赤犬「あァ? 進撃の巨人じゃァ……?」 (26)

補給兵A「お待ち下さい隊長! もし巨人が攻めてくれば我々補給兵だけでここを守るのは不可能です!」

補給兵B「お願いします! どうかお残りください!」

赤犬「そこをどけェ。わしはこれから増援部隊編成の任につかにゃァいけんのじゃあ」

補給兵C(キッツ・ヴェールマン……現在このトロスト区を指揮する駐屯兵団の隊長……!)

補給兵C(憲兵団にて秩序を乱す者達を徹底的に弾圧・粛正し、恐れられていたが、5年前のウォール・マリア陥落を機に調査兵団へ転属)

補給兵C(あの人類最強リヴァイ兵長に次ぐ実力ながら、犠牲を全く厭わない指揮により大半の部下を死に追いやり、のみならず独断で巨人から逃亡しようとする部下をその場で処刑し続けたことにより、エルヴィン団長に調査兵団を追放された)

補給兵C(その後、憲兵団時代に築いた貴族達との人脈を使い、駐屯兵団の隊長に転がり込んだという異色の経歴を持つ人物……通称〝赤犬〟!!)

補給兵C(クソッ、なんてついてないんだ俺たちは……! よりにもよってこんな人に指揮されることになるなんて!)

補給兵B「くっ……」

補給兵A「……安全な内門の中で、ですか!?」

補給兵C(ば、バカ!? よせっ!)

赤犬「あァ……? 貴様、何が言いたいんじゃァ」

赤犬「こりゃあ規則に則った行動じゃあ。わしが部隊編成をせんかったら、誰がここの増援に来るんじゃァ!」

補給兵B「し、しかし! もしここが落ちればっ」

ザシュッ

補給兵B「……あっ」

ジュゥゥゥゥ

補給兵B「か、はっ……」ドサッ

補給兵A「うわあああああ!」

補給兵D「ぎゃああああああ!」

赤犬「それ以上口を開くんなら反逆罪とみなし、この場で処刑じゃァ」ボコボコボコッ

補給兵C(……あ、ああぁぁ、で、出た……、これが)

補給兵C(体をマグマなる燃える液体に変化させるという、赤犬の立体機動術!)

補給兵C(補給兵Bの腹を燃える手で貫き、一瞬で殺した!)

補給兵C(何という高度な立体機動術なんだ……! あのリヴァイ兵長に次ぐ実力だと噂されるだけのことはある!!)



赤犬「数分無駄にしたわ。わしは行くけんのォ」ザッ

補給兵D「……うっ、ううぅ、い、嫌だ……。もう、嫌だよう」

赤犬「あァ?」

補給兵D「ひっ! い、今のは違うんです!」

ジュゥゥゥゥ ギャアアァァ・・・

赤犬「正しくもない奴は、兵士にはいらん」



補給兵C(……ち、畜生! 俺たちは、ただ選ぶだけだってのかよ!)

補給兵C(赤犬に殺されるのか、巨人に殺されるのかを……!!)

補給兵C(その後、机の下でガタガタと震えていたら、ランキング6位であるジャン・キルシュタイン……通称〝追剥ぎのジャン〟らが突入してきて、隣の補給兵Dが殴られた)

補給兵C(ランキング7位マルコ・ボット……通称〝不死鳥のマルコ〟が止めてくれたから俺は殴られずに済んだものの、直後に連中を追って巨人共も本部に突撃してきた為に衝撃で吹き飛ばされ一度は生を諦めた)

補給兵C(しかし! 何だかよく分からないが巨人を殺す奇行種とやらが出てきてくれたらしく、何とか助かった)

補給兵C(〝不死鳥のマルコ〟が立案した作戦と上位ランカー達の活躍により、補給所の巨人達も一掃された……。さすがは上位ランカーだ、俺たち凡夫とは格が違う!)

補給兵C(……しかし、〝追剥ぎ〟の言う通り、俺たちが臆病風に吹かれて補給任務を放棄したせいで大勢が犠牲になった)

補給兵C(さすがは上位ランカー、的確な指摘だ!)

補給兵C(俺は、命惜しさに仲間を犠牲にした卑怯者だ!! どうして俺はこんな薄汚い命の執着してしまったんだ!! まさしく悔恨の極み!!)

補給兵C(もう二度と、繰り返さない。他人の為に己を犠牲に出来る男に俺はなる!)

「準備は出来たか!? 脱出だ!」

補給兵C(よし! 早く逃げよう)

補給兵C(……! いや待て! そう言えば巨人を殺す巨人とやらはどうなったんだ!)

補給兵C(もしそいつが味方につけば巨人共に対抗できるかもしれない! 無事を確かめないと!)

補給兵C(……いや、だが皆が脱出しているというのにここでモタモタするのは非常に危険で)

補給兵C(っ! 俺という奴は! さっき反省したばかりじゃないか!)

補給兵C(見るぞ! 巨人殺しの巨人が無事かどうか……、俺は見る!!)

ヒュンッ

C(あ、ああ……!?)

C(か、彼女は……!! 上位ランカーの中でも頂点に位置する! ランキング1位ミカサ・アッカーマン!!通称〝襟巻きのミカサ〟!)

C(か、彼女もまた! あの巨人を見に来たというのか!?)

ヒュンッヒュンッ

C(……!?)

C(あ!? あああああああ!!)

C(か、彼らは!! ランキング2位ライナー・ブラウン!! 通称〝鉄人ライナー〟!!)

C(ランキング3位ベルトルト・フーバー!! 通称〝雷卿ベルトルト〟!!)

C(そしてランキング3位! アニ・レオンハート!! 通称〝鷹の目のアニ〟!!)

C(さらには追剥ぎのジャンまでもが!!)

C(こ、これだけの上位ランカーと並ぶなんて……!! ま、マズイ!! 足が震えてきた!!)

C(……!? 〝襟巻き〟が巨人のところへ!?)

C(……あ、ああああ!?)

C(あれは、ランキング5位エレン・イェーガー!! 通称〝鬼竹のエレン!!〟)

C(な、何が!! 一体何が起こっているというんだ!?)


エレン「殺してやる……」

赤犬「イェーガー訓練兵、ならびに同アッカーマン、アルレルト」

赤犬「いま貴様等がやっとる行為は反逆行為じゃァ」

赤犬「貴様らの命の処遇を問う」

赤犬「エレン・イェーガー、貴様は人間か? 巨人か?」

エレン「し、質問の意味が分かりません!!」

赤犬「シラを切るか。もうええ、撃て」ヒュンッ

エレン「え? え?」

ミカサ「逃げてエレン!!」

ドンッ!

C「な、何だ!? 何の音だ!?」

C(俺は上位ランカーらと共に守秘義務が課せられた)

C(そして襟巻きと鬼竹が審問を受けている間、他の訓練兵と待機していたわけだが!!)

C(いま、ものすごい音がしたぞ!? まるで砲撃の音!!)

ライナー「ハァ・・・…ハァ……」

ヒュヒュンッ

C(上位ランカーたちが向かった!!)

C(……く)

C(い、行くぞ! 俺も行く!! この目で確かめるんだ!!)ヒュンッ

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