横領犯「野党は不正の追及よりも、他にすることあるだろ」 男「?(66)


数ヶ月前の、とある昼休み


男と、彼の上司である先輩、そして部長の3人で、昼食をとっていた


場所は社員食堂

備え付けのテレビでは、いつもみたく公共放送局のニュース番組が流れている


どこにでもある、見慣れた光景




そこで部長は、こう言っていた


部長「野党は不正の追及よりも、他にすることあるだろ」

男「?」



部長「なぁ、君もそう思うだろぅ?」

男「す、すみません。聞いてませんでした。どういうことですか?」



先輩「おいおい、しっかりしろよな」

男「ほんと、ごめんなさい。ラーメンに夢中でして」


男「……で、何の話です?」

部長「ったく。ほら、ニュースでやってるだろ!」


キャスター『それでは、次は政治の話題です』



キャスター『先日、大臣が省庁による統計データ不正を公表しましたが、』

キャスター『議会では、与野党共に更なる調査を求めています』


大臣『いわば~、まさに~、おいて~』

議員『国民の為、しっかりと事実解明を~!』



男「あー、最近多いですよね。こういうニュース」

部長「まったく、けしからんよ!」


男「はい。僕も技術者なので、やっぱりデータ収集は適切に……」


先輩「ちがうちがう、そうじゃ、そうじゃない!」


男「え?」


部長「どうでもいいことを、グチグチぐちぐち掘り返しやがって、」


部長「ほんと野党はムカつくわ。やっぱり野党って反政府存在は、即刻消滅して欲しいもんだ!」


男「」


先輩「まったく、部長の仰る通りですよ」

部長「そうだよな。仕事せず、文句だけは一人前に言える奴らなんて、社会人として失格だろ?」

先輩「ええ。いやはや、困ったものです」


部長「何でもかんでも、政府に反対ハンタイ反対! 足引っ張るしかできない無能集団だわ、アレ」

先輩「ええ。ああいう奴らを支持してる人間も、仕事できない人種ばっかりでしょうよ!」


部長「そうかそうか、やっぱりそうか。あはははw」


先輩「はい、きっとヤバい人間ばっかりですよ!!!」



男「……」


部長「高々、数%の違いでウダウダと!」

先輩「はい。概ね合ってればいいですよね。統計なんて」

男「……」


部長「そう。帳簿上の数字なんてどうでもいいの。国防とか経済とか、実際の税金がどうなるかこそ、大事!」

先輩「あー、なるほど。消費税とかも、2%でも増加は中止にして欲しいですよね~」

部長「何言ってんの。増税しないと税収が足りなくなるだろう!」

先輩「ですよねー。流石は部長。私もそう思ってました!」

男「……」


アーデーコーデー!

ハイハイ!


ツマリ、ヤトウガー!!

ハイハイ、ハイハイ!!




男「……」


男(……)


男(どうしよう)


男(政治社会に詳しくないから、ぜんぜん話に参加できない)

男(そういえば、部長は度々、『野党はだらしない』とかって批判してるよな~)


男(ああいう話は、ほんと難しくて分からん)

男(上司が言ってるから、まぁ、正しいんだろうけど…………)



男(あ、ラーメン伸びるから早く食べよ)


