モバP「かゆ……うま……」 (48)
―昼食―
モバP(以下P)「唐揚げうめぇ」モキュモキュ
ちひろ「プロデューサーさんって、本当に唐揚げが好きですよねぇ」
P「はい、大好きですよ。これから一生一種類しか食べれないなら何を選ぶか聞かれたら、唐揚げを答えるくらいには好きです。まぁ、厳密に言えば鳥肉が好きですね。」
ちひろ「筋金入りですね……。まぁ、確かに言われてみればプロデューサーさんってお昼は、毎日唐揚げ弁当ですものね」
P「( ・´ー・`)」
ちひろ「いや、そこでどや顔する理由が分かりませんけども。どや顔が許されるのは幸子ちゃんまでですよ」
P「幸子って、なんであんなにどや顔が可愛いんでしょうね?」
ちひろ「ですよねぇ」
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P「さて、飯も食べ終わりましたし……仕事再開しますか」
ちひろ「まだお昼休憩終わってないのに、プロデューサーさんは本当に働きものですねぇ」モキュモキュ
P「はっはっは、これもアイドルの為ですよ」
ちひろ(そうやって、プロデューサーさんは朗らかに笑います。だけど、まさか……それが最後の笑顔になるだなんて夢にも思いませんでした……)
―2時間後
P「……」モゾモゾ
ちひろ(ご飯を食べてから2時間後、何やらプロデューサーさんが体を小刻みに揺らしながらパソコンを操作しています)
ちひろ「プロデューサーさん? どうかしたんですか?」
P「へ? あぁ、いや何でもないです。気に障ったならすみません」
ちひろ「いえ、別に怒ってるわけではないんですが……少し気になったもので。何でもないんならいいんです。お仕事の手を止めちゃってすみません」
P「いやいや、こっちこそなんかすみません。……さて、仕事仕事」
―さらに30分後
P「……っ!」ガリガリガリ
ちひろ(あれから、さらにプロデューサーさんが鬼のような形相で背中を物凄い勢いで掻いてます……)
ちひろ「あの、プロデューs P「あぁぁぁぁぁぁ、かゆいかゆいかゆい!」」
ちひろ「⁉」
P「んほおおおおおお! 背中がかゆいのおおおおおおお!」
ちひろ「プロデューサーさん⁉ 本当にどうしたんですか⁉」ワタワタ
凛「プロデューサーの嬌声が聞こえたんだけど、どうかしたの?」
ちひろ「あ、凛ちゃん! 大変なんです、プロデューサーさんが急に狂ったように背中を掻き始めて……!」
P「ひぃ……ひぃ……っ」ガリガリガリ
ちひろ「あぁ、今度は雛見沢症候群ばりに首を掻きむしってる……!」
凛「まさか、スタドリの影響……?」
ちひろ「失敬な。そんな危ない成分は入ってないと思います!」
凛「せめて、そこは断言しようよ」
凛「プロデューサー? 本当にどうしたの? ちひろさんにスタドリ盛られた?」
P「いや、違うんだ! なんか、急に体中が耐えられないくらいに痒くって掻かないと精神がやばい!」ガリガリ
凛「……プロデューサー、ちょっとごめんね」ベロン
P「キャア! 急にシャツをめくらないでよ///」
ちひろ「いい年したおっさんが何を顔を赤らめてひぃぃぃ⁉」
凛「これは……ちょっと私でも引くかな……」ドンビキ
P「え、ちょっと二人ともどうしたんだ?」ガリガリガリ
凛「はい、鏡。これで、背中見てみてよ」
P「背中? 背中がどうし……ひいいいいい⁉ 背中が湿疹だらけできもい!」
P「え? なにこれ、何かのやばい病気?」
ちひろ「と、とにかくただ事ではないですから至急病院に行ってください!」
P「で、ですがまだ仕事が……」
凛「そんな事言ってる場合じゃないよ。きらり!」
きらり「にょわぁ!」
P「うぉ、きらりどっから出てきた⁉」
凛「きらり、プロデューサーを病院に運んでくれる?」
きらり「きらりにお任せにぃ☆」
P「あ、ちょ、こらきらり! 俺をお姫様抱っこするんじゃない!」ワタワタ
きらり「もう、Pちゃんったら暴れちゃだめぇ☆ さ、病院いこ?」ギュンッ
ちひろ「きらりちゃんがプロデューサーさんを抱えて窓から飛び降りてった……」
―翌日なのだ―
ちひろ「鳥肉アレルギー?」
P「みたいです……。今は薬で何とか抑えてますが、服が擦れる度に違和感が半端ないです」ズーン
ちひろ「アレルギーって、そんなに急になるものなんですか?」
P「えぇ。基本的にアレルギーは前日まで大丈夫でも翌日に急になったりとかザラなんですよ。それにしても、まさか鳥肉アレルギーにまでなるとは」
ちひろ「……まで?」
P「えぇ、実は俺花粉症も患ってまして、ブタクサ以外アウトなんですよ」
