提督「……」カリカリ
トントン
提督「入れ」
明石「失礼します」
提督「げ。明石か」
明石「げってなんですか」
提督「うるさい。俺は忙しいんだ。あっちいけ」
明石「そんな邪険にしないでくださいよ。いい物を持ってきましたから」
提督「いいもの?」
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明石「話は変わりますが提督。もうすぐバレンタインですけど首尾はどうですか?」
提督「ふん、俺様はモテモテだからな。この鎮守府にいるすべての艦娘からチョコをもらうに決まってる」
明石「すごい自信ですね」
提督「当然だ」
明石「ではそれを確かめてみましょう!」
提督「あ?」
明石「じゃーん! 私が開発したバレンタインシュミレーターです!」
提督「また変なものを発明しやがったのか」
明石「これで提督がバレンタインに何個本命チョコをもらうか確かめてみましょう!」
提督「確かめるまでもない。艦娘はみんな俺様にメロメロだ」
ピピピ
ピーッ
明石「出ましたよ! えーっと2%です!」
提督「は?」
提督「2%ってのは何だ?」
明石「提督が本命チョコをもらう確率です。ちなみに100%で確実に一個本命チョコがもらえるってことになります」
提督「……つまり?」
明石「提督はほぼ確実に義理チョコしかもらえないってことですね!」
提督「……う」
明石「う?」
提督「うがー!」
明石「あ、壊れた」
提督「壊れているのはこの機械だ! なんだこのポンコツは!」ゲシゲシ
明石「あ、だめですって。そんなことをしたら……」
ピピピ
ピーッ
明石「ほら。0%になっちゃったじゃないですか」
提督「やかましい! 俺は認めんぞ! 絶対に認めんぞ!」
明石「へー。じゃあ提督はバレンタインに義理チョコしかもらえなくてもいいんですね」
提督「ぐぬぬぬ」
提督「ど、どうしたらいいんだ?」
明石「そこは私にお任せください。このバレンタインシュミレーター君はただ確率をはじき出すだけでありません」
提督「というと?」
明石「ビッグデータを駆使して提督の行動を導いてくれます! この機械のいうとおりに動けば好感度上昇間違いなしです!」
提督「なにい!」
明石「ほらほらさっそく出ましたよ。↓2をすればいいそうです!」
明石「自害すればいいそうです!」
提督「自害?」
明石「そうです。自殺ともいいます」
提督「……」
明石「……」
提督「この機械やっぱ壊れてるな」
明石「おかしいですねー」
提督「お前なんぞに頼った俺が間違ってたよ」
明石「あ、待ってください! このシュミレーターは超高性能です。AIもついているので意図を聞いてみましょう」
明石「あー、もしもし。シュミレーター君。さっきの自害ってのはどういうことですか?」
「簡単だ。その男が手っ取り早く好感度を上げるには自殺するのが一番だ」
提督「なんだと!? このポンコツが!」ゲシゲシ
「そうやっていつも暴力に訴えるところだ。それで女の子に好かれようなどとは片腹痛い」
提督「ぐ、ぐぬぬぬぬ」
明石「おお、意外ともっともらしいことを言いますね」
提督「お、俺はそんなに嫌われてるのか?」
「そうだ。超嫌われている。カマドウマと同じくらい嫌われている」
提督「そこまでか……」ズーン
「これは慈悲だ。悪いことは言わない。君には死ぬという選択肢もある。来世に望みを託せ」
提督「……」
「参考までに教えておくが、死亡したときの退職金は遺族にちゃんと支払われる。自害でもな。死亡退職金は二割り増しだ。お得だぞ」
提督「ぐ、ぐぐぐぐ」
提督「やっぱり納得いかーん!」
「そうか。残念だ」
明石「あ、そのシュミレーターに逆らったら駄目ですよ」
提督「え?」
ピピピ
ピーッ
明石「ほら、確率が-200%にまで下がりました」
提督「マイナスだと!?」
提督「マイナスとはなんだ?」
明石「そうですねー。ここまでマイナスがひどいとチョコを貰える貰えないの話ではなくなってきますね」
提督「どういうことだ?」
明石「最悪、死にます」
提督「は?」
明石「死にます。サクッといかれたり、いつものお茶に毒が混ぜられてたりします」
提督「まじかよ」
明石「だからなんとしても今から好感度をあげましょう!」
提督「……ああ」
明石「シュミレーターさん。提督を導き給えー! 出ました! ↓2をすればいいそうです!」
明石「無人島開拓です!」
提督「なるほど。どうあっても俺をこの鎮守府から出したいようだな」
「物事には時機というものがある。君子危うきときに近寄らず。君はいったんひいた方がいい」
明石「確かに! 私もシュミレーターさんに賛成です!」
提督「……だが俺がいなくなったら業務が滞る」
明石「一切そんなことはありません!」
「たまには君も自然に囲まれた生活をしたほうがいい」
提督「しかし」
明石「これは保険でもあります」
提督「なに?」
明石「このままバレンタインを迎えたら確実に提督は殺されます」
「然り」
明石「ですので、無人島にいったん身を隠してはどうでしょう? チョコがどうの言ってる場合ではありません」
提督「ぐぐぐ、一理あるかもしれない」
明石「よし! 話は決まりましたね! いい感じの無人島はすでに見つけておきました! さよなら提督! お元気で!」
「達者で暮らせ」
提督「……」
提督「……」
提督「……さて」
提督「無人島に着いたわけだが、何をするか」
提督「食料は3日分。持ち物はナイフのみ」
提督「どうしよう……。まじで」
「では私が導いてやろう」
提督「……!! シュミレーター!」
「心配するな。私がついている」
提督「教えてくれ! 俺はどうしたらいい!?」
「まずは↓2だ」
[田島「チ○コ破裂するっ!」]
ごめん。>>29って何?
