乃々(消えてしまいたい……///) (29)
比奈「」ワクワク
奈緒「」ソワソワ
TV「32:30」ポーン
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ガチャッ
乃々「おはようございます……」イソイソ
ちひろ「おはよう、乃々ちゃん」
ちひろ「あと流れるように机の下へ潜り込まないの」グイッ
乃々「あぅー」
乃々「あ、あの、まだレッスンまで時間あると思うんですけど……」
ちひろ「それがね、乃々ちゃんに会いたいって方が来てるの」
乃々「え……」
ちひろ「プロデュース業をしてる方ね。どこかで見て気に入ったみたい」
ちひろ「さ、仕事よ仕事。頑張ってね~」
乃々「むーりぃー……」
乃々「……オハヨウゴザイマス」
P「ああ、おはようございます」
P「初めまして」ニコッ
乃々「アッハイ」
乃々(と、とんでもないレベルのイケメンなんですけど……)ワナワナ
乃々(何なんですかこれは……こんな人と2人きりなんて。新手のいぢめですか……)
P「──ということだから。今日からよろしく」ニコッ
乃々「アッハイ……はい?」
乃々「え、あの……今日、からって」
P「?」ニコニコ
乃々(そんなに話が進んでるんですか……?!)
乃々「そんな……いきなり……」オロオロ
P「ん? でも」
P「たった今、確認したよね?」
乃々「え」
P「ね?」ニコニコ
乃々(……そんな気も……?)
乃々「いやいや……もりくぼはそんなこと……」
乃々「……言わな……」
乃々「……言って……」
乃々「……言い、ました……けど」
乃々「……けど」
乃々「……ソウデスネ」
ちひろ「……あれ? あの人」
ちひろ「どうやって許可証なしで建物に入ったんだろ」
ちひろ「そういえば私、あの人の名前も知らないけど」
ちひろ「どうして……」
ちひろ「……まあいっか。お茶おいしー」ズズー
ガチャッ
P「話は終わりましたよ、ちひろさん」
P「森久保のレッスン、一緒に行ってきますね」ニコッ
乃々「あの……まだ机の下成分が足りないんですけど……必須栄養素なんですけど……」
ちひろ「はい、行ってらっしゃい♪」
P「さ、行こうか」
乃々「ヒィィィィ……」ズルズル
ズルズル…パタム
ちひろ「――あ、れ? 私、あの人に名乗ったっけ……」
ちひろ「……あの人とは初対面……だよね?」
ちひろ「あれぇ?」
乃々(もりくぼが陽の下を行くのは干乾びて死ぬ時だけです)
乃々(ミミズのように日陰から日陰へ……徒歩と電車でこそこそ移動するのが性に合ってるんです)
乃々「車とか……うぅ……」
P「送迎は嫌い?」
乃々「あぅ……嫌いじゃ、ないですけど……」
乃々「……明るい所は。その、ニガテデス」ゴニョゴニョ
P「ふーん。そっかそっか」ニコニコ
乃々(に、苦手なタイプなんですけど……)メソラシ
乃々(──?)
乃々「あの、プロデューサーさん。道が違うような……」
P「いいや、合ってるよ」ニコニコ
P「悪いな。今日はレッスンじゃなくて本番なんだ」
P「諦めな、着いたよ」
乃々「むむむむむむむむーりぃー……!」
乃々「そんな、いきなりなんて、いやそういうの関係なくてもノー、ノーなんですけどぉ……!」ヒシッ
P「座席に張り付くなっ」ヒョイ
乃々「ヒィッ?!」
乃々(もりくぼの渾身のしがみつきが……!)
P「しょうがないなぁ、担いで行こうか」
乃々「そ、そんなことされたら恥ずかし過ぎて魂が抜けますけど……ふわぁ?!」
乃々(こっ、この担ぎ方、もりくぼのお尻が突き出て)ハッ
乃々(今ミニスカじゃないですか……っ///)カァァァァ
乃々「降ろして、降ろして下さいぃぃぃ……っ!」
P「やだ」スタスタ
乃々「誰かぁ……! 誰かぁー……っ!」アアアアアアア…
乃々(キズモノにされたんですけど……)ズーン
P「出演するのはこれだからなー」ピラッ
《あのビジュアルファイブがやってくる!》
乃々「え……あの、『お姉さん』的な役回りですか……?」
P「んー、半分正解かな。舞台に上がるのはまだ先だよ」ニコッ
乃々「……?」
乃々「もう本番まで30分切ってますけど……打ち合わせすらまだ、なんですか……?」
P「や、本番はキャラクターショーじゃないから」アハハハ
乃々「え──?」
乃々(ショーに出演するのに……『ショーは本番じゃない』……?)
