美優「秘書と」留美「OLと」 (63)

美優さんと留美さんが同じ会社で働いてたら……というお話です
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会社 昼休み 食堂

美優「はぁ……」カチャカチャ

留美「どうしたの、ため息なんかついて」

美優「あっ、いえ……」

留美「前、失礼するわね」ガタッ

美優「どうぞ」

留美「それでため息ついてたけどどうしたの?」

美優「それが……私、大学を卒業してから流されるように生きてきて……これでよかったのかな……なんて思うようになって……」

留美「うんうん」

美優「あっ、すいません。初対面の人にこんな……」

留美「いいのよ、身近な人には言いにくいことだってあるでしょ?」

留美「私、和久井留美。この会社で秘書をやってるわ」

美優「三船美優です。私はただのOLですけど……」

留美「ふふっ、よろしくね」

美優「はい、よろしくお願いします」

美優「ちょっとだけですけど吐き出したら楽になった気がします」

留美「それはよかったわ」

美優「では、私は食べ終わったのでここで……」

留美「待って。もしよかったらこれから時間が合う時一緒に食べない?」

留美「いつも1人で暇してたの」

美優「私でよければご一緒させて頂きます……こちらこそよろしくお願いします」

留美「ええ、よろしくね」

翌日 昼休み

留美「美優さん、こっちこっち」

美優「あっ、どうも」

留美「今日もおつかれさま」

美優「まだ午前中しか終わってないですけどね……」

留美「そっちのお仕事はどう?」

美優「別に……なんというかいつも通りです。そっちの仕事はどうですか?」

留美「こっちはもう大変よ。社長が仕事を押し付けてきてね……」

美優「そうなんですか……大変ですね……」

留美「まあ、その分やりがいもあるわね。仕事が趣味とでもいうのかしら」

美優「こっちはいつも同じ日常の繰り返しなのでちょっと憧れます……」

留美「美優さんも秘書やってみる?」

美優「私に秘書なんてそんな……!」

留美「なんてね。冗談よ。」

美優「もうっ……」

留美「そろそろ時間だし行きましょうか」

美優「そうですね。これからもうひと頑張りです」

留美「お互い頑張りましょうね」

美優「はい……!」

美優(……それから留美さんと一緒にお昼を食べる生活が始まりました)

美優(ただの日常の繰り返しに色がついたような……留美さんとの日々はそんな生活してでした)

美優(休みが合わないこともあってプライベートで会うことはなかったけれど留美さんの存在は私の中でだんだん大きくなっていきました)

