が学生寮全体が震わせる

それは、吹き飛ばされ大破したお掃除ロボットが、次々と爆発していく音だった

禁書「クスクス……なんでって。その魔術師は、わたしの頭の中にある10万3000冊の魔導書を狙う敵だからだよ?とうま」

言いながらインデックスは、一歩また一歩と上条に近づいてくる

その一歩は通路の床にヒビを入れ、学生寮全体を揺らす

上条「あ…あ…ぁ」ガタガタ


上条の目に映るインデックスの姿はまさに歩く恐塊…魔術の力を極めた人間の頂点……魔人だった――

禁書「とうま。ちょっとのいてほしいかも」チョン


ドゴォン! と上条の体が同僚の土御門元春の部屋の壁に背中から叩きつけられた

上条「っっぐばぁ!!」

さてと、と夕飯の調理でも始めるような気軽さでインデックスは、意識のない赤い髪の男の頭を掴んだ

上条「ゴホ…な…にをする気だインデックス! その人を離!!」

禁書「えい」ブン


赤い髪の神父は竹トンボのように回転しながら、音速の30倍の速さで空を飛んでいった


上条「あ…あぁ、うわああああああああああああ!うわああああああ!!!」


――



爆発に反応したのか、非常ベルのけたたましい音と共にスプリンクラーが作動する



機械が降らす雨。



それはまるで、今の上条を表すかのよう降り続けた


―――
――



赤い髪の魔術師編~完~

以上です。下手くそな文章ですみません

あと、ageてしまい申し訳ございませんでした

1+18+1レス拝借します。

注意事項
・禁書×ダンガンロンパ
・キャラ崩壊……は多分ない
・口調おかしいかも
・時間軸:上条VSねーちん(一巻)
・こまけえこたぁ(ry

上条「お前がインデックスと親友だったって……どういうことだよ」

神裂「……『完全記憶能力』という言葉はご存知ですか?」

上条「知ってるも何も……それがインデックスの能力だろ?」

上条「そのせいで『十万三千冊の魔導書を忘れられなくて』、お前ら魔術師に追われているんだろうが」

神裂「その言葉に間違いはありませんが……私たちは『魔導書が欲しいわけではありません』」

神裂「私たちは彼女を、インデックスを助けるために彼女を追いかけているのです」

上条「なんだと?」

神裂「彼女の脳の八十五%以上は十万三千冊の魔導書で埋め尽くされているんです」

神裂「つまり、彼女は残りの十五%しか脳を使えない……そんな状態で生活すればどうなると思いますか?」

上条「……まさか」

神裂「ええ、一年分の記憶で彼女の脳はパンクしてしまうんですよ!」

上条「『インデックスの脳が……パンクする?』」



苗木「それは違うよ!」



上条・神裂「「!?」」

苗木「本当にそんなことってあり得るのかな?」

桑田「そんな話聞いたことねーよ!」

江ノ島「もしかしてデタラメなんじゃねーの?」

神裂「ちょ、ちょっと待ってください!あなたたちは一体……」

神裂「そもそもこの辺りには人払いの魔術がかけてあったはずです!どうやってここまで来たんですか!?」

十神「ふん、そんなことはどうだっていいだろう」

腐川「そ、そうよ!」

神裂「それはどういう……」

霧切「私たちが何者だとかどうやってここに来たのかは関係ない……」

霧切「今ここで話すべきなのは、彼女の記憶についてでしょう?」

上条「そ、そうだ!脳がパンクしないってどういうことだ!」

神裂「そうです!そんなはずはありません!」

不二咲「断言するってことはなにか根拠でもあるの?」

神裂「もちろんです!」

大和田「それじゃ聞かせてもらおうじゃねーか……その根拠ってやつをよ!」

神裂「いいですか? そもそも人間の脳は……」

石丸「ちょっと待ちたまえ!」

神裂「な、なんですか」

石丸「自分勝手に話し出さずに、ちゃんと定位置についてから話したまえ!」

神裂「て、定位置?」

山田「僕の隣が神裂火織殿の席で」

朝日奈「私の隣が上条の席だよ!」

神裂「あ、どうも……」

上条「なんだこれ……被告席?」

モノクマ「ああ、その辺はあまり気にしなくいていいよ。どーせ今回はおしおきも無いんだし」

大神「……今回はクロがいないのだからな」

上条「うわあああああああ! ぬいぐるみがしゃべったぁ!?」

モノクマ「なんだよ! ボクはぬいぐるみじゃなくてモノクマなの!」

神裂「ははは……一体何が起こってるんです……」

葉隠「いいからさっさと始めんべ!」

舞園「インデックスの記憶についてですね」

セレス「では始めましょう……学級裁判を!」

モノクマ「あ、そうそう。クロもいないのに学級裁判だとかそもそも上条達はクラスメイトじゃないとか……」

モノクマ「そういう事は全部スルーしてね?」

モノクマ「言うなればこれは番外編、パラレルワールドだから!」

モノクマ「あと、ネタバレも気を付けてよね?」

モノクマ「それじゃ、始めるよ!」

学級裁判 開廷!


十神「それじゃ、まずはどうしてインデックスは追われているか、から話し合おうか」

上条「それは簡単だろ。インデックスの持つ十万三千冊の魔導書が原因だ」

葉隠「つまり!そこの魔術師はその魔導書を狙ってインデックスを追いかけてるんだべ!」

腐川「と、当然よ……ま、魔導書なんて大層なもの、狙わないわけがないもの!」

山田「神裂火織殿?そういう事なのですな?」

神裂「ち、違います!」

苗木(まずは彼女が追われている理由をはっきりさせないとな……)

議論開始!


