欲望と巨万の富の渦巻く町ヨークシン。
オリジナル主人公で、ヨークシンドリームオークション期間中に、目的を達成しましょう。
主人公の設定は安価で決定します。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1481891071
【ルール一覧】
1、名前、性別、年齢、職業、ヨークシンへ来た目的、ステータス、性格、念能力、特殊技能を安価、もしくはコンマで決定します。
2、下ネタ、趣旨にそぐわない安価(右に行くか左に行くかを聞いている安価で空を飛ぶなど)は、再安価となります。
3、安価の内容によっては、コンマで成功判定を行います。
4、世界観との違いが大きすぎる安価(オークションにドラゴンボールが出品など)
物理的、常識的、知識的に不可能な安価(ビルを一撃で壊す。空から直径100メートルの便器が落ちてきた。
理由は無いけれどクロロの能力が把握できたなど)は無効となります。
5、この物語開始時には、ゴン、キルア、クラピカ、レオリオなどは新人ですので、主人公との面識はありません。
6、タイトルに逆風の、とあるように有り得ないトラブルが頻発します。
7、死亡、または職業毎の条件でゲームオーバーとなります。コンティニュー回数は3回まで。ゲームオーバールートに入ったと作者が判断する地点まで巻き戻します。
8、ヨークシンオークション終了時までに、目的を達成することがクリア条件です。
では、性別から。男か女かでお願いします。
>>4
女
性別は、女性に決まりました。
次に、名前を決定します。姓は必要ありません。
>>↓1
性別:女、名前:ヴォルトになりました。
次に、年齢を決めましょう。
青年、大人、中年の三択です。>>↓1
年齢は大人。25歳から30歳の間となりました。
次に職業を決めましょう。
職業は【孤独な賞金首】、【フリーのプロハンター】、【ネオンのボディーガード】から選択できます。
各職業の利点と欠点を説明します。
【孤独な賞金首】
利点・・・犯罪行為に関する制限が撤廃されます。フリーのプロハンターを選んだ場合、法律や良心の呵責。マフィアでも、組織の掟により一定のライン以上 の犯罪行為は行えないようになっています。性格や状況により多少の変動はありますが、自由に犯罪を行えるのは賞金首だけです。
この職業の目的は、特定の品物の入手、ターゲットの殺害の2つから選んでいただきます。
欠点・・・警官や民間人などに正体がバレると、非常に危険な状況となります。場合によっては賞金首ハンターに追われることも・・・。
また、犯罪組織に所属しない一匹狼の賞金首なので、大部分の人物(マフィア含む)の好感度判定にマイナス補正が付きます。
変な、行間になってしまいました・・・。
【フリーのプロハンター】
利点・・・ハンター証を持っている唯一の職業です。ハンターネットへのアクセスや、ハンター証を担保に大金を借りられる、社会的信用が得やすい、などハンターならではのメリットが多々あります。ただし、ハンター証が質流れするなどして、証を紛失したらゲームオーバーです。
欠点・・・フリーのハンターですので、開始時の人脈はゼロから始まります。
登場人物と協力関係を結ぶことで有利になる要素が多いので、早めの人脈構築をお勧めします。
【ネオンのボディーガード】
利点・・・序盤から、強力な念能力者の仲間たちを有しています。クラピカを始めとする念能力者たちの協力を早い内から得られるのは大きなメリットです。
成り上がりのノストラード組ですが、マフィア社会での影響力は決して低くはないのでマフィア社会のバックアップが得られます。
ただし、目的は自由には選べません。
この職業の主目的は、ネオンとライト・ノストラードの護衛。小目的として、幻影旅団の討伐や盗品の奪還などが状況に応じ発生します。
欠点・・・欠点はネオン・ノストラード。この一言です。ネオンの機嫌を損ねると、原作以上に突拍子もないことをしでかす可能性があります。
また、クラピカが仲間に入っている時点で、幻影旅団との衝突は避けられないでしょう。ネオン及びライト・ノストラードの死亡。または、ネオンの念能力がクロロに奪われるとゲームオーバーです。
