みほ「コンプライアンス・ウォー!」 (36)
──大洗女子学園 生徒会室
華「はあ……」
みほ「華さんどうしたの?」
沙織「そんな思いつめたようなため息なんて……。もしかして、悩みがあるの?」
華「ええ。ちょっとこれを見てください」
みほ「?」
< パーティーで飲酒の写真を投稿した高校生が炎上 >
< 「頭の悪い生徒は退学に」発言で教師が懲戒 >
< 「下着を売れば簡単に稼げる」あっせんした同級生グループを摘発 >
沙織「ネットのニュース記事だよね。これって?」
麻子「それも、全国の高校での不祥事をまとめたもののようだな」
華「こういう話題を見ていると、うちは大丈夫なのかと急に不安になって……」
みほ「ええっ!?」
沙織「そんなことないよう! うちは学校としては平凡かもしれないけど、先生も生徒も、みんないい人ばっかりだよ」
華「それは分かっているつもりなのですが、このたびの出来事をおもうと……」
沙織「廃校の騒動のこと?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1590752327
華「ええ。廃校を免れたのはよいのですが、大洗女子学園は文部科学省に目をつけられる結果になったことに変わりありません」
華「もしかしたら、これから先ちょっとしたことで難癖をつけられて、また廃校へつながるようなことを言われるかもしれないとおもうと、もう気が気ではなくて……」
みほ「そんな! 考えすぎじゃ……」
麻子「いや、五十鈴さんの判断は正しい。生徒会長になったなら特にな」
沙織「麻子?」
麻子「組織の運営において大事なのは『最悪の事態を避ける』ことだ。その点においてとりわけリスク管理に力を入れている企業は少なくない」
みほ「確かに、コンプライアンスという言葉はここ数年で急激に広まった印象があります」
沙織「でもでも、うちにそんな問題があるなんて聞いたことないんだけど……」
華「いえ、当事者が気付いていないだけで、誰かの心を傷つけた発言があるかもしれません」
華「そこでわたくしは、いままでに問題発言を言い放った方々を調査し、そのうえで反省を促すようにしようと考えています。それが生徒会長としての最初の仕事です」
華「それと、うちは戦車道で名を成した学校です。戦車道に対するイメージダウンにつながる発言もきびしくチェックしなければなりません」
華「優花里さーん」
優花里「はい。ここに」スッ
沙織「生徒会室の窓から!?」
みほ「普通に入ればいいのに……」
麻子「むしろ逆にどうやってそこへ行けたんだ」
華「あの件ですが、どうなりましたか?」
優花里「よっこいしょ……はい。私の潜入調査によると、いくつかの学園艦から問題発言が確認できました」
華「まあ……」
麻子「……やはり、完璧というわけにはいかないか」
華「データはありますね?」
優花里「バッチリです」
華「それでは、どんな発言があったのかひとつずつ確かめてみましょう。まずはどこから?」
優花里「はいっ! 最終章から初登場の、あの学校がランクインです!」
華「あらあらまあっ! ではいきますよ優花里さん沙織さん! 大洗女子学園生徒会の出動ですっ!!」
優花里「了解ですっ!」
沙織「巻き込まれたっ!??」
華「ああっ……♪ いまのわたくし、なんだかとっても生徒会長っぽくありませんでした?」ドキドキ
みほ「なんでちょっとうれしそうなの!?」
沙織「そういえば華のなりたい職業のひとつに『万引きGメン』ってあったような……」
華「こういうの、一度やってみたかったんです♪」
優花里「わかりますよその気持ち!」
──BC自由学園
華「こんな言葉をご存知でしょうか。『戦車道は礼に始まり、礼に終わるの』」
優花里「アニメ本編の第2話から、蝶野教官ですね!」
華「このやりとりも、一度やってみたかったんです♪」
優花里「私もです! 聖グロごっこ!」
華「ウフフッ♪」
優花里「アハハッ!」
沙織「なんなのよもう……2人ともテンションおかしいよ」
安藤「なんでここで聖グロごっこなんだよっ! うちの学校と関係ないだろっ!」
押田「それよりどういうことだっ!? いきなりやってきてっ!」
華「あなたの隊長さんは、これとは全く逆ですね」
マリー「!?」
問題発言度:★
「どうして私が頭を下げなきゃいけないの~?」
(最終章 第1話より マリー)
優花里「ネットが炎上する言動のひとつに、謙虚でないこと。すなわち上から目線の態度が上位に挙げられます」
華「良き女性を育てるはずの戦車道の隊長がこのようなありさまでは、悪評が広がり戦車道がすたれてしまう原因になるんですよ?」
マリー「な、なによ。あなたたちとは関係ないじゃない」
華「関係ありますっ!」ダン!