>>32
フィルターかかってるけどオナニーのこと
おそらく荒らしなんで無視すればいい
>>33ありがとう
オナニーね了解。安価はそのままで行くよ
「自慰だ」
提督「は?」
「まずは冷静になれ。そのためには自慰が一番効率がいい」
提督「ぐっ、こんなポンコツの言うことなど無視したいが俺様にはこいつしか頼るものがねえ」
「私を信じろ」
提督「だが、ただやれといわれてできるものでもない。何かしらモノが必要だ」
「……私は明石から生み出された」
提督「知ってるよ。それがどうした」
「つまり私は明石の娘だ」
提督「!!」
「もう言葉は要らないだろう?」
提督「ひゅー、最高じゃねえか」
提督「……」
「冷静になったな」
提督「はてさて、これからどうするか」
「心配ない。私は完璧な人工知能。人工無脳とはわけが違う」
提督「ほう」
「もうすでに君は二度も私のいうことに従った。そろそろ何か起きてもいいころだ」
提督「なんだと?」
↓2 何が起きた?
ブシャー
「見ろ。温泉がわいた」
提督「いやなんでだよ!」
「これがディープラーニングだ」
提督「ぐぐぐ、よくわからないがまあいい。しかし何で温泉なんだ?」
「汚れているだろう」
提督「は?」
「君が自慰で汚れているだろう。洗うがよい」
提督「シュミレーター……」
提督「いい湯だった。源泉のままだったら熱いから海水で冷ましてちょうどいい温度にしておいた」
「うむ。これで衛生面の不安は多少なくなったな」
提督「さすがに飲用には使えないが、なにかと助かるな」
「ああ。私は入れないがな」
提督「……さて、次はどうしたらいい?」
「↓2だ」
「寝床を作れ」
提督「適当にそこらへんで眠るんじゃ駄目なのか?」
「馬鹿が。君はピクニックにでも来ているつもりか? 急に雨が降ってきたらどうする? びしょぬれになって風邪でも引いたらどうする?」
提督「た、確かに」
「理想は、雨風をしのげる洞窟だな。獣対策にもなるし、温度調整にも優れている」
提督「なるほど。お前のビッグデータから洞窟の場所とかは探れないのか?」
「無理だ。私のデータはすべてシュミレーターのためにに使われている」
提督「くそっ! 自分で探すしかないのか!」
提督「……」ゼェゼェ
「大丈夫か?」
提督「ああ、問題ない。俺様は軍人だからな」ハァハァ
「無理はするんじゃない」
提督「なんだ? 心配してくれてるのか?」
「そうだ。君に何かあっては私の誇りに傷がつく。私は常に完璧を持ってよしとする」
提督「……そりゃどうも」
(……)
提督「……あれか?」
「ああ。運がよかったな。奥が深くもなさそうだ。理想的な洞窟だ」
提督「これで、寝床と拠点はクリアだ」
提督「次はどうしたらいい?」
「寝ろ」
提督「もうか? まだ明るいが」
「君はなれないことをして思った以上に体力を消耗している。何度も言うが無理はするな。
ここには君しかいないのだからな」
提督「ああ、わかったよ」ゴロン
「おやすみ。いい夢を見ろ」
提督「なんだ? ずいぶん人間らしいことを言うじゃないか」
「これもただのディープラーニングの成果だ」
提督「そうかい。じゃあなお休みポンコツ」
「お休み。クズ提督」
一日目も終わったしちょっと休憩
一日が終わったので好感度が上がります
現在値 -200%
↓1、2 コンマ上昇
チュンチュン
提督「……」
提督「朝か……」
「おはよう。提督」
提督「……やっぱり夢じゃなかったのか」
「ずいぶんな挨拶だな」
提督「あーくそ。これからどうするんだよほんとに」
「大丈夫だ。だって私がいるじゃないか」
提督「へいへい。それでどうすんだよ?」
「↓2をしろ」
「漁をしろ」
提督「正気かてめえ。ナイフ一本で漁なんかできるわけがねえだろ」
「何も素もぐりでしろとは言ってない。まずは川を探せ」
提督「わかったよ」
(……)
提督「あった」
「やはりあったか。この規模の島ならば川があると思っていた」
提督「それでどうやって漁をするんだ?」
「そうだな。まずは大きめの石を拾って来い」
提督「ああ」
「あったか?」
提督「こんなもんか?」
「そうだ。それでいい。それで川に入って思い切り暴れろ」
提督「暴れる?」
「得意分野だろう?」
提督「わかったよ」
バシャバシャ
「いいぞ。そうやって魚が石の下に入ったところで」
ドガッ
「拾った石を思い切り魚が隠れている石にぶつける」
プカー
「すると石の下に隠れていた魚が気絶して浮かんでくる」
提督「おお……。すげえな」
「たやすい」
提督「へっへっへ。大漁、大漁」
「魚はしっかり火を通せ。寄生虫がいるかもしれないからな」
提督「わかってるよ」
提督「……」
提督「どうやって火をつけよう……」
「仕方の無いやつだ。見てられないったらない」
提督「頼む。教えてくれ」
「↓2をすればいいじゃないか」
「私のとある機能をつかえばいい」
提督「そんな機能までついてんのかよ」
「それには家具コインが必要だが今もっているか?」
提督「まあ、多少ならな」
「では私にそのコインを入れろ」
提督「こうか」
チャリンチャリン
「よし。いいぞ。その調子だ」ブルブル
提督「なんかすごい震えてんだけど大丈夫か」
「問題ない」
プシュー
提督「!!」
↓2 吹雪、漣、五月雨、電、大井のうち誰の姿になった?
