卑しかボディとスレンダー
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(レッスンルーム)
はづき「先日話していた通り今日は私に用事があってレッスンを見ることができません。なので各自用意した課題に取り組んでもらいます」
はづき「アンティーカのみなさん。いいですね?」
5人「「「はーい」」」
恋鐘「課題は何をするん?」
はづき「はい。これです♪」スッ
【縄跳び】ジャ-ン
咲耶「おや、縄跳びとは…随分と懐かしいね」
霧子「誰が縛られる役なんですか?」
結華「縄跳びを見て『縛る用途』がまっさきに思いつくのが怖いよ。きりりん」
霧子「縛り方ならいくつかマスターしているので私に任せてください。緩めからキツめまで。拘束が外れない範疇での微調整が可能です♪」グッ
結華「いつどこで練習したのか気になるよ。きりりん」
霧子「それは」
結華「ストップ。やっばいいや」ピッ
摩美々「ところで〜、その縄跳びははづきさんの私物ですか〜?」
はづき「ええ、一応」
摩美々「普段の用途は〜?」
はづき「秘密です」
結華「おかしいな。縄跳びって跳ぶ以外に使い方なんてあるのかな? 秘密にするようなやましいことなのかな?」
摩美々「ちなみに〜、プロデューサーはどんな縛り方をするんですか〜?」
はづき「プロデューサーさんは」
恋鐘・結華「「ストップ!」」
はづき「冗談はさておき。課題は縄跳び500回です。跳び方に関しては自由。前跳び、後ろ跳び、二重跳び、八の字跳び、ケンケン跳び、海外高跳び、走り幅跳び。何でもいいです。重複跳びの場合はその数だけ回数を倍してください」
恋鐘「二重跳びなら2回。三重跳びなら3回ってことやね」
はづき「そういうことです」
咲耶「疑うわけじゃないんだけれど、はづきさんは縄跳びができるのかい?」
はづき「もちろん。トレーナーですからね。まずは基本の前跳びからの…はっ!」ヒュンヒュンヒュンヒュン!
恋鐘「わっ。二重跳びたい♪」
摩美々「この音〜、懐かしいですね〜」
咲耶「…そうだね」
はづき「続いては後ろ跳びからの〜、後ろ二重跳び♪」ヒュンヒュンヒュンヒュン!
霧子「はづきさん…すごく軽快」
結華「軽快…?」ジト-
はづき「ふふふ。皆さんもやるんですよ」ユッサユッサユッサ!
結華「…三峰にはそう見えないかな」ジト-
霧子「そうなの?」
結華「むしろ重そう。ずっしり詰まってて」
霧子「?」
はづき「ふぅ。というわけで今日はよろしくお願いします。話しながらもいいですが、きちんと身体は動かすように♪」
5人「「「はーい」」」
(しばらくして)
恋鐘「懐かしかねー。ちっちゃい頃はよく校庭で遊んでたばい」タンッタンッタンッ
結華「わかる。3本くらい繋いで輪っかにしたりねー。列車とか作らなかった?」タンッタンッタンッ
恋鐘「やっとった、やっとった」
霧子「私も小学1年生の頃からですね。縄跳びと出会って…身体を縛ることに安心感を抱くようになったのは…♪」タンッタンッタンッ
結華「そういうカミングアウトはノーサンキューだよ。きりりん」
霧子「オプションで目隠しもあると…///」
結華「幽谷ゥ」
摩美々「うぉりゃ〜」シュルルルルパパパパパパパ
咲耶「摩美々。横を向いて縄跳びを回して飛んでいるふりをしても意味がないよ」
摩美々「縄跳びって退屈なんですよね〜」ピョンタカピョンタカピョンタカ
咲耶「だがきちんとやらなければいけないよ。ほら、一緒に頑張ろう」キラ-ン
結華「イケメンがいる」
摩美々「私を背負って跳んでくださ〜い」クテ-
恋鐘「さーて、そろそろ身体もあったまってきたし…ここから〜、二重跳びっ!!」タッタッタッタッ
ヒュンヒュン! ユサッ...タユンッ!
ヒュンヒュン! ユサッ...タユンッ!
ヒュンヒュン! ユサッ...タユンッ!
結華「…」
恋鐘「思ったよりっ!」ヒュンヒュンタユンッ!
恋鐘「まだまだうちもっ!」ヒュンヒュンタユンッ!
恋鐘「跳べるんやねっ!!!」タユンタユンッ!
結華「こがたーん」
恋鐘「なんねー!」タユンタユン!
