「再びパネェっす!上条さん」 (179)

このお話は、とある魔術の禁書目録の主人公、上条当麻さんがパネェお話しです

※注意1
原作をかなり改変しています

※注意2
キャラ崩壊

※注意3
誤字、脱字はあまり気にしないで頂けると助かります

過去スレ「パネェっす!上条さん」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/kako/1350992278

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372508438


~エジンバラ空港~

そんなこんなでエジンバラ空港に到着である

エジンバラはスコットランド――イギリスの北の地方にある街の名前だ。ちなみにロンドンは南。今からさらに国内線の飛行機に乗り換え、ロンドンの空港へ行く必要がある

禁書「はぁ…とうま、……まさか落ちてるひこーきを不思議な力で浮かせるなんて。とうま、まじパネェんだよ」

相変わらず修道服ではなくワンピースを着ているインデックスは、疲れたような表情でガックリと肩を落とす

上条「インデックスさん。人を化け物みたいに言うもんじゃありません。上条さんはXー〇ENでもなければ宇宙外生命体でもない、ただの普通の高校生ですのことよ」


禁書「……」


上条「?? インデックス?」

禁書「ううん、なんでもない。あっ、ねえねえとうま。そこのお店、とてもいい匂いがするね」ニコ


~これまでのあらすじ~

学園都市に暮らす普通の高校生 上条当麻

そしてとある事情により彼の学生寮に同居するイギリス清教のシスター 禁書目録(インデックス)

そんな彼女に突如、国家公式での召集の命が下される

上条当麻とインデックスは、いざ、ロンドンへと民間の旅客機へ乗りこむ

がしかし、不幸にもそこで二人はペロリストのテロリストに遭遇

上条の活躍により難を逃れた旅客機は、無事エジンバラ空港に到着した


―――
――


――

上条「ん? ああ、喫茶店か。あ~、そういや俺、バタバタしてて飯食ってなかったな…」

上条はポケットから携帯電話を取り出してついでに時差を調整。そして、改めて時刻を確認すると

上条(夜の8時か…フライトスケジュール的に機内食出そうにないな…)

携帯を畳み、ポケットに戻すと、喫茶店からコーヒーの香ばしい匂いが漂ってきた。その香りに上条の空のお腹が食べ物を要求するようにグゥゥと唸る

上条「……駄目だ。お腹すいた。そこの喫茶店で飯食って行こう」

禁書「うん」

上条とインデックスは、全面ガラス張りになったちょっとお洒落なコーヒーショップの入り口に向かって行く


その時だった

唐突に上条は背後から、肩をポンと叩かれる


――

上条「?」

振り返ると、そちらにいたのは一人の女性だった。


神裂「お久しぶりです」ニコ

上条「堕天使エロm…火織。どうしてk」

禁書「かおり!」ダッ

ドンッ!!と満面の笑みを浮かばせながらインデックスは神裂の胸元に勢いよく飛び込んだ

神裂「っと。ふふ、久しぶりですねインデックス。元気そうで何よりです」ナデナデ

禁書「ねぇ。この前はどうしてとうまの病室のドアを開けた瞬間に帰ったの? せめて一言、声をかけてほしかったかも…」ギュ

神裂「……用事を、そう…早急に片付けなければいけない用事を思い出したのです。……、寂しい思いをさせましたねインデックス」ギュッ

禁書「ううん、もういいんだよ。でも、次に帰る時はちゃんとお見送りさせてね?」

神裂「はい。約束です」

上条「堕天使エr……香織」

神裂「あ…、当麻さん…あの……」

上条「分かってるって。堕天使エロメイドの事はインデックスには内緒なんだよな。……、堕天使エロメイドに変身して俺の為にアックアと戦ってくれた時の事は…俺は、絶対に、死んでもインデックスには言わねえ!」

神裂「……………」

上条「約束するよ!」ニッコリ


―――
――


~ロンドン~

上条達を乗せたヘリコプターが、ロンドンのデカい公園に着陸する。……と上条は思っていたのだが、どうやらこれがイギリスの女王様が暮らしているバッキンガム宮殿とかいう住居の敷地らしい。

上条「よっ…と…スッゲェな…これが」

神裂「申し訳ないのですが…既に時間を7時間以上もオーバーしていますので早急に…」

禁書「ねえかおり、堕天s…」グイグイ

上条「ほらインデックス。人を待たせてるらしいしサッサと行くぞ」グイグイ

禁書「……ちょっととうま。なんでさっきから私がかおりと話そうとすると邪魔をするのかな」

上条「? いつ上条さんがお前の邪魔したってんだよ」

禁書「惚けても無駄だよ!へりこぷたーの中で私が話そうとすると、すぐに超電磁砲二期の話しを割り込ませてきてたもん! ハッキリ言わせてもらうけどとうま。興味がないんだよ!私が主役じゃない作品なんて、これっっっっぽっちも興味がないんだよ! とうまに分かる?今から3期が始まるまで出番のない私の気持ちがとうまに分かる!?」

上条「……スミマセン」


―――
――


~宮殿内部~

神裂がバッキンガム宮殿裏口のドアを開けると

上条「う…わ」

その先に広がっている景色は半端ではなかった

上条『宮殿ってもっとピッカピカの成金ワールドかと思ってたけど…』

現実はそんなものではなかった。ちょっとした部屋ぐらいの幅のある廊下、踏むのではなく眺める為にあるような絨毯、あっちこちに掛けられた絵画とか彫刻とか、おまけに紅茶のセットを運んでいるエロくないメイドまでいるのだから尋常ではない

『おお、来たか』

上条「?」

と、上条の耳に、男の声が届いてきた。

パーティーで己のステータスを誇示するために着こなすようなスーツを着た金髪の男が上条達の前で立ち止まる

すると、その男を見るなり神裂が口を開いた

神裂「騎士団長(ナイトリーダー)。移動手段の供与感謝します」

騎士団長「ヘリの事なら気にする事はない。我等にとっても必要な支出だった」
ナイトリーダーと呼ばれた金髪の男は、それから視線を上条の方に移した

騎士団長「ふむ。君が禁書目録の管理義務を負う者か」

上条「えっと、管理義務とかって言われると微妙ですけど…まあ」


――

騎士団長「あの10万3000冊を保全する人物とは、どのような者かと興味を抱いていたのだが……まさか頭に貼り付ける形で管理していたとはな。恐るべし東洋の神秘」

禁書「…」ガジガジガジガジ

上条「あー、なんかさっき嫌な事があったみたいで、ヘソ曲げちゃったんですよ」ハハハ

禁書「…」ガジガジガジガジガジガジガジガジ

騎士団長「…」フム

オロオロする神裂がインデックスに注意しようとしたが、騎士団長が片手で制すると、紅茶のセットを運んでいたメイドを引き留める。

騎士団長「禁書目録。良かったら食してみないか」

禁書「……イラナイ」

上条「……」

上条はメイドさんからスコーンという、パンとクッキーの中間みたいな食べ物を受け取り、インデックスの頬に近づける

上条「……インデックス…さっきは俺が悪かった。早く機嫌治してさ、俺の大好きな笑顔の可愛いインデックスに戻ってくんねえか?」

禁書「!?」///

上条はメイドさんからスコーンを貰い、インデックスの顔に近づける

上条「ほら。インデックス」

禁書「……」


――

少し間が空き、インデックスは上条の右手に持つスコーンを受け取ると、パクリと一口

禁書「…おいひい。…はい、とうまも」モグモグ

インデックスは一口食べたスコーンを上条の口元に持っていくと、上条も躊躇う事なく一口

上条「ん、美味い――んん何かこう胃袋にじわじわーっと染みてくなこのスコーン」モグモグ

禁書「だよね!?だよね!!」

神裂「…」クスクス

騎士団長「そうか、それは良かった。では、皆も集まっているのでそろそろ行こう……」

禁書「えっ!?ホントにこれ全部食べて良いの!?」

上条「おう、遠慮はいらねえ。インデックス! 思いっ切りやってしまいなさい!!!」

禁書「ふふん。こちとらハナから手加減するつもりはないんだよ!」イャッホウ!

言うと、Index-Librorum-Prohibitorumはスコーン天国に飛び掛かる!

喰らう! 貪る!! バター→ブルーベリー→イチゴジャム→ハチミツ→また素の味…と、無限とも言えるローテーションを楽しむ!

禁書「ハハはうまハハうまうま!ハママハンマハンマオン!!」

いつもは天真爛漫な顔を見せる可憐な少女なのだが、今、彼女は全ての魔術の知識を持つシスターへと切り替わっていた

やはり、彼女の本当の顔は禁書目録なのか…!?

上条「そうだインデックス、やっちまえ!!全部…全部食っちまえ!」

騎士団長「……」


――

騎士団長はちょっと無言になると、俯いたままボソリと呟いた

騎士団長「……剣を抜くが構わんか?」チャキ

神裂「まっ待って下さい!つい5分前まで泣き止む事の無かったあの子が…今、泣き止んだのです!どうか…どうか後少しだけ」フカブカ

騎士団長「……貴女がそこまで言うのなら…」チラ

禁書「はい、じゃーじのおばちゃん。これが貴女の切り札を越えた…インデックススペシャルなんだよ」

エリザード「…むぐっ!な…これはブルベリストロバニラチョコサンドスコーン!」

禁書「ふふ、美味しいよね。確かにおばちゃんのエリザードスペシャルは完璧だったよ。でもね、私は気づいてしまったんだよ」

禁書「あの組み合わせに抹茶は必要ない…ってね」ドヤ!

エリザード「成る程…これは一本取られたなぁキャーリサ。わっはっはっはっ」

キャーリサ「クスクス…こんぶだし」

上条「ぷっわはははははは!」
禁書「はははははは!」
エリザード「はははははは」
キャーリサ「だしだしだし!だしだしだしだしだし!」

神裂「うふふふふふ」



騎士団長「はは…はははは何だよコイツら、いっそ今すぐにコイツらを0にしたい」チャキ


―――
――


~長いのでダイジェスト~

その後…じゃーじのおばちゃんは女王エリザード陛下である事が判明

上条は女王エリザードの腰にあるカーテナと言う名の儀礼剣の説明を受け、王国の歴史やエリザード陛下の娘
第一王女"リメエア"
第二王女"キャーリサ"
第三王女"ヴィリアン"

を紹介される

その後、エリザード陛下が笑顔で
「大きすぎる議場の場合、全ての発言が記録されるし、面倒だからトンズラ」…との事で、会議場から3階の簡易スペースに移動

皆が集まった中。流れで上条+王女×3で記念撮影

仲間外れにされたエリザード陛下は酷く落ち込む。しかし、作戦会議の事を思い出し涙を拭い口を開く

「議論はフランス」グス

「イギリスとフランスを繋ぐユーロトンネルが三つ纏めて吹っ飛ばされた…フランス怪しい」

「まあ、予想が当たってたらだけど、フランス系ローマ正教の術式使ってるだろうから禁書目録調べてきて?」

「イエッサーなんだよ」
「俺は…」
「その右手は調査の邪魔になるから駄目だし」
「トホホ」

「後、イギリス国内にテロ魔術師がいるみたいだからそっちは清教派で調べてきて?」

「了解しました」
「俺は…」
「はい。ご協力お願いします」ニコ
「イャッホウ」

「はい! じゃあセオリー通りに。外敵…ユーロトンネル調査は"騎士派"に、内敵…イギリス国内の魔術結社については"清教派"に任せるって事で解散」

「「「ウィーッス」」」

―――
――


~ロンドン市内~

上条はインデックス達と別れ、赤いオープンカーの助手席にいた

夜のロンドンは、なんというか、排気ガス臭い。何百年単位の歴史的な建物が数多く並んでいる訳だが、そんな景色に反する形で、ムードぶち壊しな臭気に包まれている

上条「しっかし、まさかここでアンタが出てくるとはなぁ……トム」

オリアナ「(トムって)…あら。お姉さん的にも意外な展開だったわよ?」

マニキュアでギラッギラになっている指をハンドルに添えている魔術師は、作り笑顔を引きつらせながらそんな事を言った

オリアナ=トムソン…異名は追跡封じのトム

オリアナ「………」

金髪碧眼でとにかく爆乳のお姉さんだ。かつて、学園都市の大規模な学園祭『大霸星祭』に乗じて、相棒のリドヴィア=ロレンツェッティと共に破壊活動を行おうとした過去がある

上条、ステイル、土御門の三人を同時に相手にして互角?以上に戦うなど、驚異的な戦闘能力で知られるが、まぁ、なんやかんやあって野望は阻止され、身柄をイギリス清教に預けられたという事だったが……。

オリアナ「まぁ、お姉さんにも色々あってね。ちょっとした取り引きをして、今ではイギリスのために腕を振るう事になってるのよ」


――

上条「で、今は何処に向かっているんだ?」

オリアナ「容疑者である四人構成の魔術結社『新たなる光』がロンドンに入る入らないって話しがあったけど……道中に張られた検問は無駄に終わったようね。ロンドン北部にある監視カメラの映像に、おかしな痕跡が見つかったの」

上条「もう入っちまったって事か」グッグッ

オリアナ「ええ、恐らくわね…って、あなた何をしてるの」

上条「能力『幻視』を使う。アンタは俺のナビに従って運転してくれ」


オリアナ「は?」

言うと、上条はゆっくりと目を暝る。そして大きく広げた右手で両目を隠すように自分の頭部を掴んだ

上条「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

姫神「お久しぶりの説明。『幻視』。それは当麻君の持つ能力『夢幻』を自分に掛けて。当麻君の見たい過去の映像を見る応用型の幻想奥義。この技は。一見便利に見えるけど。幻想力を物凄い速さで削っていくため。長時間の使用はできない」

オリアナ「えっと…この子いつの間に車に乗ったの?」

姫神「細かい事は気にしないで。後。初めまして。私。原作ではお色気イベント後。貴女の勘違いで瀕死の重傷を負わされた悲劇のヒロイン姫神秋沙です」ペコリ


オリアナ「え、ええ…私はオリアナ=トムソンよ。宜しくね秋沙(原作?)」


―――
――

お久しぶりです…の前に
読んで頂いていた方々、長期間の放置をしてしまい大変申し訳ございませんでした

言い訳はしません。自分は逃げ出したゴミ人間です

しかし、今度こそちゃんと完結するまで続けてみせます

初心者丸出しの文章ですがここまで見て頂いた方々、本当にありがとうございました。

次の投下は三日以内に必ずします

言い忘れましたが、別スレの『仮面ライダー幻想』はこの作品が終わり次第書きます…すみません…本当にすみません

>>8は下が本文です※

――

騎士団長「あの10万3000冊を保全する人物とは、どのような者かと興味を抱いていたのだが……まさか頭に貼り付ける形で管理していたとはな。恐るべし東洋の神秘」

禁書「…」ガジガジガジガジ

上条「あー、なんかさっき嫌な事があったみたいで、ヘソ曲げちゃったんですよ」ハハハ

禁書「…」ガジガジガジガジガジガジガジガジ

騎士団長「…」フム

オロオロする神裂がインデックスに注意しようとしたが、騎士団長が片手で制すると、紅茶のセットを運んでいたメイドを引き留める。

騎士団長「禁書目録。良かったら食してみないか」

禁書「……イラナイ」

上条「……」

上条はメイドさんからスコーンという、パンとクッキーの中間みたいな食べ物を受け取り、インデックスの頬に近づける

上条「……インデックス…さっきは俺が悪かった。早く機嫌治してさ、俺の大好きな笑顔の可愛いインデックスに戻ってくんねえか?」

禁書「!?」///

上条「ほら。インデックス」

禁書「……」

ファンアート描きました!更新頑張ってください!
http://up.2ch.to/images/65e831f1386b879a1454652f7d07847c.%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%89.3000.1648.png

書き上げた所まで投下します

誤字、脱字はあまり気にしないでお楽しみ頂けると助かります


~ロンドン・とある酒場~

『新たなる光』の一人レッサーは場末の酒場にいた

カウンター席でジュージュー音を立てているフライを頬張っているレッサーは、一メートルぐらいの細長いケースの紐を肩に掛けていた。それから足元には古ぼけた四角い鞄が置いてある

レッサー(さて、と。こいつを平らげたらカバンを所定の位置に運んで、あとは指示待ちですか。変わるかなー、イギリス。変わってくれると良いですなー)モグモグ
ふんふふんと鼻歌を歌いつつ、スツールの下で足をバタバタ振り回すレッサー

レッサー「ふんふ~んふ…」

そこで、彼女の動きがピタリと止まる

レッサー「……、」

レッサーは、恐る恐る隣を見た

ついさっきまでいた客と入れ替わりに、東洋人の少年が小さいスツールに座り、こちらを見ている

レッサー(……今、彼から物凄く嫌な気配を感じたような気がしましたが……)

上条「……」ニコ
レッサー「……」ニコ

レッサー(ハァ…どうやら勘違いだったようですね…私としたことが、柄にもなく緊張してんですかね)

レッサーはオレンジジュースの入ったコップを手に取り、ごくごくっと一気に飲み干す

……と

「君さ…『新たなる光』のメンバーの一人だよな」ボソボソ

レッサー「!!!」ガタッ!

突如、耳元で囁かれる甘い声…いつの間にかレッサーは背後を取られていた!

