伊織(えっ、なに今の!? 私の聞き間違いかしら)
伊織(とにかく、様子を見てみないと)
P「はぁー……」
P「俺も頑張ってはいるんだけどなぁ。安月給の人間にはやっぱり難しい、よな……」
伊織(ため息、それに安月給って……)
P「ここらで、すっぱりと諦めたほうが、良いのかもしれないな」
P「多分、元から縁が無かったんだろうな……」
伊織(安月給、縁がない、諦める。私が欲しいって、やっぱりそういうこと……?)
P「伊織……不甲斐ない俺を、許してくれ」
伊織(……!)
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伊織「待ちなさいよ!」
P「伊織? あれ、今日の仕事は11時からじゃ――」
伊織「そんなこと、どうだっていい!」
P「伊織……? どうしたんだ一体」
伊織「……アンタの独り言、聞いたの」
P「……! あ、はは、聞かれちゃったのか」
伊織「盗み聞きしたのは悪いと思ってる。でも、それ以上に悲しくて、腹が立って……」
伊織「なんで……なんで諦めちゃうの? アンタの気持ちは、その程度のものなの……?」
P「……そんなわけない、俺だって諦めたくなんかないよ!」
P「だけど、無理なんだよ。現実問題として、俺の給料じゃ伊織は――」
伊織「何よ、現実現実って! 大事なのは気持ちじゃないの!?」
P「だから、言ってるじゃないか! 俺の気持ちはずっと変わらない、伊織のためなら何を失っても構わない!」
伊織「だ、だったら」
P「だけど、気持ちだけじゃ、生きてはいけないんだよ。何もかもを捨て去ってしまったら、どうなるのか」
P「腹が減っても何も食えない。着る服も、住む場所も、仕事すら失ってしまったら……手に入れた伊織も、すぐに失ってしまう」
伊織「だから……諦めるってことなの?」
P「ああ……」
伊織「……私ね、アンタのこと、これでも認めてたのよ」
伊織「アンタは、家柄や立場で人間を判断したりしない。いつだって、一人の人間として向き合ってくれた」
伊織「だから、かしらね。気がついたら、あんたのことばかり考えてて……」
P「……伊織?」
伊織「グスッ……あんたとだったら、もしかしたらって、思ってたのに」
伊織「今になって、『現実』だなんて……だったら初めから、期待なんて、させないでよ……」
P「伊織……ごめんな、俺――」
伊織「謝らないでよ! そんなことされたら、余計惨めな気持ちになるじゃない!」
P「違う、聞いてくれ伊織――」
伊織「うるさい、うるさい! 何も聞きたくない!」
P「ああもう!」ギュー
伊織「!? は、離しなさい! 離しなさいよ!」
P「ダメだ。伊織がちゃんと俺の話を聞いてくれるまで離さない」
伊織「や、やだ! 絶対に聞きたくない! 離してよ、この変態!」
P「変態で結構。話がこじれたまま終わるより、ずっとマシだ」
伊織「私はもう話すことなんてないの! 早く離して!」
P「――。――。」
伊織「――! ――!」
P「す、少しは落ち着いたか……」ゼェゼェ
伊織「……まぁ。だけど、アンタの話は聞きたくない」ハァハァ
P「いいから聞け。……俺、やっぱりもう少し頑張ろうと思うんだ」
伊織「えっ……?」
P「伊織に言われて、気づいたんだ。現実とか、大人とか、それらしい言い訳を並べてただけだってことに」
P「給料は変えられないけど、工夫次第で何とか出来るかもしれないしな」
伊織「そう……」
P「ありがとな、伊織」
伊織「ふ、ふん! アンタは私の下僕なの、選択権も決定権も全部私のものなの! ……だから」
伊織「だから、絶対に無茶だけはしないで。困ったときは、私に相談して。あんた一人の問題じゃ、ないんだから……」
P「いや、でもそれは」
伊織「口答えしないの! はぁ……アンタのことだから、変に遠慮してるんでしょうけど」
伊織「私が……あんたの力になってあげたいの。それも……ダメ、なの?」
P「ダメじゃ、ない」
伊織「それじゃあ、約束」スッ
P「あぁ、約束」キュ
おわ
やっぱりデコちゃんじゃなくてわたs美希ちゃんのssを書くべきなの!
