ちひろ「……プロデューサーさん」 P「…………」 (29)

ちひろ(まただ)

ちひろ(今日もプロデューサーさんは言葉を発さない)

ちひろ(プロデューサー業も最近では疎かになってきている)

ちひろ(私やアイドル達がフォローしているものの、これではきっとこの事務所は・・・)

凛「ちひろさん」

ちひろ「凛ちゃん……どうかしたの?」

凛「プロデューサーはまだ喋らないの?」

ちひろ「……ええ」

凛「……そっか」

凛「この間の移籍の話、覚えてる?」

凛「大手プロダクションの方が是非うちにこないかって」

凛「その時には、多額の移籍金を払うって」

ちひろ「覚えてるわ。このプロダクションの経営が、日々悪化の一途をたどっている今、確かにそれは魅力的な話ですしね」

ちひろ「お金の面だけでみたら」

凛「……私、どうしたらいいのかな?」

凛「私一人がいなくなれば、このプロダクションは救われるんじゃないかって、そんな事考えてる」

ちひろ「凛ちゃん……」

凛「明日、正式に相手プロの人がここを訪ねてくるみたい。プロデューサーと話し合いたいって」

凛「でも……プロデューサーは……」

ちひろ「凛ちゃん」

ちひろ「プロデューサーさんが言葉を発せなくなった今、偉そうな事は言えないけど」

ちひろ「私は、凛ちゃんのすきなようにするべきだと思うの」

凛「すきなように?」

ちひろ「凛ちゃんが、ここに残りたいなら、無理に遺跡の話をのまなくてもいいってことよ」

凛「……ちひろさん、変わったね」

ちひろ「?」

凛「昔のちひろさんなら、お金を優先しそうなものだもん」

ちひろ「ふふ、なにいってるの?」

ちひろ「私は、ちゃんと、お金のことを考えた上で凛ちゃんに残って欲しい気持ちを持ってるのよ」

ちひろ「だって凛ちゃんは、いつかトップアイドルになれる素質を持っているもの」

凛「ちひろさん……ふふ」

凛「ありがと、なんか色々、吹っ切れた気がするよ」



P(卯月……待ってくれ)

P(なあ、おい)

P(行かないでくれよ……卯月)

ちひろ「プロデューサーさん!? どうしたんですか!?」

ちひろ(泣いてる……今まで感情も何も見せなかったのに)

P「…………」

ちひろ(でも、きっと、今のこの人に私の姿は見えていないんだわ)

ちひろ(アイドル達の姿も……)

ちひろ(きっと今この人が見ているのは……)