 ≪コトダマ≫
【神裂火織の証言】
【十万三千冊の魔導書】
【壊れた歩く協会】


神裂「確かに私たちは『長い間彼女を追いかけていました』」

石丸「ほら見たまえ!」

神裂「しかし!私は『彼女に危害を加えるつもりなんてなかったです!』」

大神「ならば、『彼女の背中に傷をつけた』ことはどう説明する?」

朝日奈「説明できるわけないよ!」

朝日奈「だって、『インデックスちゃんが傷を負ってることは紛れもない事実』なんだから!」

上条「だったら!『神裂はインデックスに危害を加える気があった』ってことで間違いないじゃねーか!」



ドンッ =【壊れた歩く協会】=>
苗木「それは違うよ!」

苗木「いや、上条クン……きっとそうじゃないんじゃないかな」

上条「なんでだよ……現にインデックスは傷ついてるんだぞ!」

苗木「だってさ、彼女が傷を負ったのって『歩く協会が壊れてた』からだよね?」

上条「ああ……俺の『幻想殺し』で壊しちゃったからな」

苗木「でもさ、神裂さんはそのことはまだ知らなかったはずだよね?」

上条「!」

苗木「もし本当に危害を加えるつもりだったなら、歩く協会の上から攻撃しようだなんて思わないはずだ!」

神裂「そ、そうなんです!」

セレス「まあ……理由はどうあれ、あなたがインデックスさんを傷付けたことに変わりはありませんがね」

神裂「……」

霧切(魔力を見れば歩く協会が壊れていたことも分かったでしょうけど、ここは黙っておきましょう)

上条「じゃあ……神裂がインデックスを追っていたのは本当にインデックスを救うためなのか?」

神裂「さっきから何度もそう言っています!」

不二咲「そんなに多くは言っていないような……」

神裂「と、とにかく!私はインデックスを助けたいと思っているのです」

十神「その理由は?」

神裂「彼女が私の親友だからです」

大和田「親友ねぇ……ホントか?」

神裂「ほ、ほんとです!」

舞園「彼女を助けるって……一体彼女には何が……」

神裂「実は……インデックスは、一年ごとに記憶を消さなければ生きていけないんです!」

桑田「そ、そんなアホな……」

神裂「信じられないかもしれませんが……本当なのです」

苗木(インデックスさんは一年ごとに記憶を消さなければならない……)

苗木(一体どういう事なんだ?)

議論開始!


 ≪コトダマ≫
【幻想殺し】
【冥土帰しの証言】
【十万三千冊の魔導書】


神裂「私たちは、彼女のために『一年ごとに記憶を消している』んです」

神裂「そうしないと、『彼女が死んでしまう』から……」

桑田「それって、『一年ごとに記憶を消さなければ死ぬ』ってことか……?」

葉隠「そんなの嘘に決まってるべ!」

神裂「『嘘じゃありません!』」

不二咲「その根拠はなに?」

神裂「いいですか? そもそも人間は忘れることで生きていくことが出来るのです」

十神「……ん?」

神裂「『普通は一週間前の食事なんて覚えてない』でしょう?」

神裂「しかし、完全記憶能力を持つ彼女は『忘れることが出来ない』んです」

神裂「だから、『定期的に記憶を消さないと脳がパンクしてしまう』んですよ!」



ドンッ =【冥土帰しの証言】=>
苗木「それは違うよ!」

苗木「神裂さん……それはおかしいよ……」

神裂「なぜですか?」

苗木「この科学の街の名医……冥土帰しが言っていたんだけどさ」

苗木「人間の脳は、もともと百四十年分記憶できるらしいんだ」

神裂「なっ……!」

苗木「そもそも、記憶は『知識』や『思い出』に分けられるそうだよ」

セレス「つまり、いくら魔導書という『知識』を覚えたところで『思い出』の容量には影響しない、というわけですわ」

神裂「そんな……」

十神「そもそもそんな証言などなくともおかしい事にはすぐ気づけるがな」

神裂「ど、どういう意味ですか!」

十神「はっ、だからお前は愚民なんだ」

神裂「この……!」

霧切「……さっきあなたが言った通り、脳の十五%が一年で埋まるとしたら彼女はどうなるかしらね」

神裂「え?」

石丸「……たった七年で脳がパンクしてしまうじゃないか!」

霧切「確かに完全記憶能力は珍しい能力だけど……でも彼女だけってわけじゃないわ」

朝日奈「そういえばテレビで見たことあるよ! 完全記憶能力を持ったおじさんの話!」

大神「おじさんとな?」

朝日奈「うん! 確か四十歳くらいだったと思う!」

十神「そういうわけで、お前が言っていることはまったくのデタラメだってことだ」

神裂「…………そっちの方こそデタラメなんじゃないですか」

十神「なんだと?」

腐川「百夜様に逆らうなんて百万年早いのよ……!」

神裂「だって! あなたたちが何と言おうと彼女が苦しんでるのは事実!」

神裂「それは脳がパンクする前兆に決まってます!」

神裂「もし違うなら彼女はどうして苦しんでるんですか!」

神裂「ほら、言ってくださいよ!理由はなんなんですか!」

葉隠「思いっきりキャラが変わったべ……」

苗木(インデックスさんが苦しんでる理由……)

苗木(それは多分アレを見ればわかるはずだ!)

マシンガントークバトル開始!


神裂「あなたたちが言ってることはデタラメなんですよ!」

苗木「もう認めるんだ!」

神裂「そもそもなんなんですかあなたたちは! いきなり人の前に現れて!」

苗木「真実を知ることが彼女のためにもなるんだよ!」

神裂「うるっせえんだよ、ド素人が!」

苗木「いい加減に真実を見つめるんだ!」

神裂「インデックスは今も苦しんでるんですよ!」

苗木「だったらなおさらだ!」



神裂「『なら答えてくださいよ!インデックスはなんであんなにも苦しんでるんですか!』」



ドンッ =【インデックスの喉】=>
苗木「これで証明するよ!」

苗木「神裂さん、ちょっとこれを見てほしいんだ」

神裂「この写真は?」

苗木「インデックスさんの口の中だよ」

神裂「口の中……いつの間に……どうやって!」

十神「いいから早く確認するんだ」

神裂「……これは!」

苗木「ステイルクンにも確認してもらったんだ」

神裂「ステイルに?」

霧切「どうやらそれは『首輪』だったみたいよ」

神裂「『首輪』……」

山田「首輪……」ハァハァ

桑田「ブーデーは黙ってろ!」

大神「つまり、インデックスの頭痛はそれが原因だったというわけだな」

神裂「でもなんでこんなものがインデックスの喉に……」

江ノ島「首輪をつける意味なんて一つしかねーんじゃねーの?」

石丸「手元に置いておくためだな!」

葉隠「きっと十万三千冊の魔導書が勝手に逃げ出さないためだべ!」

霧切「まあ確実にそうでしょうね」

朝日奈「じゃあもしかして一年ごとに記憶を消さないといけないのって……」

大神「おそらくブラフであろうな」

神裂「でもそんなもの、一体だれが……」

苗木「神裂さん、さっきの記憶の嘘って誰に言われたの?」

神裂「……私たちのトップ……最大主教です」

十神「なら、そいつが犯人だな」

神裂「そんなはずは……!」

セレス「認めなさい、これが真実なのですよ」

神裂「……!」

苗木「神裂さん、これが真相だよ」

クライマックス推理 開始!


