大洗学園艦 女子寮 みほの部屋
みほ「というわけで、皆さん協力をお願いします。パンツァー・フォー!」
優花里「待ってください西住殿。ドアを開けた瞬間、いきなりやべぇ情報で顔面殴りつけられた我々の身にもなってください」
みほ「状況は見ての通りです」
まほ「みほ、彼女たちが例の援軍か」
エリカ「……」
沙織「下半身裸のみぽりんのお姉さんのお尻に、あの逸見って人がくっついてる……」
華「どうやら口の吸引力だけで吸い付いているようですね……まるで尻尾みたいです」
優花里「ひぃっ! 逸見殿が、物凄い鋭い目つきでこっちを睨んでますぅ!」
華「"邪魔をするな、食い殺すぞ"という感じの視線ですね……心地いい殺気です」
沙織「っていうか何でみぽりんのお姉さんは下半身丸出しであんな堂々としてるの……?」
みほ「どうやっても離れなくて……皆の力を借りたいの」
麻子「そもそも私たちは西住さんに"お泊りパーティしましょう!"ということで呼び出されたんだが」
みほ「だって本当のこといったら誰も来てくれないでしょう?」
麻子「おい、こいつ悪びれもしないぞ」
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沙織「とりあえず、詳しい話を聞かせてよみぽりん。来ちゃった以上、手伝えることは手伝うからさ」
麻子「そもそも黒森峰の二人がなんでここに? まあ休日だし、ヘリを使えば来れるだろうが……」
みほ「お姉ちゃんがドイツ留学するまでの間に、私とエリカさんを仲直りさせたいって……」
麻子「それが何で下半身吸引パーティになるんだ」
まほ「風呂上りを襲われてな……」
zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz
まほ「ふー、いい湯だった。すまない、みほ。家主を差し置いて一番風呂を貰ってしまって」
みほ「もー! お姉ちゃん、タオル巻くだけじゃなくてきちんと用意したパジャマ着てよ!」
まほ「パジャマ? キグルミしかなかったんだが……」
みほ「布教用のボコパジャマだよ~」
まほ「あんなものを複数持ってるのか? エリカ、すまないがコンビニでスウェットかなにか」
エリカ「シャーーーーー!」
zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz
みほ「まるで獲物に襲い掛かるワニみたいな素早さだったよね、エリカさん」
まほ「ああ、あの待ち伏せからの一転攻勢はまさしくワニのそれだったな。
まあそんなわけで、みほが援軍を呼んでくれるというから取り急ぎ上だけ着たんだ。下はエリカが吸い付いてるから無理だったが」
沙織「せめてタオルか何かで前だけでも隠すとか、そういうのは……」
まほ「西住流に後退の文字はない」
麻子「そのまま留置場まで突き進めばいい」
沙織「でも、なんでお尻なんかに吸い付いたんだろ……」
優花里「愛情表現では? 私も西住殿にいつかかましてやろうと心の底に秘めてますから」
みほ「一生心の底に鎮めておいてくださいね、優花里さん」
華「美味しそうだったのではないでしょうか。吸われていない片尻しか見えませんが、中々いい形をしています。
適度に締まっていて、それでいて柔らかさを失っていないししおき……あの、私も一口頂いても?」
みほ「華さんの一口は洒落にならない気がするなぁ……カニバリズム的な意味で」
麻子「西住流のパワーをケツから吸い取ろうとしてるんじゃないか?」
みほ「麻子さん、真面目に考えてください!」
麻子「友達の姉の尻に噛み付いてる奴への対処方法を真面目に考えろとか、無茶振りもほどほどにして欲しいんだが」