ズズズズ


部長「さてと、ごちそうさま」

男「ごちそうさまでーす」



部長「じゃぁ、昼イチの役員会に出る準備あるから、俺はここで」

先輩「はい。明日の接待ゴルフの準備は、私の方で抜かりなく!」

部長「おぅ、頼むよ」


部長「……ここ1年。弊社、主力製品の品質レベルは落ちてるからな」


部長「何とか他、特に接待で取引先のご機嫌を良くしないと!」

男「………………っ!」


男「すみません、僕が総担当者になってから、明らかに品質が悪化してしまって……」


部長「おっと、しまった……

先輩「なぁに、そんな気にするなよ」


部長「あぁ。君に責任はないさ。むしろ良くやってくれていると思う」

男「……」


部長「確かに、担当者の変更直後はイマイチなレベルだったが、それでも暫時的に改善してきた。いや、してきてる!」

先輩「取引先からのフィードバック見たろ。毎月ごとに1%くらいだけど、要求レベルには近づいてる!実際、すごいぞ。自信持て!」

男「……はい」


部長「野党みたいにギャーギャー騒がず、黙々と仕事に取り組む姿勢!」

部長「俺は素晴らしいと思うよ。お手本みたいな、我が国の若者像だよ!」

男「しかし、改善でもこのペースでは……」


先輩「いーのいーの。どーせ、これはお前じゃなく、会社の責任なんだから!」

先輩「お前は難しいこと考えず、目の前に集中しとけ! 責任持つのは、ワイら上司の役目だ!」

男「……そういう、ものでしょうか」


部長「うむ。いわゆる自己責任ってやつさ」

先輩「まさしく! 自分の仕事だけキチンとこなす。そうすりゃ自然と、何とかなるもんだから」

部長「己の役目を愚直に果たす、脇目もふらず。この道しかない!」

先輩「ですです!」


男「……」

男「ありがとうございます。もっと、頑張っていきます」


先輩「おう。やったれや!」

部長「君ならできる。期待しているよ!」


男「……はいっ!」

男(この人たちの為に、もっともっと……!)


