花陽「凛ちゃん、これっ!」 (18)
凛「かよちん、これってもしかして?」
花陽「うん。バレンタインのチョコレート・・・」
凛「嬉しいにゃ~! かよちん、ありがと~!」ギュ
花陽「わわっ、凛ちゃん!?」
凛「朝から待ってたのに中々くれないから、今年はもらえないのかなって思ってたんだよ?」
花陽「そんなわけないよ! だって凛ちゃんに渡すのは私の・・・ほ、ほん・・・」
凛「本?」
花陽「本命チョコ、なんだから・・・」
凛「あっ・・・」
凛「・・・そ、そっか!」
りんぱな「・・・」カァァ
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凛「な、なら凛からも! これっ!」
花陽「凛ちゃんも、持ってきてくれてたんだ? あれ? これって・・・」
凛「うん、一応手作りなんだ。去年は買ったのをそのままあげてたけど・・・」
凛「かよちんにはもっと特別なのを渡したかったから」
花陽「凛ちゃんっ・・・」
凛「お米が好きなかよちんのためにお米のクランチチョコにしたんだ。一応上手くできたとは思うけど・・・」
花陽「絶対! そんなの絶対に美味しいにきまってるよ! そんなことまでしてくれるなんて・・・」
凛「当然だよ。だって凛のも・・・」
花陽「?」
凛「本命チョコだから」
花陽「あっ・・・」
りんぱな「・・・」カァァ
凛「そ、そういえば今日はみんな遅いにゃ~?」
花陽「さっき海未ちゃんを見かけたけど、チョコを持ったファンの子達に追いかけられてたよ」
凛「みんなファンサービス中なのかな? だったら今日は集合遅くなるかもね」
花陽「うん、特に絵里ちゃんなんて、μ'sに入る前からチョコをたくさんもらってたみたいだし、今日は動けないかも」
凛「絵里ちゃんか~。確かにチョコを渡したくなる気持ちはわかるにゃ~」
花陽「でも、そういう凛ちゃんだって、今日は結構チョコもらってたよね?」
凛「そ、そんなことないよっ!?」
花陽「・・・本当?」
凛「・・・ま、まあちょっとだけもらった、かな」
花陽「やっぱり。凛ちゃんもすっごくかっこいいもんね」
凛「で、でも! 義理チョコだよ!? 本命チョコはかよちんからだけ!」
花陽「当たり前だよ! そんなにたくさん本命チョコをもらったら私が困るよっ!」
凛「えっ?」
花陽「な、なんでもない!」
花陽「そういえば、凛ちゃんにはもうひとつプレゼントがあるんだ!」
凛「ええっ? そんなにたくさんもらっちゃっていいの?」
花陽「遠慮しないで? これ見つけた時に、絶対に凛ちゃんにあげないとって思って。はいっ!」
凛「えっと・・・」
凛「『ペヤングやきそばギリチョコレート味』?」
花陽「コンビニでたくさん売っててね? 『ラーメンとチョコレートが同時に食べられるなんて! よし、これだ!』と思って」
凛「そ、そうなんだ~」
凛(いやいやいや! これだ!じゃないよ!?)
凛(『ペヤングチョコレート味』・・・こんなのが発売されてたなんて)
凛(ていうかこれ、カップラーメンじゃなくて
カップやきそばだよ、かよちん!)
凛(凛の経験則から言うと、やきそば×チョコレートのカップリングなんて到底考えられない・・・)
凛(つまり確実な地雷にゃ)
凛(ここは戦略的撤退を!)
凛「お、美味しそうだにゃ~! 帰ったら早速・・・」グゥウウウウ
花陽「凛ちゃんお腹空いてるの? ちょうどお湯沸いてるよ!」サッ
凛(凛のお腹のバカ~!!!)
花陽「こうやって待つ3分間ってすごく長いよね。私も非常食用のパックご飯をチンする時は本当に待ち遠しくて・・・」
凛「あはは・・・」
凛(正直、凛は今「3分経たなければいいのに」なんて考える生まれて初めての体験をしてるよ)
凛(刑の執行を待つ死刑囚ってこんな心境なのかな)
凛(ダメだダメだ! 気をしっかり持つにゃ!)
凛(一応商品化されてるんだから食べられないシロモノなわけがない!)
凛(食べる前からこんなことを考えてたら、買ってきてくれたかよちんにも失礼だよね!)
花陽「3分経ったよ! お湯捨ててくるね?」
凛(ゴングは鳴った!)
凛(凛はこのやきそば、必ず完食してみせるにゃ!)
凛「ソースをかけて・・・」マゼマゼ
花陽「あれ? 意外と普通のやきそばだね?」
凛(いや、普通じゃないにゃ)
凛(こうやって混ぜてるのに)
凛(チョコの匂いしかしない・・・!)
凛(やきそば! やきそばなんだよね!?)
凛(あくまでチョコは隠し味的な感じで、ちゃんとやきそばの味はするんだよね!?)
凛「混ぜ終わったにゃ! 最後にふりかけを・・・」
凛(ええ・・・何このピンクのやつ・・・。紅ショウガ? チョコ味なのに紅ショウガ?)
