お嫁さん 高垣楓 三船美優 (3)

「美優さんの子供の頃の夢って何ですか?」
「急にどうしたんですか、楓さん」
「ほら。幼稚園だったり、小学校の時によく自己紹介で書いたりするあれです」
「そうですね…たしか、“お嫁さん”だったでしょうか」
「わぁ、大胆ですね。子供の頃の美優さん」
「や、やめて下さい。楓さん。子供の頃はそういうものではないでしょうか」
「うふふ。それもそうですね」
「楓さんはどうだったんですか?」
「どうだったでしょうか。あまり覚えていませんね」


「あっ、楓さん。もう来てたんですね」
「どうも。似合っていますね、美優さん」
「もう、お世辞はいいです。私なんかでは不釣り合いですよね」
「いいえ。今までの美優さんの中で一番綺麗ですよ」
「そ、そんな。あ、ありがとうございます」
「おめでとうございます。夢、叶いましたね」


あの人と美優さんはお似合い。純白のウェディングドレスも。あの人とお揃いの指輪も。
式は何事もないまま、進んで行く。


式の帰り道。私は泣いた。これまでにないくらい。生まれてきた時と同じくらい。もしかしたら、私は生まれ変わりたかったのだろうか。今になってそんな事を考える。


好きでした。美優さん。
少し悲しくって、悔しくって、胸が苦しくなって、こんな自分が情けなくなってしまいます。

幸せになって下さい。

こんなありふれたような言葉しか言えない私だけど、世界で一番貴女を愛していました。


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