「おっと…下手な事考えんなよ。少しでも怪しい動きを見せれば…、お前を全力でそげぶする」ボソボソ

レッサー「くっ!」ギリッ

―――
――


~とある廃墟ビル~

酒場で後頭部にゴツゴツする何かを突き付けられたレッサーは、背後にいる男の案内で、酒場から少し離れた所にあるロンドン市内の廃墟ビルへと誘い込まれた

因みに、彼女の持ち物である古ぼけた"四角い鞄"と1メートルぐらいの"細長いケース"は背後にいる男が持っている

レッサー「(うう、私とした事が、着いて早々敵に捕まるとは…何たる屈辱)」

廃墟ビルの壁面にある非常階段を上ると、4階の扉に入り。月明かりの刺す薄暗い通路から、手近なドアを開け放つ。

薄暗い部屋の中はオフィスのようになっていた。放置されたスチールデスクが鎮座し、床にはコピー用紙がばらまかれている

「さあ、到着だ。このまま奥へ進んでくれ」

レッサー「……」

レッサーは背後にいる男に言われた通り、室内の奥まで歩を進めると

オリアナ「あら、お疲れ様。どうやら上手くいったようね」

窓際にあるスチールデスクに金髪の女性が腰を掛けていた。


――

背後にいる男が、金髪の女性へ向け言葉を返す

上条「ああ、これはコイツの荷物。どうやらこの鞄とケースだけみたいだな」

オリアナ「そう……」

金髪の女性はスチールデスクを離れ、レッサーの目の前まで近づく

オリアナ「一応確認。お嬢ちゃん、お名前と所属を聞かせて貰える?」

レッサー「お姉さん……敵相手に簡単に口を割る馬鹿な女に見えます?…まぁ、その口ぶりだと所属くらいは気づいてるみたいですが」

オリアナ「ふふふ。まぁね」

上条「……、流石に口が堅いか。『新たなる光』所属のレッサーは一筋縄ではいかねえみたいだな。トム!」

レッサー「!!!」ビクッ

オリアナ「えっと……じゃあ、次の質問。あなた達の目的はなあに?良かったら計画についても教えて貰えるかしら」

レッサー「……"のうこめんと"です」

上条「な…カーテナオリジナルを第二王女キャーリサに届け、イギリスを改革するのが目的なのか!? 方法は……ッ!? この四角い鞄に入っている霊装『スキーズブラズニル』を使って…」ブツブツ

レッサー「……私、しゃべりましたっけ?」

オリアナ「あの坊や…もはや人類越えてるわね」


――

レッサーは逃げ道を求めて周囲に目をやったが、割り込むように上条が言った

上条「チェックメイトだ」

レッサー「……」

出口が封じられ、二人に挟まれたレッサーは、短く息を吐いた

レッサー「私達の負け…ですか」

上条「ああ」

レッサー「……降参です。その四角い鞄の中にはカーテナオリジナルが入っています。どうやら別の仲間が私にパスしたようですね」

上条「ああ、どうやら他の連中もみんな捕まっちまったみたいだな。この四角い鞄の中にあるカーテナオリジナルは」カチャカチャ

オリアナ「えっ、ちょ、待」

上条「返してもらうぜ!」パカピカー

上条が四角い鞄を大きく開く

そこへ、壁を無視して青いレーザー光線のように四角い鞄に突き刺さった。光線はそこで屈折するように方向を変え、また別の地点を目指して放たれる

上条「しまった!カーテナオリジナルが中継役のこの鞄を通じて、フェークストーンにある五つ目のスキーズブラズニルにパスしちまった!!ッッおのれレッサー!!」ワナワナ

オリアナ「こおおのおおおぉおばあかあさぁぁぁぁぁあああん!!」

レッサー「えっと…それは貴方のミスであって私は…いや…あの、とりあえずその黒いモヤのかかった右拳を引っ込めてもらえません……よね」ガタガタ

―――
――


~フェークストーン~

ロンドンから100キロほど離れた港町。ここはドーヴァー海峡を横断する海底トンネル、ユーロトンネルのイギリス側のターミナルが存在する

騎士派の案内で海道鉄道トンネルの内部へ向かうインデックス。少し離れた所にいる第三王女ヴィリアンは、若い使用人から魔法瓶に入った紅茶を受け取っている

騎士団長「……!」ピク

騎士団長は自分の手に持つ四角い鞄に目をやった

四角い鞄の重さを確かめると、騎士団長は第二王女の元へと向かう

騎士団長「キャーリサ様」

彼は鞄を掴んだまま、キャーリサの耳元で囁いた

騎士団長「――届きました」

キャーリサ「なるほどだし」

第二王女キャーリサはうっすら笑う

そうしながら、彼女はこう言った


キャーリサ「イギリス全土に潜ませた『騎士派』の全軍に伝えよ」



キャーリサ「進行を開始せよ…王を選ぶ為の剣、カーテナ=オリジナルは我が手中にあり。これより英国の国家元首はこの私、キャーリサが務める、となだし」ニヤリ


―――
――


~ロンドン市内~

オリアナ=トムソンの目の前で『新たなる光』の魔術師レッサーがそげぶされるのを合図にしたように、ロンドンの街は様変わりしていた

銀色の鎧を身につけた一団が、表通りを進んでいた

上条「クソッ! こんな混乱のせいで、救急車は来てくれないのかよ」

気を失ったレッサーパンダを抱えたまま、上条は忌ま忌ましそうに吐き捨てる

オリアナ「……」

上条「やっぱり、『必要悪の教会』の連中と合流するしかなさそうだな。その中には、回復魔術を扱える魔術師だっているだろうし」

オリアナ「え…ええ、でも……」

オリアナはわずかに言い淀んだ

オリアナ(回復魔術って動物に効果あるのかしら?)

レッサーパンダ「キュウ……キュウン」ハッ…ハッ

上条「!!……早く、こいつを治療してもらわないと」

クーデターの首謀者である第二王女キャーリサや騎士団長と共にいるインデックスの事が心配だ

何も起こっていない訳がない

上条「問題は一つじゃねえんだから」

オリアナ「……そうね」

上条とオリアナは頷き合うと、ビルの陰から出る


目指すは、ランベス区にあるイギリス清教の女子寮だ


―――
――


~ロンドン市内~

女子寮へ向かう途中、上条達の行方を阻むものがあった

巨大な川だ。

ロンドンの東西を横断するように、200メートル以上の川幅を誇る大きな川がある。イギリス清教の女子寮へ向かうには、そこにかかる大きな橋を渡らなければならないのだが……。

オリアナ「!? あれは…」

上条「ゴーレム=エリス……ッ!? シェリーが動いてんのか!!」

上条当麻とオリアナトムソンが、巨大な石橋で見たもの。

それは、橋を塞いでいたであろう銀色の鎧を着た騎士派の連中と交戦している全長4メートルを超す、石で出来た巨人だった

シェリー「ごォォうわあああああああああああああああああああッ!!」

怒りで我を忘れたシェリーの叫びと共に、エリスが大きく動いた

石橋の根本で慌てて動く騎士達に向かって、エリスの巨体が迷わず突っ込む。銀色の鎧を搭載していたトラックが爆発し、オレンジ色の炎と一緒に騎士達が四方八方に散らばる…が、

エリス「――、」グググ

アスファルトに転がった騎士の一人に向けて、エリスは両拳を振り落とす

ゴドン! ゴドン!! という衝撃が、遠く離れた上条やオリアナの足元すらすくいそうなる

アケノボ「ジョーン!! クソ。ボビー、オロゴン。ジョーンを救出するぞ、私に続けえ!」

周囲の騎士達は仲間を助ける為に剣や槍を突き込むが、エリスは無数の刃に貫かれながらも、倒れた騎士へ拳を叩き込んでいく


――

上条「くそ、シェリーの奴昔のトラウマ思い出して完全にブチ切れてやがる! 今はエリスを突っ込ませてるから押してるように見えるけど、シェリー本人を狙われたら、あんなのすぐに逆転されちまうぞ!!」

オリアナ(……)

オリアナ「あなたはこの混乱の隙に、さっさと橋を渡って女子寮へ向かいなさい。……お姉さんも混乱に乗じて『騎士派』に横槍を入れる、同時にあの魔術師を正気に戻すチャンスを窺うわよ!!」

上条「できんのかよ、そんなの! それもたった一人で!!」

オリアナ「じゃあ、あなたが助けたその子を見捨てて、お姉さんについて来る?」

オリアナは、上条の腕の中で気絶しているレッサーパンダに目をやった

それから、今度は上条の顔を正面から見据える

オリアナ「単に役割分担の問題よ。罪人のお姉さんが傷ついた動物を連れて女子寮に向かうより、ある程度の信頼があるあなたが回復魔術を頼んだほうがスムーズに進むでしょ?」

くそ、と上条は吐き捨てた

上条「頼めるか、トム」

オリアナ「任せておきなさい」

上条とオリアナは一度だけ頷き合うと、物陰から飛び出し…

上条「トム!パス!」ポイ

オリアナ「……?」パシ

……オリアナの腕の中にレッサーパンダ

……そして

上条「う、、おぉおお!待ってろシェリー! 幻想剣!!」ドドドドバキンドドドドドドドド

オリアナ「こおぉのぉおばああかぁさあぁぁあああぁぁん!!」

―――
――

少なくてすみません。今日の投下は終了です

17巻は削る描写か少なすぎてかなり長い話しになってますね……。多分、次の投下で17巻は終わりです

ここまで見て頂き本当にありがとうございました。次の投下は多分、三日後になります

>>19さん。

ファンアートありがとうございます

こんな風にして頂いたのは初めてで、、かなり感動です

これを新約7巻まで書き続ける気力の糧にしますので、本当にありがとうございました

ageってないみたいですのでageます

第17巻の終わりまで投下します

誤字、脱字にお気をつけ下さい


~フォークストン~

第二王女キャーリサと、騎士団長率いる騎士派の手により、インデックスは捕われた

しかし、同じく同行していた第三王女ヴィリアンは、彼女の使用人の助けにより、馬車を走らせ逃走した

騎士団長「方角を鑑みるに、どうやら山を迂回するため、ドーバーを経由してカンタベリーを目指してるようです」

キャーリサ「なるほど。あそこにはイギリス清教の表向きの総本山があったはずだし。清教派の拠点へと駆け込む事にしたのか」

キャーリサは小さく笑い

キャーリサ「……行くぞ。無能な妹に付き合ってる暇もないし。さっさと殺して、新体制の盤石を固めるし」

だが、騎士団長は答えなかった

キャーリサ「……どーした?」
騎士団長「……敵襲です」

キャーリサは周囲を見回すが、それらしい機影はない

騎士団長「こちらを」スッ

第二王女が馬上から右手を差し出すと、騎士団長は双眼鏡を軽く投げた

キャーリサ「…?あれは、幻想殺しの少年」

双眼鏡から目を離し、キャーリサは笑う

騎士団長「落としましょう」チャキ

キャーリサ「遅い。もーくる」

ボッ!! という爆風が暗い森を叩いた

地面スレスレを高速移動する神浄の体は弾丸のように『騎士派』の一団の真横を突き抜け…上空へ旋回

そして、容赦なく騎士派の真ん中へ目掛け着弾した

突然の襲撃者に周囲の騎士達は慌てて剣を抜くが、その中心に立つ者は気にせず、キャーリサを睨みつける

神浄「……よう」

視線を受けたキャーリサは静かに言う

キャーリサ「……化け物め」


――

キャーリサは適当な調子で言葉を放つ

キャーリサ「お前のよーな化け物と付き合ってられるか」

第二王女の言葉を受けて、騎士団長が馬上のキャーリサを庇うように、一歩前に出た

騎士団長「私が片付けておきましょう」

ふん、とキャーリサは鼻から息を吐くと、手綱を握り直し、第三王女を追うべく馬を走らせた

神浄「……邪魔すんなよ。バイトリーダー」

騎士団長「……」

神浄の視界から騎士団長が消え失せる

凄まじい速度で神浄の視界の外へ移動し隙だらけの頭部に蹴りを放…

騎士団長「ッ!?」
ズッパァァン!! と凄まじい轟音が炸裂した

騎士団長の体がノーバウンドで10メートルも飛び、護衛用の馬車の一台に直撃した。複数の霊装に守られているはずの馬車は粉々に砕け、騎士団長の体がさらに滑る

騎士団長「がっ……、な、ァ……ッ!?」

神浄「まだやんのか?」

騎士団長「ッぬかすな!」

騎士団長は赤黒いロングソードを抜き、超高速で神浄の懐まで間合い詰めた

騎士団長「切断威r!!」

┣"ォン!!
騎士団長「!!!ご……ぉッッ…」

神浄「幻想衝撃イマジンインパクト」

呟き、神浄は騎士団長の腹部に突き刺した右拳を強引に振り抜いた

直撃を受けた騎士団長の体は、砲弾のように真後ろへ吹き飛び、森の木々の数十本を薙ぎ倒し、逃走する一台の馬車に衝突すると、ようやく動きを止めた

―――
――


~とある林道~

騎士団長「お別れでぶふぁ…ヴィリアン様」フルフル

最後の言葉が放たれた

迷う事で、余計な痛みを与えまいとでも言うかのように。


同時、

ドッパァァァ!! という凄まじい衝撃が、取り囲む騎士派へと襲いかかった

それは居並ぶ騎士達を薙ぎ倒し、騎士団長の持つ処刑用の斧を粉々に打ち砕いた

その瞬間。
吹き飛ばされた騎士の中の数名が、呆然とした調子で呟いた

「戻ったか」

その瞬間。
馬上にいた第二王女キャーリサは、カーテナ=オリジナルを手にしたまま、余裕の態度を崩さずにこう言った

「戻ったか」

その瞬間。
砕けた斧の柄を適当に放り捨て、正面を睨みつける騎士団長は、目の前に現れた強敵に対し、口から血を吐きだしながらも、笑みすら浮かべて大声を張り上げた

「戻ったがはぁぁッ!」



「「「ウィリアム=オルウェ……」」」



神浄「?」チャキ



キャーリサ「……あ……」



神浄「End of Imagine!」


―――
――


第17巻

~完~


~とある林道~

「……騎士団長」

「……」

「あんなのカーテナ持っててもカーテナいし…」

「……」


「……ウウ…ヒッ…ク…カーテナイシィィ」

「……」

―――
――



ウィリアム「あ……ご無事ですか王の国の姫…」

ヴィリアン「……遅い、です……」

ウィリアム「!?」ビク

ヴィリアン「……もう、遅いんですよ…この、傭兵崩れの、ごろつきが」

―――
――


第17巻

~完~

ここまでで第17巻終了です

次の第18巻は三日以内に投下します


ここまで見て頂き本当にありがとうございました



オチは本当にすみません…どう考えてもキャーリサ達が勝てる要素が皆無でしたので…はい

第18巻の出来た所までを投下させて頂きます


誤字、脱字がありましてもあまり気にせずにお楽しみ下さい


~とある林道~

騎士団長「ゴホ…決闘だ」

ウィリアム「……既に決着はついた。最早、争う理由はない」

騎士団長「心配するな」ヌギヌギ

いつの間にか、その手には3センチほどの長さの刃を備えた、一振りのロングソードがあった

騎士団長「これは、私の個人的なことだ。国は関係ない!」ギュッ

ボゴッ!! と騎士団長の持つ下半身のロングソードの表面が泡立った!

ウィリアム「伝説の魔剣フル=チングであるか」

騎士団長「ククク、貴様の聖剣ヴィリアンと交わるのを楽しみにしていたのだがな」

ウィリアム「……」

そう、彼は幻想殺しの右腕もぎ取る作戦を失敗。その時の戦闘で『変人崩し』を受け、変人と性人の二重性人を失い賢人へと昇格した。だがその際、彼の最強の聖剣ヴィリアンも封印されてしまったのだ

ウィリアム「問題無い。賢人となった私には既に不要な物である」チャキ

そう彼は手に入れた

伝説の名工で知られるベン=ロルクが鍛えし伝説の聖剣を…

魔剣チャゲリーチの兄弟剣

その名は竜殺しの聖剣『アスカロン』と呼ぶ

騎士団長「さあ、友よ。殺し合いという意味での、古い決闘の始まりだ!」


それが合図


共に人を超えた者同士の傭兵と騎士の激突が、今、始まる!

