ライナー「もうあれから4年か」
ベルトルト「そんなになるのか」
ライナー「この湿った地下での生活もそりゃ慣れてくるな」
ベルトルト「決していいものとは言えないけどね。
でも、仕方ない事だよ。僕らのした事を考えれば」
ライナー「そうだな。とりあえず生かされているだけでもありがたいもんだ」
ベルトルト「僕らがエレンを故郷に連れて帰ろうとして、失敗して捕まって」
ライナー「俺たちはこの地下に放り込まれた」
ベルトルト「本当はその場で殺されるはずだったのにね」
ライナー「ハンジ分隊長のおかげで命は奪われなかったな」
ベルトルト「彼らは巨人の謎を解明するために僕らの体で実験しなくちゃならなかったから」
ライナー「4年も経つと身体いじくられる回数も減ってきたけどな」
ベルトルト「でも回数が減った割に大掛かりな実験が増えてきたよね」
ライナー「そうだな。このままいくと俺たちは最終的に殺されるんだろう」
ベルトルト「このまま何年も生かすわけにはいかないだろうからね人間側も」
ライナー「ああ」
ベルトルト「思い出話でもしようか」
ライナー「突然なんだよ」
ベルトルト「ただ、なんとなくだよ。ねえライナー、エレンとジャンはさ」
ライナー「最初なんであんなに仲悪かったんだろうな」
ベルトルト「目が合うだけでお互い悪態つくしさ、本当に些細なことで喧嘩してたよね2人。」
ライナー「んでエレンが言うんだよな。服が破けちゃうだろ!って」
ベルトルト「大切なのはそこじゃないよね」
ライナー「なんかずれてんだよなエレン」
ベルトルト「でも、最終的にはエレンもジャンもお互いのいいとこは認めてたよね」
ライナー「文句言いながらだったけどな」
ベルトルト「年取ったらああいう2人が親友みたいになってたりするんだよね」
ライナー「想像できるな。で、その2人の喧嘩を止めてたのが」
ベルトルト「ミカサとアルミンだね」
ライナー「ミカサは本当に強かった。よく投げ飛ばされたもんな俺」
ベルトルト「リヴァイ兵長が引退したら次の兵長は間違いなくミカサだと思うよ」
ライナー「それだけの実力があるからな」
ベルトルト「ただエレンに執着しすぎだと思う部分もあったね」
ライナー「家族なんだって言ってたもんな」
ベルトルト「家族かあ」
ライナー「今でもきっとそうやってエレンの傍にいるんだろう」
ベルトルト「絶対そうだよ。で、参謀役にアルミンだね」
ライナー「あいつの発想にはいつも驚かされたな」
ベルトルト「彼の戦術価値を説きます!!って言ったとき思わず僕鳥肌立っちゃった」
ライナー「訓練兵時代は正直、可愛い弟みたいに見てた部分があったからな」
ベルトルト「わかるわかる」
ライナー「逞しくなったもんだと思ってしまった」
ベルトルト「ふふ」
ライナー「あいつの頭脳があればこの先人類はもっと発展していくだろうな」
ベルトルト「その様子を見てみたいね。そういえばなんでサシャってあんなに食料盗んどいて」
ライナー「1回も独房行きにならなかったんだろうな。まあ俺らも分けてもらってたけど」
ベルトルト「本当に食べ物のことになると凄かったもんねサシャ。命捧げてた」
ライナー「黙ってれば綺麗な顔してんのになー」
ベルトルト「言い過ぎだよ。でも彼女のカンの鋭さには目を見張るものがあったよね」
ライナー「そうだな。さすが狩猟民族」
ベルトルト「狩猟民族といえばコニ―もだったよね」
ライナー「コニ―なあ、あいつ本当馬鹿だったよな」
ベルトルト「たまに意思疎通できないときがあった」
ライナー「お前もたいがいひどい事言ってる気がするぞ」
ベルトルト「そうかな。ライナー結構コニ―のことお気に入りだったよね」
ライナー「お気に入りっていうかな、なんつうかあいつ故郷の奴らがどうとか言ってただろ」
ベルトルト「うん」
ライナー「だからその、やっぱり気になる部分はあった」
ベルトルト「ほうほう」
ライナー「…サシャもコニ―も、本当に純粋だったんだよな。純粋な、年相応の少年少女だった」
ベルトルト「一番僕たちが欲しかったものかもね」
ライナー「そうかもしれんな」
ベルトルト「…アニは」
ライナー「あいつは可愛い妹だ。ずっと昔から一緒だった」
ベルトルト「昔はすごい泣き虫だったよね。今じゃ想像できない」
ライナー「お前も人の事言えないけどな」
ベルトルト「恥ずかしい」
