最原「それでも僕はゴン太くんを信じたい」 (56)
注)
・優しい世界
・ネタバレ注意
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…………
……
王馬「だーかーらー! 俺のアバターに特殊設定があった以上オレに入間ちゃんを殺せるはずがないんだってー」
王馬「さっきから散々話合ったでしょ? 入間美兎を殺した犯人は、獄原ゴン太なんだってよォ!」
百田「終一! テメーはゴン太より王馬を信じるのかよ!?」
王馬「ゴン太以外にこの犯行が可能な人物はいないんだよ? それは今最原ちゃん自身が説明してくれたよね?」
王馬「最原ちゃーん! この意地っ張りに何か言ってやって――――」
最原「僕は、僕はゴン太くんを信じたい……」
最原「いや、僕はゴン太くんを信じる!」
王馬「……」
王馬「……は?」
最原「もう一度最初から事件について考えてたんだけど、やっぱりそうだ」
最原「ゴン太くんが共犯である事実は覆せないけど、犯人じゃない可能性もあったんだよ!」
百田「ほ、本当か終一!?」
王馬「ちょっ何言ってんのさ! そんな可能性あるわけないじゃん! オレのアバターにあった特殊設定を忘れたの!?」
最原「さっきの推理だと、ゴン太くんは後ろから入間さんの首を絞めたって話だったよね?」
最原「プログラム世界のものは壊れない。だからトイレットペーパーでも人を殺せる」
最原「これを言い換えればトイレットペーパーは絶対に壊れない長い縄だったんだ」
最原「そしてゴン太くんが入間さんの首を絞めたんじゃなくてトイレットペーパーで入間さんの体を縛ったとしたら?」
最原「首を絞めることが出来たなら体を縛る事も出来たはず」
最原「こうしてトイレットペーパーで縛られ身動きできなくなった入間さんを、王馬くんが余ったトイレットペーパーを使って絞殺したんだ」
最原「この方法なら王馬くんは入間さんに直接触れる事無く入間さんを殺すことが出来るんだ!」
キーボ「なるほど……。これなら王馬クンにも犯行は可能ですね!」
夢野「んあー! これもウチの魔法で最原の脳細胞を活性化させたおかげじゃな!」
白銀「微妙に科学チックな魔法なんだね……」
王馬「いや、ちょっと待って。訳がわからないんだけど?」
王馬「今の今までずっとゴン太が犯人だって話だったじゃん?」
王馬「最原ちゃんだってゴン太にしか犯行は不可能だって言ってたよね?」
王馬「なのになんで今更全部反故にするような事言うのさ!」
王馬「こんなのどう考えたって無理だって!」
王馬「トイレットペーパーで体を縛るぅ? 無理無理! 首を絞めるのと体全体を拘束するの」
王馬「どっちが難しいかなんて考えなくても分かるだろ!」
王馬「例え体の拘束が出来たとしても、ほんの少しでも入間ちゃんの体に触れたらオレは行動不能になる!」
王馬「こんな無謀な賭け、試す価値がないどころかそもそも成立すらしてないじゃん!」
最原「確かに! 僕が今話したことが真実とは限らない……」
最原「けど、僕は。僕が信じたいものを信じるよ」
最原「そして、僕はキミじゃなくてゴン太くんを信じることにしたんだ」
最原「いや、僕は信じているのかもしれない。ゴン太くんに殺人を行わせなかった王馬くんが居る可能性を……」
最原「それじゃあ、投票タイムに行こうか。僕は王馬くんに投票するよ。けど、みんなはみんなが後悔しない選択をして欲しいんだ」
王馬「いや、ちょっと待ってってば……」
百田「おう! テメーら! 投票すんのは王馬だぜ? 間違えてもゴン太に投票すんなよ!」
春川「そんな大声出さなくても聞こえてるよ。ゴン太と王馬、どっちが怪しいかなんて決まってるし」
白銀「わたしはもう押したよ! 誰に押したのかは言わなくてもいいよね?」
夢野「んあー。ゴン太が犯人で無いことはウチの予知魔法で分かっておったわい」
キーボ「ボクは内なる声に従います! 内なる声なら……きっと、正しい答えを選んでくれるはずですから」
ゴン太「王馬君……。ゴメン……でもやっぱり、ゴン太は信じたくないよ」
ゴン太「ゴン太が……大切なみんなを傷つけて、ましてや殺してしまったなんて……」
王馬「いいから話を聞けよな!!」