―――
――


~貨物列車内~

キャーリサとの戦闘を終え、破壊された馬車の中で眠っていたインデックスを救い出した上条当麻

今は、フォークストン発ロンドン行きの貨物列車に上条、インデックスだけでなく、キャーリサと騎士派の連中も乗り合わせている


そして現在。「キャーリサ。ちょっとトイレ行ってくるわ」と、キャーリサの膝枕で眠るインデックスを残し席を立ったのだが

上条「あれ?」

車両のドアの先は多数の装備を積載している、正真正銘の貨物車両だった

一つ手前だったか、と頭をポリポリ掻きながら車両のドアを閉めようとすると

「ヘイ」

不意に貨物車両の奥から声をかけられた

上条がそちらに振り返ると、ゴロゴロと積み上げられた銀色の甲冑の山の陰で、何かがモソリと蠢いた。それは人間だ。後ろ手に回された両手と、両足の足首をそれぞれ拘束具で固定された女の子だった

フロリス「アンタ、『騎士派』の連中じゃなさそうだね。ワタシはフロリス。もしよかったら、ソコにある鍵でこれ外してくんない?」

えいっ、と声を上げて両足首を戒める木製の枷を上条に差し出す


――

上条「……お前、『新たなる光』の一人だよな。そうなったのは自業自得だろ?」

ははは、と笑うフロリス

フロリス「いやぁ、悪い事なんて何もしてないと思うんだけどねー…って、ありゃ? アンタ、実は騎士派だった?」

上条「いや違うけどさ…」

フロリス「違うならいいや。とにかく、ほれ。こいつ外すの手伝えって。ワタシは霊装の効果で、2メートル四方から外にでられないんから、鍵が掴めないんだ」

上条は言われるがまま壁に掛けてある鍵の束を右手で掴む

バキン
上条「……あ」

フロリス「どうしたー?出来たらチョッパヤでお願いしたいんだけど」

上条「……フロリス…悪い」

フロリス「は? え、ちょ、待て待て待て! 何をするつもりか知らないけど……ッ!!」

フロリスがごちゃごちゃ言ってる側から、上条はその足首にある拘束具を右手で掴む

バキン
フロリス「あ、あ……」

さらに後ろに回った上条は、フロリスの両手を戒めていた拘束具も破壊する

フロリス「ちょっ、そんな雑な方法で枷を壊したらアンタ!!」


びー、と


当然のように貨物車両に警報が鳴った


――

フロリス「もー、どうすんの!? 試合開始10分でどん詰まりなんですけどォォ!!」

上条「んー。そうだな」

上条は軽い感じで鉄の扉へ向かった

貨物車両なので、前後の扉の他にも、車両側面の壁は荷物搬入用の巨大なスライドドアになっている

上条は金具を外し、両手を使ってスライドドアを開ける

上条「よし、飛ぶか」

フロリス「バッカじゃないの自殺なら一人でやれ!」

上条「大丈夫だって。もうすぐ川に差し掛かるし。怖いならほら、お姫様抱っこしてやるから、な?」

フロリス「いや…、な?じゃなくて無理だって。水をクッションに高所からダイブで奇跡の生還って」

上条「はいはい」

フロリス「え、え、ちょ、やめ、恥ずかし、、じゃなくてホントに死ぬっつってんだろォォおおお!」

貨物列車が古い石橋を通過する


上条はいつまで経ってもグダグダ言ってるフロリスの体を強く抱きかかえると、開いたスライドドアから跳んだ


――

水面までおよそ10メートル前後

落下への恐怖からか、上条に力強くしがみつくフロリス

フロリス「終わったーっ!」

上条「いや大丈夫、水面をクッションにすれば……」

フロリス「その川は水深1メートルもねーんだよォォおおおおお!!」

上条は、ハァ…と溜め息を一つ吐くと、静かに目を暝った


……


フロリス「……あれ?」

フロリスが閉じていた目を開き、顔を上げると、そこは石橋の下の河原だった

辺りを見回すと近くの川の水が不自然に高く、高く迫り上がっていた。そして、時間が経つ事に徐々に小さくなっていく

フロリス「あれ、アンタの能力?」

上条「ああ『実幻』っていう…まあ、自分のイメージを現実にする技だ」

フロリス「へえぇ、便利な技だね」

上条「まあな」

言うと、上条はそのまま歩き出した

フロリス「……ねぇ」

上条「なんだ?」

フロリス「ワタシ、自分で歩けるからさ…そろそろ降ろしてくんないかな」///

上条「遠慮すんなって。このまま送ってやるよ。何処まで行けばいいんだ」

フロリス「だからいいってば!さっさと降ろしてよ」///

上条「残念。上条新幹線に乗ったからには途中下車出来ねえんだ。いいから大人しく抱かれてろ」ギュッ

フロリス「ッ!? こ…のバーカバーカ」///

恋の高速新幹線が今、ゆっくりと進行しだした


~とある林道~

闇夜に二つのシルエットが浮かんでいた

一人はウィリアム=オルウェル

一人は騎士団長

今まで音速を越える勢いで動いていた彼らは、ピタリと制止していた

騎士団長の右手に持つ下半身のロングソードは防御を失敗した不格好な体制のまま固定され、ウィリアムの大剣は、、その防御を避けて騎士団長の右胸へと突き込まれている

だが、騎士団長には傷一つない

右胸に突き立てたはずのスパイクは、たった一滴の血はおろか、騎士団長のスーツの布を破く事すらもなかった!

ウィリアム「…インパクトが外された……いや、違うのである。これは……ッ!?」

騎士団長「ソーロウルムの術式だ。私は私が認識したあらゆる武器の攻撃力をゼロに帰す術式を構築している」

騎士団長は、ゆっくりとロングソードを左右に振った

切り札は複数用意するべきだと言ったはずだ、と彼は続ける

騎士団長は、真っ直ぐにウィリアムを睨みつけ

騎士団長「昔、ドーバーでひどい不意打ちを受けたからな。こういう対策を講じたくなるものだ!」

ウィリアム「ッ!!」


――

下半身のロングソードを握った素手でアスカロンの刃を捕まれそうになり、急いで剣を後ろへ退くウィリアム。そしてわずかに距離が開けた所で、次々と攻撃方法を変えた斬撃を放つ!

光の色は赤――悪竜の筋肉を斬るための斧のように分厚い刃

騎士団長「ゼロにする」ドヤ

光の色は青――悪竜の脂肪を切り取るための剃刀のように薄い刃

騎士団長「ゼロにする」ドヤァ

光の色は緑――悪竜の鱗をめくるために剣身中ほどにある缶切り状スパイク

騎士団長「ゼロに、痛い!!」

と見せかけての下段蹴り

ウィリアム「……」

騎士団長「……痛くはない」

光の色は黄――悪竜の内臓を取り出すための剣身に寄り添う糸鋸状のワイヤー。とみせかけて背後からヴィリアン様が股関蹴り

騎士団長「ゼロおぅふ!」

光の色は紫――悪竜の骨格を切断するために背側にある巨大な鋸。とみせかけて股関蹴り

騎士団長「おぅふ!!」

光の股関蹴――

騎士団長「……、待…て…待ってちょっと待って!! 痛みがゼロになるまで待てよウィリアム!!」

顔は青ざめ、大量の油汗をかきながら股関を抑える騎士団長

ウィリアム「……」

騎士団長「あぁあぁ…ゼロに出来ん。頼む、腰をトントン…トントンしてくれぇぇウィリアム」ハァ…ハァ

ウィリアム「……いいだろう」


この後。ドガガガガ!! という暴力的な下段蹴りが騎士団長を襲った


~1時間後

~とある林道~

騎士団長「ハァ…ハァ…待たせたな。さあ、決着をつけさせてもらうぞ」

ウィリアム「そうであるな」

言うと、ウィリアム=オルウェルはアスカロンを両手で持ち。大剣を高く掲げると、柄の部分を顔の前に持っていった

ウィリアム「友よ…今こそ私の全力を見せよう!」

『鎧化(アムド)!』

ウィリアムが吠えると、アスカロンの武装が全て分解され形を変える。

そして形を変えたパーツパーツがウィリアムの全身へ装着され、青く蒼い全身鎧へ姿を変えた

ウィリアム「これが私の新たなる力。『Ascalon Flere』である!」

騎士団長「いいだろう。その見せかけだけの鎧、私の魔剣フル=チングが斬り裂いてくれよう」

ドッ!! という衝撃波じみた爆音が闇夜に炸裂した

騎士団長は駆ける

ただ前へ

己の持つ全ての力を使って、一刻も早く敵の懐へ飛び込むために!

対し、ウィリアムは一歩も動かない

騎士団長「とどめだ!ウィリアム=オルウェル」

騎士団長は傭兵の懐へ飛び込むと、容赦なくそのロングソードを斬り上げた


――

ゴッキィィィン!! と


『二つ』の斬撃が撃突し、弾かれた

必殺であるはずの騎士団長の攻撃が相殺される

騎士団長「ッ!?」

ウィリアム「これぞ霊装アスカロンの核心。水聖剣ボル=ビック…そして!」ダン!

ウィリアムはその巨躯で剣を隠すように、一度騎士団長に背を向ける。そして高速で身を捻り、横から振り回す軌道で一撃を放つ!

騎士団長「ゼロにす」

ウィリアム「遅い! 水聖剣秘奥義クリスタルガイザー!」


ザザザザザザン! という幾つもの斬撃音が炸裂した


人肉を切り裂く不快な音が、辺り一面に響き渡った


闇の中、二人の漢は制止していた


誰の目から見ても、結果は明らかだった


騎士団長「まったく、つまらん結果…だ……な」

ウィリアム「……、」



騎士団長の体の傾きが大きくなり、そして地面へ崩れ落ちた


決着は、ついた


たった一人で、傭兵はポツリと呟いた

ウィリアム「……生憎と、古き友を斬る刃までは持ち合わせがないのである」ニヤリ

―――
――

書けた所まで投下終了です


ここまで見て頂き本当にありがとうございました


次の投下も三日以内に必ずします

初めに、一日遅れてしまい申し訳ありませんでした

今から第18巻の最後までを投下させて頂きます

誤字、脱字がありましても、脳内変換であまり気にせずにお楽しみ下さい


~学園都市・とあるファミレス~

問答無用の午前中授業

なので、超能力開発の名門校・常盤台のエースである御坂美琴はファミレスにいた

今の時刻は午前11時前。お昼時にはまだちょっと時間があるため、客足はやや少なめである

美琴「……」

窓際の席で食事をする美琴はかなり不機嫌だ

原因は昨日の晩。美琴は上条家のこたつで不覚にも寝入ってしまい、気付けば朝ちゅん

眠たい目をこすりつつ、こたつの台に置かれていた書き置きを見る、と

『ちょっとロンドン行ってくる。朝ご飯は昨日作ったオムライスが冷蔵庫に入ってるからレンジで熱膨張して下さい 上条』

…である

御坂「あの馬鹿!私のことなんてこれっぽっちも考えてなかった! どうせ、アイツにとっての私は、鉄板の隅っこにあるこのポテトよ、このポテト!!」グサグサ

と、割とガチで怒髪天モードの美琴が、自分に見立てたポテトにフォークを突き刺し八つ当たりしていると

テーブルの端に置いていた携帯電話が小刻みに振動した

ひとりでに動いた電話がテーブルの端から落ちる直前に、バシッと美琴は携帯電話を掴み取る


……ツンツン頭のあの馬鹿だ


――

御坂「………………」ピッ

上条『美琴か』

御坂「おかけになった電話は電波の届かない所におられるか、お客様がビリビリしているためかかりません!」ブチッ!

話しも聞かず通話を切った美琴は、少し涙目になりつつも電話をテーブルに置いた

その数秒後、再びマナーモードの小刻みな振動音がヴィィィ、届いてくる

御坂「………………」ピッ

上条「……美琴」

御坂「おかけになったお客様が私の約束を破ったため電話は繋がらないの!もう電話しないで!」ブチッ!


……、再びマナーモードの振動音がヴィィィ。

御坂「……!!」ピッ

上条『美琴、ゴメンな。オムライスの約束守れなくて』

御坂「馬鹿! それだけじゃないわよ!朝起きたら急にアンタ達がいなくなって!! ……この前の事といい、ちょっとは心配するこっちの身にもなりなさいよこのジョイフル雑炊!!」グス

上条『……。ゴメン』

御坂「ゆるさない」グス

上条『……』

御坂「オムライスだけじゃゆるさないって言ってんのよ! 無事に帰ってきて煮込みハンバーグも作んなさい…じゃないと絶対にゆるさないから」

上条『はは、分かった。美琴のためだけのオリジナルハンバーグを作る。……約束するよ』

御坂「約束。絶対に守らせるから。帰って来なかったらそっちに乗り込んででも連れて帰るわよ」グス

上条『ああ、必ず帰るから……もう泣くなよ』

御坂「……うん」

―――
――


~ロンドン市外・見晴らしのいい丘~

そんなこんなでバーベキューである

首都ロンドンから撤退していた『必要悪の教会』のメンバーを始め

水上スキーを操っていた新生天草式、貨物列車から解放された元アニェーゼ部隊などなど、種々様々な宗派文化の人々が一ヶ所に集っていた

アウレオルス「ふっ、騒然。だが、それもたまには良いものだな」ブス

ダミー「快然。そうだな」

エリス「ごおぉおおお!ごおぉおおおおおお!」

イノケン「あ、木原さん。もうこの辺焼けてるっすよ」

数多「くく、さあ食肉よ。我が糧となるがよい!」

ブオーン「ブゥゥウイィイイイイイイイイ!ブゥゥウイィイイイイイイイイ!!」

火野神作「エンジェル様エンジェル様。ここは何処かお教え下さい」ガリガリ

エイワス「火野神作よ。ここはブラジルだ」

風斬「えっと…。ここはイギリスの首都ロンドン…ですけど」

ウィリアム「見ろ、旧友よ。このポークビッツ、貴様の魔剣にそっくりである」

騎士団長「ハハハ。黙れ、ウインナー」


――

五和「あの…上条さん…こ、ごふぉ!」

上条「ん?」

浦上「当麻さん。これ、暖かいスープです。よかったら」///

上条「おお、ちょうど暖かいスープが飲みたかったんだ。サンキュな、浦上」

浦上「……いえいえ」ニヤリ

五和「……」ギリギリ!


―――
――


神裂「……あの」

スフィンクス「なんだ。東洋の聖人」ボリボリモグモグ

神裂「一応。私の手であなたを討ち滅ぼしたハズなのですが、どうして生きているのですか?」

スフィンクス「知らん。気付いたらあの糞ツンツン頭の家に居たからな」モグモグ

神裂「はあ、そうですか」

スフィンクス「話が済んだなら向こうへ行け。キサマの顔を見ているとメシがマズくなるわ」

神裂「は、はい。すみません」


―――
――


――

キャーリサ「……」

キャーリサは、自分の右手に目をやる

この期に及んで、未練がましくカーテナ=オリジナルの柄を掴んだままの右手。だが、その剣は真ん中の辺りでへし折れていて、魔術的な力も失われていた

キャーリサ(ハハ……何が、国民を守る。だ)ギリ

上条「キャーリサ」

上条「お前。なんだってクーデターを起こそうなんて思ったんだ」

キャーリサ「……疲弊したこの国の価値を元に戻すに、どうしても早急な改革が必要だったの。まー、貴様みたいな政治を知らない庶民に言っても分からんだろーがな」

上条「……」


『いやぁ。言ってやらないと分からないと思うぞ?』

上条 キャーリサ「!!!」


『フランスが急に動き出して、イギリスとフランスを繋ぐユーロトンネルを爆破したことや、それに合わせるように、イギリス行きの路線を塞ぐように旅客機のハイジャック事件が起きたことや……』

『お前が用意した戦略的ないくつかのチェックポイントやボーダーラインといったものが、最悪な形で通過されたことが、クーデターを起こした原因。なんだとな』


キャーリサ「!? お…前…」

フィアンマ「ん? 消えぬバーニングレッド 右方のゴッドハンドフィアンマって言えば分かってくれるかな?」


――

フィアンマは笑みを浮かべながら、歌う様にしゃべる

フィアンマ「実はな、ローマ正教経由でフランス政府をせっつかせて、イギリス国内に不穏な動きを誘発させたのは俺様なんだ」

上条「……な、」

フィアンマ「まあ、フランスとイギリスをガチで戦争させて、焼け野原になったロンドンから『あれ』を回収するって方法でも良かったんだが……」


フィアンマ「お前のママゴトのおかげで、俺様の目的が簡単に達せられたよ。ありがとう、第二王女様」

キャーリサ「ッッ!!!」

カッと、キャーリサの頭に血が上った

カーテナのない第二王女には、直接的な攻撃術式はそれほどない。人並み程度は保持しているものの、そのレベルでフィアンマに立ち向かえるはずもない

現に、飛び掛かるキャーリサに、フィアンマは指も動かさなかった

ただ、ゴバッ!!という凄まじい衝撃が走り、キャーリサの体が100メートル以上吹き飛ばされた


フィアンマ「おいおい、やめとけよ。お前みたいな雑魚なら見逃してやってもいいんだぞ」

フィアンマの右肩の辺りから、何か巨大なものが生えている。翼のような、腕のような……この世のものとは思えない不可思議な物質だ


――

上条「キャーリサ! ッッテメェ!!」

フィアンマ「……ふん」

フィアンマの放った衝撃と上条の右手が衝突し、、ゴッキィィィ!! と凄まじい音が辺り響く

上条「!!! ぐ…あ…ッ」ズ…ズズ

しかし、あまりにも巨大な力は、それを受け止めようとした少年の体を大きく後ろへ吹き飛ばそうとする

それを

神浄「があああ…あああ!!」

右手から放たれた幻想殺しの力の放射で相殺した

神浄「ハァ…ハァ」

フィアンマ「ほう、神浄化か」

ステイル「上条さん!」

ステイルを筆頭にイギリス清教組、新生天草式、上条家の愉快な仲間達が次々と駆け付けてきた

が、しかし

フィアンマ「ご退場願おう。雑魚に用はないんだ」ニヤリ

フィアンマ「フィアンマゴッドアップミカエルジェノサイド」

フィアンマが、右肩辺りにある巨大な手を容赦無く連続で振り下ろす

ステイル「灰ははぐわぁあああああ!」

アウレオルス「愕然!神の右席フィアンマ。弾け飛ごはぁああああ!」

ダミー「兄弟!ごはぁああああ」

数多「ぬわぁぁあああ!」

ブオーン「ワ…シが…再び討ち滅ぼされる…と…は……」ゴゴゴゴゴゴ

天草式「ごっっっっ」

アニェーゼ部隊「がぁああああああ!!」

エイワス「そよ風だな」デコピン

風斬「く…大丈夫?怪我はない?」

禁書「うん。ごめんね、ひょうか」


――

神浄「やめろ! テメェの今の相手は俺だろうが。シカトしてんじゃねえぞ!!」

神浄「幻想剣!!」バキィン

右拳で空間を叩き割り、幻想剣を取り出した瞬間、光の速度でフィアンマに接近し、横薙ぎに振るう、が後ろへ下がられ紙一重で躱される

フィアンマ「おっと、危ない危ない」ニヤニヤ

神浄「はあああぁああ!」

神浄の暴風を巻き起こす斬撃の連続。しかしフィアンマはそれを紙一重で躱し、時には『右手』から放たれる衝撃波で受け流す

フィアンマ「どうしたどうした!お前の力はそんなものか」ゴバ!