苗木「まず、インデックスさんは十万三千冊の魔導書を覚えたんだ」

苗木「自主的に覚えたのかむりやり覚えさせられたのかは分からないけど、完全記憶能力を持つ彼女はまさに適役だったんだろうね」

苗木「さて、これで魔術の世界で最強の兵器が出来上がってしまったわけだ」

苗木「そんなものが他の組織に渡ってしまったら大変なことになる」

苗木「だから最大主教は『首輪』をつけたんだ。インデックスさんを自分たちだけで独占するために」

苗木「そしてその監視役がつけられたんだ。神裂さん、あなただよ」

苗木「ただ、『首輪』なんて非人道的なもの、魔術の世界でも認められるものではなかったんじゃないかな」

苗木「だから、最大主教は神裂さんたちに嘘をついたんだ」

苗木「インデックスは一年ごとに記憶を消さないと脳がパンクしてしまう、とね」

苗木「だから、神裂さんは彼女の記憶を消し続けることになったんだよ」

神裂「そんな……最大主教が……」

十神「だがこれは紛れもない事実だろうな」

上条「じゃあ……神裂たちはその最大主教ってヤツに騙されてたってことかよ……!」

霧切「そうなるわね」

上条「インデックス……!」

大神「それで、貴様らはこれからどうする気なのだ?」

神裂「これからとは?」

江ノ島「脳の話が嘘だっただけで記憶を消さないとインデックスは死んじゃうんでしょ?」

舞園「『首輪』のせいですね」

上条「そんな……!」

霧切「あら。そんなの考えるまでもないじゃない」

神裂「え?」

霧切「もうそれを破壊する手段は手に入ってるのよ」

上条「それって……」

霧切「苗木君? ここまで言えばわかるわね?」

苗木(インデックスさんに課せられた『首輪』を破壊する手段……)

苗木(それは……)

[唯閃]
[幻想殺し]
[魔女狩りの王]



→[幻想殺し]
苗木「これだ!」



上条「そうか! 魔術的な『首輪』だったら俺の幻想殺しで破壊できる!」

神裂「じゃあ、私たちはもうあの子の記憶を消さなくてもいいのですね!」

十神「喜ぶのはまだ早いぞ」

上条「はい?」

十神「『首輪』なんてものを思いついたヤツがそれだけの対策で満足すると思うか?」

山田「まさかまだ三回の変身を残しているというのかッ!」

葉隠「なんだべそれ」

霧切「具体的なことは分からないけどまだ何か仕掛けがあると考えた方がよさそうね」

神裂「……でも、今度こそ完全に彼女を救えるんですよね」

苗木「きっとね」

神裂「だったら! どんな仕掛けや罠があろうとあの子を救ってやりますよ!」

上条「俺も同意見だ」

苗木「……もう学級裁判は終了かな」

石丸「今回は投票も無いのだからな!」

モノクマ「えーじゃあもう終わりにするね」

上条・神裂((結局こいつは一体なんなんだろう……))

神裂「今更なのですが、あなたたちは何者なんですか?」

苗木「僕たちは私立希望ヶ峰学園第七十八期生」



苗木「超高校級の、高校生だよ」



学級裁判 閉廷!