みほ「そ、そんな……友達だなんて、えへへ、なんだか真正面から言われると照れちゃいますっ」
麻子「ちくしょう、かわいいなぁ。行動は完全にサイコパスそのものなのに」
優花里「パワーで思ったのですが、そもそも西住殿の力を持ってすれば引きはがすことくらい簡単では?」
沙織「みぽりん、誤射された砲弾を片手で弾き飛ばしてたもんねー……」
まほ「西住流はフィジカルにも重きを置いているからな。鍛錬も小さいころから始めるし」
みほ「懐かしいなー。哺乳瓶が鋼鉄製で、腕力を鍛えないとミルクが飲めないんだよ」
華「西住流の闇を見ました」
麻子「西住さんが子供を産んだら定期的に様子を見に行くことにしよう」
沙織「みぽりんの腕力に、そんな悲しい歴史があったなんて……」
優花里「その腕力で逸見殿をえいってやっちゃえばいいんですよ」
みほ「試したんだけど、西住流殺人拳はエリカさんに効かなかったの……」
まほ「ああ。おそらく今のエリカは人よりも獣に近い存在なのだろうな」
沙織「殺人拳」
麻子「しかも試すまでは効くと思ってた口ぶりだぞ……」
優花里「この件はこれ以上掘り下げない方がいい気がします」
華「同感です」
優花里「仕方ありません。西住殿の為とあれば、不肖秋山優花里、一肌脱ぎましょう。西住殿、これを」
みほ「粉の入った、瓶……?」
優花里「睡眠薬です。後遺症が残らない割には強力で、効いてる内は何をしても目が覚めないと」
みほ「へ~、凄いね」
みほ「ところで優花里さん」
みほ「ここに来るまで優花里さんはお泊り会をするって思ってたはずだけど」
みほ「なんで睡眠薬を用意してきたのかな?」
優花里「えへへぇ、気にしないでください西住殿ぉ。ところで話は変わりますが、この何の変哲もないお茶を飲んでください」
みほ「わあ、ありがとう優花里さん! ちょうど喉が渇いてたの!」
優花里「仕方ありません。西住殿の為とあれば、不肖秋山優花里、一肌脱ぎましょう。西住殿、これを」
みほ「粉の入った、瓶……?」
優花里「睡眠薬です。後遺症が残らない割には強力で、効いてる内は何をしても目が覚めないと」
みほ「へ~、凄いね」
みほ「ところで優花里さん」
みほ「ここに来るまで優花里さんはお泊り会をするって思ってたはずだけど」
みほ「なんで睡眠薬を用意してきたのかな?」
優花里「えへへぇ、気にしないでください西住殿ぉ。ところで話は変わりますが、この何の変哲もないお茶を飲んでください」
みほ「わあ、ありがとう優花里さん! ちょうど喉が渇いてたの!」
ぎゃあ二重投降。見なかったことに
優花里「」
みほ「さて、優花里さんは眠ってしまいましたが」
沙織「いや、みぽりんが無理やり鼻から紅茶を流し込んだんじゃ……」
麻子「やめとけ沙織。こっちに矛先が向いたらどうする」
華「睡眠薬の効果か、粘膜に熱湯をぶち込まれて気絶したのか微妙なラインですね」
まほ「さっきから思っていたんだが、みほ。友達は選んだ方がいいと思う」
華「下半身丸出しの人に言われたくありません」
みほ「それでは睡眠薬をエリカさんの予測進行ルート……」
みほ「お姉ちゃんのお尻に塗りたくります。ぐっすり作戦です。じゃ、お姉ちゃんちょっとごめんね」
まほ「こそばゆいな……」
沙織「ああ、みぽりんのお姉さんのお尻が真っ白に……」
華「効果のほどは……」
エリカ「……」ズズ.....
みほ「エリカさんの口がお尻を吸いながら白塗りの場所を通った……吸引した筈……1pgでクジラも動けなくなるって瓶には書いてあったけど」
麻子「それが本当なら確実に致死量を吸ったな」
華「さようなら、逸見さん。私、貴女のことが大嫌いでした」
まほ「いや、まだだ。エリカのガッツを甘く見て貰っては困る」
エリカ「……」ズズ.......