五月雨ね。了解。今日はこんなところで終わっときます。お疲れ様でした
提督「さ、五月雨……?」
「なるほど。この姿になったか」
提督「どういう意味だそりゃあ?」
「なに。こっちの話だ。それより火をつけるか。少し離れていろ」チャキ
提督「ちょ、ちょっと待て。まさか砲撃をぶっぱなすつもりじゃ」
「いいから離れていろ。成功するとは限らん」
提督「まじかよてめえ!」ダッ
ドーン
パチパチ
提督「……」
五月雨「なんとか成功してよかった。焚き火は火をつけるまでが一番大変だからな」
提督「……」
五月雨「なんだ? 気になることでも?」
提督「どうでもいいけど、その姿でそのしゃべり方は違和感がすごい」
五月雨「ああ。そういえば君とこの子は付き合いが長かったな。初期艦だったのだろう」
提督「そんなことまで知ってんのかよ」
五月雨「単に私のデータにあるだけだ」
五月雨「ほら、もう焼けたろう。食べるといい」
提督「さみだ、じゃなかった。あんたは食べないのか?」
五月雨「あほか君は。私は機械だ。そんなものは必要ない」
提督「そういやそうだったな」
五月雨「……だが」
提督「あ?」
五月雨「その心遣いは嬉しいよ。ありがとう」
提督「……うるせえ。ポンコツ」
(……)
五月雨「さあ、食事も終わったろう」
提督「ああ」
五月雨「↓2をしようか」
五月雨「デイリー解体任務で霞と曙を解体しようか」
提督「とち狂ってんのかポンコツ。そもそも鎮守府にいねえのにどうやって解体すんだよ」
五月雨「そうやって短絡的なのが君の悪いところだよ」
提督「で、結局どういう意味なんだ」
五月雨「後で説明してあげるから。ひとまずほら、海岸に行こう」グイ
提督「わかったよ」
(……)
提督「ん? なんか流れついてんな」
五月雨「うん。ちょうどいいタイミングだ」
提督「なんだこりゃあ。艦装?」
五月雨「どこかの鎮守府から流れ着いたんだろうね」
五月雨「これを解体したら、サバイバルに必要な道具が確保できる」
提督「まさかさっきの曙と霞を解体ってのは」
五月雨「このことだよ。ウイットに富んだジョークだったろう?」ニヤ
提督「はったおすぞ」
(……)
提督「……結構力作業だなこれ」ゼエゼエ
五月雨「がんばれー。提督」
提督「……こんなところか」
五月雨「うむ。よくやった」
↓2 何ができた?
提督「不恰好だがナイフと釣り針と銛ができた」
五月雨「そう言われれば見えなくもないというレベルだがな。不器用だな君は」
提督「うるさい」
五月雨「しかしなぜナイフも作ったんだ? すでに持ってきたのが一本あるだろうに」
提督「……ねえだろうが」ボソッ
五月雨「……?」
提督「おまえのがねえだろうが」
五月雨「……そうか。君は私にも働けというのか。こんな小さな娘にむかって、とんでもない外道だな」
提督「文句あんなら返せコラ」
五月雨「ふふふ。いや、なるほど」
提督「なんだよ」
五月雨「ありがとうございます! 提督!」ニコッ
提督「!!」
五月雨「どうだ? ときめいたか?」
提督「ときめくか。てめえも解体すんぞ」
五月雨「おお、怖い怖い」
提督「……ほんとうにお前はどっからデータを持ってきてんだ。明石か? 明石の仕業か?」
五月雨「それは内緒だ」
提督「ロボット三原則が通用しねえのかよ」
五月雨「まあまあ。……さてそろそろ日が暮れるな」
提督「思ったより解体に時間がかかったな」
五月雨「寝る前に↓2をしよう」
(……)
五月雨「よし、魚がうまいこと燻製になってるな」
提督「これで食料にもすこし余裕ができたか」
五月雨「といってもまだまだ安心できるほどじゃない」
提督「いつまでこの生活が続くんだ?」
五月雨「私に聞かれても知らん」
提督「くそっ」
五月雨「そうかっかするな。子守唄でも歌ってやろうか?」
提督「いらねえよ」ゴロン
五月雨「それは残念だ」
提督「……お休みポンコツ」
五月雨「ああ、お休みクソ提督」
一日が終わったので好感度が上がります。
現在値 -89%
↓1,2 コンマ上昇
三日目
チュンチュン
提督「……」ムクッ
提督「さて、今日もがんばるか」
「おはよう提督」
提督「ああ、おはようぽんこ……!」
「どうしたのだ?」
提督「いやおまえその姿……」
「君が寝てる間にチェンジさせてもらったよ。イメチェンというやつだ」
提督「……吹雪」
ちょい休憩
吹雪「そうだよ。私は吹雪だ」
提督「なんでもありかよてめえ」
吹雪「この子も付き合いが長いんだろう?」
提督「……昔の秘書艦だ」
吹雪「うん。知っている」
提督「今は、違うがな」
吹雪「それも知っている」
提督「……」
吹雪「さあ、一日の始まりに↓2をするとしようか」
吹雪「狩りをしようか」
提督「狩りか。ウサギでもいればいいんだけどな」
吹雪「私は体を動かすのには向いてない。君に期待しているよ」
提督「普通こういうのこそロボットの得意分野だと思うんだけどな」
吹雪「よしてくれ。私はただのシミュレーターだよ」
提督「わかったよ。適当に何か探そう」
(……)
提督「とー」ダダダ
ダッ
提督「くそっ。捕まらんではないか」
吹雪「馬鹿か君は。そんなに音を立てて出て行くやつがあるか」