>>↓1~>>↓5までの多数決で決定します。
書き忘れましたが、プロハンターの目的も、特定の品物の入手、賞金首の討伐の二つから選んでいただきます。
この書き込みは、安価では飛ばすものとします。
多数決の結果、職業は【ネオンのボディーガード】に決定しました。
それでは、主人公がその職業の中で、どのような立ち位置にいるのかをコンマで決めましょう。
コンマ00~30:新入り+1、31~70:古株+2、71~99:団長+3
役職の横の数字は後ほど使用します。
>>↓1
コンマの結果、新入りとなりました。
次にステータスを決定しましょう。
ステータスはコンマで決定します。様々な行動の成功判定をコンマで決定しますが、能力値が高いほど判定に有利になります。
平均的なプロハンターを基準とすると、1~3で苦手、4~6で人並み、7~8で優秀、9で超一流となります。
能力値の最低値は1、最大値は9です。コンマで0が出た場合、能力値5として扱います。
>>↓1 一の位〈〈肉体〉〉念を考慮しない肉体の力です。筋力や耐久力に関わります。
>>↓1 十の位〈〈知力〉〉知識量、思考力です。鑑定や推理の成功率に関わります。
>>↓2 一の位〈〈精神〉〉痛みへの耐性、冷静さの維持などに関わります
>>↓2 十の位〈〈技術〉〉隠密や、鍵開け、スリなどの成功率に関わります
>>↓3 一の位〈〈練度〉〉オーラを利用する技術です、顕在オーラに関係します
>>↓3 十の位〈〈オーラ〉〉オーラの総量です、潜在オーラに関係します
>>↓4 一の位〈〈魅力〉〉キャラクターとのコミュニケーションに関わります。
>>↓4 十の位〈〈幸運〉〉運によるコンマ判定で補正がかかります。
ステータスは以下のようになりました。
〈〈肉体〉〉 5
〈〈知力〉〉 4
〈〈精神〉〉 6
〈〈技術〉〉 9
〈〈練度〉〉 4
〈〈オーラ〉〉5
〈〈魅力〉〉 4
〈〈幸運〉〉 2
さて、役職の隣にあった数字を思い出していただけるでしょうか。
新入りは+1。つまり、一つの能力値を2だけあげることができます。そのステータスを安価で決定しましょう。
>>↓1
+1だけど2上がるの?
なら幸運
>>33 たとえば、団長で+3なら、3つのステータスを2だけ上げることができます。その分、難易度は上がりますが。
最終ステータスは以下のようになりました。
〈〈肉体〉〉 5
〈〈知力〉〉 4
〈〈精神〉〉 6
〈〈技術〉〉 9
〈〈練度〉〉 4
〈〈オーラ〉〉5
〈〈魅力〉〉 4
〈〈幸運〉〉 4
次に性格を決めましょう。
3つ安価をとってそれらを合成して決めます。ただし、ゴンが好きなど、特定の人物との関係を指定する安価(仲間想いなど人物を特定していなければOK)や、明らかに性格を表していないものなどは、そこだけ再安価で対応します。また、レオリオのような性格など、それ一つでキャラの全てが決まってしまう安価もご遠慮下さい。
例)仲間想い、嫉妬深い、音楽が好き、カルトの狂信者など
結婚願望が強い
>>↓1~>>↓3
>>35さん、すみません。本文と安価指定を別々に投稿してしまいました。
性格は
物の分解と組み立てが好き
処女である、恋人募集中
ヘビースモーカー
となりました。この後、3つのキーワードを元に作者がキャラ作りをします。
次に、念能力を決めましょう。
系統を決定してください(ただし、特質系はバランス調整が難しいので無しにします)
>>↓1
系統は強化系に決まりました。
念能力を完全に安価で決めてしまうと、バランスが崩れる可能性が大きいので少し特殊な決定の仕方をさせていただきます。
では、はじめに主人公が得意とする戦闘スタイルは?
暗殺、正面戦闘、補助のいずれかから選んでください。
すいません。>>↓1で。
能力は強化系の中でも、放出系寄りですか?
それとも、変化系寄りでしょうか?
勿論、純粋な強化系のみでもOKです。
>>↓1
強化系の能力を使うからには、何かを強化しなければなりません。
強化の対象は、体、道具?
