女「ん。またね」男「ん。またあした」 (107)


高校
屋上


女「あ、いた」

男「よ」

女「またサボってる」

男「うん」

女「いつもいるね」

男「自習だから」

女「またまた」

男「たまにはいい」

女「いつもでしょ」


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男「まぁね。女は?」

女「つまらなくてさ」

男「自習?」

女「ううん」

男「そっか」

女「何してたの?」

男「なんも」


女「ぼーっと?」

男「ん。空見てた」

女「考えごと?」

男「ううん」

女「ただ空見てたの?」

男「そうだよ」

女「変わってるね」


男「瞑想っていうらしい」

女「めいそう?」

男「そう」

女「空を見るのが?」

男「ううん。あたま空にすること」

女「ふーん」


男「興味なさそう」

女「っていうか」

男「?」

女「私いつもだよ」

男「すごいね」

女「そうかな」

男「簡単じゃないよ」

女「うーん」


男「あたーま空っぽのほーおが」

女「ゆーめつめこめるー」

男「そういうこと」

女「いつもしてるの?」

男「うん」


女「それじゃモテないよー」

男「モテなくていい」

女「どして?」

男「面白くないよ」

女「モテるのが?」

男「そうだよ」

女「変わってるね」


男「分かるよ」

女「なにが?」

男「モテてみれば」

女「うぬぼれさん」

男「なんとでも」

女「友達減るよ?」

男「いいよ」


女「なんで?」

男「無理したくない」

女「無理してるの?」

男「無理に相手に合わせると」

女「と?」

男「つかれない?」

女「つかれるー」


男「だから合わせない」

女「だいじょぶなの?」

男「付き合う人が限られるけど」

女「でしょ」

男「素の自分だから」

女「うん」

男「楽なんだよ」


男「孤独も大事」

女「うーん」

男「さびしい?」

女「さびしいよ」

男「たいくつ?」

女「退屈だよ」


女「孤独が増えても?」

男「孤独も大事」

女「うーん」

男「さびしい?」

女「さびしいよ」

男「たいくつ?」

女「退屈だよ」


男「それって大事」

女「たいくつが?」

男「さびしさも」

女「えー」

男「俺はそう思うよ」

女「ふーん」



女「この次でる?」

男「出ない」

女「単位へいき?」

男「留年はしないよ」

女「もうかえるんだ?」

男「女は?」

女「私は出ようかな」

男「ん」


女「明日も喋れる?」

男「もちろん」

女「良かった」

男「ん。それじゃ」

女「あ、うん。バイバイ」



次の日
廊下


女「あ」

男「よ」

女「サボり魔」

男「あーたも」

女「今日も?」

男「わからん」


女「ね」

男「?」

女「お昼一緒に食べない?」

男「2人で?」

女「だめ、かな」

男「あーんしてくれるの?」

女「してほしいの?」


男「できれば」

女「じゃあ…」

男「じょーだん」

女「あ、そ」

男「MJのほう」


女「MJ?」

男「23番」

女「?」

男「シカゴ・ブルズ」

女「ああ。バスケの神様ね」

女友「女〜」

女「ん」

男「?」

女「行くね」

男「ん」


テクテク

女友「今のだれ?」

女「B組の男くん」

女友「ともだち?」

女「サボり仲間」

女友「ふーん」

女「まえ屋上に抜け出したら」

女友「うん」

女「先にいたの」


女友「そこから?」

女「うん」

女友「話したり?」

女「そう」

女友「なに話すの?」

女「うーん」


女友「?」

女「特に憶えてないなぁ」

女友「なにそれ」

女「でも不思議で」

女友「なにが?」

女「楽なの。話してると」

女友「男くんと?」


女「そう」

女友「ふーん」

女「自然な感じ、でも」

女友「でも?」

女「不思議な感じ」

女友「ふーんふーん」ニヤリ


女「…なに?」

女友「せいしゅん」

女「なのかなぁ」

女友「それ以外の何ものでもないわっ」ツッコミ

女「いてて」




購買


女「よ」

男「お」

男「今日は2回目だな」

女「そうだね」

男「向こうのベンチにしよう」

女「あ、うん」


男「いただきます」

女「いただきます」

男「それ手作り?」

女「はんぶんね」

男「たこウインナーは?」

女「これはお母さん」


男「きれいな卵焼きは?」

女「これは私」

男「うまいね」

女「ありがと」

男「」パク

女「」パク

男「」パク


女「…」

男「?」

女「あんなに授業さぼって怒られないの?」

男「怒られる」

