エレン「ミカサ」(174)
たったら書く
あ、建った
注意
・ネタバレあり
・キャラ崩壊あり
始まり
エレン「俺はミカサに恋してるのか?」
アルミン「…いきなり何を言い出すんだいエレン…」
エレン「いや、なんかふと思い出して」
アルミン「課題に集中しようよ…」
エレン「…飽きた」ムスー
アルミン「だと思ったよ…」ハァ
エレン「俺はミカサに恋してるのか?」
アルミン「それを僕が分かると思うのかい?」
エレン「アルミンは頭がいいから。
何でも知ってるだろ?」
アルミン「僕にも分からないことはあることを、君は覚えた方がいい」
エレン「ごめん…」シュン
アルミン「…」…ハァ
アルミン「分からないけど、相談にはのるよ?」
エレン「本当か!?」パァ
アルミン「いつまでもそんな調子じゃ、課題も進まないからね」ニコッ
エレン「」
アルミン「んで、なんでそう思うのかい?
ふと思ったにしても何か切っ掛けがあるだろ?」
エレン「あ、あぁ。
この昨日の夜の話なんだけど――」
回想
兵舎 就寝時間前
ジャン「エーレーンー!!」ダダダダバタン!
エレン「なんだようるせぇな。
寝させろ。明日に響く」
ジャン「お前はミカサのなんなんだよ!!」
エレン「は?だから家族だって言ってんだろ」
ジャン「家族だからってあんなにベタベタするわけないだろ!」
エレン「それはあいつが勝手に――!」
マルコ「はいはいストーップ。
ジャン落ち着いて、寝てる人に迷惑だよ。
ごめんね、なんか興奮しちゃって」ニガワライ
ジャン「ふがぁぁぁぁぁぁぁ!」ジタバタ
ライナー「どうしたんだ?ジャンらしくない」
マルコ「今日の訓練中、なんか調子悪かったみたいなんだ。
で、さっきミカサと偶然あったんだけど無視さちゃったんだ。
そしたらついに爆発した。
まぁミカサは気付いてなかっただけだと思うんだけどね…」
ジャン「何もかもお前が悪いんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」ジタバタ
ライナー「…そろそろ現実を見ろ、ジャン」アワレミノメ
ベルトルト「君にだけは言われたくないと思うよ」
ライナー「どういう意味だこの野郎…」
マルコ「止める間もなく行っちゃったから焦ったよ」クビシメ
ジャン「マル―…くるじ――…エレン、―許ざん…――!!」ガク
マルコ「寝れば落ち着くと思うから。
本当にごめんね?」ズルズル
エレン「お、おう」アセ
ベルトルト「なんかジャンの扱いに慣れてきてるよね、マルコ」シンデナイヨネ?
ライナー「俺、始めてお前に恐怖したわ…」エガオデオトシオッタ…
マルコ「凄く嬉しくなこと言われてる気がする」ポイッ
マルコ「じゃあ僕も寝るね。おやすみ」
エレン「おやすみ」
ライナー「おぅ」
ベルトルト「おやすみなさい」
ライナー「…で?実際にどうなんだ?」
エレン「なにがだよ」
ライナー「ミカサとことだよ!まぁ黙ってれば別嬪だよな〜」
ベルトルト「言動は残念だけどね」
エレン「だから家族だってさっきっから言ってるだろ」
ライナー「血縁でもないし、異性なんだぞ!普通それだけじゃないだろ〜」
エレン「いや、意味が分からん」
ベルトルト「…エレンはミカサの事は好きなの?」
エレン「?好きだけど?」
ベルトルト「恋人にしたい?」
エレン「は?なんていきなり恋人にしたいか聞くんだよ」
ベルトルト「…恋したことある?」
エレン「…恋ってどんなことを恋っていうんだ?」
ライナー「恋って言うのはあれだ!その人の事をいつも想って!」
エレン「いつもは想わねぇな」
ライナー「考えると、胸がギュゥッとなるんだよ!」
エレン「病気じゃねえか?」
ライナー「後はそうだな、いつも一緒に居たいとか!」
エレン「特に思わねぇ。てか既にいつも一緒にいる」
ライナー「…」
ライナー「完全に負けた気がする」
エレン「なんでだよ」
ライナー「こいつミカサに恋してないんじゃないか?」
ベルトルト「う〜ん、どうだろう…」
ライナー「というと?」
ベルトルト「エレンは恋についてよく知らないから、
ミカサについての好きか恋かどうかわからないってこと」
エレン「おい」
ライナー「ほぅ…。
つまり恋してるかもしれないって事だな?」ニヤニヤ
エレン「勝手に話進めるな」
ベルトルト「可能性はあるかもね」
エレン「おいこら聞けよ」
ライナー「…よく意識し始めるとって話聞くな?」ニヤニヤ
エレン「耳クソでも詰まってんのかこいつら」
ベルトルト「否応なしに考えてしまうからね」
エレン「きーけー!!」
ライナーベルトルト「で?どうなんだ(い)?」
エレン「」ピキッピキッ
回想終わり
エレン「――って事があったんだよ」
アルミン「気付かなかった…。
ていうかベルトルト珍しくノリノリだね」
エレン「お前ここに来てから早寝熟睡だからな。
とりあえずあいつらを一発ずつ殴って寝たんだけどな…」
アルミン「確かにあれは殴りたい」
エレン「俺ってミカサに恋してるのか?」
アルミン「う〜ん…」
エレン「あぁいう風に言われると、気になっちまうんだよな。
この際、はっきりさせたい」
アルミン「…ちなみに、あの後ミカサへの意識は変わった?」
エレン「全然」
アルミン「まぁそうよね。いつもと変わらなかったし」
エレン「って事はないでいいんだよな?」
アルミン「う〜ん…」
エレン「どうしたんだよ。
そんな煮え切らない様な声だして」
アルミン「どうだろう…。
僕にもよく分からないんだよね。
恋というのは一概に何とは言えないと思うんだ。
そもそも、言葉というのはとても難しい分野の一つだと思う」
エレン「そうなのか?」
アルミン「普段、普通に使っているから気付かないけどね」
アルミン「そうだね…。
この世には、大きく分けて2種類の単語があると考えてる。
限りなく明確に近い単語と曖昧な単語ってね」
アルミン「限りなく明確に近い単語って言うのは、
僕が今使ってるような、説明するために生まれた単語達だ。
そりゃそうだよね。
相手に自分の考えを理解してもらう為に生まれた単語なんだ。
単語に対して自分と相手の認識が違ってしまっては意味がないからね」
エレン「ふむふむ」
アルミン「もう一つの曖昧な単語っていうのが、
複数の意味が含まれている単語、又は曖昧にならざるおえない単語達ね。
前者だと…例えば"辛い"は"つらい"の他に"からい"とも読める。
(※向こうの言葉にもあるかわからないけど、分かりやすい様に日本語にしたよ)
まぁこれの場合は、前後の文章をちゃんと読み取れれば特に問題はない。
問題は後者だ」
エレン「…曖昧にならざるおえない単語ってあるのか?」
アルミン「今現在考えてるじゃないか」
エレン「…あ!」
アルミン「そう。"恋"とか"好き"…つまり感情を表す言葉だ。
まぁ他にもあるけど、今はこの事に焦点を置かせてもらうよ」
エレン「お、おう」
アルミン「感情と言うものは見ることも出来ないし測ること無理だ。
人それぞれ、定義と言うものが違うんだ。
辞書に書かれてる説明なんて、ただ辞書に書くためにそれっぽく書いてるだけなんだよ」
エレン「いいのか?そんなんで」
アルミン「仕方がないんだよ。それしか出来ないんだから」
エレン「ふ〜ん」
アルミン「環境や状況によっても意味合いが変わってくる。
エレン、さっきっから僕が"明確"と断言しなかった理由がわかるかい?」
エレン「そういえば…なんでだ?」
アルミン「使う人間が曖昧な存在だからだよ」
エレン「!」
アルミン「人間っていうのはころころと感情や考え方が変わるんだ。
それによって、明確に近い単語でさえ意味が微妙に変わってくるんだ。
まぁそれを無くすために数値を使うようになっていったけど、
ここは本題には関係ないから飛ばすね」
エレン「おう」
アルミン「感情を表す単語と言うのは、
曖昧な人間の感情をどうしても他人に説明するためには単語を作ったに過ぎない。
それじゃあ曖昧にならざるおえないよね。
さらに、曖昧な人間が使うでより曖昧になって行くんだ」
エレン「なるほどな」
アルミン「だから、ライナーが言っていたことが全てだと思ったら駄目だよ?