P「プ○キュアなら良かったのにね」ニコニコ
乃々(……どういうことですか……帰りたい……)
乃々「……」ジー
乃々(ああっ、イエローが敵怪人の攻撃を……)
乃々(どうして気付かないんですか……寄生されてるじゃないですか……)
乃々(あっ、あっ、後ろ! 後ろですってば!)ハラハラ
乃々(……ブルー)ホロリ
乃々「……」グスッ
乃々「」ハッ
フキフキ…
乃々「ぷ、プロデューサーさん……仕事じゃないならもう――えっ」
乃々(いない……あの人、私だけ置いて帰っちゃったんですか……?!)キョロキョロ
乃々「プロデューサーさーん……っ、ん?」
乃々「……ぬいぐるみ?」ヒョイ
乃々(それこそプリ○ュアの妖精っぽいんですけど……)
乃々「……」モフ…
乃々「」パァァァァ
乃々「~♪」モフモフモフモフ
「未来の平和と音楽を乱す奴は!」
乃々(あっ、アクションシーン前の名乗り……)
乃々(……。せ、せっかくだし、見てからでも……)
乃々(……この子は膝の上に……♪)チョコン
輝子「や、やぁボノノさん」
乃々「ヒェェェェェェェェェェェェ?!」ビクゥッ!
輝子「おっ、おう……だ、大丈夫、か……?」
輝子「そう、か……置き去り、か」
乃々「理不尽なんですけど……」グチグチ
乃々「……輝子さんはどうしてここに?」
輝子「あぁ、このショーの物販が、ね」
輝子「フヒッ……見るか。買ったばかりの、タケリタケさん……」スッ
乃々「……?!」
輝子「スッポンタケさんに寄生してて……まだ子供なんだけど……」
輝子「か、可愛い、だろ。しかも美味しいらしい……フヒッ」
乃々(すっっっごく卑猥なんですけどっ?!)
乃々(──なんて言えない……あぅぅ、そんなキラキラした眼で見ないで下さい……)
乃々「ソウ……デスネ……///」メソラシ
輝子「?」キョトン
乃々「ショーを! ショーを見ましょう!」
輝子「……だね。隣、座るよ……フヒッ」
輝子「……ショーを見ましょう、って」
乃々「ぐ、偶然なんですけど……///」カァァァァ
※他意はないそうです
乃々(頑張れー……)ジー
乃々「」モフモフ…(←無自覚)
輝子「……」チラッ
輝子「フヒッ……か、カッコいい、な」
乃々「でしょう?!」ズイッ
輝子「お、おう……?」タジッ
「必殺!」カッ
2人「「おぉ~……」」
「超絶美形光臨剣!」スポーン…
2人「「……おぉ?」」
シーン…
乃々(……えっ)
乃々(レッドの必殺武器が……ど、どっかに飛んでっちゃったんですけど……)
乃々「……うわぁ……」
輝子「会場が……冷え込んだな……」
乃々(あ、グリーンが拾いに行った)
ビターン!
ドンガラガッシャァァァァァァン!
乃々(……。見てられない……///)ウツムキ
輝子「ど、どうするんだ、これ……」
『代わってやりたい?』
乃々「それは……まあ……」
『やり直させてやりたい?』
乃々「……はい。でももりくぼには何も……」
輝子「おい、ボノノさん。だ、誰と話してるんだ……?」
乃々「──ハッ。え、あれ……?」
ぬいぐるみ?『救ってやりたいんだな?』ニタァ
乃々(ぬいぐるみが……喋った?!)
乃々「わっ、わっ」ブンブン
ぬいぐるみ?『おいおい、あんなに可愛がっていたのにあんまりじゃないか』ニタニタ
乃々(──手から離れない?!)サァァァァ
乃々「って、この声……」
ぬいぐるみ?『』グニョーン
P「なぁ、森久保ォ……?」ニタァ
乃々「ひっ、あ、あぁ」
乃々「た、す、たすたすたすたす……!」
P「助けは来ねぇよ。つか、お前は助ける側だ」
乃々「来ないで……近付かないで……誰か助けて……!」
P「逃がすかっ」ガシッ
乃々「ヒィッ!」
乃々(輝子さん──っ!)チラッ
輝子「──」
乃々「……えっ」
P「邪魔だから意識刈り取るに決まってんだろ」
乃々「な、なぁっ?!」
乃々「……ぁ。あぁ」ガタガタガタ
乃々「……分かり、ました……痛くしないで……下さい」
P「はぁ?」
乃々「死にたくないです……ですけど……」
乃々「お迎えなら……もりくぼだけにして下さい……」ポロポロ
P「死神扱いか」
乃々「ち、違うんですか……?」
P「確かに俺は人間じゃないがな」
P「俺は管轄が違うから──」
乃々「死神……ヒィィィィィィィィィッ!」
P「話が進まないから黙ってろ!」
乃々(ぃ──ぇ、こ、声が……?!)パクパク
P「まったく世話のかかる……」
P「魔法少女の使い魔。妖精。パートナー」
P「そんな感じのイメージ、分かる?」
乃々(そ、それが何なんですか……)パクパク
P「俺、その妖精ね」
乃々(……?!)