卯月「うふふ、どうしたんですか? プロデューサー」

P「ん? いや、何。卯月も大きくなったなーって」

卯月「はい! 私、頑張ってますから! えへへ」

P「うん。柔らかそうで何よりだ」

卯月「え?」

P「ん?」

卯月「もー……プロデューサーさん、それ、セクハラですよ」

P「ははっ、ごめんごめん。緊張がほぐれるかと思って」

卯月「別の意味で緊張しちゃいますよ、それ」

P「え? それってもしかして」

卯月「いつプロデューサーさんが私のお尻に飛びついてこないか心配で心配で」

P「は、ははっ……そっちか」

P「それより、プロデューサーさんって呼び方、辞めるんじゃなかったのか?」

卯月「が、頑張ります……」

P「別に頑張らなくていいけどな。自然に、さ」

卯月「そうですね! よーし、次の撮影も頑張ります!」

P「だから、自然に……卯月!?」

卯月「? どうしました? プロデュー……」

P「卯月ぃぃぃぃぃぃぃ!!??」



加蓮「凛……?」

奈緒「お、ほんとだ。凛だ」

奈緒「おーい、凛ー」

凛「…………」

奈緒「んっだよ。無視かよ」

加蓮「まあ奈緒だしね」

奈緒「なっ!? なんだよそれぇ!」

加蓮「冗談、冗談だよ」

加蓮「でも……」

加蓮「凛……泣いてた」

奈緒「え?」

奈緒「まじ?」

加蓮「うん……多分、移籍の噂かな」

奈緒「は、はぁ!? ちょっとまてよ!」

奈緒「あれって噂じゃねえのかよ!?」

奈緒「凛が移籍なんて……、嘘だよな!?」

加蓮「わかんないよ……でも多額の移籍金が支払われるって」

加蓮「もし私たちの為に凛が自分を売るとしたら……」

加蓮「可能性はなくはない話だよ」

奈緒「そんなの……」

奈緒「そんなの私が許さねえ……(ぎりっ」



ちひろ「来てしまった」

ちひろ「今日、移籍の話に決着がつく」

ちひろ「プロデューサーさん?」

ちひろ「あなたなら、どうしますか……」

ちひろ「卯月ちゃんを失って……プロデューサーさんは心を失って……それでいて凛ちゃんまでいなくなっちゃうなんて、私は嫌です」

ちひろ「いえ、凛ちゃんだけじゃない」

ちひろ「私は、もう誰も、失いたくないんです」

ちひろ「助けてください……凛ちゃんを守ってください……」

ちひろ「プロデューサーさん……」



偉い人「やあ、久しぶり、凛ちゃん」

偉い人「まあ緊張しないで」

偉い人「突然お邪魔して割るかったね。仕事のスケジュールに差し障らないといいんだけど」

凛「いえ、大丈夫です。今日はオフですから」

偉い人「うーん。それはそれで、なんだか申し訳ないかな」

凛「じゃあ、手短にお願いします」

偉い人「そうだね。では、手っ取り早く金額の提示だね」

偉い人「君が移籍すると、これだけの金額がこのプロダクションに支払われる」
凛(凄い……見たこともない大金だ)

偉い人「大体、七千万だ。勿論君にはそれ以上の価値がある、と見込んでのこの金額だからね?」

偉い人「凛ちゃんの価値がたった七千万なんてことは、ありえない」

偉い人「ただそれは僕たちのプロダクションに来てくれたら、の話だ」

偉い人「今の環境では君は伸びることができない」

偉い人「磨かれない原石に価値はない」

偉い人「違うかな?」

凛(嫌味な人……でも、日に日に仕事が減ってるのは事実)

凛(これだけのお金があれば、事務所は新しい人材を雇ったりして持ち直すことが……)

凛(新しい人材?)

凛(私、何考えてるの?)



奈緒「ふざけんな!」

奈緒「ちひろさんはそれでいいのかよ!」

奈緒「凛がいなくなってもいいっていうのかよ!?」

加蓮「奈緒! 落ち着いて!」

奈緒「落ち着けるわけねえだろ!?」

加蓮「今ここでちひろさんに八つ当たりしたって仕方ないでしょ!」

奈緒「凛は私たちの仲間だ! 友達だ! 凛はこのプロダクションに必要なんだよ!」

奈緒「なんでわかんねえんだよ!」

ちひろ「……ってるわよ」

加蓮「奈緒、少し落ち着いて」

ちひろ「わかってるわよ……それくらい」

ちひろ「このプロダクションの事務員を誰だと思ってるの?」

奈緒「だったら……‼」

ちひろ「決めるのは……凛ちゃんです」

奈緒・加蓮「!?」

ちひろ「私は、凛ちゃんの意思を尊重させてあげたい……私だって凛ちゃんと離れたくない……」

奈緒「ちひろ……さん」

加蓮「ちひろさん。凛はどこで話してるんですか?」

加蓮「凛の意思で決めさせたいっていうのはわかるよ。でも、凛の性格、知ってるでしょ?」

加蓮「誰かが力づくで引き止めてあげなくちゃ、あの子、自分の意思まで押し殺しちゃう」

ちひろ「加蓮ちゃん……?」

加蓮「私もやっぱり、凛と一緒にいたいから」



偉い人「ここの書類をよく読んで、それからここにサインと、ああ、印鑑持ってる?」

凛「……はい」

凛(残りたい。それは本当。でもきっとこれが皆のためだよね?」

凛(その皆に、私が含まれないのが悲しくないというと、勿論嘘になるけど)

