モバP「アシスタントのAくん」 (55)
注意
・P以外の男性が出ます
・キャラ崩壊
・多分ギャグ
二つスレ落とした。学んだ。文章ちゃんと考えてる。時間もある
頑張ります
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1487240441
「お弁当はちゃんと持った?」
A「もちろん!行ってくるよ!」
A(今日は僕にとって記念すべき日だ。どうしてかって?新しい社員としてある所に勤めることになったからさ!)
A(その職場は何を隠そう、ニュージェネレーションズを始めとする、多数の人気アイドルを生み出し、世間を騒がせている、あのCGプロだ!)
A(僕はあのプロダクションの大ファンで、よく関連する雑誌に目を通していたんだ。そしたら、なんと社員を募集しているそう!)
A(大学を出た後の就職に困っていた僕はこれ幸いと申し込み、見事に一名の枠に収まったってわけ。なぜか男性限定なのは不思議だったけど)
A(でもそんなことは今となってはどうでもいいこと。憧れのアイドル達と、敏腕のプロデューサーさんと、一緒に仕事ができるんだから!)
A(そうそう、そのプロデューサーさん、150人を優に超えるアイドルをたった一人でプロデュースしてるらしい)
A(彼は本当に人間なんだろうか?)
あかん、注意書き忘れた……
・NTR要素は皆無です
・プロダクション名はCGプロとします
すいませんです
A「着いた。ここがCGプロ……」
A「雑誌で見てはいたけど、本当に大きい……ビルだけじゃない、庭みたいなところや、よく分からない施設もある……」
A「ここで、働くのか……」ゴクリッ
A(その規模の大きさに圧倒されるとともに、こんなところで働ける、自分の幸運に心底感謝した)
A「いつまでもこうしてちゃいけないよな……よし、行こう!」
A(逸る気持ちを抑えて、僕はプロダクションの敷地への一歩を踏み出した)
A(絶対に忘れることのできない、始まりの一歩だ!)
ウーウーウー シンニュウシャアリ タダチニホバクセヨ
A「……あれ?」
A(そう、それは、本当に忘れられない一歩になった。今思えば、僕はある意味で不幸だったのかもしれない)
A(だって、このプロダクション、とんでもないところだったんだから)
A「おかしい……一体どうして僕は手錠をされて歩いてるんだ……」
ロボ『シズカニ シナサイ』
A「あ、はい。ごめんなさい。あ、あの、僕は一体どこに……」
ロボ『シズカニ シナサイ』
A「あ、はい。ごめんなさい」
A(どうすればいいんだろう……)
ガーガー スタスタ
A(うん?小さな建物だけど)
ロボ『ハイリナサイ』
A「はあ……」
「来たわねー?侵入者さん。あなたが一体どうしてここにやって来たのか。キリキリ吐いてもらうわよ」
A「あれっ?アイドルの早苗さん、ですか?」
早苗「ええそうよ。さあ侵入者さん、理由を話してもらえるかしら?」
A「ご、誤解です!僕は正式な社員としてここに来たんです!」
早苗「え?……そういえば。ちょっと、顔をよく見せてもらえる?」
A「……」
早苗「うわっちゃー。顔写真そのまんまだわ。ごめんなさいね。誤解しちゃって。あなた、Pくんの新しいアシスタントよね?」
A「はい、そうです」
早苗「本っ当にごめんなさい!ロボたちにはきちんとあなたの情報を覚えておいてもらうから……」
A「えぇ、お願いします」
早苗「それじゃあお詫びに、Pくんのところまで案内するわ」
A「ああ、それはありがたい。お願いします」
【ビル内】
A「うっわー、すっげー」
A(ここが事務所。ビル一つまるまるそうなのか……でも、敷地自体がやたら広い上にこんなでかいビル、何に使うんだろ)
A(ってあっちから歩いてくる子たち、あれニュージェネレーションズだ……!今から仕事なのかなぁ!)
NGs「「「こんにちはー」」」
A「こ、こんにちはっ」
A(す、すっげぇ……僕、アイドルと挨拶しちゃったよ……!さすが人気アイドル事務所!)
