武内P「トイレに、行かせてください」 (35)
みく「ちょっと待っててPチャン!」
李衣菜「もうすぐ話はつきますから!」
みく「そうにゃ! やっぱり、『*』は今後は猫耳に統一するって!」
李衣菜「どうしてそうなるのさ!」
みく「だから、今からそれをPチャンに聞いてもらうんでしょー!」
李衣菜「おー、良いね! 言ってみなよ!」
武内P「……」
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みく「まず、李衣菜ちゃんのロックの定義が曖昧すぎるにゃ」
李衣菜「自分がロックと信じたものがロックの、どこが曖昧なの」
みく「李衣菜ちゃん、ちょっとそのヘッドホン貸して」
李衣菜「? 別に、良いけど……」
みく「Pチャン、これが最近李衣菜ちゃんが聞いてる曲にゃ」
李衣菜「プロデューサー! 最高にロックな曲ですから!」
武内P「……はぁ」
みく「……どう? これで、みくの言う事が分かったでしょ?」
李衣菜「どこが! 私がハマってるロックな曲を聴いてもらってるだけじゃん!」
みく「そこが間違ってるって言ってるの!」
李衣菜「はぁ!?」
みく「どう? Pチャン、その曲はロックだと思うにゃ?」
李衣菜「ロックですよね!? 最近偶然耳にして、もうハマっちゃって!」
武内P「これは……ジャズ、ですね」
李衣菜「!?」
みく「ほら李衣菜ちゃん、何か言う事があるんじゃないの?」
李衣菜「……べ、別にジャズの中にロックを感じたって良いじゃん!」
みく「!?」
李衣菜「わ、私はこのギターの音色に熱いロックの魂を感じたんだよ! 文句ある!?」
みく「ぐぬぬ……! 強情にゃ……!」
武内P「……あの、トイレに」
李衣菜「それを言うなら、みくちゃんの猫キャラだって怪しいんじゃない!?」
みく「はぁー!? 何言ってるにゃ!?」
李衣菜「魚が嫌いで、そっち関係の仕事はくるのに受けられないし!」
みく「うぐっ!? そ、それは改善しようとは……」
李衣菜「ねえプロデューサー!? 困りますよね!?」
武内P「はぁ、まあ……あの、トイレに」
李衣菜「もうすぐ! もうすぐ終わりますから!」
武内P「……はい」
李衣菜「それに昨日……見たんだよ!」
みく「な、何をにゃ? 別に、みくは見られて困るような事してないもん!」
李衣菜「犬がはしゃぐ動画を見てニヤニヤしてたのを!」
みく「そ、それは……!?」
李衣菜「猫キャラとして、それってどうなの?」
みく「見られていたとは……!」
武内P「……あ、あの、もう本当に」
みく・李衣菜「ちょっと待ってて(ください)!」
武内P「……!」
みく「み、みくだって女の子だもん! わんこの動画くらい見るにゃ!」
李衣菜「それってズルくない!? 何のための猫キャラなの!」
みく「それを言うなら、李衣菜ちゃんだってジャズをロックって言ってたにゃ!」
李衣菜「大体さ、最近のみくちゃんは猫キャラとして押されてるよね」
みく「お、押されてる? それ、どういう意味!?」
武内P「あの……っく、お……!」
李衣菜「プロデューサーもそう思いますよね!?」
武内P「あ、はい……トイ」
みく「ぴ、Pチャン……? Pチャンも、みくが猫キャラとして押されてると……?」
武内P「いえ、私は、トイレに、ですね……!?」
李衣菜「そうだよ。最近は、他にも猫キャラのアイドルが出てきてさ」
みく「そ、それがどうしたの?」
李衣菜「ちょっと、猫キャラの影が薄くなってきてるよね」
みく「なっ!? なななな、何を言うなにゃ!?」
李衣菜「みくちゃんだって、本当はちょっとそう思ってるんじゃないの!?」
みく「み、みくは別に……ぴ、Pチャンからも何とか言って!」
武内P「え? あっ、はい……あ、あ……はい、はい」
みく「そ、それを言うなら、李衣菜ちゃんは最初からそうにゃ!」
李衣菜「私は最初から、そして今もロックキャラだよ!」
