【艦これ】大淀「提督、お久しぶりです」無良崇人「お久しぶりです」 (21)

※このSSは2019/1/4に開催されたイベント「新春鎮守府JAZZ祭り2019 in 日本武道館」を元にしたフィクションであり、
実在のゲームと関連イベント、団体・企業、及び元プロフィギュアスケート選手・サックス奏者・ロックシンガー等とは一切関係ありません。
ただし性質上、同イベントのネタバレとなる描写を含みますのでご注意ください。

無良選手(※架空の人物)が提督になった経緯はこちら
【艦これ】大淀「本日はよろしくお願いします」無良崇人「お願いします」
【艦これ】大淀「本日はよろしくお願いします」無良崇人「お願いします」 - SSまとめ速報
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大淀「7月は氷祭りのご出演、本当にありがとうございました」

無良提督「こちらこそ。あれからアイススポーツ鳥取さんにもたくさんの賛助会員申し込みがあったようで、スケートを身近に感じてもらう目標に一歩近づいたかな、と」

大淀「私たちも、艦これの新しい表現の可能性を感じたイベントでした」

無良提督「それで、そろそろ聞きたいんですが」

大淀「はい」

無良提督「なんで僕、軍服着て瑞雲持って写真撮られてるんですか?」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1547394779

Ташкент「ねぇ、あたしがこんな格好で写るより、ヒューガを呼んできた方が良かったんじゃないかい?」

大淀「読売新聞だと掲載料が結構かさみまして、広告予算からギャラが一人分しか捻出できなくて……伊勢型の次は金剛型の服装でお願いします」

大淀「あと日向さんは『瑞雲の1/48モデルが出ます』と聞いた瞬間にキラキラしながら泡吹いて倒れたので、ちょっと撮影には」

無良提督「打ち合わせの時には新聞広告の撮影としか聞いてなかったんですが……この写真、読売新聞に載るんですか」

大淀「ええ、2019年元旦の全国版、全面広告に」

無良提督「……はい?」

大淀「キャッチコピーは『今、瑞雲を君へ。』で――」

無良提督「いえ、待ってください……念のため確認しますけど、これって何のゲームでしたっけ?」

大淀「艦船を擬人化した女の子、『艦娘』が戦うゲームですね」

無良提督「それで、今回全国紙一面に打つ広告の内容は」

大淀「……? 水上偵察機『瑞雲』ダイキャストモデルの製作決定ですけど?」

無良提督「……あっはい、ありがとうございます」

Ташкент「意味を考えるのはやめよう同志、あたしはそうした」

大淀「それでですね、この度新しいイベントを企画中でして、ぜひご出演をお願いできないかと」

無良提督「……今度はどんな滅茶苦茶なイベントなんですか?」

大淀「失礼ですね、ゲームBGMをジャズアレンジしたコンサートです」

無良提督「普通だ……」

大淀「年末と年始、二日間の公演を予定してるんですが、年始の方でご挨拶をいただきたいんです」

無良提督「……いえ待ってください、音楽のイベントにスケーターが出るのはやっぱり普通じゃないのでは」

大淀「大丈夫です、年末には澤山璃奈さんがダンサーとしてご出演くださいますので」

無良提督「あの人ダンスボーカルユニットもやってるじゃないですか」

大淀「スケート選手も陸上でダンスをすると聞きましたけど」

無良提督「それは振り付けの練習をリンク以外でもするって話で……まさか踊れと?」

大淀「それはまあ、せっかく来ていただくからにはやっぱり見せ場をご用意しないと」

大淀「前回もそうでしたけれど、観客の皆さんも提督の活躍に期待していますから」

無良提督「……わかりました、とりあえずお話を聞かせてください。返事はそれからで」

大淀「では、ここからの説明は涼月さんに」

涼月「JAZZ祭りでの総合MCを担当させていただく涼月です、よろしくお願いいたします」

涼月「まず今回の演奏隊、部隊名『1YB』はビッグバンド形式を予定しています……ギターなどを加えた比較的大人数による編成ですね」

涼月「編曲は米米CLUBのホーンセクションバンドなどで知られる村田陽一さんにお願いしています」

無良提督「さらっとまた大物の方の名前が出てきましたけど……」

涼月「また、艦娘太鼓およびダンス艦隊『2YB』も合流し、演奏とタップダンスの両面からパフォーマンスを行っていただく予定です」