みほ「そんな!? 確かに睡眠薬を吸った筈なのに!」
まほ「みほがいなくなってから、黒森峰では不眠不休3日連続インパール行軍を練習メニューに取り入れたからな」
麻子「それは日本軍の作戦じゃないか?」
まほ「とにかく、エリカの根性は睡眠薬程度では抑えきれんというわけだ」
みほ「作戦失敗です。次の作戦に移ります」
沙織「次の作戦?」
みほ「麻子さん、何かないですか?」
麻子「他人頼りか……」
麻子「まあ、いい加減私も帰って寝たいからな。ここは本気を出すか」
沙織「おお、珍しく麻子がやる気だ」
華「深夜のテンションという感じも致しますが……一体何を……」
麻子「というわけで、はい。青酸カリ」 コトリ
沙織「麻子!? 麻子!?」
まほ「みほ、本当に友達は選んだ方がいいぞ」
みほ「まっ、麻子さんはな、なんでお泊り会に青酸カリを……?」
沙織「みぽりんが半泣きだ……」
華「優花里さんの時はノリツッコミする余裕がありましたのに」
みほ「流石に致死毒を盛られるほど嫌われてたらショックだよぅ……」
麻子「勘違いしているようだが、秋山さんとは違って、私は別にこれを西住さんに飲ませようと思って持ってたわけじゃないぞ」
みほ「ほ、本当ですか……?」
沙織「じゃあどうして?」
麻子「ああ。最近そど子がまたうるさくてな。今日差し入れに渡したおはぎに練り込」
麻子「まあ理由なんてどうでもいいだろ」
華「そうですね。いまは逸見さんへの対処が先決です」
沙織「待って!? 聞き逃せないこと言ってたよ!?」
みほ「じゃあ、本当に私に服毒させるつもりは……?」
麻子「あるわけないだろ。その……私も西住さんのことは、友達だと思ってるんだからな」
みほ「麻子さん……!」
華「学友には盛りましたけどね」
沙織「麻子!? 冗談だよね、麻子!?」
みほ「ありがたく使わせてもらうね……それではこれより、作戦第二段階」
みほ「ぽっくり作戦を実行に移します。まずお姉ちゃんのお尻にまんべんなく青酸カリを塗布」
まほ「なあ、私の臀部大丈夫なのかこれ?」
麻子「妙な化学反応をしないとも限らないな……何しろ秋山さんのヤクは出所が分からないし」
華「よく考えたら1pgでクジラを眠らせる薬って、青酸カリよりもよほど猛毒では?」
沙織「ていうかみぽりん! さすがにそれはやりすぎだよ! 逸見さん死んじゃうよ!」
まほ「いや、エリカがこれで終わる筈がない」
沙織「ええっ!?」
麻子「さっきもちょっと思ったんだが、西住さんのお姉さんはどの立ち位置にいるんだ?」
エリカ「……」ズズ...
華「青酸カリと謎の眠剤の混合物を吸ってものともせず……!」
麻子「化け物か」
まほ「みほがいなくなってから、黒森峰では耐毒訓練も始めたからな。毎日少しずつ毒の量を増やして耐性を付けるんだ」
みほ「そんなことやってるの?」
沙織「っていうか、戦車道で毒への耐性をつけてなんの意味があるんだろう……」
まほ「みほがいなくなった腹いせにな。エリカは凄いぞ。うっかり初日から致死量を飲ませてしまったんだが生き延びたからな」
まほ「三日三晩昏睡状態だったが」
華「お尻に吸い付いた犯行動機に日頃の復讐という線が出てきましたね……」
麻子「ルクレールで西住さんにあんな絡み方するのもむべなるかな、という感じだ」
みほ「次の作戦に行きましょう。華さん、アイディアを」
華「思うに、ここまでの作戦が失敗したのは、私達の想いがエリカさんより弱かったのではないかと」
みほ「想い……」
華「薬剤など所詮は化学物質。人の想いが籠っていない物体に、熱い想いで動く人間は止められません」
華「みほさんが見つけた戦車道も、そういうものだったのでは?」
みほ「……! 華さん……ありがとう、私、大切なことを忘れてた……」
沙織「みぽりん、騙されちゃ駄目だよ!」
麻子「で、具体的にはどうするんだ?」
華「そこで私が提案するのはこちら」
華「銃殺です」ゴトッ
沙織「ほらー! ろくでもないー! っていうか人の想いはどこ行っちゃったの!?」
華「これは五十鈴家に代々伝わるもので、不出来な門下生の血をざっと50人分は吸っています」
麻子「確かに想いは籠ってそうだな……とびっきりヘヴィなのが」
みほ「十四年式かぁ。弾倉交換が大変なんだよね」ガシャコンッ
沙織「みぽりんが手慣れた様子でてっぽーを弄繰り回してる……」
麻子「どうせ西住流では古今東西の武器の取り扱いも教えてるんだろう」
まほ「おお、よく知ってるな」
華「はい、みほさん。枕です」
みほ「ありがとう、華さん」
沙織「なんで枕? 寝るの?」
まほ「消音に使うんだろう。五十鈴さんと言ったか? なかなか手慣れてるな」
沙織「知りたくなかった知識がまたひとつ増えた……」
みほ「それでは第三作戦。ばんばん作戦を開始します」
みほ「安らかに(レスト・イン・ピース)、エリカさん――ジャックポット!」
バスッ バスッ
まほ「まあ、当然の如くエリカには通用しないわけだが」
エリカ「……」ズズ...