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美優「……」カタカタ

美優(やっぱり残業はしんどいなぁ……)カタカタ

美優「……」カタカタタ-ン

美優「ひと段落したし、飲み物でも買ってこようかな……」

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自販機コーナー

美優「……」ウ-ン

留美「美優さん?」

美優「あっ、留美さん。お疲れ様です」

留美「お疲れ様。美優さんも残業?」

美優「はい。今日はやることが多くって……ひと段落したからちょっと休憩しようかなって」ポチッ ガタン

留美「私もよ。まったく……残業は大変よね」ポチッ ガタン

ゴクゴク

美優「ふぅ……」

留美「……美優さんは1人で残業?」

美優「はい……私、仕事遅くって……」

留美「1人だったらそっちにいってもいいかしら。軽く雑談しながら仕事しましょ」

美優「それはいいんですが……大丈夫なんですか?」

留美「私は秘書って仕事上いつも1人だし、仕事はノートパソコンだからどこでもできるの」

美優「だったら是非。私も1人だとあんまり捗らなくて」

留美「決まりね。パソコン取ってくるから先に戻ってて」

美優「わかりました」

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美優「それで~」カタカタ

留美「ふふっ、そんなことがあったのね」カタカタ

美優「あっ、私、終わりました」

留美「お疲れ様。私はまだ残ってるから先に帰ってていいわよ」

美優「でも……」

留美「いいのよ。疲れてるでしょ?」

美優「それじゃあ失礼します。頑張ってくださいね」

留美「ええ、お疲れ様」

美優「お疲れ様です」

ーーーーーーーーーーーー

留美「……」カタカタ

留美「ふぅ……」

美優「お疲れ様です、留美さん」

留美「美優さん?帰ったんじゃ……」

美優「留美さんだけ残るのも悪いなと思って……ちょうどなくなったみたいだし、飲み物も買ってきました。どうぞ」コトッ

留美「ああ、ありがとう。別に1人で残業なんてよくあることだし、別に良かったのに」

美優「私が良くないんです」

留美「そ、そうかしら……」

美優「それに、私も今日の分が終わったっていうだけで明日の分もありますから……」

美優「私は仕事が遅いですし、前もってやっておくのもいいかなって」

留美「ふふっ、じゃあまた話しながらお仕事しましょ?」

美優「はい……!」

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留美「あーもうイライラする!」ツカツカ

留美「ほっんとあのセクハラ社長は……」ブツブツ

美優「あっ、留美さん。今帰りですか?」

留美「美優さん……ええ、そうよ」

美優「……何かあったんですか?」

留美「仕事でちょっとね……秘書って私1人だから何かと抱え込んじゃうことが多くって」

美優「私でよければ話聞きますよ?」

留美「しょうもないことだし別にいいわよ……」

留美「あっ、そうだ。今から時間ある?」

美優「今から帰るところなのでありますよ」

留美「だったら行きたいところがあるの。話聞くかわりに一緒に行かない?」

美優「はい……!是非……」

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バッティングセンター

留美「ここよ」

美優「ここは……バッティングセンター?」

留美「そうよ。ストレス発散によく来るの」

美優「そうなんですか……すみません、私、こういうところに来たことなくて……」

留美「まあ、来たことある女性も少ないわよね」

留美「私は打つのヘタだけど空振りするだけでもいいストレス発散になるわよ」

美優「そうなんでしょうか……」

留美「そういうものよ。まず、私が打ってみるからみてて頂戴」

美優「わかりました」

留美「よし……」チャリン

ビュン

留美「ふんっ!!!」バシィ-ン(空振りの音)

美優「留美さん!?」

ビュン

留美「んっ!!!」バシィ-ン

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留美「ごめんなさい。見苦しいところ見せちゃったわね」

美優「それはいいんですけど……あんなに大声だすと他の人の迷惑になったりしないんでしょうか……」

留美「それなら大丈夫よ。ここに来る人は少ないし、それに……」

客「おっ、和久井さん!今日もいい空振りだったよ!」

留美「ふふっ、ありがとう。貴方もかっ飛ばして頂戴」

客「おうともよ!……ん?和久井さん、隣の嬢ちゃんは?」

美優「あ、あの三船美優と申します。嬢ちゃんっていう年でもありませんが……」

客「ガッハッハ!俺からしたら若い子みんな嬢ちゃんよ!三船さんね、よろしくな!」

美優「はい、よろしくお願いします」

客「よしっ!それじゃ、かっ飛ばしてくるかぁ!」

留美「……お客さんも店員さんもいい人ばかりだから」

美優「そうですね……」

留美「美優さんも打ってみたら?」

美優「でも……私、バットなんて持ったことないですし……」

留美「大丈夫よ。私もバット持ったの社会人になってからだもの」

美優「それじゃあちょっとだけ……」

留美「あそこからボールが出てくるから思いっきり振っちゃいなさい」

美優「わかりました」

ビュン

美優「え、えい!」スカッ

留美「そんな遠慮したスイングじゃダメよ。当たらなくていいから思いっきり振るの」

美優「は、はい……」

留美「くるわよ!」

ビュン

美優「や、やあぁぁ!」バシィ-ン

留美「いいわよ!その調子!」

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美優「はぁ……はぁ……」

留美「いいスイングだったわよ」グッ

美優「一球も当たりませんでしたけどね……」

美優「でも、なんだかスッキリしました」

留美「でしょう?それに、そのうち当たるようになってくるわよ」

留美「私ももう一回打ってこようかしら」

美優「頑張ってくださいね」

留美「ええ……」チャリン

美優(今日は留美さんの意外な一面を知ることが出来ました……)バシィ-ン

美優(あの、完璧な留美さんでも出来ないことがあるなんて……ちょっぴり嬉しいです)バシィ-ン

美優(いいストレス発散になるし、私もたまにこようかしら……)バシィ-ン

美優(それにしても、こんなに打てないものなんでしょうか……)カツン

美優(あ、当たった)