以上です。
ゲームをクリアしたのでつい書いてしまいました。
お目汚し失礼しました。

もう四つ目になる上条さん改造嘘予告。
数レス頂きます。







―――――その少年は、黒髪ツンツン頭だった。

その少年は、人を救わずにはいられなかった。


その少年は、弱きものに味方せざる負えなかった。


その少年は、迫害される者たちに出会ってしまった。


その少年は、その者たちの力になりたいと願ってしまった。


その少年は、協力者を集めてしまう人徳があった。


その少年は、決して激しくはない、しかし恐ろしいカリスマ性を持っていた。


―――――その少年は、『無能力者』で『幻想殺し』だった。

学園都市、科学が発達し、超能力を『開発』する歪な街。

だが、だれしも超能力を使えるようにはならなかった。

落ちこぼれ。

迫害される存在。

落ちこぼれたちは集まり、やがて迫害に抵抗して行く。

彼らは―――『武装無能力者集団』。

『スキルアウト』と、呼ばれた。

「半蔵、これちょっと改造がごつすぎて使いずらいぞ」


「え?かっこよくね三点バースト」


「実用性を考えろよ!こんなん人にぶっ放したら死ぬだろうが!!」


「いや、大将の男女平等パンチも結構えげつないぜ」


「………食らったら、5m以上吹っ飛んでそのままコンクリートを砕くからな」


「それは『発条包帯』を使った場合でせう!上条さんは普通はひ弱な少年なんですぅ!」


「気持ち悪いぜ大将。ですぅって」


「……そうだな」


「駒場さんも浜面もうるせ―!」

「何なのよその閃光弾はぁ!」


「木山印の対能力者用スタングレネード型新兵器、『演算消去』!これを食らったら5秒間は演算が乱れに乱れる!」


「そしてッ!」


「そのすきにッ!!」


「「「逃亡!!!」」」


「アンタ達、この『超能力者』御坂美琴に喧嘩売って後悔するわよ!特にそのウニ頭!!」

「警備員じゃん!車を止めて、大人しく投降するじゃん!」

「……上条、半蔵抑えてろ」

「了解」

「離せ上条!俺だけでも黄泉川さんにつかまりに行くんだ!」

「馬鹿な真似はやめろよ半蔵」

「げ」


「うげ」


「雲川先輩?」


「いい所に来た。君たちに依頼があるのだけど」


「すいません、今忙しいので失礼します」


「まあまあ逃げる事はないじゃないか。話くらい聞いてほしいんだけど」


「ぐえっ……捕まった!助けて半蔵!」


「無理だ、頑張ってくれ」


「大将!お前の事は忘れなぐえっ」


「浜面も半蔵も道ずれじゃあ!!」


「は、離せ上条!」


「雲川の奴の依頼なんて碌でもない事になるにきまってる!!」


「美少女達と一緒にじゃれあう仕事だとしても?」


「……」


「……」


「俺には黄泉川さんという心に決めた人が居るから」

「テメェら無能力者風情がッ!!!『超能力者』麦野沈利サマに勝てると思ってんのかぁ!!」



「………そうか」



「超そうですよ、デカブツさん。これ以上むぎのを怒らせない方が超身のためです」



「結局、あなたたちはおしまいって訳よ!」



「……滑稽だな、超能力者」



「あぁん!!?」



「……何故俺が、一直線に逃げ場のない工場に逃げ込んだのか、それすらも分からないとは」


「……射撃用意」



「……超大層な口ぶりだったくせに、精々ライフル7丁ですか?」



「自分が弱いから、仲間をシコシコ集めて?その程度でこの私を」



『そうだな、 お前たちには見えないよな。なんたって見えないようにしてるんだもんな。
 まったく、なにが『美少女とじゃれあう仕事』だよ、畜生』



『浜面、スイッチを落としていいぞ』



『……ねぇ、リーダーも大将も半蔵も俺を便利屋みたいに使うのはやめてくれない?』



「………!!!!?」



「な、こんな人数、一体どこに……!!」



「……対戦車ライフル7丁、アサルトライフル12丁、自動小銃32丁、軽機関銃6機。
 小型対能力者用音響兵器『キャパシティダウン』4基。大型施設用対能力者用装置『AIMジャマー』1基。

 ……これでも、この程度か?」



「テメェらっ…………!!!」



「無能力者をなめるなよ、超能力者」

「かッみじょおおおくゥゥゥゥゥゥン!!!!」



「あッそびっましょおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



「……ドアを壊すな、超能力者ども」



「ああああ!メルヘンな羽が!俺の相棒(バイク)にぃ!!」



「上条なら病院だぞ」

「私の名前は、インデックスっていうんだよ?」



「だ、そうだ。浜面」



「俺!?どう考えても大将に言ってるだろ!?」



「バカ言え、上条さんにこんな銀髪シスターさんの知り合いはいません」



「いいから早く話しかけろよ上条。幼女はお前の専門分野だろ」



「違ぇよ!?なんでそうなるんだよ!」



「だってフレメアと良くベタベタしてるし」



「……置き去りの施設に幼い少女たちを見に行っているな」



「誤解を招く言い方をするんじゃありません!上条さんの理想は寮の管理人のお姉さんです!!」



「……無視しないで欲しいかも」

出くわすはずのなかった、『無能力者狩り』。

訪れるはずのなかった、『第十学区のスキルアウトのたまり場』。

出会うはずのなかった、『寡黙な大男と、忍者の末裔』。

そして、共に戦うはずのなかった、『スキルアウト』。


数を揃えて、対策を練り、待ち伏せ、貶め、集団で銃を乱射する。

不意打ち上等、トラップ上等。




スキルアウトと幻想殺しが交わる時、物語は足取りを変えた―――――!!!



『とある無能の幻想殺し』、乞うご期待!!

投下終了です。

浜面は何か嫌われてますけど、それはアイテムの中でハーレムを築き上げてしまったからであって、
スキルアウト時代のバカな浜面くんに罪はないと思うんです。

vipで立て逃げするつもりだった、ふと思いついた1レス佐天さんネタ
vipのノリなので不快に思う人もいるかも

初春「へぇ。具体的にどんな能力なんですか?」

美琴「ヒカリマホウって一体なに? もしかしてゲームとかに出てくるアレ?」

黒子「まさか。この世に魔法なんてありませんの」

春上さん「めちゃくちゃうさんくさい能力なのー」

佐天「まぁ、口で説明するより実際使って見せた方がはやいですね。というわけでいきますよ~~!」タンッ

佐天「光魔法! カッコいいポーズ!!」ビシッ

キラキラ…

初春・美琴・黒子「「「カ、カッコいい……!」」」

春上さん「あ、あれ? 身体が動かせないのー」コキーン

佐天「はぁあああああああ!!」ピカー

黒子「ま、眩しくて何も見えませんわ」

春上さん「なっ、なのぉおおおおおおおっ!?」シュゥゥ…

春上さんを ひかりのかなたへ けしさった!