あれはライナーの"恋"に対しての定義でありエレンにとっての"恋"の定義ではないんだ」
エレン「じゃぁどうやって知ればいいんだよ」
アルミン「そうだね…、もしかしたら時が教えてくれるかもね。
世の中、曖昧な単語でも自分なりに答えを見つけ出し、結婚してる人も居るんだ。
いずれ見付けられるものかもしれないね」
エレン「そういうものか?」
アルミン「そういうものもあるんだよ。
正直、エレンは早くスッキリしたいと思ってるんだろうけど、
僕はそう早々と答えを出さなくていいんじゃないかと思ってる。
これは、自分で答えを見付ける―いや、感じなきゃ意味がないんだ」
エレン「感じる…か…。
難しいなぁ」ウーン
アルミン「だからこそ、言語学者は滅びないんだろうね。
言語だけじゃない。どんな小さいものでも突き詰めれば奥が深いんだ。
だからそれを調べる研究者が生まれ、学者が生まれるんだよ」
エレン「…深いな」
アルミン「深いね。
けどその深さを恐れて考えるのを止めたら駄目だよ?
人間が考えるのを止めたとき、それは人間じゃなくなる。ただの獣だ」
エレン「け…もの?」
アルミン「そう、人間と獣の最大の違いは思考能力だ。
それを伝えるために言葉が生まれた、記録するために文字が生まれた。
考えるから自分より大きな物に勝つことも出来た。
思考能力と言うのは、人間の特徴と同時に人間の武器でもあるんだ。
そう、巨人に勝つために思考する僕らは、
何度も何度も謎という鉄を熱で溶かし、思考と言う槌で叩いて、
丈夫な――巨人を倒す刃を作ってる鍛冶屋なんだ…」
エレン「アルミン…」
アルミン「ごめん、話がそれたね」
エレン「いや、いいんだ。
おかげで答えが見付かった気がする」
アルミン「本当?」
エレン「あぁ。まぁまだ正確には見付けてないけどな…。
考えるよ。自分なりに定義――って言うのか?
それを見付けるまで、考え続けるのが答えなんだと思う。
俺は人間だからな」
アルミン「そっか。
それがエレンなりの答えなんだよ。
よかったね、見つかって!」ニコッ
エレン「あぁ!お前に相談してよかった!」
アルミン「…」
アルミン「さて!休憩は終わりだね!
課題を再開しよう。長話しちゃったよ」パンパン
エレン「げ、全然頭休まってないぜ…」グテーン
アルミン「あんな質問するエレンが悪い。
さぁ、早く始めないと終わらないよ?」
エレン「へーい」
アルミン「…まぁなんか様子が変わったら教えるよ。
多分、エレンやミカサの様子の変化に気付くのは、僕だからね」
エレン「あぁ、頼むわ」
アルミン「さてと…何処までやったか――」
ガチャ
先輩訓練兵「アルミン・アルレルト訓練兵。居るか?」
アルミン「!?ハッ!
私がアルミン・アルレルトであります!」
先輩訓練兵「教官がお呼びだ。今時間平気か?急用ではないらしいんだが…」
アルミン「今…でありますか?」
アルミン「」チラッ
エレン「」ハヤクイケッテ
アルミン「分かりました。
今行く準備をするので、少々お待ちを…」ゴソゴソ
エレン「また食堂でな」ホレコレモ
アルミン「うん、遅れたら先に食べてて」アリガトウ
先輩訓練兵「アルレルト、行くぞ」
アルミン「!はい!」ダッ
バタン
エレン「…考え続けること…か…」
続く?
因みに言語学については齧り程度しかやってないからいろいろ間違ってるよ。
仕方ないね!馬鹿だもの!
続いた
食堂への道
エレン「…づがれだ…」トボトボ
エレン(結局課題も終わらなかった…)
エレン(頭使いすぎたんだな…)
エレン(人間、考え続けなきゃいけないけど、たまには休憩も必要だな)ウンウン
ライナー「よう、エレン」
ベルトルト「こんばんは」ヒラヒラ
エレン「おー、お前らか」
ライナー「ん?なんか疲れてないか?」
エレン「いろいろ頭使いすぎたんだよ。
課題もまだ終わってないし、最悪だぜ…」
ベルトルト「課題にしては疲れすぎてない?」
エレン「ん〜?
まぁ、考えてたのは課題だけじゃないからな」
ライナー「」ピコーン
ライナー「さてはエレン、ミカサの事だな?」ニヤニヤ
エレン「まーなー」
ライナー「どうなんだ?なんか変わったことはあったか?」
エレン「全然」
ベルトルト「全然なのに疲れたのかい?」
エレン「単語にある奥深くの意味を探して」
ライナーベルトルト「?」
エレン「つまりは恋ってなんだろうな…」
ベルトルト「…分からないなら一度デートしてみれば?」
エレン「デート?」
ライナー「ほぅ…デートか。
言うなぁ、ベルトルト!」
エレン「なんだろう、昨日のデジャブ」
ベルトルト「最近は三人で行動してたんだろ?
二人で行動したら、何か違ってくるかも」
エレン「おーい」
ライナー「なるほど、状況を変えるってことか。
ただでさえアルミンは人間関係緩和効果があるからな」
エレン「やっぱり聞いてないよ…」
ベルトルト「アルミンが居るのと居ないのとでは全然違うだろうからね」
エレン「…」
ライナーベルトルト「で、どうするんだ(い)?」
エレン「お前ら…」
ライナーベルトルト「うん?」
エレン「楽しんでるだろ」
ライナーベルトルト「もちろん」
エレン「」ドスッゲシッ
ライナー「いてっ!」
ベルトルト「あたっ!」
エレン「いい加減にしろ!」
ライナー「肘が…腰に…」
ベルトルト「腿痛い…」
エレン「たく、人で遊びやがって」スタスタ
ベルトルト「けど状況を変えるのも一つの手だと思うよ」スリスリ
エレン「?」
ベルトルト「考えても分からなければ行動してみないと」
エレン「…」
エレン「」スタスタ
エレン(行動…ね)
食堂
ミカサ「エレン、こっち」
エレン「おう」スタスタ
ミカサ「アルミンは?」ストン
エレン「教官に呼ばれて行った」ストン
ミカサ「教官に?」
エレン「最近教官と白熱した議論かましてたからな」サスガアルミンダ
ミカサ「…そう」サスガアルミンネ
エレン(う〜ん、考えてみてもなんも分からないな。
まぁそう簡単に考えが変わったら、苦労しないか)
ミカサ「どうしたの?難しい顔してる」
エレン「考え事してるからな」
ミカサ「考え事?そんなに悩んでいるなら、私が協力する」
エレン「いや、別に――」
ベルトルト『デートしてみれば?』
エレン「…」
ミカサ「?エレン?」
エレン「…お前今度の休日は暇か?」
ミカサ「私は特にない」
エレン「じゃあ出掛けないか?」
ミカサ「分かった。後で教官に許可を得よう」
エレン「二人で」
ミカサ「」カシャン
ジャン「」ガタッ
エレン「あ?どうしたんだよスプーン落として」
ミカサ「ななななんでもない///」
エレン「?顔真っ赤だぞ?熱でもあるのか?」
ミカサ「だだだだい、だぃ…じょぅぶ…///」
エレン「ならいいけどよ」モグモグ
ミカサ「///」カタカタカタ
エレン(まぁこのまま同じ状態で考えても同じだよな。
ベルトルトの言った通り、行動するのもいいかもしれないし。
まぁやって損はないだろ)
アルミン「エレン、ミカサ!お待たせ!」ダッ
エレン「おぅ、お疲れ」
ミカサ「お、お疲れ///」
アルミン「?どうしたの?ミカサ。
顔真っ赤だよ?具合悪い?」ストン
エレン「さっき休日二人で出掛けないかって言ってから様子が変なんだ。
本人は平気だって言ってるから大丈夫だろ」ガツガツ
アルミン「えぇ!二人で!?」
アルミン「――っ!」キッ
エレン「そうだけど、…どうしたんだ?怖い顔して」
アルミン「ハッ!なんでもないよ!!
そっか、二人で行動だなんて久しぶりじゃないか。
楽しんで来てね、アハハハ」
エレン「?」
ミカサ「///」
続く?
続いた
休日
エレン「いい天気でよかったな」
ミカサ「うん///」
エレン「さて、時間も少ないし、行くぞ」スタスタ
ミカサ「あ、う――…」
ミカサ「」ジ――
エレン「?ミカサ?」
ミカサ「…なんでもない。行こう」スタスタ
エレン「おう」スタスタ
ミカサ「」スタスタ
エレン「」スタスタ
エレン「…何処行く?」
ミカサ「エレンが行きたいところなら何処へでも」
エレン「…欲しいものは?」
ミカサ「特にない」
エレン「」
ミカサ「」
エレン「とりあえず、訓練に使う服買うか…」スタスタ
ミカサ「分かった」スタスタ
間
エレン「これぐらいあれば、暫く持つだろう」ウシ!