男「それでは僕は今一度、現状の生産工程について分析し直してみますので」

部長「あぁ。頼んだよ」

先輩「今月こそは目標達成の、まぁ目処は付けたい所だが……」


男「はい。手応えとしては、きっと些細な要因だと思うんですよ。単純な、見落としみたいな」

男「それさえ出来れば、以前みたいな品質に戻るはずです。理屈としては!」


部長「君を信頼しているよ」

先輩「やれるだけやってみろ」


男「はい、やってみます!」


【男の机】

男「よし、じゃぁ状況のおさらいしてみるか!」

男「えっと、まず僕が着任する以前の、品質結果の平均が……」


A級品 ー 75%

B級品 ー 24%

不適合品 ー 1%以下


男「だったんだよな。で、僕が担当になってからの、納品データまとめると……」


A ー 31%

B ー 64%

不適合品 ー 5%


男「……アカンよな。これはまずい。比率が完全に変わっとる」


男「う~ん、どうしてこうなった?」


男「取引先の要求では、『A級品は70%以上、不適合品は5%以下の割合で』なんだけど……」


男「……今までは上手くやれてたんだ。どこかに原因があるはず! 突き止めなきゃ!」


男「僕の設定、工作機の動かし方がマズイんだろうか?」

男「でも意図して変更した点はないはずだし??」


男「もしくは、メンテナンスの不備とか?」ブツブツ

男「経年劣化だとすると、厄介なんだけど……」


男「治具類やノズルが変形してたり……は、調べたけどしてないし」

男「原料も……以前より硫黄とベンゼンの比率が高いけど、そこまで変わってる訳でもない」ブツブツ


男「中間品の導電性に関しては問題ない。陰極の電圧がやや高めなのが気掛かり」

男「応答性が落ちてるから、油圧ユニットに異常があるのかな?」

男「プレス機のセンサー系統も、一回業者を呼んで調べてもらった方がいいかも」ブツブツ


男「生産速度を落とせば、もっとバラツキがなくなりそうだけど」

男「それやると、生産個数が減るからできないんだよな……」ブツブツ


男「自社で抜き取り検査を強化しても、対費用効果は薄いしなぁ」

男「結局は組み込み時の稼働性能で結果が決まるから、自社内におけるデータ収集の意味しかないし……」

男「側面を鍍金か、もしくはアルミ溶接すれば強度は保つけど、変形するから………」ブツブツ



アーデモナイ、コーデモナイ……

アーデモナイ、コーデモナイ……

ブツブツ……

ブツブツ……


男「だめだ、原因がどうしても分からない……」


キンコンカンコン♪

キンコンカンコ~ン♪


男「あ、やべ。もうこんな時間か」

男「やっぱり量が多いけど、一度全数検査をするか。明日、また休日出勤して」


男「デートも中止だけど、もう次の納品まで時間ないし、会社の為だから仕方ない!」

男「……僕のせいで、むっちゃ怒るだろうなぁ、アイツ」


男「こんな無能で、スマヌ……スマヌ…………(´;ω;`)」


プルルルルルル♪


男「あ、もしもし?」

女『はいはい? どしたん?』


男「あのさー、明日のデートだけど、中止できない???」


女『え? 何だって??』

男「デ、デートの中止を……」


女『は? シバくぞ!? (ドス声)』

男「ふぇぇぇ……(´;ω;`)」


女『えー、何でナンデ!? またかよ!???』

男「申し訳ございません……」

女『また仕事か、休日出勤するんか!』

男「その通りでございます……」

女『クソブラック企業め、ブラック企業はマジでクソ!』

男「私の不徳と致すところです……」



女『はぁぁぁぁ……(クソでか溜息)』

男「う、ぅぅぅ……(咽び泣き)」


男「今度も、ちゃんと埋め合わせするからさ」

女『おうよ。パフェ奢って貰おやないかい! ええ?!』

男「おけおけ。おけまる水産」


女『もーアンタ、最近は残業とか休日出勤ばっかじゃん……』

男「そうしないと、仕事が片付かなくて……」


女『仕方ないかもしれんけど、自分の体とか壊しちゃ駄目だよ?』

女『元も子もないからさ、そんなん……』


男「うん。気遣ってくれて、ありがと」


女『じゃ、また何かあったら連絡してよな~』

男「うん。なるべく早くするよ」

女『ほんじゃ、おつかれ~』

男「はいはい。また~」


ピッ♪


男「……」


男「……」





男「……最近、ぜんぜん会えてないし」

男「こんな仕事中心生活が続くなら、もう別れた方が、彼女の為にいいのかも?」


男「まぁ、今は切り替えていこう」

男「工場内の温度設定と、測定装置の用意だけして、今日は帰ろうか」


男「明日は5時起きで、一日中測定になるな。めんどくさいけど……」



男「いいや、部長たちが接待で頑張ってくれてるんだ! 僕も僕のやれる事をやらないと」