初春「やったぜ」

喫茶『かたみち』のラストを思いついたので投下に来ました

※佐天通行その他カップリング的な要素あり

 第七学区の北西端にある、口は悪いが根は優しい店主が経営する、小さな喫茶店。
昼時の賑わう店内を、商品を載せたトレイを持つ、白い青年が闊歩する。

「お待たせいたしました。こちら、フレンチトーストセットでございます」

「ありがとうございます」

「ごゆっくりどうぞ」

 青年は一礼し、他の客への対応にあたる。

「ふう。今日も余裕で捌ききったわね」

 二時過ぎ。
店の奥の厨房から出てきた女性が、ふわりとした髪をかき上げながら一人ごちる。

「お疲れさン」

「存外、この人数でも上手く立ち回れるものなのですね」

「店自体も大して広くねェし、客もそこまで多くねェからな」

 自嘲気味に店舗を評価する店主。
そう謙遜しなくても、と青年が言えば、ぶっちゃけそうだよね、と女性が肯く。

「私としてはちょっとしたヘルプのつもりだった筈なのに、思いの外楽しくなってきちゃった。このままここに永久就職しようかしら」

「悪くねェンじゃねェの? 料理担当の店員のままでいいならな」

「そんなの当たり前でしょ。だって、あんたの懐に永久就職するのは--」

 女性の言葉を遮るようにカウベルが鳴り、佐天涙子が入ってくる。

「こんにちはー! っておお! 麦野さんに垣根さん! 久しぶりですね!」

「お久しぶりです、佐天さん。壮健なようで何よりです」

「相変わらず元気ねえ、佐天は」

 青年・垣根帝督は丁寧に挨拶を返し、女性・麦野沈利は半ば呆れたように微笑む。

「いやー、二人が帰っちゃう前に来られるなんて、今日はやっぱりラッキーデイだなー!」

「ふむ。ここに来る前にも、何かいい事があったのですか?」

「星座占いランキングで一位だった、とかそんな感じでしょ」

「交差点で百円拾ったとかじゃねェの」

 佐天の一言に対し、それぞれが“らしい”反応を見せる。
そんな彼等に指を振り、

「んっふふ~♪ 実はですね~♪ じゃーん!」

 佐天は心底嬉しそうに、ポーチから二枚の映画チケットを取り出す。

「当たったんですよ! 先行上映会!」

「それってこの夏公開の話題作じゃない! うっわ、いいなあ、私も応募しとけばよかったー!」

 年甲斐もなく地団駄を踏む麦野に、

「絹旗さんが珍しく応募していた気がしますが」

 と言及する垣根。

「マジ!? 確かめてみる!」

 携帯を取り出し、同居人に電話を掛け始める麦野。

「では、私はお先に失礼します」

「お疲れ様でーす!」

 麦野の様子を見ながら、垣根は一礼して店を後にする。

「さてさて。いつものをお願いしますね、マスター」

「オウ」

 いつもの席に着いた佐天は、いつも通りに注文し、麦野に目を向ける。

「ああ絹旗? あんたさ、例の映画の先行上映会って応募した? ……おお! よっしゃでかした! ……ハアッ!? なんであいつらにあげちゃうのよ!?」

「最初からそのつもりだったあ? ふっざけんなよ! あいつらは公開されてから観に行きゃいいじゃねえかどうせ何度も観に行くんだし! 私は可及的速やかに観たいの!」

「……男女ペアじゃないと駄目? なら垣根と行くから私によこせ。いいわね? …… い い わ ね ? ……ありがと。愛してるよ、絹旗。……キモイ言うな。じゃあ、後でね」

