麗奈「由里子が腕組みしてる」 (7)
独自の設定となっております。
短いです。
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麗奈「何してんのアンタ、珍しいじゃない。考え事?」
由里子「お、麗奈ちゃん。その通りだじぇ、ちょっとどうしたらいいものか考えてて」
麗奈「あてずっぽうも意外にバカにできないモンね。で、なに悩んでたのよ」
由里子「誰にどのBL入門書をあてがったものかと」
麗奈「バカじゃないの?」
由里子「バカじゃないよ?」
麗奈「素のテンションで返すのやめなさい、いっそこっちが間違ってそうで怖いのよ」
由里子「善処はするじぇ」
麗奈「っていうか待ちなさい。誰にどの、ってうちの連中全員に渡す気?」
由里子「さすがにユニットのメンバーに限るつもりだけど」
麗奈「頼むから小学生だけはやめなさい。フォローできない犯罪になるから」
由里子「大丈夫だじぇ。いちばん年下でも高校生だし」
麗奈「それでも年齢制限はあるってこと忘れないでよ?」
由里子「っべ」
麗奈「えっねえマジで言ってないわよねそれ」
由里子「……日本において女性は十六歳から結婚できることを考えればそこから先に区別は必要ないと思うんだけど」
麗奈「あれ両親の同意が必要じゃなかった?」
由里子「いやいや、ほら、中学生男子とかがどうせ18禁に手を染めてることを踏まえると」
麗奈「いまアタシ中学生だからそれあんま聞きたくないのよ」
由里子「女子高生だって性欲を抱くのは実に自然なことだじぇ」
麗奈「ねえ、だからアタシ十三歳なんだってば。打ちにくいのよ、相槌」
由里子「どうせ高校生なんてエロ大好きだじぇ」
麗奈「身も蓋もないわ」
麗奈「そういえばさっき言ってたユニットって誰なのよ」
由里子「柑奈ちゃんにヒトちゃん、ふじともちゃん、あとトキちゃんだじぇ」
麗奈「どいつもこいつも趣味が濃ゆいのよ。そいつらの趣味の更新は無理でしょ」
由里子「別に二番手三番手でもぜんぜん構わないじぇ。同志が増えたらオッケーって感じで」
麗奈「ラブ&ピースは問題外にしても武将オタクに占いオタク、実戦派のお菓子作りって入り込む隙間あんの? なくていいけど」
由里子「そこはどうにか、っていうかトキちゃんお菓子作りもいけるんだ? 麗奈ちゃん仲いいの?」
麗奈「いや愛梨知ってるなら誰でも知ってるでしょ」
由里子「ん? 愛梨ちゃんはユニットにいないよ」
麗奈「は? じゃあトキちゃんって誰よ」
由里子「時子様だけど」
麗奈「相手が悪い!」
由里子「わっ、急にどうしたの」
麗奈「えっ、時子相手にBL仕込もうとしてんの? 命知らずも大概にしなさいよ!?」
由里子「そこは大丈夫だじぇ」
麗奈「なんでそんなに自信に満ち溢れてんのよ」
由里子「ホモが嫌いな女子なんていません、って名言が古来から伝わってるんだもの。トキちゃんも例外じゃないじぇ」
麗奈「あんた脳の正常な判断を下す部位腐ってたりしない?」
由里子「とりあえず今日まではきちんと一人暮らしできてるよ」
麗奈「腐っててほしかったわ、心底」
由里子「腐女子ではあるけど腐っててほしかったって言われたのはさすがに初めてだじぇ」
麗奈「得意げに鼻の下を指でこすってんじゃないわよ」
麗奈「なんにせよ時子には殺されない? 大丈夫?」
由里子「ユリユリ的には勝算アリと見てるじぇ」
麗奈「ねえ、BLの布教で同僚が殺されるのを見るのイヤよ、アタシ」
由里子「まあまあ聞いて、トキちゃんは正直ガチの上流さんだから芸術を解するタイプなんだよね」
麗奈「それはまあ、聞いたことあるわ」
由里子「もちろん教養深いし、その点で偏見がないのは実証済みだじぇ」
麗奈「あんた度胸あるわよね」
由里子「そもそも歴史をひもとけば意外と同性愛は転がってるし、そこに美を見出す文化も珍しくないわけで」
麗奈「気合入ってて怖い」
由里子「実際、有名な話だとプラトニックラブなんて言葉も男性同士の精神的交情を指す言葉だったことは忘れられがちだよね」
麗奈「」
由里子「男性同士における出産なんて言葉ももうプラトンの著書に出てるんだよ、いやマジで。生まれるの知の結晶とかだけど」
麗奈「あんた誰?」
由里子「ユリユリだよ」
麗奈「そういうイカれ方は想定の外なのよ! BL好きすぎてどうしようもないなあ、あはは、で終わらせなさいよ!」
由里子「いやあ資料あたりまくってたら最終的に哲学書にぶつかっちゃって」
麗奈「あんたからプラトンなんて名前が出てきたらブランディング大失敗でしょ!」
由里子「外では出さないよ? ちゃんと腐女子のユリユリだよ?」
麗奈「……それはそれで狂ってると思うけど」
由里子「麗奈ちゃんのツッコミは中学生の域を出ていて感心するじぇ」
由里子「とまあ、そんな感じだからトキちゃんだってまずは読んでくれると思うんだよね」
麗奈「さっきの話しだとBLの解釈の仕方そのものが違いそうだけど」
由里子「そのときは仕方ないじぇ。ユリユリが芸術としての同性愛を理解しよっかなって」
麗奈「ミイラ取りがミイラになってない?」
由里子「解釈の幅が広がることは悪いことじゃないじぇ、それにユリユリの腐女子ソウルは強靭だから」
麗奈「なんだろう、絶対おかしいんだけどうまいこと言えないのよね」
由里子「麗奈ちゃんはその感覚を大事にしてほしいじぇ」
麗奈「まあいいわ、とにかくアタシは止めようとしたからね、布教。あんたの勝手だけど」
由里子「うんうん、麗奈ちゃんと話せてユリユリもいろいろ整理できたじぇ」
麗奈「あ、やめるのね。よかったわ、あんたみたいなの増えても大変だもの」
由里子「いや、プラトンから読んでもらお、って」
麗奈「たぶんだけど、あんたのユニット知性が豊かになるわよ。よかったわね」
おしまい。
読んでくださってありがとうございました。
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