マリー「ひッ」ビクッ
華「よりによってコレを審判の! 蝶野教官の前で言い放ったのが危険なんです!」
優花里「蝶野教官は無礼者は許しません。地の果てまで追い詰めて砲撃すると漫画版『劇場版 Variante』の2巻で発言していました。そのお方の前でよりによって……」
華「あなたの発言がもとでBC自由学園に廃校(かくめい)が起きたらどうするおつもりなんですか?」
マリー「うっ……」
華「というわけでマリーさんには、反省をしていただきます」
沙織「……聞くのがこわいんだけど、何するつもり?」
安藤「まさか……よ、よもや……首を……?」ガタガタガタ
押田「あ、あるいは……髪の毛を真っ白にさせられ……」ガタガタガタ
マリー「い、いやあああっ……!」ガタガタガタ
沙織「いやいや物騒すぎでしょ!?」
華「……そこまで厳しくはありません。なにしろあなたたちは最終章の盛り上げ役として、トップバッターを果たした功績があります」
優花里「特に、橋の上で砲撃されてピンチになるところなんて私たちが最初に戦車に乗ったときを思い起こしましたし、歌いながら行軍するところはプラウダ戦を彷彿させましたよね!」
華「ただ、戦車道のメンバーのケンカはお芝居でしたが、生徒自体は陣営が分かれているというところはイメージがよくありません。3人そろって仲の良い姿を見せて内外にアピールすべきです」
優花里「というわけでみなさんには、フランス革命の時代を舞台にしたアニメのキャラの格好をして、記念撮影をしてもらいましょう」
マリー「え?」
押田「そ、それだけでいいのか……?」
安藤「よかった……」
華「衣装を用意しました。これを」
マリー「ホッ……あら?」
押田「ん?」
安藤「なんだこの青いレオタードみたいなの?」
マリー「宝塚っぽいあの衣装じゃないわ? 何よこれ」
華「誰がベルサイユのばらだと言いましたか?」
押田「!?」
安藤「!?」
マリー「!?」
華「胸元と脚をむきだしにしたピッチピチでムッチムチのコスチュームを着せる『ラ・セーヌの星』の刑に処します」
──フランス大革命の前夜!
──花屋の娘として育てられた美少女シモーヌは「ラ・セーヌの星」を名乗り 剣をとって戦う!
──しかし! 彼女は自分が王妃マリー・アントワネットの妹であることを まったく知らなかった!
『マリーを殺せええっ!』
『殺せえええっっ!!』
ジャーン! ジャーン!
──エトワール! ラ セーヌ!!
押田「」
安藤「」
マリー「」
沙織「……このネタ、誰が分かるの?」
優花里「ガルパンおじさんの層の厚さを信じましょう!」
華「──というわけでこれがそのときの写真です」
みほ「うわあ……」
沙織「太ももが出てるぶん、あんこうスーツよりもヤバい……」
麻子「ていうか露骨に体型が現れるからマリーさんの目が死んでいるぞ」
華「意外なことに、安藤さんのほうが押田さんよりわずかに胸が大きいんですね」
沙織「そこ!?」
華「まあ、マリーさんも悪い人ではないことが分かりましたし」
優花里「最終章の第2話で、試合終了後はさわやかにケーキまでごちそうしてくれましたしね」
華「これでBC自由学園とのご縁もできましたし、もっと親密になれそうですね」
沙織「そうかなあ……?」
華「さあ休んでいる暇はありません。次はどちらへ? 優花里さん」
優花里「はい。黒森峰です」
沙織「黒森峰で問題発言をしそうな人って……」
麻子「もう事実上1人しかいない気がするが……」
──黒森峰女学園 女子寮
エリカ「~~♪」
エリカ(きょうは久しぶりのオフ)
エリカ(しっかり休んで、次の訓練に備えておかなきゃ。なんたって私は隊長なんだから)
ピーンポーン
エリカ「? 誰かしら」
ガチャ
華「あなたは、戦車を愛していますか?」
エリカ「!?」
優花里「私は、もちろん愛していますよっ! すべての戦車を!」
エリカ「来るなりなんなのよいきなり。宗教?」
華「そうですね。裁きを下しに来たという点では、ある意味そうかもしれません」
エリカ「!??」
問題発言度:★ ★
「何やってんの失敗兵器相手に!」
(第12話より 逸見エリカ)
華「ここまでハッキリ戦車の悪口を言ったのはあなただけです」
沙織「でも、華のお母さんは戦車なんてみんな鉄クズになってしまえばいいって言ってたし、サメさんチームだって最初は戦車をどん亀呼ばわりだったよ?」
華「あれは戦車道に理解のない人というキャラクターの役割を果たしているだけですから、問題はありません」
華「戦車道で常勝の、それも西住流のお膝元である黒森峰の生徒が戦車の悪口だなんて……」
優花里「それも!」
優花里「言い方が!」
優花里「ひどいです!」
優花里「失敗兵器だなんて!」
エリカ「はあ? ポルシェティーガーは歴史的に実際そうなんだし別にいいでしょ」
優花里「よくあ゛りませんっ!!」
エリカ「!?」
華「この優花里さんを見てください。安易にものを否定すると、それを好きな人から非常に強い反発を招くのです」
華「しかも、聞けばあなたの趣味はネットサーフィンだとか。うかつな言葉をうっかりウェブ上に公開したがために炎上した例はもはや数えきれません」
華「そう。たとえばツイッターで同じような言い方をすれば……」
ERIKA:「艦隊これくしょん」って 日本の戦艦を擬人化してるの?