早苗(面接を通ってるし、彼を認めたPくんを疑ってたわけじゃないけど。ちょっと不安だったわ。とりあえず悪い人ではなさそうね)
早苗「さ、着いたわ。ここにPくんがいるはずよ」
A「は、はいっ」
A(い、いよいよだ。深呼吸、深呼吸……よしっ!)
A「し、失礼します!」ガチャ
ゴゴゴゴゴゴゴ ドンッ
バタン
A「この事務所呪われてませんか?」
早苗「あらー、ちょうど模様替えをしてたのね。タイミング悪かったわ」
A「模様替えっ!?あれが!?」
早苗「そうよ?だってほら、家具が動いてたじゃない」
A「家具は一人でには動きませんよ!?」
早苗「晶葉ちゃんを始めとする事務所内の理系チームがPくんのルームを改造したの。あの家具は遠隔操作されてるのよ」
A「えぇ!?」
早苗「ちなみにだけど、アイドルの趣味とか季節のイベントなんかでしょっちゅう内装が変わるわ」
A「そ、そんな馬鹿な……大体、中から音なんて聞こえて来ませんでしたし」
早苗「そりゃぁ防音機能完備してるもの。他の部屋からだって物音が聞こえないだけで、幾つかには人がいるはずよ?」
A「ああ、そうですか……」
早苗「仕方ないわ。Pくんとは別室で会いましょう」
A(なんか、妙に疲れた……)
A「し、失礼します……」
早苗「Pくん、彼を連れて来たわよ」
モバP「ありがとうございます、早苗さん」
早苗「それじゃわたしは収監室に戻るわ」
モバP「了解です」
A(あれ、実は僕あと一歩でほんとにヤバかった?)
モバP「よし、早速だがAくん」
A「は、はいっ」
モバP「俺たち裏方にも仕事はたくさんある」
A「はい」
モバP「特にうちはアイドルの数が多い。当然その分負担も大きいんだ。負担に耐えられる体力がなければならない」
A「はい」
モバP「だからさ」
A「はいっ」
モバP「午前中、修練場で特訓しようか」
A「はい?」
【修練場】
A(なるほどねー。ビルの外の施設、一つはこんなところだったのかー)
智絵里「ち、チョップです!えいっ」スパッ
櫂「まだまだぁ!水圧足りないよっ!」ドドドド
有香「はっ!やっ!せぇいっ!」シュシュシュ
友紀「ならいっそぉ!ストレートぉ!」ドッパァン
A(いや意味分かんないんだけど)
モバP「よし、それじゃあ最初は……」
A「ちょ、ちょっと待って下さい!これは一体!?」
モバP「修練場だよ。日々のダンスレッスンやボイスレッスンの他に、こうやって身体能力を高めているんだ」
A「明らかに一般人にはできない動きをしてますけど!」
モバP「そりゃまあ、鍛えたし」
A「鍛えただけで素手で木人形を切れますかっ!?」
モバP「綺麗な切断面だろ?智絵里もいい腕してるよなぁ」シャキーン
A「将来有望ですね。刃物のように使えるとは、二重の意味でいい腕です」
A「じゃなくて!」
モバP「まあまあ、目に見える特訓の成果っていいだろ?」
A「どういう特訓なんですか!暗殺者養成施設じゃあるまいし!」
モバP「なに、特訓すればあれくらい誰だってできるようになるさ」
A「なりたくないです」
モバP「ってわけで」
A(無視されたんですけど……)
モバP「まずはあの野球ボールを目で追えるようになろう」
A「えっ」
友紀「もいっちょ!」ドッパァン
A「無理です」
モバP「おーい友紀ー!ちょっとそこの器具、貸してくれー!」
A(またしてもっ!)
友紀「え?別にいいけどプロデューサーがやるの?今更こんなの特訓にならないでしょ?」
モバP「違う違う。俺じゃなくて彼だよ。新しく入ったAくん。それと、投げる側じゃなくて受ける側な?」
A(受ける?)