結華「もいでいいかなー!」
恋鐘「なに言っとるん!?」ガ-ン!
霧子「結華ちゃん。もぐのは駄目です」メッ
結華「でもね…あれを見てると三峰の心がひしゃげるような気になってくるんだよ…」ペッタンコ-
霧子「なら縛って揺れるのを防ぎましょうか?」
結華「よし」グッ!
恋鐘「よしじゃなかと!? 霧子の縛るやつってむしろ強調するやつと違うん!?」
霧子「そうですけど」
恋鐘「断るよ!? うちそんなの嫌よ!?」
結華「目隠しは?」
恋鐘「部位の問題じゃなか!」
霧子「包帯はどうですか?」
恋鐘「何で縛るかも関係ない!!!」
摩美々「でも〜、縛ったら案外楽しいかもしれませんよ〜?」
恋鐘「そんな楽しみ知りとうないよ!」
結華「アイドルとして新しい一面が開けるかも」
恋鐘「無計画な開拓はかえって身を滅ぼすばい」
霧子「気持ちいいよ?」
恋鐘「ストレートに! 歪んでる!」
摩美々「じゃあ」
恋鐘「じゃあじゃなか! しつこいたい! 狼の群れでももうちょっと諦めがいいとよ!? どこまで食い下がるの!?」バンッ!
結華「アォーン。オレサマバストマルカジリ」ワシワシ
恋鐘「揉まんといて!!!」
摩美々「パーフェクトコミュニケーション」テッテロリロン♪
恋鐘「うちが喜んでいるように見えるなら、ただのサイコパスたい」
キャッキャ♪
ワイワイワイ♪
(しばらくして)
結華「ふっふっふっ」タンッタンッタンッ
霧子「はぁ、はぁ、はぁ」タンッタンッタンッ
摩美々「…」タンッタンッタンッ
咲耶「…」タンッタンッタンッ
恋鐘「一旦休憩! これしんどかー!」バタ-ン!
結華「はぁ…はぁ…三峰も一旦休憩〜…」ペタ-ン
摩美々「…うぷっ」デロ-ン
霧子「はっ、はっ、はっ…あと半分…」
咲耶「…」タンッタンッタンッ
恋鐘「咲耶はまだ続くんやねー…」ゼイゼイ
結華「さ、さすがさくやん」
咲耶「ふふふ。あまり褒めないでほしいな。照れてしまうからね」タンッタンッタンッ
摩美々「咲耶の女たらし〜」ヤ-イ
霧子「咲耶さんのジュノンボーイ」ヤ-イ
結華「だからといって悪口はいけないよ!?」
結華「だからといって悪口はいけないよ!?」
恋鐘「咲耶の飛ぶ姿勢。すごく綺麗やねー」ジ-
結華「そうだね。縄跳びの選手みたい」
恋鐘「縄跳びって競技あるん?」
結華「三峰もよく知らない。イメージがそれっぽいと思っただけ」ハハハ
恋鐘「イメージだけなんねー」ハハハ
摩美々「咲耶って三重跳びくらいならできそうですよね〜」
咲耶「え?」ビクッ
霧子「うん。簡単にできそう」
結華「わかる。わかる」
咲耶「い、いや。三重跳びはできないよ」
摩美々「チャレンジしてみてくださ〜い。咲耶ならできる気がするので〜」
恋鐘「そうね。やってみるばい」
咲耶「…」エ-ト
咲耶「ま、また今度にしてくれないかい?」
結華「いやいや。縄跳びなんて下手したら今日が人生最後になるかもしれないでしょ。それくらい稀なんだからやろうよ。この機会にやろうよ。ぜひやろうよ」
結華「いつやるのか。今でしょ!」ピッ
摩美々「古いですね〜。そういうの好きですけど〜♪」ケタケタ
霧子「林先生は一発屋ではないのでセーフです」
咲耶「…」
咲耶「わかった。やろうじゃないか」キリッ
恋鐘「(…そんな真剣な表情で言うことなん?)」
摩美々「気合い入ってますね〜♪ でもまさか、二重跳びも出来ないとかそういうオチはないですよね〜」
結華「ははは。まさかさくやんに限って二重跳びができないなんてことーーー」
咲耶「痛い!」パチンッ!
結華「…」
咲耶「…今のは違うんだ」
摩美々「はい。私は何も見てません」
結華「(まみみんが気を使ったァ!)」
恋鐘「(摩美々…!)」
霧子「咲耶さん。いまパチンって脚に縄を打ち付けましたよね♪」ニコニコ
結華「やめろサディストォ!」
咲耶「い、いや、今のは、その…///」カァァァァァ
霧子「前跳びは『縄跳びができる人』を装ってたのに二重跳びになった途端、跳び方が小汚くなってましたね♪」
咲耶「うわぁぁぁぁぁぁ!!」バタ-ン!
