文香「今日はその、本当にありがとうございました・・・」
文P「いや、文香のプロデューサーとして当然の事をしたまでだよ・・・」
文香「そんな・・・」
文P「いや・・・」
ありす(文香さんと文Pさんが仲良くお話している・・・しかし、ボディタッチの一つもない)
ありす(おそらく二人は両想い。だというのに、全く進展が見られない)
ありす(仕方がありませんね・・・これも文香さんのため。ここは私が二人の橋渡しとなりましょう)
ありす「文Pさんが文香さんのこと好きだって言ってましたよ」ヒソヒソ
文香「!?」
ありす「文香さんが文Pさんのこと好きだって言ってましたよ」ヒソヒソ
文P「!?」
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ありす(ふぅ・・・これでお二人の仲は急接近からのお付き合いで間違いないでしょう。我ながらいい仕事をしたものです)
一週間後
文香「・・・ですので・・・」
文P「うん・・・それじゃあ」
ありす(おかしい・・・二人の仲が全く進展していません)
ありす「文香さん。あれから文Pさんと何かありましたか?」
文香「?何か・・・?」
ありす「告白したり、されたり」
文香「こ、告白・・・っ、あ、ありませんよ。そんなこと」
ありす「何故です!二人は両想いだと伝えたではありませんか!さっさと告白してお付き合いすればよろしいのに!」
文香「そ、それはありすちゃんの勘違いでは・・・?プロデューサーさんが私の事を好いてくれているだなんて・・・」
ありす「私の言うことが信じられないと・・・?」ムッ
文香「そういう訳では・・・ですが、その・・・」
ありす「・・・もういいです!別の方法を考えます!」ダッ
ありす「というわけで、美嘉さん。どうかご助言を」
美嘉「・・・何でアタシ?」
ありす「美嘉さんは恋愛に関しては百戦錬磨のカリスマギャルですので」
美嘉「あ、あー、うん!そうだね!そうだよ!」
ありす「それに、文香さんと名前が似てますし」
美嘉「何その決め方」
ありす「・・・あっ、いえ、別に美嘉さんを『腑抜け』と言いたい訳では・・・」
美嘉「何その余計なフォロー」
美嘉「うーん。文香ちゃんも文Pさんも奥手だからねぇ。本人に進展しようとする意志がないと・・・第三者がどうこうってのは難しいかな」
ありす「そこをなんとか」
美嘉「そうだなぁ・・・まず、二人の意識改革が必要だよね。この人ともっと仲良くなりたいって思わせれば・・・」
美嘉「お互いの好きって気持ちを強くすればいいんだよ。だから、デートをセッティングしてあげるとかどうかな?」
ありす「なるほど・・・!ありがとうございます!」
ありす「文香さん!次の休日、一緒にお出かけしませんか!」
文香「はい。では、予定を開けておきますね・・・」
文香「ありすちゃん。この映画はどうでしょう」
ありす「いいですね!」
ありす「このパフェ美味しいですね!」
文香「はい、とっても・・・」
ありす「何かおすすめの推理小説とかありますか?」
文香「そうですね・・・私がありすちゃんくらいの歳の頃には、これを・・・」
ありす「買います!」
文香「それでは・・・」
ありす「はい!また明日、事務所で・・・」
ありす(はぁ。今日は文香さんとお出かけ。楽しかったなぁ・・・)
ありす「・・・あっ」
ありす「美嘉さんの案は駄目でした・・・全くもう・・・」
美嘉「これアタシが悪いの?」
ありす「というわけで、奈緒さん。どうかご助言を」
奈緒「・・・何であたし?」
ありす「最初は凛さんに聞いてみたのですが、『恋愛事なら少女漫画をいっぱい持ってる奈緒に聞いた方がいいよ』とのことで・・・」
奈緒「あいつ、また適当なことを・・・」
ありす「ご助言を」
奈緒「うーん。漫画って考え方なら、やっぱり何かきっかけがないとな」
奈緒「ヒロインとヒーローがくっつくっていうのは少女漫画における最大のイベントなんだから、やっぱりそれ相応の事件が必要だと思う」