A「ってどういうことです?」
モバP「もちろ、バッターボックスに立ってもらうんだが」
A「僕に死ねと?」
A(やばい、下手すると死ぬんじゃないかこれ)
>>13
誤
モバP「もちろ、バッターボックスに立ってもらうんだが」
正
モバP「もちろん、バッターボックスに立ってもらうんだが」
風呂入って来ます
文章考えてるとこんなに早く進むのか……
再開します
モバP「ははは、何も打てって言ってるわけじゃない。あくまで球を見切れるようになるのが今回の目的だよ」
A「今回の、ということは遠からず打つことになるのでは?」
モバP「身体を鍛えてからだな。まずみんなの動きを見切れるようになる。その後、身体の動かし方を学ぶ。最後に実践、どんなことがあっても耐えられる身体を作る」
A「はぁ……」
モバP「そこまで到達すれば、大抵のことは平気になるぞ」
A「もう少し普通に鍛えたいんですが……」
モバP「何を言ってるんだ、この上なく普通じゃないか」
A「普通ならまず見切るという過程はいらないと思うのです」
A「と、いいますか。そもそもやってみようにも早すぎると思いますよ。正直、さっぱり捉えられる気がしません」
モバP「幾ら何でも、友紀の球は早々捉えられないって。そうだな……有香!」
有香「はい!お呼びでしょうか」
モバP「彼の特訓を手伝ってやって欲しいんだ」
有香「お任せ下さい!どんな内容なんですか?」
モバP「えっとな」カクカクシカジカ
有香「なるほど」
モバP「よし、じゃあAくんはバッターボックスに立って。……準備はいいかー?」
A「ど、どうぞ」
有香「完了しました!」
A(友紀さんほど球は早くないのなら、何とかなる、かな?有香ちゃんの投げ方にもよるけど……)
モバP「……」ササッ
有香「……!」コクリ
A(球種の指示……!さあ、どう来るッ……!)
モバP「プレイボール!」
有香「せぇい!」ボゴッ ドッパァン
A「……」ガタガタガタガタ
A「なんっ、ですか、今のっ」
モバP「ナックルボールだ」
A「球種じゃなくてッ!?というかナックルは間違っても球を直接殴るようなものではないです!」
モバP「ははは、冗談だよ」
A「でしょうね!……そうじゃないんですよ!」
モバP「どうしたっていうんだ?」
A「友紀さんと何ら変わりませんでした!何も見えません!音と風圧の主張は凄いです!」
モバP「あれ、そうか?ううむ、さっきよりだいぶ遅くなってるはずなんだが………」
A(嘘でしょ!?)
モバP「仕方ない。もう少し速度を落とそう」
A「お願いします」
有香「いきます!はぁっ!」ブンッ
パァン
モバP「どうだった?」
A「残像が見えました」
モバP「いけそうだな」
A「どこがですか」
モバP「いいかAくん。集中するんだ。きっと君なら見切れる。極限の集中力で、思考は加速するんだ」
A「いかにもそれっぽいこと言わないで下さい」
モバP「だが事実だ。大丈夫さ、君ならできる」
A「その信頼の根拠は何なんですか……」
モバP「当然、それなりに長いプロデュースの経験から来る」
A「………」
モバP「勘だ」
A「そもそもこれにプロデュースの経験全然関係ありませんね」
モバP「とにかく集中だ。自分の能力が軒並み上がる様をイメージするんだ。具体的には30%くらい」
A(すごい、驚くほど役に立たないね集中って)
A「………分かりました、やってみます」
A(やんないと終わらないだろうしなぁ………というか何でこんなスポーツ漫画みたいなことやってんだろ僕)
モバP「Aくん!集中だぞー!」
A「………」グッ
A(その時の僕の集中力はかつてないものだった。本能的に危機を察したのだろう)
有香「いきますっ!やぁっ!………あ」
A(その声が引き金となり、僕の思考は一気に加速、それに追いついた)
A(来るッ!とんでもない速度で!でも、見える!投げられた球はっ、凄まじい縦回転をしながらっ、一直線に僕の頭の方に)
A「ッッッ!!!」サッ
パァン
A「」
有香「だ、大丈夫ですか!?」
モバP「しっかりしろAくん!」
A「」
有香「あたしが未熟だったばっかりに………!本当に申し訳ありません!」