???「失礼しまーす」

偉い人「?」

???「すいません、ちょっと昔馴染みの顔が見たくなって」

偉い人「君は確か」

凛「未央?」

未央「えへへ、凛が泣いてる気がするって言われてさ」

凛「…………っ」

未央「一つでも失いたくないものがあって、それでも掛け替えのないものはいつかなくなっちゃう」

未央「そうなった時、私はもう後悔しないって決めたから」

未央「同じだよね、プロデューサー♪」

凛「え?」

P「……遅く、なったな」

凛「ぷ、プロデューサー……喋って……」

P「そりゃ喋るさ」

P「俺は生まれたての赤ちゃんじゃないんだから」

奈緒「いやいやいやいや、なんだよそれ。なんのアニメだよそれ」

凛「奈緒……」

加蓮「凛がいなくなると、寂しいからさ」

加蓮「まあまさかプロデューサーが復活するとは思わなかったけど」

ちひろ「本当に、私の涙が効いたのかしら?」

凛「加蓮、ちひろさん」

P「そんなわけで、俺たちは凛の移籍に反対する同盟だ」

P「まあでも、最終的には凛に選んでもらうけどな」

P「ただ俺がいるんだ。金なんてすぐ稼がせてやるぜ」

ちひろ「そんなこといって、働くのは彼女たちじゃないですか」

P「俺は働く舞台を用意する人間だからな」

凛「ふ、ふふ……」

凛「プロデューサーの声聞くのも、久しぶりだね」

奈緒「んなこたいいから凛、早く決めちまえよ」

加蓮「私たちと離れたい? 離れたくない?」

凛「……その訊き方は、ずるいよ」



P「もうしわけありません」

偉い人「いやいや、いいですよ。素晴らしい物を見せていただきました」

偉い人「長年この業界にいると、人間関係が全部作り物に見えちゃいましてね」

偉い人「ほら、ドラマの撮影とか見ちゃうと」

偉い人「だから、今回は本物のドラマを見せて貰えたような気がして、満足してるんです」

偉い人「芝居なしの、ね」

P「そうですね……あいつらの友情に芝居や演技はありませんから」

P「混じりっ気のない……本音の関係って奴ですかね」


凛「ねえ、プロデューサー」

P「どうした? かしこまって」

凛「卯月のこと、好き?」

P「お前 ……本人の墓の前で言うか? そんなこと」

凛「本人のお墓の前だからだよ」

P「……好きだよ。当たり前だ」

P「でも、だったら俺はお前のことだって好きだ」

P「未央だって、奈緒だって、加蓮だって、皆大好きだ」

P「俺はお前らのプロデューサーだからな」

凛「ん……そういう話じゃないんだけど」

凛「ま、いっか。ふふ」

P「なんだよ」

凛「なんでもないよ。ただ卯月に宣戦布告しただけ」

凛「私も頑張るから、いつもの笑顔でちゃんと見守っててねって」

P「なんだそりゃ。まあ、やる気があるのはいいことだけどな」

P「よし、そろそろ撮影に向かうか」

凛「うん! 私、頑張るよ!」

思いつきで書いたのを投下
荒削りで下手くそだけど一応話はまとめられたかなと
ついでに個人的にうづきんに怨みがあるわけではないです

うづきんなんでしんでしもたん

>>27
描写はされてないけど交通事故です
ちゃんみおはなぐさめ役として使えるなと思っていたので消去法的にうづきんが・・・

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年10月08日 (土) 01:09:22   ID: 5KksFgKK

薄っぺらい

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