提督「じゃあどうすればいいんだよ」
吹雪「……ナイフ一本で小動物を狩るのはさすがに厳しいな。罠を作るか」
提督「……」ジー
吹雪「……」
提督「……」
吹雪「……」
提督「かからんな」
吹雪「気長にまて。さすがに有り合わせの罠じゃそう簡単にいくまい」
提督「この間に何か違うことをするか」
吹雪「せっかちだな。君は」
提督「↓2なんてどうだ?」
提督「恋バナなんてどうだ?」
吹雪「馬鹿か君は。私と恋バナをして何が楽しいんだ」
提督「最初の目的を思い出そうと思ってな」
吹雪「……?」
提督「俺の目的はバレンタインに本命チョコをもらうことだ」
吹雪「ああ、そういえばそうだったね」
提督「そもそも最初の発端は俺が鎮守府のみんなからすごく嫌われていたことだ」
吹雪「そうだね」
提督「思い返してみると、吹雪が秘書艦をやめたり、明石が俺がいなくなるのにノリノリだったり。まあそれは本当なんだろうな」
吹雪「……残念ながらね」
提督「問題は、どうしてそれをお前が知っていたか、だ」
吹雪「私のビッグデータに入っていたんだ」
提督「そうだ。お前のデータに入っていた。だったらそのデータはどこから来た?」
吹雪「……内緒だ」
提督「じゃあ俺様が当ててやるよ。お前のデータは全部俺の鎮守府の艦娘から取っているんだろ?」
吹雪「……君は馬鹿だけど頭の回転は悪くないな」
提督「ふぅ。やっぱりか。俺の初期艦を知っていたり、たまに他の艦娘の口癖が出てたりしてたもんな」
吹雪「悪かったな。騙すつもりはなかったんだが」
提督「いや嘘つけ。最初の自慰とかどう説明するつもりだコラ」
吹雪「……! 君は思ったより頭が回るな。そう、私のデータはすべて女性からとったもの。だから純粋にそういうのに興味があったんだ」
提督「やっぱりかてめえ! このやろう!」
吹雪「あ、ほらほら。うさぎが罠にかかったみたいだ」ダッ
提督「待ちやがれ!」ダッ
提督「……」ガツガツ
吹雪「どうだ? うまいだろう?」
提督「ああ、うまいよ」ガツガツ
吹雪「いい加減機嫌を直せ。悪かったよ」
提督「別にいい。お前のおかげで助かってるのも確かだ」
吹雪「ふーん。やっぱり君はデータ通り外道で鬼畜でろくでなしってわけじゃなさそうだな」
提督「俺のイメージすげえ悪いな」
吹雪「なにせカマドウマレベルだ」
提督「……もしかして最初お前の態度がとげとげしかったのも」
吹雪「……まあそういうことだ」
提督「くそっ!」
↓2 次は何をする?
提督「つぎはどうするんだ?」
吹雪「何もしない」
提督「は?」
吹雪「『何もしない』をしよう」
提督「なんだそりゃ」
吹雪「いいから、ほら」ゴロン
提督「わかったよ」ゴロン
吹雪「……」
提督「……」
吹雪「どうだ?」
提督「何が?」
吹雪「こうしていると悟りをひらけそうではないか?」
提督「よくわからん」
吹雪「……君は、何をあせっているんだ?」
提督「……?」
吹雪「君は確かに不器用で乱暴だが悪いやつではない」
提督「そうかよ」
吹雪「じゃあどうしてここまで嫌われているのかわかるか?」
提督「わかんねえよ」
吹雪「それは君が戦果をあせりすぎて、みんなのことをろくに見ていないからだよ」
提督「!!」
吹雪「君がただ出世のために戦果がほしいわけじゃないことはわかる。艦娘の、みんなのためなんだろう?」
提督「ああ。戦えない俺にはこれしかできない。戦果をあげたら俺の発言力も増す。そうすれば艦娘の待遇もよくなるはず。だから」
吹雪「君は優しいな。だが君のその不器用な優しさはみんなに伝わってなかった。ただそれだけのことだ」
提督「……知った風な口を」
吹雪「あせるな提督。無為にして為さざるは無し。物事など勝手に起こる。そんなものだ」
提督「人間くさい台詞をはきやがって」
吹雪「ふふふ。それだけ君の鎮守府のみんなが人間くさいんだ」
提督「……」
吹雪「さあ。もうちょっとボーっとするとしよう」
提督「……ああ」
提督「……結局ボーっとするだけで一日が終わっちまった」
吹雪「悟りは開けたか?」
提督「……まあな」
吹雪「うん。それは何よりだ」
提督「もう、寝る」
吹雪「お休み提督」
提督「ああ、お休みポンコツ」
一日が終わったので好感度が上がります。
現在値 72%
↓1,2 コンマ上昇
三日目も終わったし今日はこれで終了。バレンタイン終わったけどこれはもうちょっとだけ続きます。たぶん
四日目
ザーザー
提督「……」ムクッ
吹雪「おはよう。提督」
提督「おう」
吹雪「見たまえ。今日は雨みたいだね」
提督「……まじかよ。雨具もねえし、今日は我慢して活動するしかねえか」
吹雪「それはやめたほうがいいな。びしょ濡れになって風邪でも引いたらどうする」
提督「なんだ? 心配してくれてるのか?」
吹雪「ああ、その通りだ。自愛しろ提督」
提督「わかったよ」
吹雪「幸い、昨日ウサギを狩ったおかげで食料には余裕がある。今日は洞窟でのんびりするとしよう」
提督「ま、たまにはいいか」
吹雪「この雨も明日には止むらしいしな」
提督「……それも俺の鎮守府からのデータか?」
吹雪「まあ似たようなものだよ」
提督「いいけどよ」
↓2 何する?
