希「え?亜里沙ちゃんが家出した?」 (31)
絵里『そうなの。家出しますって置手紙が…』
希「何か心当たりはあるの?」
絵里『亜里沙がね…友達と泊まりで出掛けたいって言うから』
希「反対したん?」
絵里『だって…あの子はまだ中学生なのよ?心配でしょ?』
希「まあ…場所にもよるけど」
絵里『ねえ、どうしましょう?このまま帰ってこなかったら私…』
希「ちょっと、落ち着くんや」
絵里『今までこんな事一回もなかったのよ?落ち着いていられると思う?外も暗いのに…何かあったら…』
希「だからこそ冷静にやろ?電話じゃあれやし今からそっちに行くから」
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~絢瀬家~
希「で、亜里沙ちゃんが行きそうな所は心当たりないの?」
絵里「亜里沙が行きそうな所?えっと…」
希「普段遊んでる所とか」
絵里「亜里沙が普段遊んでる所…」
希「友達の家とか」
絵里「亜里沙の友達…雪穂ちゃんくらいしか…他の子は会った事くらいしか」
希「そうなん?」
絵里「ええ…」
希「じゃあ、とりあえず雪穂ちゃん所に行くしかないやろ」
~高坂家~
穂乃果「えー?亜里沙ちゃんが家出?」
絵里「そうなの。ねえ?亜里沙来てないわよね?」
雪穂「はい。あの…何かあったんですか?」
絵里「ええ…亜里沙が友達と遠くまで泊まりで出掛けたいって言うから…心配でつい小言を言っちゃったの」
穂乃果「あ~雪穂もさっき行きたいって言ってた奴だね」
絵里「雪穂ちゃんは一緒じゃないの?」
雪穂「お母さんが中学生だけで行くのは危ないからダメって」
希「まあ、やっぱりそうやろうね」
穂乃果「亜里沙ちゃんが行きそうな所とか心当たりないの?」
絵里「それが…」
希「なあ、雪穂ちゃん?友達の連絡先とか分かるかな?」
雪穂「あっ、連絡してみます。ちょっと待ってて下さい」
穂乃果「でも、そっか。絵里ちゃんと亜里沙ちゃんも喧嘩するんだね」
絵里「いえ…喧嘩した訳じゃないのよ。ただ、心配で」
穂乃果「そうだよね。でも、亜里沙ちゃんの気持ちも分からない訳でもないけど」
絵里「そんなの私だって」
希「えりちだってまだ高校生なんやから亜里沙ちゃんの気持ちだって分からない訳やないんよ」
絵里「けど…私は亜里沙の親がわりでもあるから…」
雪穂「あの、今連絡したんですけど」
穂乃果「どうだったの?」
雪穂「誰の家にも来てないって」
絵里「そう…ありがとう」
雪穂「いえ…すいません。力になれなくて」
絵里「いえ、そんな…」
穂乃果「ねえ?海未ちゃん家は?」
絵里「海未?」
雪穂「ああ、そっか」
絵里「あの…どうして、海未の家なの?」
穂乃果「亜里沙ちゃんはμ’sの中でも特に海未ちゃん推しなんだよ。ね?」
雪穂「うん。振り付けも海未ちゃんの所は完璧だし」
絵里「そうだったの…知らなかった。なんか海未の話を嬉しそうにするなとは思ってたけど」
希「じゃあ、海未ちゃん家に行ってみよう」
絵里「ええ、そうね」
穂乃果「私も一緒に行くよ」
雪穂「私も…」
穂乃果「雪穂は家で待ってて?もしかしたら、亜里沙ちゃんが来るかもしれないし」
雪穂「うん…分かった」
~園田家~
海未「亜里沙が家出?」
絵里「ええ…」
海未「一体どうして?」
絵里「それが……………と言うわけなの」
海未「なるほど。私の家には来ていませんね」
絵里「そう」
海未「心配ですね。何か心当たりはないのですか?亜里沙が普段行きそうな所とか」
絵里「さっき希にも聞かれたんだけど…全然見当がつかないの。亜里沙が普段どこで遊んでるのかも普段何をしてるのかも知らない。私はあの子の事を知ってる様で何にも知らない」
希「姉妹だからって全てを知ってる訳じゃないやろ?もし、そうだとしたらそれは過干渉や。えりちが悪い訳やないよ」
海未「希の言う通りです。…が普段から会話がないわけでもないでしょう?何か思い出せる事はないですか?」
絵里「えっと…」
凛「おーい」
花陽「絵里ちゃーん」
絵里「凛?花陽?」
穂乃果「他の皆んなにも連絡しといたんだよ。探すんだったら人数が多い方がいいでしょ?」
凛「今ことりちゃん達が街中を見回ってくれてるにゃ」
絵里「そうだったの…」
花陽「うん。私達も一緒に探すから」
絵里「ありがとう。凛、花陽」
海未「人数も集まりましたし。一体別れて探しましょう」
海未「そうですね。凛、私達は中学校の周辺を探しに行きましょう」
凛「分かったにゃ」
穂乃果「じゃあ、花陽ちゃんは私と一緒に行こう」