モバP「すまなかった、まさかコースがずれてしまうとは………起こりうることを考えられなかった俺のミスだ」
A「」
モバP「………完全に放心状態だ。ひとまず休憩にしよう」
A「」
A(特訓とか積んでないけど、とある仮面ライダーにはなれそうでした。多分この時の体重を調べたら10グラムくらいは減ってたんじゃないかな)
モバP「ほらっ、これ、飲んでくれ」コトッ
A「これは?………栄養ドリンク、ですか」
モバP「ああ、うちの事務員さん特製のスタミナドリンクだ。これを飲めば、疲れなんか気にならなくなるぞ」
A「ありがとうございます」カシュ ゴクゴク
モバP「まあ慣れないうちはちょーっとリスクが………って聞いてないか」
A「?」
モバP「いや、いいんだ。さて、それじゃ続き、やるか」
A「えぇ……」
モバP「確かにさっきのは申し訳なかったけど、あれくらいできるようにならないとアイドルたちとは渡り合えないんだよ」
A「まだやるんですか………」
モバP「午前中は、な。それにスタドリが効いてきてるはずだ。体力的に問題ないだろう」
A「えっ?………!おお、おおお…!」
A(すごい、力が湧き上がって来る。今ならどんなに辛い運動でもやり遂げられる気がする!)パッパパパー
モバP「よし、いいみたいだな。始めるか」
A「はい!」
A(まあでもよく考えてみて欲しい。確かに体の疲れは気にならなくなったけど、それでも特訓がきついのに変わりはない)
A「うおおおおおおおおおお!!!」ダダダダダッ
モバP「まだまだぁ!ここのルームランナーはちっとも本気を出してないぞ!」
A「あっ、やべっ」ズシャア
A(正直、よく僕は死ななかったなって思うこともあった)
ドドドド
A「ガボゴボボボ………」
モバP「頑張れッ!流れに逆らうんだ!泳げ泳げぇ!」
A(あ、死ぬわこれ)ドドドド
A(こんなことをやってた結果)
A「イィィィッサァァァァッッッ!!」シュドッ
A「痛ってぇ!!」
モバP「木人形を切り裂くのには速度が重要だ!すなわち、速さがたりないっ!」
A(昼頃には精神的にすごく辛かったです)
A「ぜぇー……はぁー……」
モバP「お疲れ様。そろそろ頃合いだな。昼食にしよう」
A「やったぁー………」
A(やってて思ったのは、こんなことを平然とやってたアイドルたちはすごいってことだった。そりゃちょっとやそっとじゃ疲れたりしないよね)
A(CGプロの強さの秘密に、少しだけど触れられた気がした)
気付いたら半分以上進んでました
時間があるって素晴らしいですね
今日はこれで区切りたいと思います
お休みなさい
再開します
モバP「………」シャンシャン
A「あれ、デレステやってるんですか?」
モバP「あぁ、スタミナ消費したくてな」シャンシャン
A「そういえば、一つ聞きたいことがあったんですけど」
モバP「ん、何だ?」
A「何で社員募集の条件が男性限定になっていたんですか?女性でも構わないような」
モバP「ああそれ?だって男性一人って正直肩身狭いじゃん」
A「あの条件付けたのあなたですか………」
モバP「仕方ないだろ?社長は俺が入ってすぐに世界3週旅行に行っちゃったし」
A「何で社長さんが全く表に出てこないんだろうって思ってたらそんな理由ですか!?」
モバP「しかもご丁寧に行方を眩ませたままだ。今は事務所の保護者から有志を募って捜索に行ってもらってるよ、巴のとことか」
A「そりゃまた何とも………」
モバP「おかげさまで運営は最初は実質俺とちひろさんだけ。特訓とかやり始めたのも、目まぐるしい日々に耐えられるようにってことで始めたんだ」
A(あれ?それじゃあ、僕がこんな目にあってるのは)
モバP「あんまり帰ってこないもんだから、捜索班には見つけ次第希望者の分だけ一発殴ってもらうって契約を取り付けてるよ。保護者側も憤慨してたし、当たり前だよな」
A「……ちなみに、希望者は、どのくらい?」
モバP「俺、ちひろさん、トレーナーさんたち、アイドルたち全員だけど」
A「そんな!?」
A(幾ら何でも酷すぎる!そんなのあんまりだよ!)
