文香「…」美優「…」拓海「…」モバP「ちゃうねん」 (29)

薄い本「やあ」ドッサリ

拓海「おい」

モバP(以下P)「ちゃうねん」

拓海「何がどう違うのかはっきり説明してくれよ」

文香「…小さな子もいる事務所に、こういったいかがわしい書を持ち込むことも許されざることですが、それ以上に私たちは怒っていますよ……?」

美優「信じてたのに…プロデューサーさんは信じてくださらないんですね…」

P「ちゃうねん」

拓海「ちゃうねん以外の言葉を話せ」ギリギリ

P「痛い痛い!拓海食い込んでる指食い込んでる!」アガガガ

拓海「食い込ませてんだよ!なんだこの本!」

拓海「どれもこれも…こ、これ!!///」

文香「……はぁ」ペラペラ

美優「……うぅ」ペラペラ

P「そんな目で見ないでくれ文香ぁ…美優さん…」ギリギリギリ

拓海「ア、アタシらが!ひどい目に遭う本ばっかりじゃねえか!」

文香「…こういった性癖が存在することは理解しています。マゾヒズムの一形態で、有名なところでは谷崎潤一郎の『鍵』でしょうか」

美優「そ、そうなんですか…てっきり私が本当は愛されていないのかと…」

拓海「そこんところどうなんだ!」

P「愛してる!愛してます!マジ!これマジの話!いったん話聞いてえええええ!!」

拓海「ふんっ!」ポイッ

P「ぐえっ」

拓海「ふんっ!!!」ゲシッ

P「ほげっ」ドガッ

美優「た、拓海ちゃんそのへんで…」オロオロ

………………


P「いや、現実でこんなことが起こるのを望んでるわけじゃないんだ。本当本当」

拓海「信用できねえな。一冊二冊だったらまあそういう気の迷いもあるだろうとは思うが、これ…」

文香「……今数え終わりました。計346冊あります」

拓海「多いんだよ!」

P「ちゃうねん」

拓海「次ちゃうねんっつったら片方潰すぞ!」

P「ひいいっ!」

美優「ああ…」オロオロオロオロ

P「えっと、た、例えばさ…拓海が大切にしてる単車があるよな?」

拓海「あ?……まあ、愛車のカワサキのニンジャ250が」

P「それを、拓海が大っ嫌いなヤツが盗んで、めっちゃ楽しそうに乗り回してる。本当に楽しそうに。だ。それを見たとしたら、拓海はどう思う?」

拓海「バットで殴る」

P「オーケー話を変えよう。文香、大切にしてる本を」

文香「本のカドで強めに叩きます……」

P「…うん、じゃあ美優さ」

美優「え、ええと…普通に許せないかと…」

P「うん」

P「そ、その許せないのがいいっていうかさ」

美優「?」

P「自分はなんて無力なんだろう!あのときこうしていれば、ああしていれば!みたいな。そういう感情が心の中で渦巻いて、魂が突き動かされるというか、な?」

拓海「んで、アタシらにそれを望んでるってことだろ?」

P「違うんだ」

拓海「なにが」

P「現実と薄い本は違うんだ!さっきも言ったけど、絶対に起こり得ないと信じてるからこその性癖なんだよ!」

文香「……確かに、私もこの書の私ほど奥手というか馬鹿ではないです…」

美優「……こんなにふしだらな女じゃありません」

拓海「そもそも、目の前に本物がいるのになんでこんな作り物で発散してるんだ?あ?」

P「高級料理ばかり食べてたら、たまにはジャンクフードが食べたくなるみたいな」

拓海「アタシは食い物と同じか」

P「ごめんなさい」

文香「…お手本のような針のむしろですね」

美優「拓海ちゃんが恐いです…」

P「……わかりました、正直に言います。だから許してください」

拓海「おう」

P「アイドルとして厳しいレッスンに耐え、恋愛禁止という枷を背負ってまでファンに笑顔を届ける現代の天使」

P「しかし突如襲い来る理不尽な暴力!逃れられない巨大な権力にはどうしても抗うことができない!」

P「アイドルとして、女として最大の屈辱を味わわされている!どうしようもない悪党の願望に善良に生きていた人生全てを否定される!!」

P「悔しい!あまりにも悔しい!!!しかし、地獄の中に一つの黒い光が見えたのである!!!」

P「蹂躙される体の奥、湧きあがるこの感覚はなんだ!?認めたくない。認めたくない!でも本能には逆らえない!これは……そう!快楽だ!」

P「反応してしまう体に引きずられ、ゆっくりとゆっくりと心が蝕まれていき、いつしか、決定的にアイドルとして終わってしまった一人の不幸な少女がそこにいた……fin」

拓海「…」

文香「…」

美優「…」

P「……要するに心が折れて快楽の奴隷になったエロい女の子が好きなので集めてました……」

拓海「…で、アタシにもそうなってほしいってことだろ?」

P「違うんだああああああ!」

拓海「違わないだろ!?そんだけ力説しておいて何が現実と本は違う!だよ。本でそう望むんだったら現実でも望んでるんだろ?いいよ。アンタのためなら一肌脱いでやるよ」グスグス