花陽「はいっ」
希「じゃあ、ウチ等も街中を探そうか」
絵里「ええ…」
絵里「亜里沙ーーー」
希「亜里沙ちゃーーーん」
絵里「亜里沙ーーーー」
ことり「絵里ちゃん!」
真姫「絵里!」
絵里「二人とも」
にこ「亜里沙ちゃんはまだ見つからないの?」
絵里「にこ。ええ…それが…まだなの」
にこ「そう」
真姫「私達も散々街中を探したんだけど」
ことり「亜里沙ちゃんが好きそうなアイドルショップとかメイド喫茶も見て回ったんだけど…」
絵里「そう…」
にこ「何か手掛かりはないの?」
絵里「ごめんなさい…。何もないの」
にこ「そう」
真姫「ねえ?穂乃果から話は聞いてるけど亜里沙ちゃんが家出した理由って本当に絵里に反対されたからなのかしら?」
絵里「え?」
真姫「私には亜里沙ちゃんが絵里に反対されたからって家出する程聞き分けのない様な子には思えないって言うか。他に家出した理由があるんじゃないのかなって」
絵里「でも…心当たりが…」
真姫「よーく思い返して。もしかしたら手掛かりになる事があるかもしれないわ」
絵里「心当たり………こないだ、亜里沙の楽しみにしてたアイスを間違えて食べちゃったとか…」
希「そんなんで家出はないやろ」
絵里「亜里沙が楽しみしてた漫画の展開をネタバレしちゃったたか」
にこ「それは…やられたらムカつくわね」
絵里「後は……亜里沙が楽しみにしてた録画した番組を容量が一杯だからって確認せずに削除しちゃったり」
にこ「あんた…」
真姫「塵も積もればかしら…」
希「でも、手掛かりになる様な事はないなぁ」
真姫「そうね。それこそ亜里沙ちゃんがそんな理由で家出するとは思えないわね」
絵里「はあ…もう、こんな時間」
ことり「早く探し出さないと」
絵里「皆んな、ごめんなさい。後は私一人で探すわ」
希「えりち?何言ってるん?」
ことり「そうだよ。一人でなんて」
絵里「もう暗いしこんな時間だし…」
にこ「あんたねえ…」
絵里「だってこれ以上皆んなにも迷惑を掛ける訳にも…」
にこ「バカにしないで。迷惑だから何よ。そんなもんいくらでも掛けなさいよ。あんたと私は友達でしょ」
絵里「にこ…」
にこ「友達を見捨てて帰ったら妹達に顔向け出来ないわよ」
絵里「にこ…ありがとう」
にこ「ふん。お礼はイチゴミルクでいいから」
絵里「ええ、分かったわ。それと…」
にこ「何?これ以上は野暮ってもんよ」
絵里「さっきから犬のフンを踏んでるわ」
にこ「………ワザとよ」
ことり「あの…」
希「どうしたん?」
ことり「絵里ちゃんは亜里沙ちゃんとの思い出の場所とかないの?」
絵里「思い出の場所?」
ことり「うん。家出する時って心のどこかで見つけて欲しいって思ってると思うの。きっと、亜里沙ちゃんは絵里ちゃんに見つけて欲しいと思ってるよ」
にこ「どうなの、絵里?」
絵里「…」
海未「神田明神…。まだ探していませんでしたね」
花陽「神田明神に亜里沙ちゃんがいるかもしれないの?」
絵里「亜里沙が日本に来たばかりの時に二人で来たの。まだ亜里沙が日本の事を殆ど分かってなくて。京都にある様なお寺を見てみたいって言ったんだけど。あの子、お寺と神社の違いなんて知らないからはしゃいじゃって」
希「そうだったんや」
凛「思い出の場所なんだね」
絵里「ええ。だから…もしかしたら、なんて思ったんだけど。ここも見当違いだったみたいね」
海未「そうですか」
真姫「また振り出しに戻るね」
穂乃果「ねえ?今更なんだけどさ」
希「どしたん?」
穂乃果「電話はしたの?亜里沙ちゃんも携帯電話は持ってるんでしょ?」
絵里「一番最初にしたわよ」
穂乃果「でも、その後はしてないんでしょ?」
絵里「え、ええ」
穂乃果「今電話したら出るかもしれないじゃん」
絵里「そうね…すっかり頭から抜けていたわ…」
にこ「あんた…」
絵里「今掛けてみるわ」
プルルルル
絵里「……」
プルルルル
希「ん?」
プルルルル
絵里「……」
希「ねえ?近くから電話の音聞こえない?」
海未「ええ。私も思いました。あっちの方から」
絵里「亜里沙ーー」
プルルルル
絵里「亜里沙?いるのね?」
プルルルル
絵里「出て来なさい。お願い、出て来て」
プルルルル
絵里「亜里沙……お願い……」
ザッ
亜里沙「お姉ちゃん…」
絵里「亜里沙…」
凛「亜里沙ちゃん!」
海未「よかった…」
亜里沙「お姉ちゃん…あの…」
絵里「バカァ!!!」
亜里沙「お姉ちゃん…」
絵里「どれだけ心配したと思ってるの。女の子がこんな時間に一人で…何かあったらどうするの」
亜里沙「……」