神浄「くそ!!」

フィアンマの肩から不意に放たれた衝撃波を神浄は幻想剣を盾に防いだ

神浄「いいぜ! テメェがなにを考えてるかは知らねえが、その幻想は今ここでぶち殺してやる!!」

吠える神浄は幻想剣を両手に持ち、その力を解放する!

轟!

神浄「……幻想剣奥義!」

幻想剣から放たれた黒い波動が、フィアンマを全方位から覆い拘束。そして


神浄「END of Imagine!」


― ※ ―


神浄の体が超高速で移動し、黒い渦を必殺の一撃で切り裂いた


同時に、バキィン!…、と神浄が持つ幻想剣が砕け散ると、少年は糸が切れた人形のように地面に倒れ込んだ

上条「ハァ…ハァ…」


『勝った、と思ったか』

上条「!!!」


――

フィアンマ「惜しいな。神上の力であれば俺様を倒せていたのだが。立て続けの戦闘で力を使い果たしてしまっていたようだな」

上条(END of Imagineが完璧に決まったはずなのに……なんであいつは無傷なんだ)

フィアンマ「今日の俺様はかなり機嫌が良い。お前に耳寄りな情報を教えてやろう」


フィアンマ「『神浄化』なんだか。実は、俺様も出来るんだ」

ゴッ!! とフィアンマの体から力の渦が吹き出す

そして、とフィアンマは言葉を繋げた

フィアンマ「『神浄化』したものに授けられし剣『カラミティブレード』。紹介しよう。これが、俺様の剣…クリムゾンブレードだ」

ゴキ。ゴキ。と鈍い音と共に、フィアンマの肩にある『第三の腕』が変化していく

と、フィアンマに異変があった。正確にはフィアンマの右肩辺りにある変化途中の腕が…

フィアンマ「……チッ。もう時間切れか」

まるで独立した生き物のように蠢き、苦悶する蛇のようにのたうちまわり、空気の中へ溶けそうになっている

上条(なんだ…あれは……?)

フィアンマ「驚くなよ。お前が扱っている『右手』だって似たようなものなんだしな。まぁ、俺様もお前も不完全である所までそっくりなんだが」


――

その時、フィアンマの第三の腕が一際大きく、暴れるように動いた

フィアンマは初めてわずかに顔をしかめ

フィアンマ「まぁ、欲をはるのは良くないな。今日はこの辺にしておくか。ここで殺すのは簡単だが、奪った霊装を破壊されるリスクを負ってまで拘泥する事でもない。……いずれ、近い内に手に入る物な訳だしな」

上条「奪っ…た…霊装……?」

フィアンマ「凄いぞ。見るか?」

言ったフィアンマの手には、いつの間にか金属性の錠前が握られていた

フィアンマは右手の掌の中で霊装を転がし、親指だけを使って円筒形の錠前に取り付けられたダイヤルを的確に回していく


直後、ドッ!! という轟音が炸裂した

何かが、大地を突き破って真下から飛び出した




スフィンクス「またせたな、小僧」


直後、ドッ!! という轟音が炸裂した

何か白いものが大地を突き破り、獣王の顎に衝突した

スフィンクス「ごっ…ふ………!!」ドサ

その破壊力は凄まじかった


しかし、上条はそんな事になど驚いていなかった

突然現れてきたものの正体

それは人間だった


――

上条「……イン、デックス……ッ!?」

上条は思わずその名を叫んでいた

フィアンマ「禁書目録に備え付けられた安全装置……『自動書記』の外部制御霊装といった所か。『王室派』と『清教派』のトップだけが持っている秘蔵の品だ」

と、フィアンマの言葉にインデックスが反応した

自動書記「は~い。私はイギリス清教内第零聖堂区『ネセサリウス』所属の魔道図書館だよ~。正式名称はIndex-Librorum-Prohibitorumなんだけど、気軽にペンちゃんって呼んで欲しいな☆」キャルン

上条「イン…デックス!!」
フィアンマ「おや?『自動書記』にダメージでも入っているのかな。まぁ、肉体の完全制御ができないのは残念だが、この程度なら何とかなるか」

上条「何をした……インデックスに何をしたんだ!?」

ペンデックス「えっっ!私、寝ている間に何かされたの!!」

上条は気力を振り絞り立ち上がると、今までにないほど大きな声で叫んだ。

が、フィアンマは両手を広げて肩をすくめた

フィアンマ「知らんよ。整備不良はそっちのミスだろ」


ペンデックス「こらこら、喧嘩は駄目駄目。あんまりヒドイとペンちゃん、喧嘩両成敗でエリ、エリ、レマ、サバクタニしちゃうよ☆」カタメウインク


――

上条「テメェ!!」

拳を握り、フィアンマを殴り飛ばすべく、走り出そうとする上条

しかしそれより早く、右方のフィアンマが動く

ペンデックス「エリ、エリ、レマサ、バクタニ~☆」

より先に『自動書記』の目の前に赤い魔法陣出現し、そこから赤黒い光線が飛び出した

上条「――ッ!?」バキィン!

フィアンマ「そうだな。ちょっとロシアに行って天使を降ろした『素材』の方も回収しておかなくちゃならないし、それまでその右腕の管理はお前に任せておくか」

上条「く…そ…フィアンマァァァァ!」グググ

じゃあな、と手を振りながらフィアンマは物凄い速度でこの場を立ち去った

思わず右手で赤黒い光線の一撃を押さえつけた上条……、フィアンマが去った後。そこには血にまみれ気を失ったキャーリサや仲間達、キャラが完璧に変わったインデックスと、


泡を吐き、気絶した獣王が残されていた


―――
――


~見晴らしの良い丘~

上条当麻は、呆然と立ち尽くしていた

インデックスの周りを、多くの人々が取り囲んでいる。イギリス清教のプロの魔術師ですら、その表情には困惑があった

『インデックス』は、いつまで経っても意識を取り戻さない

ペンデックス「ねぇ、かおり。何を食べたらそんなにオッパイが大きくなるの?」

神裂「いや、あの。これと言って特別に変わったものは食べてませんが…っってインデックス!? 急に胸を触らないで下さい」///

ペンデックス「も~、私はペンデックスだってば。いいぜ、かおりが幻想の秘密を隠すって言うのなら、私はソレを揉みしだく」モミモミモミモミ

建宮「いいぞ、そこなのよ!」

牛深「ハァハァ、もっとやれ!もっとやれ!!」

ここにいる全員が、一体何が起こったのか、未だに理解が追いついていないのだ

「……どういう事だ」

ボソリという声が聞こえた

上条ではない。少し離れた所でローラ=スチュアートに詰め寄っているステイル=マグヌスが発した言葉だ

ステイル「どういう事だ!! 一体……一体、どこまで他人を騙して、あの子を傷つけ続ければ、気が済むんだッ!!」バチン!バチン!バチン!

ローラ「いたりける!いたりける!ちょ、顔は、顔はやめたりてステイル!!」

上司と部下という関係も英国紳士のプライドもかなぐり捨て、ローラの胸倉を掴んで激昂するステイル

エリザード「やめておけ。禁書目録に複数の安全装置を取り付ける事は、その子の基本的な人権を保障する上でも必要な措置だった」


――

エリザードの方が、横から口を挟んだ

ステイル「くそっ!!」バチン!

ローラ「いたりける!」ズザー

ステイルは吐き捨て、ローラを乱暴に叩き飛ばした

ペンデックス「めっ! だよすている。ほらほら、ろーらが痛い痛いって泣いてるよ。ちゃんとごめんねしよ?ね?」

ステイル「くっ!! こんな天使!こんな天使があの子なわけが…いやあの子は元から天使だったじゃないか…くそっ! ステイルに至福の贈り物を!!」

アウレオルス「当然。元から天使」ブスブス

ダミー「当然。これからも大天使」


何だこれは、と上条は思う

ついほんのさっきまで、みんなは一つになっていたはずではないか。

ハッピーエンドで終わるはずだったではないか

それを、あの右方のフィアンマが登場しただけで、こんな風になってしまった

『神の右席』の最後の一人

消えぬバーニングレッド右方のゴッドハンドフィアンマ


――

いつまでも固まっている上条に、エリザードは告げる

エリザード「あんな風に『首輪』を壊された状態で、遠隔制御霊装を使用する状況など実験していなかったため、こんな風な不具合が生じたんだな。この状態でフィアンマが禁書目録の知識にアクセスしようとすれば、その度にその子の体に重大な負荷が加わるだろう」

言いながら、彼女はステイルの腕に抱きつくペンデックスを剥がし

ステイル「……………チッ!」

アウレオルス「ざまあ」

ダミー「ざまあ」

両手を使ってその小さな体を抱き上げながら、エリザードは言った

エリザード「どうすれば良いかは分かっているな」

上条はエリザードの顔を見て、軽く頷くと赤い髪の魔術師に声をかけた

上条「……ステイル。俺はフィアンマを殴りに行ってくるその間、インデックスを任せられるか」

ステイル「……本気で言ってるんですか? この子をこんな風にした人間を、このまま何もしないで見過ごせと言うんですか、この僕にッ!! ふふ、任せて下さい上条さん!!」

アウレオルス「……チッ」
ダミー「………チッ」


――

上条はエリザードに向けて声を放つ

上条「……もちろん意図的な撹乱の可能性もあるけど、もしもフィアンマの言葉が本当なら、あいつの次の狙いはサーシャ=クロイツェフらしい」

エリザード「禁書目録の制御を奪われかけているという情報は、極力隠しておきたい。となると、この子を助けるため、というのは大義名分として成立しない。つまり……」

上条「……協力なら、必要ねえよ」

ポツリと、上条当麻は呟いた

感情がないのではない。ふつふつと胸の内から湧き出てくる怒りの感情は、ようやく上条の体から外界へと噴出しつつあった

上条「アシは自分で確保する。ロシアへ行って来て、フィアンマのクソ野郎を殴り殺してやる」ギリギリ

アウレオルス「当然。奴を八つ裂きにせねば気が済まん」

ダミー「同然。……だな」

闇咲「久しぶりに俺の梓弓が唸るの弦」カシン


上条(……悪い、美琴。すぐには帰れそうにないみたいだ)


上条当麻一行は、ロシアを目指す

右方のフィアンマ

奴には聞くべき事が、山ほどある

全てを聞いた上で迷わず殴ろうと、上条は静かに誓った


スフィンクス「へへ。待ってろよ姉さん」


第18巻 

~完~

お疲れ様です。ここまでで第18巻はおしまいです


ここまで見て頂き、本当にありがとうございました


次の投下は三日以内にします

今から第19巻の途中までを投下させて頂きます

誤字、脱字がありましたらまたやりやがったよコイツと笑って下さい


~とある雑貨稼業~

学園都市の第15学区は最大級の繁華街であり、街の中で最も土地の値段が高い場所でもある

そんな中に、マンションと企業オフィスを組み合わせたような、巨大な総合ビルかある。

こんな所に借りて住むぐらいなら、いっそ一戸建てでも一括購入してしまった方が負担は少ないのでは、と思う程の豪華な建物だ

そこは雑貨稼業(デパート)と呼ばれる男の住居であり、仕事場でもあった

雑貨稼業「やあ、お客さんか。いらっしゃい。お望みの品は何かな?」

一方「薬草を三つと毒消し草だ」

雑貨稼業「は?」

一方「は? じゃねェよ。だから薬草三つと毒消し草よこせっつってンだろォが。何ゴールドだ」

雑貨稼業「え…いや、うちにそんなのないけど」

一方「……ナニ、オマエ。業界ナメてンの? お客さンのニーズに応えられねェヤツが一端のデパート名乗ってンじゃねェよ、百辺死ンどけクソボケ」チッ

雑貨稼業「……」イラッ

やがて、一方通行はゆっくりと大きな部屋を見渡す、……と

一方「…ン?」

彼は横合いに目をやったまま、視線を固定させる。部屋の隅、街の景色を大きく見せるウィンドウから家具に隠れ視覚になる位置に、何かがサンドバッグのように吊してある


――

一方「……『アレ』も取り扱ってる商品の一つなのか?」

雑貨稼業「? あんたそっちに興味があるのかな。ただ、悪いんだがあれはオプションじゃない。俺の趣味みたいなもんだよ」

『雑貨稼業』はそちらに目をやり、鎖で吊り下げられた物を見て、わずかに苦い顔になる

布束「…………」

それは15、6歳程度の少女だった

白い肌に下着だけの人間が、両手を枷で戒められたまま、吊り下げられている

動きはなかった

所々に青黒い痣を残す少女は、羞恥に身をよじる事もなく、全身の力を抜いたまま小さく揺れていた

一方「悪趣味だな。高かったンじゃねェのか?」

雑貨稼業「まあ、そこそこね」

雑貨稼業「聞いた話によると、元は天才科学者らしいけど何かヘマやって暗部に落ちて。さらに懲りずに何らかの研究機関に忍び込んで、クローンを一体逃走させたんだとさ。馬鹿だよね、コイツ」

雑貨稼業「で、俺が調度、処分前のコイツを見つけて700万で売ってもらったわけ…って、おい。ホントに壊すなよ。死体の処分はかなり面倒なんだからな」

一方「……」


――

すると、一方通行は杖をついているのとは逆の手で掴んでいた鞄から封筒を取り出し、『雑貨稼業』のデスクに軽く放った

一方「1000万ゴールド前払いだ、これで文句はねェだろ。最近、ストレスが溜まってイライラしてンだ。……ぶっ殺しちまうが構わねェよな」

雑貨稼業「チッ…言っておくけど、殺すだけで700万だからな。死体の処分については別料金だぞ」

わずかに残念そうな口調で言う『雑貨稼業』趣味の一品のようだが、簡単に諦められる程度の執着しかないようだ

一方「そっか、じゃあ始めるとするか」カチ

テレレレレレレレテレレレレレレレテーテテッテーテ♪

『悪の雑貨稼業が現れた』


雑貨稼業「は?」

『一方通行の攻撃』ピピ

一方「ヒャはッ!会心のいちげきィィ!!」ゴォン!!



雑貨稼業「ごっ、がっ、ァァああ、ああああ!!」


『ぐちゃり、と鼻を砕いた悪の雑貨稼業に238のダメージ』


一方「ほら。次はオマエのターンだろォが。待っててやるから立てよ三下ァ」ニヤニヤ


――

雑貨稼業「てっ、テメ……エエッ!!」ダン!ダン!


『悪の道具屋の攻撃!拳銃が火を噴いた!』


一方「アタックカンタァ」キンキン

雑貨稼業「!! ぶっぎっ…ああああああああああああああああああ!!」


『悪の道具屋は368のダメージを受けた!』

一方「さァてと」ニヤニヤ

一方通行は、床に転がる全身血まみれの雑貨稼業の髪を掴んで、雑な感じで引きずっていく

彼が足を止めたのは、一面の大きなウィンドウの前だった

一方通行はベクトル操作でソレを全て砕くと、そのまま雑貨稼業を持ち上げ…

雑貨稼業「ひぃ!やめ…金が欲しいならいくらでもやる! だから!やめ!」

一方「ベクトルバァシルゥラァァァァ!!」

轟!!