ライナー「頬を染めるな」
ベルトルト「…助けられなかったね」
ライナー「ああ。でも、どの道こうなる運命だったんだ」
ベルトルト「あの時はわからなかったけど」
ライナー「俺らに、未来なんて最初からなかったんだろう」
ベルトルト「うん」
ベルトルト「…ねえライナー、クリスタは」
ライナー「クリスタ…なんであんなに可愛いんだろうな」
ベルトルト「独り言でよく結婚しよって言ってたもんね」
ライナー「言ってねえよ!」
ベルトルト「途中から口に出てた」
ライナー「」
ベルトルト「でもさ、僕が思うにクリスタもライナーの事好きだったと思うよ」
ライナー「は」
ベルトルト「なんとなく。僕のカン」
ライナー「信用していいもんなのかそれ。じゃあ俺も言うけど」
ベルトルト「ん?」
ライナー「ユミルもお前の事好きだったと思うぞ」
ベルトルト「え」
ライナー「なんとなく。俺のカンだ」
ベルトルト「はは、それ信用していいものなの?」
ライナー「お前に任せる」
ベルトルト「…じゃあ、信用しておく」
ライナー「おう、俺も信用しておく」
ベルトルト「ねえライナー、僕は兵士として生活している間、とても楽しかった」
ライナー「俺もだ」
ベルトルト「戦士であるということを忘れるくらい」
ライナー「実際俺たまに忘れてたし」
ベルトルト「それは言わない」
ライナー「すまん」
ベルトルト「みんな、いい奴らだったね。最初はやっぱり見下している部分もあったんだ。
でもさ、一緒に訓練して、ご飯食べて、喧嘩して、関わっていくうちにさ」
ベルトルト「みんなといるこの場所が、心地いいと思っていたんだ」
ライナー「俺たちにそんなこと言う資格なんてないだろうがな」
ベルトルト「たくさん殺して、大切なものをたくさん奪ったからね」
ライナー「ああ」
ベルトルト「ねえ、本当に自己満足だけど、僕らがこんなこと思うなんて
絶対に許されないことだとわかってるけど、だけどさ」
ベルトルト「彼らが、この先幸せであったらいいなって思ってるんだ。
幸せに、生きていってほしい」
ライナー「ああ…そうだな」
最近 君たちの暮らしはどう?
一体何を話して笑っているんだろう
ベルトルト「僕たちのいない未来を」
終わりです。短すぎたかなー
お粗末様でした。
あ、マルコの話忘れてました…ごめんねマルコ
ちょっと続きみたいなものを書いてみたかった。
短いし新しくスレ立てるのもあれだからここに書きます。
ミカサとアルミンがしゃべっているだけ。
多少捏造あり。
ミカサ「珍しい、アルミンが私の部屋に1人で来るなんて」
アルミン「そうだね、いつも来るときはエレンと一緒だから」
ミカサ「なんだか変な感じがする」
アルミン「ふふ」
ミカサ「コーヒーでも淹れよう」
アルミン「ありがとう」
アルミン「僕、ミカサの淹れるコーヒー好きだなあ」
ミカサ「ありがとう。なんだか照れる」
アルミン「ふふ。…ミカサ、髪伸びたね」
ミカサ「切る暇があまり無くて。長いと危ないってわかってはいるけど」
アルミン「人類最強の傍で働いてたらなかなか時間ないよね。大変そう」
ミカサ「大変。だけど、苦痛ではない。やるべきことがあるのはいいこと」
アルミン「確かに」
ミカサ「アルミンも大変そう。毎日遅くまで作戦会議をして、その上ハンジ分隊長の補佐。こき使われてるんじゃない?」
アルミン「まあね。結構毎日大変だよ。寝る時間があまり取れないのは辛いかな」
ミカサ「心配」
アルミン「ありがとう。でも、やるべきことがあるのはいいこと、でしょ?」
ミカサ「うん」
アルミン「…ミカサのその髪見てると、訓練兵に志願したときを思い出すよ」
ミカサ「懐かしい」
アルミン「あのときまだ僕らは12歳だったね。あれからもう7年か」
ミカサ「そう。そして調査兵団に入って4年経った」
アルミン「時間が経つのは早いね」
ミカサ「よくここまで生きてこられたなと思う」
アルミン「何度も危ない目にあってきたしね」
ミカサ「本当に。いろいろあった」
アルミン「その度にみんなに助けられたなあ」
ミカサ「仲間だから」
アルミン「仲間。いい言葉だよね。ああ、そういえば」
ミカサ「何?」
アルミン「明後日で最後なんだ」
アルミン「ライナーとベルトルトの実験」
ミカサ「…そう」
アルミン「あらかた調べ尽くしたから」
ミカサ「うん」
