桃華「ファンレター、ですわ」 (23)
アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。
書き溜めあり、短めです。
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ちひろ「ふぅ…これが終われば、事務作業は粗方終わりですね…っと!」
ちひろ「さって…それじゃあまだ時間もありますし、ももぺあべりーの皆に届いたファンレターの仕分けでもしちゃいましょうか」
ちひろ「よいしょっと…皆人気が出てきて、ファンレターも沢山ですねぇ」
ちひろ「その分変なモノもそれなりに来るようになっちゃいましたし、ちゃんと仕分けておかないと…!」
ちひろ「皆が気持ちよくアイドル活動出来るようにするために、頑張りますか!」
ちひろ「まずは…変なものを触らないようにゴム手袋と…マスク、ゴーグルをっと…」ゴソゴソ
ちひろ「よしっ!やりますか!」
ちひろ「まずは食べ物類は事務所の規定で全廃棄ですね、包装の中にメッセージカードが入っていないかだけ確認して…っと」
ちひろ「一応アナウンスはしているんですけど、それでも食べ物送って下さる方は多いんですよねぇ…手紙だけだと申し訳ないとか思われるんでしょうか
」
ちひろ「それなら現ナマの方が…おっと、メッセージカード発見」
ちひろ「どれどれ…これはありすちゃん宛ですね」
『ありすちゃん、いつもTVやラジオでお姿を拝見して応援させていただいてます。』
『以前のラジオでシュネッケンを食べたことが無いという事でしたので送付させていただきます。』
『出来れば食べた時の反応を映像で見たいです!何でしたら吐き出(ry』
ちひろ「さて、お礼状用に住所氏名だけ控えて廃棄廃棄」
ちひろ「書き出しだけは常識人の振りするのやめて欲しいですね、まったく」
ちひろ「次は…梨沙ちゃん宛ですか、よくハイレベルなファンレター(?)が届くので要警戒ですね」
『梨沙ちゃん!いつも応援しています!』
『以前のラジオでサルミアッキを食べたことが無いという事でしたので送付させていただきます。』
『出来れば(ry』
ちひろ「…こういうテンプレートが流行っているんでしょうか、廃棄廃棄っと」
ちひろ「次は…桃華ちゃん宛ですか」
『桃華ママ(ry』
ちひろ「廃棄」
ちひろ「仲間内でそう呼んでいる分には別に構いませんけど、当人宛の手紙によくこの書きだしでやれましたね…」
ちひろ「さっ、次々~」
(…)
ちひろ「は~…プレゼントのついている方は粗方済みましたかね」
ちひろ「とりあえず廃棄のプレゼント類と変なお手紙は捨てに行っちゃいましょう」
ちひろ「残りのまだ見ていないお手紙はその後で仕分けですね」
(ガチャッバタン)
(…)
(ガチャッ)
桃華「ごきげんようですわ!」
ありす「お疲れ様です」
梨沙「お疲れ~!」
桃華「あら…どなたもいらっしゃらないようですわね」
梨沙「不用心ねぇ…」
ありす「何か緊急の要件でもあったのでしょうか」
桃華「ちひろちゃまの机の上も散らかったままですし…」
梨沙「あら、なにこれファンレター?」
桃華「ちょうど仕分けの最中だったのでしょうか…」
ありす「普段はそれぞれ宛に綺麗に分類されて渡して貰っていますからね、こういう状態なのは新鮮です」
梨沙「それならさ、どうせ今日はレッスンも終わって帰るだけだし…」
桃華「うふふ、そうですわね、仕分けくらいはわたくし達でやってしまいましょうか」
ありす「でも…良いんでしょうか、危ないものが入っているかも知れないからこういったものは必ず事務所スタッフの目を通すようにって言われてますし」
梨沙「手紙くらいならダイジョーブでしょ!」
桃華「そうですわね…見た所作業途中のようですし、既に危険なものはより分けた後なのではなくて?」
ありす「そうかも知れませんが…」
梨沙「まあまあ、なんかあったらやめれば良いのよ」
桃華「そうですわね、それにファンの皆様の心遣いを無下にするのも心苦しいですわ」
ありす「ああ…ファンの皆さん…どうか桃華さん達の笑顔が曇るような内容を送ってきていないで下さいね…」
梨沙「んじゃあ一つ目…これは桃華宛ね」
桃華「はい」
梨沙「内容読んでみたら?」
桃華「そうですわね…お二人の前で読むのは少々恥ずかしいですけど…」
梨沙「いいじゃん!それなら後でアタシ宛のも読むから!」
ありす「そんなに桃華さんのファンレターが気になるんですか?」
