みほ「これが私の野球道」 (18)

思いつきで建てました。

通勤中なので、ある程度のあらすじだけ書いときます。

アニメ準拠、ただし改変あり(みほのトラウマはプラウダに逆転サヨナラタイムリーエラー負けしたことに起因する、など)

大筋は変わりません、。キャラクターの口調などが定まらないこともあると思いますが、ご容赦ください。

もし書きたい方がいらっしゃいますなら、その方にお譲りします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1481949468

主審「ゲームセット!両チーム、礼!」

「「「ありがとうございました!!!!!!!」」」

女子野球全国高校選手権準決勝、黒森峰女学園高校対プラウダ高校の試合終了のサイレンが鳴った。

スコアは2-1。私の妹、西住みほのタイムリーエラーでサヨナラ負けを喫した。

「集合!」

敗戦をくやみ、グラウンドの土を拝借した後、キャプテンが集合をかけた。

「この試合は残念でした。10連覇を狙えたのに、それが途絶えてしまったことに悔しさを感じます。ですが、この悔しさを胸に、明日からも練習をしていきましょう」

「「「はい!」」」

「――次期キャプテンは、西住まほさん、貴女にお願いするわ」

長い挨拶の途中、そんなことを言われてしまった。

まほ「はい、精一杯精進します」

私は、こう返すのが精一杯であった。

引退する先輩の、冷ややかな視線を浴びながら、私は帰路についた。

翌日学校に来てみると、みほの姿はなかった。寮の部屋まで様子を見に行く暇もなく、始業の鐘がなった。

「あぁ、西住、ちょっといいか?」

昼休みになり、みほの担任教師から声をかけられた。

「はい、なんでしょうか?」

「君の妹なんだが、どうも学校に行きたくないみたいで」

「おそらく、責任を感じているのでしょう。10連覇を潰されたことで、先輩方が――」

「いつか敗北の時が来るのになぁ……。しかし、私もやっては見るが、君の妹の説得を頼まれてくれないか?」

「はい、なんとかやってみます」

「それじゃあ、よろしく」

そう言うと、彼は学食へ向かった。

――――――

放課後、グラウンドには私を怪訝な目で見つめる多くの瞳があった。

「今日から、私がこのチームの指揮を取ります」

そう挨拶すると、まばらな拍手が起こった。

みほのことで色々と不信感が有るのだろう。しかし、私は歩を止めるわけにはいかないのだ。

「副キャプテンに逸見エリカと、西住みほを任命したい」

そう告げると、一層冷徹な視線が注がれるようになった。

そんなある日、私はとある3年生から、こんな情報を聞いた。

みほが全校生徒の敵になっている、と。

私に対する風当たりは弱まっていたものの、みほは「戦犯」という風潮が、黒森峰女学園を包んでいた。更に、逸見エリカがみほと喧嘩をしたという。極めつけに言い放った言葉が

「あんたなんか転校してしまえばいい。顔も見たくない」

だったという。

果たしてみほは、この言葉を真に受けて、退学手続きを取るのだった。

―――――

みほが退学を決意してから、私も引き止めの話し合いをしようとしたが、みほの意志は固かった。

「こんどは、野球道のない学校が良いな」

寂しそうに笑うみほに、私は何も言えなかった。

野球道西住流家元である私の母も、やはりみほを野球道から遠ざけようとしていた。

「みほは、西住流ではありません。私は、あの子に好きにしなさいと言いました。その結果、あの子は破門を選んだのです」

「しかし、あの場面では――」

「打てば必中、守りは固く、一糸の乱れもなし。そして、常勝であり続けること。これが西住流です」

黒森峰は西住流を取り入れてから強くなった。そして、強くなりすぎた。敗北などしないという前提で9連覇をやってのけたのである。そこにプレッシャーがあるかと言われれば、ない。なぜなら我々は、勝利こそ天啓であると信じていたからだ。

唯一違っていた人物は、みほだったのだろう。私は深いところまでは察することができていなかったのだな、と痛感した。

「まほ、みほのことにかまけていないで頂戴。あなたの使命は、黒森峰の復活なのだから」

西住流を継ぐものとして、と肩を叩かれた。
私は、はい、としか返事ができなかった。

―――――

まほ「みほは、大洗に行くんだってな」

みほ「うん……」

まほ「まぁ、みほの人生だ。こちらはなんとかしておく。楽しんでくるといい」

みほ「ありがとう……」

まほ「最後に、一つだけ言わせてもらう。みほのあの時の判断は、間違っていなかったと思う。だから――」

みほ「そんなこと、『キャプテン』が言ったらダメだよ。お姉ちゃん」

まほ「……わかった。『キャプテン』として、『西住流門下生』としては、お前に対する憎悪は耐えない。しかし、明日からは私とみほはただの『姉妹』だ。そのことは覚えておいて欲しい」