凛(すっごく入れたくないけど、ここまで来たら入れるしか・・・)パラパラ
凛「か、完成にゃ!!」
花陽「あとは食べるだけだね!」パチパチパチ
凛「い、いただきます」
凛(見かけはちゃんとしたやきそばなのが逆に不安を煽るにゃ・・・)
凛(大丈夫かなあ、ちゃんとやきそばの味するのかなあ)オソルオソル
パクッ
凛「!? コホッ!」
花陽「凛ちゃんっ!? 大丈夫!?」
凛「だ、大丈夫! ちょっとむせただけだから!」
凛(こ、これ、マジで言ってるのかにゃ?)
凛(やきそばって言うから1ミクロンくらいしょっぱさがあるんだろうと思ってたけど・・・)
凛(普通に甘い!!)
凛(しかもペヤング本来のソースの薄さが相まって、麺本来の粉っぽい味とチョコソースの甘さが見事にミスマッチしてて・・・)
凛(うわあ・・・)
凛(これ、キッツイにゃあ・・・)
花陽「も、もしかして・・・美味しくない・・・?」ショボン
凛「!?」
凛「そ、そんなことないにゃ! 美味しすぎてビックリしたんだよ!?」ガツガツモグモグ
凛(食感は完全にカップやきそばなのに、味はチョコ・・・)
凛(頭の中がパニックを起こして飲み込むことすらつらい・・・)ナミダメ
凛(なにが『ギリチョコ』だよ、『ガッツリチョコ』じゃん!!)
凛(あとふりかけに入ってたピンクの。これ、紅ショウガじゃないね)
凛(乾燥イチゴだ)
凛(噛むたびに麺の味を軽く通り越して酸っぱさを感じるのが凶悪だよ)
凛(ああ、ふりかけ、やっぱり入れない方が良かったなあ・・・。口直ししたい・・・)
凛「か、かよちん、なんか飲み物持ってない?」
花陽「ええと、これでいい?」
凛(よりにもよってミルクティーかー・・・。甘さリセットしたかったなー・・・)コクン
花陽(り、凛ちゃんと間接キスだ・・・!)テレテレ
凛「ごちそうさまっ!」
凛(やった・・・! 食べきった!)
凛(一時はどうなることかと思ったけど、大事なのは慣れにゃ)
凛(やきそばでもチョコでもなくて「これはこういう食べ物なんだ」って認識すれば何とか飲み込めるようにはなったから、あとは勢い・・・)
凛(凛、頑張ったよね・・・?)
花陽「お粗末様でした。凛ちゃん、美味しかった?」
凛「もっちろんにゃ~! こんなの中々食べられないし、いい経験になったよ!」
花陽「良かったぁ! これでみんなにも心置き無くプレゼントできるよ!」
凛「え?」
凛「ちょ、ちょっと待って。みんなって?」
花陽「えっ? μ'sのみんなだよ? 実はみんなの分も買ってあったんだけどちょっと不安だったからラーメン通の凛ちゃんに先に食べてもらってから配ろっかなって思ってたの」
凛「そ、そっかぁ」
凛(ああ、神様・・・)
花陽「そろそろ誰か部室に来るよね? まだお湯も残ってるし、良かったらみんなもここで・・・」
凛「かよちん」
花陽「なに?」
凛「かよちんは凛以外にチョコあげる必要ないよ?」
花陽「え? それってどういう・・・」
凛「凛以外がかよちんのチョコを受け取るなんて、我慢できないって言ってるの」
花陽「っ!」カァァ
花陽「で、でも! それじゃあみんなへのチョコが・・・」
凛「凛の言うこと、聞けないの?」アゴクイッ
花陽「あっ、きき・・・」
花陽「ききまひゅ・・・」
凛「うん、それでいいんだよ。かよちん」ニコッ
花陽「は、はい・・・っ」
花陽(凛ちゃんってこんなに独占欲強かったんだ・・・)
花陽(私、すごくドキドキしちゃってる・・・)
凛(あの味を知るのは凛だけで十分にゃ・・・)トオイメ
凛(みんな、ハッピーバレンタイン!!)
ー後日ー
花陽「凛ちゃん」
凛「ん、なに~?」
花陽「この間渡したカップラーメンなんだけど・・・」
凛「・・・あれがどうかしたのかにゃ?」
花陽「えっとね、あれってチョコ味だからあんな個数食べたら飽きちゃうかなって」
凛(飽きるどころかまだ手をつけられてない、なんて言えない・・・)
花陽「それでね? たまには違ったのも食べたいかなって、これ、買ってきたんだ」
凛「そ、それって・・・」
花陽「『ペヤングやきそば激辛味』だよ! 凛ちゃんにあげるね!」
凛「あ、ありがと。かよちん・・・」
凛「はは、はははっ」
凛(誰か助けてにゃあああああ!!!)
終わり
直近で書いた作品↓
鞠莉「I love you」果南「アイラブ曜?」
ギリギリ間に合いました。
依頼出して来ます。
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