※ブタクサ
キク科ブタクサ属の一年草。
P「あとは、ハウスダストもアレルギーだし、金属もダメですね」
ちひろ「役満じゃないですか」
P「花粉とかハウスダストは耐えられるんですけど、鳥肉アレルギーは正直精神的ダメージがでかいですねぇ」
ちひろ「プロデューサーさん、鳥肉大好きですもんね」
P「生まれた時からアレルギーならまだしも、その美味さを散々知ってからの禁止は堪えますよ」
ちひろ「それって、もう治らないんですか?」
P「どうですかねぇ。花粉症とかも二十年来の付き合いですし望み薄でしょうね」
凛「何が望み薄なの? 頭?」
P「まだハゲてねーし。ちょっと髪の毛が後退守備してるだけだし」
ちひろ「おはようございます、凛ちゃん」
凛「おはよう、ちひろさん。プロデューサー。それでプロデューサー、あの後大丈夫だったの?」
P「実はモバモバちひちひで」
凛「しぶしぶりんりんなんだね……って、大丈夫なのそれ?」
P「大丈夫じゃないよ……鳥肉禁止ってあれだぞ? ちひろさんに稼ぐの禁止って言うようなものだぞ?」
凛「それは……精神が崩壊しかねない出来事じゃないの? プロデューサー、耐えれるの?」
ちひろ「貴方達は私を何だと思ってるんですか?」
P「悪魔将軍」
凛「千川ちひろ」
ちひろ「誠に遺憾である。凛ちゃんに至っては、ただのフルネームのはずなのに凄い貶められている気がします」
P「まぁでも、なっちゃったものは仕方ないし受け入れるさ。なぁに、世の中食い物は鳥肉だけじゃないんだ。何とかなるさ!」
凛「あんまり無理しないでね。もし、困ったことがあったら相談に乗るから」
P「ん? 今、何でもするって……」
凛「プロデューサーが望むなら、私は何でもするよ?」ヌギ
P「すみません、悪ふざけが過ぎました。だからいきなり服を脱ぎだすのはやめてください」ドゲザッ
凛「ふふっ、私も冗談だから気にしないで」
ちひろ(そう語る凛ちゃんでしたが、その眼は真剣そのものでした)
ちひろ(それからしばらくは、プロデューサーさんにも特に変わりなく毎日が過ぎていきました)
P「……」モグモグ
美嘉「あれ? 珍しいね。プロデューサーが唐揚げ弁当を食べてないなんて」
P「あぁ、実は鳥肉アレルギーになっちゃってな。鳥全般が駄目になったんだよ」
美嘉「うわマジで? それってかなりやばくない?」
P「まぁ、今のところは豚肉や牛肉は食えるから平気かな。鳥肉食べなきゃ死ぬわけじゃないし」
美嘉「プロデューサーの場合、割とマジでありえそうだから恐いよね」
P「流石にそこまで俺も鳥肉ジャンキーじゃないってーの」
美嘉「アハハ、そうだよね! ごめんごめん☆」
ちひろ(最初の数日は、そうやって笑いながら自分のアレルギーを話題のネタにするほど前向きに過ごしていたプロデューサーさんでしたが……1か月ほど経った頃から、様子がおかしくなっていきました)
P「……」ゲッソリ
ちひろ「プロデューサーさん……痩せました?」
P「あぁ、分かりますか?」
ちひろ「頬がこけていれば、流石に気付きますよ。そんなにつらいんですか?」
P「辛いというかなんというか……ちょっとアレルギーを甘く見てたなって思いまして」
ちひろ「というと?」
P「俺、基本的に自炊はできないんでスーパーの総菜を買ってるんですけど、総菜ってアレルギー表記のシールが貼ってあるじゃないですか」
ちひろ「あぁ、ありますね」
P「いざ、あれを確認してみるとまぁ鳥肉を含む総菜が多いこと多いこと。八割くらい鳥肉を含んでましたよ。明らかに鳥肉だってわかるのはいいんですが、一部に鳥肉含むとか書かれていると入ってないってわかってても怖くて食べれませんよ」
ちひろ「鳥肉は安価ですからねぇ」
P「美味しそうな弁当だと思ったら、名前に『若鶏』とかついてた時は殺意が湧きました」
ちひろ「そ、そこまでですか……(ぷ、プロデューサーさんの目がすわってて若干ゃ恐い……)」
P「あと、ラーメンが食べられなくなりましたね」
ちひろ「え? いや、流石に鶏ガラはだめでしょうけど魚介とかトンコツとかはいいのでは?」
P「と、思うじゃないですか? この間、未央達とラーメン食いに行ったんですけどね? 念のため鳥を使ってないか聞いたら、全部に入ってるって言うんですよ」
ちひろ「は?」
P「トンコツ(トンコツとは言ってない)状態で、結局自分はサイドメニューのチャーシュー丼しか食べませんでしたよ。未央のあの申し訳なさそうな表情は忘れられません」