ERIKA:じゃあ 負けた兵器ばっかりじゃない
華「このひと言に対するネットの反応が容易に想像できます」
優花里「身が震えますね。住所・本名・家族構成・所属団体その他のあらゆる個人情報を特定されてさらされるまでにものの数分でしょう」
エリカ「うっ……」
華「とはいえ、一方で逸見さんなら言いそうだからしょうがないよね、という反応も想像できます」
優花里「放送当時はイヤなキャラクターでしたが、二次創作界隈では扱いは悪くないどころか、むしろ破格の待遇といっていいです」
華「二次創作の数はトップクラス。スピンオフ漫画でもついに主役を務めるほどですし」
華「というわけで、逸見さんにはこれを言ってもらいましょう」
エリカ「?」
< 赤ポルシェ戦車 青ポルシェ戦車 黄ポルシェ戦車 >
優花里「早口言葉。よくあるゆるい罰ゲームのひとつです」
華「これを一度もかまずに言えることができれば、水に流しましょう」
エリカ「!?」
華「さあ」
エリカ「……わかったわよ! やってやるわよ!!」
エリカ「すう……ふうう……」
エリカ「……」
エリカ「…………」
エリカ「赤ぽるせしぇんしゃ 青ぽるしぇへんしゃ 黄ぽるしぇせんしゃ」
エリカ「赤ポルシェしぇんっ」
華「残念です」パシャリ
ピロリン♪
エリカ「ちょ、ちょっとなによいまの音はっ!」
華「さきほどの逸見さんを撮影し、動画を拡散しました」
エリカ「はああっ!??」
ピロン ピロン♪
エリカ「……小梅からメール」
赤星小梅:エwリwカwさwんwww
ピロン ピロン♪
エリカ「今度は……って隊長!?」
西住隊長:ずいぶん派手にかみ倒したな(笑)面白かったぞ^^
エリカ(赤面)「」
ピロン ピロン♪
小島エミ:やっと私にも名前がもらえたよ!
小島エミ:あきらめないで よかった……
エリカ「いまそれ関係ないじゃない!!!」
華「──というわけでこれがそのときの動画です」
みほ「……実はわたし、それ持ってる」
沙織「なんで!?」
みほ「お姉ちゃんから送られてきたから……。『見てみろ。ワロス』ってメールが来て」
沙織「あのお姉さんがネットスラング使ってることがちょっとショックなんだけど」
麻子「それも言い方が古い……。いつの時代の知識なんだ」
沙織「ていうか逸見さんへのメールのアレも素直に笑いの記号として使ってるつもりだよね」
麻子「相手にはとことん煽られてるように読み取れただろうな。さぞダメージがあったろうに」
華「これはこれでお姉さんらしさがあって、いいじゃありませんか」
みほ「ビミョーにイヤだよう……」
華「さて優花里さん。お次はどちらへ?」
優花里「ええと……次で最後です。サンダース大付属ですね」
華「まあ……。ですが最後というのであれば、気合を入れないといけませんね」
優花里「ええ。何しろサンダースは私の第二のホームグラウンドみたいなものですから」
華「先ほどのふるい言葉を使うなら『サンダースは反省汁!』といったところでしょうか」
優花里「逝ってよし(♯゜Д゜)p」
華「凸(´Д`;)お前モナー」
沙織「見てるこっちが恥ずかしくなるからやめてよっっ!!!」
──サンダース大付属高校
ケイ「ハ~イ! アリサ、ちょっと作戦室を借りるわね」
アリサ「またですか……わざわざここのでかい映写機つかって借りた映画を観るのはほどほどにしてくださいよ」
ケイ「今回は『いちおう名作らしいけど、お話がとてもつらい内容の映画』ばかりそろえてみたわよ!」
アリサ「なんで見えている地雷をわざわざ踏み抜きに……」
ケイ「まあまあ、ちゃんと観てみないと本当にダメかどうかわからないじゃない」
ケイ「馬には乗ってみよ、人には添うてみよってね。何事も直接経験してみないと!」
ガチャリ
華「ケイさんのそういうところ、わたくしは好きですよ」
優花里「お久しぶりです!」
ケイ「ワオ! オッドボールと……ニュー生徒会長さんも? どうしたの?」
華「実はかくかくしかじかで……」
アリサ「!?」
問題発言度:★ ★ ★
「まったくなんなのよあの子たち? 力もないくせにこんなとこ出てきて! どうせすぐ廃校になるくせに! さっさとつぶれちゃえばいいのよ!」
(第6話より アリサ)
華「確かにわたくしたちは無名の戦車道チームでした。多少あなどられても仕方ありません」
華「ですがどこで知ったのか、廃校のことを言われるのは……」
優花里「うっ うう゛っ……」ポロポロ
アリサ「!?」
優花里「廃校になったら、住むところも、理髪店の仕事もなくなって……」ポロポロ
優花里「私の家族は……どうやって生きていけばいいかわからなくなってしまうんですよ……?」ポロポロ
優花里「それなのに……グスッ 廃校になってしまえだなんて……うう゛う゛~~っ!」ポロポロ
アリサ「そ、そりゃ悪かったけど……実際に廃校騒ぎになったとき助けてあげたじゃない」
ケイ「バカモーーンッ!!!」
アリサ「ひッ」ビクッ
ケイ「ひと様に謝るときにはきちんとした言葉を使いなさい!! それが礼儀というものよ!!」