涼月「中盤のMC、各企業様とのコラボを発表する際に提督にご登壇いただこうと考えています」

無良提督「コラボって、ますます関係ないんじゃ……」

涼月「洋菓子のヒロタさん、丸山タオルさんなどとのコラボです」

無良提督「……関係ありますね、はい」

涼月「そして前段作戦が終了し、後段作戦に移行するタイミングで……」

無良提督「艦娘音頭ですか」

涼月「すごい……! よく分かりましたね」

無良提督「この流れ二回目なので」

大淀「提督ですからね」

無良提督「……それ、褒めてます?」

大淀「もちろんです」

涼月「この後『冬の抜錨』の演奏と共に、提督にダンスを披露していただきたいんですが……どうでしょうか?」

無良提督「……現役時代もそうでしたけど、僕は人との繋がりに助けられてスケートを続けてるんだと思います」

無良提督「これも新しい繋がりを作るための試みです、お受けします」

涼月「ありがとうございます! では、『冬の抜錨』はタップダンスとバレエ、提督のダンスという編成で」

無良提督「……え?」

無良提督「待ってください、急にバレエが入りましたけど」

涼月「はい、元スコティッシュ・バレエ団のプリンシパル、下村由理恵さんをお呼びしています」

大淀「ああ、舞風さんが『下村由理恵さんが出ます』と聞いた瞬間にキラキラしながら泡吹いて倒れてましたね」

無良提督「陸の演技のスペシャリストじゃないですか」

大淀「大丈夫です、提督は氷上の演技のスペシャリストですから」

無良提督「……そうですね、ここで尻込みするのは自分の進化を止めることです。やりましょう」

涼月「では、この後のイベントの流れを簡単にご説明いたします」

涼月「今回スペシャルゲストとして、サックスにT-SQUAREの伊東たけしさんをお呼びして二曲ほど演奏していただきます」

無良提督「伊東……」

大淀「F1のテーマ曲を作曲したバンドの方です」

無良提督「ああ、はい……はい?」

無良提督「とんでもないビッグネームじゃないですか」

大淀「ダメ元で……」

無良提督「オファーしたらOK貰ったのがおかしいですよそんなの、いったいどこからどうやって――」

伊東たけし「ああ大淀さん、今日も打ち合わせですか? 毎日大変だねぇ」

大淀「伊東さん、お疲れ様です。T-SQUAREの40周年記念アルバム、11月14日発売『It’s a Wonderful Life!』のレコーディングですか?」

無良提督「宣伝が絶望的に下手くそ過ぎる」

大淀「次のライブはよろしくお願いします。白露さんも『伊東たけしさんが出ます』と聞いた瞬間にキラキラしながら泡吹いて倒れるくらい興奮してましたよ」

伊東たけし「CDもいいけど、やっぱり音楽はライブで聞いてもらいたいからね。コンサート、出演する側としても楽しみにしてますよ」

大淀「ええ、ありがとうございます」

涼月「伊東さんのソロの後、ラストは私達の歌う『月夜海』で終わる予定です。ただ……」

無良提督「何か問題があるんですか?」

涼月「ボーカルのゲストが決まらないんです。年末は米良美一さんにご出演いただけることになったんですが……」

無良提督「米良……」

大淀「『もののけ姫』の主題歌の方です」

無良提督「ああ、はい……はい?」

無良提督「まあ、米良さんの話を始めると進まないので、年始のボーカルゲストが決まらない、と」

大淀「現在オファーをかけている方がいまして、本日詳細のご説明の後お返事をいただく予定なんですが」

無良提督「……今日ですか?」

大淀「そろそろ来られると思いますので、提督も交渉をお願いします」

無良提督「え? 僕もこっち側なんですか?」

大淀「提督ですからね」

無良提督「そのセリフ気に入ってるんですか……それで、どなたにオファーしたんですか?」

大淀「龍玄としさんです」

無良提督「……申し訳ないです、あまりジャズには明るくないもので、存じ上げない方なんですが……」

Toshl「どうも、今日はよろしくお願いします」

無良提督「……はい?」

大淀「提督、足柄さんが『龍玄としはX JAPANのToshlさんの別名義です』と聞いた瞬間にキラキラしながら泡吹いて倒れた時みたいな顔になってますよ」

無良提督「やめましょう、これは無理です、絶対出てくれませんって」

Toshl「事前にいただいたセットリストなんですけど、一曲でいいんですか? せっかくならこのバラード調の曲も歌ってみたいんですが」