A「ちょ、ちょっと待ってください!」
モバP「止めないでくれ。事務所内の不和を改善するためにも必要なんだ」
A「その件には僕も参加する権利があるはずです!」
モバP「すぐ手配しよう」
A(僕だけ仲間外れだなんて!そんなの許せるわけないじゃないか!)
モバP「よし、完了だ。早く社長が見つかるといいんだがな」
A「全くですね。………よっと」コトッ
モバP「お、それ弁当か?はぁーよく出来てるなぁ。君が作ったのか?」
A「いえ、彼女ですよ」
モバP「君、彼女いたのかっ!羨ましいもんだ」
A(あなたの環境もファンから見れば垂涎モノなんですけどね)
モバP「なあなあ、一体どんな人なんだ?」
A「可愛らしい人です」
モバP「そうか。しかし、彼女がいるのにアイドル事務所勤務って、なんか彼女さんからはあまりウケが良くなさそうだが」
A「ああー、大丈夫ですよ。だって」
『きゃあああああああ!!!!小梅ちゃん!!小梅ちゃんのSSRキタッ!!きゃああやったああウッヒョーッ!』
A「こうですし」
モバP「凄いな君の彼女」
A「そもそも僕がこのプロダクションのファンになったのだって、彼女の影響からですよ」
モバP「ふむ。その彼女さんは、小梅の大ファンなんだな。プロデューサーとして鼻が高いよ」
A「いや、僕と同じプロダクション単位のファンといったほうが正しいですね。デレステやってる時なんか」
『あぁぁ卯月ちゃんかわいい!このアングル最高!あっ!今未央ちゃんがこっち向いた!こっち向いたよ!きゃぁ凛ちゃん!森久保ォ!』
A「ワンブレスです」
モバP「ヤバイな君の彼女さん」
A「それで、午後からは何をするんですか?」
モバP「ああ、事務仕事を手伝ってもらうよ。午前中特訓に付きっきりだったから、消化しないとな」
A「分かりました。でも、特訓、もうちょっとしても良かったかもしれませんねえ」
モバP「ほー、やはり見込みがあるな」
A(何にせよ、これで今日はもう何も心配はないな。良かった)
A(この時の僕は、非常に楽観的だったと言わざるを得ない。事務仕事についても、特訓の途中、Pさんがいいかけた、スタドリのリスクについても)
A(疲れなんか気にせずに運動してたし、半分死にかけだったから正直あまり考えてなかったんだ。スタドリが及ぼすリスクについて)
A(まあ、気付いた時にはもう遅かったんだけど)
モバP「さて、ここが俺の主な活動拠点。いわばルームってとこだな」
A「家具を遠隔操作できるところ………」
モバP「もうちょっとマシな覚え方をしてくれ。事実なんだけども。で、君が使うデスクはあそこだ。よろしく頼むぞ」
A「はいっ!」
A(おおっ!自分専用のデスク!心が踊るのは何故だろう。ようやくアイドル事務所っぽい一面が見えた)
モバP「じゃあ俺が文書を作るから、それの点検頼むな」
A「はい!任せて下さい!………ってあれ?」
モバP「ん?どうした?」
A「いや、デスクの下、奥の方に、何か………」
乃々「………」
A「え、何してんの」
乃々「ヒィッ!?し、知らない人が話しかけてきたんですけど………もりくぼに何か用ですか………」
A「え、あー、いや、ここ僕のデスクだからどいてくれないかなーって」
乃々「あ、そ、そうだったんですか………てっきりもりくぼたちのために新しく設置されたのかと………」
モバP「違うぞ。この人が新しく入社したから置いたんだ。ほら、前に話したろ?アシスタントさん」
乃々「な、なるほど………」
A(森久保乃々ちゃんか。本当に控えめな子なんだな。でも)
A「よろしく乃々ちゃん。ところで、一つ聞きたいんだけど、どうしてデスクの下に潜り込んでるの?」
乃々「どうしてといわれても………ここが、一番落ち着く、というか………もりくぼのさんくちゅあり、なので………」
A「そ、そっか」
A(狭いところが好きなハムスターみたいなものだろうか)
モバP「ほら、輝子 。お前も出てくれないと、俺が仕事できないぞー」ズズッ
輝子 「フヒッ………やあ親友………あ、新しい人も、いるんだな………」
A「ど、どうも」
A(星輝子 ちゃんか。彼女もデスクの下に潜るのを好むんだろうか。………ってあれ?そういえば)
A「あの、聞きたいことがあるんですけど。今の二人に、佐久間まゆちゃんを加えたユニットって………」
モバP「ああ、アンダーザデスクのことか。もちろんこれが元だぞ」
A(一介のファンでは絶対に知り得ない理由。こんなこともネタにするとは、つくづくいろんな意味でとんでもない事務所だ)
モバP「気を取り直して。始めるか」カチッ ブゥーン
A(おっと。僕もパソコンの電源を点けないと)カチッ ブゥーン
モバP「……」カタカタカタカタカタカタカタカタ
A「……」
モバP「………よし。これ頼むな」カタカタカタカタカタカタカタカタ
A「はい」
A(えーと、どれどれ………?)