ミカサ「エレンはすぐに怪我をする。
気を付けた方がいい」
エレン「失敗しなきゃ覚えないだろ!
失敗には怪我は付き物だ!」
ミカサ「私は、それで大事にならないか心配している。
事実、怪我で兵士になるのを諦めた者もいたし、死んだ者もいた。
度が過ぎれば、エレンもそうなってしまう」
エレン「ならねぇよ!
俺にはやるべき事があるんだ。
それまでは死なねぇ…。
死んでたまるか…!」グッ
ミカサ「思いだけじゃどうにもならないこともある」
エレン「俺はお前の弟でも子供でもねえぞ…!」
ミカサ「!…ごめんなさい…私はこんな話をするつもりはなかった…」シュン
エレン「…悪かったよ、俺も。次行くぞ」スタスタ
ミカサ「…」トボトボ
エレン「…次って何処行くんだ?」
ミカサ「」
エレン「」
エレン「…アルミンのお土産買うか」スタスタ
ミカサ「そうしよう」スタスタ
書店
エレン「アルミンは何か欲しがってたっけ?」
ミカサ「分からない。エレンの方が知ってるはず」
エレン「は?なんでだよ」
ミカサ「エレンは私よりアルミンと付き合いは長い。
それに同じ男子寮。エレンの方がアルミンと長く一緒に居るはず。
だから、エレンの方が詳しい」
エレン「俺にもアルミンの分からない事はあるぞ。
だから、こうしてお前に聞いてんじゃねぇか」
ミカサ「エレンが分からないことは、私も分からない」
エレン「…店員さんに聞くか。
最近発売された学術書ならアルミンも持ってないだろう」
ミカサ「それがいい」
エレン(…ん?前にもこんなことがあったような…)
間
エレン「もうお昼か…飯食うか」
ミカサ「わかった、食べよ――」
おばちゃん「あー!財布!財布がない!!」
エレンミカサ「!?」
おばちゃん「あいつよ!あいつがとった――」
エレンミカサ「」ダッ
ミカサ「」ひったくりに膝を蹴る
エレン「」ひったくりの肩を掴んで引きずり倒す
ひったくり「うわ!」後ろに倒れる
ドシンッ!
エレン「早く財布を返せ!」
ひったくり「は、はい…」
エレン「ミカサ」
ミカサ「おばさん、これですか?」ス―
おばちゃん「は、はい!ありがたや…ありがたや…!」
エレン「」ホッ…
憲兵団「はいはい、通して通して」
エレン「」ザッ←ひったくりの後ろ手を拘束ながら敬礼
ミカサ「」ザッ
憲兵団「あぁ、こいつがひったくりね。
あ〜、君たちは…?」
エレン「ハッ!
第104期訓練兵団所属、エレン・イェーガーです!」
ミカサ「同じく、ミカサ・アッカーマンです」
憲兵団「あぁ、訓練兵ね。
キース教官には伝えておくから、下がっていい」
エレン「ハッ!
よろしくお願いします!!」クルッ
エレン「…お前は来なくてよかったのに…」
ミカサ「エレンより私の方が強い。
何かあったら、私の方が対処できると判断した」
エレン「…チッ」
ミカサ「…」
続く?
続いた
広場
エレン「…」
ミカサ「…」
エレン(あ〜、嫌な空気になっちまった…)
エレン「」チラッ
ミカサ「」ショボン
エレン(なんでこんなに落ち込んでるんだよ…。
しょうがねぇな)
エレン「お前さ…」
ミカサ「」ビクッ
エレン「…昔アルミンの誕生日プレゼント探した時の事覚えてるか?」
ミカサ「?」
エレン「さっき書店での会話、何処かでしたと思ってたんだけど、
そうだよ、アルミンの誕生日だよ」
ミカサ「…」
エレン「俺とミカサで、アルミンに内緒で誕生日プレゼント買おうってなってさ。
買いに言ったじゃねぇか、書店に」
ミカサ「確かに行った」
エレン「けど肝心のどの本買えば良いのかわからなくてよ。
さっきみたいな会話して、最終的に俺とミカサの小遣いで買えて、
出来るだけ最新のやつを店員さんに聞いて買ったよな」
ミカサ「えぇ」
エレン「渡したときはアルミン喜んでたけど、実はあの本――」
ミカサ「アルミンが発売日に既に買っていた」
エレン「…」
エレン「そうそう!あの後、本棚にあの本が二つあってびびったぜ!
聞いてみたらその真相。正直悪いことしちまったよな」
ミカサ「けどアルミンは『君たちが一緒に選んだ本だから、
例えどんな本でも宝物だよ!』って言ってくれた」
エレン「あいつは俺と違って昔から気遣いが出来てたからな」
ミカサ「そう、昔も…今も」
エレン「そうだなぁ、だから教官にも好かれるんだろうな。
俺も見習わないとなぁ」
ミカサ「?何故今教官の話?」
エレン「?アルミンが気遣い上手いからだろ?」
ミカサ「…エレンは、アルミンに言われて私を誘ったんじゃないの?」
エレン「?なんでアルミンに言われたから誘うんだよ。
別にアルミン関係ないぞ?」
ミカサ「そう、…そう///」
エレン「?」
パラリラパラリラ
エレン「ん、屋台だ。屋台か…。なんか買うか!
結局さっき飯食いそびれたし!」
ミカサ「うん///」
エレン「じゃあ買ってくるからそこで待ってろよ」ダッ
ミカサ「わかった」
ミカサ「///」モジモジ
通りすがり「ちょっといいかい?お嬢ちゃん――」ザッ
間
エレン「あれ?ミカサ?」スタスタ
エレン(ミカサが居ない…何処行ったんだ?)
ライナー「よ、よう」ガチガチ
ベルトルト「やぁ」
エレン「あ?ライナーにベルトルトじゃねぇか。
お前らも出掛けてたのか?」
ライナー「あぁ、まあな!」ガチガチ
エレン「?」
ベルトルト「エレンは一人?」
エレン「いや、ミカサと一緒だったんだけど…どっか行っちまった」キョロキョロ
ベルトルト「ミカサ?ミカサならあっちで見たよ?」アッチ
エレン「本当か?あんがとな。ちょっくら探してみる」ダッ
ライナー「…ナイス」
ベルトルト「大根」
裏路地
エレン(あいつこんなところに何のようだ?)タッタッタッ
エレン(何か買いたいものがあった様子はなかったが…なんか思い出したのか?)タッタッタッ
???「――…」
エレン(話し声?)タッタッタッ
ミカサ「――今じゃただのこそ泥。
憐れね」
エレン(!ミカサか!)ダッ
???「――いずれこうなる―」
エレン(何処だ?)タタタ
???「兵士になりゃ――
―えなくなりゃ―――」
エレン(ここじゃない)タタタ
???「―――にこの仕打ちだ―。
もっと待遇よくしてくれたって――」
エレン(裏か!)タタタ
ミカサ「黙れ!」
エレン(!争ってる!?)
ミカサ「―――口を開かないで」
エレン(居た!)
ミカサ「…兵士が穢れる」
???「!てめぇ…餓鬼の癖に…生意気なんだよ!!」ダッ
エレン(あいつ!ナイフを――)
ミカサ「」スゥ――
ガッ
エレン「」
ミカサ「」
???「」
http://uproda.2ch-library.com/686346yOt/lib686346.jpg
エレン「ふっ!」ナイフを奪いながら???を投げ飛ばす
???「!ぐは!!」ドサッ
エレン「ハァ…ハァ…ハァ…」
???「てめえ…」
ミカサ「エレ―」
エレン「」ギロッ
???「」ゾクッ
エレン「てめぇら…これはなんだ…?」
???「」カタカタカタ
エレン「これでなにをしようとした…?」
???「…!」フルフル
???「て、てめえら!やっちまいな!!」
???の仲間っぽい5人がそれぞれの得物を構える
???「へへへ…これだけの人数だ…お前にも――」
ドスッ
???「へ?」
エレン「これを誰に向けた…?」
???「」ガタガタ
エレン「俺は兵士だ…人間は殺さねぇ…が」
???「」ガタガタ
エレン「てめえらは、人間か?」
http://uproda.2ch-library.com/686347yTY/lib686347.jpg
ミカサ「エレン」
エレン「…」ギロッ
ミカサ「…失禁してる」
???「」ジュワ…
エレン「…チッ!てめえらもこうなりたいか!?」
???の仲間が戸惑いつつも、エレンの殺気にやられて逃げていく
エレン「…ミカサ、行くぞ」グイッ
ミカサ「あ…」
エレン「」スタスタ
ミカサ「」スタスタ
エレン「」クルッ
ミカサ「?」
エレン「お前、馬鹿なのか!!」
ミカサ「!!」
エレン「相手は獲物を持ってたんだぞ!どうして逃げなかった!!」
ミカサ「獲物を持っていても、私の方が強い。逃げる必要はない」
エレン「逃げる必要はない?そんな訳ねぇだろ!