男「部長! 先輩! あなたたちの期待に応えてみせます。見ててください!!」


男「ウオオオオ\( 'ω')/オオオオオアアアーーーーッ」




社長「この叫び声は!」

社長「あ、いた!」


社長「よかった。キミ、まだ社内に居てくれたんだ」

男「あぁ、社長。ちょっと明日の準備してまして……」

社長「それはいいから、ちょっと玄関まで来てくれないか!」

社長「えらい事になってしまったッ!」

男「? どうかしたんですか??」


社長「警察と消防の方がいらしてる。キミにも事情を聞かせて欲しいと」

男「????」


【女の部屋】


女「くそ~」

女「ま~たデート、スッポかされちゃったョ……」

女「仕事シゴトって、大変なんだろうけど……」


女「あんなお人好しがブラック企業に勤めてるとか、世の中理不尽だわ」


女「まぁ、お人好しだからこそ、ブラックでも頑張れるのかもしれないけれど……」


女「あー。なんかムカついてきたな~」


女「忙しいなか、僅かな時間を見つけて、豆にメールとかしてくれんのは良いけれど」

女「実際に会うとかできんから、ストレスで頭がパーンてなりそう!」


女「よーし、こういう時はゲームで遊んで発散したろ!」


女「ポチー!」スイッチオン♪


2時間後

ピコピコ♪


女「よっしゃ、30年目突破!」

女「タバコやラム酒産業も、観光も軌道に乗ってるし、支持率も高水準!」

女「ここまでくれば安泰だから、あとはスイス銀行の秘密口座に蓄財してくだけ!!」


ピコピコ♪

女「ふははは! 私にひれ伏せ愚民どもぉ!」

女「独裁者である私の隠し資産(スコア)の為、労働に勤しむがいい~!!!」

女「わはははは~♪」

ピコピコ♪


リリリリリリリ♪


女「あ、ダーリンから電話だ!」

ピッ♪


女「もしもし? ビバ、プレシデンテ!」

男『えぇ……?』

女「あぁ、ごめん。こっちの話」


女「どしたん急に、なんかあったん?」

男『あー、まぁ一応、それなりに……』

女「???」


男『とりあえず、明日だけれど、』


男『やっぱり、遊びにいくとか、できないかな?』

女「えっ! マジで!? いいよ!!!」

男『あっ、じゃぁそうしようか』

女「やったー! えへへへ///」

男『……///』


男『ごめんね。急にコロコロ予定変えちゃって』

女「いんや、こういうのは構わんよ。面白くなってきたぜィ……」

女「んでも、仕事の方はダイジョブなん?」


男『それはまぁ、ボチボチでよくなったから……』


女「そいじゃ当初の予定通り、駅前集合で」

男『あぁ、うん。また明日~』


【翌日 駅前】

女「ごめーん、待った?」

男「ううん。僕も今来たところ」


女「そいじゃ、行きますか。まずはゲーセンから!」

男「おっけー」


女「Ураааааааааааааааа!」ガチャガチャ♪

女「見さらせ! ワシが1番ザン◯エフを上手く使えるんやぁぁぁ!!」ガチャガチャ♪


男「はぇ~、いつ見ても、すっごいコンボ!」




女「面白かった♪」

女「じゃ、次は映画行こー」

男「そうしよっか」


女「うあああああああ……(泣)」

男「うわああああああ……(泣)」


女「ヒロインが病気とかで死ぬ展開は、すごいベタやけど、鉄板のエモさ(´;ω;`)」グスッ

男「わかる」グスッ



女「愛しあう2人が離ればなれにならなくちゃいけないとか、セツな過ぎる(T-T)」

男「……」




女「はぁぁ……感動して、お腹減ってきたわ」


女「よしッ! スイーツ屋行こ、奢ってねv」

男「ん、いいよ~」


女「えっと……」

女「この、ウルトラストロングロングアームストロングゼロいちごジャムパフェください!」

店員「かしこまりました」


男「……写真見たけど、だいぶ多かったよ、量。食べきれる?」

女「いいのいいの。アンタにも一緒に食べてもらうから~」

男「あー、やっぱりそうなるのか~」

女「お願いね、えへへ~///」


男「ウプッ」

女「あー、食った食った!」


女「いや~、今日は久しぶりにメッチャ楽しいわ!」

男「そっか、それはよかった」

女「アンタはどう?」

男「ん、僕も楽しいよ……」


男「最近さ……、あんまり構えなくて、ゴメンね」

女「あ、それは別に…………」



女「いんや。ゴメンて言われても、あたしゃ絶対に許せないよっ!」

男「アチャー……だめか~」

女「そ。だからさ、また近いうちに遊びに行こうよ、ねっ♪」

男「……ん、そうしよっか」


女「……元気ないね、疲れちゃった?」

男「んん。ちょっと、会社で色々あってね」

女「へぇ、どんなコト? 教えてよ!」

男「……つまらない話だよ?」