結華「もうやめてー! さくやんの顔が真っ赤になってるからァ!」ガシ-
恋鐘「霧子はドMなん!? ドSなん!? 立ち位置がわからんのやけど!?」
霧子「ふふふ♪」
摩美々「…さすがに悪いことをした気になりますね〜。あれだけ小汚い跳び方をされてしまうと〜」
恋鐘「せやね。でも、なんであんな不器用な跳び方になるのかわからんよ」
咲耶「だ、だって連続で2回跳ぼうとすると縄の回転が追いつかなくて、あたふたしてしまうじゃないか」
恋鐘「言い訳がちびっ子のやつ!」
咲耶「くっ…だからやりたくなかったんだよ」
結華「でも意外だよね。さくやん運動神経いいし、何でも出来そうな雰囲気あるのに」
咲耶「ちょっとね。縄跳びは苦手なんだ」
恋鐘「よし。苦手があるなら克服ばい。練習とよ」グッ
咲耶「いいや結構」ピッ
結華「断るのが早いよ。さくやん」
咲耶「だって縄跳びなんてファンの前で見せることなんてないもん」プイ-
結華「もん!?」
恋鐘「あかんね。人前で醜態をさらした反動なのか咲耶の口調がおかしくなっとるよ」
咲耶「ふーん。やらないよーだ」プイ-
結華「ていうか幼児退行してるね」
霧子「現実逃避はダメですよ。咲耶さん。万が一、縄跳びの仕事が入ったらどうするんですか?」
咲耶「うっ」グサッ
霧子「ファンの子の前で醜態晒すのと。私たちに醜態を晒すの。どっちかいいか選んでください♪」ニコニコ
結華「言い方ァ」
摩美々「醜態を晒すうんぬんはともかく〜、ファンの夢を壊すのはいけませんよね〜」
恋鐘「むしろギャップでファンが増えたりせんと?」
摩美々「仮にそうなるとしても〜、欠点を頼った増やし方なんてプロ失格ですし長続きしませんよ〜?」
恋鐘「言ってることがまともで言い返す言葉がないたい」
咲耶「…」
咲耶「わかった…やるよ」ションボリ
霧子「その意気です♪」
(しばらくして)
霧子「というわけで咲耶さんには5回ミスするごとに指定した動物の真似をしてもらいます♪」ニコニコ
摩美々「イェーイ」パチパチパチ
結華「ナチュラルに罰ゲーム付きなのね」
摩美々「咲耶は適度なプレッシャーがあった方が力が出る人ですからね〜、多分〜」
恋鐘「こう言っとるけど自信はどうかね?」
咲耶「ま、任せておきたまえ」プルプルプル
恋鐘「顔色が悪いとよ…」
結華「では、さっそく練習してみましょう。チャレンジスタート!」
バチッ
バチッ
バチッ
バチッ
バチッ
咲耶「ふぐっ」
結華「5回ミスするの早くない!?」ガ-ン!
咲耶「わ、私のストックはあといくつ残っているかな…?」
恋鐘「0よ。咲耶の残機はもうないよ」
摩美々「では約束通り〜♪」
霧子「まずは犬の鳴き真似でもしてもらいましょうか。3回回って鳴いてください♪」
恋鐘「結華。アレ止めなくていいの?」
結華「三峰。なんかもう疲れたからいいや」
咲耶「バウバウバウ!」クルクルクル
(10分後)
ヒヒ-ン!
コケコッコ-!
ニャ-!
咲耶「跳べるようになったよ」タッタッタッタッタッ
霧子「…コツを掴むのが一瞬でしたね。もうちょっと咲耶さんの動物の真似見たかったです」プク-
摩美々「まあ〜、咲耶の運動神経を考えたら当然ですよね〜」
結華「きりりんもまみみんも丁寧に教えてたもんね。方法はともかく」
恋鐘「咲耶。すごく綺麗に飛べてるとよー」
咲耶「ふふふ。そうかい!」ヒュンヒュンヒュン!
ユサッ
ユサッ
ユサッ
結華「…」
咲耶「しかし跳べるというのは!」ヒュンヒュンヒュン!
ユサッ
咲耶「気持ちのいいものだね!」ヒュンヒュンヒュン!