A「……」
モバP「よし、上がり。これもよろしく」カタカタカタカタカタカタカタカタ
A「あ、はい」
A(ふむふむ………)
モバP「よっと。完成」カタカタカタカタカタカタカタカタ
A(………よし、これはいいか)
モバP「プラスワン」カタカタカタカタカタカタカタカタ
A(さて、次はっと………)
モバP「ほいほい」カタカタカタカタカタカタカタカタ
A「……」
A「…………」
A(ペース早くない?)
モバP「おい、どうした。手が止まってるぞ」カタカタカタカタカタカタカタカタ
A「いや、凄く作るの早いなーって」
モバP「そうか?そんなことないだろ」カタカタカタカタカタカタカタカタ
A「いやそんなわけのわからない音出してる人にいわれても」
モバP「気のせいだって。ほら、まだまだあるんだから、続けて続けて」カタカタカタカタカタカタカタカタ
A(あれっ。終わりが見えない)
A「つ、疲れた………」
A(甘かった………午前中に比べたらなんてことないなんて考えた僕、大いなる間違いだよ。そもそもよく考えれば、Pさんの担当アイドルなんか大勢いるんだから、その分文書も多くなることなんてすぐに分かったはずだ)
A(完全に舐めてた。午前中が身体の特訓なら、午後は精神の特訓。ひたすら似たような文書を点検し続けるのは拷問の極み………校閲やってる人とか凄いなぁ)
モバP「お疲れさん。助かったよ」
A「いえ………お力になれたのなら何よりです………」
A(………ドリンク飲ませたり、明らかに多すぎる仕事をさせられたり、もしやこれはブラック企業というものではないだろうか。訴えたら勝てる気がする)
A(まあアイドルたちが見られなくなるのは嫌だからやらないけど。辞表は用意しとこうかな)
「あら?Pさん。その人はもしかして?」
A「え?」
モバP「ああ、どうもちひろさん。新しいアシスタント君ですよ」
ちひろ「やっぱり!改めまして、千川ちひろです!主に事務仕事を担当してます、よろしくお願いしますね」
A「これは、どうも。よろしくお願いします」
A(千川ちひろさん。Pさんのアシスタント兼事務員さんだ。純粋にPさんのアシスタントである僕とはまた仕事が違うみたい。面接の時にもお世話になったっけ)
ちひろ「うふふ。初日からPさんの仕事のお手伝いだなんて、辛かったんじゃないですか?」
A「ははは………」
A(全くもってその通りです)
モバP「よし、それじゃAくん。テレビを見ようか」
A「え、いきなりですね。一体どういうことですか?」
ちひろ「あ、私は向こうで仕事を進めておきます」
モバP「ええ、よろしくお願いします」ピッ
A「あの、Pさん?」
モバP「ま、見れば分かるさ」ビーマイベ ピッ
パーッパパパー ジャーン
A(これは、いつもこの時間帯で放送されてる番組だ。あれ?そういえばこの番組、今日は)
『今日のゲストは、CGプロの人気アイドルユニット、ニュージェネレーションズだー!』
卯月『はい!頑張ります!』
凛『今日は、よろしくお願いします』
未央『いえーい!みんなー、見てるー?よろしくお願いしまーす!』
『ははは、三者三様って感じだね。それじゃ改めて、よろしくぅ!』
A(やっぱり。ってことは、Pさんはこれが見たかったのか)
モバP「うん!今日もみんな絶好調だな!」
A(今までよりもずっと生き生きしてる。この人、本当にアイドルたちが大好きなんだ)
卯月『ええー!?それって本当なんですかー!?』
凛『卯月、幾ら何でもそれはないと思うよ』
未央『そうだよしまむー!』
A(うんうん。確かに絶好調っていって遜色ない。ちゃんとトークができてるよ)
未央『新人さんにいきなり死にそうになるようなことなんかさせないってー』
『当たり前だよ!おじさんたちそんなに薄情じゃないよ!』
卯月『そ、そうですよね!突然激流に放り込まれたりなんて、あり得ませんよね!はぁー、良かったー』ハハハハ
A(全然良くないです)
モバP「はははははっ!!!」
A「…………」
モバP「うん?どうした?そんな恨みがましい目して」
A(自覚なしだとっ!?)