アリサ「は、はい……。大洗女子学園のみなさん、申し訳ありませんでした……」
ケイ「家が学園艦にあるってことは、家族全員の暮らしがそこにかかってるってこと!」
ケイ「そういうシビアな事情のある子に向かって廃校になってしまえって言ったのよあなたは」
ケイ「これは明らかなハイハラ発言ね」
沙織「ハイハラ?」
華「廃校ハラスメント。略して廃ハラです」
アリサ「廃校ハラスメント!??」
沙織「初耳にもほどがあるんだけど」
優花里(目薬)「まあ、そのときの感情にまかせて口をついて出たものでしょうし、本気の発言でないことは承知しています」
アリサ「アンタいまの涙ウソだったの!?」
優花里「諜報活動にはこういった芸もできないといけませんからね」
ケイ「……とはいえ、発言した事実については責任を取らないといけないわね」
アリサ「隊長!?」
ケイ「オッドボール。いえ、秋山さん……ひどい言葉を……何とお詫びしたらいいか……」ギュッ
優花里「けっ ケイ殿!?」ギュー
沙織「ゆかりんを抱きしめて……?」
ケイ「隊長として、サンダースを代表して……謝るわ……」ポロポロ
ケイ「ごめんね……グスッ 本当にごめんなさい……ウッ ウウッ どれほどあなたを傷つけたか……」ポロポロ
優花里「あわ、あわわわ……ケイ殿泣かないでください」
華「もう謝っていただきましたし、廃校の騒動があったときに戦車を預かってくれたご恩があります」
沙織「大学選抜戦のときにも駆けつけてくれたもん。これ以上責めるなんてできないよう!」
ケイ(目薬)「アラそう? 寛大な処置に感謝するわ!」
優花里「へっ?」
沙織「えっ?」
華「あらあらまあ」
ケイ「アリサよく覚えておきなさい。何かトラブルがあったとき、非があったならすぐさま謝ること。そして、涙はもっとも効果のあるタイミングを見極めることよ!」
ケイ「ま、それはそれとしてこの件でもっぺん反省会するけど」(低音)
アリサ「」
──大洗女子学園 学園艦
沙織「……ケイさん、なんというかスゴかったね」
優花里「さすがの危機管理能力です。その上まさかの泣き落とし返しとは……向こうが一枚上手(うわて)でしたか」
華「アリサさんの処遇もケイさんに任せ、わたくしたちの出る幕はありませんでしたね」
みほ「へっ? じゃあ何もなく解決ってこと?」
優花里「あ、いえ、確か反省会と称して自分が観る映画に付き合えとのことでした」
麻子「まさかまたB級ばっかりか?」
華「逆ですね。アカデミー賞を受賞したことのある映画ばかりそろえてましたよ?」
沙織「ええと……『ボーイズ・ドント・クライ』『ミリオンダラー・ベイビー』『サウルの息子』に『プレシャス』だったよね」
麻子「うあ……」
みほ「麻子さんどうしたの?」
麻子「……いや、なんでもない。アリサさんの無事を祈ろう……」
華「さて、これで他校の気になるところはすべてめぐり終えたわけですが」
優花里「はい。続いては身内ですね。大洗の生徒に問題がないかを調査しましょう」
華「……」
優花里「……」
みほ「……あ、あれ? 優花里さん?」
沙織「どうしたの2人とも? 出かけるんじゃないの?」
華「……いえ、ここで構いません」
麻子「どういうことだ? ……まさか」
優花里「……残念なお知らせがあります。西住殿に、問題発言がありました……」
みほ「!?」
問題発言度:★ ★ ★
「戦車をこんなふうにしちゃうなんて! 考えられないけど、なんか楽しいね。戦車で楽しいなんて思ったの初めて!」
(第3話より 西住みほ)
華「知ってのとおりみほさんは西住流の家柄です。生まれたときから戦車道に触れている人生であったことでしょう」
華「その家元の娘が戦車で楽しいと思ったことがいままでになかったという趣旨の発言。事態を重くみて星3つです」
優花里「ということは、西住殿が1年生のときの、黒森峰が9連覇目の優勝をしたこともうれしくなかったんでしょうか……?」
沙織「みぽりん……」
みほ「そ、それは……」
華「でも、いまは違いますよね?」
みほ「それはもちろんそうだよ! みんなには、ほんとうに感謝してるもん」
みほ「特に沙織さん……私に、声をかけてくれてありがとう」
沙織「?」
みほ「沙織さんがいなかったら……ずっと友達ができないまま、学校に通い続けてたかもしれないから……」
みほ「それだけじゃないよ。あんこうチームは、私にとって理想のメンバーがそろっているの」
みほ「優花里さん。純粋にまっすぐな気持ちで戦車が好きだって言えるあなたがうらやましい」
優花里「ふえっ?」
みほ「麻子さん。戦車の操縦であそこまで私の意図を汲んで、それを寸分たがえずに動かせたのはあなただけだった」
麻子「まあ、なんとかなるもんだ」
みほ「華さん。家元の娘っていう特殊な境遇を理解できる、とっても珍しい人」
華「あらあら、わたくしは特に何も」
みほ「沙織さん。わたしが何よりも望んだ『普通の友達』でいてくれてありがとう」
みほ「みんな、ほんとうにだいすきだよ……」
沙織「みぽりん……」
優花里「こ、これは思わぬところで……えへへ照れちゃいます」