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留美「はぁ……」

美優「どうしたんですか?」

留美「昨日の夜、テレビを見てたの」

美優「ええ」

留美「それで私のよく聞いてる曲が懐メロで紹介されてて……」

美優「それは……」

留美「私ももう若くないのね……」

美優「ちなみになんていう曲ですか?」

留美「〇〇っていう曲よ」

美優「〇〇ですか?それだったら私もよく聞きますよ」

留美「本当に!?美優さんが聞いてるんだったらまだまだ今風の曲ね!あのテレビ番組が間違ってたのよ!」

美優「でも私……留美さんと同い年……」

留美「~♪」

美優(まあ、楽しそうだからいいかな……)

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昼休み

留美「おまたせ」

美優「いえ、私も今さっき来たところです」

社員1「……」ジ-

社員2「何見てるんだお前……って和久井さんと三船さんか」

社員1「急に話しかけてくんなよ。びっくりするだろ」

社員2「びっくりするってさっきからずっと一緒にいたじゃん。お前こそあの2人見過ぎじゃねーの?」

社員1「だってしょうがないだろ?」

社員2「まあ、気持ちはわかるけどな。2人とも、昔は表情固かったのに、2人で話すようになってからよく笑うようになった」

社員1「元から可愛かったのに、ファンが増えそうで心配だよ」

社員2「ファンってなんだよ、アイドルじゃあるまいし……それで、お前はどっち派?」

社員1「どっち派って?」

社員2「和久井さんか三船さんだよ」

社員1「うーん、迷うところだけど和久井さんかなぁ」

社員2「俺は三船さんだ。あの守ってあげたくなる感じがたまらん」

社員1「それはわかるけど、俺は和久井さんのあの、仕事ができるっていうオーラがいいなぁ」

社員2「なんだそれ」

社員1「それでいて、2人っきりになったら甘えて来たりするんだよ」

社員2「……いいな、それ」

社員1「だろ!?」

ーーーーーー

留美「なんだか盛り上がってるわね」

美優「ふふっ、そうですね……何話してるんでしょう……」

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バッティングセンター

美優(あれから何回か留美さんときてすっかりハマってしまったバッティングセンター……)

美優(ついに1人できちゃいました……)

美優(留美さんは忙しそうですし、1人でも別にいいですよね……)

美優(えっと確かこうでしたよね)チャリン

美優「よしっ」

パシュ

美優「んっ」スカン

パシュ

美優「えいっ」カツン

美優「当たった……!」

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美優「ふぅ……」

美優(なんとかバットには当たるようになってきたけど……どうしたらもっと当たるのかな……)