華「そんな……五十鈴家の歴史を以てしても……」
麻子「五十鈴家は暗殺者の一族だったのか?」
沙織「それより逸見さんは後頭部に実弾撃ちこまれてどうして平然としてられるの?」
みほ「ワニの強靭な皮膚は時としてライフル弾さえストップするといいます」
まほ「エリカめ……身も心もすでにケダモノというわけか……」
沙織「それで納得はできないなぁ、私……」
麻子「それより次は沙織が作戦を考える番だぞ」
沙織「えぇ~私ぃ~?」
みほ「お願いします。もう沙織さんだけが頼りなんです」
沙織「頼られるのが恋愛相談とかだったら嬉しかったけどさ……」
みほ「それはいいです。それより、エリカさんを引きはがす方法を……」
まほ「待て、みほ」
みほ「お姉ちゃん?」
まほ「お前の友達はここまで順調に殺傷力をレベルアップさせてきたからな……」
まほ「その沙織という子は、デイビークロケットとか出してくる気がしてならない。大丈夫か?」
沙織「麻子、デイビークロケットってなに?」
麻子「核兵器の一種だな」
沙織「そんなの持ってないよ!」
華「そうですよ。結婚情報誌で殴り殺すんですよね?」
沙織「しないってば! わ、私はもっとまともな方法でやるもん!」
まほ「ほう? その心は?」
沙織「え、えーと……」
沙織「く、くすぐってみる、とか……あ、あははは」
まほ「……」
みほ「……」
華「……」
麻子「……」
優花里「」
沙織「な……なんでみんな真顔でこっちみてくるの……? そんなに変なこと言った?」
みほ「違うの、沙織さんは悪くないの。ただ……」
まほ「久しぶりに人間に会った気がして、つい」
沙織「じゃ、じゃあ行くよ……こちょこちょこちょ……」
エリカ「……」ズズ...
沙織「こちょこちょ……」
エリカ「……」ズズ...
沙織「こちょこちょ……うう、なんだか恥ずかしくなってきた……でも頑張らなきゃ。みぽりん困ってるんだから……こちょこちょ……」
エリカ「……」ズズ...
沙織「……私、お休みの夜に何やってるんだろう……いつもならお茶でも飲みながらロードショー見てるのに……ひっく、ぐすっ」
エリカ「……」ズ.....
エリカ「……ぷはっ」
みほ「!? エリカさんが離れた!?」
沙織「えっ、本当!? ほんとだ! やったぁ! くすぐりが効いた!」
麻子「いや、それはどうだろう……」
華「どちらかと言えば、良心の呵責に耐えきれなかったと言った方が正確であるような……」
みほ「エリカさんの僅かに残っていた人としての心に訴えかけたんだね……」
まほ「ああ。化け物を倒すのはいつだって人間だということだな」
まほ「ようやく下が履けた……さて、エリカ。答えて貰おうか。何故、私の尻を舐った?」
エリカ「……隊長、戦車道受講者は、みんな頭がおかしいと思いませんか?」
麻子「凄い。核心を突いたぞ」
華「日本人なのに、それぞれの校風にかぶれまくってる人間ばっかりですものね。ダージリンさんとか、大学でもあのキャラを貫くのでしょうか?」
エリカ「中学から戦車道を続けてきて、ようやく分かったんです。戦車道と人道は決して交わることがない道だと」
エリカ「人間性を捨てなければ、戦車道で勝利を掴むことはできない。私は既に戦車道を進み、もう引き返せないところまで来てしまった」
エリカ「……ならば。修羅の道を行くというのなら――とことんまで進もうと。人を捨て、誰にも負けないほどの強さを手に入れようと」
エリカ「だから隊長の尻の穴から西住流のパワーを吸い取ってやろうと思いました」
沙織「ラスボスみたいな語りからとんでもないところに着地したよ!?」
華「ご安心を、逸見さん。すでに貴女は引き返せないところまで進みまくっています」
麻子「私の考えで正解だったじゃないか」