ユサッ
結華「さくやーん」
咲耶「なんだい?」ヒュンヒュンヒュン
結華「もいでいいかなー」
咲耶「何の話だい!?」ガ-ン!
(しばらくして)
タッタッタッタッタッ…
結華「96、97、98、99…1000回!」
結華「ヴァー! 終わったァ!」バタ-ン!
恋鐘「お疲れ様。これで全員完了やね」
結華「ゼイゼイ…もう動けない…」
摩美々「…」キュポッ
結華「油性マジックのキャップを外して何をするつもりなの? まみみん。そんな古典的なイタズラしたら怒るよ?」
摩美々「…ケチですね〜」キュッキュッ
結華「おらァ書いてんじゃねえぞォ。前髪ィ」
カチャッ
P「お疲れ様」
恋鐘「あ、お疲れ様。プロデューサー」
摩美々「お疲れ様でーす。はづきさんはいませんよ〜?」
P「何ではづきさんの名前が出てくるのよ。別に用ないから」
咲耶「こら。プロデューサーを困らせるんじゃないよ。摩美々」メッ
摩美々「ふーん」
P「いいよ、咲耶。いつものことだし」
咲耶「プロデューサーに何度も冤罪をかけるような言動は慎むべきだよ。プロデューサーには何もやましいことがないというのに。まるでプロデューサーが何かを隠している人のように思われてしまうじゃないか」
P「お、おう」
咲耶「ところでこのプロデューサーの縄跳びなんだけれど…どういうわけか何度も伸びきった跡が残っているね。跳ぶ以外の用途で何かに使ったのかい?」
P「い、いや。そんなはずはないけど」
咲耶「おや?」
P「ん?」
咲耶「この縄跳びはプロデューサーの私物なのかい? おかしいなぁ。はづきさんに渡されたものなのに。どういうことだろうね?」
P「」
結華「んー、どういうことかなー。Pたーん?」ジト-
摩美々「隠し事とか〜、何かやましいこととか〜、あるんじゃないですか〜?」ニマニマ
P「私は何も隠し事などありません」
恋鐘「はづきさんとも?」
P「…ナイヨ」ピクッ
恋鐘「いまプロデューサー身体がピクッて反応したと」
P「してないヨ」
咲耶「そういえばプロデューサーははづきさんと幼馴染だったね」
P「そ、それが?」
霧子「私たち。一緒に帰る姿を何度も目撃してます」
P「」
結華「火の玉ストレートだけどグッジョブだよ。きりりん」グッ
恋鐘「まあ…その辺はちょっとはっきりさせとかんといかんよね」ハイライトオフ
P「用事を思い出しーーー待ってみんなスーツを掴まないで。縄跳びで両手両足を結ばないで。というか、霧子の手際が恐ろしくいいんだけど待って助けて」
5人「「「さて、じっくり話を聞かせてもらいましょうか」」」ズイッ
P「」
イャァァァァァァァァァ!
終わり
おまけ
樹里「お、縄跳びか。懐かしいな。これ借りていいか?」
結華「どーぞどーぞ」
樹里「サンキュー…せーの…三重跳び!!」ヒュンヒュンヒュン!
結華「おーっ。すっごい」
樹里「ほっ! ほっ! おりゃ!」ヒュンヒュンヒュンヒュン!!
結華「…」ジ-
樹里「…ん? なんだよ?」ペッタンコ-
結華「同志よ」ガシッ
樹里「何の同志なのか知らねえけど、ムカつくな」
おまけ
結華「ってことがあったんだよね。あの時」
P「ああ、縄跳び苦手なことバレちゃったんだ。咲耶」
結華「Pたん知ってたの?」
P「うん。咲耶、小学生の頃、あえて練習しなかったんだってさ」
結華「なんで?」
P「お父さんが早く帰ってきたら、一緒に練習したいと思って。結局、早く帰ってくる日も少なくて練習が出来なかったらしいんだけど」
結華「まさかの切ない話。オチは?」
P「無いよ」
おまけ
千雪「…」
【事務所に置いてあった縄跳び】テテ-ン
千雪「…」
スッ...クルクルクル...
千雪「(手首を縛ったら…ちょっと危ない雰囲気になるかしら?)」
甘奈「おはようございまーす♪」
千雪「…」ビクッ!
甘奈「あれ。千雪さん」
千雪「違うのよ。これは」
甘奈「?」
千雪「違うの!!!」カッ!
以上です。
お読みいただきありがとうございました。
二重跳びが初めて跳べたのは小学5年生の頃でした。跳べた時はめちゃめちゃ嬉しかったおもひで。
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