みほ「わかったよ。じゃあ、またね」

まほ「それじゃあ」

みほは飛行機に乗り込み、大洗へと旅立っていった。

―――――

とりあえず登場人物及びポジションを書いていきます

県立大洗

西住みほ:ピッチャー/キャッチャー 右投右打 キャプテン
球速・スタミナともにあまりないものの、変化球や見た目に似合わぬ強気のピッチングで相手を翻弄。黒森峰時代は姉である西住まほと姉妹バッテリーを組んでいた。

武部沙織:ファースト 右投右打
誰とでも仲良く話せるという特技から、作戦伝達なども行う。後輩やチームメイトからの信頼も厚い。

五十鈴華:キャッチャー 右投右打
五十鈴流華道の家元の娘。常に冷静な判断で大洗投手陣を引っ張る女房役。

秋山優花里:セカンド/ピッチャー 右投右打
自他ともに認める野球道オタク。そのせいで幼少時はいわゆる「ぼっち」だったが、野球道を通じてみほ達と知り合い、チームメイトの一員に。スパイもこなす。

冷泉麻子:スコアラー
学年主席の遅刻魔であり低血圧。選手として参加はできないものの、敵戦力の分析などを担当。自チームの選手の弱点を見抜き、改善に向けてのアドバイスを送る役割も持つ。

角谷杏:監督及び代打の切り札 右投右打
大洗女子学園生徒会長。基本自らプレーすることはないが、ピンチには立ち向かう。打つ専門である。理由は「目立ちたいから」

小山柚子:サード/キャッチャー 右投右打
大洗女子学園生徒会副会長。体格の良さでホットコーナーを守り抜く。打力も期待でき、大洗の中軸を打つ1人。

河嶋桃:ピッチャー/キャッチャー(聖グロ戦のみ)/外野手
大洗女子学園生徒会広報。長身から繰り出される直球とスローボールのコンビで勝負する。キャッチャー時には全球ストレート勝負で見事に散る。基本は外野手であり、守備型である。
磯辺典子:ショート/セカンド 右投右打
元バレー部キャプテンでセッター。高い身体能力を買われ、二遊間に。根性でボールに食らいついていく。

近藤妙子:外野手/サード 右投右打
元バレー部。ジャンプサーブが得意で、長身と特技を活かし、外野の広い範囲を守る。赤い鉢巻を巻いている。

河西忍:外野手/ピッチャー 右投右打
元バレー部。背が高く、同じ外野手の近藤と外野を守る。ただし短気。投手では守護神として起用。

佐々木あけび:外野手/サード/ファースト 右投右打
元バレー部。内外野を守るユーティリティ。守備が得意。

カエサル:ピッチャー 左投左打
軟投派サウスポー。歴史の知識なら誰にも負けない。また、左打ちのため代打やスタメンでの起用も多い。ただし、調子に乗るとやらかす。

エルヴィン:ファースト/外野手 左投左打
史実のエルヴィンのように大洗をまとめていきたいが、なかなかライバルが多い。ただ、野球の歴史にも詳しくエラーも少ない。

おりょう:ショート 右投両打
大洗のスイッチヒッター。ただ、右打席のほうが打率はいい。

左衛門佐:外野手 右投右打
左目を閉じているため右でしか打たないが、狙いを定める力はチーム有数。

澤梓:ピッチャー 右投右打
大洗の次期エースと言われている。直球と変化球を織り交ぜる変幻自在の投球で相手を撹乱する。

山郷あゆみ:ファースト/サード 右投右打
ボーイッシュでさっぱりとした性格から、空気を変えたいときに起用されることが多い。
丸山紗希:キャッチャー 右投右打
何を考えているかわからない、とチームメイトにも表されるが、基本的に読みは外れていない。また、投手の要望などを細かく聞き取り、投手に合わせたリードが出来る。