雑貨稼業「ああああああぁぁぁぁァァァ………  」



『悪の道具屋をやっつけた!!』


~雑貨稼業の部屋~

一方通行は杖をついたまま、もう片方の手で携帯電話を取り出した。どこかに掛けると、電話を耳に当てる

一方「おお、淡キメラ。ルーラ使って女物の着替えを一式持ってこい。……サイズ?知らねェよフリーサイズのを適当に持ってくりゃ良いだろ。オマエ、センスねェから、どォせ細かく注目しても無駄だろォしな…」


一方通行が吊り下げられたままの少女の方を見て、指先を軽く動かすと、

何故か少女を吊り下げていた鎖が切断された


一方「あと土御門と海原は連れてくるな。もし、連れてきたらお礼に宇宙までバシルーラしてやンよ」ピッ


言うだけ言うと、一方通行は携帯電話の通話を切った。デスクの上の札束を適当に掴むと、床に崩れ落ちた少女の方へぞんざいに放り投げる

一方「後は勝手に生きろ。残りの人生、成功するも失敗するもオマエ次第だ」

一方通行は少女の方を見ずにチョーカーのスイッチを切ると、杖をついて出口へ向かう


布束「Wait……あなた…」

一方「……悪党だ」


一方通行は玄関のドアをくぐりながら答える


一方「ただの…クソッたれの悪党だよ」

布束「……」


―――
――


~次の日~

~黄泉川の部屋~

一方「……で、昨日は悪の道具屋をやっつけたわけだが…やくそゥ3つとどくけしそゥが買えなかったのは痛ェ。…最近、車内で毒を生産するショタコンババァがいるからどくけしは必須なンだ」ウン

打ち止め「う~ん。ならこれ」

つ[キャベジ〇]

一方「オマエ、これ」

打ち止め「ミサカじゃ足手まといにしかならないから…だからせめて、アナタの胃腸だけでも守りたい、ってミサカはミサカは疲れた夫の体を心配する新妻状態だよ」ニコ

一方(チッ……ったくオマエの優しさはバフ〇リンを越えたバファ〇ンプラスSじゃねェか。優しさのもう半分は聖母力ですってかァ?)グス

打ち止め「? アナタ、どうしたの。もしかして頭痛吐き気熱喉鼻水?ってミサカはミサカは痛みに負けルナしてみたり」

一方「……ああ、なンでもねェよ。少し、目からユンケルが溢れてきただけだ…気にすンな」ゴシゴシ

すると一方通行の携帯電話のバイブレーションが二回三回と振動して止まった

そう、それは仲間との暗号

一方「……きたか」

打ち止め「気をつけてね、ってミサカはミサカは心配してみたり」

一方「核を打ってもしなねェ野郎に、そォいう気遣いは必要ねェだろ」


一方通行は杖を突き、歩きだした


一方「じゃあ。行ってくる」


グループのドラゴンクエストが、再び始まる


―――
――


~第23学区~

世界最大の粒子加速装置『フラフープ』

それは、陽子ならば最大で高速の99.22%まで加速させる事ができ、またその状態を300秒間維持する事ができる

「ハァ…ハァ…」

迎電部隊「……」

「ハァ…ハァ…あっ!」カランカラン

迎電部隊「……たかし、ほら、もう一度だ」スッ

たかし「……もう無理だよ。。僕にフラフープができるわけないよ!」

迎電部隊「そんなことはない…お前はあの人の子だ。努力すればきっとできるさ」ニコ

たかし「なんだよおじさん。おじさんに、おじさんに母さんの何が分かるんだよ!」

迎電部隊「…そ…それは」

たかし「もういい。明日学校を休めばフラフープなんてしなくていいんだ。なんだよこんな物!」

迎電部隊「たかし、やめ!」

たかしがピンクのフラフープを近くの川へ投げ捨てようとした

その時!

一方「……やめとけ」

白髪の少年が、たかしの背後から右腕を掴んだ

たかし「離してよお兄ちゃん!こんな物、もう!」

迎電部隊「!! たかし!」バチン

たかし「!? 痛い…痛いよぉぉおうおおォおン!」


――

迎電部隊「はっ!? ごめんな打ったりして。悪かった、おじさんが悪かったから泣かないでくれ、たかs」


たかし「うぅっ!触らないでよ! おじさんなんか…おじさんなんか」


たかし「おじさんなんか大っ嫌いだ!」


迎電部隊「!!!」

一方「チッ……オイ、クソガキ。3秒やるから今すぐに謝れ」

たかし「嫌だ!」

一方「いいから今すぐに謝れっつってンだろォが!ぶち殺すぞ三下ァ!」

たかし「ひっ」

迎電部隊「待っ、待って下さい一方通行さん。この子は悪くない、悪いのは手を挙げた私なんです」

一方「いいや、許さねェ。なァたかし。オマエ、両親が死んでいない施設暮らしの孤児なンだってなァ」


たかし「だからなんだよ!」

一方「じゃあよ。両親の死因は知ってるか?」

たかし「……」

迎電部隊「ちょ、一方通行さん…何…を」

一方「いいからオマエは黙ってろ。たかし、知らねェのか答えたくねェのか。ドッチだ」

たかし「お父さんは、ぼくが生まれた時に事故で死んだってお母さんが言ってた…お母さんは、働きすぎて死んじゃったってお医者さんに言われた」

一方「……そォか。実はそのフラフープなンだがよォ。オマエの母ちゃン迎電陽子が使ってた愛用のフラフープなンだわ」

たかし「!!!」


――

一方「迎電陽子…フラフープ世界大会のタイトルを総なめにした天才だ。あまりの強さに、ついた異名が『ソニックフープの陽子』だったが…、フラフープって体の負担がパネェンだろォな。練習中に腸が捩れちまって、陽子はこの世を去った」

迎電部隊「……」

一方「オマエはその、生ける伝説であり母の形見でもあるフラフープを捨てようとしたンだ。コイツが切れンのは当たり前だろォが」

たかし「そう、だったんだ。……これお母さんのフラフープだったんだ」

一方通行は掴んでいた、たかしの腕を離すと、迎電部隊の方へ軽く背中を押した

一方「……」

迎電部隊「……たかし」

たかし「おじさん、大嫌いなんて言ってごめんなさい。またフラフープ教えてくれる? ぼく、母さんのように上手くなりたいんだ」


迎電部隊「!! ああ…ああ、当たり前だろ。お…おじさんが必ず陽子のように…上手に…ぐぅ…」

たかし「えっ!? お、おじさん。どうして泣いてるの?」


一方「ハァ……ったく。後は勝手にやってろ」


迎電部隊「グス…うおおぉおン!うおおぉおン!!」

たかし「も~、おじさんぼくが悪かったから泣き止んでってば」

―――
――

取りあえずできた所までを投下終了です

ここまで見て頂き、本当にありがとうございました



……やばい…最近、自分が何を書きたいのか分からなくなってきました

遅くなって申し訳ありません。今から第19巻の続きを投下します


誤字、脱字はありましたら…すみません


~とあるキャンピングカー~

ガラガラガラ

一方「あァ~疲れたァ」バタン

土御門「おう。お疲れさん」

海原「お疲れ様です。よかったら」スッ

海原光貴は、どうぞ。と一方通行に暖かい缶コーヒーを差し出す

その缶コーヒーを一方通行は無言で受け取るとプルタブを起こし、土御門の座るソファーの隣にドカッと座った

一方「潮岸の野郎に仕事の報告は済ンだのか」

海原「いえ、今からです」

と、タイミングを見計らったかのように、キャンピングカーに設置されているスクリーンからライブ映像が映った

潮岸『やあ、お仕事ご苦労様だったね。一方通行クン、海原クン、土御門と…おや? 結標クンはいないようだが』

土御門「…あ。おいなにやってんだ結標!早くこっちにこい」

結標「はいはい。そんなに怒鳴らなくてもいいじゃない」マッタク

と、キャンピングカーの奥に設置されているキッチンから、エプロン装備の結標淡希がパタパタと急ぎ足に、海原の隣のソファーに座った

一方(コイツ。まさかまた『アレ』を製造してやがンのか)


――

潮岸『フム。これでグループの皆が揃ったようだね。改めてご苦労様と言っておくよ。まぁ、君達にとっては簡単すぎる仕事だっただろうがね』

一方「ウゼェな…前置きはイイからサッサと教えろ」

潮岸『はは、手厳しいな一方通行クンは。……では君達が探求する、『ドラゴン』について、私が知るかぎりを話そう』

土御門「……」

潮岸『フム…まずは、Ⅰ~Ⅲからかな。Ⅰの舞台はアレフガルド…勇者ロトの血を引く勇者が、ケチでたったの120Gしか寄越さない王様のために蟹歩きとたけやりでりゅうおうを倒すRPGだ…因みに姫様を救出しそのまま宿屋に泊まるとベッドインも可能なんだが、私は10回連続で宿屋に泊まってやったよ。ははっ、ざまあみろドケチな王よ! キサマの娘は間違いなく潮岸の子を孕んだだろう! ククッ、りゅうおうよ、キサマは世界の半分をくれてやると言ったが…残念。世界の全てを手に入れるのはこの私、潮岸なのだよりゅうおォォう!!』

土御門・結標「」

一方「スゲェ鬼畜なヒーローだな。オイ」

海原「今の発言、間違いありませんね。彼が『ドラゴン』。……新たなりゅうおうです!!」


結標「……多分、違うと思うわよ」


~キャンピングカー・車内~

魔王潮岸との話は終わった

一方通行、土御門元春、海原光貴、結標淡希の4人は現在、キャンピングカーの車内にて作戦会議中である


結標「ふんふんふ~ん♪」ジュージュー

一方「だから、潮岸の家に直接乗り込んだ方が早ェだろォが」

土御門「……それが無理だって言ってるんだ。相手は学園都市の最高幹部、統括理事会のメンバーの一人だぞ」

海原「無理矢理乗り込むとこちらがテロリスト扱い…ですか。せめて統括理事会の正式メンバーが味方についてくれれば、あるいは政治的な観点からスムーズに突入も可能かもしれませんが……」

一方「統括理事会か……。なら親船のばァちゃンはどォよ。前のバイトの時に番号交換してっから連絡はつけれる」ウン

土御門「う~ん。多分無理だと思うがにゃ~」

海原「まあ、一応聞いてみませんか? お断りされるかどうかは話してみないとわかりませんし」

一方「だな。取りあえず電話掛けてみるわ」ピッ

プルルルル プルルル ガチャ

一方「よォ、ババァ。オレオレ」

―――
――


~アイテム・隠れ家~

麦野「チッ…、まさか単独で襲撃してくるとはね」

滝壷「ゴホッ……ごめ…んねむぎの……私…役に…立…て……な…」ガク

浜面「そ…んな…嘘だろ。滝…壷…滝壷!滝壷ォォッ!!」

絹旗「……」

力尽きた滝壷の身体を、号泣しながら強く強く抱きしめる浜面

しかし麦野がそれを強引に引き離し、浜面の胸倉を掴んで立ち上がらせた

麦野「はまぁづらぁ。此処は戦場なの。仲間が死んだ位でビービー泣いてる暇なんかねェんだけど」

浜面「…けど…けどよぉ」ポロポロ

麦野「けど…じゃねェんだよ!! サッサと立ち上がって拳銃の一発でも相手にぶち込まねェとテメ…」

それは突然だった

ドゴォン!! と大きな爆音が響いた瞬間。大量の銃弾がコンクリートの壁を貫き、麦野の身体に無数の穴を開け

絹旗「麦野!!」

そのまま物凄い勢いで吹き飛び、コンクリートの地面に転がった

麦野「クソッ……私とした事が……あんな…雑…魚に………」ドサ

浜面「麦…野…うっ…うっ…うあ…うわああああああああああああ!!」ダッ!

絹旗(なっっ!? 今、突っ込むのは超無謀なのに、あの超馬鹿面)ダッ!

部屋を飛び出した浜面。広い通路の正面50メートル先に、二人を亡き者にした憎き金髪の女が笑っていた

浜面「!!! この糞女ァァァァ!!」チャキ

ステファニー「」ニヤリ

金髪の女は向かってくる浜面の身体に照準を合わせ引き金を引くと、軽機関散弾銃が再び、ドゴォン!!と爆音を響かせた


――

浜面「がっっ……は!」

ステファニーの散弾をまともに受けたハズの浜面だったが

絹旗「超ぐうゥう!!」

浜面「っっ!? 絹…旗…なんで…俺を庇」

ステファニー「……チッ」カシン

浜面「!!!」

浜面は散弾銃の装填のスキに、倒れた絹旗を直ぐ近くの部屋に運び、コンクリートの地面に寝かせる

絹旗「全…く。後先考えずに突っ込むとは…。やはり浜面は超大馬鹿野郎ですね…超痛っっ!?」

浜面「!? 大丈夫か?直ぐに安全な所に…」

絹旗「いえ。私にはオフェンスアーマーがあるから、超大丈夫です。それよりも…コレを」ゴソ

浜面「コレは…お前愛用の拳銃じゃねえか。何で俺なんかに…」

絹旗「……超囮作戦です。相手は一人なら、超挟み撃ちで超ソッコーぶっ殺せば良いんです。私があの女に突撃して注意を引き付けますから、浜面は窓を伝って二つ隣の部屋へ移動、そして超回り込んで背後から私ごと撃ち抜いて下さい」

浜面「で、出来るのか。あんな、麦野すらも殺せる化け物を…お前一人で」

絹旗「出来なければ二人とも超死ぬだけです。さあ、超行きますよ!!」ダッ

浜面「クソっ!! 頑張ってくれ絹旗。お前だけは絶対に死なせねえ!!」ダッ


―――
――


――

デッデッデデレデッデッデ!

『Game Over』


滝壷「ざんねん。負けちゃったね」

麦野「はぁまぁづうらぁぁああ!!後で確実にブ・チ・コ・ロ・ス」

絹旗「ハァ……そもそも、浜面なんかに当麻お兄ちゃんの代わりを任せたのが超間違いだったんですよ」

滝壷「ごめんねきぬはた。ネットゲームが得意ってはまづら言ってたのに……囮作戦の開始直後に操作ミスして窓からダイブしたはまづらはさすがに応援できない」



フレッラ『お~いみんな~美味しい焼きたてのクロワッサンができたわけですよ~』

絹旗「!? フレンダの超クロワッサン!」ダッ

麦野「はぁ…とりあえず一時中断してお昼にするか…って、どうしたの滝壷?」


滝壷「役に立たなかったはまづらからメールがきた。『ごめんハニー…お前の敵、討てなかった』…だって」

麦野「『キモいから百回死ね』って送っといて」

滝壷「りょうかい」カタカタ


―――
――


~とある隠れ家~

ステファニー「勝った…やった、勝ちましたよ砂皿さん!!」

スナッチ「全く、勝てたのは相手がヘマをしただけだろうが。図に乗るな」

ステファニー「え~。いいじゃないですか、最高火力で一網打尽」ブーブー

スナッチ「ハァ……やはり、お前にはスニーキングミッションは向いてないようだな。もう、FOX HOUNDに入隊したらどうだ…バルカンレイブン」

ステファニー「バッッバルカン!違いますう私の獲物は散弾銃ですう!」


キャンベル「ヤレヤレ…いつになったらあの子は一流の傭兵に育つのやら…だな」

オタコン「気長に待ちましょう。新たなスナッチの誕生を」

ステファニー「ムカッ大体、砂皿さんは無駄が多いんですよ!段ボールに隠れながら潜入捜査なんて無駄なんですよ無駄」

スナッチ「黙れ。貴様に段ボールの何が分かる!!」

―――
――


~魔王潮岸の城~


学園都市でも12人しかいない統括理事会正式メンバーの一人、潮岸は顔をしかめていた

潮岸「どうしてこうなった……同じ統括理事会の正式メンバーによる、同権限者視察制度の執行とか……どうしてこうなった」

杉谷「しゃべりすぎです。途中から『エイワス』のことが知りたければ我が城へ来い勇者よ! とかドラクエとは全く関係ない話をしてましたからね。疑がわれて当然です」

潮岸「いや、何となく…ノリでさ…言ってみたかったんよ…。だってカッコイイじゃないか、学園都市の裏機密を知るボス的なポジション。ゾーマじゃなくてバラモス的な」

杉谷「……ゴホン!!」

潮岸「!?」ビク

杉谷「……とりあえず奴らを殲滅してきます」

潮岸「う、うむ! では行くがよい、我が右腕。デスシダーバレーよ! 勇者を返り討ちにするのだ!!」バッ


杉谷「……」

潮岸「……」

杉谷「行ってきます」

潮岸「う…うん頑張って」


―――
――

中途半端ですが投下終了です

ネタがおざなり…感が半端ないですね、申し訳ありません

ここまで見て頂き、本当にありがとうございました

続きは三日以内にします

すいません1日遅れました

今から出来た所まで投下します

誤字、脱字がありましたら心の中で指摘して頂けると助かります


~魔王潮岸の城・入口~


一方「遂に辿りついたなァ…魔王の城」

海原「はい。……犠牲になった土御門さんの為にも、必ず魔王を倒しましょう!!」

結標「ハァ……じゃあ、空間移動で内部に送るからそこに並んで」

一方「? オマエ、気づいてねェのか」クイッ


杖を突いた一方通行が、顎で空中を示す。そちらにあるのは潮岸が立て篭もっているであろうスライム型のシェルターの頂点部分だ


結標「? なによあれ、ミラーボール?」

一方「AIM拡散力場に干渉する装置、統括理事会スペシャルだ。おそらく今の設定はオマエだろォな」


言われ、結標は腰に差してあった軍用の懐中電灯と黒い物体の入ったピンク色のタッパーを取り出した

手の中で懐中電灯をバトンのように軽く回し、タッパーの中身を空間移動させたが、そこで結標は眉をひそめる


結標「……強引に狙いを外される印象ね。貴方達を飛ばしても地面に埋まりそうだわ」

海原「では、どうするのですか?」


一方「決まってンだろ」カチ

一方通行は首の関節を鳴らすように、首の横へ手をやり、チョーカーの電極スイッチをオンにすると…


一方「全ての扉を開く古代魔法」ゴキッゴキッ


一方「アバカム!」クワッ


┣"ゴォン!!

―――
――


~キャンピングカー車内~


第三回チキチキ野菜炒め()じゃんけんを行った結果…見事に勝利(はいぼく)した土御門元春


土御門「うぅ…うううううぅうううう!!」ゴン!ゴン!