梨沙「普段は自分宛のしか読まないから、どんなことが書いてあるのか気になるのよ」
桃華「それは…確かにありますわね、良いですわ!後で梨沙さん達のも見せて下さいましね?」
ありす「えっ…私もですか!?」
梨沙「うん」
桃華「ええ」
ありす「ああ…もう不思議そうな目で見ないで下さい!わかりました!」
桃華「では…読みますわね」
『櫻井桃華様、いつもTV等で娘と一緒に応援させていただいております。』
桃華「あら、娘さんと一緒に見て下さっているのですわね」
『娘はまだ6歳なのですが、口癖のように「ももかちゃんみたいになる!」と言ってマナーに興味を示したり、積極的にお手伝いをしてくれています。』
桃華「うふふ、微笑ましいですわね」
『将来は自分もアイドルになるんだとよく桃華さんのラヴィアンローズやハイファイデイズを歌って聞かせてくれます』
桃華「小さなライバルさんの誕生ですわね」
『親としてはこのまま20年以上アイドルを目指し続けるようなことにはなって欲しくないのですが…』
ありす「突然の菜々さんへのビーンボール」
桃華「ありすさん…別に菜々さんのこととは言っていないと……思いますわよ?」
梨沙「自信なくしてんじゃないの」
『…これからの桃華さんの活躍を一層楽しみにしております、頑張ってください(・ω・)b』
桃華「うふふ、このように応援してくださっている方がいらっしゃると励みになりますわね」
梨沙「は~…なんかすっごく真面目でビックリだわ」
ありす「そうですね…桃華さんはファンに恵まれていますね」
桃華「そうなんでしょうか…お二人の普段は違うのですか?」
梨沙「アタシはどちらかと言えば女の子から『ファッションステキ!』とか『カワイー!』みたいなテンション高いのが多いわね」
ありす「私も…不本意ですが『可愛い』とか『妹にしたい★』みたいなのが多いですね」
桃華「妹!良いですわね!」
ありす「良くないです!」
梨沙「良いじゃない、確かにその結構生意気な所は妹感あるしね」
ありす「梨沙さんに生意気って言われるのは納得がいきません…!」
桃華「うふふ、ありすさん、わたくしの妹になってみます?」
ありす「お断りします!それに私たち同い年じゃないですか!」
桃華「即答だなんて…悲しいですわ」ショボン
ありす「あっ…いや…その…桃華さんは親友であって…妹だと…その…」
桃華・梨沙(ニヤニヤ)
ありす「はっ!?…な、なんでもないです!ほら、次に行きましょう!」
桃華「うふっ、うふふふふっ、そうですわね」ナデナデ
ありす「な、撫でないで下さいいいい…!」
梨沙「じゃあ次は…あら、これはアタシ宛ね」
ありす「差出人は…男性の方ですか」
梨沙「男のファンからファンレターが来るのは珍しいわね」
桃華「あら、そうなのですか?」
梨沙「普段は同年代のコから来るのばっかね」
ありす(それって事務所で弾かれているだけなんじゃ…)
梨沙「珍しい事もあるもんね…どれどれ」
『的場梨沙さん、こんにちは、初めてお手紙させていただいております。』
梨沙「わっ、カッタイ書き方ね」
桃華「そうですか?」
ありす「同年代の子のファンレターメインですとかなり砕けた文体だったりしますから」
『お父様大好きを公言されている梨沙さんは我々の世代の希望の星なのです!』
梨沙「…そうなの?」
桃華「さあ…」
『梨沙さんの年頃にもなるとそろそろ世の娘たちは「パパくさ~い」とか「パパの洗濯物と一緒に洗わないで」など、父親を蔑むようになるのですが…』
梨沙「あ~…まぁアタシの周りもそういう子居るわね」
桃華「わたくしにはあまりよくわからない感覚ですわね…」
ありす「あんまり接する機会も無いですしね」
『そんな中父親が好きであると言ってくれる梨沙さんは我々の心の支えなのです!ちゃんとしていれば娘に嫌われないんだと思わせてくれます!』
『お陰で私たち梨沙ちゃんファンクラブのパパさん達は皆娘との関係が良好です、今回はそのお礼を兼ねてこうして手紙を書かせていただきました!』
『今後の活躍も応援しております!』
梨沙「は~…こんなトコにもアタシのファンって居たのね」
桃華「娘さんをお持ちのパパさんの希望になっているだなんて…梨沙さんは凄いですわね」
梨沙「そんな大それたモンじゃ…でも、アタシの男のファンってロリコンだけじゃないのね…少しは考えを改めないとかしら」
桃華「そうですわね…あら、ありすさんどうされたのですか?」
ありす「いえ…絶対変な内容だと思っていた自分が恥ずかしくて…」