 通話を終えて携帯をしまうと、上機嫌に鼻を鳴らしながら店の入口に向かう麦野。

「お疲れ様、麦野さん。先行上映会で会いましょう!」

「おーう、まったにゃーん☆」

 必死過ぎだろ、と店主は誰にも聞こえないように呟いた。

「ねえ、マスター」

「あン?」

 一杯目のマンデリンを飲み終えた佐天は、店主を見据えて話し掛ける。
彼女と視線を合わせ、店主は次の言葉を待つ。

「この上映会の日って、暇ですか?」

「ン……まァ、丁度定休日だから空いてるが」

 佐天の思惑を知ってか知らずか、質問された事にだけ答える店主。

「じゃあ、一緒に観に行きませんか?」

 期待の眼差しを店主に向けて問い掛ける佐天。
店主はそれに対し、何故自分なのか? と言いたげに質問を返す。

「オマエぐらいイイ女なら、誘いに乗る男なンざいくらでもいンだろ?」

 その返事を聞き、不満全開の顔で反論する佐天。

「そんな人いませんよ! もう、デリカシーないんだから!」

 ぷい、とそっぽを向いた佐天を、店主は慌てて宥めようとする。

「わ、悪かった、悪かったよ。ほら、二杯目はタダにしとくからよ、とりあえず機嫌直してくれ」

「ふーんだ。コーヒー一杯でなびくような軽い女じゃないですよーだ」

 完全に拗ねてしまった佐天に、どうしていいか判らずうろたえる店主。
そこに、

「こんにちは~」

 飴玉を転がすような甘ったるい声が、カウベルの音と共に入店する。

「あ、あれ? なんだか不穏な空気……?」

 声の主は、困り果てた顔の店主と膨れ面の佐天を交互に見やり、そう漏らした。

「あ、お、おォ。いらっしゃいませ、ご注文は」

 来客に気付き、慌て気味に接客する店主。

「えっと、キャラメルマキアートってありますか?」

「あ、は、はい。少々、お、お待ちを」

 この店主は、佐天の様子が気になって仕事どころではない。
そう察した女性は、

「あ、そんなに急がないので、本当にゆっくりで構いませんよ」

 と言って彼を気遣う。
すると、

「こんなのに気を使わなくていいよ、初春」

 佐天は彼女・初春飾利に、自分が不機嫌な理由を遠回しに告げる。

「佐天さん。気持ちは分かりますけど、こんなのなんて言ったらマスターに失礼ですよ?」

 流石にいただけないと感じた初春は、佐天の言動を諌める。

「なに、初春ってばマスターの肩持つの? 親友のあたしを差し置いて、こんな唐変木に味方すんの!?」

「そうじゃなくて。どんなに腹が立っていても、一定の礼儀は必要ですよ。それで、一体なんでこんな事になったんですか?」

 初春は溜め息を吐き、佐天が不機嫌になった経緯の説明を求める。

「せっかく先行上映会に誘ったのにさ。マスターってば、他の男と行けばいいだろーなんて言うからさ。なんか……なんか悔しいじゃない」

「だからって、流石にその態度は大人気ないですよ?」

「だーってえ!」

「はいはい、気持ちは充分に分かりましたから。まずは悪く言った事を謝りましょうね?」

「う~……」

 初春の言い分は正論だが、それでもなお納得いかないといった表情で、佐天は店主に向き直って謝罪を

「済まなかった」

「ふぇっ!?」

 しようとした途端に、先に店主に謝られてしまう。

「ちょ、なんで、マスターが謝るんですか!? あたしがつまんない事で怒っただけなのに」

「いや。オマエの言うとおり、さっきのは流石にデリカシーに欠けてた。怒って当然だ」

 もう一度謝罪し、頭を下げる店主。

「えっ、も、もう、いいですよ、頭上げて下さいよ! あたしのワガママが過ぎただけですから、マスターは全然悪くないですから!」

 今度は逆に佐天が慌てふためき、必死に店主の非を否定する。

「そンでよ、その……詫びって訳じゃねェが。オマエさえよければ、その、先行上映会、だったか。俺が相手でも、問題ねェか?」

 店主の提案に目を丸くする佐天。
しばらくの沈黙の後、彼女は静かに首を縦に振った。

「……ふゥ。断られたらどうしようかと思ったわ」

「……こ、断る訳、ないじゃないですか。そもそも、あたしが先に誘ったんだし」

 安堵の息を漏らす店主に、いじいじと指をくねらせながら言葉を吐く佐天。

「あー、ちと、暑いな。冷房入れてくるわ」

 そう言って店の奥に引っ込む店主。
一方の佐天は、

「あ、あたし、お手洗いに、行ってきますね」

 そそくさとトイレに逃げ込む。

「……まったくもう。二人共素直じゃないですよね、垣根さん?」

 一人残された初春は、そこにいる筈のない人物に話し掛ける。

『おや、お気付きでしたか』

 その一言に、いつの間にやらカウンターに置かれていた、白いカブトムシのオブジェが反応する。

「風紀委員ですから」

『お見逸れしました』

 垣根帝督、正確にはそのスレイブに当たるそれが、彼の代弁者となって語る。

『あの二人の関係も、これを機に一歩、せめて半歩でも前進すればよいのですが』

「まあ、私達が心配しなくても上手くいくでしょう。何しろ、あの二人の行く先は」

「『一方通行』」

「なんですから」

『そうですよね』

 第七学区の北西端にある、小さな喫茶店。
喫茶『かたみち』、またのご来店を、心よりお待ちしています。

これ以上は話が思いつかないのでこれにてお開きなり
お楽しみいただけたならこれ幸い
では、お元気で

ほのぼの白垣根で2レス頂く


すまんそういえばオリキャラとの絡みがある




学園男児「助けてカブト虫さーん!」

カブト虫「はいはい、どうしましたか」

学園男児「俺に採集されてくれ!」

カブト虫「ほう……、この第二位、垣根帝督を捕らえようとは、いい度胸です」

学園男児「あれ? 驚かないんだな」

カブト虫「夏休みになってからというもの、君のような子ばかりです」

白垣根「面倒臭いので、しばらくはこの姿のままでいることにしましょう」

学園男児「えぇー。ちょっとくらい協力してくれよ。白いカブト虫なんて、絶対ぇ勝てるもん」

白垣根「自由研究とは勝ち負けではありませんよ」

学園男児「俺達のようなコドモは、所詮勝ち負けで多くの物を判断してっぞ」

白垣根「その言い草。子供らしくありません。ところで自由研究以外の宿題はどうですか」

学園男児「それをやりたくないから、自由研究から始めてんの!」

白垣根「私を採集しようとする他の悪ガキさんと同じですね」


白垣根「そちらのお勉強の方でしたら、手伝ってあげられますよ?」

学園男児「うおぉぉぉおおおおおおおおお!!」

白垣根「え、ちょっと、どうしたんですか」

学園男児「ごめん。嬉しくってつい……。はぁはぁ」

白垣根「君が今までで一番手が掛かりそうです」

白垣根「……あ、あくまで分からないところをサポートするだけですからね! 答は簡単に教えたりしませんよ!」

学園男児「分かってるよぉー。カブト虫さんのために、樹液ゼリー買ってあんだ! 早く俺んち行こーぜ!」

白垣根「わぁー、それは楽しみです(棒)」






すまんオリキャラとの絡みしかなかったな

1レスもらいます。







ローラ「……」

リドヴィア「……」

ローラ「……」

リドヴィア「……何か喋ってください」

ローラ「……申し訳ない」

リドヴィア「……」







ローラ「まさか……ッ! まさか漫画では巨乳になっていようとは……ッ! 断崖絶壁野郎と言って本当に申し訳なきにと思うたりているわ……ッ!」

リドヴィア「黙れ」

2スレ程度もらいます

~あらすじ~
麦野達はグレムリンに連れさらわれた浜面を助けに「船の墓場(サルガッソー)」へ
そこで麦野は浜面を連れ去った当本人・ウート・ガルザロキから「浜面仕上はもう目を覚ますことはない」と告げられる
怒り狂った麦野はウートに渾身の“原子崩し”を喰らわすのだった。
しかしそこにはウートの姿はなく、浜面は目を覚ますのだったが……



麦野「はっ…生きていたのね!浜面ーー!!」ダダダッ

浜面「フッフフフ…クッフフフ……」

麦野「えっ!?」

浜面「フッフフフ…クッククククク……なぁーんちゃってwww」
(参考画像ttp://img5.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/7e/ac/kougyo_songohan/folder/79561/img_79561_24684388_6?1365152865

麦野「は、浜面!?」

浜面(?)「イッヒヒヒヒハハハハハ、おかしくって腹痛いわ~wwww」

麦野「あ、あんた、何を言って……」

浜面(?)「面白いやつだなお前、ほんとに俺のことを…ウッヒヒヒヒヒヒヒw」

浜面(?)「なら見せてやろうかぁ!?もっと面白いものをよぉ!!」 クワッ
(参考画像ttp://blog-imgs-51.fc2.com/b/o/b/boblo2/yokare_kao-gay_720_405s.jpg

浜面(?)「ビイィィィヤァァァァ!!マジカルフォーーゼェ!ビイィィィヤァ麦野ォォォォォ~~!!」


なんと!そこに現れたのはウートガルザロキだった!


