梨子「WHITE AZALEA」 (12)
人の縁とは不思議なもので
思った以上に偶然の連続で出来ている
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あの時水着で飛び込もうとしなかったら?
あの時、新天地での浮かれ気分で外に出てなかったら?
あの子の隣に越してこなかったら?
あの時転校が決まらなかったら?
あの時ピアノに触れていなかったら?
針の穴に糸を通すような出来事の連続で
あの子の言葉を借りるなら…「奇跡」で今、ここにいる
まるでパズルのピースのように
まるで絶えず流れる旋律のように
一つも欠けてはいけない全てが繋がって今の私がある
今日は、練習のない日
そそくさと帰り支度をする私に一つの人影
「りーこちゃん!」
いつものように明るい声色で私に声をかける、橙髪の少女
その童顔の端に隠しきれてない、笑顔
下駄箱を通り過ぎ、階段を登り…どんどん先へと進んでく
柔らかな手に引っ張られ知らないどこかへ、連れていかれる
着いた先は、いつもの屋上
あの子は「開けるね?」なんてわざとらしく、ゆっくりと建て付けの悪いドアを開ける
私だって、鈍くないから…なんとなく気付いてる
たぶん、扉の先には見知ったあと7人の顔
精一杯の笑顔や…これでもかと言うほどのしたり顔で、きっと迎えてくれる
でもね
嬉しそうに扉をあけるあの子を
眺める私の背には…鞄から出した、8輪の花
人の縁とは不思議なもので。
素敵な繋がりが私の世界を作っていく
みんなはまさか私からって、面食らったみたい
私は…なんとなく、みんなの考えのパターンがが分かるようになったと思うんだけど……気のせい?
私ずっと前から、言いたかった事があるの
胸に一輪、言葉を一片
私の奇跡への精一杯の感謝
この花もこの言葉も…また何かを起こして、未来へと繋がっていくのかも?
「みんな、大好きよ」
おわり
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