逸見エ理科 (40)

ガルパンです

逸見さんはいつだって振り回される側だ

文系だから細かいとこ間違っててもご勘弁を

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教師「では、中間試験の結果を返す。逸見」

エリカ「はい」スタスタ




エリカ「………………。」ズーン

赤星「どうしたのエリカさん?」

エリカ「化学と物理が……」

赤星「化学と物理?」

エリカ「理科系の成績が下がったの……」

赤星「あー、確かに今回のテスト難しかったですもんね」

エリカ「戦車道履修者の中で、副隊長の立場にある私が成績を落とすなんて……」

???「話は聞かせてもらった!」バン

赤星「隊長?」

???「私は隊長ではない。実践型学習塾、西住ハイスクールの講師”西住林まほむ”だ」

エリカ「いや、隊長ですよね?」

まほ「成績のことで悩んでいるらしいな」

エリカ「都合の悪いとこはスルーなんですね」

まほ「そんな君に充実の講師陣の西住ハイスクール体験入塾のご案内だ」

赤星「エリカさん、頑張ってください」

エリカ「アンタもこれ以上関わらない気ね?」

まほ「さあ、今すぐお申し込みを」グイッ

エリカ「結局連れてこられてしまった……」

まほ「では順に体験入塾の授業が始まるから、この部屋で待っていてくれ」ガラガラ

エリカ「なにが始まるのかしら……」

ガラガラガラ

愛里寿「授業を始めます」

エリカ「!?」

愛里寿「どうしました?」

エリカ「いえ、なんでもありません(まさか年下の講師とは思わなかったわ……)」

愛里寿「では、改めまして。物理を担当する、講師の島田愛里寿です。愛里寿先生と呼んでください」

エリカ「……はい、愛里寿先生」

愛里寿「では授業を始めます。逸見さんは体験入塾だからテキストを持ってませんね。コピーしてきたのでこれを使ってください」パサッ

『ボコでわかる物理』

エリカ「……」ペラッ

『力のモーメントの説明で多方向から引っ張られているボコの挿絵』

エリカ「……」ペラッ

『自由落下運動の式の説明のためビルから落とされているボコの挿絵』

エリカ「……」ペラッ

『ケプラーの法則の説明で、ハンマー投げのように振り回されるボコの挿絵』

エリカ「先生、なんですかこのテキストは?」

愛里寿「西住塾正式採用の島田出版から出ているテキストです。では3枚目の位置エネルギー・運動エネルギーと仕事量の解説から」

「ペラペラペラペラペラペラ」

エリカ「(は、早い!でもわかりやすい。流石飛び級で大学に入っただけのことはあるわね)」

愛里寿「ではここで実験をしてみましょう、このばねの先端にボコをくくりつけます」

エリカ「(あれ?なんか嫌な予感……)」

愛里寿「このように、ばねを伸ばせば伸ばすほど、手を離したときにボコに与えられる衝撃は強くなります」ギチギチ

「あっ」ツルッ

バチン ボコン

愛里寿「ボコ、これくらいじゃボコは負けないよね。もう一回いくよ」ギリギリ

エリカ「いや、もう止めてあげたら……」

愛里寿「こ、このように。限界ぎりぎりまで引っ張ったばねの先端にいるボコは、引っ張っていないばねについているボコよりもより強い運動エネルギーを」プルプル

エリカ「解説するときは離せばいいじゃない」

愛里寿「摩擦や空気抵抗がなければ、ここで手を離した場合、ばねの弾性力による位置エネルギーが運動エネルギーにそのまま変換されるため、力学的エネルギーは保存され」ツルッ