得物を持ってるのと素手じゃ、戦力が全然違うのは知ってるだろ!」
ミカサ「それでも勝てた。
あの時、貴方が戦えと言った。
だから、私はどんな時でも逃げない」
エレン「あの時と今のは全然違うだろ!
あの時は逃げ道がなかった!
けど今回は逃げ道があっただろ!」
ミカサ「逃げ道があっても、戦わなくてはならないと判断した。
あいつらは、ゲス野郎だ」
エレン「ならせめて俺を呼びにこい!」
ミカサ「エレンを危険に晒す訳にはいけない。
どんな小さな危険でも、私は貴方を守らなければならない」
エレン「なんでいつもお前はそうなんだよ!!」
ミカサ「それが私だ」
エレン「それでもお前は――」
エレン「女なんだぞ!!」
ミカサ「!!」
エレン「怪我したらどうするんだよ!跡が残っちまうかもしれないんだぞ!」
ミカサ「…怪我なら訓練でもする。
一つや二つ、増えたところで変わらない」
エレン「変わるだろ!
女なんだからもっと体を大事にしろ!!」
ミカサ「…私は、エレンと一緒に調査兵団に行く。
どうせそこで、今以上の傷をつけるだろう」
エレン「だから俺は憲兵団に行けって言ってるだろ!
お前は今の時点でも首席なんだぞ!」
ミカサ「私は――!」
エレン「お前が俺を心配しているのは分かってる!
けど俺にも心配させろ!!」
ミカサ「!!」
エレン「お前にとって、家族が俺だけしかいないように、俺もお前しか居ないんだよ」
ミカサ「…分かってる」
エレン「それにお前は女だろ。
お前は美人なんだからむやみやたらに傷を増やすな」
ミカサ「…ごめんなさい」
エレン「訓練兵終わった後は、憲兵団に行けよ。
このまま首席なら、破格の待遇なんだ。
きっと安全に暮らせる」
ミカサ「それだけは出来ない」
エレン「!なんで――!」
ミカサ「それだけはエレンに言われても譲れない。
エレンは私と一緒に居ないと早死にしまう」
エレン「だから俺は――」
ミカサ「それに――」
ミカサ「私はエレンと一緒に居たい」
エレン「…」
エレン「既に一緒に居るだろ」
ミカサ「…!」
エレン「ミカサ」グイッ
エレン「――帰るぞ」
ミカサ「――うん」ギュッ
http://uproda.2ch-library.com/686348RtX/lib686348.jpg
兵舎
アルミン「お、おかえり〜」
エレン「ただいま」
ミカサ「…ただいま」
アルミン「ど、どうだった?楽しかった?」
エレン「無駄に疲れた気がする…」
ミカサ「…」
アルミン「あはは…」
アルミン「!…ふふ」
エレン「どうした?」
ミカサ「?」
アルミン「いや、それ見たらちょっと昔の事思い出して…」
エレン「それ?」
アルミン「その手、見てさ…」
エレン「ん?…なんかあったか?」
ミカサ「…?」フルフル
アルミン「いや、ミカサと初めて会った時も、
そうやってエレンがミカサを引っ張って来たなぁって」
エレン「そういえばそうだったな…」
ミカサ「うん」
エレン「はは、今日はよく昔の事思い出すな!」
ミカサ「えぇ」
アルミン「…?何思い出したの?」
エレン「いやな、アルミンの誕生日プレゼント買った時の事思い出したんだよ」ガサゴソ
エレン「はい、お土産」
アルミン「あ、ありがとう」
ミカサ「昔みたいに被ってなければいいけれど…」
アルミン「あー!それを思い出させないでよ!
こっちに持ってこれなくて暫く落ち込んだんだから!」
ミカサ「そうなの?」
エレン「そうなのか?」
アルミン「そうだよ…やっぱり誰かから貰った物は別格なんだから…」ハァ…
エレン「わ、悪かったよ」アタフタ
ミカサ「」アセアセ
アルミン「…ふふ、なんだ。全然変わってないじゃないか…」ボソ
エレン「…」
ミカサ「?アルミン、何か言った?」
アルミン「なんでもない」ゴソゴソ
アルミン「!こ、これは!」
エレンミカサ「?」
アルミン「新訳薬草全書―壁内外に発見された薬草の生態、及び効力の全て―著書、ハンジ・ゾエじゃないか!
新訳が出ていたなんて聞いてないぞ!!」
ミカサ「そんなにスゴいの?」
アルミン「凄いなんてものじゃない!これは――」
エレン(…)
アルミン『変わらないじゃないか…』
エレン(なんでアルミンはこんなこと言ったんだ。
俺らは小さい頃から対して変わってないじゃないか。
今も昔も、同じような事して、こうして笑いあってる)
エレン『既に一緒に居るだろ』
エレン(そうだ。
今も昔も、大変な事が一杯あったのに、俺らは常に一緒にいた。
俺とお前は、一緒にいた)
ミカサ『一緒に居たい』
エレン(…分かってる。
お前が言いたいのは今までの事じゃない、これからの事だって。
これから一緒に居られるとは限らないんだ…。
母さんと同じ様に…)
エレン(俺は、どうしたいんだ?
こいつらと…お前とどうしたいんだ?)
エレン(俺は、必ず調査兵団に入る。
母さんの敵をとる為に、自由を阻害する奴と戦う為に)
エレン(その後は?
その後は…外の世界を見たい)
エレン(アルミンが教えてくれた…外の世界を見たい。
そう、俺は見たいんだ――)
エレン(こいつらと共に)
エレン(…そっか、そうなのか。
俺は一緒に居たいんだ。
昔も今も、これからも)
エレン(世の中、変わるものばかりだ…。
毎日が、環境が、状況が、立場が…。
秒針がひとつ進むごとに、変わっていく)
エレン(その中で、変わらないなものを感じていたいんだ。
こいつらはずっと一緒に居てくれる。
こうしてずっと笑い合える。
俺はそう信じていたいんだ)
エレン(どうすればいい?
どうすれば実現できる?)
エレン(俺は――)
ミカサ「エレン?」
エレン(強くならなければならないんだ)
ミカサ「どうしたの?ボーッとして」
エレン「あ、あ〜考え事」
ミカサ「…この間も言っていた。
そんなに深刻な悩みなら、私に相談するべき」
エレン「いや、…うん、大丈夫。答えを見付けた気がする」
ミカサ「見付けた?」
エレン「…俺強くなるよ。お前らを…ミカサを守れるぐらいに」
ミカサ「!」
アルミン「…」
エレン「…よし!
なぁアルミン!
今日は昔の事一杯思い出したんだし、どうせならその本囲って寝ないか?」
アルミン「え!さ、流石にそれは教官が…」
エレン「それ、兵士になった後にも役に立つだろ?」
アルミン「役に立つ所じゃないよ!…あ」
エレン「ならその方向で教官を説得してみようぜ。
ミカサも行くだろ?」
ミカサ「う、うん」コクコク
エレン「じゃあ善は急げだ!行くぞ!」ダッ
エレン(忘れちゃならねぇ、忘れちゃならねぇ、俺がどうしたいかを)
エレン(俺は強くならなきゃならねぇ、こいつらを守るために)
エレン(母さんのように…守れないのはもうたくさんだ)
エレン(だから俺らはここに居るんじゃないか。
俺もミカサもアルミンも、今は生き抜く術を学ばなきゃ!)
エレン(…なんか、恋の話からかなり飛んだな…)
エレン(けど、今の自分にはよかったのかもしれない。
いろいろな事があり過ぎて、忘れていなかったけど…忘れていた)
エレン(多分、今答えを出しても意味がないんだ。
今、答えを出したら後悔する。
きっと勝利したら答えを出せばいい。
それでいいんだ。
それまでじっくり考えてもいい、考えなくてもいい)
エレン(けど、これだけは忘れちゃならねぇ。
これからも、ずっと一緒に――)
終わり
おまけがないと甘くない。
おまけがあってもきっと甘くない。
続いた
おまけ1
ライナー「イケメン!エレンになら掘られてもいい!!」
ライナー「よう。この席いいか?」
ベルトルト「こんにちは」ヒラヒラ
エレン「そっちの席はアルミンが使ってるけど、他はいいぜ」アルミンハシリョウサガシチュウ
ライナー「おう、悪いな」
ベルトルト「お邪魔するね」
ライナー「でだ…どうだった?この間のデートは」
エレン「デート?あぁ、この間のか。別に普通だけど…」
ライナー「どうだ?結論出たか?