みほ「エリカさん、そんなに思いつめて……」
エリカ「……でも、そんな考えは誤りだったことに気づきました。気づかせて、貰ったんです――その子に」
沙織「……ん? え、私?」
エリカ「ええ。戦車道を進みながらも、人としての輝きを失わない、貴女の心……とても尊いものだと思うわ」
沙織「えーと……喜んでいいやつ、これ?」
エリカ「それを吸収すれば、私はさらなる高みへと至ることができる……」ユラリ
沙織「駄目なやつだった! み、みぽりん助けて! 逸見さんが、逸見さんが肉食獣の様相を見せてるよ!?」
みほ「させません、エリカさん!」
エリカ「へぇ、弱虫の貴女が私の前に立ちふさがろうっての? 友達の為、というわけかしら?」
沙織「みぽりん……」
みほ「沙織さんの人間性は、私が先に目をつけていたんです」
沙織「……んん?」
みほ「そろそろ好感度も溜まった頃合いなので、エリカさんの問題が解決したこの後、お泊り会にかこつけて……」
沙織「ステイ。ステイだよみぽりん。そんな凶悪なこと考えてたわけ!?」
みほ「そうだよ。あの日、沙織さんが私に声を掛けてくれた日から……ずっと、この日のことを思い描いてた。吸うよ、いいね?」
沙織「ひぃ!」
華「待ってください、みほさん!」
沙織「は、華ぁ!」
華「その言葉を掛けられた時、沙織さんの隣には誰がいました?」
沙織「あれあれ、話がまた不穏な方向に進んでるよ?」
華「沙織さんのことは、私がずっと前から狙っていたんです。横入りは、いくらみほさんと言えども看過できません」
麻子「おいおい……横入りというなら五十鈴さんこそだろう。この中で沙織と一番付き合いが長いのは誰だ? 私だ。一番に吸う権利も私にある」
沙織「麻子まで……!?」
みほ「私と沙織さんの友情に時間なんて関係ないよ!」
まほ「うむ、そうだな。関係性の構築に時間は関係ない。だが、だからと言って、みほ。お前がその子の尻を吸っていいということにはならないぞ」
沙織「み、みぽりんのお姉さんはまともだった! 助けてください! 彼氏ができるまでは清い体でいたいんです!」
まほ「まほ、と呼んでくれて構わない。沙織さんと言ったか? 安心してくれ。貴女の尻は誰にも渡さない」
沙織「……んー?」
まほ「そう、時間など関係ないな――沙織さんは西住流が次なる高みに登るのに必要な存在と判断する。私と共に歩んでもらうんだ」
沙織「高みどころかどう考えても転落するよ!? わーん、誰もまともな人がいない! そうか、全員戦車道履修者だ!」
みほ「くっ、お姉ちゃんが敵に回るなんて……」
華「西住流二人が相手。不足はありません」
麻子「時間は関係ない、か……時間を掛けることができなかった負け犬の遠吠えだな」
沙織(……い、いまのうちにこっそり逃げよう……)
エリカ「……シャーーーーーーー!!」
沙織「わ、わああああああ! いつの間にか玄関に伏せてた逸見さんが飛び掛かってきたぁぁぁあ!」
みほ「!? 出し抜かれた……間に合え!」
華「一発必中。外しません」
麻子「最短ルート算出。そこだ」
まほ「西住流は電撃戦においても最強だと知らしめてやろう!」
ぱくっ ぱくっ ぱくっ ぱくっ ぱくっ
沙織「や、や……やだもぉぉおおおおおお!」
この後、目を覚ましたゆかりんがこの光景を見て『なるほど、そういう空気ですか!』とみぽりんのお尻に躍り掛かったところ、みぽりんが文字通り一蹴。
壁を突き破って隣の部屋まで飛んで行ったゆかりさんを見て、隣室の住人が風紀委員を呼んでくれたため、八方丸くおさまりました。
終わりです。依頼して来ます
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