男「はい、真剣に娘さんのことを想っています」
父「で、でも娘はすぐ人に手を出す暴力お」
彼女「余計なことは言わなくていい」ズム
父「うぐぅ……。こ、これだぞ……?」ドシャッ
男「だ、大丈夫ですか?!」
彼女「心配しないで、パパの腹筋は頑丈だから」
男「顔が真っ青なんだけど……」
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父「き、君は娘とつき合ってどれくらいになるのかね……?」ヨロヨロ
男「もう1年になります。ご挨拶が遅れて申し訳ございません」
父「そんなことは気にしなくていい……。それより君はこの1年間に何回ボディに入れられた……?」
彼女「彼氏にそんなことしないってば!」
男「51回です」
彼女「余計なことは言わなくていい」ズム
男「訂正……。52回です……」ドシャ
父「週1のペースじゃないか……」
男「し、しかし娘さんの魅力の前にはこれくらい些細な問題です……。それくらい僕は娘さんを愛しているんです……」ヨロヨロ
彼女「もう、やめてよ! パパの前で恥ずかしい!」ズム
男「53回……」ドシャッ
父「さ、最初の内はそう思うんだ……。私だって照れ屋な娘に何発殴られようが、笑顔で耐え忍んでいた……。遊園地に行く約束をすっぽかして睾丸を右ストレートで破壊されるまではね……」
彼女「そ、そんなの15年も前の話でしょ! まだ根に持ってたなんて……」
父「いや、今ではむしろ感謝してる。思い描いていた家族計画は粉々になったが、こんな感じの息子が生まれてたらと思うとゾッとするからな」
男「ふ、2つともやられたんですか……?」
父「もう1つは娘が生まれる前に家内にこれまた右ストレートでね……。まぁこれは私が悪かったんだが……」
彼女「遊園地すっぽかしたのだってパパが悪いんじゃん!」ズム
父「だが15年前にすっぽかしたことで今更ボディに入れられることはないと思うな……」ドシャッ
男「だ、大丈夫ですか?!」
父「き、君は優しい人だ……。本当に娘と同じ人種なのかね……?」ハァハァ
彼女「ね! いい人でしょ! きっとパパなら分かってもらえると思った!」
父「本当は今すぐにでも娘を誰かに引き取ってもらいたいくらいだ。願わくば殴られて当然の悪漢にでも……」
彼女「なにソレ! 私と結婚することがまるで罰ゲームみたいな!」ズム
父「違うとでも言うのか……?」ドシャッ
男「お、おい! いくらなんでも自分の父親に対してやり過ぎだぞ!」ガシッ
彼女「なんでパパの味方するの!」ズム
男「君に味方したら親父狩りの取り巻きと何も変わらないからだよ」ドシャッ
父「とにかく君はなかなかの好青年だ。わざわざこんな希望すら入ってないパンドラの箱なんかと結婚しなくても、他にいくらでも良い相手が見つかるだろう」
彼女「誰がパンドラの箱だ!」ガコン
彼女「痛ぁ!」
父「ふん、私が鉄板を仕込むのを見落とすとはまだまだだな。どうだ、君も使うか?」
男「いえ、自前のがありますので。流石にスーツに鉄板は非常識かと思ってつけてなかったのですが……」ガチャン
父「全然気にしなくていい。娘といるときは常に非常事態だからな」
彼女「フンッ!」ゲシッ
父「ただ、腹を守ったからといって安心してはだめだぞ」バタバタゴロゴロ
男「弁慶の泣き所にキックボクサーも顔負けのローが……。勉強になります……」ゾオオ
彼女「パパが何と言おうが、私は彼と結婚するから! パパだって周りの反対を押し切ってママと結婚したんだし、何も言えないでしょ!」
父「彼と境遇が似ているからこそ、反対しているんだ! 暴力女と結婚することがどれだけ地獄か!」
母「あたしは結婚して良かったと思うてるよ」
父「ひぃ! いつの間に?!」
母「お茶が入ったけん」ズム
父「ついでにボディも入りました……」ドシャッ
男「鉄板の上から……!」
母「そりゃ結婚したら長いこと一緒に生活するわけやけん、時にはぶつかったりもする。でも愛する人と共に歩んでいくということは何物にも代えがたい喜びなんよ」
彼女「ママ……」
母「刑務所から出たばかりのあたしは本当に孤独やった。そんなときにパパと出会ったんよ。世界が一気に開けた気がした。良いサンドバッグ見つけたって……」
男「け、刑務所に入られてたんですか……?」
母「……ふつつかな娘ですが、どうか幸せにしてやってください」ペコリ
男「……はい、必ず幸せにします」
***
25年後
男「娘を下さいって、君正気かね?!」
おしまい
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