土御門「グッッガッギごっギっがああああああああああああああ!!」


テーブルの上には、一方通行の毒消し(キャ〇ジン)が置かれていた


―――
――


~潮岸の城・エントランス~

一方通行の魔法(物理)で、ドームの中はグシャグシャになっていた

部下A「グッがギギギ焼ける胃が焼けるように熱ギギギ」

結標「……少しやり過ぎたんじゃない? 所々に待ち構えてたっぽい部下の人がお腹押さえて倒れてるわよ」

部下B「グェェェェ!グェェェェ!!!」ゴロゴロ

一方「アバカムは攻撃呪文じゃねェから。オレじゃねェよ」

親船(いや、あれはどう見ても攻撃呪文にしか見えませんでしたが)

……コツ

一方・結標「!?」

漂う大量の砂煙りの中から、コツ…コツ…と足音を鳴らしながらスーツの男が現れた


杉谷「ギ…ギギ……ギギギ」


一方「クカカ、まずは第一の番人ってかァ…イイネイイネェ、サイッコゥにテンション上がってきやがった」ゴキッゴキッ

が、戦闘体制に入る一方通行を親船が片手で制し、首を横に振った

親船「その必要はありません。彼は……もう」

杉谷「………… 」バタン


結標「……」

一方「勝った」


―――
――


~玉座の間へ繋がる扉~


一方「ハァ…ハァ、間違いねェな。ここに魔王がいる」

親船「流石は魔王の城。連戦につぐ連戦でしたね。まさか、大魔王のバーンの部下である魔王ハドラーの元部下、三下クロコダインと三連戦とは…。彼の秘策『デルパ』が老いたきめんどうしでなければ勝ち目はありませんでした」

結標(……誰とも遭遇してないのに、何でこの二人は疲労しているのかしら)

一方「オマエら。この扉をくぐればラストバトルだ。回復は万全か?」

親船「完璧です。ぬかりはありません」ニヤリ

結標「ええ、っていうか玄関から100メートルくらいしか歩いてないから疲れるわけないでしょ?」

一方「オーケー。行くぞオマエらァ!」


一方『アバカム!』クワッ!


―――
――


~玉座の間~

玉座に座る全身駆動鎧と赤いマントを纏った統括理事会の一人潮岸は、笑みを浮かべ、ぽつりと声を発した

潮岸「フン……きたか」

言うと、タイミングを合わせたかのように、┣"ゴォン!! と、爆音と共に入り口の扉が物凄い勢いで吹き飛んだ

一方「オジャマしまァす」

結標「お邪魔してます」ペコリ

潮岸「ようこそ、勇者一方通行。まずは改めて名乗ろう……我が名は魔王シーサイド。学園都市に12人しか存在しない魔王の中の魔王だ、と私はそう思っている」

一方「なン…だとォ」


結標(12人しかって、、充分に多いわよ)

潮岸「ふむ……まずは」スッ

一方「!!」

潮岸「ベホマズン」クワッ!


つ[オロナイン][リポビタンD][サロンパス]


一方「……強者の余裕ってヤツか、やっぱ侮れねェな」ヌリヌリゴクゴクペタペタ

親船「……魔王の二文字は伊達ではないと言う事ですね…あ、肩のマッサージはお願いできますか」ペタペタヌリヌリゴクゴク

潮岸「クックック、満身創痍の君達を倒しても面白くないからな! ハッハッハ」モミモミ


結標「……」ペタペタ


―――
――


~1時間後~

※仕切り直し※


親船「さて、貴方にお聞きしたいことがあります。学園都市の機密『ドラゴン』とは『エイワス』とはなんなのですか?」

潮岸「君にそれが必要かね親船最中クン?」

親船「私に、というよりは、協力者である『グループ』の方々に頼まれていましてね」

駆動鎧のヘルメット越しに、親船の顔を見ながら

潮岸「……親船クン。君は『ドラゴン』について、どこまで知っている?」

親船「知りませんよ。それはあなたが1番良く分かっているはずです」

潮岸「……あれは人の目に触れてはならないほどのものだ、『ドラゴン』とはそれほどの危険な価値のある単語なのだよ」

親船「それでも私達は『ドラゴン』について知りたいのです」

親船は、柔和な笑みを崩さずに即答した

親船「そして、必要とあらば野蛮な行動を起こすまでです」

潮岸「決裂かね」

親船「学園都市を、『ドラゴン』という巨大な恐怖から解放するために私は戦います」スッ

潮岸「そうか」

魔王潮岸は、ヘルメットの中で一度だけ短い息を吐いた


潮岸「ならばその覚悟、試してやろう」

轟!! 


―――
――


~5秒後~

潮岸「ノーバウンドで数メートルごっがあああああ!」ズザー

結標(……まあ、普通に考えたらこうなるわよね)ケータイミミアテチュウ

一方「ハァ…ハァ勝っ…た」

親船「危なかった。一方通行さんのベクトルコンボが美味しく決まらなければ即死でしたね」テヲダス

一方「ハッ、何いってやがる。……オマエのアシストがねェと、あの強固な装甲は貫けなかっただろォよ」

一方通行は差し出された手を取り、体を起こす

親船「……では、コンビプレイの勝利ということにしておきますか」ニコ

一方「まァ、9割近くはオレの手柄だがな」ニヤリ

親船「フフフ」

一方「ケコキクカカカ」

結標(あれ?……当麻君電話に出ない。…むう、とりあえずメールしとこ)ポチポチ


潮岸「げふぅ…私の…負け…か」

いつの間にかトランクス一枚で玉座に寄り掛かる潮岸。その口元には、ベクトルコンボを美味しく食らった跡が痛々しく残っている

親船「さあ、全てを話してもらいますよ」

潮岸「クックック…いいだろう知って後悔するがいい」

潮岸「『ドラゴン』とは…」

どす

潮岸「ッ……ぐ…ふ」ガク

親船「なっっ!!!」

統括理事会、魔王潮岸の腹から何かが生えていた


それは黒曜石という石を徹底的に磨いて作られた。とある部族で使用されているナイフだった


――

親船「誰ですか! こんなアステカ臭いテクパトルのような陰険なやり方をしたテクパトルは!!」

『俺だよ』

潮岸が座る玉座の影から二人の礼服の大男が現れた

美濃部「久しぶりだなエツァリ」

その二人は潮岸を守る盾のように、親船の前に立つ


親船「まるでテクパトルのような雰囲気、そしてテクパトルのような立ち振る舞い。あなたは……」

美濃部「ふっふっふ」

二人の大男は、それぞれ顔に手をやった

ベリベリと剥がされる顔の皮膚。その後から新たに現れる別人の顔

テクパトル「私だ」ドヤァ

親船「テ…テクパトル……それにトチトリ!」

トチトリ(多分……始めからばれてたよ。テクパトル)

結標(多分、始めから分かってて演技してたわね海原さん)


――

「テクパトルは、かつて海原……エツァリが所属していた組織で、作戦の立案などを行っていた男だ」

テクパトル「そしてトチトリは、ショチトルの戦友だった少女である」

親船「……今更自分の首を持ち帰った所で、『組織』そのものにとって大きな利益を生むとは思えませんけどね」

テクパトル「いいや。そうじゃない。そうじゃないんだよ」

テクパトルは肩をすくめてこう答えた


テクパトル「忘れたのかエツァリ。そろそろアステカ三番勝負の決着をつける日だぞ?」

親船「アステカ…三番勝負。はい、覚えていますとも。現在の勝敗は2勝0敗の自分が勝ち越していますよね?」

テクパトル「そうだ。そして俺はまだ勝ちを捨ててない!!」バッ

親船「……相変わらずですねテクパトル。例え1%の可能性であっても戦略を立て、その1%を1.1%にも0.2%にも変え…勝利をもぎ取ろうとする。あなたはそんな男でしたね」



結標(……? 2勝0敗って既に敗北してるわよね)

トチトリ(……テクパトル。そろそろ三番目を勝っても2勝1敗で負けるってことに気づいてくれ)

一方「zZZ」スースー

少ないorz

ですが投下終了です

ここまで見て頂き、本当にありがとうございました

次の投下で第19巻は終了しますので

投下は三日以内にしますので

今から第19巻の残りを投下します

今回はネタと文章がアイタタタかもですが、生暖かい目で見て頂けると助かります


――

老女は顔に手をやった

親船「いいでしょう…」バリバリ

まるでパックのようにベリベリと顔の表面が剥がれていく。

その先にいたのは…婆臭い婦人服を身に纏った爽やかイケメンボーイ、海原光貴だった!

海原「いざ、アステカファイト!」

テクパトル「ハッハッハ! この勝負でお前を還付なきまで叩きのめしてやるよ。最後に笑うのはこの俺だ、エツァリ!!」バッ

結標・トチトリ(……ないない)

漢のプライドを賭けたアステカ三番勝負の三番目が…今、開始された!


三番目の勝負は『アステカデュエル』

ルールは至って簡単。

互いの嫁カード(写真が載っていれば雑誌でも可)を40枚を互いに見せあい、相手の嫁カードを認めた方の勝ちとなる

正に俺の嫁のプライドを賭けたガチバトルである!


結標「あ…潮岸さん忘れてた。早く止血しないと」トテトテ

トチトリ「止血なら私がやるよ。あなたは準備の間に潮岸に刺さったナイフを抜いて、綺麗な布か何かで負傷した部分押さえといて」ガサガサ

一方「zZZ」

――

海原・テクパトル「「アステカデュエル!!」」

テクパトル「まずは俺のターンだな。嫁ドロー」シャッ


テクパトル「これは…いきなり凄いカードを引いてしまったな。いでよ『セクシー水着姿でバニラアイスの棒をくわえたトチトリ・ショチトル』!!」

トチトリ「へ?」

テクパトルの背後にプールサイドでアイスをくわえた褐色肌の水着少女が二人ホログラフィー映像のように映し出された

海原「な…、SSレアのダブル水着タッグとは! いきなり飛ばしてきますねテクパトル」

テクパトル「攻撃表示でターンエンドだ。これで星4つの嫁カードだから堪らんな」ウンウン

トチトリ「ちょっ、テクパトルお前いつの間に!?」///

海原「ええ堪りm…おっと危ない。次は自分のターンですね。ドロー」シャッ

海原「(くっ、ちっぱいの御坂さん。フリル付き水着では、あの二人のセクシー水着に勝てない!)
『海辺で波と戯れる御坂さん。フリル付きビキニ水着』を守備表示で召喚。そして補助嫁カードを一枚伏せ、ターンエンドです」

テクパトル「クックック薄い胸…いや薄い守りだな。行け!トチトリ・ショチトル!『溶けたアイスが滴って褐色の胸元にポタリ』!」

轟!!

海原「ぐ…あああああ!」

海原が召喚したビキニ水着の御坂(フリル付き)が謎の衝撃波を受け、消滅した!

テクパトル「先行き不安だなエツァリ。俺のターン、ドロー」シャッ


――


テクパトル(……これは)ニヤリ

テクパトル「エツァリ…次のターン。お前の負けは確定する」

海原「!!!」

テクパトル「タンクトップに短パン装備のトチトリ(ノーブラ)を攻撃表示で召喚。そして補助嫁カードを一枚伏せ、ターンエンドだ」バッ

トチトリ「テェェクパトルゥゥゥ!!」///

結標「トチトリさん。手元手元!」アセアセ

海原「くっ、まずいですね…どうか起死回生のカードを。ドロー!」シャッ


海原「……っ!! 御坂妹さんを守備表示で召喚。補助嫁カードを更に一枚伏せ、ターンエンドです!」

御坂妹『では、いぬ、とミサカ命名します。猫なのにいぬ』フフフ

テクパトル「……なんだその嫁は、薄い、薄すぎるぞエツァァリ!」

轟!轟!

海原「今だ! カウンターマジック嫁カード『妹達』を発動です!」バッ

ミサカ×9969『オリジナル御坂美琴お姉様の軍用クローン『妹達』ですよとミサカは懇切丁寧に説明します』

ドドン!! と謎の衝撃波が『妹達』の二人を吹き飛ばす…が、場には9967体残った

海原「くっ! 危ない所でした」

テクパトル「……いいね。これでこそ俺達の戦いだ。叡智を尽くし、アステカの舵を奪い合おう」


海原「勝負は…まだまだこれからです!」バッ


海原は着ていた婆臭い婦人服を全て脱ぎさり、トラウィスカルパンテクウトリの槍をさらけ出す!


――

テクパトル「無駄だエツァリ! 俺のターン。ドロー」シャッ

テクパトル「さあ、終幕を迎えよう。場に『寝顔のトチトリ(パジャマの胸元はだけてるVer)』を攻撃表示で召喚。……そして」

ゴゴゴゴゴゴ、とテクパトルは自分の口で効果音を出しながら…

テクパトル「伏せていた補助嫁カード『お風呂』発動!三枚のトチトリカードを生贄に捧げ、召喚せよ『バスタオルを巻いた風呂上がりトチトリ』!!」

テクパトルはデッキからではなく、服の中から何かを取り出した

それは学生鞄のような、四角い物体だった

海原「まさか…それは」

テクパトル「そう、『原典(VAIO)』だよ」


立ちくらみのような状態で必死に首を横に振って意識を保とうとする海原に、テクパトルは笑顔と共にさらに続ける

テクパトル「今や尖兵にさえ『原典』を配布するような状態なんだ。計画を立案、実行している俺だって『原典』を持っていてもおかしくはないだろう?」パカ

テクパトルはタターンタタターンと操作し、切り札の嫁カードを海原に見せ付ける!

海原「!!! 見、見え、、ごっがぁぁあああ!」

テクパトル「ハッハッハ、どうだエツァリ! 原作では画像はなく、アニメで放送してないから想像出来ないトチトリの淫らな姿だ。楽になれよエツァリ。楽になればこの原典画像をくれてやらんこともないぞ!!」

トチトリ「うわあああ! やめろ早く消せぇ、エツァリも見るなぁああ///」ポカポカ

結標「ト、トチトリさん。こっちきて治療続けて。早く止血しないと潮岸さん死んじゃうわよ」


――

海原「ご…が…ッ!?」ガクガク

テクパトルをポカポカ殴るトチトリを見た瞬間。海原光貴の背筋から、全ての温度が消えた

トチトリは何故そこまで協力するのか

トチトリとテクパトルの折り合いは良い方ではなかったのに

その答えは、とてもとても簡単な事だった

『盗撮』

そもそも。

まともな人間なら、画像をネットで頂戴して嫁をprprしたり、お店やAmazonで購入し、嫁をprprするはずではないか

しかし、トチトリは両目に涙を浮かべながら原典を奪おうとしている

海原「……」ギリッ!

先程の画像を晒されて、どれほどの心の痛みがあっただろうか

そして、どれほどの屈辱があっただろうか!

ぶるぶると海原の唇が震えた

海原「テク、パトル……」


海原「テクパトルぅぅううううううううううううう!!」

海原は吠えるように叫び、自らの顔に手を掛けた

彼の顔を覆っていた皮膚が剥がされ、褐色の素顔を外気に晒す!


――

その怒りに呼応したかのように、エツァリに奇跡が起きる!

エツァリ「自分のターン。ドロォォッ!」シャッ


エツァリ「……きた! 裁きを受けよテクパトル! 手札から特殊マジック嫁カード『10億サンダーボルト』発動。このカードは『御坂』さん1人か、『妹達』9900人以上のどちらかが場にいる状態でのみ発動可能!相手の場にいる全ての嫁カードを破壊する!」ダッ!

テクパトル「なっ!? 何をする、離せエツァ…あ、ああん!」

エツァリはテクパトルに飛び掛かり、原典(VAIO)を強引に奪うと

エツァリ「サンダーボルトォォ!」

原典を全力で床に叩きつけた!!

テクパトル「うわああああああああ!うわあああああああああああああ!!」

トチトリ「ざまあみろバーカバーカ!この変態盗撮マニア!」


結標「潮岸さん…ごめんなさい。……多分、貴方を助けれそうにない」


――

テクパトル「グス……ふえぇ。確かに俺は原典が、勝負はまだついてないぞ…」グス

エツァリ「まだ、自分のターンは終わってませんよ」スッ


エツァリ「場に『涙を流す御坂さん(頭ナデナデ)』を召喚。そして、伏せていた補助嫁カード『姉妹』を発動します」スッ

ズゴゴゴ、とエツァリは自分の口から効果音を出しながら、尻に挟んでいた一冊の本を見せびらかすように持つ

エツァリ「『姉妹』…それは場にいる御坂さん達の絆の融合。これが自分の原典(切り札)…『美琴マニアックス』です!」バッ

テクパトル「なんだ…その本は…ただのマニア向けのファンブックじゃないのか!?」

エツァリ「ええ、マニア向けの本ですね。ですがこの本には…貴方に足りない『愛』がある」

テクパトル「なんだと?」

エツァリ「貴方のデッキは全て一方的な愛ばかりですが。この本には、御坂さんのあんな事やこんな事まで…。つまり、御坂さんを好きな人のためだけに作ってくれた…いわゆる御坂さんから送られるファンブックなんです」ペラ

テクパトル「ハッ!そうか…俺は…ただ、一方的に嫁をprprprorincoしていただけだったのか…嫁が嫌がる事を平気で晒すクズ野郎だったのかあぁぁあ」ガク

エツァリ「……分かって頂けましたか」



テクパトル「……ああ、俺の完敗だ」


アステカ三番勝負

勝者 エツァリ


――


テクパトル「なあ、エツァリ。その『御坂美琴マニアックス』。御坂美琴への質問コーナーがあったよな」


エツァリ「ええ、それが何か?」


テクパトル「聞かせてくれ。お前は、、何を質問したんだ」


エツァリ「……純粋な質問ですよ。ただ一言、『誕生日はいつですか?』と書いて応募しました」


テクパトル「……結果は、どうだったんだ」


エツァリ「それは、  」


とある科学の超電磁砲 御坂美琴マニアックス 8月27日発売予定!!