P「まぁ、そんなわけで予想以上に食うものが制限されて結構精神的にやばいんです」
ちひろ「す、凄まじいですね……」
ちひろ(そして、さらにその数日後……ついに事件は起こりました)
菜々「おっはようございまーす! 今日もウサミン星からビビビっと元気にやってきましたよー!」
ちひろ「あ、菜々さんおはようございます」
菜々「だから、ナナは十七歳だから敬語はやめてくださいって言ってるじゃないですか!」
ちひろ「すみません、菜々さんには何故か敬語が使いたくなりまして……」
菜々「もう! またそうやって敬語を……って、そういえばプロデューサーさんはどこに……」
ちひろ「そこのミイラがプロデューサーさんよ」
菜々「へ? ……ひぃ! 即身仏! 昔流行った人魚のミイラみたいになってます!」
P「ウ……ウッサミーン……」
菜々「あぁ、よかった。生きてましたね……。っていうか、休んだ方よくないですか⁉」
ちひろ「私もそういったんですけど、プロデューサーさんが」
P「アイドルを……放って……休めるわけ、ないだろう……」
ちひろ「という感じですごく頑固で休もうとしないんですよ」
菜々「その気合は賞賛に値しますし、尊敬もしますけど……それでプロデューサーさんが倒れたら事務所のみんなが悲しむんですよ? もちろん、ナナだって泣いちゃいます」
P「菜々さん……」ウルウル
菜々「プロデューサーさん。ナナにできることがあったら、何でも言ってくださいね? ナナができることなら、力になりますよ!」
P「なん……でも……」
菜々「はい、なんでも! あ、でもでも! その、えっちなことはいけないと思いますよ? ナナは、アイドルですから健全なのでお願いします!」
P「健全な事……。そういえばさ……」
菜々「はい!」
P「ウサギって、昔は鳥扱いだったんだよな? その名残で数え方が1羽2羽なんだっけか……」
菜々「……はい?」
P「いただきます(食欲的な意味で)」
菜々「」
P「あいむはんぐりー!」
菜々「きゃー! いやー! ナナは食べてもおいしくないですよー!」
凛「プロデューサー!」
ちひろ「あぁ、凛ちゃん丁度いいところに! プロデューサーさんの暴走を止めるのを手伝ってください!」
凛「食べるなら私を食べなよ! 性的な意味で!」
ちひろ「知ってたよちくしょうめぇ!」
響子「プロデューサー!」バンッ
ちひろ「管理人さん!」
響子「そっちの響子じゃないです! プロデューサー、これを食べてください!」
ちひろ「それは……唐揚げ⁉ ダメです、今のプロデューサーさんは鳥肉アレルギー! 唐揚げを食べるなんて自殺行為です!」
P「カラ……アゲ……! カラアゲェ!」バッ
響子「たくさんあるので好きなだけ食べてください」
P「ガツガツガツ」
ちひろ「あぁ……もうだめだぁ……おしまいだぁ」
P「痒くない……美味い……かゆ……うま……!」
ちひろ「え、プロデューサーさん。平気なんですか?」
P「えぇ、全然平気です。……響子、この肉はいったい? 味は鳥に似てるけど」
響子「それは」チラッ
菜々「?」
響子「ウサギ肉です」
菜々「」
響子「世間一般では、ウシガエルの足の唐揚げが鶏肉に似てるって言われてるんですが、実際は見た目は確かに似てるんですけど味はあっさりとしていて白身魚に近いんです。どっちかというとウサギ肉の方が近いかもしれません」
P「なるほど、確かにこれは鳥肉に近いと言わざるを得ない」モグモグ
響子「最初はウサギ肉を調理するのも抵抗があったんですが、プロデューサーの為にと思って心を鬼にしました!」
P「俺の為にそこまで……おかげで、おれはしょうきにもどった! 本当にありがとう」
響子「いえ、喜んでいただけなのなら嬉しいです///」
菜々「」
P「俺……これからは、ウサギ肉を食べることにするよ。あ、でもスーパーには普通は売ってないから通販とかで買って自炊しないとな……」
響子「そ、それじゃあ私が毎日作りに行きましょうか?」
P「それはありがたいけど……いいのか?」
響子「プロデューサーのためですから///」
P「響子……ありがとう! これから、俺の為に毎日料理を作ってくれ! お前のウサギ料理が食べたいんだ!」
響子「はい!」
菜々「」
凛「」
おわ凛
先週、鶏肉アレルギーになったのでむしゃくしゃして書いた
ラーメンのくだりは実は実話です
アレルギーは、まじで誰でもなる可能性があるのでなった時は諦めましょう
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