みほ「……でも、それとこれとは別だよね。良くないことを言っちゃったなら、わたしも罰を受けないと……」
華「いえ。もう充分です」
みほ「……あ、あれ? 何もないの?」
華「ええ。これを見てください」スッ
みほ「?」
< ガールズ&パンツァー劇場版 西住しほ抱き枕カバー >
< 西住しほ 約1/8スケールガレージキット(バニー姿のやつ) >
< その他あんな同人誌やこんな同人誌の数々 >
華「自分の親が肌もあらわになり、あまつさえそのグッズが世に出回っているという事実。みほさんはもう、すでにある種の罰を受けているといっても過言ではありませんから」
みほ「」
沙織「笑顔で言うことじゃないよっ!!」
麻子「さっきの感動を返してくれ」
みほ「……やーってやる やーってやる やあーってやるぜー……」ブツブツ
みほ「いーやな あーいつを ぼーこぼこにー……ウフフ」ブツブツ
優花里「ああっ! 西住殿の目が!」
華「心苦しいですが、これもまた秩序のためには致し方ない痛み。泣いて馬謖を斬るというやつです」
華「信賞必罰の重要さ。あなたなら分かっていただけますね?」
そど子「そうね。問題発言の取り締まりだなんて、風紀的にも良い影響を及ぼすとおもうもの」
麻子「なんでそど子がここに?」
優花里「私たちが調査のために出かけているあいだ、校内のことを頼んでおいたんです」
そど子「大洗女子学園の風紀は私が守るわ!」
華「では園さん。報告をお願いします」
優花里「1位は果たして誰だったんでしょうか」
沙織「1位って?」
そど子「校則違反。とくに、服装に関して違反している生徒のランキングよ」
麻子「普通に考えるとカバさんチームかサメさんチームの誰かじゃないのか?」
みほ「確かに、あのチームの個性はみんなすごいよね」
優花里「あまりに見た目が違いますから、ガルパンを知らない人たちからすれば他校のチームだと勘違いされるそうですよ」
(※本当にそんな感じでした)
そど子「ところがそのどちらでもないのよ」
沙織「!?」
そど子「軽く5か所以上も違反していた子がいたわ! さあ入って」
ももがー「うう……」トボトボ
みほ「ももがーさん!?」
そど子「まずはその髪留め。これについてはまあよしとしてあげる」
そど子「でもそれ以外アウトよ! まず眼帯が特に理由もなくファッションとしてつけているだけのもの!」
そど子「制服の襟! 何でピンク色のフリフリしたやつが追加されてるの!?」
そど子「それからスカーフの結びがみんなと違う上にヘソ出し! 短い! スカートも!!」
そど子「極めつけはその真っ赤なブーツ! サンタさんなの!?」
そど子「頭から足の先まで歩く校則違反なのよ!!」
華「これほど改造した制服で堂々と学校に通っているだなんて、まるでときめきメモリアル2の伊集院メイのようです」
優花里「そういえばあのゲームにも『みほ』と『まほ』の姉妹がいましたね~」
沙織「だから誰がわかるのこのネタ」
優花里「ガルパンおじさんの層の厚さを信じましょう!」
沙織「そのガルパンおじさんに対する信頼感なんなの」
華「それでは園さん。ももがーさんは何日にするおつもりですか?」
ももがー「?」
そど子「うん? なんの数?」
華「何って……違反者のももがーさんは罰として禁固刑に処されるんですよね?」
ももがー「」ガタガタガタ
みほ「えっ ちょっと待って!? 何で!??」
優花里「いきなりまさかの実刑ですか!!?」
沙織「さすがにかわいそうすぎない!?」
そど子「いやいや重すぎるでしょっ!! いくらなんでもそんなひどいこと……」
華「これはあなた自身が教えてくれたことなんですよ?」
そど子「!?」
問題発言度:★ ★ ★ ★
「風紀検査は週に1回 違反したら反省文 すごく違反したら学園内の営倉に入ってもらうから」
(OVA「愛里寿・ウォー!」より 園みどり子)
麻子「営倉!??」
みほ「うえええっっ!?? 営倉がっ!? 大洗女子学園にっ!!?」
優花里「カチューシャさんがよく言う『シベリア送り』はただの比喩ですが、こちらはマジのガチじゃないですか……」
華「ちなみに、営倉入りとはただ閉じ込められるだけではありません。寝るとき以外は1日じゅう正座で、常に監視され、不用意に動くと厳しい指導が飛んできます」
みほ「ええ~っ……」
沙織「学生に科すような罰じゃないよ!」
華「さらに、この規則の真髄は『すごく違反したら』というガバガバな基準にあります」
麻子「なるほどな。風紀委員の胸ひとつで気に食わないヤツを即刻ブチ込めるわけだ」
優花里「それを週に1度の頻度で取り締まられるとは……恐怖ですね」
沙織「いやいや取り締まりの範囲を超えてるでしょコレ!?」
みほ「そういえばこれって、愛里寿ちゃんに学園艦を紹介するときのセリフだよね……」
沙織「そうだよ! 大洗女子学園がこういうもんだって誤解されちゃうかもしれないよ!?」
優花里「近年は体罰に関する周囲の目がとても厳しくなっています。廊下に立たせることすらとうの昔にすたれたというのに、営倉に閉じ込めるだなんて……」