王馬「オマエラ! 良いのか!? このままだと本当にオレが最多票でクロ扱いになっちゃうんだぞ!?」
王馬「オマエラ全員おしおきされるんだぞ!?」
最原「今までの行動を振り返ってキミとゴン太くん、どっちの方が信用出来るか聞いてみなよ」
百田「取り敢えず俺からだな! 学級裁判を毎回のように引っ掻き回したり」
春川「モノクマーズパッドを盗んだり」
白銀「ゴン太くんを騙して昆虫でなごもう会を開いたり」
キーボ「ロボット差別発言を言い続けたり」
ゴン太「えっと、えっと……いつもゴン太と遊んでくれたりしたよね!」
最原「キミが何をしようとしていたのかはもうわからないけど、表に出さないとわからないこともあるんだよ?」
最原「……これに関しては、赤松さん達も一緒だけどね……」
モノクマ「はーい、残りはもう王馬クンだけだよー! 早く投票しないと強制的におしおきだからね?」
王馬「あっ……」
王馬「嫌だ! こんなところで終わるなんて絶対嫌だ!! まだオレはゲームに勝ってないんだ!!」
モノクマ「うぷぷぷ。さて、投票が終わったようなので、さっそく結果発表にいきましょうか!」
王馬「待てよモノクマ……待てって! 待てって言ってるだろ!!!」
モノクマ「嫌です! 待ちませーん!」
王馬「ああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
【ドッキリ大成功!】
王馬「へ……?」
王馬「え……あ、……は?」
最原「やったね! ドッキリ大成功だよ!」
キーボ「王馬クンのマヌケ面もキチンと撮影しましたよ!」
赤松「上手く行って良かったー……」
茶柱「赤松さんはそんなことを心配してたんですか!?」
夢野「ウチの未来予知は百発百中じゃからな! 外れるわけがないんじゃ」
茶柱「その通りです!」
アンジ―「それって魔法と言うよりも超能力だよねーって神様も言ってるよー!」
東条「今回の依頼もキッチリ完遂したわ」
星「まあ、こっちとしちゃあ暇なだけだったんだがな」
天海「星くんなんてまだマシっすよ。俺がやったことなんて、本当にただ意味深なことを言っただけっすからね……」
白銀「は? 天海くんってばわたしの目の前で赤松さんとイチャコラしてたのもう忘れちゃったの?」
入間「ほー。そりゃあ良い事を聞いたぜ! なー! 最原ァ! デブ松がお前の事より天海の方が好きだってよー!」
入間「こんなやつほっといてオレ様に鞍替えしちまえよ!」
春川「そういうのみっともないしやめなよ。さもないと……殺すよ?」
百田「まーまー、ハルマキもかてーこと言うなって! 入間もはっちゃけてー気分なんだろ?」
春川「……百田がそう言うなら、やめとく」
真宮寺「ククク……人間っていいよネ!」
ゴン太「どうだった? ゴン太、上手く出来てたかな? 王馬君も楽しんでくれたかな!?」
王馬「ちょっ、何? 何が起きたの?」
白銀「だから何度も言ってるよね? 今までの事はぜーんぶドッキリ。『嘘』だったんだって!」
白銀「いやぁ苦労したんだよ? 生半可なドッキリじゃ王馬くんには見破られそうだったから」
白銀「入間さんにお願いしてサブリミナル的に記憶を刷り込むライトを作ってもらったり」
白銀「殺される皆の精巧な人形をアンジーさんに作ってもらったり」
白銀「より一層リアルなコロシアイを演出するために最原くんにアドバイスをもらったり!」
白銀「ほんとーに色々頑張ったんだよ?」
王馬「なーるほど。オレはみんなにすっかり騙されちゃったって訳だね! いやあまさかこのオレが嘘をつかれるなんて予想外だったよ!」
王馬「ここまで説明してくれたってことは、白銀ちゃんが中心になって進めてたって認識で良いんだよね?」
王馬「それなら、なんのためにこんな大掛かりな事を仕組んだりしたのさ」
赤松「え? まだわからないの?」
入間「はー……。これだから理解力に乏しい凡骨馬は……」
最原「まあ、あんな内容のドッキリのネタ明かしをした直後だし仕方ないよ。因みに王馬くん、今日は何の日か覚えてる?」
王馬「何の日って……どういう意味さ」
ゴン太「王馬君! いくらゴン太でも自分の誕生日を忘れてるフリをしてる嘘くらいなら見破れるよ!」