ミカサの事はどう思ってんだよ」
エレン「結論は出たぞ。ミカサの事は今はどうとか想わねぇなよ」
ライナー「そうか…。
まぁいずれいい相手見付かるぜ!」
エレン「別に相手探ししてるわけじゃないし」
ライナー「何言ってんだよエレン!
俺らは今いくつだ!俺達の年代ではな!
恋に恋して恋に振り回される青春を送るのが相場ってもんなんだよ!」
エレン「いや知らねぇし」
ベルトルト「けど残念だな。きっといいカップルになると思ったのに」
エレン「それはわかんねぇよ、未だに」
ベルトルト「?さっき結論が出たって言ったじゃないか」
エレン「今のな。これから先はわかんねぇよ」
ライナーベルトルト「?」
エレン「お前らはどうしてここにきた?
青春するためにか?恋するためにか?
俺がここに居るのは強くなるためだ。
青春捨ててでも、恋するためでもねぇ。
巨人に勝つための技術を得るためだ」
ライナー「…」
エレン「あいつらは殺さなきゃならねぇ…。
あいつらは俺がやりたいことを阻害する。
俺の大切なものを奪っていく。
俺はあいつらからそれらを守るため――戦うためにここにきた」
エレン「俺は別にあいつらに簡単に勝てるなんて楽観視はしてねぇ。
それだったら俺じゃない誰かが達成してるはずだ。
けど未だにあいつらは減らねぇんだ。
だから俺は、必死にならなきゃ勝てねぇと考えてる」
エレン「俺は、いろんなもん捨ててでも強くならなきゃならねぇ。
青春、恋、今の俺には必要ねぇんだ。
強くならなきゃ…俺が捨てられねぇもんを護るためにな」
エレン「だから今は恋とか考えなくていいと思ったんだ」
ライナー「…」ゴクリッ
ライナー(…こいつは、既に兵士なのか)
ライナー(こいつの目が怖い…。
こいつは今、俺らを睨んでるんだ。
壁を破壊した俺らを)
ライナー(俺は恨まれているのか…?
こいつは俺を慕ってくれている。
訓練中にだって下らねぇことしゃべって笑いあっているじゃないか)
ライナー(あれ?俺はこいつから好かれてるんじゃないのか?
俺は――)
ライナー(――皆からどう思われてるんだっけ?)
エレン『お前らはどうしてここにきた?』
ライナー(…"故郷に帰るため"だ。
ベルトルトやアニ達と一緒に、故郷に帰るためだ)
ライナー(だから俺は"立派な兵士"になって、"壁の内側の人間を殺さないと"いけないんだ)
ライナー「…悪かったな。
俺らは兵士になるために訓練兵になったんだよな。
はは、訓練生活にも慣れてきて中弛みしてたかもな。すまん」
ベルトルト「…ライナー?」
エレン「いや、いいんだ。
全員が全員、俺みたいな奴じゃねぇことは理解しているんだ。
だから誰かを責める気はねぇよ」
ベルトルト「…」
エレン「それによ。もし好きだったらよ――」
エレン「守れなきゃ意味ないだろ?」
ライナー「!」
ベルトルト「…」
エレン「だから今は、ちゃんと守れるって自信がつくまで頑張らないとな!
結論を出すのはその後だな」
ベルトルト「…もし、その時ミカサは…思い人は他の誰かが好きだったら、
どうするんだい?」
エレン「その時はその時だろ。
もしそれで、俺の思いが恋だったら、失恋だろうな。
けど、今は出さなくていいと決断したのは俺だ。
後悔はしないように気を付けなきゃな」
ベルトルト「…どうして君は、そうなんだ。
僕らはいつ死ぬか分からない。
それまでに思いを伝えておきたいとかないの?」
エレン「だから死なねぇように強くなるんだろうが」
ベルトルト「…」
エレン「それに、一番後悔するのは、そいつを守りきれなかった時だ」
ベルトルト「!」
エレン「もう…あの時の様な事にはしねぇ…。
母さんの時の様にはしたくねぇ…」
ライナーベルトルト「…」
エレン「ま、俺みたいな考えにはならなくていいけど、
お前らも一番後悔する様なことはするなよ」
ライナーベルトルト「へ?」
エレン「?お前らも誰か好きなやつ居るんだろ?」
ライナー「ブフーッ!」
ベルトルト「は……」
エレン「うわ!ライナーきたねぇ!!」バッ
ベルトルト「な、何を…///」アタフタ
エレン「あんだけ恋愛話に花咲かせてんだ。
さすがに俺でも気付くぞ」
ライナー「…///」
ベルトルト「…///」
エレン「ベルトルトの言ったように、いつか近いうちに死んじまうかも知れねぇんだ。
俺は答えを出した。一番後悔しない答えをな。
お前らも答えじゃなくてもいい、一番後悔しない事だけは出しといた方がいいぞ」
ライナーベルトルト「…」
ライナー「お前って無駄に男らしいよな…」
エレン「は?男だから当たり前だろ?」
ベルトルト「君のそういうところは羨ましいよ」
エレン「いや、お前らも男だろ」
アルミン「エレン!お待たせ!漸く見付けたよ!
資料が別の所にあったから探すのに苦労したけど、
これを全部読み解けば今回の課題はバッチリだ!」ドサドサ
エレンライナーベルトルト「ファッ!?」
アルミン「あ、ライナーにベルトルトじゃないか!
一緒に課題やる?」
ライナー「あ〜、俺別の席でやるわ…」ソロ〜
ベルトルト「ぼ、僕も…」ソロ〜
エレン「」ガシッ
エレン「逃がすわけねぇだろ…」ゴゴゴゴ
ライナーベルトルト「」
終わり
やっぱり甘くないね!
おまけは一応もう一つあるよ。
けどやっぱり甘くないよ!
続いた
おまけ2
アルミン「僕はただ――」
食堂への道
アルミン(大分時間かかっちゃったな…)
アルミン(議論するのは楽しいけど、如何せん時間を忘れてしまう)
アルミン(エレン達はもう食べているだろうな…)
アルミン(…エレンには、あんな風に言ったけど、本当に僕は答えを出せないのだろうか)
アルミン(僕はエレンやミカサといつも一緒にいた。
多分、本人以上に僕は彼らを知っている)
アルミン(なのに本当に答えを出せないのか?
僕はちゃんと考えただろうか?)
アルミン(僕は…)
アルミン「…」
アルミン(やめよう、この事を考えるのは)
食堂
アルミン(エレン達は…あそこだ!)
アルミン「エレン、ミカサ!お待たせ!」ダッ
エレン「おぅ、お疲れ」
ミカサ「お、お疲れ///」
アルミン「?どうしたの?ミカサ。
顔真っ赤だよ?具合悪い?」ストン
エレン「さっき休日二人で出掛けないかって言ってから様子が変なんだ。
本人は平気だって言ってるから大丈夫だろ」ガツガツ
アルミン「えぇ!二人で!?」
アルミン(エレンは普通そんな約束をしない!
なら誰かに唆されたに違いない!
さっきの話といいこんなこと言ったのはライナーとベルトルトだな!)キッ
ライナー「」ニヤニヤ
ベルトルト「」ヤァ
アルミン(余計な事を…!)
エレン「そうだけど、…どうしたんだ?怖い顔して」
アルミン「ハッ!なんでもないよ!!
そっか、二人で行動だなんて久しぶりじゃないか。
楽しんで来てね、アハハハ」
エレン「?」
ミカサ「///」
兵舎への道
アルミン「ライナー!ベルトルト!」ダッ
ライナー「よう」ニヤニヤ
ベルトルト「こんばんは」
アルミン「君達だな!
エレンがミカサとデートするように仕組んだのは!」
ライナー「仕組んだなんて人聞きが悪い。
俺はただ勧めてみただけだぜ?」
ベルトルト「うん、最終的にはエレンが言ったんだからね」
アルミン「あーもう!余計な事を!」
ベルトルト「…なんで君はそんなにイライラしているんだい?」
アルミン「!」
ライナー「そうだぜ。
なんだ?アルミンは二人がくっついて欲しくないのか?
ハッ!もしかしてアルミンはミカサの事好きだったのか?