P「来た事情は……いいや、説明は後回しで」
P「取り敢えず変身してみるか。ほれ、何か歌え」
乃々(なっ、は、えぇ?!)パクパク
乃々「──あー。あ、声戻った……」
乃々「えぇ……ええと……じゃあ」
P「時間切れ。『毒茸伝説』な」
乃々「え……そ、それはあの、何というか……」アセッ
乃々「慣れないというか……む、むーりぃー……」
P「歌え」ギロッ
乃々「ヒィッ!」
乃々「……。ま、まーっしゅあーっぷ……」
P「ちゃんと始めから歌え。やり直し」
乃々「うぅ……もりくぼの日常を返して下さい……」
乃々「すー……はー……」ゴクリ
乃々「……ひゃ」
乃々「ヒャーッハッハッハッハァァッ!」ヤケクボォ!
乃々「……」
P「……」
乃々(消えてしまいたい……///)
ピカッ
乃々「わ──な、何なんですか今度は……!」
P「変身だ、って言ってんだろ」
乃々(今日は事務所に着いてから驚きっ放しです……心臓が疲れて止まっちゃうんですけど……)
乃々(――身体が光って……服が全部……と、飛び散って……///)
乃々(……蒼い衣装に銀の縁取り、機能性の無い手甲、羽みたいな飾り……これって……)
P「誕生(デビュー)おめでとう」
P「──【アイドル】」
乃々「な、何が何だか……」
乃々(これ、スカートが短過ぎです……すーすーします……下、裸になってますし……///)
怪物「??????????????????????」
乃々「ヒィッ?! な、何ですかアレ!」
P「その姿は羞恥を誘う事象を目視・接触出来る」
P「まぁ簡単に言うと、アレを倒せば『失敗をなかったことに出来る』」
乃々(失敗を……なかったことに……?!)
P「但し」ニタァ
P「変身とその維持には変身者の羞恥のエネルギーが要る」
P「そして」パチンッ
輝子「──ハッ」
輝子「……ボノノさん、か……?」
P「お前のその姿自体は他の奴からも見える」
乃々「~~~~~~~~~っ?!」
乃々「い、いぢめですか……///」ウルウル
輝子「んな……ど、どうしたんだ、その格好。学校の水着くらい布部分が小さいぞ……?」
乃々(ああああああああああああああああああっ///!)
P「その通り、イジメだな」ニタニタ
乃々「うっ、うるさい……です……っ///」モジモジ
P「ちなみにお前が変身してる間、他の奴は俺のことを知覚出来ない」
輝子「え……ご、ごめん」
乃々「あぅ、ち、違っ」ハッ
乃々(『この姿』=もりくぼ、なのがもしバレたら……!)
P「理解したか?」ニタニタ
乃々「~~~~~~~~っ///」キッ
P「『違う』と言った手前何か名乗らないとなぁ?」
乃々(も、もりくぼは……どうすれば……もりくぼは……)
乃々「……わ、私の名前は……あー……」
乃々「き、キュアシェイム、デスケド……」チラッ
輝子「そ、そうか……」ドンビキ
乃々(あああああ絶っ対バレてる……っ///)
怪物「????????????????????????」
乃々(……。もう、やけー……)
乃々「行ってきます……」タタッ
P「走るとスカートの中が見えるぞー」ニタニタ
乃々「~~~っ///」サッ
乃々「──よく分かんないですけど……っ」トテトテ
乃々「あなたのせいで……もりくぼは……っ///」
怪物「?????????????????????????????」
乃々「」プチンッ
乃々「代わりに恥ずかしい思いをさせられてるんですけどーっ///!」ポカッ
怪物「??????????????」シュワシュワ…
「必殺! 超絶美形光臨剣!」カッ
輝子「おぉ~……」
乃々「……///」カァァァァ
輝子「ど、どうした、ボノノさん。具合悪い、か?」
乃々「いえ……気にしないで下さい……///」ウツムキ
輝子「そ、そうか……?」
ぬいぐるみ?『……』
乃々(失敗前に巻き戻ったら……)
乃々(だ、誰も、見たことを覚えてない、なんて……!)
乃々(恥ずかしがっただけ……余計に……っ///)ムカムカ
乃々「ふんっ///」ポスッ
ぬいぐるみ?『ウッ』
輝子「あ、そうだ……ボノノさんには言うことがあったな」
輝子「さっきちひろさんから電話があって──」
乃々(……ヤな予感)
輝子「どうやら私も、ボノノさんと同じプロデュースを受けることが決まったらしい……フヒッ」
ぬいぐるみ?『……』ニタァ
~次回予告~
美玲「インストアライブをやるってホントか?!」
乃々「もりくぼは心の平穏を願って生きてきたんですけど……」
P「【アイドル】をプロデュースするのが俺の仕事だ」ニコニコ
輝子「『individuals』……結成、だな」
美玲「このところ何をやっても『失敗しない』んだ」
P「君臨し続けることはトップアイドルの要件だと思わないか?」
美玲「質問したのはこっちだぞ、オマエ!」
乃々「あ、あの、ちひろさん、いきなりで申し訳ないのですけど──」
輝子「つまり……だからその……ま、マで始まる言葉でだな……」オロオロ
P「お前が『2人目』だ」ニタァ
輝子(消えてしまいたい……///)
お楽しみに!
小鳥「1話で打ち切りかぁ」ボリボリサクサク
完。
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