千歌「誕生日プレゼント何が欲しい? 」梨子「 壁 」(22)

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【部室】

千歌「梨子ちゃん、」

『お誕生日おめでと~!!』

曜「ここに引っ越してきて初めてのお誕生日だね~!! 」


梨子「ありがとう、みんな……!! 」


千歌「はい、誕生日プレゼントだよ! 」スッ


鞠莉「はい、梨子なら絶対喜ぶわよ~! 」ズドーン


梨子「鞠莉さんだけ、サイズおかしくない……? 」

梨子「これ、私の身長の3倍くらいあると思うんだけど……」

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千歌「それでは、全員プレゼントを渡したので…開封の方を、どうぞ…!! 」

梨子「えっとじゃあ、まずは千歌ちゃんのからにしようかな」


パカッ

梨子「これ、ミカンの柄の絆創膏…? 」

千歌「うん! 」

千歌「梨子ちゃんピアノやってるから、指怪我したら大変だなぁって思って! 」

梨子「心配してくれてありがとう、嬉しい……! 」

千歌「喜んでもらえて良かった~!! 」


梨子「じゃあ次は曜ちゃんのやつ」


パカッ

曜「髪留めだよっ♪」

梨子「かわいい~!! 」

曜「良かったー! 」

梨子「音符の形の髪留めだなんて、すっごく嬉しい……!! 」


花丸「マルとルビィちゃんは2人でひとつのものを買ったよ」

ルビィ「ちょっと高価だったから、2人でお金を出したんだぁ」

梨子「なんだろう…」サッサッ

梨子「わっ……お洋服!! 」

梨子「ピンク色のワンピースだ~!! 」

花丸「梨子ちゃんなら似合うなーって、2人で決めたんだぁ」

ルビィ「喜んでくれて良かった! 」


ダイヤ「わたくしと果南さんも2人で買いました」

果南「楽譜の原本をどっさりと買ってきたよ!」ドサァ

梨子「わぁ~! 」

梨子「これ…欲しかったやつだ…!! 」ゴクリ


善子「はい、どーぞ」スッ

梨子「これは…? 」

善子「作曲ソフトの入ったディスク。」

善子「ネットで調べて、評判の良かったものを選んで買ったのよ」

梨子「凄い! 」


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梨子(ついに来たわね……!! )


ズドーン!


鞠莉「HAHAHA~☆」


梨子(小原家の財力が化物並みなのは知ってたけど……)

梨子(見た感じ、真四角で薄いわ。)

梨子(この形、サイズのものって何がある…? )

梨子(大画面のテレビ、大きなチョコレート、巨大な同人誌…)



梨子「まさか……!! 」


ビリッ!ビリビリッ!!


包装紙を破るとそこにそびえ立って居たのは……






梨子「……壁!! 」





.



鞠莉「yes. wall !!」


梨子(私が1番望んでいた物を、この女は看破したというの……!? )チラッ

鞠莉「ふんふふーん♪」


梨子「はぁん…///」ペタッ


千歌「梨子ちゃんが堕ちた…!? 」

果南「壁が欲しかったの…? 」

善子「これのどこが良いの? 」


梨子「え? 」

梨子「善子ちゃん、今なんて言った? 」


善子「え、えっと……」

梨子「魅力が分からないなら、私が今から教えてあげるわ! 」

梨子「全員正座!! 」


一同「は、はいーっ!! 」サッ


梨子「良いですか、壁というのは、本来何かと何かを隔てるものです! 」

梨子「壁を挟んで何かを話し合ったり、敵と壁を挟んで対決したりなどなど……様々なシーンで壁は映えるでしょう!? 」


梨子「ダイヤさん!壁は英語でなんと言いますか? 」

ダイヤ「wall……ですわ」

梨子「そう、wallです。」


梨子「これは、wao.always.les.love(ワオ.オールウェイズ.レズ.ラブ)の略なの。」

梨子「いつ何時でもレズを受け入れる寛大さが壁にはあるの。」


梨子「しかし、レズの気持ちを受け止める寛大さとは裏腹に、崩れやすかったり、跳ね除けてしまったり……」

梨子「意外と繊細な心を持っているのが、そう、壁よ」


梨子「壁ドン、というのが流行っているわよね」

梨子「曜ちゃん、壁ドンについてどう思う? 」


曜「えっと…ドンする側はされる側の表情を楽しめる」

曜「ドンされる側は、する側の迫ってくる感じにキュンとくる……みたいな感じかな」



梨子「ぶっぶー…ですわぁ! 」

ダイヤ「えっ? 」

梨子「あっ……」

梨子「ゴホン、曜ちゃん、少し視点が違うわ。」





梨子「誰も壁目線で考えたことがないでしょう!? 」

一同「!! 」



.



梨子「ドンされる側の鼓動を一番近くで感じているのは壁! 」


梨子「ドンする側の手の温もりを感じているのも壁! 」


梨子「2人の関係を見守っているのも壁!ドンされる側が背後から襲われないように守っているのも壁! 」


千歌「は、はぁ……」

梨子「最近流行りの壁クイはご存知かしら? 」

ルビィ「し、知らないです」


梨子「先ほど紹介したように、壁は繊細な心を持っているわよね。」

梨子「にも関わらず、私たち人間は、壁を障害物や景色の一部としてしか捉えていない。」

梨子「しかし壁クイは違うわ。」



梨子「壁の繊細さに気づき、優しく壁を挑発するのよ。」

梨子「壁クイによって壁を味方につけた上で、壁ドンをするとどうなると思う? 」


.


梨子「そう…壁ドンが1対1から、2対1の状況に変わるのよ。」

梨子「2対1になると、壁ドンする側の精神力が全然違うわ。」

梨子「1対1の時よりも、もっと過激に受けを責めることが出来る。」


梨子「ご飯を食べる前のいただきますのように、壁クイとは、壁ドンを更に上のレベルへ上げるための下準備なの」

梨子「人間と壁が織り成す、この絶妙な関係……どう? 」

梨子「ハァ…ハァ…魅力が伝わったかしら……? 」




千歌「え、えーっと……梨子ちゃん……」




千歌「私たちと梨子ちゃんの間に壁を感じる」




梨子「その壁は嫌ぁぁぁあ!! 」




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おしまい

梨子ちゃんお誕生日おめでとう!

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