女「いいじゃん、アンタの事は何だって知っときたいからさ、話せや!」ドスッ

男「……愚痴っぽくなるケド、いい?」

女「おおともよ。受けとめたらぁ!」

男「……あり、がとう」


男「昨日、会社に警察と消防。それから税務署が来てさ」

女「お、事件?」



男「上司である部長と先輩が、逮捕されちゃった……」

女「…………なんと!」


女「やべぇじゃん。一体、どうして?!」

男「逮捕容疑は、横領と脱税。製品の品質データを誤魔化して、納品してたんだ」

女「うわぁ。ニュースでは最近よく聞くけれど、こんな身近で起きるとは……」

男「僕も、今でも信じられないよ」



女「じゃ、アレ? 悪い品質なのに、データを捏造して出荷したとか、そんなん?」

男「ううん。むしろ逆、かな?」


男「本当は高品質な製品を、低品質や廃棄品と偽って取引先と安く取引してた」


女「???」


女「なんで、なんでそげな動きを???」

女「会社にとっちゃ、損だよね?」

男「あぁ。僕の会社にとっては大損だ」


男「でも、ウチの商品を買う側にとっては?」

女「……お値段以上の品質を、入手できる?」


男「正解。ウチには製品に等級があって」


男「A級品なら品質保証ついて定価販売……」

男「B級品なら性能に不安があるから、半値の取引」

男「不良品は使えないから、スクラップとして廃棄して貰う……」


男「厳密には違うけど、そんな風な取り決めがあったんだ」


女「じゃぁ、嘘や誤魔化しで大儲けじゃん!」


女「A級品をB級として卸せば、半額でA級品が買えるってこと?」

男「うん」

女「不良品扱いなら、無料で入手ってことになんの?」

男「それも、してたみたい」


男「本来は僕の会社に入るはずのお金を、」

男「取引先と結託してデータ改竄で値切り、見返りに謝礼をもらったって」


女「ひどーーーーーーーっ!」


女「非道!正に非道!!」

男「部長や先輩、取引先の資材担当者で密約交わして、横領を働いてたって。刑事さんが説明してた」


女「かーっ! そいつらの血は何色だ!」



男「製造担当の僕としては、不良品が世の中に出回ることはないみたいだから、一安心なんだけど」

女「むぅ。それはそうだが……」


女「あっ。ちょい待ち!」

男「……」

女「その誤魔化された品質のヤツって、もしかして!」

男「……」


女「アンタが、アンタが作ってた製品ちゃうのん?」


男「うん。僕が作ってた製品だ」

女「ファーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー↑」


男「目標◯◯%って、毎月ノルマがあって」

男「僕はずっと達成できてないって言われて、必死になって働いてた」

女「アンタ、真面目だもんね」


男「がんばります!もっともっとがんばりますって、毎日の様に部長や先輩に謝ってた」

女「……」


男「色々と試行錯誤を繰り返し、これは絶対に上手くいったって確信あるのに、」

男「取引先や上司たちから、さっぱり目標値に達してないって、返された」


男「本当は95%の成績を出せてたのにさ、」

男「上の方で数字誤魔化して、30%しかできてないって言われたんだ」

女「……」


男「僕が毎日残業とか休日出勤とか、」「

男「あれだけ悩んで、苦労して改善して実績出してても、」


男「たった5分」


男「自分達の都合優先で、Excelの数値データを嘘に書き換えて、僕の努力を全否定してくる」

女「つらい、な」

男「もう、誰も信じられなくなりそうだ」


男「ごめんね」


男「君と過ごす筈だった時間も、部長たちの悪巧みに気付けずに、溶けて消えた……」

女「ア、アンタは謝らんでええよ。謝ることないよアンタは!」


男「でも、僕はもっと、出来ることがあったハズなんだ!」

男「他人任せにしたりせず、本当の本当はどうなのかを、知らなきゃいけなかったんだ!」


男「……僕は、悔しいよ」


女「……今日は、一緒に飲み明かそうや」

女「ヤなこと忘れて、パーッとさ」


男「……」

男「うん」


【駅前】

テクテクテク

女「あ、何かの人だかり」

男「……デモ隊みたいだね」



先頭の人「政府に反対する議員にハンターイ!」

デモメンバーズ『政府に反対する議員にハンターイ!!』


先頭の人「不正の追及するより、他にすることあるだろ~!」

デモメンバーズ『不正の追及するより、他にすることあるだろ~!!』



男「えぇ……」

女「これもぅわかんねぇな」


男「部長と同じ様なこと言ってる人が、あんなに沢山……」

女「あ、横領してた部長さん?」



男「そう。前に言ってたんだ。似た台詞を」


女「……」

男「ねぇ」


男「部長は横領って不正をしてたけど、」