麦野「お、お前は……」

一同「ウートガルザロキ!?」

麦野「テメェ……浜面に化けてやがったのかッ!それじゃあ、おい!本物の浜面はどこだ!」

ウート「本物ぉ?誰それえ。俺、ウート。鈍いなぁ俺が浜面だよォ!」

麦野「そんなあってたまるかぁ!だって、さっきまでウートは私と戦ってた。この前だって!」

~回想~

麦野「私と戦って浜面を……」

ウート「まぁだ分からないのかよぉw この前戦っていたのも、さっきまで戦っていたのも!俺が生み出した幻術だよ!!」

ウート「本物の俺は、お前の仲間、浜面仕上に化けてたってわけだぁ」

ウート「ジャンジャジャ~~ン!!今明かされる衝撃の真実ゥ」 コリコリ

ウート「いやぁ本当に苦労したぜ、間抜けな下っ端演じてつまらねえ協力までしてさあ」

麦野「そ…そんな…」

絹旗「浜面仕上がグレムリン!?」

オティヌス「姑息な手を…」

トール(オッレルス)「ふっ……」

ウート「しかしお前は単純だよなァ、俺の口から出たでまかせを、全部信じちまうんだからなァ!ウッヒヒヒヒヒヒww」

ウート「フレメアを守るぅ~~?新生アイテムぅ~~?wwwウッヒャハハハハハハハ!!楽しかったぜェwwwお前との仲間ごっこォ~~!!」

ウート「助けに来てくれて、ごくろうさん!麦野リーダー!(キリッ ウッヒャハハヒヒハハハwww」

麦野「ふ、ふざけんな…(涙目)」

ウート「ウッヒャハハヒヒハハハwww」

麦野「お前が浜面なわけがねぇ!!」

麦野「あ、アイツは…アイツは…人を騙すような奴じゃねぇんだ!!」

ウート「ヒッハハハハハハハ!じゃあ言ってやる!お前の指には俺との絆の指輪が?」

麦野「はっ……!」
回想- この指輪は、お前に渡しておく(キリッ

滝壺「むぎの、どうして黙っていたの?指輪のこと」

麦野「ち、違うのよ!私は……」

ウート「フッ…言えないよなァ、固い友情で結ばれた大切な仲間、は ま づ らの頼みだもんなぁ!!ウッヒヒヒヒヒヒャハハハハハwww」

滝壺「むぎの!」  

麦野「くっ……!」

ウート「ありがとうよ、俺との約束を守って、みんなに黙ってwいwてwwくwwれwwてよォwwwホホウッwwヒハハハハハwwウハハハハハフッハハハハハハwww」


麦野「くそっおおおおおおお!!」ビィィィィィィッ

投稿しゅーりょー
わかる人は判るゼアルネタ。真ゲス
浜面の声優が日野聡だったことと最新巻の試し読みで「船の墓場(サルガッソー)」が出てきたので……
ウートさんの幻術が一番違和感なかったので……
正直スマンカッタ

3~5レス借ります。


新約8巻の試し読みとエンデュミオンの奇蹟を見てたら考えつきました。


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とある夜。

上条 当麻は今日の出来事を思い出していた。


今日の不幸

・アラームが壊れ、寝坊した
・急いで朝食を作るも全てインデックスに取られた
・走って学校に行くも、ビリビリに鉢合わせ
→結果、追いかけっこ(電撃付)開始
・結局遅刻。補習が増えた
・授業中、腹の音が鳴り響く
・昼休み、購買に急ぐも目の前で売り切れ
・空腹のまま教室に戻ると、男子が一斉にこっちを向く
→ビリビリの事でまたも追いかけっこ(男子と) 理不尽だ……
・補習がなかなか終わらない
→タイムセールに間に合わず。今日の夕飯はもやし(確定)
・帰り道、不良に絡まれる
→帰るのが遅くなりインデックスに噛まれる
・夕飯時………………


ここまで思い出して上条は思い出すのをやめた。

感想は一つ。自分の不幸は絶好調らしい。


「奇蹟でも何でもいい。幸せになりたい……」


上条はボソリとバスタブで呟く。

上条の悲痛の願いであった。


……………………………………

…………………………

………







とある魔術の禁書目録ss

『とある奇蹟の幸福大作戦(ハッピーエンド)』







………

……………

……………………

上条当麻の不幸は朝から始まる。

今回の不幸は何か柔らかいものが体に当たっていること。

目を開けていないため『何か』が何かわからないが、

結構最近もこんなことがあった気がする。

確かあれもこんな日の朝だった。

目が覚めるとレッサーとバードウェイが両隣で寝てた。

これだけ聞くととても羨ましいが、

壁を壊して侵入され、インデックスの噛みつき制裁が待ってて、

この後死闘が待ってることまでがこの不幸だ。

今回のこれも同程度。またはそれ以上の不幸になるであろう。

取り敢えず状況を把握するためにうっすらと目を開ける。


「………………………………………ッ!?」


そこにはあの『エンデュミオン事件』の時、

シャットアウラ=セクウェンツィアと同化し消えたはずの少女。

鳴護 アリサ がそこに存在していた。







……………………………………………全裸で。


「もうやだ………わたくしもうイヤだぁぁぁぁあああああっっ!!」


上条 当麻は全力で叫ぶ。

インデックスのガブガブグチャァなんて知るか。

アリサが目を覚ましてキャァアアパッチーンなんて知るか。

アドリブに強い? 前回も同じようなことあったろ?

知るか。前回の事で思い知ったわ。

『どうあがいても結局制裁は下る』

つまり上条ができることは一つ、

この状況をどうにかすることだ。


「…………ん……ん、んん…………うみゅ?」


起きた。

まぁ、こんだけ騒げば当たり前だろう。

それと同時に上条の叫びも小さくなっていった。

そして、アリサが寝ぼけ眼で


「……とうまくん?………とうまくんだー、えへへぇ………」


ギュ、っと抱き締められる。全裸で。

その決して小さくない『それ』が直に当たる。

その感触に、普通の高校生上条 当麻は…


(…………………………………………ああ、もういいや)


