中岡「だから、ごめんな」

コカド「え！？え！？ちょ、ちょっと待って！？」

中岡「何やねん、声大k」

コカド「びっくりするわ！！」

中岡「そんなびっくりせんでもええやん……」

コカド「いや、そんなそぶりなかったやん！」

中岡「おん」

コカド「いつ出来てん！」

中岡「……んー」

はぐらかす中岡。

コカド「え？なんで言わへんの？」

中岡「いや、ほら……な？」

コカド「言えって。いつ彼女出来てん」

中岡「んー」

無駄に溜める中岡。

コカド「早よ言えや、彼女いつ出来てん！？」

中岡「……きのう……」

コカド「は！？」

中岡「昨日……」

コカド「　き　の　う　！　？　」

中岡「うん」

コカド「昨日！？昨日彼女出来たん！？」

中岡「え？うん」

コカド「え！？き、昨日彼女できたから！？クリぼっちちゃうってことぉ！？」

中岡「うん」

コカド「嘘やろ……」

中岡「これもなんかの巡り合わせなんや、コカド」

コカド「……って言うかなんでそれ隠してたん？」

中岡「言いにくかってん」

コカド「気持ちは分かるけど、早よ言えや！そんなやつ誘ってもうて、俺が傷つくわ……」

中岡「ほんまなんか……なんかごめんなｗｗｗ」

コカド「おぉちょ、何笑てんねん」

中岡「いやぁ……毎年クリぼっちやったからｗｗｗ今年はちゃうなぁって思ったら笑えてきたｗｗｗ」

コカド「笑うなや！」

中岡「あ、コカド……」

コカド「……あん？」

中岡「コカドがｗｗｗクリぼっちｗｗｗ」

コカド「笑うなやぁ！！」

中岡「ふつうやったらｗｗｗ逆やのになぁｗｗｗ」

コカド「くっそぉー……俺にも彼女おったらなぁ……」

中岡「コカドくんはかっこいいからｗｗｗすぐ出来るってｗｗｗ」

コカド「何余裕の表情浮かべとんねん！！腹立つわお前！！」

そのとき、
ぷるるるる……ぷるるるる……
２人しかいない部屋で、不意に鳴る電話。


コカド「……ん？会社の電話？」

中岡「いや、俺のやわ」

コカド「お前……自分のプライベートのスマホくらい音切っとけよ……」

中岡「ごめんな……あ、彼女からやｗｗｗ」

コカド「くそっ！何やねん、こっち見んな！早よ出ぇや！」

中岡「そうさしてもらうわｗｗｗ」


ぴっ


中岡「あ、もしもしー？ひこにゃん？」

コカド「ひこにゃん？！彼女のあだ名ひこにゃん！？」

中岡「俺？会社で残業」

コカド「なんちゅうあだ名の奴と付き合ってんねんお前！？」

中岡「おん……ああ、うん……え？」

コカド「くそー……」


残業に戻るコカド。
しかし聞こえる声はだんだん不穏になる。


中岡「……ちょっ、ちょっと待って？え？」

中岡「えっ？な、なにそれ……うそやろ？」

コカド「……？」

中岡「え？お金目当てだった？」

コカド「！？」

中岡「それ今……え？ええ！？ま、待ってひこにゃん」

コカド「……」

中岡「嘘やろ？なんかそのあの……あのー……」

中岡「あーちょいちょい、ちょお、おっ」

中岡「じゃ、昨日のは……ご飯食べたかったから？！」

中岡「え、でも俺……彼氏になっ……」

中岡「さよならって何！？ひこにゃん、エイプリルフールにはまだ早」


ぷつんっ


中岡「……」

コカド「……」

中岡「……」

コカド「……」

中岡「……フられた」

コカド「……」

中岡「……」

コカド「……ｗｗｗ」

中岡「何やねん」

コカド「昨日できた彼女にｗｗｗ今日フられたｗｗｗ」

中岡「何笑てんねん！！」

コカド「笑うやろ！いきなり電話かかってくるわ、彼女のあだ名ひこにゃんやわ、付き合ったの金目的やわ」

コカド「しまいには電話の最後で『さよなら』言われてもうてるやん！！フられてるやん！！」

中岡「……」

コカド「昨日出来たばっかりの彼女にさよならって言われてフられるって何やねん！ドラマか！」

コカド「そんで最後なに？お前の、最後の電話切る前の」

中岡「あ？」

コカド「いや、一番最後なんか言うてたやん、なんかエイプリルフールがなんたらーって」

中岡「ああ……エイプリルフールにはまだ早いでぇって」

コカド「最後まで言えてへんし！！」

中岡「……(イラッ)」

コカド「その前になんなんそれ！『エイプリルフールにはまだ早いでぇ(顔芸)』って！！」

中岡「……いや」

コカド「トレンディドラマの見すぎやろ！！」

中岡「……お前笑うなや」

コカド「笑うやろ！！面白い場面以外なかったやろ！！」

中岡「笑うなや……」


うつむく中岡。


コカド「笑うって……、……中岡……お前、泣いてるんか」

中岡「泣いてへんよぉ……」


半泣き。


コカド「嘘付けや！！」

中岡「泣いてへんもん……ぐすっ」

コカド「かんっぜんに泣いてるやん！お前、昨日出来たばっかりの彼女にいきなり電話でフられて泣いてるやん！！」