―――
――


再び顔を戻した海原

海原(? あれは…)

バラバラになった原典の塊から、不自然な細長い影が伸びていた

まるで手招きをする細い手のように見えた。

受け取れ、さもなくばここで殺す。そう告げられているように、海原には感じられた

海原(フフフ…どうやら、自分はよほど『原典』に気に入られているらしいですね)

海原「いいでしょう」スッ

海原光貴は、『原典』からの申し出にそう答える

海原「ただし、その前に手伝ってもらう事が一つあります」ニッコリ

契約は成立した

海原光貴はトイレへ向かい、さらなる暗黒の道へと突き進む!


~キャンピングカー・車内~

一方通行、、土御門元春、結標淡希、海原光貴の四人は移動するキャンピングカーのソファーに座っていた

彼らの前には打ちのめされた魔王潮岸がいる。

腹の傷はトチトリの治療が間に合い、綺麗に塞がっていた

潮岸「…うっ…ここは…」

一方「気がついたかよ」

結標「グループ専用のキャンピングカーの車内です。一応、潮岸さんの傷は塞がりましたけど万が一もありますので、今は第7学区の病院に向かってます」

潮岸「……そうか」

海原「……」テカテカニコニコ

土御門「ウプ…さて、『ドラゴン』に…ついて全てを吐いてもらおうか」オエ


潮岸「……その前に、親船クンは何処かね…車内に姿がないようだが?」

海原「おや? まだお気づきでなかったですか。あれは自分の変装ですよ?」テカテカニコニコ

潮岸「なにっ!?」

一方「いや親船のクソババアにちょっと協力しろや…って連絡したンだがよォ。オレの口が悪ィから絶対に協力しねェとか言い出してさァ……」

海原「悩んだ結果、一方通行さんの『海原がババアに変装して潮岸を騙そう作戦』が採用され、自分が親船さんに変装したわけです」

潮岸「ふっ…私を騙すとは、便利な能力だな海原クン」

海原「いえいえ(……親船の車を襲撃して本人から無理矢理に服と皮膚を頂いたなんて言えませんね)」


――

土御門「…さあ、いい加減に話してもらうぞ潮岸」

潮岸「『ドラゴン』か……推測はできているかね」

一方「まさか『実は私もしらないのだよ』とか抜かすンじゃねェだろォな」

潮岸「だとすれば、気が楽だったんだけどね。生憎と私は知ってしまったのだよ」

四人は黙っていた

エイワス「……運転手君。お土産のケバブだ、食うかね?」モグモグ

運転手「いや、自分運転中なんで、後で頂きます」

潮岸の声だけが続いた

潮岸「あれは人の目に触れてはいけないものだ、内容を話せと言われれば応じるが、私は君達のために言っておこう。知らない方がいい。
これは安っぽい脅しなどではなく、『純粋に知っている者』としての発言だ」

土御門「……」ゴクリ

エイワス「久しぶりだなあわきん。ロンドン土産のケバブあるけど食べるか?」スッ

結標(? あ、お久しぶりです英話さん。今ちょっと真面目な話ししてるみたいなんで、もう少し待っててもらえますか?)ヒソヒソ


エイワス「……分かった、待とう」ショボン


――

一方「『ドラゴン』とは何だ?」

一方通行はそう質問した

忠告を聞いた上で、なお前に進んだ!

エイワス「……」モグモグクッチャクッチャクッチャクッチャ

一方「『ドラゴン』ってのは、一体どこにいる?」


潮岸「ふふ……何を言っている」

質問に、潮岸は思わず笑ってしまった

全く見当違いの事を真顔で語る者が、おかしくてたまらないといった調子で


潮岸「『ドラゴン』…エイワスは君の後ろでケバブを食べているよ?」

直後に、ゴトンという鈍い音が聞こえた

一方「!?」バッ

一方通行が振り返ると土御門と海原が倒れていた


結標「? 土御門さ~ん?海原さ~ん? ここで寝たら風邪引くわよ」ユサユサ

そして。一方通行は、見た


エイワス「やあ、はじめまして一方通行。ケバブ、食べるか?」スッ


一方「オマエが…エイワスか」


――

エイワス「それで? 私を探求し、発見できたわけだが……」

一方「あァ、満足だ。オレのドラゴンクエストはエンディングだ」

エイワス「それは良かった」



しかし と、エイワスは続けた

エイワス「私がop顕pai…おっと現出してしまったせいで、打ち止めが倒れてしまってね…このままではいずれ、必ず『崩壊』するだろうな」

┣" ゴォン! とキャンピングカーが大きく揺れた

一方「オイ……今、なンっつったよオマエ」カチ

結標「ちょ、ちょっと、一方通行!」

エイワス「私が二度目の現出した際に、『学習装置』で埋め込んだウイルスが活性化し、打ち止めの『崩壊』が始まった…と言った方が正しいか。ま、単なるクローンだから、同じ個体を作り直せば済む話かもしれないがな」


一方「……殺す」


―――
――


~窓の無いビル~

シュン

エイワス「ただいま帰った。幻想殺しを見てきたついでにお土産もらってきたぞ」スッ

アレイスター「ふむ、ケバブか…懐かしい。早速頂こう」

エイワス「……そうか、では……」


むしゃりと、アレイスターを前にして、エイワスはケバブを食らった


アレイスター「……なんのつもりだ、エイワス」

むしゃり

アレイスター「……エイワス」

むむむしゃむしゃり


アレイスター「エ イ ワ ス!!」


男性にも女性にも、大人にも子供にも、聖人にも罪人にも見えるその人間の声色が、ガラリと変わった

つまり、ガチギレである


アレイスター「……」


エイワス「……」クチャクチャ


むしゃり


アレイスター「エ イ ワ ス!!」ドン!


―――
――


~とある路上~

一方通行は、血まみれの路上に倒れていた。まともではない出血量だったが痛みは感じなかった

一方「……」

完全に潰された後にエイワスからかけられた言葉を一方通行は思い出す

『だから落ち着けと言った。私を殺そうとした者には自殺防止装置のようなものが勝手にop発paiするようになっていてね。私を殺したいなら、まずはop翼paaiをどうにかしてくれないとな』

『さて、打ち止めの件だが…あの子を治したければ、いますぐにロシアのエリザリーナ独立国同盟へ行け』


『この学園都市にも頼りになる医者はいるようだが、それはやめておけ、彼もまた人間だ。
その腕は完璧ではないし、そもそも、この街の技術でどうにかなるならアレイスターも不安材料を放っておかないだろう』


『後で嘆くのが嫌ならば、とりあえず既存のものとは違う道でも歩んでみたまえ』


一方「ロシア…エリザリーナ独立国同盟」グググ


『そうそう、禁書目録という言葉を覚えておくといい。アレ自体はそこにはないが、そこに関わる品がある』


一方「……」


この後すぐ、一方通行はベッドに寝込む打ち止めを連れて、ロシアへ向かった


明かりのないリビング

黄泉川の部屋に、真っ赤な血を使って書かれた一枚の書き置き


『このガキの命は、必ず助けてみせる』


―――
――


~???~

訳が分からなかった

とにかく逃げ続けた

浜面仕上は滝壺理后と手を繋いだまま、夜の街を走った。地下街を出て、人混みの中を突き抜け、終電後も走っている貨物列車のコンテナの屋根に飛び移った


それでも追ってはやってくる

まともな集団とは思えなかった

そしてまともに戦って勝てる相手とも思えない

なぜなら

麦野「はーまぁづぅぅらあああああ!!」

絹旗「サっサと滝壺さンを返せっつってンですよ、聞こえねェンですかァァ浜面ァァ!!」

浜面「うるせェェ!お前らに捕まって殺されるくらいなら学園都市から高跳びして、マイハニーとラブラブ逃避行してやんよォォ!バーカバーカ!!」オシリペンペン

追い付かれる瞬間に貨物列車が減速を始めた。浜面は滝壺を抱え、列車を飛び降り、トンネルの壁に設置された扉を開け放ち、細い通路を必死で走る


麦野「アイツ、ブ・チ・コ・ロ・シ・カクテイネ」

絹旗「捕まえたら超愉快なオブジェに変えてやりましょう。いや、やっぱり浜面即ぶっ殺す」ゴキゴキ

フレッラ「結局…浜面は馬鹿確定なわけですね~」

ンダ「」テケテケ


…が、浜面は滝壺を人質にどうにか追ってを振り切り、見事高跳びに成功した


麦野一行も滝壺を助けるために別の超音速旅客機に乗り込み、すぐに跡を追う

麦野「待ってろ滝壺!」


一行を乗せた超音速旅客機は、ロシアへ向けて飛び立つ


~???~

そしてツンツン頭の少年もまた、ロシアへと足を向けていた


上条「待ってろ」


少年はそれだけ呟いた

とある少女を助け出すために、惑星規模の騒乱の中心へと、彼らは迷わず進む!


ダミー「しししししし悄然…私は…もう……眠…」

アウレオルス「愕然…早急に目を覚ませ兄弟!今寝たら死!だ」ブス

ダミー「zZ…」ガク

アウレオルス「……あ…」

闇咲「ハッハッハ! ここは何処の弦!ここは何処の弦!!」カシン カシンカシンカシン


※因みにスフィンクスは、吹雪の中で迷子(行方不明)になりました


悲劇では終わらせない

それぞれの想いを抱え、多くの主人公達が一ヶ所に集う!


第19巻

~完~

お疲れ様でした。ここまでで第19巻は終了です

パネ条さんもやっとロシア編…長かったような長かったような

ここまでお付き合いして頂きありがとうございました

できれば最後まで読んで頂けると嬉しいです


後、次の投下はなるべく早くします


※ピクシブに前スレ『パネ条さん』の追筆+誤字修正版を投下してますので、良かったら見てみて下さい

乙!
PIXIVでも読んだヨ!

少ないですが第20話を投下します


誤字、脱字がありましたら…自分の心にコメントして下さい


~宣戦布告~

これは世界とそこに住む全人類を守るための戦いだからね

なあ知ってる?最近、各地で起こってる温暖化とか海面上昇などの環境破壊。石油とか化石燃料とかの不足は全ておまえら学園都市が原因なんだと(ソースはニちゃん)


あーあ、俺の予想だとこのままじゃいつかこの星滅びるな…これ俺の予言な

何が言いたいかというと、元凶な学園都市様は、さっさと俺達に科学技術を開示して白旗ふってくんないw

因みに拒んだら徹底的に潰すから。学園都市はそこんとこ分かってる?

あっそ…学園都市の返答は10月19日の午前0時までだからね。拒否した場合は弾道ミサイルとか色々使うよ?

あ、ついでに学園都市の友好関係の国も潰すから。特にグレートブリテンと北部アイルランド連合、おまえらだおまえら

俺達ロシア人は、みんなのためにバカな敵国と全力を持って戦う姿勢です!


10月18日

ロシア連邦大統領

ソールジエ=I=クライニコフ



アレイスター「……いいだろう。全勢力を持って徹底的に潰してやっからかかってこいよ、ピロシキがw…と」カタカタ

エイワス(釣られたなアレイスター)ニヤニヤ

風斬(ハァ……あの子…大丈夫かな)

―――
――


~日本海~

そして、第三次世界大戦は始まった

10月19日は運命の日として、長く人々の記憶に留められる事となる

日本海上空。

そこは学園都市側の最終防衛ラインだ。ここを『敵国』ロシア側の強襲楊陸艦や戦略爆撃機が突破した場合、小さな島国は火の海と血の海になる!

そうなるものだと、誰もが思っていた

『う、うわぁあ! 冷蔵k…虫の大群だー!』

カブトムシ『』ドン!ドン!

「ピロシキーー!!」ドーン

トンボ『』ビーム

「う…うわーっボルシチーー!!」ドーン

数では圧倒的有利だったはずのロシア軍


冷蔵庫『』ブワサッ!

轟!

『よけれな、ギャーッ!ビーフストロガノフーー!!!』ドーン

突如飛来した純白の羽を持つ冷蔵庫の襲撃により、ロシア第一飛行部隊はあっという間に全滅していった


エカリエーリャ「な、何だ…あれは」

エカリエーリャ「私達の敵は本当に戦闘機なのか!?」


冷蔵庫『』ピピ

冷蔵庫『……ガクエントシエノコウゲキハムダダークマター。モウアキラメルヘン』ゴゴゴゴ


エカリエーリャ「冷蔵庫が…しゃべった!!」


―――
――


~ロシア西部~

10月30日

浜面は滝壺を乗せた盗んだ車で走り出す…行く先も…分からないまま

浜面(やっちまった…これからどうすんだよ俺達)

塗装が剥げ、茶色い錆まで見えている乗用車。そのハンドルを握りながら、浜面は隣の助手席をチラリと見る

滝壺理后。

以前。暗部『アイテム』がやんちゃだった頃に『体晶』という体に良くない薬品のようなものを多用しており、その副作用で体がボロボロになった少女だった

滝壺「ハァ…ハァ…」

最近は、上条当麻に奨められた第7学区の病院に定期的に通っており、多少ながらも出歩けるくらいには快復していたのだが…再び、体調が悪化してしまったようだ

浜面「……すまねぇ、滝壺…俺のせいで」

滝壺「ううん。追い込んだのは私たちの方だから。ごめんねはまづら」ハァ……ハァ


浜面「……滝壺」

滝壺「とにかく、むぎの達と合流してごめんなさいって謝ろう。そうしたらきっと、いつものアイテムに戻れるから」ハァ…ハァ

浜面「……ああ。土下座でもなんでもして、誠心誠意、気持ちを込めて謝罪するよ」

滝壺「うん。骨は拾ってあげるから、頑張ってはまづら」ニコ

浜面「……」

―――
――


~とある貨物列車~

一方通行は貨物列車に潜り込んでいた


連邦横断鉄道

第三次世界大戦が開戦した事によって、多くの軍用物資を搬送する必要が出来たために。一方通行を乗せた貨物列車は通常ダイヤを完全に無視して、安全規定を完全に無視した500キロオーバーというハイスピードで運行されている


一方(……)

現在、彼は一人ではない

その傍らには、見た目10歳前後の少女とがいる

ガイル「ソニックブーム」

一方(……)

打ち止め

第3位の超能力者の体細胞を使って作られた、クローン人間の少女だった

彼女はエイワスという怪物をこの世界に出現させるために利用され、脳に重大な負荷がかかってしまっている

おかげで自分の足で自由に歩き回る事もできず、今もぐったりしたままだ



打ち止め「ン……ここどこ? ってミサカはミサカは辺りを見回してみたり」

ガイル「アメリカだ」

一方「列車の中だ」

打ち止め「ヨミカワやヨシカワは? ってミサカはミサカは質問してみる」

一方「今はいない。でも絶対にすぐにあえる。必ずだ」

打ち止め「そっか……、良かった、ってミサカはミサカはホッとしてみたり。……ねえアナタ、お手々握って、ってミサカはミサカは手を伸ばしてみる」


ぴくぴくと震えるだけの指先

彼女の小さな手は動かなかった

ガイル「……ナッシュ!」ギュッ


――

一方(……何でこォなった)

疼くまったまま、一方通行は歯を食いしばる


一方(……このガキが一体何をした。こンな、自分の指を自分で動かせないよォな状態にならなくちゃならねェ事をやったってのか。何で、このガキがこンな目に逢わなくちゃなンねェンだ)ギリギリ

現代的なデザインの杖のグリップを、握り潰すほどの力で掴む

今、この惑星では世界規模の戦争が始まっている

各々の国にいる様々な人は、それぞれの大事なもののために戦っているのだろう


だが、彼女のために戦ってくれる者は一人もいない


一方「チッ……ふざけやがって」

その時だった

ベコンッ!! と分厚い金属がへこむような音が頭上から聞こえてきた

貨物列車のコンテナがゆがんだのだろう

一方通行が顔を上げると、さらに続けて二回、三回と似たような音が響く

それと同時に別の車両からロシア語で罵る声と、複数の銃声が飛んできた

マトリョーシカ!マトリョーシカ!フタツヨンセンエン!!

ギャー!ビーフストロガノフー!

すぐにそれは悲鳴へと切り替わっていった!


――

何者かが高速移動中の貨物列車に飛び移ってきたのだと、一方通行は推測する

一方(……追ってきたか)

打ち止め「どうしたの、ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

一方「……何でもねェよ」

ガイルは打ち止めのポケットからハンカチを取り出すと、小さく畳み、彼女の両目の部分だけ覆うような形で置いた

打ち止め「また、あんな風にケンカしたりしないよね、ってミサカはミサカは聞いてみる」

一方「……、あァ、約束する」カチ


一言で、切り捨てるように嘘をついた


やがて彼は、静かに立ち上がる

小さな少女の命を脅かす可能性のある者を、片っ端から粉砕するために!

