エチュード・勇者ランコの冒険 (19)
眠りから覚めた魔王コズエは退屈しのぎに世界を滅ぼそうとしている!
勇者ランコとその仲間たちは、ついに魔王城にたどり着き決戦を挑んだ!
遊佐こずえ「こずえとあそぶのー……? いいよぉー」
神崎蘭子「くっ、なんと禍々しい魔力……!」
P(エチュード……アドリブ演技レッスンみたいなものだが、この題材は楽しそうだなぁ)
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関裕美「ここまで来たからには全力を出すだけだよ! ドラゴンブレス!」
こずえ「あついー」
高森藍子「超正拳突き!」
こずえ「うわー」
蘭子「ディバインスラァァッシュ!」
こずえ「ひゃー」
五十嵐響子「魔王にはちっとも効いてないみたい!」
冴島清美(体力表示もない、ノリと勢いだけのエチュードでは、最強の防御方法なんじゃ!?)
相原雪乃(他の人がやったらひんしゅくでしょうが、こずえちゃんだから許されることですわ……!)
藤居朋「おお華麗なる勇者の一撃~ しかし魔王にはまるでそよ風のよう~♪」
こずえ「らんこー……」
蘭子えっ?」
こずえ「いっしょに、まおう……やろー?」
蘭子「ううっ、まさに悪魔の囁き……!」
こずえ「とらぺぞへどろん~」
清美「よくわからないけどなんかかっこいい響き!」
雪乃「勇者様が洗脳されてしまいますわ!」
響子「こっちもかっこいい言葉で勇者様をお守りしましょう!」
清美「って言われても急には……」
裕美「えっと……生存本能ヴァルキュリア!」
蘭子「はっ! いけない、誘惑に惑わされるところだった!」
『おお~』パチパチ
朋「仲間 絆 目が覚めたわ~♪」
こずえ「はいよるこんとん~」
蘭子「うああっ、SAN値がっ、SAN値が下がる~っ!」
清美「ガブリエル、ルシフェル、チエリエル!」
響子「クーゲルシュライバー!」
こずえ「わるぷるぎすのよる~」
雪乃「エクスペクトパトローナム!」
藍子「ジュウオウジャー!」
蘭子「……いや、それは」
藍子「ええ~っ、そんなーっ」
朋「一進一退の攻防~ 運命の女神はどちらに味方するのか~♪」
P(ダジャレ的な名前だしなぁ……蘭子の好みではなかったのか)
こずえ「じげんざんげき~」
裕美「すごく強そう!」
蘭子「クククッ……我は覚醒魔王なり!!」
雪乃「ああ~、向こうに行ってしまいましたわ」
朋「悲劇 次元斬撃 勇者の裏切り~♪」
響子「って、朋さんも戦闘に参加してくださいよ!」
清美(さっきまでのは戦闘と言えるのかなぁ)
朋「だってあたし吟遊詩人だもん!」
朋「吟遊詩人らしく戦うって歌うことでしょ?」
雪乃「それを言いますと私も大商人ですから……らしい戦い方って」
朋「金で雇った傭兵を連れてきたり……あと銭投げとか?」
清美「お金を粗末にしてはいけません! それは超☆風紀委員として阻止します」
朋「本当は錬金術師でしょ」
こずえ「そろそろ……こうげきしていーい?」
清美「さ、作戦ターイム!」
蘭子「認める」
清美「錬金術師って戦闘でなにが出来るんですか?」
藍子「指パッチンで火を出すとか」
裕美「チビって言われると怒るんだよね」
雪乃「それは……偏ったイメージと思いますわ」
成宮由愛「薬品とか作って……サポートじゃないでしょうか」
朋「あ、由愛ちゃん」
由愛「ごめんなさい、遅れて……私も、傷を癒やす歌で……サポートします」
由愛「……あれっ、蘭子ちゃんが向こうに」
裕美「あ、それは」
由愛「だいたい分かるので、説明は……いいです」
蘭子「!?」
響子「私は賢者なので、攻撃回復サポートなんでも出来ると思います」
藍子「じゃあモンクの私と、裕美ちゃん……が従えてる魔物が前衛で」
朋「残りは後衛ね。これだけサポートが多ければ、ちょっとやそっとじゃやられないわ!」
裕美「よーし、決戦だよ!」
こずえ「ゆめは、こっち……だよー」
由愛「あ、そうでした。私、魔王にそそのかされたから……」
『ええっ!?』
由愛「魔王様……あちらはサポートが多いので、先にそちらを攻撃した方が良いみたいです」
藍子「作戦が筒抜け!」
清美「二度目の作戦ターイム!」
こずえ「もうだめー。いんせきおちろー……ずどーん」
蘭子「漆黒の業火に焼かれるがいい!」
由愛「嘆きの歌……らーらら~」
響子「バリアーッ!」
蘭子「フハハッ、その程度のバリアーでどこまでもつかしら?」
響子(しまった……基本的には言った者勝ち)
響子(ああ言われたら、本当に大したことないバリアーということになってしまう!)
響子(『これで私達の身体には傷一つ付きませんよ!』くらい言っておけば良かった!)
裕美(由愛ちゃんはこずえちゃんより格下の役柄だからなんとかなりそうだけど)
藍子(色んな意味で只者ではないオーラを纏っているこずえちゃんと)
朋(こういうことは知識豊富そうな蘭子ちゃん……このコンビ、強敵……!)