モバP「でだ、Aくん」
A「はい」
モバP「何で俺がこの番組を見せたか、分かるか?」
A「……そうですね。アイドルの仕事の例を見せたかったから、とか?」
モバP「悪くない答えだ。でもな、一番の理由は、裏方としてアイドルを支えている俺たちへの、最高のご褒美が何かってことを教えたかったってことなんだよ」
A「!」
モバP「だってさ、嬉しいだろ?自分たちがバックアップしたアイドルたちが、こうやってテレビに出たり、雑誌に載ったり……」
A「……」
モバP「でさ、そこで見せる笑顔を見るたびに、ああ、やって良かった、報われたって思うんだ」
A「確かに、そうかもしれません。どんな仕事をしているかは別の仕事でもある程度分かるでしょう。でもPさんがいった気持ちを感じられるのは、こんな仕事だけだ」
モバP「だろ?だから俺は、どんなに辛くても、この仕事を辞められないんだよ。一種の病気、かもな」ハハ
A「アイドル病、ですか。それは病院に行ったって治せないでしょうね」ハハハ
A(彼の言葉に、心の底から納得した。もしも自分が、テレビで彼女たちが見せる笑顔を作るのに、少しでも関われていたら、と考えると)
A(うん、今日やったことなんてどうってことないな。辞表なんてバカなこと考えるもんじゃないね)
モバP「今日は、このくらいでいいか。Aくん、君はもう帰っていいぞ」
A「はい」
A(明日からも、頑張ろう)
モバP「ようし!俄然やる気が湧いてきた!明日はもっとハードにいくぞ!」
A(前言撤回。僕には荷が重すぎたようだ。辞表はともかく、遺書くらいは用意しておいたほうがいいかもしれない)
A(こうして、僕の絶対に忘れられない、始まりの日が終わった。特訓に対する絶望もあったけど、それ以上に希望を持って)
A(明日もそれなりに頑張ろうってちょっと前向きな気持ちで、その日は眠った)
A(そして、次の日の朝)
チュンチュン チュンチュン
ピッピッピ プルルルル プルルルル ガチャ
モバP『やあAくん。一体どうしたんだ?こんな朝早くに』
A(僕はPさんに電話を掛けていた)
A「……すいません、今日、休みます」
A(前日割とやる気だったのにもかかわらず休む羽目になったからだ。理由なんて分かり切ってる)
モバP『あー、もしかして?ていうか、やっぱり?』
A「全身、超、筋肉痛、ですっ……!」
A(だって、疲労無視のスタドリが、こんな形で副作用を運んでくるなんて、カケラも思ってなかったんだよ!!)
モバP『あー、どんまい』
A「ちいぃっくしょおおおおぉぉぉぉおぐおぁぁぁ!?ああああいってぇぇぇ!!!」
A(ほんっとうにあの事務所、とんでもない!)
【完】
なんと、二日で終わるとは。人間やればできるものですね
しかし、ギャグって難しいですね……正直、このAくんのキャラは勿体無いのでまた使いたいのですが、続編のネタができるかどうか……
別のssのネタならもう考えてるんですが
そっちは近々スレ作ります
とにかく、読んでいただきありがとうございました
また別の作品など書き始めたらよろしくお願いします
このSSまとめへのコメント
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