阪口桂利奈:セカンド/ショート 右投右打
とにかくボールに突っ込んでしまう積極守備で、ファインプレーとエラーをもたらす。代走要員

大野あや:外野手 右投右打
チームのムードメーカーであり元気印。ダイビングすると眼鏡が割れることも。やんす口調では話さない。

宇津木優季:ショート/セカンド/ピッチャー 右投右打
我慢強い性格で、選球眼もいい。投手としてもロングリリーフを期待できる。打撃と守備はそこそこ。

―――――大洗女子学園

沙織「へい、かーのじょ。一緒にお昼、どぉ?」

西住みほです。いきなり声をかけられてしまいました。
彼女は武部沙織さん。私のクラスメートです。

沙織「だって、なんだかわたわたしてて面白いんだもん」

と、声をかけられた理由を説明されました。あぁ、そう見られてたんですね。

華「いきなりですみません……改めて、一緒にお昼、食べませんか?」

この人は五十鈴華さん。同じく私のクラスメートで、武部さんのお友達です。

みほ「わっ、私で良ければ!」

妙に緊張してしまうのが、私の悪い癖なのかもしれません。

昼食中、私が寮で一人暮らしをしている、という話をしたときのことです。

沙織「まぁ、色々あるよねぇ……五股とか、告白前に振られるとか」

華「ご家族の不幸でしょうか?骨肉の争いですとか、遺産相続とか」

そういうわけでは、と否定したものの、私の境遇に興味津々なようです。私は、押し黙ってしまいました。

華「冷める前にいただきましょう」

と、機転を利かせてくれたので、なんとかその場は収まりました。

昼食後教室に戻ると、私は黒森峰のときには味わえなかった『普通の女子高生ライフ』というものを謳歌していました。友達と教室でただ駄弁ること。こんなことすら、私には未経験だったのです。

そんな他愛もない話の中で、五十鈴さんは華道をやっているということもわかりました。大人っぽい、芯の強そうな雰囲気は、ここから来ているんだ、とますます憧れていったのです。

杏「やぁ、西住ちゃん!」

談笑をしていると、生徒会を名乗る3人に、声をかけられてしまいました。

杏「必修選択科目なんだけどさぁ、野球道取ってね。よろしく~」

みほ「この学校は、野球道はなかったはずじゃ……」

桃「今年から復活することになった」

みほ「この学校は、野球道がないと思って、転校してきたんですけど……」

杏「いやぁ、運命だねぇ」

みほ「必修選択科目は、自由に選べるんじゃ……」

杏「とにかくよろしく!」

そういうと、生徒会の皆さんは去っていきました。私はそれ以降、ぼんやりとした記憶しかありません。気づいたら、保健室にいました。

何を言われたのか、と沙織さんから質問をされると、野球道が復活すること、私の家は野球道の家元であることを告げました。それと、嫌な思い出がある、ということを。

沙織「なら、無理にやらなくてもいいんじゃない?野球なんて、おじさんがお酒飲みながらヤジ飛ばしてるイメージだし、女子高生がやることじゃないよ」

華「もし、お断りになるのでしたら、私達も生徒会についていきますから」

意外な返答に、私は戸惑ってしまいました。

そんな話をしていると、必修選択科目のオリエンテーションをする、という校内放送が入りました。
中身は、野球道のプロモーションビデオ。正直、見ていて余り気持ちのいいものではありませんでしたが、華さんと沙織さんは、やる気のようでした。特典や優遇など、権限を逸脱してるような気がしますが、生徒会のやることですから、と流されてしまいました。

帰宅後、私はボコのぬいぐるみを抱きしめていました。

脳裏によぎるのはあの場面。昨年の、全国大会のことでした。

私はキャッチャーとして、グラウンドにました。1アウトランナー満塁、1点リードの場面。

ピッチャーであるお姉ちゃんのボールは私の要求通りのところに、要求通りの球威で来ました。

これなら、内野ゴロゲッツーに出来る……。そう思っていたんです。

プラウダ高校の選手がサードへのゴロを打ちました。当然、バックホーム。私はミットを構え、送球を受けようとしました。しかし、思った以上に相手ランナーの勢いが強く、恐怖から目を閉じてしまいました。ランナーがホームに生還した瞬間、私はボールを弾いてしまったのです。主審の判定はセーフ。お姉ちゃんが私の後逸したボール処理に追われている間にもう一人ランナーが生還し、逆転サヨナラ負けを喫してしまったのでした。

スコアボードにはE2の表示と、2xの表示。試合後のベンチの重苦しい雰囲気、冷徹な視線……全てが嫌で、いつの間にか涙を浮かべていました。

翌日、私は華さんと沙織さんに、どうしても野球道をやりたくないことを告げました。

2人は、笑顔で渡しと同じ選択科目に変更してくれました。無理に合わせなくてもいいのに、と。でも、華さんはこう言いました。

華「お友達に嫌な思いはさせたくありませんから」

沙織「私も、好きになった彼氏の趣味に合わせるから大丈夫!」

と、励ましてくれたのです。

昼休みになり、食堂でご飯を食べていると、やはり、周りは野球道を選択していたようでした。

華さんや沙織さんは、なんとか話を変えようとしてくれました。本当に、いいお友達です。

そんな時、放送で、私が呼び出されてしまいました。


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