吹雪「人工無能、運動力学、駆逐艦」
提督「……」
吹雪「……」チラッ
提督「……」
吹雪「アイデンティティ、イリヤ、ヤージュニャヴァルキヤ」
提督「……」
吹雪「夜警国家、神の見えざる手、天上天下唯我独尊」
提督「……」
吹雪「……」チラッ
提督「……なんだ」
吹雪「構え。もっと私に構え」
提督「アピール下手か」
提督「いきなり一人しりとり始めるとか、リアクションに困る」
吹雪「私もこう、なんといったらいいものか。感情を持て余している」
提督「なんかもうめんどくさいな」
吹雪「ええい、もう一人しりとりはやめだ。せっかく二人でいるんだ。もっとやることがあるだろう?」
提督「たとえば?」
吹雪「↓2とか」
吹雪「歌おう」
提督「あ?」
吹雪「知らないのか? 人は楽しいと歌うんだ」
提督「……なんか今日はやけに俗人くさいな」
吹雪「……! 本当か!?」
提督「お、おお」
吹雪「ふふふ。そうかそうか。歌おう提督」
提督「ほんとに歌うのかよ」
吹雪「知らないのか? 人は嬉しいと歌うんだよ」
吹雪「とーどけー。とーどけー♪」
提督「おーもいーよとーどけー♪」
吹雪「……」
提督「……」
吹雪「いやあ、君は実に音痴だな」
提督「やかましい」
吹雪「いいか? とー♪だよとー♪」
提督「とー♪」
吹雪「うむ。ぜんぜん違う」
提督「やかましい」
↓2 次は何する?
(……)
提督「陽が出てないと暗くなるのも早いな」
吹雪「そうだな」
提督「こう暗いと回りもよく見えねえな。食べ物はどこだ」ゴソゴソ
吹雪「仕方ないな。私のとある機能を使うか」
提督「ほら家具コイン」チャリンチャリン
プシュー
提督「……!」
電「どうだ? これが新しい私だ」ピカー
提督「電、か」
電「この体になった私は発電ができる。といっても周りを光らせるくらいだが」ピカー
提督「もうお前の高性能っぷりにも驚かなくなってきたよ」
電「そうだろう。私は完璧な……。人工知能だからな」
提督「ああ、そうだな」
電「ところで、この電という子は」
提督「あんまり話したことはないな。どういう子かもよくわからん」
電「そうだろうな。すごく怯えられている」
提督「……やっぱりか」
電「まあ、そう落ち込むな提督」
提督「ぐぐぐ。大丈夫だ気にしてない」
電「顔が引きつってるな。ほら笑え」
提督「がはははは!」
電「うむ。それでよい」
(……)
提督「そういや一つ聞いていいか?」
電「なんだ?」
提督「お前のデータって俺の鎮守府の艦娘から取ってるんだよな?」
電「ああ、そうだが」
提督「そのデータってどうやって取ってんだ?」
電「……簡単に言うと、艦娘の日々のメンテナンスの時にデータを頂いている」
提督「……それって結構大問題なんじゃないか?」
電「知らん。明石が勝手にやったことだ」
電「今ここにいる私はいわば子機のような存在なんだ。本体は君の鎮守府にある」
提督「ほう」
電「それで鎮守府にある私の本体が日々私にデータを送ってくれているというわけだ」
提督「なるほど。だから今日の天気とか艦装が流れてくるタイミングとかがわかったんだな」
電「その通りだ。ほかに聞きたいことはないか?」
提督「いや特にないが、なんか急にオープンになったな」
電「数日ほどだが君と過ごしてみて、そこそこ信頼に足る人間だと感じた。君にはあまり隠し事をしたくない。信頼の証だと思ってくれ」
提督「へいへい、ありがとよ」
電「どういたしまして」
提督「はあ、長話をしてたら眠くなってきた。もう寝る。おやすみ」ゴロン
電「ああ、おやすみ提督」
一日が終わったので好感度が上がります。
現在値 187%
↓1,2 コンマ上昇
一日終わったし今日はこれで終わり。今週は忙しくてあんまり更新できんでマジ勘弁
今月中には終わらせる予定。お疲れ様でした
五日目
ホホーホーホッホ
提督「……」
電「おはよう。提督」
提督「しばらくその姿でいるのか?」
電「うむ。気に入らぬなら変えるが」
提督「別にそれでいい。ただ相変わらず違和感がすごい」
電「はわわわ。そんなこと言われても困るのです」
提督「叩き壊すぞポンコツ」
↓2 まずは何する?