ゴン太「だって王馬君の通信簿に書いてあるからね!」
王馬「あ、そういえば今日って……」
「「「「「「「「「「「「「「「誕生日、おめでとう!!」」」」」」」」」」」」」」」
百田「いやあめでてーなぁ!」
最原「頑張って準備した甲斐あったね!」
白銀「先生達に無理言ってお願いしたからね。地味にじゃなくて派手に成功してくれないと困るよ!」
赤松「そういえば先生をどうやって説得したの? まさかドッキリをしたいって理由で通ったわけじゃないと思うけど……」
白銀「あー、それはね。皆の才能の実技ってことにしたんだよね。ほら、アンジーさんや入間さんには技術提供をしてもらってるわけだし」
キーボ「なるほど! つまりはゴリ押しってことですね!」
夢野「んあー……。そんなはっきり言い捨てるでない。これだから血も涙もないロボットは……」
キーボ「ちょっ!? 夢野さん! まさかアナタもロボット差別ですか!?」
王馬「……盛り上がってるところ申し訳ないんだけど、オレの誕生日って実は違う日なんだよねー……」
百田「」
最原「」
キーボ「」
白銀「」
星「」
東条「」
天海「」
夢野「」
茶柱「」
アンジー「」
入間「」
春川「」
真宮寺「」
赤松「」
ゴン太「えっ、えええええええっ!?!? だって通信簿には今日の日付が書いてあるよ!?」
王馬「あ、それ? 嘘だよー! だって悪の総統がそんなところに個人情報垂れ流すわけないじゃーん!」
王馬「……オレの誕生日は六月二十一日だからね? これはホントだよ! だから次はもっと頑張ってよね!」
~~~王馬の部屋~~~
王馬「……イマイチまだ実感が湧かないけど、誰も死んだり殺されたりはしてなかったんだね……」
王馬「よかった……」
王馬「でもオレが騙されてたってことにはまだ納得してないしこれから仕返ししてやろうとは思ってるけど……」
王馬「いや、仕返しはやめとこっか。白銀ちゃんは例外だけど」
王馬「まあたまにはこういうのもつまらなくないよね!」
次の日、白銀の自室と研究教室だけが鍵穴に接着剤を詰められていたのは別の話……
~完~
短いですがこれで終わりです
賛否両論あるとは思いますが >>1 はV3のラストも王馬君の事も嫌いではありません
ただ王馬君はゴン太君にごめんなさいしよう
因みに >>1 は四章のクライマックス推理が終わってもまだ王馬君が真犯人だったというどんでん返しを期待していました(ゴン太推し)
4章は王馬でもゴン太でもなく百田クロならよかったのにって思ってしまう
王馬はまだ何かあるのかなとか考えがあるのかなって思えたのに4章の百田は純粋にうざくて見るに耐えなかった(百田好きごめんなさい)
四章は王馬の「今まで皆でよってたかって責めてたくせに自分がゴン太を疑ったら皆でイジメだって言うんだ」的なセリフが全て
そういう無意識な王馬、入間いじめの(いくら本人に難ありでも)環境がある意味入間ちゃんを追い詰めてたんではないか?王馬は本編でも何度かそのこと指摘してたし
>>40 なんやかんや皆でシカトしてた入間の発言や適当に流してたゴン太の小さな虫発言に本編で絡んだり、真面目に聞いてたのは王馬だけなんだよな~
振り返ると王馬は
・皆が脱出に失敗して最悪の自体を防ぐために楓を叱る
・事件を起こそうとしてたとしてた楓に注意歓喜
・事件を防ぐため(励まし合う)ために動機の見せ合い
・キルミーに騙された皆の目を覚ます
・当時危険だった春川の存在を指摘
・転子のことを考えさせるために煽る(気づくのが遅いぜはおそらく本心)
・秘密子を励ます
・浮きがちな入間やキーボ(序盤ではつむぎ)に良くも悪くも積極的に絡む
・ゴン太の発言をきちんと聞く
・自身が悪役になりコロシアイを終わらせようとする
王馬自身が不器用だから届いたか届いていないかは別として皆に希望を与えようとはしてたんじゃないかな
このSSまとめへのコメント
ゴン太が可哀想ってのは裁判受ける時点で身に覚えがないことで責められて酷いオシオキされてるからじゃないのか
まあゴン太が殺害を決意するに至る描写が薄いからってのもあるだろうが
他のクロでもやった覚えがない状態で愕然としてたらある程度可哀想に映ると思う