女「へいきなの?」

男「なれたよ」


女「テストは?」

男「答えがあるから、へいき」

女「どうして?」

男「覚えればいいから」

女「そうは言ってもさ」

男「赤点を超えればいい」

女「大学行かないの?」


男「わからん。女は?」

女「私は行きたいな」

男「狙ってるところある?」

女「うん」

男「どこ?」

女「んー、実は迷っててさ」


男「そうなんだ」

女「あ」

男「?」

女「いいこと思いついた」

男「なに?」


女「大学見に行こうよ」

男「俺と?」

女「そ」

男「あ、そう」

女「だめかな」


男「良いよ。行ったことないし」

女「ありがとう」

男「今から行く?」

女「え?」


男「着替えてさ」

女「え、入れるかな?」

男「誰も気にしないよ」

女「でも」

男「授業出る?」


女「うん…美術だから出たいの」

男「いーね美術」

女「男は次なに?」

男「現代文」

女「出るの?」


男「行かないなら。好きだし」

女「じゃあ日を改めよ?」

男「ん」

女「いつがいい?」

男「週末かな」


女「そうだね」

男「予定分かったら伝える」

女「ん。あ」

男「?」

女「連絡先教えて?」


男「家電でいい?」

女「えー」

男「ケータイ持ってないんだわ」

女「うそでしょ?」

男「マジで」


女「なんで?」

男「わずらわしいから」

女「え、じゃあ」

男「MJ」

女「ばかやろう」


男「すまん」

女「もう」

男「じゃあ番号言うよ?」

女「え、ちょっと」 スッ

男「いい?」


女「はい」

男「090○●◎○0105」

女「LINEやってる?」

男「ううん」

女「じゃあアドレスも」


男「番号に送る。女の」

女「分かった。じゃあ言うよ?」

男「ん」

女「090丸円団圓0705」

男「ありがと。いま送る」

女「ん」




キーンコーン…

女「もう授業か」

男「早いな」

女「うん。あのさ」

男「ん?」


女「あーん、してないけどいい?」

男「じゃあ、次にとっておくよ」

女「ん」

男「卵焼きで」

女「はーい」



5限目
美術室

紙ヤスリ
シコシコシコシコ…


女「♪〜」

女友「ずいぶん機嫌いいね」

女「そうかな?」

女友「男くん?」


女「んー」

女友「やっぱり」

女「いつもとあんまり変わらないよ?」

女友「あんまりね〜」

女「…」


女友「ごめん。じょーだん」

女「キングオブポップ」

女友「?」

女「…なんでもない」


女友「昼はどうだった?」

女「みてたの?」

女友「みーんなね」

女「え」

女友「そりゃ男女が2人でいればね」

女「そっか」


女友「で、どうだった?」

女「今度大学見に行こうって」

女友「2人で?」

女「そう」

女友「それは、デートね」


女「そんな感じかな」

女友「連絡先は?」

女「聞いたよ」

女友「よし」

女「?」


女友「成立まであと少し」

女「んー」

女友「そんな気ないわけないでしょう?」

女「まぁ、ね」

女友「?」


女「なんだか」

女友「ん」

女「もっと喋ってみたいな」

女友「ふむふむ。あとは?」

女「あとは、っていうか知りたいんだと思う」


女友「男くんを?」

女「そう」

女友「『そうかい』」

女「?」

女友「『…お嬢ちゃん、そりゃ『恋』だぜ』」

女「ん」


女友「…何だか冷めてるねぇ」

女「安心してるの」

女友「なにに?」

女「…わからない。けど」


女友「けど?」

女「不安でもある」

女友「男くんが不安?」

女「ううん…自分に、かな」

女友「あんた」


女「ん?」

女友「あんたは可愛い。可愛いし気も利く。性格もいい」

女「ん」

女友「自信を持っていいのよ」

女「ありがと」


女友「珍しいね」

女「?」

女友「女がこんな風になるなんて」

女「そうかな?」


女友「だって先輩に告白された時は」

女「ん」

女友「もっと冷静だったし」

女「そりゃね」

女友「本気なのね」


女「…たぶん」

女友「たぶん?」

女「今は…もっと会ってみたい」

女友「なら、一緒に帰ってみたら?」

女「そうね」

女友「聞ける?」


女「うーん」

女友「手伝おうか?」

女「いい。聞く」

女友「力強い返事」

女「ういーっす」

女友「頑張ってね」

女「ありがとう」



B組

汚れっちまった悲しみに…


男「」ブーッ

男「?(…女から)」

女『女です。きょう一緒に帰りませんか?』


男「(あれ?…なんだこの気持ち…初めて、だ)」

男『男です。そうしよう』

女『ありがとう。どこで待ってればいいですか?』