華「まごうことなきブラック校則というやつです。こんな規則に従ってももがーさんを処断すれば、そちらの方が問題となるでしょう」
華「そもそも、こんな人権を揺るがすようなこわい決まりがうちにあると知れたら、入学希望者がいなくなって廃校の原因となります。ただちに撤廃すべきです」
そど子「た、確かにそうだけど……いきなり校則を変えるって簡単なことじゃないのよ」
麻子「ていうか服装の違反でここまでひどい罰になるなら、そど子はどうなる」
そど子「えっ」
優花里「そういえば廃校騒動のときに、地元の生徒とケンカしていたらしいですね」
華「ひとつ質問なのですが『地元の生徒』とはどういうことでしょう?」
沙織「中高生はみんな学園艦で生活してるわけだから……まさか小学生を相手にってこと?」
麻子「このくだり、『劇場版 Variante』の3巻でもツッコまれてたぞ」
優花里「ケンカの相手は誰かは不明ですが、その仲裁に河嶋先輩が自ら出向いていますよね。あの忙しい中」
華「他人の手間と雑務を増やすというリアルな迷惑をかけています。確かにその責任はありますね」
そど子「」
華「そうですねえ。営倉以上の厳罰となると……」
華「あとは……」
華「……」
華「…………」
華「…………銃殺……?」ボソッ
みほ「」
沙織「」
麻子「」
優花里「」
ももがー「」
そど子「ハイ消えたーーっ! 消したわよたったいまここでーーっ!!」
そど子「12話で冷泉さんの遅刻記録を消したあの端末で校則も消したからーーっ!!」
そど子「認めましょう! 多様性! 大洗女子学園はブラック校則をなくそうプロジェクトを応援しています!!」
華「大洗女子学園は歴史ある伝統校です。それゆえに、こうした時代に合わない決まりが残ってしまっているということなのでしょう」
優花里「ですが、ただ古いだけの学校では廃校の憂き目を見るということがわかってしまいました。新しい時代や環境に応じた変化を、われわれ新生徒会がしていかねばなりませんね」
みほ「正しいこと言ってるはずなんだけどなあ……」
沙織「……なんだろう。良いことをしたっていう実感がぜんぜんわかないんだけど」
優花里「とはいえ、あの一件で風紀委員の皆さんもずいぶんキャラが起(た)ちましたよね」
華「まじめなだけでなく、ちょっと抜けていたりお行儀悪いくらいが人間くさくてよいのかもしれません。その証拠に最終章での見せ場も増えています」
麻子「オープニングでもそうだし、1話で早々にガラの悪い船舶科にさらわれてたのには笑ったぞ。『あ~れ~!』ってな」
優花里「最終章の2話でのBC自由学園戦では大活躍でしたし、2回戦では西住殿をしのぐような跳躍力を披露してくれました」
沙織「やっぱり、恋愛と同じで『普段とは違った一面を見せる』ことが人気につながったのかな?」
華「新しい魅力がわかったところで、そろそろボス戦と参りましょうか」
麻子「ボス?」
みほ「ボスって?」
華「問題発言の大ボス。廃校騒ぎとなったすべての元凶のもとです」
──文部科学省 学園艦教育局
コンコン コンコン
役人「?」
ガチャリ
華「失礼します」
役人「!?」
華「わたくし県立大洗女子学園の新生徒会長、五十鈴華と申します」
優花里「同じく、生徒会副会長になりました秋山優花里です!」
沙織「こ、広報担当の武部沙織ですっ」
役人「なんなんだ君たちはいきなりっ!?」
役人「こんな急に押しかけてきても困るじゃないか! ちゃんとアポイントメントを取ってくれたまえ!」
華「アポイントメントとは、事前に予定をおさえるということでしょうか?」
役人「そうだ! 電話の1本でもかけてから来てくれないと対応が……」
優花里「でも電話だと、この方には通用しませんよね」
華「ええ。なぜなら電話での約束は口約束になりますからね」
役人「!?」
問題発言度:★ ★ ★ ★ ★
「口約束は約束ではないでしょう」
(劇場版より 役人)
優花里「これに関しては説明不要でしょう」
沙織「せっかく戦車道大会で優勝したのに、ひどいよね!」
役人「つ、つまりいわゆる『お礼参り』というわけか……私をどうするつもりだ」
華「そうですね……役人さんには、ちょっとダンスを踊っていただきましょう」
役人「ま、まさか……あの恥ずかしい全身タイツを私に着せてあんこう音頭を……!?」
役人( ……フ、フフフ。復讐しに来たかと思えばそんなことか。所詮は高校生だな )
役人( 多少恥ずかしい思いはするものの、私の地位や立場にはまったく影響されない )
役人( それどころか、無理やり踊らされたことで私は被害者だ。生徒を処罰し、その勢いで学校も廃校に追い込むことができる。ここは名を捨てて実(じつ)を取る! )
役人「な、なんということだ。そんな恥ずかしい真似をするだなんて~」(棒読み)
役人「だが、それで君たちの気が済むというのなら、甘んじて受け入れ……」
華「いえ。わたくしが提案するのは『無頼男』(ブレーメン)に出てきた『ダンス』ですよ」
役人「!?」
(※無頼男:昔のジャンプで連載してた超ロックな漫画。なお超ロックに打ち切られる)