みく「いーや! 最近の李衣菜ちゃんは完全にキュートな路線になってるにゃ!」
李衣菜「ふえっ!?」
みく「『Love∞Destiny』の時なんか、バックだったけどセンターだったにゃ!」
李衣菜「そ、それは……!」
武内P「あっ、あっ、あっ……ふ、っふ」
李衣菜「わ、私は今後キュート路線になっても、ロックの心を忘れないから良いの!」
みく「だったら、みくだってワンコが好きな猫キャラでもいけるでしょー!」
武内P(……ああ、もう……限界が近い)
みく「――!――!!」
李衣菜「――!――!!」
武内P(耐えなくては……うお、波が! 今までに無い波が! あああ、耐えなければ――)
みく・李衣菜「解散(にゃ)!!」
武内P「――クソがっ!!」
みく・李衣菜「……」
みく・李衣菜「……えっ?」
みく「ぴ……Pチャン……?」
李衣菜「ぷ……プロデューサー……?」
武内P「あ、ああ、すみません……」
武内P「もしかして……思っていた事が口に出ていましたか?」
みく・李衣菜「!?」
みく「……あ、あの」
李衣菜「……ええと」
武内P「……?」
武内P(……良かった……波は去った)
みく「もしかして……Pチャン、怒ってる……?」
武内P「いえ、そのような事はありません」
李衣菜「じゃ、じゃあ今のは……?」
武内P「? あ、ああ、いえ」
武内P「ただ、我慢しているだけですから」
みく・李衣菜「!?」
みく「我慢……」
李衣菜「させてたんですか……?」
武内P「? ええ、実は……今もですが」
みく・李衣菜「!!?」
みく「ごっ、ごめんなさい!」
李衣菜「すっ、すみませんでした!」
武内P「!? だ、大丈夫ですよ、顔を上げてください!」
みく・李衣菜「でも……」
武内P「では……もう、私は行っても良いですか?」
みく・李衣菜「!?」
みく「ま、待って!」
李衣菜「そうです、待ってください! プロデューサー!」
武内P「!? な、何故ですか!?」
みく「みく、今までずっとPチャンに迷惑かけて甘えてた……それを謝れてない!」
李衣菜「私だってそうです……色々お世話になってるのに……」
武内P「あの、ええと……何故、今その話を?」
みく「……だ、だって……みく、Pチャンが怒るなんて考えてもみなかったから」
武内P「いえ、怒るという事の程では……」
李衣菜「プロデューサーはいつも私達を見守ってくれてて……でも、我慢させてたなんて!」
武内P「あの……ですから、もう行っていいですか?」
武内P「そろそろ……その、限界ですので」
みく・李衣菜「!?」
みく「そんな……限界まで我慢させちゃってたの……?」
李衣菜「私達……そんなにプロデューサーを追い詰めてたなんて……」
武内P(ほうぐぅ!? また……大きな波が……!)
みく「……!…………!」
李衣菜「…………!……!」
武内P(何か、何か別の事を考えなくては! このままではお二人の前で出てしまう!)
みく・李衣菜「これからも、私達のプロデューサーでいてください!」
武内P「それだけは絶対に出来ない!」
みく・李衣菜「!!?」
武内P(……――っ! 耐えた! 耐えることが出来た、あの大きな波に!)
みく「そんな……ウソ……」ペタン
李衣菜「あれ……? 足に、力が……」ペタン
武内P「お、お二人とも、座り込んでどうなさったんですか?」
武内P「私は、何か……おかしな事を言ってしまいましたか?」
みく「……うっ……ぐすっ、ひっく……!」
李衣菜「うえっ……うう、ふっ……!」
武内P「!?」
武内P「ど、どうして泣いているのです!? 前川さん、多田さん!?」
みく「うえっ、ひっぐ! ぴ、Pチャンに完全に嫌われちゃった……ひっぐ!」
李衣菜「プロデューサーは……もう、もう……ふひぃ~ん! ひぅぐ!」
武内P「!?」
武内P「そんな事はありません! ですからお二人とも――」
武内P(ふううううっ!? 今までに無い波がああっ!!)