ありす「事件・・・具体的には、どういう・・・」
奈緒「そうだなぁ、あたしが最近読んだやつだと、まずヒロインが攫われて・・・」
ありす「なるほど。それで行きましょう」
奈緒「えっ、マジでやるの?」
ありす「文香さん。ちょっとこっちに来てください」スタスタ
文香「はい・・・?」ノコノコ
ありす「この部屋へ」ガチャッ
文香「はい」スッ
ありす「この椅子へ」サッ
文香「はい」スッ
ありす「手を後ろに」
文香「はい」スッ
ありす「えいっ」ガチャンッ
文香「!?」
奈緒「ちょろっ。心配になるなぁもう」
ありす「文香さんは預かりました・・・返して欲しくば、ここに来てください・・・送信」ポチッ
文P「文香ーっ!」ズサァァ
奈緒「早い」
文P「た、橘さん!文香を返してくれ!」
ありす「文香さん。このページのヒロインの台詞を朗読してください」
文香「えっと・・・『どうしてここまでしてくれるの?どうして、私なんかのために・・・』」
奈緒(漫画通りなら、ここでヒーローが愛の言葉を・・・)
文P「そ、それは・・・」
文P「もうすぐ文香の出る番組のロケが始まっちゃうから・・・」
ありす「な、何ですって!?文香さんのアイドル覇道に間違いがあってはいけません!すぐに開放します!」ガチャンッ
奈緒「アイドル覇道って何だよ」
文P「急ごう。文香」タッ
文香「は、はい!」タッ
ありす「・・・」
奈緒「・・・」
ありす「奈緒さんの案も駄目でした・・・全くもう・・・」
奈緒「これあたしが悪いのか?」
ありす「というわけで、プロデューサーさん。どうかご助言を」
ありすP(以下あP)「俺に聞いちゃうかぁ」
ありす「ご助言を」
あP「ご助言を。つってもなぁ。プロデューサーとして立場からは、アイドルは基本恋愛禁止としか言えないっていうか・・・」
ありす「そこをなんとか」
あP「うーん。ばれなきゃ合法だし・・・二人っきりの場を作ってあげるとか?」
ありす「なるほど」
ありす「文Pさん。ちょっとこっちへ来てください」
文P「うん?」ノコノコ
ありす「この部屋へ」ガチャッ
文香「あっ、プロデューサーさん」
文P「文香。どうしてここに?」
ありす「ごゆっくりぃっ!」シュバッガチャッ
文香「!?」
文P「!?」
ありす「仮眠室へ閉じ込めてきました」
あP「何で誇らしげなんだ」
あP「なぁ・・・ありす。やっぱりこういうのは良くないと思うぞ?第三者が無理矢理に・・・なんて」
ありす「これでいいんですっ!文香さんほど人間の恋が、叶わないなどあってはならない事なんです!」
あP「信者だなぁ」
ありす「人生は有限です。文香さんは今まで19年も恋人がいない人生を送ってきました」
ありす「折角、ようやく運命の人と巡り会えたのですから、すぐに付き合わねばもったいないじゃないですか!」
あP「うーん、まぁ、そういう考え方もあるんだろうけどさ。逆に言えば、一回付き合ったらその前にはもう戻れなくなるんだぞ?」
あP「付き合う前の、もどかしくも楽しい距離感も、それを徐々に縮めていく嬉しさも、二人だけの物なんだ」
あP「それを俺たちが勝手に奪ってよいのだろうか?」
ありす「う・・・ですが・・・」
あP「・・・なぁに。付き合わないでじゃれつくっていうのも、中々良いもんだよ」
あP「というか、そんな心持ちじゃないと、後4年も待てないよ俺は。・・・ありすはそう思わないか?」
ありす「・・・鍵、開けてきます」
あP「うん。それがいい」
ありす「すいません、鍵を開けたのでもう・・・」ガチャッ
文香「あっ」スッパダカ
文P「えっ」スッパダカ
ありす「・・・」
ありす「ばたん」キュウ
美嘉「えー・・・被告は鷺沢文香、文Pの両名の情事を覗くように、被害者、橘ありすを教唆したとして・・・」
奈緒「判決、懲役4年」コン
あP「これ俺が悪いの?」
-終わり-
以上になります。
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