客「おっ、三船さん……だっけ?1人?和久井さんは?」

美優「あっ、あのときの……今日は1人です」

客「おお、そうかそうか。三船さんももうここの常連だもんな」

美優「常連なんてそんな……」

美優「あっ、そうだ。おじさんって打つの上手ですよね」

客「だろう?これでも高校時代は大活躍だったんだぜ」

美優「私も上手に打てるようになりたくて……もしよろしければ打ち方を教えてもらえないでしょうか……」

客「おお、いいよいいよ!」

客「まずは足の幅は~」

ーーーーーー

客「だいたいこんなところだな!」

美優「よしっ、じゃあ行ってきます!」

客「頑張れよ!」

美優「よーし……」

パシュ

美優「えいっ!」カキン

美優「やった!いい当たりです!」

客「いいぞ!しっかり打ててる!」

留美「あっ、おじさん。こんばんは」

客「おっ、和久井さんも来たのか!」

客「見てくれよこの三船さん!めちゃくちゃ上手になってるぜ!」

留美「え?」

ーーーーーー

美優「ふっ!」カキ-ン

ーーーーーー

留美「えっ、めちゃくちゃ当たってるし飛んでるじゃない……」

客「だろう?俺がちょっと教えただけでこうなったんだからもともと筋がいいんだろうなぁ」

留美「……おじさん」

客「ん?どうかしたか?」

留美「私にも教えてくれるかしら」

客「和久井さんもか。どうしたんだ急に」

留美「私だって……私だって打ちたいのよ!」

留美「思いっきり空振りするのもいいけど……出来るならホームランが打ちたいの!」

客「三船さんだけに教えるっていうのも不公平だからな。よーし、教えてやるよ!」

留美「感謝するわ」

美優「あっ、留美さん!来てたんですね」

留美「ええ。それより、今の見てたわよ」

美優「え?あっそうだ。私、おじさんのお陰でそれなりに打てるようになったんです!」

留美「負けないわよ」

美優「え?」

留美「私の方がバッティングセンターの先輩なんだから負けるわけにはいかないの」

美優「別に勝負とかじゃ……」

留美「いえ、これは戦いよ。それでおじさん。教えてもらえるかしら」

客「あ、ああ。まずは~」

ーーーーーー

しばらく後

留美「えいっ!!!」バシィ-ン

客「こりゃダメだ……力みすぎてフォームが崩れてる……」

美優「なんだか可愛いですね……ふふっ」

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美優「はぁ……」

留美「またため息ついちゃってどうしたの?」

美優「あっ、いえ、なんでもないです……」

留美「気にしなくていいのよ。それで、どうしたの?」

美優「じゃああんまり気分のいいお話じゃないかもしれませんが……」

美優「その……今の私の部署、凄く忙しくて仕事が多いんです」

美優「それで仕事の押し付け合いみたいなことが起きて……」

留美「うんうん」

美優「知っての通り、私は流されやすい性格ですから断ることも出来ず……」

美優「こんな、流されたままでいいのかなぁ……って思ってしまって」

留美「そうね……」

留美「やっぱり自分の仕事を押し付けることはダメだと思うわ」

留美「でも美優さんもしっかり断らないきゃいけないわよ」

美優「でも……強く言われると断れなくて……」

留美「私が思うに美優さん」グイッ

美優「な、なんでしょう」

留美「貴方、もっと自信を持つべきよ」

美優「で、でも私……仕事が特別出来るわけでもないですし、ルックスも整ってるわけじゃないですから……」

留美「何言ってるのよ。貴方は十分魅力的よ」

美優「そうなんでしょうか……」

留美「そうそう。自分に自信を持てれば周りに流されずにしっかり自分を保つことが出来ると思うわ」

美優「……やっぱり留美さんは凄いですね」

留美「……そんな、一般論よ」

美優「私、頑張ります!」

留美「ええ、すぐには難しいかもしれないけどこういうのは日々の心がけよ」

留美「あっ、そうそう。次の日曜日空いてる?」

美優「空いてますが……留美さんもお休みですか?」

留美「そうよ。せっかくだしどこか出かけない?」

美優「わかりました」

美優「なんだかんだ休みが合わなくて一回も休みの日に会ったりしたこと無かったので……楽しみです」

留美「帰りに何回もバッティングセンターに行ったけどね。私も楽しみだわ」

留美「それじゃ、駅前のカフェで待ち合わせね」

美優「はい、わかりました」

日曜日 カフェ

留美「ごめんなさい。待ったかしら」

美優「いいえ、私も今さっき来たところですよ」

美優「留美さんも何か飲みますか?」

留美「ああ、だったらコーヒーを……」

ーーーーーーーーーーーー

美優「ということがあって……」

留美「へぇ……」

留美「ってやってることいつもの昼休みと変わらないじゃない!」

美優「確かにそうですが……私はこれでも十分楽しいですよ?」

留美「それは私もだけど……」

日曜日 カフェ

留美「ごめんなさい。待ったかしら」