こずえ「ふわぁ……いんせき、100れんぱつー……ずどどどどど」
雪乃「みなさん、こんな事もあろうかと買っておいた高性能シェルターに避難してください!」
清美「さすが大商人! ……と言いたいところだけど、シェルターなんて持ち歩けないでしょ」
雪乃「魔法アイテムですから小さくできるのですわ」
P(ほう……正直賑やかしで終わるかと思っていたが、ここに至って大きく動いたな)
雪乃「でもごめんなさい、朋さん」
朋「え?」
雪乃「このシェルター5人用なんです」
朋「えっと、こっち側は……6人。ええーーっ!? なんでそんな設定付け加えるのよ!」
朋「ていうかその言い方! あたしは入れないこと決定!?」
雪乃「だって吟遊詩人って一番役に立たなそうですし」
朋「ひどい!」
雪乃(いつもの自分ではなく、大商人ユキノなのですから……これくらいやったほうが面白いですわ)
P(雪乃が茶目っ気を出しておる)
P(でもこれで、『あれくらいやって良いんだ』という共通認識がみんなに出来ただろう)
P(面白くなりそうだ。良いぞ、もっとやれ)
由愛「……ふふふ、争いの歌~♪ もっと仲間割れしてください……!」
こずえ「あらそえー……たたかえー」
蘭子(便乗した……!?)
藍子「あの……なんとか詰め込めば1人くらい入れるんじゃないでしょうか」
雪乃「魔法アイテムですからそのあたりの融通が効かないのですわ」
雪乃「それとも藍子さんが席を譲ります?」
雪乃「念のため言っておきますと、シェルター以外で隕石100連発に耐えられるとは思いませんが」
藍子「えー、それは……」
清美(すっかり主導権を握られている……!)
響子「じゃあ私が席を譲ります! 私なら魔法でなんとか出来るかも……」
雪乃「いえいえ、やはり私が席を譲りましょう」
裕美(あっ、この流れは……!)
裕美「わ、私が譲るよ!」
清美「いえ私が!」
藍子「私が!」
『…………』
朋以外(ジーッ)
朋「じゃああたしが……」
『どうぞどうぞ』
朋「チクショーッ!!」
蘭子「wwwwwwww」
朋「やってる場合じゃないって! 早くなにか考えないと隕石100連発が落ちてくる……!」
こずえ「ちがうよー」
朋「えっ?」
こずえ「いんせき……さいしょのも、まだきてない……」
蘭子「ど、どういうことだ?」
こずえ「いま、むかってる……どせいのあたりー」
蘭子「土星!? では、あとどれくらいで来るのだ?」
こずえ「んー……3ねんくらい」
蘭子「遅ッ! ていうかなんでそういうところはリアル!?」
由愛「魔王様……ほかになにか攻撃、できないんですか?」
こずえ「1ちょうどのひのたま、つくれるよー……」
蘭子「そうだ、それを奴らにお見舞いしてやろう!」
こずえ「でもねー、0.000072びょうできえるから……きづかないかもー」
蘭子「なwwwんwwwwwでwwwwww」←ツボにはまった
清美「敵は混乱している! 今がチャンスですよ!」
藍子「勇者様、正気に戻ってください! でないと……」
裕美「でないと?」
藍子「組手の相手になってもらいます!」
蘭子「ごめんなさいっ!!」
雪乃(役作りのために、有香さんや早苗さんに色々教えてもらってましたわね)
雪乃「なんと容赦ない」
朋「あんたがゆーな」
P(だんだん皆アドリブが暴走してきたなぁ)
蘭子「わたしは しょうきに もどった!」キリッ
裕美(すごーく不安なのはなぜだろう……)
清美「由愛ちゃん、これあげる」
由愛「え……な、なんですか?」
清美「超☆錬金術師特製漂白剤です。これをかければーあらふしぎー」
清美「黒かった羽が白くなりました! 悪の心もきれいに消え去ったでしょう?」
由愛「そ、それくらいで……私は魔王様を裏切ったりしませんよっ!」
響子「ふーん……」
響子「ねえみなさん、突然だけど……今日の夕食、焼鳥でいいですか!?」
由愛「!!??」←ハーピー
響子「何故か新鮮な鶏肉が手に入りそうな気がするんです!」
由愛「そ、そんな……おどしたって……」
裕美「良いから早くこっち来てッ!」クワッ
由愛「は、はいっ!」
裕美(フンス!)
朋(ドラゴンですらひれ伏すんだから、ハーピーがあの目に逆らえるわけないんだよなぁ)
清美「あとは魔王1人!」
こずえ「ふわぁー」
こずえ「こずえ、ねむくなっちゃった……」トコトコ
蘭子(あれ、ソファに近づいて……もしかしてこのままお昼寝?)
こずえ「ぷろでゅーさー……こっち、きてー」
P「え、俺?」
こずえ「すわってー……ここ、すわってー……ふわぁー」
P「これでいいのか?」
こずえ「うんー……おやすみー…………」ポフ
P(こずえは俺の膝枕ですぐに寝入った)
こずえ「すーすー……」
『…………』
P「魔王だから……仕方ないな」
裕美「……こずえちゃんにはかなわないね」
藍子「色んな意味で……ね」
その後……
藍子の凛々しいのにゆるふわで癒される演舞が話題になったり、
雪乃が腹黒金持ち役で映画に主演したり、
巨大隕石が地球をかすめたりしたが、それはまた別の話である。
終わり
雪乃が悪い顔してたのでこうなりました
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