中岡「説明すんなぁ」

コカド「いやいやいや！！嘘やろ！！マジかお前！！」

中岡「ううう……(泣)」

コカド「めっちゃ泣いてるやん！！引くほど泣いてるやん！！」

中岡「なんで、何で？何で引くのぉ？」

コカド「さっきの態度と真逆やからやろ！」

中岡「引かんといてぇ……」

コカド「めっちゃ引くわ！！今俺、見てて引いてるしな」

中岡「引くなやぁ！」

コカド「……なんかおもろいから写真撮ったるわ」

中岡「人の哀愁を何面白いもんと認識してんねん！？」

ぱしゃ

中岡「！？」

コカド「なんかツイッターかなんかにアップしといたるわ」

中岡「やめろや！！」

コカド「同僚がクリぼっち回避するために彼女作ったのに、さっき電話でフられて泣いてましたーっと」

中岡「ほんまにやめといてくれや！！！」


ブーッブーッ
コカドの手元のスマホが振動する。


コカド「お？リツイート……ちゃうわ、電話や」

ぴっ


コカド「もしもしー？」

中岡「何自分も電話出てんねん……」

コカド「へ？」

中岡「あ？」

コカド「ほんまに！？」

中岡「……」

コカド「おん……マジで！？嘘やろ！？え？えーえーえー？！」

コカド「うん、ありがとう！」

中岡「……」

コカド「……よろしくお願いしまーす！！」

中岡「！！」

コカド「おん、ほな明日な？そこ行けばええんやな？」

コカド「おん、おん、分かったわ。ありがとう」

コカド「……エイプリルフールにはまだ早いでぇ(棒読み)」

中岡「あ？」

コカド「えー？何でもないｗｗｗ……分かった分かった、うぃっすー……俺もやで、おやすみー……っすー……」


ぴっ


コカド「……」

中岡「……コカド」

コカド「……」


にやにやしている。


中岡「あの、さっきの話やけどさ、俺と」

コカド「中岡、」

中岡「……」

コカド「……無理やねんｗｗｗ」

中岡「……」

コカド「あのさぁ、１階の受付のミカちゃんって子おるやん？」

中岡「……ああ」

コカド「こないだその子ぉと連絡先交換してん」

中岡「え？い、いつ？」

コカド「忘年会の時」

中岡「……そうなんや」

コカド「でぇ！」

中岡「……」


にやにやしている。


コカド「今さっき……その子から電話がきまして……」

中岡「……」

コカド「……えー……」

中岡「……」

コカド「……付ーきー合ーうーことになりましたぁぁ！！」

中岡「……」

コカド「っしゃあ！！クリぼっち回避ぃぃ！！」

中岡「……」

コカド「……あれ？あれあれ？ｗｗｗ」

中岡「……」

コカド「中岡、お前予定は？」

中岡「さっき……なくなった」

コカド「お疲れさまでーす！！ｗｗｗ」

中岡「その半笑いやめろやぁ！！」

コカド「ほんまに逆んなったなぁｗｗｗ」

中岡「なんでやぁ……こういう時くらいええやろ……」

コカド「中岡くんは性格いいから彼女すーぐ出来るってぇｗｗｗ」

中岡「笑うなやぁ！」

コカド「笑うしかないってこんなん！」

中岡「俺もたまにはクリぼっちちゃうクリスマス送りたいわぁ！！」

コカド「ええやんか別に！お前、ほら、仲いい後輩おるやんか？後輩とかは？」

中岡「全員彼女持ちや！」

コカド「……もしかして？」

中岡「彼女出来たって言うてもうたわ！！」

コカド「ほんま残念やな……」

中岡「なんでやねん……」

コカド「……ま、まぁ……金目的とは言えさ、いい夢見せてもらったんやろ？」

中岡「してへんもん！まだなんもしてへんねんもん！！」

中岡「久々の彼女やから、マジで結婚まで考えて真剣におつきあいしよ思ててんもん！！」

コカド「いきなり重いなお前」

中岡「もう出来へんって俺に！彼女！」

コカド「そんな自暴自棄になんなや」

中岡「お前には分からんねん！彼女出来たのに次の日フられる俺の気持ちが！」

コカド「中岡……ｗｗｗ」

中岡「ちょっと半笑いやし！！笑うなや！！俺ほんまに泣きたいんや！！」

コカド「ほんまごめんて」

ぷるるるる……ぷるるるる……


コカド「また電話？」

中岡「なんやねんほんま！！」

コカド「お前さっき音消せ言うたやん、まだ消してなかったん？」

中岡「それどころやなかったからな！」

コカド「ああごめん」


ぴっ


中岡「……もしもし」

中岡「……」

中岡「……はい」

コカド「？」

中岡「……ああ、うん……分かった」

中岡「……うん……」

中岡「……うん、うん……はいはい……」


ぴっ


コカド「……中岡？」

中岡「クリぼっち回避出来そうやわ」

コカド「なんで？」

中岡「明日うちに女がくんねん」

コカド「……ちなみにそれって」

中岡「おかん」

コカド「それクリぼっちよりアカンやつや！！！」