美優「いいえ、私も今さっき来たところですよ」

美優「留美さんも何か飲みますか?」

留美「ああ、だったらコーヒーを……」

ーーーーーーーーーーーー

美優「ということがあって……」

留美「へぇ……」

留美「ってやってることいつもの昼休みと変わらないじゃない!」

美優「確かにそうですが……私はこれでも十分楽しいですよ?」

留美「それは私もだけど……」

留美「ってダメダメ。行くわよ」

美優「行くって……どこにですか?」

留美「この前、美優さんはもっと自信をつけるべきだって話したじゃない?」

美優「はい……」

留美「心構えも大事だけれど、見た目から変わっていくのも大事だと思うわよ」

美優「そうなのでしょうか……?」

留美「ええ、もっとも美優さんは素材がいいからすることは少ないのだけれど」

美優「そんなことないですよ」

留美「……美優さんはアクセサリーとかつけてる?」

美優「いえ……恥ずかしながらなにもつけてません」

留美「そっか……だったらアクセサリーでも見に行きましょ。アクセサリー1つで印象は変わるものよ」

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アクセサリー屋

美優「いろいろありますね……」

留美「とりあえず見て回りましょうか」

美優「はい……」


ーーーーーーーーーーーー

留美「どう?気に入ったものはあった?」

美優「どれも素敵だと思うんですが、どれを選んでいいのかわからなくて……」

留美「そうねぇ……だったらこのネックレスなんてどうかしら?美優さんに似合うと思うわ」スッ

美優「綺麗です……決めました。これにします」

留美「え、そんなにすぐ決めていいの?」

美優「はい……だって素敵なネックレスですし、留美さんが選んでくれたんです。間違いありません」

留美「そう言われるとなんだか照れるわね……」

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美優「もうこんな時間ですか……」テクテク

留美「どこかでご飯食べて、解散しましょうか」テクテク

美優「そうですね……あっ!」

留美「?どうしたの?」

美優「ちょっと寄っていっていいですか?」

留美「ここは……靴屋?」

美優「はい……ヒールを買おうと思います……私も留美さんみたいにカッコよくなれたらいいなって思いまして」

美優「まずは見た目から……ですよね」フフッ

留美「ええ、そうね」フフッ

ーーーーーーーーーーーー

美優「すいません、わざわざ一緒に選んで貰って……」

留美「別にいいのよそれくらい。それより随分高めのヒールだったけどよかったの?」

美優「はい。留美さんとの身長差を埋めるためにはちょっと高めにするしかありませんから……」

留美「わざわざ私と同じ身長にする意味はないと思うけど……」

美優「ちょっと恥ずかしいですけれど、私の目標は留美さんみたいな人なんですよ」フフッ

留美「美優さんと私ではタイプが違うと思うのだけれど……まあそれで自信がもてるのならいいのかしら」

美優「……遅くなりましたけどご飯食べに行きましょうか」テクテク

留美「そうね……この時間ならいい感じに空いてるんじゃないかしら」テクテク

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翌日 社長室

留美「今日のスケジュールは~」

社長「…………」

留美「なので今から会社を出て~」

社長「あのさぁ」

留美「なんでしょうか?」

社長「キミさぁ、前々から思ってたんだけど堅すぎるんだよね」

留美「でも……これが仕事ですので」

社長「仕事ができるのはいいんだけどさぁ……せっかくいい体してるんだしもっとラフにいこうよ」スッ

留美「ちょ、ちょっと!いつも言ってますけど、やめてください!」

社長「いいじゃないか……秘書なんだろ……」

留美「秘書はそんな仕事じゃありません!」

留美(いつもはここでやめるのに……)

社長「いいのかね?このままだとキミはクビだよ?」

留美「こんな社長の会社、こっちからお断りです!」

社長「……そうか残念だよ。まあ代わりはいるしそっちを楽しむとするか」

留美「一体秘書をなんだと思って……!」

社長「秘書なんて社長のモノみたいなものだろう?」

留美「こ、このっ……!」ワナワナ

留美「こんな会社こっちからやめさせてもらいます!」

留美「失礼します!」バタン

廊下

美優(新しいヒールとネックレス……似合ってるかな……)

留美「……っ!」ツカツカ

美優「あっ、留美さん」

美優「そんな怖い顔してどうしたんですか?」

留美「美優さん。私、会社やめるから」

美優「えっ!?なんでそんな急に……」

留美「ごめんね。今はちょっと気分悪いから後にしてもらえるかしら」

美優「あっ、はい……」

留美「……ごめんなさいね」ツカツカ

美優(留美さん……どうしちゃったんだろう……)