バイン バキッ

愛里寿「ああっ、ばねの先から外れたボコが窓の外に!」

エリカ「なんで窓開けっ放しなのよ」

愛里寿「ボコ……」

『……ちゃん、愛里寿ちゃん』

愛里寿「この声は!?ボコ?」

『大丈夫、オイラはこれしきへっちゃらだぜ』

愛里寿「あ、ボコが窓から戻ってきた!」

まほ「さあ愛里寿ちゃん、オイラを使った授業を再開してくれ」ポイッ

エリカ「隊長!?もしかしてそうやって丸め込んで講師にしたんですか!?」

愛里寿「うん。ボコみたいに頑張る…………授業に戻ります」

エリカ「何事もなかったかのように無の表情に戻ったわね」

愛里寿「では次は……」キーンコーンカーンコーン

「一時間目の物理はここまでにします。10分の休憩を挟んで次は化学の先生が来るので次のチャイムがなるまでには教室にいてください」

エリカ「一時間ですごい疲れたわ……」

キーンコーンカーンコーン

エリカ「休み時間も短く感じるわ、あと何時間あるのかしら?」

ガラガラ

カチューシャ「次の授業を始めるわ!」

ノンナ「席についてください」

カチューシャ「感謝しなさい、このカチューシャ様が化学の授業をしてあげるわ」

エリカ「(そういえばあんな見た目でも三年生だったっけ)」

カチューシャ「これがこの塾で使ってる化学のテキストよ」パサッ

『同志カチューシャによる偉大な化学の講義(ノンナ著)』

カチューシャ「始めるわ、テキストの34ページを開きなさい」

エリカ「はいはい……」

カチューシャ「今から黒板に書く化学式は暗記必須よ」グイッ

プルプル

カチューシャ「ノンナっ!」

ノンナ「はい」カタグルマ

カチューシャ「これとこれとこの辺の式は学校のテストでは絶対出るから暗記しといて損はないわ」カキカキ

エリカ「(島田愛里寿と同じく、内容は本当に参考になるのよね……ただ……)」

カチューシャ「ガンガン書いてくからバシバシ覚えていきなさい」

ノンナ「(覚えなかったらどうなるかわかってるなという目)」

エリカ「(覚えなければ……やられる!?)」

キーンコーンカーンコーン

カチューシャ「もう時間?まだ化学式しかやってないじゃない」

ノンナ「仕方ありません、彼女はまだ体験入塾ですから、続きは入ってからです」

カチューシャ「そうね。でも、このカチューシャ様が教えて上げたんだから、赤点なんか取ったら粛清よ!」ガラッ

エリカ「はぁ……すっごい疲れた」

まほ「エリカ、どうだ授業の方は」

エリカ「隊長、なんなんですかこの塾の様な何かは」

まほ「言ったろう、実践型学習塾、西住ハイスクールだ」

エリカ「隊長も何か教えてるんですか?」

まほ「私は英語を担当してる」

エリカ「体験入塾では教えてもらえるんですか?」

まほ「うーん、一応体験入塾は次の生物までのつもりだったんだが、そういうならそのあとに英語をやろうか」

エリカ「本当ですか!?」

まほ「ああ、じゃあ授業の準備をしてくる。生物の授業の後にまた来る」

キーンコーンカーンコーン

ガラガラ

ケイ「授業を始めるわ。私が講師のケイトマン軍曹よ!話しかけられた時以外は口を開くな!質問に答えるときは前と後にサーをつけなさい!わかったかこのジャガイモ共!」

エリカ「一人なんだけど……」

ケイ「ふざけるな!大声出せ!」

エリカ「さ、サー!イエス、サー!」

ケイ「お前の名前は?」

エリカ「サー!い、逸見エリカです、サー!」

ケイ「馬っ鹿もん!本日より逸見ゲンゴロウと呼ぶ!良い名前だろ!」

エリカ「さ、サー!イエス、サー!」

ケイ「聞いて驚くな!逸見ゲンゴロウ。ウチの食堂ではハンバーグ定食は出さん!」

エリカ「えっ!?」ガーン

ケイ「さて、私の仕事はお前達水棲生物を受験生に鍛え上げることだ。まずは細胞の作りからだ!」

エリカ「サー!イエス、サー!」

ケイ「単細胞の貴様にDNAの正式名称が言えるのか?」

エリカ「サー!デオキシリボ核酸です、サー!」

ケイ「よし、では次の問題だ。ゲンゴロウにも解けるよう簡単な問題を用意してやった」

エリカ「(耐えるのよ!この授業が終われば隊長の個人授業が……)」

ケイ「今この時をもって貴様はゲンゴロウを卒業する」キーンコーンカーンコーン

エリカ「…………っは!授業が終わってる!?」

「授業中のことをほとんど覚えてないのに生物の知識が頭に入ってる......一体今の一時間で何があったの?」



まほ「エリカ、次の授業だが」ガラガラ

エリカ「サー!イエス、サー!」ビシッ

まほ「?」

エリカ「(はっ、無意識で敬礼してる!?ホントになんの授業だったの?)」

まほ「ああ、生物のケイトマン軍曹か。相変わらず個性的な授業だ」

エリカ「(......今日の隊長の都合の悪いことは流す姿勢がここに来て急にありがたいわ)」