男『こちらこそ。終わったら昼のベンチに』

女『分かりました。そこで』

男『…敬語やめませんか?』


女『そうだね。男も』

男『うん。部活とかないの?』

女『ないよ。男は?』

男『ないよ。ならあとで』

女『うん。あとで』



キーンコーン
放課後
ベンチ


女「おまたせ」

男「ん」

女「もう行く?」

男「少し座ろう」

女「ん」


男「お誘いありがとう」

女「え、こちらこそ」

男「?」

女「そういうこと言うんだ」


男「礼儀だよ」

女「もっと柔らかくていいよ」

男「なんかちょりーっす。帰ろうぜぇー」

女「…」

男「これでいい?」


女「ぷっ」

男「?」

女「やりすぎじゃない?」ハハハ


男「ういー。今日まじパネェっす!」

女「お腹痛いから止めて」ハハ

男「どっちがいい?」

女「さいしょの」ハー

男「ん」


女「じゃあ私も」

男「?」

女「ありがとう」

男「柔らかいと?」


女「っていうか今日マジあざーっす!」

男「やりすぎだな」ハハ

女「ちょっと恥ずかしいね」

男「ん」


足プラーン

女「夕陽だね」

男「雲がきれいだ」

女「ああいうの好き」

男「?」


女「雲から光がこぼれてるやーつ」

男「えあの雲から光がこぼれてるやーつ?」


女「そうあの雲から光がこぼれてるやーつ」

男「うんきれいあの雲から光がこぼれてるやーつ」

女「ね好きあの雲から光がこぼれてるって」

女「なげぇよっ!」

男「ぷっ」


男女「「あははは」」


女「少し古いかな」

男「ん」

女「ハライチmeetsさまぁーずさんっぽかったね」

男「うん」


女「お笑いって難しそう」

男「やるなら漫才?」

女「そうだね」



男「帰ろう」

女「うん」

男「最寄りどこ?」

女「○○駅」


男「隣だ」

女「え○●駅?」

男「そう」

女「よく会わなかったね」


男「1回見たことある」

女「えー」

男「?」

女「それは声をかけるべき」


男「入学初日に?」

女「いいと思う」

男「『ちょりーっす』って?」

女「今ごろ喋ってないか」

男「うん」


女「電車は何時に乗ってるの?」

男「今は自転車なんだ」

女「そっか。どれくらい?」

男「30分もないよ」

女「そうなんだ」



テクテク

男「さっきのさ」

女「?」

男「雲からこぼれてるやーつ」

女「ん」


男「あれ『天使の梯子』っていうらしいよ」

女「あらロマンチック」

男「な」

女「天に召されちゃう」

男「その梯子だね」


女「でも今どきは」

男「?」

女「エスカレーターかも」

男「はは。だね」



女「今日は自転車じゃないの?」

男「そんなとこ」

女「じゃあいいタイミングだったんだ」

男「ん」

男友「おーい」


女「?」

キーッ

男友「男、チャリまじ助かるわ!」

男「うい」

男友「明日返すから!んじゃな!」

スーッ


男「ほんといいタイミング」

女「ふふっ」

男「まぁ、そんなとこ」

女「ありがとう」

男「いいよ」



電車

男「…」

女「…」

車掌「ダァシエリヤス」

プシュー

ガタンゴトン


女「こういうとこじゃ」

男「?」

女「あんまり喋らないんだ?」

男「あんまり」


女「人ごみが苦手?」

男「うん」

女「そうなんだ」

男「でも普段からだよ」


女「あんまり喋らないの?」

男「うん」

女「どうして?」

男「どうしてかな」

女「分からない?」


男「うーん。たぶんさ」

女「?」

男「必要ないんだと思う」

女「あはは、きっとそうだね」


男「女は人ごみ得意そう」

女「んーん。そんなことない」

男「そうなの?」

女「うん。私もそんなに」


男「インドア?」

女「はんはん」

男「そっか」

女「インドア?」

男「半々だね」

女「ん」


車掌「次は〜○○〜次は〜○○〜」


女「…」

男「…」

女「あしたもさ」


男「ん」

女「しゃべれる?」

男「ん」

女「安心した」


男「そう?」

女「ん。彼女っている?」

男「いないよ」


女「どうして?」

男「さぁ?」

キーッ プシュー

車掌「○○〜○○〜です」


女「行かなくちゃ」

男「ん」

女「メールしてい?」

男「いいよ」


女「ん。またね」

男「ん。またあした」


プシュー




恋のはじまり
おわり


いったん完結です。
続きは新しいスレを立てる予定です。

レス、ご愛読、ありがとうございました。

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