Bar

留美「はぁ……」

留美「マスター。もう一杯……うんと強いやつを」

マスター「いいんですかい?明日も仕事あるんでしょう?」

留美「いいのよ。明日も明後日も、仕事なんてないから」

P「隣、いいですか?」

留美「何よ。もしかしてナンパかしら?」

留美「だったらやめておいたほうがいいわ。今の私、最高に気分が悪いから」

P「仕事の話がしたいんです」

留美「それこそやめておいたほうがいいわね。」

留美「私、今日……ついさっきよ。会社やめて来たの」

留美「趣味が仕事って言えるくらいには、仕事に打ち込んで来たのに……簡単なものね」

留美「その私に、仕事の話をしろって酷よ。他を当たって」

P「では、未来の話をしませんか?」

留美「だから……私には何もないの。それなのに未来の話なんかできないわよ」

P「では、これを……」スッ

留美「あら。名刺頂戴します……私の名刺は……無いからあげられないけどね」

留美「……って何。貴方、芸能事務所のプロデューサーなの?」

P「明るい未来の話をしましょう」

留美「なに?スカウト?私を?」

留美「……君、悪趣味ね」

留美「でも、とりあえずこの出会いに乾杯でもする?」

P「……そうですね」

留美「乾杯……」

P「乾杯!」

カチンッ

ーーーーーーーーーーーー

留美「それであの社長ったら……」

P(何回も同じ話してるし相当酔ってるな……)ハハッ

ピロリンッ

留美「あら……メール……失礼するわね」

P「あっ、はい。お気になさらず」

留美「美優さんから……えっと……」

美優『夜分遅くにすみません。
本当は留美さんから連絡してくれるのを待とうと思ったんですが我慢できず、連絡させて頂きました。
あんなに仕事熱心だった留美さんが仕事をやめるなんて相当の事があったんだと思います。
話したくなければそれでも構いません。でも、言葉にすることで落ち着くこともあると思いますので話したいと思ったらなんでも聞きますよ。
またいっしょにおしゃべりしましょうね』

留美「美優さん……」グスッ

P「だ、大丈夫ですか?」

留美「ええ……友達から辛いことがあったんだったらなんでも話聞くよって言われてね……」

P「それは……いい友達ですね」

留美「……ええ、1番の友達よ」

留美「ごめんなさいね。初対面なのに愚痴まで聞いてもらって」

P「それくらいいいんですよ」

留美「今日はもう疲れたしそろそろ帰るわ」

P「……タクシー呼びましょうか?」

留美「大丈夫よ。私の家、ここの近くなの」

P「そうですか……それでスカウトの方は……」

留美「さっきも言ったけど私、疲れたの」

留美「その話はまた明日……ね?」

P「はい……!」

帰り道

留美(美優さんにメール返さないと……)

留美(えーと……)ポチポチ

美優の家

ピロリン

美優(あっ、留美さんから返信)

留美『心配かけちゃってごめんなさい。
いろいろありすぎたけど、次の仕事のアテも見つかったし私はもう大丈夫よ。
何があったかはまた会って話するわ。
次に会う時を楽しみにしてる』

美優(元気そうで良かったです……)

美優(でも、もう次の仕事が見つかったって早すぎじゃないかしら……?)

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翌日 事務所

留美「昨夜はどうも……。声をかけてもらった和久井留美と申します」

留美「みっともないところみせてごめんなさいね」

P「いえいえ、大丈夫ですよ」

留美「貴方の名刺の渡し方……秘書をやっていて、大企業の社長から外回りの営業までいろんな人を見てきたけど……」

留美「貴方の人との話し方、向き合い方はじゅうぶん、信用に足る人間のそれだったわ」

留美「だから話を聞きに来たの」

P「そういってくれると嬉しいですね」

留美「ヤケ酒に付き合ってくれた貴方に、今度は私が付き合ってあげる……」

留美「お酒は抜きで、明るい未来の話、聞かせてもらいましょうか」

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数日後 会社

同僚女「あっ、美優。私たち帰るからこれやっといてね」バサッ

美優「えっ……でもこれはあなたたちの……」

同僚女「いーじゃんいーじゃん。それじゃねー」スタスタ

美優「ちょっと……!」

美優「はぁ……」

ーーーーーー

会社からの帰り道

美優「遅くなっちゃいました……」

美優(留美さんのいない会社がこんなに退屈なんて……)テクテク

美優(このネックレスとヒールで留美さんのいないところでも自分に自信が持てるようにしないと……)テクテク

美優「あっ……!?」ステンッ

美優「ヒールが……折れて……」

P (ん?あの人……)