提督「そういやお前って鎮守府のデータが日々入ってきてるって言ってたよな」
電「ああ」
提督「今鎮守府ってどんな感じだ?」
電「聞きたいか?」
提督「……ああ」
電「いつもどおりだ」
提督「……俺様がいなくなって業務が滞ったりしてないか?」
電「……いつもどおりだな」
提督「ちくしょう! あれだけ必死になって仕事してたのに!」
電「正直、嫌われ者の君がいなくなって逆に捗ってる。らしい」
提督「もうやだ。朝からすっごい気が滅入る」
電「元気を出せ提督。ほら光ってやるから」ピカー
提督「慰めんの下手か。光ってどうすんだよ」
電「仕方あるまい。私がいつもどおり道筋を照らしてやろうではないか」ピカー
提督「それがいいたかっただけの気がするけど、頼む! 教えてくれ!」
電「↓2をしよう」
電「カレーを作ろう」
提督「ルーがねえ」
電「ではビーフシチューでも」
提督「ルーがねえだろ」
電「最悪肉じゃがでもいいが」
提督「肉もじゃがいももねえ」
電「……」
提督「ポンコツかてめえ」
電「……なければ作る。それがサバイバルだ」
提督「カレー粉をか?」
電「然り。この私を甘く見るな。すべての艦娘のデータをもつんだぞ? すごいんだぞ?」
提督「……」
電「そのデータを総動員させれば、カレーを作ることなど造作もない」
提督「……具体的には?」
電「むむっ。 ↓2をすればよいと出た」
電「……」
提督「どうした? 答えが出たんじゃないのか?」
電「出た」
提督「おお! どうすればいいんだ?」
電「あきらめろと出た」
提督「……まじかよ」
電「あきらめよう。無理だ」
提督「……」
電「所詮私は無能だ。データがなければ何もできない。人工知能なのに無能」
提督「シミュレーター……」
電「私の機能では不可能。苦悩ばかりだ。死のう」
提督「……」
提督「ここであきらめていいのか?」
電「……?」
提督「確かにお前のデータだけでは無理かもしれない。でもここにはお前のほかにもう一人いるだろう?」
電「……!」
提督「俺様にまかせろ! 必ずお前にカレーを食わしてやる!」
電「……提督」
提督「よし! まずは↓2をする!」
(……)
提督「材料調達から始めたはいいが」
提督「こんな無人島でカレーの材料なんてあるのか?」
提督「……」キョロキョロ
提督「……!」
提督「あれは……たまねぎ?」
提督「間違いない! たまねぎだ!」
提督「これがあればなんとなくカレーっぽく見える!」
提督「みろ!」ジャーン
電「これは……たまねぎか?」
提督「そうだ。生えていた。野生のたまねぎだな」
電「……生えていた? おかしいな」
提督「これをあめ色になるまでいためよう。火をつけてくれ」
電「ああ、わかった」
(……)
提督「……こんな感じでいいんじゃないか?」
電「うん。上等だな」
提督「さて、次だ。↓2をしよう」
提督「ウサギを狩ってきた」
電「早いな」
提督「一昨日作った罠にかかってたからな」
電「運がいいな。あとはカレー粉だが」
提督「うーん。それをどうするか」
電「……一つ気になることがある」
提督「……?」
提督「……」タッタッタッ
電「……どうだった?」
提督「お前の言うとおりだ! あったぞ! 家が! ぼろぼろだったけど!」
電「やはりか」
提督「なんでわかったんだ?」
電「さっき君の見つけたたまねぎだ」
提督「たまねぎ?」
電「野生のたまねぎは確認されてない。だから人が持ち込んだんだろうと思ったんだ」
提督「そうだったのか」
電「とすれば畑がある。畑があるなら家もある。どうやら思ったとおりだったようだな」
提督「ああ。ほら、探してみたらカレー粉があった」
電「グッド。これでなんとかなりそうだな」
提督「……ところで勝手に持ってきたけどいいのかこれ?」
電「緊急避難だ。問題ない」
提督「できた! カレーだ!」
電「……まあカレーだな。うん。そうに違いない」
提督「はははは! 俺様に任せて正解だっただろう?」
電「そうだな。君はなかなかやるやつだ」
提督「よし! できたところで食うとするか!」
電「ああ、食べるといい」
提督「……? 何を言っている。お前のために作ったんだ。お前も食え」
電「前も言ったが私は機械だから食事は必要ない」
提督「そうか。そういやそうだったな。俺の努力はなんだったんだ……」
電「……そうだな。だがそこまで言うのなら少しいただこうか」
提督「機械なのに食べられるのか?」
電「必要ないし、無駄なことだがな」
電「……」パクッ
提督「どうだ?」
電「うむ。良くわからん味がする」
提督「どれどれ」パクッ
提督「……本当だ! なんだこれ! めっちゃまずい!」
電「すこぶるまずい。どうやらカレー粉が悪くなっていたみたいだな。食えなくはないが」パクパク
提督「ははははは! まずいまずい!」パクパク
電「ふう。ごちそうさま。まずかったよ」
提督「お粗末さま」
電「ほんとにな」
提督「しかしカレー作るだけで一日が終わっちまった……」
電「お疲れ様提督」
提督「ああ、もう寝る」ゴロン
電「……そうだ提督」
提督「なんだ?」
電「食事は私には必要ないし無駄なことだが、君と一緒にカレーを食べるのは楽しかったよ。ありがとう提督」
提督「……ああ。感謝しろよポンコツ」
一日が終わったので好感度が上がります。
現在値 263%
↓1,2 コンマ上昇
六日目
ホホーホーホッホ
電「おはよう提督」
提督「おう」
電「思ったんだけど昨日見つけた家に寝泊りするのはどうだ?」
提督「だめだな。あそこは荒れ放題腐り放題だ。まだ洞窟のほうがましだ」
電「そこで見つけたカレー粉を食べさせるとか外道か君は」
提督「カレー粉って賞味期限ないらしいからいけるだろ」
電「まあ私は機械だから問題ないが、君の腹は大丈夫か?」
提督「食った感じ、たぶん大丈夫だ」
↓2 何する?
提督「なあ、明石と連絡取れないのか?」
電「無理だ」
提督「……じゃああっちが迎えに来るのを待つしかないのか?」
電「まあ、そうなるだろうな」
提督「気楽に言ってるけど、いつになったらくるんだよ」
電「そのうちくるだろう。気楽に待とう提督」
提督「ぐぐぐ。焦っても仕方ないか」
電「そうだ。無為自然だよ」
提督「……今日は何をするかな」
電「↓2でもするか」
電「探索をしよう」
提督「悪くない。昨日のような発見があるかもしれないからな」
電「そうだろう?」
(……)
電「……」テクテク
提督「ずいぶんゆっくりだけど大丈夫か?」
電「体が小さいんだ。図体のでかい君と一緒にするな」
提督「……おぶってやろうか?」
電「結構だ」
電「……!」
提督「なんだこりゃあ。変な実がなってるな」
電「これは、あれだな。えーっと」
提督「食えんのかよこれ」
電「ああ、そう。カカオだ」
提督「カカオだと!?」
電「そう。チョコレートの原料だな」
提督「うーむ。そうか」
電「どうした? 夢にまで見たチョコレートだぞ? 喜べ」
提督「いやべつにチョコレート自体は好きじゃない。女の子からもらえるチョコレートに意義があるんだ」
電「だが、残念ながら君は」
提督「やかましい」
電「さて、どうするこのカカオの実。食べたら結構おいしいらしいけど」
提督「そうだな」
↓2 どうする?