アルミン「僕は今まで2人の実験には直接参加してなかったんだ。調査書をまとめるとかそれぐらいしかしてなくて」
ミカサ「そう」
アルミン「多分ハンジさんが気を遣ってくれてたんだろうけど。本当はとても優しい人だから」
アルミン「でさ、今日ハンジさんに言われたんだ。明後日で最後になるって。そのとき」
アルミン「なんでかとても悲しくなったんだ。思わず涙が出るほどにさ」
ミカサ「…うん」
アルミン「僕はさ、当然2人の事は憎いよ。彼らのせいで、僕たちはたくさん失った」
ミカサ「…領土も、命も」
アルミン「大切なものが消えていった」
アルミン「でも、ふとしたときに訓練兵時代の事を思い出してしまう。彼らと一緒に過ごした3年間を」
アルミン「訓練は辛かったけど、その分ライナーやベルトルト、アニと居て楽しいこともたくさんあった。大好きだったんだ。憧れていたし、仲間だった」
アルミン「彼らにはあの3年が嘘で塗り固めた生活だったとしても、僕にとってはそれが大切な日常で、思い出なんだ」
ミカサ「アルミン」
アルミン「僕は過去にしがみついて離れられない。あんなことをした人たちなのに、2人がいなくなるってわかったら、やっぱり辛いんだよ」
アルミン「ねえミカサ、君はこんな僕をおかしいって笑う?」
ミカサ「アルミン、落ち着いて。泣かないで」
アルミン「……うん、ごめん」
ミカサ「よしよし」
アルミン「…はは。久しぶりに頭撫でられたね」
ミカサ「昔はよくこうしていた。いつの間にかやらなくなったけれど」
アルミン「たまに撫でられるといいもんだなあ」
ミカサ「うんうん」
アルミン「ありがとう、ちょっと落ち着いた」
ミカサ「…ねえアルミン、多分そう思っているのはあなただけじゃない」
ミカサ「みんな彼らを仲間だと思っていた。私だってそう。大事だった」
ミカサ「だから憎いし、失うのも辛い」
アルミン「……」
ミカサ「でも、受け入れないといけない。この結果を」
アルミン「…うん」
ミカサ「彼らはたくさん奪った。そして捕えられた」
アルミン「そうだね」
ミカサ「過去は変えられない。どう足掻いても」
アルミン「うん」
ミカサ「アルミン。過去にしがみつくんじゃなく、過去を抱えていけばいい」
アルミン「抱えて?」
ミカサ「うまく説明できないけれど、抱きしめて離さないか、優しく撫でるかの違い」
アルミン「わかるような、わからないような…」
ミカサ「私は昔から説明が下手」
アルミン「はは。落ち込まないでよ。一生懸命伝えようとしてくれているのはわかるから」
ミカサ「…アルミンは賢いからいつかわかってくれると思う。あと」
アルミン「うん?」
ミカサ「あの3年全てが嘘な訳ではないはず。それはアルミンもよくわかってるでしょう?」
アルミン「…そうだね。そうだった」
ミカサ「うん」
アルミン「ミカサ、ありがとう」
ミカサ「気にしないで。私とアルミンの仲だから」
アルミン「頼もしい」
ミカサ「ふふ。そうだ、アルミン。未来の話をしよう」
アルミン「未来?」
ミカサ「そう。私たちが巨人を絶滅させて、壁のない世界を創る」
アルミン「うん」
ミカサ「外の世界を探検する。アルミンの言っていた海にも行く」
アルミン「楽しみだね。その為にももっと頑張らないとなあ」
ミカサ「平和な世界がこの先ずっとずっと続くように尽くす」
ミカサ「そして死んだら、その平和な世界でまた生まれ変わって生きていけたらいい」
アルミン「輪廻転生?」
ミカサ「そう。輪廻転生」
アルミン「ミカサがそんなこと言うなんてなんか意外」
ミカサ「最近思うようになった」
アルミン「はは…でも、輪廻転生ってあるのかなあ。非科学的」
ミカサ「とても曖昧な話。誰も証明なんてできない」
ミカサ「でも、輪廻転生が本当にあるのだとすれば、これから何百年、何千年先になるのかわからないけれど」
ミカサ「私たちが創る巨人のいない平和な世界で、彼らともっと違う形で出会えたらいい」
ミカサ「命を奪った人が生まれ変われるのかわからないけれど。私も含めて。でも」
アルミン「…それぐらい、願ってもいいかなあ」
ミカサ「…大丈夫。未来に希望を持つくらい」
ミカサ「それはとても、素敵な事」
今度こそ終わり。
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