悪かったな…」
アルミン「…別にそういうのじゃないよ。
とにかく、これは無駄な事なんだよ。
当日になれば分かる」
ライナー「?まぁいいさ。
面白い事になったぞ!」
ベルトルト「そうだね」ニコニコ
アルミン「」ハァ…
デート当日
アルミン「…で、」
ライナー「アルミン!大きな声出すなよ!尾行するんだからよ!」コソコソ
ベルトルト「君の方が声大きいよ…」コソコソ
アルミン「やると思っていたよ…」ハァ…
ライナー「本当ならジャンも誘ったんだけどよ。
『誰が死に急ぎ野郎とミカサが出掛けるのを見るかよ!』って怒っちまった。
絶対デートって言わないんだぜププ」
ベルトルト「マルコはジャンを慰めてたよ。
大変だよね、マルコも。同情するよ」
アルミン「全然同情してないよね?楽しんでるよね?」
ライナーベルトルト「他人の不幸は蜜の味」
アルミン「君らは思っていたよりクズな人間だってことなのは分かったよ…」
アルミン(ていうか、こいつらはミカサに気付かれず尾行できると思っているのか)チラッ
ミカサ「」ジ――
アルミン「!」バッ
アルミン(ヤバイ!目があった!)
アルミン「」チラッ
ミカサ「―…」
エレン「…―」
アルミン(…バレて、ない?)
アルミン(いや、確かに目があった。
あちゃー…もうバレちゃったよ)
ライナー「お、移動するぞ。俺らも行くぞ」
アルミン「あ、う、うん――」
???「あれ?アルミンに…ライナー、ベルトルト?」
アルミン「!」クルッ
クリスタ「やっぱり!
珍しいね、アルミンがエレン達とじゃなくライナー達と一緒に居るなんて」
アルミン「クリスタに、ユミル!」
ユミル「」ヨッ
ライナー「…!?」サッ」サッ
ベルトルト「おはよう」ヒラヒラ
アルミン「あー…実は――」
クリスタ「何か見てたけど、何を見ていたの?」ヒョコッ
ユミル「…ありゃ、エレンとミカサじゃねぇか」
クリスタ「なんだ!エレンとミカサも居たんだ!お――」
ユミル「おい馬鹿やめろ!」ガバッ
クリスタ「フガフガ」
ユミル「…ほほう…読めたぜ。
てめえらはあれだな、エレンとミカサのデートを尾行してたって訳か」ニヤニヤ
クリスタ「!」
アルミン「あはは…正確にはこれから尾行するんだけど…」
ユミル「さながらお前らは恋のキューピットをしようとしてるわけか」
クリスタ「…」
ユミル「面白い事してるじゃねぇか…後でほうこ――」
クリスタ「私達も手伝うよ!!」
ユミル「ファッ!?」
クリスタ「ミカサにはエレンと上手くいってほしいもの!
何か私達に出来ることある?」
ユミル「わ、私達のデートは…?」ワナワナ
クリスタ「デートってただ私たちは買い物に来ただけでしょ!
しかも消耗品の買い足しだけなんだからいつでも出来るでしょ!」
ユミル「!!」
ユミル「」どうしてくれるんだという目
アルミン「」知らんがなという目
ユミル「仕方ねぇ…付き合ってやるか。
クリスタに悪い虫がつくかもしらねぇしな」ギロッ
ライナー「…なんで俺を見るんだ」ソワソワ
ベルトルト「…」
ユミル「チッ」
アルミン「それよりいいの?追わなくて。
見失うよ?」
ライナーベルトルトクリスタ「!」
ユミル「…」
服屋
ライナー「…なんつうか…」
ベルトルト「…うん」
ライナー「選ぶのはえぇな」
アルミン「特に服に興味があるわけじゃないからね」
※クリスタとユミルは買い物中
ライナー「サイズと値段と素材しか見てないぜ…」
ベルトルト「ミカサも女の子なんだから、
もっとデザインを見てから買うと思ったんだけど」
アルミン「昔からあんな感じだったからね」
ライナー「あ、もう会計終わらせたぜ」
アルミン「ハァ…、仕方がない。
僕、クリスタ達を呼んでくる」
間
ユミル「30分もなかった…」
クリスタ「もう!私達はまた二人で来ればいいでしょ?」
アルミン「はは…」
ライナー「ん?なんだあいつら…。
喧嘩しだしたぞ」
ベルトルト「ミカサはもっと見たかったんじゃない?」
アルミン「それはないよ。
ていうか、意外とベルトルトって夢見てるね」
クリスタ「大丈夫かな…」ハラハラ
ユミル「いつもの事だろ」
アルミン「まぁ、そうだね」
ライナー「お、喧嘩終わったみたいだな」
ベルトルト「早かったね」
アルミン「一応、二人で出掛けてるのを気にしてるんだよ」
ユミル「わかりづれぇな…」
アルミン「いつもの事でしょ」
クリスタ「上手くいくのかな…」ハラハラ
アルミン「…どうだろうね」
ユミル「…」
ライナー「移動し始めたぞ」
アルミン「…」
ユミル「…」
本屋前
ライナー「本屋だな」
ベルトルト「本屋だね」
クリスタ「二人とも本屋に興味あったかな?」
ユミル「大方、こいつへの土産だろ」
アルミン「だと思う」
ライナー「お土産選ぶの早くねぇか!?」
アルミン「二人とも、物欲はあまりないからね。
買うものがなくなったんじゃないかな。
だから意味がないって言ったんだよ…」
ライナー「こんなに速攻で終わるデートってないだろ!」
ユミル「私のは30分だけだったけどな、お前らのせいで」
アルミン「二人なら有り得るよ」
ライナー「ハァ…、お前ら中入るぞ」
アルミン「僕はここで待つよ。
僕へのお土産なら、見ない方がいいし」
ベルトルト「じゃあ出口見ててね」スタスタ
アルミン「うん」
アルミン(…僕はなにやってんだろう…)
間
アルミン「おかえり」
ベルトルト「ただいま」
ユミル「何買ったか見たぜ。えっとたしか――」
アルミン「わーわー聞こえない聞こえない」ピョンピョン
ライナー「何遊んでんだ。
移動するぞ?」
アルミン「あ、待って――」
アルミン(…あれ?)
アルミン「…!」
アルミン(ひったくりだ!しかも集団の!)
アルミン「ちょっと待――」
おばちゃん「あー!財布!財布がない!!」
みんな「!?」
おばちゃん「あいつよ!あいつがとった――」
エレンミカサ「」ダッ
ライナー「ヤバイ!こっちくる!隠れろ!!」バッ
アルミン「うわっ!ぷっ!!」グイッ
ミカサ「」ひったくりに膝を蹴る
エレン「」ひったくりの肩を掴んで引きずり倒す
ひったくり「うわ!」後ろに倒れる
ドシンッ!
ライナー「あぶねぇ…。流石だな、反応がはえぇ…」
アルミン「」ジタバタ
アルミン「うっぷ!」ガバッ
アルミン「何をするんだライナー!
ひったくりはあいつだけじゃない!!」
ライナー「なんだと!?」
クリスタ「え!?」
アルミン(何処だ!何処に行った!?)
アルミン(――違う!――違う!!)キョロキョロ
ライナー「どいつだ?何処行きやがった!」キョロキョロ
クリスタ「アルミン、どんな人だった?」キョロキョロ
アルミン「…いない。きっとこの騒ぎに乗じて、とっくに逃げたんだと思う…」
ライナー「…すまねぇ」シュン
クリスタ「…」ショボン
アルミン「…ううん。
気付いた時、すぐに反応出来なかった僕も悪いんだ。ごめん…」
ユミル「あ、憲兵団が来たぜ」
ベルトルト「…憲兵団にひったくり渡して行っちゃうね」
アルミン「…僕、少し憲兵団と話してくる。
先行ってて」タッタッタッ
ライナー「あぁ…」シュン
クリスタ「うん…」ショボン
間
アルミン(憲兵団への報告…対して時間はかからなかった…)
アルミン(彼らにとって、ひったくり事件はそんなもんなのか…)
アルミン「」ギリッ
アルミン(あ、居た)ダッ
アルミン「どう?」
ユミル「どうもこうも…」
ライナー「」シュン
クリスタ「」ショボン
ユミル「落ち込んでやがる」
アルミン「正義感が強いからね、二人とも」
ユミル「まったくだ」
アルミン「ベルトルト、エレン達の方は?」
ベルトルト「あっち」
アルミン「…」ヒョコッ
ベルトルト「何話しているんだろう?」
アルミン「ここじゃあ聞こえないよ」
ベルトルト「けどこれ以上近付くのは…あ」
ユミル「?」ヒョコッ
アルミン「…笑ってる」
ユミル「何しゃべってるんだ?」
ベルトルト「さぁ?」
アルミン「…」ズキン
アルミン(…?)