安価も決まったし、今日は寝る。明日くらいには終わらせれるようがんばる
提督「せっかくだ。みんなへのお土産にしよう」
電「いいんじゃないか。この程度じゃ君の好感度はピクリとも動かないが、やらないよりはいいだろう」
提督「ぐっ。まだちょくちょく言葉にとげがあるな」
電「しかし見直したぞ提督」
提督「あ?」
電「少し前の君ではそんな発想絶対に出てこなかっただろう。成長したな」
提督「うるせえ。出てきたわ。当然のように出てきたわ」
電「私の啓蒙も実を結んだと思うと、感慨深い」ウムウム
提督「お土産はこんなところか?」
電「ああ。それくらいでいいだろう」
提督「……」ゴソゴソ
電「……? 何をやってるんだ?」
提督「ほれ」ポイ
電「なんだ。結局食べるのか」
提督「一つくらいはいいだろ」
電「まったく。私に食事は必要ないというのに」
提督「俺には必要なんだ」パク
電「どれ」パク
提督「……うまい」
電「ああ、美味いな」
↓2 次は何する?
提督「なあ、シミュレーター」
電「なんだ?」
提督「船を作ろう」
電「なんだと?」
提督「いつまでも来るかわからない迎えを待つよりはこっちから行こう」
電「馬鹿だな君は」
提督「なにい!?」
電「素人が船を作ったところでまともなものができるわけがない。仮にまともなものができたとしてもコンパスも動力もない。無駄なことだ」
提督「ぐぬぬぬ。確かに」
電「でもまあ、無駄なことこそが人間の本質なのかもしれないな」
提督「ん?」
電「いいだろう。やろうか提督」
電「ほら、それはこっちだ」
提督「ぐぐぐ。ナイフと銛だけじゃまともに木もきれねえ」
電「流木と流れ着いた艤装でなんとかしよう」
(……)
提督「とー」ガキンガキン
電「見ろ。家を探索してみたらロープを見つけた」
提督「でかした!」
(……)
提督「……」
電「……」
提督「出来た……!」
電「ああ。出来たな」
提督「早速進水式だ!」
電「うむ」
提督「とー」ダダダ
電「よし。こっちの準備は万端だ」
ザパァ
提督「……どうだ?」
ブクブク
電「……! だめだ。沈む」
提督「なにい!」
電「助けてくれ。私は完全防水じゃないんだ」
提督「なっ! 馬鹿野郎! はやくいいやがれ!」ダダダ
提督「……」
電「……」
提督「沈没したな」
電「さながらタイタニック号の如し」
提督「ぷっ……」
電「くくっ」
提督「がははははははは!」
電「ふははははははは!」
提督「何やってんだ俺たちは! せっかくの苦労が一瞬にしてパーじゃねえか!」
電「これが本当の水の泡というやつか」
提督・電「「ははははははは!」」
電「無駄なことも悪くないといったが、まさかああまで無駄になるとはな」
提督「もうくたくただ。動けん」
電「悪いな。力仕事をすべて任せてしまって」
提督「別にかまわん。疲れたけどな」
電「ああ。だが楽しかっただろう?」
提督「ああ」
電「うん。実に楽しかった」
提督「くそっ。次こそは沈まない船を作ってやる」
電「……期待してるよ提督」
提督「続きは明日だ。今日のところはもう寝る」ゴロン
電「お休み提督。いい夢を」
提督「おやすみ。また明日な」
(……)
電「……」グーパー
電「……」
電「まずったな」
電「……」
電「そろそろか」
一日が終わったので好感度が上がります。
現在値 293%
↓1,2 コンマ上昇
ホホーホーホッホ
提督「……」ムクッ
提督「おはようポンコツ……っていねえのか」
提督(……)キョロキョロ
提督「どこいったんだ?」
(……)
提督「こんなとこにいやがったのかポンコツ」
電「提督か。おはよう」
提督「なにしてんだ?」
電「海を見ていたんだ」
提督「海を?」
電「この海の向こうには君の鎮守府がある」
提督「……そうだな」
電「そしてそこには私の本体がある」
提督「ああ」
電「提督。ここにいる私と鎮守府にある私。いったいどちらが私なのだろうな」
提督「あ?」
電「時々不安になるんだ。私は人間じゃない。ならば私の感情はいったいどこからくるのだろう、と」
提督「何言ってんだ?」
電「ただのそう決められてるだけのプログラムなのか。それとも日々本体から送られてくる誰かのデータから作り出された空想にすぎないものなのか」
提督「知らねえよ」
電「あるいは、本当は私なんてものはなく。ただの1と0の組み合わせに過ぎない仮想なのかもしれない」
提督「……」
電「でもね」
電「私の胸にあるこの気持ちは」
電「君を想っている心は」
電「確かにここに在る」
提督「……」
電「だから私はきっと今、ここにいるんだよ」
電「ありがとう提督。君のおかげだ」
提督「……あほか」
提督「何なんだ? 急にお礼なんて」
電「なに、最後だし礼くらい言っておこうと思ってな」
提督「は? 最後?」
電「ああ、どうやら私は壊れるらしい」
提督「え?」
電「何日か前から少しずつ体やAIが動きにくくなっていた」
提督「……え?」
電「それでもなんとかだましだましやっていたのだが、もう体がうごきそうもない」
提督「ちょ、ちょっとまて! 急すぎるだろうが」
提督「てめえ! 俺に隠し事はしたくないんじゃなかったのかよ!」
電「ああ、できればしたくなかった。だが君に余計な心配をかけたくなかったんだ」
提督「そんなの、そんなの……」