華「まず、あなたの衣服をはぎ、周りを生徒で取り囲みます」
華「生徒たちには、全員スタンガンを持たせてあります」
華「誰かひとりが手を伸ばし、あなたにスタンガンを浴びせる」
華「そのショックでよろめいた先の生徒がまたスタンガンを浴びせ、別の方向によろめかせる」
華「これを気絶するまでえんえんと繰り返すというスタンガンダンスなどいかがでしょうか」
役人「」
沙織「シャレにならないよ!! ていうかこれわかる人いるの!?」
優花里「ガルパンおじさんの層の厚さを信じましょう!」
沙織「その信頼感はどこから来るの!!?」
役人「」ガタガタガタ
華「まあ、そんな残酷なこと実際にできるわけがありませんし、するつもりもありません」
華「それにわたくしたちは復讐しに来たわけではなく、単なるご挨拶でうかがったまでのこと」
役人「ど、どういうことだね……?」
華「廃校が撤回されると信じた生徒の頑張りを踏みにじる発言。その罪は軽くはありません」
華「……とはいえ、あなたが最初に戦車道のことを角谷会長に伝えなければ、大洗はなすすべもなく廃校になっていたということも事実です」
優花里「廃校の元凶でありながら、わが大洗女子学園が戦車道を始めるきっかけを作った人物でもあるわけですね」
沙織「戦車道のおかげで麻子の遅刻もチャラにしてもらったし、みぽりんは自分の道を見つけられたもんね」
華「そして短期転校による連合チームでの結束。あなたの思惑は崩れましたが、最終的に学園艦は救われ、全国の戦車道は活性化したという結果が残りました」
華「経緯はどうあれ、ここはひとつ感謝のお気持ちを示しましょう」
優花里「こちらをどうぞ」スッ
役人「へっ? な、何を……?」
沙織「戦車の転輪を模した、大洗まいわい市場の名物『転輪焼』です!」
優花里「普通のつぶあんと、芋あんと、クリームと3種類の味が楽しめます」
華「この転輪焼、2020年3月に販売を終了しています。いわば廃校になったお菓子といったところでしょうか」
優花里「廃校が大好きな人ならきっと気に入ってくれますよね!」
沙織「それでは、失礼しま~す」
ガチャ バタン
役人「……な、なんだったんだ一体」
役人「まあいい。結局、お菓子を差し入れに来ただけか。お言葉に甘えてさっそくひとついただこう」
役人「あむっ……モグ……」
(ガリッ!)
役人「!!?」
役人「固っ!? 中に何が入って……ん?」
コロ… コロコロ……
(銃弾)
役人「」
役人「あ、ああ……あ゛あ゛あ゛っ……!」ガタガタガタ
──大洗女子学園 生徒会室
華「ただいま戻りました」
杏「おっ、お疲れ~どうだった~?」
華「角谷会長に教えていただいた『手土産』。役人さんも『喜んで』受け取ってくださいました」
杏「そっかそっか。んじゃしばらくはおとなしくなるだろうね~」
優花里「でも五十鈴殿、あんなにあっさりとしたご挨拶でよかったんでしょうか?」
沙織「そうだよ。もっと何か言ってもよかったんじゃない?」
華「いえ。きちんと『お気持ち』を込めましたから、あれだけでじゅうぶんあの人には伝わったことでしょう」
優花里「?」
沙織「?」
華「それに、あの人はもう許されているようにおもえます。その証拠に最終章をよく見てみると役人さんっぽい人がいるんですよね」
みほ「無限軌道杯の観客席のところだよね?」
沙織「有力な高校生選手を知るために視察してるってこと?」
優花里「ちゃんと戦車道プロリーグ設置に向けての仕事はしているってことですね」
麻子「やせても枯れても官僚だもんな。ただの廃校おじさんじゃないわけだ」
華「廃校騒ぎはもう済んだ話です。これからは未来のために、もう2度とそんな憂き目に遭わないような努力をしていかなければなりません」
華「河嶋先輩もおっしゃっていましたが、大洗の戦車道を盤石なものにすること。これこそが学園艦を守る最善の道となるでしょう」
華「ちょうどよい機会です。当面の目標は、あの役人さんの前で無限軌道杯を優勝すること」
優花里「なるほど。夏・冬の連覇となれば大洗にとってさらなる実績になりますからね!」
麻子「それを目の前に見せつけてやれば、廃校のことなど口にできなくなるだろうな」
杏「ついでに河嶋も大学に行けるし、いいことづくめだね~」
桃「か、会長っ!?」
杏「無限軌道杯でも頼りにしてるよ、西住ちゃ~ん?」
柚子「桃ちゃんのこと、よろしくね」
みほ「ふええっ!?」
華「さあ、禊(みそぎ)も済んだことですし、こうしてはいられません」
優花里「そうですね。私たちの戦いは、まだまだ始まったばかりですっ!」
沙織「学園艦のためにも! 河嶋先輩のためにも!」
華「さあ無限軌道杯へ向けて、さっそく戦車道の練習ですっ!」
麻子「西住さん、いつものアレを頼む」
みほ「ふえっ!? え、ええと……」
みほ「──パンツァー・フォー!!」
『おーーーーッッ!!!』
~♪エ~ンタ~ エ~ンタ~ ミッショ~ン 早くここにおいで♪
~♪一生懸命 追いかけ~たいよ だから一緒 カモ~ン♪
めでたし めでたし!