海未「絵里…何も…」
穂乃果「海未ちゃん」
海未「穂乃果…」
亜里沙「心配…したよね…」
絵里「当たり前でしょ。妹なんだから…心配するに決まってるでしょ…」
亜里沙「うん…」
絵里「あなたを探そうとした時心当たりを聞かれて…私は何も答えられなかった。あなが普段家以外でどこで何をしてるのかも知らなかった。思ったわ。私は亜里沙の事、何にも知らないんだって」
亜里沙「…」
絵里「でも…それでも…矛盾してるかもしれないけどあなたの事を大事だと思わない日はなかったわ。私がお姉ちゃんになった日から一度だって」
亜里沙「うん…」
絵里「友達と泊まりがけで出掛けるのを反対したのだって何も亜里沙を信用してないんじゃないの。ただ、心配だったのよ。過保護だって言われるかもしれないけど仕方ないじゃない。私はあなたのお姉ちゃんなんだから。大切な妹なんだから」
亜里沙「お姉ちゃん…ごめんなさぁい」
絵里「本当に…心配掛けて…皆んなにも迷惑掛けたんだから」
亜里沙「皆さん…グズっ…ご迷惑をおかけしました。ごめんなさい」
花陽「もう、大丈夫だよ」
凛「無事で良かったにゃ」
絵里「はあ…」
希「えりち?」
絵里「良かった…本当に良かったわ…。何もなくて…無事に見つかって良かったわ」
希「流石…お姉ちゃんやな」
穂乃果「さあ、そろそろ帰ろうか?」
海未「そうですね」
絵里「皆んな、今日はありがとう。ご迷惑お掛けしました」
にこ「だから、何度も言わせんじゃないわよ」
真姫「そうよ。にこちゃんの言う通りよ」
絵里「うん。ありがとう」
~高坂家~
雪穂「お姉ちゃーん。亜里沙、見つかったんだって?」
穂乃果「うん。神田明神に居たよ」
雪穂「そっかぁ。私、凄く心配で」
穂乃果「そうだよね?心配したよね?」
雪穂「当たり前だよ」
穂乃果「雪穂……今日一緒にお風呂入ろっか?」
雪穂「え?何急に?嫌だよ。どうしたの急に?気持ち悪いなぁ」
穂乃果「だよねぇ?」
雪穂「うん」
~園田家~
海未「はい。そうですか。お変わりない様で何よりです。いえ、特に用事がある訳ではないのですが。急に声が聞きたくなったので。いえ、本当に何もないですよ。ふふっ、変ですよね?はい、それでは…失礼します」
ピッ
海未「……声を聞いたら会いたくなってしまいましたね」
~南家~
ことり「お母さん?お手伝いする事ない?」
理事長「急にどうしたの?」
ことり「えへへ。お母さんと一緒にお料理したいなと思ったの」
理事長「そう。じゃあ、一緒にやりましょうか?」
ことり「うん。新しいお料理教えて欲しいなあ」
理事長「それじゃあ…」
~星空家~
凛「お父さん。いつもお仕事ご苦労様です。だから、凛のお魚をあげるね?え?お母さん、それは言っちゃダメだよ。でも、お母さんとお父さんには本当にいつもありがとうって思ってるよ!だから…」
~小泉家~
花陽「お父さん、お母さんいつもありがとうございます。え?ううん、何でもないの。何でもないけど…ありがとうございますって言いたい気分なんだぁ」
~西木野家~
真姫「ママ…」
真姫母「なあに?」
真姫「久しぶりにママにピアノを教えて欲しいなって」
真姫母「どうしたの急に?」
真姫「何でもないの。別に何でもないんだけど」
真姫ママ「そう。でも、今日はもう遅いから明日でいい?」
真姫「うん」
~矢澤家~
にこ「ほ~ら。虎太郎?ちゃんとピーマン食べなさい」
虎太郎「や~だ~」
にこ「ダメ。食べなさい。ってここあ?テレビを見ながら食べるんじゃないの。行儀悪いでしょ」
ここあ「え~?でも、お姉ちゃんが大好きなアイドルが出てるよ?」
にこ「え?どれ?」
こころ「でも、お姉さまがNo. 1ですね」
にこ「ま、まあね」
矢澤母「ただいま~」
にこ「あっ!ママ~」
~東條家~
希「うん。え?なんでもないよ?元気にしてるかなって。うん。私は元気。毎日友達と仲良くやってるよ。うん。今度合わせてあげたいなぁ。親友のえりちはね…」
~絢瀬家~
絵里「ほら、何してるの?」
亜里沙「お姉ちゃん…あの…」
絵里「もう、いいから。早く上がりなさい?今日は亜里沙の大好きなボルシチよ?」
亜里沙「うん。お姉ちゃんのボルシチ大好き」
絵里「そう?じゃあ、今度作り方教えてあげるわね?私も昔お母さんに教えて貰ったのよ?」
亜里沙「本当?私にできるかな?」
絵里「大丈夫よ。あなたは私の自慢の妹なんだから」
亜里沙「…うん」
おわり
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