アルミン(…なんで僕…こんなに悲しいんでんだろう)
パラリラパラリラ
ユミル「お、屋台だな」
ベルトルト「あ、エレンが行くね。お昼かな?」
ユミル「私らも何か買うか。
腹が減って仕方ねぇ…」
アルミン「…!待って!あいつら…!」
ベルトルトユミル「?」
アルミン「あいつらだ!さっきのひったくりの仲間だ!」
ベルトルトユミル「!?」
ライナー「なんだと!?」ガバッ
クリスタ「え!何処!?」ガバッ
ユミル「!おい、ミカサが着いていくぞ!」
ベルトルト「エレンは買い物行っていて気付いてないね…」
アルミン「…!ベルトルトとライナーはエレンを見てて!
エレンがミカサが居ないことに気付いたら、さりげなく導いてくれ!」
ベルトルト「わかった」
ライナー「お、おい!俺はあいつらを――」
アルミン「ユミルとクリスタは僕と一緒にミカサを追うよ!」
ユミル「ああ」
クリスタ「わかったわ」
ライナー「だから俺も――」
アルミン「行こう!ミカサを見失ってしまう!!」ダッ
クリスタユミル「」ダッ
ライナー「…」
ベルトルト「」ポン
間
ユミル「なぁ、アルミンよ。
私はミカサがやられるとは思わねぇ」
クリスタ「え?」
アルミン「うん、僕も思わない」
クリスタ「え?」
アルミン「僕らは寧ろ、ミカサのストッパーさ。
捕まえるのはいいけど、やりすぎは最悪、兵士でいられなくなる」
ユミル「…」
アルミン「エレンが間に合って、上手くやってくれればいいけどね。
エレンも暴走する場合もあるから、そこも気をつけなきゃいけない」
クリスタ「え?」
アルミン「僕らはエレンとミカサが、
開拓地送りにならないよう上手く行動しなければならないんだ」
ユミル「…」
クリスタ「そ、そうだね!二人の為に頑張らないと!」
アルミン「…!隠れて!」
ユミル「…止まったな…!あっちなら会話が聞こえるんじゃないか?」
アルミン「よし、回ろう」
ミカサ「さっきのおばさんはどこ?」
???「まぁまぁそう焦りなさんなって」
???の仲間数人「ぐへへ」ザッ
ミカサ「…?」
???「さっきはよくも友達を捕まえてくれたな…」
ミカサ「…!さっきの…集団でのひったくりだったか…」キッ
???「おっと、大人しくしてろよ」シャキーン
ミカサ「…」
ユミル「…逆恨みか…。相手が悪いぜ…」
アルミン「多分、女だからって油断してんだ。
今期の首席だなんて思ってないんじゃないかな」
ユミル「エレンも対人格闘得意だしな…。恐怖だな」
アルミン「恐怖だね」
???「流石訓練兵か…。しかしな、俺も元々兵士なんだよ。
得物の使い方もそこら辺の奴等と違うぜ?」グッ
ミカサ「…元兵士が今じゃただのこそ泥。
憐れね」
???「ハッ!てめぇらもいずれこうなるぜ」
ミカサ「…黙れ」
???「兵士になりゃお先安泰何てもんはないんだぜ?
使えなくなりゃポイだ」
ミカサ「黙れ」
???「ひでぇよな。あんだけこき使いやがったのにこの仕打ちだよ。
もっと待遇よくしてくれたって――」
ミカサ「黙れ!」
???「!」
ミカサ「これ以上口を開かないで…兵士が穢れる」
???「!てめぇ…餓鬼の癖に…生意気なんだよ!!」ダッ
アルミン「!」バッ
ミカサ「」スゥ――
ガッ
エレン「」
ミカサ「」
???「」
http://uproda.2ch-library.com/686346yOt/lib686346.jpg
エレン「ふっ!」ナイフを奪いながら???を投げ飛ばす
???「!ぐは!!」ドサッ
エレン「ハァ…ハァ…ハァ…」
???「てめえ…」
ユミル「…流石だな。綺麗に投げやがった」
ベルトルト「間に合った?」
ライナー「どうなってる!?」
ユミル「お前ら…よくここがわかったな…」
ベルトルト「静かな路地だから、声も聞こえてたんだ。
エレンと鉢合わせないよう遠回りしたのもよかった」
アルミン「…」
エレン「」ギロッ
アルミン「!」ガバッ
ライナーベルトルトクリスタユミル「?」
アルミン「…離れよう」
ライナーベルトルトクリスタユミル「?」
ユミル「どうしたんだ?」
ベルトルト「アルミン?」
クリスタ「止めなくても大丈夫?」
ライナー「悪党共は目の前だぞ」
アルミン「得物の構え方を見れば、リーダー格以外は大したことない。
きっともうすぐ離散する。
そいつらを捕まえよう」カリカリ
ライナー「あ、あぁ」
クリスタ「そっか、ちゃんと捕まえないとね!」
ベルトルト「…分かった」
ユミル「…」
アルミン「ライナーはここ、ベルトルトはここ、ユミルとクリスタはここで待機してくれ。
僕はここで捕まえる」
ライナー「あぁ!」ダッ
クリスタ「任せて!」ダッ
ベルトルト「…気を付けてね」ダッ
ユミル「…」ダッ
アルミン「…」
ドスッ
アルミン「…」
???「へ?」
エレン「これを誰に向けた…?」
???「」ガタガタ
エレン「俺は兵士だ…人間は殺さねぇ…が」
???「」ガタガタ
エレン「てめえらは、人間か?」
http://uproda.2ch-library.com/686347yTY/lib686347.jpg
ミカサ「エレン」
エレン「…」ギロッ
ミカサ「…失禁してる」
???「」ジュワ…
エレン「…チッ!てめえらもこうなりたいか!?」
???の仲間が戸惑いつつも、エレンの殺気にやられて逃げていく
エレン「…ミカサ、行くぞ」グイッ
ミカサ「あ…」
スタスタ
アルミン「…」ザッ
???「」ジュワ…
アルミン「よかったね、殺されなくて。
昔のエレンなら殺してたよ…」
アルミン(エレンもミカサも、変わってない変わってない思ってても、
変わっていってるんだな…)
アルミン「…僕は――」
間
憲兵団「はい、これで全員ね。
教官には伝えておくから帰っていいよ〜」
アルミンライナーベルトルトクリスタユミル「ハッ!」ザッ
ライナー「いやぁ、全員捕まえられてよかった!」
クリスタ「本当だね!」
ベルトルト「…エレンとミカサはどうなったんだろう?」
ライナークリスタ「あ」
アルミン「…」
ユミル「よぅ!アルミン大先生。お手柄だったな」
アルミン「…ここに来たとき、地理は大体頭に入れていたからね。
逃げるならこの方向だと考えたんだよ」
ユミル「で、だ…。
お前はエレンとミカサをどう思っているんだ?」ガシッ
アルミン「…」
ユミル「お前は今回のあいつらのデート、明らかに乗り気じゃなかっただろ?
だから私はてっきりお前はミカサかエレンの事が好きだと思ってた」
アルミン「なんでそうなるのさ」
ユミル「お前らいつもベタベタしてるだろ」
アルミン「…僕はどちらにも恋愛感情は持ってないよ」
ユミル「そのようだ。
どっちでもないのは、ひったくりの仲間がミカサを連れ出したときに分かったよ」
アルミン「…」
ユミル「お前はもっと簡単に場を治められる方法を思い付いていたにも関わらず、
様子見したり、わざわざエレンを呼び寄せたりした。
お前はエレンとミカサがくっつくのを応援していない訳じゃない事は分かった」
アルミン「…」
ユミル「じゃあなんで今回の事に乗り気じゃないんだ?
お前はエレンとミカサにどうなってほしいと思ってる?
お前は――」
ユミル「――何を恐れている?」
アルミン「…ユミル」
ユミル「あ?」
アルミン「ライナーがクリスタに近付いてるよ?」
ユミル「あぁ!?」ギラッ
ユミル「ライナーてめぇ何してんだ!」ダダダダダッゲシッ
ライナー「グフォッ!」
クリスタ「きゃっ!」
ベルトルト「」何してるんだよという目
アルミン「…」
アルミン(あぁ、そうか。僕は恐れているんだ)
アルミン「…ユミルは鋭いね」
アルミン(その鋭さが怖いよ)
兵舎
アルミン「お、おかえり〜」
エレン「ただいま」
ミカサ「…ただいま」
アルミン「ど、どうだった?楽しかった?」
エレン「無駄に疲れた気がする…」
ミカサ「…」
アルミン「あはは…」
アルミン「!」
アルミン(あ…)
アルミン「ふふ」
エレン「どうした?」
ミカサ「?」
アルミン「いや、それ見たらちょっと昔の事思い出して…」
エレン「それ?」
アルミン「その手、見てさ…」
エレン「ん?…なんかあったか?」
ミカサ「…?」フルフル
アルミン「いや、ミカサと初めて会った時も、
そうやってエレンがミカサを引っ張って来たなぁって」
エレン「そういえばそうだったな…」
ミカサ「うん」
エレン「はは、今日はよく昔の事思い出すな!」
ミカサ「えぇ」
アルミン「…?何思い出したの?」
エレン「いやな、アルミンの誕生日プレゼント買った時の事思い出したんだよ」ガサゴソ
エレン「はい、お土産」
アルミン「あ、ありがとう」
アルミン(ん?こんなこと前に――)
ミカサ「昔みたいに被ってなければいいけれど…」
アルミン「あー!それを思い出させないでよ!