男「不正がバレるって事に対して、罪悪感や恐怖を感じてたから、」


男「部長は『野党は不正を追及するな』とか、口走っちゃったのかな?」


女「どうだろう。あり得えると思う」


男「逆に……『野党は不正を追及するな』って言ってる他の人たちも、」



男「部長みたいに、バレたら困る不正を抱えてたりするんだろうか?」



女「あー、そうかも。部長氏と同じく横領とか脱税とかw」



女「とりあえず普通の人なら、絶対に言わないよね。『不正を追及するな』なんてwww」


男「でも……世の中が不正の取り締まり強化~、みたいになって」

男「それで困る人たちなら、つい言っちゃうだろうね……『不正を追及するな~』って」


女「うん。特にマスコミ関係者や、会社の重役なんかは。隠してる不祥事とか多そうだし!」

女「金銭関連だけじゃなく、パワハラやセクハラとかも、隠してるかもね~」


女「とりあえず実際のところ、どういう理由で言ったか知りたいわwwwww」


男「……」


男「よく知らないけど、もうすぐ参院選ってのがあるんでしょ?」

男「あ、ダブル選挙らしいから、六院選になるのかな?」

女「参がダブルで六……その発想は無かった」



男「選挙ってのは多数決だから……部長みたく、不正で儲けてる人が多いと、」

男「不正で儲けてる人の為に働く……そういう候補が当選して」

男「不正を守るための、保身政治を始めたりするんだろうか……?」

女「あー。単純に言えばそうかもね~」


男「それでもし、不正をする人が過半数いるなら、不正をする人が権力者になり続けて」


男「この先ずっと、不正が咎められない様な、公平じゃない社会が、続くんだろうか……?」


女「……単純に考えるなら、なるだろうね」


男「そうか。イヤだな……」


女「ま、単純に考えればの話だから。心配ないよ」


女「現実はもっと複雑で、考え方違う派閥みたいなのも取りまとめなきゃだし」

女「不正とかズルするとか、反感持たれて不利になるから、悪が栄えることはなし!」

男「うーん……」

女「まぁ、正直もの勢が投票サボるとかすれば、どうなるか分からんけどね」

男「あぅ……だよね~」


女「もー、クヨクヨ悩んでもしょうがないじゃん!」

女「アンタみたいな真面目に頑張れる人が、不正で損する様な国には、」

女「ならないし、なっちゃいけないし、ならない様に、色々できる筈だから!」


女「世の中は、公明正大で回っていくもんだよ~」


男「……うん!」


女「とりあえず、元気にいこう!」


女「ほら、【元気があればなんでもできる!】って、諺もあることですし!」


男「……それは諺じゃないでしょ」

女「ありゃ、そうかな?」


女「でもまぁ、どっちでもいいジャン」


男「僕はさ、部長も先輩も、尊敬してたんだ」

女「……うん。アンタお人好しだもんね」


男「気にかけて貰ってる、この人達の期待に応えたいって、強く思ってた」

男「部長たちの思惑は、ぜんぜん別にあったのにさ……」


男「僕は単純で、文句も言わず、金と労力を搾り取られる……都合のいい社畜でしかなかった」

女「……マジでつらい、よね」



男「信じてた人たちに裏切られたのは、悲しいし、今でも現実だと認めたくないけれど」

男「何時までも、へこんでいられない!」

女「うん」


男「前を向いて、明日から……今から生きていかなくちゃ!」

女「おうともよ! 」

男「ふふふふ」


女「ねー。今年の夏さ、ガッツリ有休取って旅行行こ!お仕事とか、さっぽり忘れて、休憩!」


女「むしろ善は急げ! 来週から行こうよ!」

男「うーん。会社で事情聴取や状況の立て直しあるから、来週はすぐはムリかな?」

女「あちゃー」


男「まぁでも、落ち着いたら仕事を忘れてゆっくりしたい。夏とかは」

女「だよね。他人の嘘を守るために、毎日毎日ガマンしてきたんだもん」

女「ここで一端、リセットしなきゃ!」


男「温泉旅行とか、行きたいな。二人してさ」


女「お、いいねー」


男「まだしばらくは、事件の後始末で大変になるだろうけど……」

男「それでも、ちっぽけでもいいから、楽しい未来があるのなら、頑張っていける!」

女「アタシも同感!」


男「ありがとう。大好きだよ///」

女「ふぇっ?! あ、アタシも、だよ///」


男「……///」

女「……///」

男「昨日は大変だったけど、今日は本当に、幸せだった」

女「えへへ///」


男「こんな普通の幸せが、ずっと続くといいのにな……」

女「だね~」


マリー・○ントワネット
「どうせ嘘松とか言われるのなら、初めからフィクションにしちゃえばいいじゃない」


はい……(´・ω・`)

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