まほ「で、次に英語を授業のつもりだったんだが」

エリカ「はい」

まほ「その前に塾長が様子を見たいと言ってて」

エリカ「塾長?隊長が始めたことではないんですか?」

まほ「いや、塾長が全て始めたことだ」

ガラガラ

しほ「貴方が体験入塾生ね」

エリカ「いっ、家元!?」

しほ「家元?私はこの実践型進学塾、西住ハイスクールの塾長、西住しほっちです」

エリカ「…………」

しほ「私は数学を担当してるわ、せっかくだから一時間授業をしてあげましょう」

しほ「……あとは、あの不等式の表すエリアを図して終わりです」

エリカ「(思ったより授業は普通だった……)」

しほ「この手の問題では必ず接点を置くことから初めてください」カリカリ

「a,bを通るからってこういう風に置いてはいけません」カリカリ

エリカ「…………」カキカキ

しほ「あのな」

エリカ「!?」

しほ「点a,bなら貴方達も私の言う通りにしてくれるのよ」カリカリ

「でもここが原点だと!」

「ここが原点だと!」

エリカ「(二回言った)」プルプル

しほ「突然誘惑に負けて、y=mxなんて置いちゃう輩が多いの」

「駄目よ。どんな簡単な点でも誘惑振り切ってこう置く」バン

「おーん」

エリカ「(おーんって何?おーんって)」プルプル

しほ「この式で出てくるのはなに?」

「接点t!」

「a,bを通るように引いた時のぉ!接点t!」

「だからぁ!この点とこの点とこの点が出るの!」

「この点は出ねぇよ!!!」

エリカ「(急にキレた!?)」ビクゥ

しほ「a,b通らない線なんだから。おーん」

エリカ「(またおーん。なんなの)」プルプル

キーンコーンカーンコーン

しほ「では授業を終わります」

エリカ「ふへぇ……」

まほ「エリカ、お疲れ」

エリカ「隊長!」

しほ「まほ、連れてきたのね」

まほ「はい、大洗の生徒会にも協力してもらい、なんとか」

みほ「えーっと、お姉ちゃん。なんで連れてこられたの?」

しほ「みほ、貴方大洗の試験で、英語が赤点ギリギリだったそうですね」

みほ「えっと……所々単語をドイツ語で書いちゃって減点されて……」

しほ「戦車道だけではなく、普段の学校生活もきちんとしていないとそういう所に綻びが出るんです」

「罰として、今日はここで徹底的に英語漬けです」

みほ「えぇー」

しほ「ええー、じゃあありません。まあ講師くらいは選ばせてあげましょう。ダージリンさんかまほ、好きなほうを選びなさい……ってあら?ダージリンさんは?」

まほ「知波単生全員が要補習レベルだったのでそっちで手一杯のようです」

しほ「そう。じゃあまほに見てもらいなさい。いいわね」ガラガラ

まほ「というわけだ。授業を始める」

みほ「うぅ、あれ?エリカさん!?」

エリカ「はい、エリカです。何よ?私がいちゃいけない?」

みほ「えーっと、隣いいかな?」

エリカ「好きにすれば」

まほ「っと、しまった。すまないがテキストのコピーを一部しか作ってこなかった。二人で一緒に見てくれないか」パサッ

エリカ「はい」
みほ「はーい」

まほ「じゃあエリカ、次の文を訳してみろ」

エリカ「はい『カリフォルニア、安らかに眠れ。同時に解き放たれ、僕に笑顔を見せてくれ、彼女は僕の女司祭、僕は君の司祭』です」

まほ「うん。訳としてはそれでいい。『カリフォルニア、安らかに眠れ。ようやく自由になれたんだな、もう一度お前の笑顔が見たいよ、互いに何よりも必要としてたはずなのに』といった風に多少ウィットを効かせる訳しかたも私は好きだ」

「次はみほ、次のページの日本語を英語にしてみろ」

みほ「えーっと、『Moskau Fremd und geheimnisvoll Tur me aus rotem Goldkalt wie das Eis』」

まほ「ストップ、またドイツ語になってるぞ」

まほ「よし、これで授業を終わりにする。明日も今日と同じ時間にここに来ること。じゃあ気を付けて帰るんだぞ」ガラガラ

みほ「うん、じゃあまた明日ね、お姉ちゃん。帰ろっか、エリカさん」

エリカ「帰るって、貴方大洗じゃない、明日も大洗から来るの?」

みほ「大洗はもう春休みに入ってるから泊りがけで行って来いって会長さんに言われてて」

エリカ「泊まる?何処に?」

みほ「お姉ちゃんが、エリカさんが今二人部屋に一人だからそこで宿泊の申請しておくって言ってたんだけど」

エリカ「どうせそんな展開だろうと思った……あっ」

みほ「どうしたの?」

エリカ「今日だけの体験入塾って話だったのにいつの間にか明日も行くことになってる……」



ー了ー

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