武内P「ああっ! もう、とにかく、とにかく通してください! 一刻も早く!」
みく「い゙や゙に゙ゃあ゙あ゙゙あ゙あ゙あ゙あ゙! P゙ヂャ゙ン゙、み゙くたぢの゙こと捨てないでえ゙え゙え゙え゙え゙!!」
李衣菜「プロデューサーさああああん! これからは、言う事聞きますからケンカしませんからあああ!」
武内P「あっ、あっ、あっ、あっ」
武内P(何故お二人がこんな事を言っているのかわからない!)
武内P(だ、だが! このままでは本当にまずい!)
武内P(何か、何か楽しい事を考えよう!)
武内P(そうだ、お二人の最初のライブは本当に素晴らしいものだった)
武内P(半ばヤケクソ……クソ……あっ、いや、投げやり気味のスタートだったけれども!)
武内P(それにより会場全体がトイレまで引き込まれ…・…いや、トイレは関係ない!)
武内P(にゃうぐひぃ! の、掛け声から始まり、歌い出しの……お、Overheat――)
みく「お゙ね゙がい゙に゙ゃ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」
李衣菜「プロデューサあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」
武内P「……」
武内P「OH Deadline」
武内P「――お二人とも、少し、向こうを向いていただけますか」
みく「ぴ、Pチャン……?」
李衣菜「ぷ、プロデューサー……もう、私達の顔も見なくないってことですか!?」
武内P「そんな事はありません!」
みく・李衣菜「!?」
武内P「ですが……どうか、お願いします」
みく・李衣菜「……はい」
武内P「私が、貴女達を見捨てるなど有り得ません」
武内Pですが……貴女達が私を見限ってしまうのではないかと、正直不安でなりません」
みく「そっ、そんな事――」
武内P「そのまま! こちらを見ないままで!」
みく「うっ……はい」
武内P「私は、貴女達に怒った事は一度もありません」
李衣菜「でも……私達、今まで――!」
武内P「いいですか! そのまま! そのまま向こうを向いていてください! お願いします!」
李衣菜「はっ、はい!」
武内P「しかし……今は、私の方が貴女達に合わせる顔が無いのです」
みく・李衣菜「……」
武内P「貴女達は、猫耳とロックという、一見共通点の無い要素が不思議と並び立つアイドルです」
みく・李衣菜「……」
武内P「私も未だ未熟で、お二人がどういう成長を遂げていくのか予想がつきません」
みく・李衣菜「……」
武内P「ですが……一つだけ、ハッキリとわかっている事があります」
みく・李衣菜「……それは……?」
武内P「笑顔です」
みく・李衣菜「!」
武内P「貴女達は、ぶつかり合いながらも、最後は必ず笑顔で居る、という事です」
みく・李衣菜「……!」
みく「Pチャン……もう、またみく突っ走っちゃったにゃ……!」
李衣菜「……へへ、みくちゃん、顔ぐしゃぐしゃだよ」
みく「それは李衣菜ちゃんも一緒でしょ!」
李衣菜「こんな顔……プロデューサーには見せられないよね!」
みく「Pチャン! ちょっと待っててね!」
李衣菜「顔を洗って、すぐ戻ってきますから!」
武内P「いえ、ゆっくりで構いませんよ」
武内P「本当に、本当にゆっくりで構いませんので、本当に」
みく「行ってくるにゃ!」
李衣菜「行ってきます!」
ガチャッ! バタンッ!
武内P「……」
武内P「……」
・ ・ ・
武内P(お二人が号泣していたのが、不幸中の幸いだった)
武内P(普段からしっかり野菜を食べていたので、被害も少なかったのも良かった)
武内P(まだ事務所に誰も来ていないのも僥倖)
武内P(残骸の袋に入れたし、あとは、二人が戻る前に替えのスラックスを履くだけ!)
武内P(鍵もかけていますし、ぬかりはない!)
武内P「……ふぅ、何とか乗り切っ――」フルチーン
カチャカチャ……
武内P「!?」フルチーン
ガチャッ
ちひろ「おはようご――」
武内P「えっ?」フルチーン
ちひろ「ざ……」
武内P「せ、千川さん!? ち、違うんです千川さん! これは……!」フルチーン
ちひろ「い、い、イヤアアアアアア! へ、変態!」
武内P「誤解です! 誤解です、千川さ――ん!」フルチーン
おわり
HTML化依頼出しておきます
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