東京の大学を卒業して、そこそこ有名な企業に就職
職場の人間関係は悪くないけど、仕事が忙しくて毎日残業して、休日も仕事して
たまにある一日だけの休日も疲れて家から出ない
もうそんな生活が2年続いている

梨子「はぁ・・・、なんでこの仕事してるんだろう」

この仕事に特別な思い入れはないが、給料は悪くない、寧ろ同年代ではかなりもらっている方だ
だけど、使う暇がないから溜まる一方
同僚や上司と飲みに行くけど、大抵上司が奢ってくれる
恋人もいないし、友達とも会える時間がない

梨子「みんな、元気かな・・・」

たまにある休日の昼下がり
ベッドでゴロゴロしながら、決まっていつも千歌ちゃんや曜ちゃんの事を考える
最後に会ったのは成人式の前日
当日に会いたかったけど、地元で仲の良かった友達との約束があったり、同窓会があったから前日に内浦へ会いに行った
顔を見て話して、写真を撮ったのはそれが最後

梨子「連絡しちゃ、迷惑だよね・・・」

3人だけのLINEのグループはあるけれど、頻度はかなり減った
当たり前だが、環境が変わったのだから当然の事だ
けれど、私にとって特別な2人
寂しいと言えば嘘になるが、私の我儘で迷惑をかけたくない

梨子「今回の休日も、何もしないで終わっちゃうのかな・・・」

そう独り言を言った後、目を閉じた

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昼寝から目覚めたのは夕方18時頃
お昼ご飯を食べていないからお腹が空いてる、けど作るのはめんどくさい
冷蔵庫に冷凍食品もない
出前を取るかお弁当にするか迷った後、結局近所のスーパーでお弁当を買うことにした
行くついでにいつでも食べれるカップ麺を買っておこうと思いながら、家を出た

テレビを付けて、スーパーで買ってきたお弁当を食べながらスマホを見るとLINEの通知が入っていた
確認すると、あの特別な、3人だけのグループだった

千歌:2人とも久しぶり！元気にしてる？

曜:おお、久しぶりヨーソロー！私は元気だよ！千歌ちゃんは？

千歌:忙しいけどなんとかやってるよ(笑)

曜:なら良かった！仕事忙しくて全然会ってないもんねー

千歌:それ！それなんだけど！

曜:どうしたの？

千歌:今度ウチの旅館、建て替えることになったんだ～

曜:えぇっ！？って思ったけど、私が生まれる前からあるもんね

千歌:そうなんだよ～
それで、今度のGWを最後に暫く休業するんだけど、最後に温泉入りにくるかなーって思って！

曜:おぉ！貸し切りって事でありますか！？

千歌:んー、まぁそうだね！

曜:行く行く！絶対に行く！いつ行けばいい？

千歌:曜ちゃん落ち着いて(笑)
○月○日だよ！予定空いてるかな？

曜:その日から二日間休みだから大丈夫！絶対に行くよ！

千歌:了解！梨子ちゃんは？

曜:梨子ちゃんもおいでよ！

気付いたら目から涙が溢れていた
高校時代と同じ、なんてこない普通のやり取り
だからかもしれない、安心してしまった
そして、この日は何があっても絶対に休むと決め

梨子:久しぶり！私も絶対に行くから！

と返信した

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そして次の日、嫌な顔をされるんだろうなぁ、と思いつつ上司に有給申請を出したら

「3日ぐらい取って息抜きして来い」

と、予想外すぎる返事が返ってきた
後で同僚から聞いた話だが、上司は
「桜内は全然休まないから心配してた、連休を取らせる良い機会だ」
と言っていたらしい

これで泊まって帰れる余裕もできた