P「泣かないでくれ拓海ぃ!二つの意味で一肌脱ぐのはやめろ!」ガシッ

拓海「触るな!アンタの望み通りその辺のバカ男引っかけてやるってんだよ!離せ!」

文香「……最低ですね」ボソッ

美優「……変態」ボソッ

P「おふっ」ビクン

拓海「う、うあああああん…Pなんて大嫌い…」

P「ああ、もう…拓海!」

拓海「えっ、んんっ」ムチュ

文香「あっ」

美優「えっ」

P「ははひほひいへふえ!(話を聞いてくれ!)」ブチュウウウ

拓海「んんン%#;=?2@!!~///」(キスしたまま喋るなあああ!)

P「ぷはっ!」

拓海「あうぅ…」

P「いいか?拓海。現実と、エロ本は、違うんだ」

拓海「え…?」

P「江戸川乱歩は猟奇殺人鬼か?違う!ハリー・ポッターの読者は魔法使いか?違う!それと同じだ!!!」

文香「……論点がズレているのでは」

P「と、とにかく!俺は拓海を!心の底から愛しているんだよ!他の男なんかに指一本触れさせるものか!もしそんなことするカス野郎がいたら送り付けられたビデオレターを証拠に裁判起こして尻の毛までむしり取った後に徹底的に物理的にもボコボコにしたるわ!!!」

拓海「プロデューサー…///」キュンッ

文香(あ、それで許してしまう感じなんですね……)

P「よし!これで一件落着だな」

美優「……あの、待ってください」

P「はい?なんでしょうか美優さん」

美優「拓海ちゃんを愛しているとおっしゃいましたが、あの…私のことも愛してるって昨日の夜…」

P「あっ」

拓海「…………おい、アンタまさか浮気…」

P「ちゃうねん」

拓海「頭に血がのぼっててスルーしてたが、ちょくちょく浮気してるっぽいことを言ったり言われたりしてたなぁ?オイ」

文香「……でしたら、ついでに私も。何度も何度も囁いてくれたとろけるようなあの言葉は、躰目的の嘘だったと解釈してよろしいですよね…?」

P「いや、嘘じゃないんです。あれだ、三刀流ってやつで」

拓海「なぁぁあああるほどぉぉぉおおお………アンタはこの本に出てくる男の側の人間だったということだな……」ゴゴゴゴゴ

美優「…わかるように説明してください…」ハイライトオフ

文香「……」スッ

P「文香、笑顔で分厚い本を上段で構えるのはやめてお願い美優さんハサミを渡すときは持つところをって聞いてますか拓海そんなゴツイメリケンサックをどこから」

三人「……」

P「……ちゃうねん」


ギャアアアアアアアアア……

…………

夜 女子寮の一室にて

拓海「なんて男だアイツは……。アタシ…なんで好きになっちゃったんだろ…」モゾモゾ

拓海(…あの日、アタシに触った指も、囁いた言葉も、どうせ他の女に使ってるんだ…糞っ)

…………クチュッ

拓海「…………んっ…あっ、はぁ…」クチュクチュ

拓海「あ、手が…。洗わないと…」

拓海「……馬鹿かアタシは。もう寝よう…」


文香(…こっそり一冊持ってきてしまいました…)ペラペラ

文香(……なんでしょう、この背徳的な気持ちは…)

文香「谷崎潤一郎の『鍵』……もう一度読み返してみましょうか」


美優「私のこと、本当に、本当に好きなんですよね?」パンパン

P「好きです…本当に本当に大好きです愛してます…だからもう許して…」アヘアヘ

美優「まだ六回しかシてないじゃないですか…信用できません」ギシッギシッ

美優(……いつもより燃える…。まさかあれがスパイスになったということでしょうか)

P「あひ、あひ」ガクガク

美優「……週に一度、週に一度だけだったら、他の子と遊んでもいいですよ?」

P「」(白目

美優「…そうして、また私の元へ戻ってきてくださいね…?プロデューサーさん…」


終わり

短いけれど終わりです
深夜テンションに付き合わせてすいません

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