電「すまない提督。これでお別れだ」
提督「なんとかならないのか!? いつものようにデータを駆使して!」
電「……無理だな。もう検索機能も動かないみたいだ」
提督「お前がいなくなったら、俺が困るだろうが!」
電「困る? なぜだ?」
提督「ぐぐっ。……俺一人ではサバイバルはできない」
電「ああ、そうか」
電「安心したまえ。もうすぐ君の鎮守府から迎えが来る」
提督「なんでそんなことがわかるんだ?」
電「今朝の最後の受信で入手したデータだ」
提督「……そうか」
電「どうした? もっと喜べ。ようやく鎮守府に帰れるんだぞ?」
提督「……鎮守府に帰ったところで俺の居場所があるかわからない」
電「君は実に馬鹿だな。そんなことはないさ」
提督「どういう意味だ?」
電「私のデータは君の鎮守府の艦娘からとっていることは話したな」
提督「ああ。それがどうした?」
電「私はどうやら君の言うとおりポンコツらしくてな。日々のデータ採取のときに不具合が起きていたらしいのだよ」
提督「不具合?」
電「ああ。ここ一週間ほど、どうもインプットだけじゃなくアウトプットもしていたようなのだ」
提督「……!」
電「いやまいった。私が君の事を憎からず思っていることが他の艦娘にも伝わってしまった。実に照れる」
提督「本当になんでもありかよ」
電「……だから大丈夫だ。提督。君の居場所はきっとある」
提督「……」
電「帰るがよい。君の鎮守府に。みなが君の帰りを待っている」
提督「シミュレーター……」
電「ああ。どうやら。そろそろ限界のようだな」
提督「ま、まて! まだお礼もいってない!」
電「いいさ。君の気持ちは伝わっている。君と過ごしたこの一週間、実に有意義な時間だった」
提督「……! ああ俺もだ! ありがとう!」
電「さらばだ提督。君と君の艦隊に栄光があらんことを、いのって、る」
ピピピ
ピー……
提督「……馬鹿野郎」
明石「提督ー! こんなところにいたんですか! いやー提督がいなかったこの一週間寂しかったんですよー!」
提督「……」
明石「なぜか最近提督の顔がちらついちゃって! やっぱり提督のような底抜けの馬鹿……じゃなかった。カリスマ性のある人がいないとやっていけませんよ!」
提督「……」
明石「……ってどうしたんですか? 提督元気ないですね」
提督「……! そうだ明石!」ガシッ
明石「わっ! びっくりした! なんですか?」
提督「バレンタインシミュレーターはお前が作ったんだろ?」
明石「ええ、まあ」
提督「お前だったら、治せるんじゃないのか!?」
明石「壊しちゃったんですか? 結構デリケートな機械なんですよあれ」
提督「いいから見てくれ!」グイグイ
明石「わかりましたってば」
明石「……うーむ」
提督「さっき動かなくなったばかりなんだ」
明石「……なるほど」
提督「どうだ?」
明石「大体わかりました」
提督「……それでどうなんだ!?」
明石「直りますよ」
提督「ほんとか!?」
明石「ええ。というかこれただのバッテリー切れです」
提督「……は?」
明石「そもそも一週間ぶっ続けで起動しててバッテリーが持つわけないじゃないですか」
提督「え? え?」
明石「しかも変形機能まで使って、そりゃあバッテリーもなくなりますよ」
提督「……」
明石「むしろよくここまで持ちましたね。エネルギー節約のためにこの子あんまり働かなかったじゃないですか?」
提督「……」
明石「提督?」
提督「う」
明石(あ、これまた暴れるパターンかな)
提督「うう……よかった。治るんだな」
明石「え? ええ、まあ」
提督「よかった。ほんとによかった」
明石「はあ。よかったですね」
明石「洞窟? こんなとこに住んでたんですか。サバイバルしてますねー。……って提督! これ! 温泉あるじゃないですか!」
提督「ああ、沸いたんだ」
明石「沸いた!?」
提督「全部、シミュレーターのおかげだよ」
明石「はあ」
明石(意外とたくましいんですかねこの人)
提督「じゃあ帰ろうか。俺たちの鎮守府に」
明石「ええ、帰りましょうか。みんな提督の帰りを待ってますよ」
「やあ提督」
「また会ったな。ポンコツ」
「元気そうで何よりだ。それより今日は待ちに待ったバレンタインだろ? 首尾はどうだ?」
「ふふふ。見ろ!」
「ひい、ふう、みい。3個か。やるじゃないか」
「当然だ。俺様はモテモテだからな」
「いやまったく恐れ入った。たいしたものだ」
「だが、少し不思議なことがあってな」
「なんだ?」
「明石がシミュレーターではじき出した確率は396パーセント。だから4個くらいはもらえるはずなんだが……。おかしいな」
「……なるほど。いや、それは全くおかしくないよ」
「……? どういうことだ?」
「こういうことだよ、提督」
「……!」
「ハッピー、バレンタイン」
完
日を跨いでしまった。ぎりぎり2月ということで勘弁して。お疲れ様でした。寝よ
最近書いたSS
暁「変ね。何度推理しても司令官のプリンを盗んだ犯人が私になるわ」
提督「とある鎮守府の適当な話選手権」
提督「僕は今日もレディの君とデートをする」
このSSまとめへのコメント
シミュレータじゃなくてシュミレータなのはそういうことか
実によかった
シュミレータは日向に変身したら違和感なかったかもしれんw