るわけがない
P「……しかし、伊織もやってたとは、ちょっと意外だったなー」
伊織「何が?」
P「これだよ、これ」
伊織「ケータイ? ……って、このゲーム」
P「そうそう、うちのアイドルのソーシャルゲーム」
伊織「こんなのやったことないんだけど」
P「えっ?」
伊織「えっ?」
P「えっと、伊織。伊織はこのゲームやったことないのか?」
伊織「ええ。さっきも言ったけど、やったことはないわ。というか、これってどんなゲームなの?」
P「まぁ、簡単に言うと、アイドルのカードを集めて、育てるゲームなんだけど……」
伊織「そのカードに、私達の写真が使われてるのよね? それくらいしか知らないわ」
P「……それでだな、カードの入手方法は幾つかあるんだが、その中でもイベント等の入手期間限定カードは希少価値が高くてな」
P「今は、この前のアイドル野球大会のカードが手に入るイベントがやってるんだが」
伊織「思い出したら腹が立ってきたわ。何で私が売り子やらなきゃいけないのよ!」
P「仕方ないだろ、適材適所ってやつだ。それに、お客さんの評判も結構良かったみたいだし」
グリか、俺はうみみPです
伊織「……せっかく練習したのに」ボソッ
P「まぁ、また機会があればな」
伊織「そ、そんなことより、このゲームが一体なんだっていうのよ!」
P「あー……なんというか。イベント限定カードの中には、ポイントランキングが一定以上の人しか貰えないものもあってだな」
伊織「なるほど、だから希少価値が高いってわけね」
P「……それで、売り子をやってる伊織のカードが、ランキング1500位以内じゃないと手に入らなくてな」
伊織「……え?」
P「今のところ、なんとか3000位以内に喰らいついてはいるんだが、この状態を維持するのが精一杯で」
伊織「ちょ、ちょっと待って」
P「伊織のカードは欲しいけど、さすがにもう諦めようかなーと思ってたところに伊織が来て」
伊織「それって……」
P「いきなり怒られて、驚いたけど、それ以上に俺が忘れかけてたことを思い出させてもらってさ」
P「ちょっと感動しちゃったよ。言葉の一つひとつに重みがあるというか」
伊織「……」
P「……それでさ、さっきの話なんだけど、ゲームのことじゃないなら、伊織は何だと思ってたんだ?」
伊織「」
P「家柄がどうとか、期待がどうとか言ってたけど、あれじゃまるで……伊織?」
伊織「……い」
伊織「いやあぁぁぁぁぁ!」
P「あっ、伊織? 伊織ー!?」
P「……耳まで真っ赤にして飛び出してしまった」
P「あの反応って……やっぱり、そうなのか?」
P「だとしたら、ちょっと悪いことしちゃったかな」
P「……」ゴソゴソ
P「……まだ、足りないよなぁ。伊織がトップアイドルになるまで、あと何年かかるか……」ペラ
P「早いに越したことはないけど、早すぎると俺のほうが準備できないし……でも、手を抜くことだけはしたくないよな」
P「うん、やっぱり伊織のカードは諦めよう。それで今月分はなんとかなりそうだし」
P「……伊織、俺も頑張るよ。無茶しない程度に、な?」
おわり
おまけ
P「そういやそろそろ元気MAXだな、どれどれ」
P「ん、新しいガシャか? まぁ、俺の琴線に触れるものはそうそうないだろうけど」キリッ
P「あっ! これ、春香がこの前行ってきた海外ロケのやつじゃないか!」
P「うわー、こんな写真撮ってたのか。このときは律子が同伴して、俺は留守番だったんだよなー」
P「まぁ、代わりに律子の新妻風写真が撮れたからいいんだけど」
P「それにしても……うん、やっぱり春香はかわいいな」
P「……えっ、メダル2週目と4週目以降の最終報酬って……うわー、これはエグイ」
P「プラチナガシャでも出るっつったって、確率考えたら4週しないと2枚は無理くさいよなぁ」
P「……とはいえ、この機を逃したら手に入らないだろうし」
P「いやでも、泣く泣く伊織を諦めたばかりなのに、ここで春香につぎ込んでは……」
春香「おはようございまーす!」
P「悩む……でも」
春香「あれ、プロデューサーさん?」
P「春香が欲しい」ボソッ
春香「えっ……///」
今度こそおわり
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