すべてを諦めた。


「うぅー、とうまー! さっきのうるさかったんだよー!」


扉の向こう側からインデックスの声が聞こえる。

この後に起きることを予測して血の気が引くが、

この感触が味わえたのだからこれは『幸福』だろう。


「………あっ、あれ? 夢じゃない? というか…………ッ!?」


アリサの意識も戻ってきたらしい。

何で出てこれたのか等の疑問もあるが、

取り敢えずはビンタされるか、叫ばれるか。

もしくは両方であろう。

しかし、あの感触が味わえたのだから、

これは十分『幸福』だろう。


しかし、それでも上条はちゃんと諦めるためにこう呟く。


「…………………不幸だ」


その後のことは想像に難しくない。

二レス程頂きます

もしアレイスターがお母さん的存在だったら

上条「ふぅ、じゃあ学校行ってくるぞ」

アレイスター「ハンカチは持ったか?」

上条「ああ」

アレイスター「筆箱は忘れてないな」

上条「おう」

アレイスター「弁当は?」

上条「あるよ」

アレイスター「お箸は入っていたか?」

上条「心配症だなあ。大丈夫だって

アレイスター「む、そうか。では気をつけていってくるんだぞ」

上条「いってきまーす」

フロイライン「お弁当、忘れてるよ」

上条「マジで!?」

アレイスター「私が言った通りじゃないか」

フロイライン「投げた、ほうがいい?」

上条「いや、取りに行くよ」

フロイライン「はい」

上条「ありがと、姉ちゃん」

アレイスター「そろそろ遅刻するんじゃないか?」

上条「やっべ、じゃあいってきまーす」

ガチャッ

オティヌス「遅いぞ当麻」

上条「悪い悪い! 行こうぜ!」

オティヌスが幼馴染なら平和だっただろうな、とか思ったり。

というか踏んじゃったんじゃないですかねえ

2レスもらう


浜面「こんなこと、誰にも言えねぇからここで吐きださせてくれ」

浜面「特に仲間……、アイテムのやつらには、な。聞かせることは出来ない」

浜面「麦野ってさ……」

浜面「あいつの能力、ビーム出すじゃん」

浜面「アレぶっぱなしてる時って、大体ピンチで落ち着いてる場合じゃねんだけどよ」

浜面「時と場合によっては、俺、いつも思ってた。考えてた」

浜面「麦野の胸部あたりから、光線が出て見えるタイミングがあるとだな……」





浜面「ちくビーム」


浜面「あぁ、乳首からビームで、『ちくビーム』だ」

浜面「ハハ。どーしようもねぇだろ? 俺ってほんと馬鹿だよなぁ」

浜面「……、ありがとよ。こんな俺に気ぃつかってくれてよ」

浜面「あんたに話して良かったよ。すっきりした。じゃあな」


そして、彼は去っていく――





御坂っていつも怒ってんじゃん

3レス程度いただきます

「キャァーー!離して!!」


「へへ、叫んだって誰もこねえよ」


「あんま可愛くねぇな…まあいいか、おい、さっさとやるぞ」


「いやぁぁぁ……」


「泣いてんのかコイツ?」



「なん…で、私ばっかり…こんな不幸な目に………」



人間には二つの種類がある

「ツイている人間」と「ツイていない人間」


私はツイていない方の人間だと思う



「離して!離してよ!」


そして私は、今日もツイていなかった

「げへへ…だから、意味がねぇって…」



「あれ、お宅誰?」



でも、その日の私はツイていた

いや、正確には私はツイていなかったんだ。でも


「あれ、可愛い子がいる。全く今日も上条さんはあいかわらずツイてるな」


そんな不幸な私の目の前に、一人の男が現れた


「あぁ?てめえ誰だよ!」


「上条当麻。別名、ラッキーボーイ」


口に食べかけのアイスを加えたその男は、中肉中背のウニみたいなツンツン頭で私の事を見ながら口を開いた


「その子、お宅の彼女さん?」


「だったらどうした!?」


「助けてください!!」


一心不乱に叫んだ

地獄に降りて来た一筋の蜘蛛の糸

私はそれを全力で掴んだ


「その反応、どうやら違うみたいだな」


そして彼は、幸運なその男は私を助けようとした


「チッ……おい、お前ら」


「やるのか?」


「仕方ねぇ、見られたんだ」


「助けてって事は、これで助ければ女の子の高感度アップ…ツイてるな……それに対してお前らは俺に倒される…ツイてねぇーな」


「はぁ?何言って…」




「だって、こんなツイてる俺を敵にまわしちまったんだからよ」


そいつの第一印象は「最悪」の一言だった

「あ?何言ってんだコイツ」


「やっちまえ!」


「やめとけ、運気が違う」


そう言って彼はクラウチングスタートの体制に入った


「テメェ…!」


「よーい、ドン!」


そう言って、駆け出した

信じられないスピードで、彼は不良との距離を詰めて行く


「へへへ、こっちにはエモノがあんだよ!」


そう言って、チンピラの内の一人が一直線に進んでくる男にバットを振った

そして、鈍い音と共に男が振っとぶ

はずだった



「うわっと!」



その瞬間、彼は転んだ。

ど派手にぐるんと一回転してちょうど前転のような形になった

バットは空振り、チンピラはその所為で体制を崩す



「何だか知らねーが、隙あり!」



男はその隙を逃さずにチンピラの腹に重い一撃を叩き込む

事切きれたようにその場に倒れこむチンピラ


「ほら、ぼさっとしてるとやっちまうぜ!」


「そんな事よりアイス食おうぜ!」



食べていたアイスを二人目のチンピラの顔に投げる

と同時に飛び蹴り、後ろに立っていた男も巻き込んで一気に二人を倒す



「ほい、こいつで全員か?」


「……え?」



強い。

突如現れたこの男は驚くほど強かった

一言で表すなら強運で凶運。何と言うか、いろんな意味でツイている男だった



「ふぅ、それじゃ。上条さんは忙しいのでこれで」


「あ、はい…」


これが、すべての始まり。

コイツと会わなければこんな事は無かったし、こんな事はあり得なかった

だけど、それでも良かった。私はツイていた



だって生まれて始めて本当に「ツイている人間」に合う事が出来たから


「お、アイス当たりだ」



『とある幸運な上条当麻』
幸と不幸が交差する時、物語は始まる

つづかない

投稿終わり
3レスと言ったのに4レス使ってしまいすいませんでした
お目汚し失礼致しました

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