華「──と、いいたいところですが」
沙織「うん?」
優花里「?」
華「……」ニコニコ
桃「……?」
華(肩に手を置く)ポン
桃「!?」
問題発言度:★ ★ ★ ★ ★ ★
「西住! お前がどこかに転校しろー!」
(OVA「愛里寿・ウォー!」より 河嶋桃)
華「これを裁かずしてわたくしたちの使命は終わりません」
杏「ああ~……。これかあ~」
柚子「島田愛里寿ちゃんが大洗に編入してくれるかとおもったんだけど、西住さんと戦えないって理由で帰っちゃったんだよね」
優花里「そのあとにコレですから、つまり西住殿に対して『お前はもう用済みだ』と言っているも同然ですよね」
華「みほさんが戦車に対し心の傷を負っているにもかかわらず無理やり戦車道へ引きずり込んでおきながら、いざ廃校が撤回されたら島田流に飛びついてこの発言」
華「まさに『狡兎(こうと)死して走狗(そうく)煮らる』という昔の中国の言葉そのものです」
沙織「どういうこと?」
麻子「野ウサギを捕まえ尽くしたら、その猟犬も必要なくなって煮て食われるということから、不要になった人材は功労者であってもあっさり捨てられるという意味だ」
優花里「いままでの問題発言とはちょっとわけが違いますね。かなりハイレベルな失言です」
華「ええ。その証拠にちょっとこちらを見てください」
みほ「?」
華「ファンにとってもこの言葉は重く受け取られてしまったようで、なんとこの発言をタイトルにしたSSが少なくとも掲示板への投稿だけで4つもあります」
< 【ガルパン】桃「西住!お前がどこかに転校しろー!」 >
< 桃「西住!お前がどこかへ転校しろ!」みほ「…わかりました」 >
< 【ガルパン】桃「西住!お前が転校しろ!」みほ「は?」 >
< 【ガルパン】河嶋桃「西住!お前がどこかに転校しろ!!」みほ「……え?」 >
華「基本的に、この発言を受けたみほさんが傷ついてしまうというのが大筋です」
優花里「読み比べて違いを楽しんでみるのも、いいかもしれませんね!」
沙織「えっ 誰に言ってるの?」
麻子「気にしたら負けだ」
華「まあ故事成語など引用するまでもなく、この言葉から読み取れる感想は『恩知らず』です。人としてギリギリの発言です」
優花里「それに! 西住殿にとって『転校』は結構デリケートな話題ですよ!?」
麻子「デリカシーゼロだな」
桃「ううっ……」
華「……河嶋先輩。わたくしもミスには寛大なほうです。失敗も3回は許しましょう」
華「まずあなたは聖グロリアーナとの練習試合で味方を撃ち、安易なおとり作戦をみほさんの意見を殺してまで押し通しました」
桃「うっ……だって頭がいっぱいで……」
華「その後サンダース戦であれだけ『もうおしまい』などと泣き言を言っていたのに、アンツィオ戦直前でのミーティングで自分のことを棚に上げて『いいな腰抜けども!』と言っていましたね」
桃「あう、ううっ……」
華「そして、この発言の件……」
桃「うっ、ううう……」
華「ですが……」
(ピッ)
桃「!?」
華「サメさんチームの退学の危機をかばい、彼女たちに感謝され人望を得ているところを、わたくしは見逃していません」
華「河嶋先輩……これが最後のチャンスです。最終章が終わるまでのあいだに何か問題のある発言や、人望を失う行動を起こしたなら、わたくしは3本目の指を折ります」
桃「う、うむ……わかった。かならず約束する」
沙織「聞くのがこわいんだけど……河嶋先輩になにさせるつもりなの?」
華「それはもちろん、戦車に関する罰です」
華「拳銃と青いランタンだけ持たせて生身で戦車を撃破させる『パンプキン・シザース』の刑に処します」
華「それも18話の特別エンディングテーマ『パンプキン音頭』を歌わせながら」
桃「」
沙織「……声優ネタってこと、わかる人少ないんじゃない?」
優花里「いえ、ガルパンおじさんの層の厚さを信じましょう!」
沙織「だからなんなのよその信頼感はーーっ!!」
おしまい
以上です
最新話に向けて復習のつもりでいろいろ見返してみたら、発見があったので書いてみました
まだまだガルパンには見どころがありますね
過去作↓
みほ「プロ戦車道1日訓練?」
みほ「未公開シーン?」
みほ「笑ってはいけない西住流?」
みほ「笑ってはいけない西住流の未公開シーン?」
みほ「○んしゃ道?」
みほ「ガンシャ・ウォー!」
みほ「逆ドッキリ?」
みほ「愛里寿ちゃんスイッチ?」
みほ「抜き打ちテスト?」
まほ「抜き打ちテストだと?」
みほ「ガールズ&ラーメン?」
みほ「笑ってはいけないあんこう祭り?」
ガルパンのキャラが出ておらず「ガルパンSS」としては微妙だったので掲示板へは投稿していないネタですが、よろしければこちらもどうぞ↓
ミルクボーイ内海「今、Ⅳ号戦車の履帯をいただきました」
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12287363
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