梨沙「まあしょうがないわよ、特にアタシのライブに来るようなのだとそういうのが多いしね!」
ありす「自分で言っては…」
梨沙「良いの良いの、んじゃあこれは…ありす宛ね」
ありす「はい、私にはどんな事が書いてありますかね…」ガサガサ
『ありすちゃん大好きありすちゃん大好きありすちゃん大好きありすちゃん大好きありすちゃん大好きありすちゃん大好き…』
ありす「ひ、ひえええ…!」
梨沙「便箋一枚にびっしり…」
桃華「狂気を感じますわね」
ありす「どうして私にはこんなのが…」
桃華「あら、二枚目には普通に何か書いてありますわよ?」
ありす「どうせヘンな事が書いてあるに決まっていますよぉ…!」
梨沙「ああほら泣かないの!」
桃華「…ありすさん」
ありす「…ふぇぇ?」
桃華「そういうものではないみたいですわ、わたくしが一度目を通しましたから、読んでも大丈夫ですわよ」
ありす「桃華さんがそうおっしゃるなら…」
『すみません、思いの丈が溢れてつい一面を埋めてしまいました』
ありす「溢れすぎです…」
『さて、これは本来ならば口頭で伝えるべき事なのでしょうけれど、あいにく口が得意ではないためこうして一筆したためさせていただきました』
ありす「…」
『いつも私のような知識ばかり溜め込んだ面白みのない女の話をキラキラした目で聞いてくれるありすちゃん』
『年上なのに至らない私を引っ張ってくれるありすちゃん』
『これまで読んだどんな書籍よりも新鮮な驚きを与えてくれるありすちゃん』
『これからもどうか私と仲良くしてくださいね 鷺沢文香』
ありす「…」
桃華「あらあら、これはまたなんとも熱烈な…」
梨沙「随分と愛されてるわね~」
ありす「あ”あ”あ”あ”あ”!!!ぶみ”がざん”!!!」ブワッ
桃華「うふふ、これはちゃんとお返事をしないといけませんね」ナデナデ
ありす「ばい”…」グスグス
梨沙「ほら、便箋濡れちゃうわよ」
ありす「うう…まさか文香さんが…グスッ、こんなにも思っていてくれただなんて…」
(ガチャッ)
ちひろ「ふぅ…つい廃棄のスタッフさんと話しちゃいました…って!ちょ~!!!!」
(ダダダダ、バンッ!)
ちひろ「このファンレターはまだ分類中なんですよ!ごめんなさい出しっぱなしで…ありすちゃんは泣いていますけど何かヘンな事書かれていました!?差出人処します!?」
桃華「ちひろちゃま、落ち着いてくださいまし」
ありす「ぢびろ”さん…違うんです…感動して…」
ちひろ「つまり…?」
梨沙「ももももありありってわけよ」
ちひろ「成程、把握しました…って、それにしても運よくちゃんとしたファンレターだったから良かったですけど、検閲前はまだ変なファンレターが紛れていることがあるんですから!」
ありす「それは…ごめんなさい」
梨沙「言い出したのはアタシよ、ごめんね」
桃華「賛成したわたくしも同罪ですわ、ごめんなさい」
ちひろ「うっ…まぁ出しっぱなしで出ちゃった私も悪いですし…ごめんなさい」
桃華「うふふ、それではこれでこの件はおしまい、今後はちゃんと検閲済のを見ますわ」
梨沙「それにしても、事務所側で弾かれるのってどんなことが書いてあるの?」
ありす「大体想像は付きますが…」
ちひろ「まぁ…世の中には見なかった方が良いものもありますから」
桃華「そう言われると気になってしまいますわ!」
梨沙「何かちょっとソフトなもので良いからちょっとだけ教えてよ!」
ちひろ「う~ん…そうですねぇ…」
(ガチャッ)
ちひろ「あのくらいなら…まぁ…」
桃華「あら」
ちひろ「桃華ちゃんから生まれたいとか、梨沙ちゃんに罵って欲しいとか、ありすちゃんに蔑んで欲しいとか」ポン
ちひろ「えっ?」
早苗「おっはよ~」ニコッ
ちひろ「あら早苗さん、お疲れ様です」
桃華・梨沙・ありす「お疲れ様です(わ)」
早苗「うん、皆お疲れ~…で、ちひろちゃん」
ちひろ「はい、何ですか?」
早苗「今口走っていたことについてちょっとお姉さん質問があるんだけど…良いよね?」
ちひろ「えっ…あっ!ち、違うんですよ早苗さんあれはそういうことじゃ…!」
早苗「言い訳は取調室で聞くから、はいキリキリ歩く!」
ちひろ「ひええ…あっ、皆さんは遅いので帰って…あっ、早苗さんそんな引っ張らない…」
(バタン)
桃華「…ファンレターも時には恐ろしいものですわね」
おわりです。
アイドルはKENZENに応援してあげたいものですね。
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