『サマソ!』

ドゴンッ!! と。

一方「」

直後に、しゃがんでいたはずのガイルが、鋼鉄製の天井を突き破って列車の屋根に飛び出す


ガイル「……」スタッ


貨物列車の上にいた襲撃者達は白い駆動鎧


同一の装備で身を固める兵隊が、10人ほどいる


大量の銃器に取り囲まれたガイルは、しかし揺らぐ事はなかった


ガイル「……罪のない少年少女をつけ狙うシャドルーのゴミクズ共。この俺が相手だ」スッ


轟!


今、ガイルの ROUND 1 がFIGHT!した!!

―――
――


~ロシア~

上条当麻は雪で覆われた白銀の大地を歩いていた

ここまで来るのに数多くの犠牲があった

…アウレオルスの発狂
…ダミーの死
…闇咲逢魔の精神崩壊
…スフィンクスの遭難


上条当麻は戦線離脱した彼らの顔を思い浮かべ、強く心に誓う。

必ずインデックスを救い、右方のフィアンマの野望を阻止してみせる、と!


??「あの~」

上条の隣を歩くラクロスのユニフォームにジャケットを足したような格好をした少女が、オズオズと話しかける

現在、彼は一人ではない。上条がなんとか猛吹雪を越えた後、ロシアに入る国境付近でこの少女が待伏せており

上条を発見したと同時に『いきなりですが…お供させて下さい!』と深々と頭を下げられて、今にいたる


上条「なんだレッサー」


そう、彼女の名前は『レッサー』

イギリスの結社予備軍『新たなる光』の一員であり、第二王女キャーリサにカーテナ=オリジナルを輸送しようとした魔術師だ

けして、クーデターの際に助けた、傷を負ったレッサーパンダなどではない


――

レッサー「そもそも、この広いロシアで、どうやって右方のフィアンマを捜すんですか?」

上条「……簡単だ。『幻視』を使って追って行けば、必ずあいつに会える」

レッサー「? 幻視?」

姫神「『幻視』…もう何回も説明したから。みんな知ってる。よね。なら説明終わり」スッ

レッサー(!? 今、どこからか女の人の声がした気が。しかも、全然説明してないのに帰ったような…)キョロキョロ

上条「とにかく、エリザード独立国同盟付近に建てられた基地の地下…。今、ヤツはそこにいる!待っていろフィアンマ!!」


レッサー「は~、そこまで見えてるんですか…凄い能力ですね」

姫神「初めはみんなそう思うよね。でも。幻想力の消費は激しいから。多用はできないの」

レッサー「は~、なるほ……………………」

レッサー「」チラッ

「」スッ

―――
――


~国境付近~

上条達の正面。視界の300メートル先には、馬車に連行されたロシアの住人を乗せたトラックの車列

レッサー「あのスレイプニルの馬車が向かう先は…おそらく政治犯強制収容所ですね」

上条「ロシア成教…基地を稼動させるためだけに罪のない人達の住居を奪い、強制的に退去させるとは激おこそげぶんぶん!!」

それを見た上条が向かった先は、近くにある丸太のログハウス


上条「あった!」

レッサー「……、工具箱なんて取り出して、一体どうするつもりなんですか? まさか連行中の住人達を助けるとでも? そんなL字バール一本で大暴れする気ですか?」

上条「ハァ…いくら俺でも相手が何人いるのかも分からない。どんな魔術を使うかもサッパリ。そんな状況で真正面からケンカするとでも思ってんのか?」ヤレヤレ


―――
――


~スレイプニル内部~

ブラッシャー=P=マールハイクスは顔をしかめていた

ブラッシャー「あ~あ退屈だぜ。さっさと終わらせてボルシチの一杯でも引っ掛けてぇなぁ」


思わず呟いた直後だった


上条「うおぉおあああぁああああああああああああああああ!」ブンブン


正面から東洋人らしき少年が、バールのような物を振り回しながら物凄い速度で突撃してきた


―――
――

とりあえずここまでです


ここまで見て頂き、本当にありがとうございました


次の投下は三日後くらいにします

>>144さん

文才無き内容ですが…見て頂き、本当にありがとうございます

遅くなってしまい申し訳ありません

今から第20巻の書けた所までを投下します。誤字、脱字はどや顔で敵の居場所を間違えた後のエリザードさんをスルーしてあげた各国代表のような優しさでスルーしてくださいします


~国境付近~

上条突撃後、レッサーが見たのは圧倒的な力による暴力だった

まず上条が狙ったのは囚人護送用のトラックの先頭を走っていたスレイプニルだ。
まず少年はバールの様な物を馬の首に叩きつけ雪原の大地に転がすと、動きの止まった小さな八輪の馬車のドアをこじ開け

上条「うわああああああ!!」

ロシア兵A「わああああああ!!!」

ブラッシャ「ぎゃああああああクレイジーボーイ!」

すると囚人護送用のトラックを運転していたロシア兵士が銃器を構え暴力的な音が連続する馬車に近寄る…と

ロシア兵「!?」

「オマエモロシアヘイカ」

馬車から赤い血に塗れた手が飛び出し

ロシア兵「ひ、ぎゃああああああ!」

ロシア兵のコートの胸倉を掴んで馬車の中へ引きずり込んだ



これは、上条が突撃し三分の間に起こった出来事である

現在、銀色の金属板で覆われたダンゴ虫みたいな馬車は………………………………………真っ赤なポルシェに姿を変えていた


―――
――


――

上条「ふう…なんとかなったな」

レッサー「……私の目がおかしいんですかね…スレイプニルと馬車がスポーツカーに変わったような…」

上条「はは、ロシアではよくあることなんじゃないか、なあストロガノフ?」

ブラッシャ「ああ、これはロシアの妖精の悪戯だよ、ガール」

レッサー「」

ロシアンジョークをはさみながら適当に会話しつつ、上条達は300メートルほど先にある車列に向かう

基地建設予定地に住んでいた住人は、トラックの中に閉じ込められているらしい

上条達はトラックの背後に回ると

ブラッシャ「ヘイ、カミジョーサン。そっちを捻ってくれ」

上条「ああ、任せろ」ガチャ

トラックの扉を開ける

すると、うずくまった老若男女の目が、こちらに集中した

彼等の表情には怯えと戸惑いがあった

どこか決定的にまずい場所へ到着したのではないかという恐怖と、トラックの扉を開けたのがロシア成教の人間ではなかった事に対する疑問だ


上条「……」


それを見た上条が第一に取った行動は…


――

上条「ヤア! ボクはカミッキージョウトウマウス。君達に会いに不思議の国ジャパンからやってきたよ(裏声)」

上条は相手を安心させるために嘘をついた

ロシア男の子「フゥー!カミッキージョー!」

ロシア老人「カミッキージョウ…カミッキージョウ!!」

彼はロシア話なんて分からない

身振り手振りで説明した所で恐怖を煽るだけだろう

ならば…皆が知る世界中で大人気のマスコットになり恐怖を笑顔に変えよう。上条はそう考えた

上条「ハハハ。もう大丈夫。怖いロシア兵はこの魔法の右拳で幻想(挽き肉)に変えてやったからね」ポタポタ

ロシア女性「まあステキ!その赤く染まった右手は魔法の力が宿っているのね」

ロシア男性「パネェ!パネェよ!カミッキィジョウトウマウスゥゥウンウン」

ロシア兵「なあ、見せてくれよ!俺達がもっと笑顔になる素敵な幻想を見せてくれよ、カミッキージョォォンウ!」

上条「任せろ!」

上条はトラックから皆を下ろしその右手で大破させ火種を作ると、空間を叩き割り、中からずん胴の鍋と調理器具を取り出した


そう

上条「さあ出来たぞ。ボルシチだ!」

上条は皆の為に、ロシアのお袋の味ボルシチを作ったのだ



レッサー「……」


――

上条「さあ、小さい子供から順番に並んで並んで(裏声)」

上条はボルシチを皿に注ぎ皆に振る舞う

ロシア男の子「わあ、美味しくてあったかい。そしてもう冷たぁい」ニコォブルブル

ロシア老人「ズズ…ふう生き返るのう。もうシャーベット状になりかけとるが生き返るのう」ニコォブルブル

ロシア男性「ふう…ロシアの大地でこんなに美味しい冷製ボルシチが飲めるなんて…ウッ…」ガタガタブルブル

ロシア女性「もう泣かないの。早く食べないと…あ、ほら凍っちゃったじゃなぁい」フフフブルブル

数秒で凍る熱々のボルシチに舌鼓を打つ皆の顔が笑顔になり、そして青ざめていく

おそらく体を冷やしたのだろう。ドジっ子なロシアの人達を見て上条の顔からは自然と笑みがこぼれていた

上条「よかった…ロシアの人達笑顔が戻って本当によかった」ニコ

ブラッシャ「ハハハ。カミジョー、もしかしてお前は聖ニコラウスの生まれ変わりなのか?」

上条「おいおいよせよ。俺はただ…///」

ブラッシャ「バーカ。ジョークだよロシアンジョーク。ハハハ」

上条「ハハハ、この野郎」ガンゴンバキンドゴォ!

レッサー「あの、皆がフランダースの犬の最終回のネロみたいになっていってますけど……あれこのまま放っといたらみんな死んじゃいますよ? いや、ハハハじゃなくてですね……」グイグイ

―――
――


――

後の事はロシア兵のNICE GUYブラッシャに全てを任せ、上条とレッサーはスレイプニルに乗りこむ

レッサー「あの、ロシアの大地をポルシェで走るのは無理があるのでは…第一、私は運転出来ませんけど?」

上条「俺が教えてやるから大丈夫だ。ほら、まずは手綱掴んで」ギュッ

レッサー「なんでスポーツカーのハンドルが手綱に変わっ……ハッ!」

レッサー、驚愕の事実に気づく!

周りには人の気配はなく…車内に男女が二人きり

そして手取り足取りの密着指導

―――
――



※妄想※

『さあレッサー。お次はお前の体を隅々まで点検してやるよ』ドサ

『ふふふ、いいですよ。多少荒々しくちぇっくしてもらっても構いません///』

サアマズハコウリンタイヤノクウキアツチェックダマッタクハリガアッテイイタイヤダゼコノタイヤサワサワ…


―――
――


――

レッサー(この流れ…うまく利用すればイギリスの為の先兵一丁上がりです。いける、私はせくしぃ!)

覚悟を決めたレッサーは、隣の座席に座る上条の顔を上目遣いでじっっと見つめると…

レッサー「……あの、よかったら」

掴んでいた手綱を離し、レッサーは自分の右手を覆うように握る上条の左手を、今度は自分が覆うように握り

レッサー「こっちの、二つの手綱で私を操ってみませんか?」ニヤリ

自分の胸元へ強引に持っていく…ついでに空いた左手でシャツのボタンを一つ、一つ、とゆっくり外していく必殺技まで繰り出した

上条「あ、、レッサー、前…」

レッサー「前? ふふふ、せくしぃでしょう。さあ、少年。本能の赴くままにむしゃぶりつきやがれー!」


瞬間

赤いスポーツカーが物凄い速度で大木に突っ込み。そして大音量の爆発音がロシアの大地に響き渡った…


―――
――


~常盤台学生寮~

学園都市も慌ただしくなってきた

女子寮の室内で、御坂美琴は自分のベッドに腰掛けていた。ちなみに、ルームメイトの白井黒子は風紀委員として、何らかの仕事に駆り出されているらしい

今日は休校だった

可能性はまだ低いようだが、ロシア側の弾道ミサイルや爆撃機が学園都市の真上にくる確率も、決してゼロではないからだ

「ねぇ、御坂さぁん」グイグイ

御坂(……ハァ)

美琴は携帯電話に目をやる。

ゲコ太のストラップのくっついている携帯電話だ

「もぉ、せっかく遊びに来てあげたんだからお茶くらい出しなさいよぉ」グイグイグイグイ

とあるツンツン頭の少年の番号に何度も掛けているのだが、全く繋がる様子がなかった


――

御坂(もしかして…あの馬鹿)

ロシアからの宣戦布告後、再び途絶えた連絡(インデックスの携帯電話にも掛けたが繋がらなかった)

美琴はつい最近、あの少年が残した書き置きの内容を思い出す。そこにはこう書いていた

『ちょっとロンドンに行ってくる』

「もぉ……わかったわよぉ。自分で煎れればいいんでしょぉ」トボトボゴソゴソ

御坂(あの馬鹿なら、この件に関わってる可能性は高そうね………はぁ)

「って、この部屋カップどころかなにもないじゃなぁい!せっかく操祈スペシャルを御坂さんに振る舞ッゲフンゲフン……ティーカップ一つも持って無いなんて、淑女として恥ずかしくないのかしらぁ」ヤレヤレ

御坂「よし!」

食蜂「ぴっ!」ビク!

美琴は携帯とモバイルとゲコ太財布をポケットに突っ込み、入り口のドアへ向かう

御坂(約束通り…迎えに行こう。ついでに一発ぶん殴ってやる)バチバチゴキゴキ


「へ、待っ、ちょっ、御坂さぁん急にどこ行くのぉ? もぅ、無視しないで説明くらいしなさいよぉ!」トテトテ

あの少年を居場所に連れ帰る為に、御坂美琴は動き出す


―――
――


~ロシア軍基地・敷地内~

不幸な衝突事故の後

上条とレッサーの二人は怪しげな空洞に入り、ロシア成教が動かす貨物列車を発見。魔術師達の目を盗んでコンテナの一つに忍び込み、ついにフィアンマの作る要塞へと足を踏み入れた

上条「なんか西洋の城みたいな内装だな…飾り気は全然ないけど」

レッサー「曲がり角からゾンビが飛び出してきそうな雰囲気ですね。ハーブとか落ちてるようなら完璧なのですが」

上条「あのゲームの致命傷受けて足を引きずってた男がハーブで回復するって設定は流石に無理があるよな…」

壁には一定の間隔で蝋燭があり、その揺れる光を頼りに二人は進む

幸い、途中で見張りや巡回などとぶつかる事はなかった

上条「っ」

更に先を進もうとしたレッサーの肩を、上条が掴んだ

レッサー(!? まさか、敵地プレイ)

扉の前

わずかに開いた隙間から奥を覗くと、その先には広大な空間があった

何の為の空間かは分からない。ただそちらから聞き覚えのある声が聞こえた

上条(……フィアンマだ。まさか、いきなり大本命にぶつかるとはな)


――

中を覗くと高級なテーブルと椅子があり、そこにフィアンマが腰掛けていた

テーブルの上には分厚い本が開いていて、そこから淡い光が漏れていた

他には誰もいないのかフィアンマの声だけが聞こえる

あの本は通信用の霊装か何かだろうか?

『必要なんだよ。ここは空間だ。座標と容積、その両方が重要って訳だ』

神浄(……、)

『……も、計画を進めるうえでこの場所は外せんよ。"プロジェクトベツレヘム"という観点から考えればな』

久しぶりに耳にした声に、神浄の心がざわついた…が、意識して沈黙を貫いた。…努力しなければ、今すぐにでも叫び声を上げて突撃してしまいそうだった

レッサー(ど、どうどう。どうどう。落ち着いて、冷静に、はい深呼吸~)

上条(ああ…分かっ…)

が、その思考は寸断された

神上「フィアンマァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

フィアソマ「!?」

レッサー「うえええっ!?深呼吸したはずなのに何故にひーとあっぷ!」


――

見えてしまったからだ


テーブルにある、もう一つの霊装

彼女を苦しめ、意識不明にしている物

インデックスの遠隔霊装である


神上が一歩室内に足を踏み出すとゴォン! と室内全体が大きく揺れた

神上「フィアンマァァアアアアアアア!」

神上が叫んだ瞬間!部屋の暗がりの奥に潜んでいた200人以上の魔術師が一斉に反応し、炎氷雷落石ゴーレム幻惑金縛り呪い etc.の魔術が神上に向かい襲い掛かる!

神上「面倒臭えな。とりあえず全部消し飛ばすか」バキィン

しかし神上に焦りの表情はない。自然な動作で空間を割り幻想剣を取り出すと

神上「新薬8観…魔沙化乃御手盗牙禁書世界打壊士!」



宣言通りだった


直後に全てが吹き飛び…


―――
――


~ロシア軍基地だった場所~

神上の一撃で残ったのはフィアンマ、レッサー、そしてフィアンマの座っていたテーブルと椅子だけだった

そして上条の右手には赤い服を着た魔術師

フィアソマ「」グッタリ

フィアンマの影武者だった

上条「くっ…そ」ブルブル

ちなみにテーブルの上に置いていたインデックスの遠隔霊装ではなく


ビッグサイズのマープルチョコレートの箱だった


本の通信霊装『はっはっは残念だったな幻想殺し。俺様は一足先にエリザリーナ独立国同盟に向かっているぞォ』ハッハッハ

上条「ちっっくしょおおおおおおおお!フィアンマァァアアアアアアア!!」


膝をつき、地面に拳をたたき付ける上条を横目に冷徹な表情を浮かべるレッサーは…


マーブルチョコレートを口一杯に頬張っていた


―――
――

予定よりかなり遅れてしまい、大変申し訳ございません

ここまで見て頂きありがとうございました

次の投下は一週間以内にします

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