美優「いたた……」

P 「大丈夫ですか」スッ

美優「えっ……いや、その……大丈夫です……」

美優「…………」

美優「ヒールが……折れてしまって……」

美優「友人と買いに行ったばっかりなのに……散々です。本当に」

美優「慣れない高さの靴を履いて、背伸びをしたぐらいでは人は変われなくて……」

美優「靴を変えたことだって、誰にも気づかれない……」

美優「人に頼らないと……自分だけでは変われないと……分かってるくらい大人だったつもりなのに……」

P「…………」

美優「でも私、知らない人にこんなこと話して……すみません」

美優「もう、構わないでいたたけますか?大丈夫ですから……」

P「……手だけでもどうぞ」スッ

美優「……大丈夫です。1人で立てますから」

美優「これくらい……きゃっ」

P「おっと!」ガシィ

美優「あっ、すみません」

美優「お恥ずかしいです……1人で立てないなんて」

美優「……いつも、そうなんです」

美優「自分独りでは、なにもできなくて……流されて……頼りになる友人も仕事をやめてしまって……」

美優「仕事も、人生だって、つまずいてしまって……」

美優「……すみません。また、こんな話をして」

P「一目見ただけでわかりました」

美優「えっ?」

P「アイドルに、なりませんか?」

美優「アイドル……?」

美優「人前に出て踊ったり、歌ったりするあの……?」

美優「私なんかが……無理ですよ。こんな、26歳のOLが……」

P「まぁ、立ってください」

美優「……すみません。もう大丈夫です」スクッ

美優「それにしても、私がアイドルなんて……」

P「決めるのはあなたです」

美優「決めるのは……私……」

P「申し遅れました。私、こういうものです」スッ

美優「あっ、名刺……頂戴します」

P「もし、あなたがアイドルに少しでも興味を持っていただけたならこの名刺の裏に書いてある事務所までいらしてください」

P「繰り返しになりますが、決めるのはあなたです。私は、可能性の1つを提示しただけ」

P「それでは失礼します」スタスタ

美優「あのっ!」

美優「いっちゃった……」

美優「……決めるのは私……」

ーーーーーーーーーーーー

数日後 事務所

美優「……私、三船美優と申します」

美優「こんな私が……人前に立てるでしょうか……?」

P「断言しましょう。立てます」

美優「本当かしら……まだ、信じられないですけど……」

美優「私は、今日、自分の意思で決めてここに来ました」

美優「……お話を聞かせて頂けますか?」

P「もちろんです。それでは……」

コンコンコン ガチャ

留美「失礼します。お茶をお持ちしまし……」

留美「って美優さん!?」

美優「留美さん!?」

留美「なんでここに……」

P「知り合いだったんですか?」

留美「知り合いどころじゃないわよ!」

美優「留美さんの新しい仕事ってここのプロデューサー……?」

留美「いいえ、アイドルよ。人手不足だからプロデューサーのお手伝いをしてるけど……」

美優「留美さんもアイドルですか……私といっしょですね」フフッ

留美「っていうことは美優さんも……?」

美優「はい……こんなところでもいっしょになるなんて……留美さんがいると心強いです」

留美「私も全くの新しいところに美優さんがいると心強いわ」フフッ

留美「これからもまた、いっしょに頑張りましょうね」

美優「はい!」

P「あの……そろそろ説明を……」

おわり

以上で完結になります
ご覧いただきありがとうございました
美優さんのスカウトパートと留美さんのスカウトパートの半分ぐらいはほぼデレステのコミュ1です

アイドル編はいつか書く予定です
楽しみにしてくださる方がいらっしゃれば気長に待っていただけると幸いです

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