その日、小さな村で、ある女性があたたかい命を生みました。
小さな小さな女の子を生みました。
女の子は、輝く紋章をその拳に宿していました。
父親が言います。
我が娘に、紋章が宿った!
父親は大喜びです。
母親が言いました。
どうして私の子どもなの!
母親は哀しみました。
古くから村では、100年に一度、勇者を受け継ぐ子どもが誕生すると言われていました。
父親が娘を抱き上げ、言います。
村の長老に正規の焼き印を捺してもらわないといけないよ。
母親は首を振ります。
女の子の手に焼き印だなんて、とんでもない。
母親は娘が勇者になるのは反対でした。
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母親は父親の腕を掴んで赤ん坊を取り上げます。
そして、泣きながら、睨み付けました。
勇者になれば様々な魔物と戦わなければならないです。
危険な場所にも訪れることでしょう。
どうしても長老の所に行くのなら、私はこの子と死にます。赤ん坊が泣き始めました。まるで、母親の憤りを感じているようでした。
父親はそんな二人を見て、しぶしぶその時は諦めたのでした。
父親の祖父は元々勇者の従者でした。
母親は彼からその旅の冒険譚を何回も聞いていました。
祖父は決して派手な活躍があった訳ではありません。
けれど、弱き者の気持ちを察することのできる優しい人でした。
ただ、彼は勇者に引け目がありました。
本当は彼だって勇者になりたかったのです。
そして、それを聞かされ続けた父親もまた、勇者になりたかったのになれなかった、選ばれなかった人間でした。
娘が生まれて、数日が経ちました。
村の長老は、勇者の存在を、村の斥候により少し前から知っていました。
長老は生まれてくる勇者が女の子であることも知っていました。
しかし、勇者に選ばれたのは事実です。
種があるからこそ、天は輝きを授けるのです。
母親は子の誕生を心待ちにしていました。
長老はそれも知っています。
ただ、それら、全て、大義の前では求めてはならないのです。
長老は斥候を遣わせて、父親に赤ん坊を連れてくるよう言いつけました。
その夜、父親は食事を残しすぐに部屋に引き上げました。
疑問に思った母親は、部屋の扉を叩き、具合が悪いのですか、と尋ねました。
顔を出した父親は少し暗い表情をしていました。そんなことはないよ、と言います。
子どもの世話で疲れていた彼女も、あまり深くは追及しません。
お酒の入った樽を手渡し、部屋に戻り床につきました。
父親は、樽のお酒をぐいっと一気に飲み干しました。
ちょっと出かけてくる
_
(;゚∀゚)「───、ですが」
(=゚ω゚)ノ「ジョルジュ=オッペル陸軍少尉、お前はいつから国際政治の評論家になった?」
イヨウ中佐は突然顔を上げ、尋ねる。
独特の語尾もなく、少しドスの利いた、はっきりとした口調での「詰問」。さっき首相を説得していたときよりも更に険しい目つきで、加えて言えば頬も僅かに紅潮させて中佐はジョルジュを睨み付けていた。
俺はこの数時間で初めて、明確に「怒り」を露わにした中佐を目にした。
(=#゚ω゚)ノ「少尉、貴様の政治思想なんてどうだっていい。貴様がどこまでわめき散らしても、祖国に訪れる危機もロシア政府の決定も覆らない。
変わらない現実を嘆くのではなく、祖国と国民を守るために全ての力を注げ!それが貴様に、今課せられた仕事だ!!」
_
( ゚∀゚)「…………」
一瞬の沈黙の後、ジョルジュはさっと背筋を伸ばして中佐に向かって敬礼した。
_
( ゚∀゚)「Jawohl!!」
ジョルジュに限らず、中佐の檄に誰もが目の色を変えて地図に向き合い、各自が必死に頭を回転させる。
(;'A`)「………!」
本当はこの会議をしている時間さえ惜しいが、状況を見極めず闇雲に動いても事態は間違いなく悪化に繋がるだろう。逸る気持ちを抑えて、俺もまた身を乗り出してどこかに活路はないかと隅から隅まで地図を凝視する。
決定されたのは、あくまでも“36時間後の”核兵器の投射だ。サイ大尉が言うとおり繰り上げの可能性も否めない以上安心するわけにもいかないが、逆に言えば流石にロシアも国際的な批判を“完全無視”と決め込めるほど戦力に余裕はない。
特に、アメリカと日本がロシアの核兵器使用に沈黙しているとは思えない。
アイオワが実装されるまでは艦娘抜きで深海棲艦の攻撃をほぼ完全に退けてきた超大国と、二万隻越えとも言われる艦娘戦力を保有する【東洋の盾】との関係が決裂すれば、現段階では駆逐艦ヴェールヌイしか所持していないロシアは国防計画に致命的な傷を負うことになる。
加えて言えば肝心のヴェールヌイさえ、日本の駆逐艦響が改造されたものを一部転用して貰っている身の上だ。日本との関係が断絶すれば、今後ロシアは艦娘の補充も整備も遙かに劣る自国の技術で行わなければならない。
つまり、ロシアは核兵器を“即座に”使うことはあり得ない。アメリカへの非公式通知が大尉達が突入する前に布告されたものとなれば、まだ2時間も経過していない。国際社会に“我慢”としてアピールするには、流石に間がなさ過ぎる。
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