こっちに持ってこれなくて暫く落ち込んだんだから!」
ミカサ「そうなの?」
エレン「そうなのか?」
アルミン(もう!この二人は物と言うものを分かっていない!)
アルミン「そうだよ…やっぱり誰かから貰った物は別格なんだから…」ハァ…
エレン「わ、悪かったよ」アタフタ
ミカサ「」アセアセ
アルミン「…ふふ、なんだ。全然変わってないじゃないか…」ボソ
エレン「…」
ミカサ「?アルミン、何か言った?」
アルミン「なんでもない」ゴソゴソ
アルミン「!こ、これは!」
エレンミカサ「?」
アルミン「新訳薬草全書―壁内外に発見された薬草の生態、及び効力の全て―著書、ハンジ・ゾエじゃないか!
新訳が出ていたなんて聞いてないぞ!!」
ミカサ「そんなにスゴいの?」
アルミン「凄いなんてものじゃない!
これは一般にも販売が許されている壁外調査の調査結果の一つだよ!」
ミカサ「?壁外調査の調査結果は一般には非公開の物が多いと聞いた。
何故それは平気なの?」
アルミン「これは薬学的にも非常に重要な事も記されているからさ!
副題の通り、壁外はもちろん、壁内に生息する植物の事が書かれている。
どんな見た目、香り、生態の他にも、毒性の有無、薬草として使えるかどうか、その場合どんな効力があるか。
その他諸々、この一冊に記されているんだ!
生息地は確かに固まってはいるものの、
植物というものは風と共に種子を飛ばしたり虫に種子を運ばせたりするからね!
壁外にあった植物が、壁内にも発見される可能性は、極めて高いと言ってもいい!
その為、一般市民が誤って毒性の高い物を採らないようにと一般販売が許されたんだ!」
ミカサ「…」
アルミン「しかも、この著書、ハンジ・ゾエは調査兵団の分隊長なんだ!
壁外でもしも怪我した場合や、食料を失った場合など、
サバイバルになってしまった時の活用法も詳しく書いてあるんだ!
僕らのような、調査兵団を志望している人は一読しといて損はない一冊だ!」
ミカサ「…」
アルミン「また、ハンジ・ゾエは巨人についても積極的に研究している研究者でもあるんだ!
巨人についてはまだ謎が多いから、いろんな事を試しているんだろうね!
植物が、巨人にどんな影響を与えるかも記されている!
残念ながら、今のところ影響を与える植物には巡りあえていないけど、もしかしたらあるかもしれないよね!
壁外は、まだまだ僕らの知らないことで一杯だ!」
ミカサ「ヨカッタネ」
アルミン「はぁ〜、ずっと寮生活だったから情報が遅れていたんだ。
この本の情報量は凄まじいからきっと座学では旧約しかやらないんだろうなぁ」
ミカサ「…?」
ミカサ「エレン?」
ミカサ「どうしたの?ボーッとして」
エレン「あ、あ〜考え事」
ミカサ「…この間も言っていた。
そんなに深刻な悩みなら、私に相談するべき」
エレン「いや、…うん、大丈夫。答えを見付けた気がする」
ミカサ「見付けた?」
エレン「…俺強くなるよ。お前らを…ミカサを守れるぐらいに」
ミカサ「!」
アルミン「…」
エレン「…よし!
なぁアルミン!
今日は昔の事一杯思い出したんだし、どうせならその本囲って寝ないか?」
アルミン「え!さ、流石にそれは教官が…」
エレン「それ、兵士になった後にも役に立つだろ?」
アルミン「役に立つ所じゃないよ!…あ」
エレン「ならその方向で教官を説得してみようぜ。
ミカサも行くだろ?」
ミカサ「う、うん」コクコク
エレン「じゃあ善は急げだ!行くぞ!」ダッ
アルミン「あ、待っ――」
ミカサ「アルミン」
アルミン「?どうしたの?ミカサ」
ミカサ「今日、ついて来てたでしょ?」
アルミン(あ〜…)
アルミン「やっぱりばれてたんだね」
ミカサ「ライナーやベルトルト、それにクリスタやユミルも居た。
あれは、どういう意味だろう?」
アルミン「えっと・・・」
ミカサ「…私は、エレンに恋愛対象として見られていないのはよく理解している。
それでも私は、エレンが好き。エレンを困らせたくないから、エレンには言わない。
けれど、私はエレンを好きであり続ける」
アルミン「…ミカサ…」
ミカサ「エレンは"アルミンは関係ない"と言ってはいたが、
もし、今回のが気遣いだったら、これからはよしてほしい。
今の私では、エレンと二人きりで居たら、エレンを怒らせてしまう…」
アルミン(ああ、そっか。ミカサも僕と同じなんだ。僕と同じように――)
アルミン「…僕は関係ないよ」
ミカサ「…本当に?」
アルミン「本当だよ。今回の事は、エレンが自分で提案したんだ(ライナー達が助言してたけど)」
ミカサ「…そう…」
アルミン「…僕はエレンとミカサが少しギクシャクしているのは気付いていたから。
二人とも、ずっと仲良くしていてほしいから、仲が悪くなるようなことはしないよ」
ミカサ「私は…そうなりたくないのに…なってしまう…」
アルミン「人間関係ってなかなかうまくいかないものだね…」
ミカサ「うん…」
アルミン「…一つだけ、頼んでいいかな?」
ミカサ「?」
アルミン「尾行したのは謝る。ただ、ライナー達を責めないでくれ。
彼らはただ、君とエレンが上手くいくよう、応援していたんだ。
僕もそう。ミカサとエレンには上手くいってほしいと思ってる」
ミカサ「…わかった」
アルミン「ありがとう」
アルミン「…ミカサは、"エレンから恋愛対象として見られていない"と言ったけど、僕は違うと思う」
ミカサ「?」
アルミン「少なくとも、エレンはミカサを一人の女性として見てるよ」
ミカサ「!」
アルミン「君と会う前から、エレンと一緒にいるんだ。
その僕が言うんだから、間違いはない」
ミカサ「…」
アルミン「エレンは昔から、一つの事に夢中になると、他の事がなかなか考えられない人間なんだ。
だからさ――」
アルミン「――もう少し、待っててあげてくれないか?」
ミカサ「…」
アルミン「…僕もエレンも、恋愛をしたことがないから何とも言えないけど――」
ミカサ「…」
アルミン「きっと時が答えてくれる。
それが君にとって、欲しい答えかは分からないけど、悪い方には向かないと思う。
もしかしたら、僕がそう信じたいだけかもしれないけど…」
ミカサ「…アルミンは、エレンがどうこたえてくれると思う?」
アルミン「…ごめん、僕にもわからない」
ミカサ「…わかった。アルミンがそう言うなら待つ、いつまでも」
アルミン「…ありがとう」
アルミン(…)
アルミン『悪い方には向かないと思う』
アルミン(そう、僕が一番恐れているのはこれなんだ)
アルミン(僕らは常に変化を求めている。
強さを、知識を、立場を、環境を)
アルミン(けど、それと同時に、変わらないものを求めていたんだ)
アルミン(今までは、僕らは常にともに居たから大丈夫だった。
けどこれからはどうなっていく?)
アルミン(変化を求めた結果、その変化につられ僕らは変わってしまうんじゃないか。
僕はそれが、とてつもなく怖い)
アルミン(エレンとミカサはとても強い。
僕なんか必要無いぐらいにね…)
アルミン(――僕は、ちゃんとミカサの事を応援している。さっきの言葉は、嘘じゃない。
けど、二人がくっついたら、そこに僕は居るのだろうか?)
アルミン(…あの時、二人で笑っていたのを見て、僕はもう、必要無いんじゃないかと。
そう思えて、悲しかったんだ)
アルミン(だから、エレンもミカサも、昔と同じような事をしていたことは凄くうれしかった。
そこには、確実に変わらないものが存在していたからだ)
エレン「なにしてんだお前ら。遅いぞ?」
ミカサ「今行く」ダッ
アルミン「エレンが急かし過ぎるんだって」ダッ
アルミン(これからも様々な物が変化していく。
その中で、僕はただ変わらないものを信じて――)
終わり
エレン「ミカサ」
終わり
お付き合いありがとうございました。
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