大淀「『提督との絆』ですか……いいかもしれませんね、ぜひお願いします」

無良提督「割と前向きに出演を検討されてた」

大淀「せっかくですし、持ち歌も披露されてはいかがですか? 11月28日発売「IM A SINGER」はカバーアルバムですし、難しいかもしれませんが……」

無良提督「その下手くそ過ぎる宣伝はどうにかならないんですか?」

Toshl「……出演のお返事をする前に、どうしても聞いておきたいことがありまして」

Toshl「皆さんは、どうして『艦これ』を作ったんですか?」

大淀「……」

涼月「……」

大淀「……1945年4月7日、駆逐艦『涼月』は戦艦『大和』らと共に参加していた坊ノ岬沖海戦で爆撃を受け、大破炎上しました」

大淀「主砲は二門が損壊、通信は電源ごと途絶。海図も焼失し、直線航行すら難しい状態で単独帰投する他ありませんでした」

大淀「丸一昼夜浸水と火災に遭いながらも沈没を免れ、『涼月』は翌日佐世保軍港へ奇跡的にたどり着きます」

大淀「そして損傷状態の確認を行った際、前方区画に内側から固く閉ざされた一室と、その中でこと切れていた3名の遺体が発見されました」

大淀「その後の調査で、彼らが自らの退路を断って防水作業を行っていなければ、『涼月』が佐世保まで浮力を保っていられた可能性は低かっただろうと言われています」

Toshl「……」

大淀「終戦後、損傷の激しかった『涼月』は復員輸送には用いられず、駆逐艦『冬月』『柳』と共に福岡県若松港の防波堤として利用されることとなりました」

大淀「船体はコンクリートで固められ『柳』の一部が確認できるのみですが、今もなお軍艦防波堤として港を守り続けています」

大淀「……すべての船にはそれぞれの物語があります。華々しく戦って散った船、儚く沈んでいった船、今も行方が分かっていない船……ただ、それを知る人はほんのわずかです」

大淀「そういった艦艇たちの存在をより多くの人に知ってもらいたいというのが、艦これにおける一番のコンセプトです」

無良提督「……」

Toshl「……なるほど、ありがとうございます」

Toshl「……さっきの持ち歌の事なんですが、最近手掛けた曲がイメージにぴったり当てはまると思います」

Toshl「『マスカレイド』、残酷な運命に翻弄されながらも、必死に生きていこうとする歌です」

涼月「……それじゃあ」

Toshl「ええ、出演依頼、お受けします……ところでそちらの方は」

無良提督「えーと、フィギュアスケートが本業なんですが、以前アイスショーでご一緒させていただいた縁で」

大淀「提督です」

Toshl「ああ、艦隊のゲームだから提督なんですね」

無良提督「納得しないでください」

Toshl「出演すると提督になる……ということはこれ、僕も提督なんですかね?」

大淀「その辺りは別に決まっていませんので、どちらでもやりやすい方で」

Toshl提督「じゃあ提督になりますので、よろしくお願いします」

涼月「よろしくお願いします、提督」

無良提督「軽いなぁ……」

Ташкент「同志無良提督、瑞雲のPV撮影、準備できたらしいよ」

大淀「コンサート当日の登壇前に流しますので、よろしくお願いします」

無良提督「……僕は音楽のプロじゃありませんが、ショービジネスの人間です。最高のショーを作ろうとする気概は分かります」

無良提督「今回のジャズコンサート、必ず成功させましょう」

大淀「……はい!」

~1月4日、イベント当日、舞台裏~

大淀「お疲れさまでした。登場は皆さん大盛り上がりでしたし、ダンスも素敵でしたよ」

無良提督「ありがとうございます……伊東さんのサックスもいい音色ですね。しっとりしながらも艶があって、まさしくジャズといった感じの――」

Toshl提督『武道館だああああぁぁぁぁ!!!』

Toshl提督『腹から声出せえええぇぇぇ!!!』

\ウワアアアアアアアアアアアアアアア/

無良提督「……ジャズってなんでしたっけ」

大淀「まあ、ジャンルの定義なんて人それぞれですし……盛り上がってますから、これはこれで」

無良提督「えぇ、そうですね……」

以上です。
相変わらず頭おかしいイベントでしたが、コラボやアニメ化など比較的普通に近い発表が多かった気もしてきました。
氷祭りとJAZZ祭り、合わせて円盤化待ってます。

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