>>↓1
大分、固まってきましたね。
それでは>>↓1~>>↓8で、どのような道具を強化するのかのアイデアをお願いします。
細かすぎる設定はご遠慮いただきたいですが、暗殺に関係しており、且つ、ある程度その道具について説明をいただけると嬉しいです。
例)神字が書かれた手裏剣など。
それを元に、作者がいくつかの念能力を考案し、安価で決定という形をとりたいと思います。
多くの安価を取りたいので、一人につき、1回まで重複可能ということにいたします。
なかなか、後ひとつが、揃わないので00:07分までに何も無ければ、7つの内から作ります。
それまでは、既に2回レスしている方も、再レス可能といたします。
あ、申し訳ありません。直前に8つ揃っていたようです。
では、これから20分ぐらいで能力を考えてきます。
出来れば、3つ位は考えたいと思っております。
お待たせしました。3つの念能力を作ってきましたので、それぞれの説明をいたします。
一つ目
【杯に毒は満てり(ソクラテス・カクテル)】毒ビンを元にしました。
強化+変化系能力
何らかの液体にオーラを流し込み、変化系の発で液体に込められたオーラを猛毒に変える。
その毒は、体内の毒素分解機能が一切効かず、既存のいかなる薬品でも解毒できない上に
化学的に検出されることもない。常人なら即死、どんなに強い肉体を持っていても数分で死に至る。
制約・・・毒は自分から200m以上離れた場合、または能力者が死亡及び意識を失った場合、自動的に分解されてしまう。
一度に、毒化させることができる液体は1Lまで。ただし、生物の体液を毒化させる事は出来ない。
二つ目
【炎上愛煙家(バーニン・スモーク・アイラブユー)】葉巻タバコと爆弾を元にしました。
強化+放出+変化系能力
葉巻タバコの煙に、体内でオーラを含ませて吐き出す。煙の中に含まれているオーラは任
意のタイミングで炎に変化させることができ、上手く使えば、大きな建物を短時間で炎に
包むことも可能。ただし、容量の関係から、操作系の要素を入れることが出来なかったた
め、基本的に煙は風まかせ(普通の煙よりは、念の影響で拡散しにくいようになっている)。
だが、能力者の器用さと、数年間の訓練により、今では炎を鎧のように纏うことも可能。
も可能。
制約・・・この能力による炎は自分にも影響を与えるので、熱を防ぐために常に念で強化した雨合羽を着ることになる。
タバコの銘柄は癖が強く玄人好みで知られるブラック・ムーン限定。タバコ専門店でしか買えない。
三つ目
【人体鍵開け師(ボディ・ピッカー)】ピッキングツールを少しアレンジさせていただきました。
強化系+変化系
能力者が、未開の奥地に住む部族に伝わる医術を、持ち前の器用さで独自に改良した念能力。極細の長い針を人間の精孔に突き刺し、閉じたり、逆に開いたりできる。
操作系の能力ではなく、原理的には電気針療法に似ている。
ただし、どちらの効果も、十数分しか続かない。
精孔を閉じた場合は、その精孔がある部位のみ(右腕や左足など)、硬も堅もできなくなる。人体には複数の精孔があるので、戦いの中で全て閉じきるのは不可能に近い。
逆に開いた場合は、潜在オーラを100%使えるようになるが、体への負荷を抑える為のリミッターを無理やり外すので、開かれた者は、戦いが長引くほど深刻なダメージを受ける。閉じるより開く方が難しいので、開く場合は対象者の協力が不可欠。
制約・・・特になし
では、多数欠で主人公の能力を決定いたします。
>>↓1~>>↓5
3を選択した方が三人になったので、主人公の念能力は【人体鍵開け師(ボディ・ピッカー)】に決定しました。
最後の項目になります。主人公の特殊能力を一つ設定しましょう。
暗殺、戦闘、交渉、特殊知識の四項目から一つを選択してください。
特殊能力にはランクがあり、コンマで判定します。選択された分野とランクを元に、3つの選択肢を用意致します。
00~35 Eランク。35~60 Dランク。60~75 Cランク。75~90 Bランク。91~99 Aランクとなります。
Eランク・・・ちょっとした得意技。
Dランク・・・実生活に役立つ技能。
Cランク・・・専門家レベルの技能。
Bランク・・・天才的な技能。
Aランク・・・世界でも数人しか持っていないような技能。
>>↓1
特殊知識
少し説明が足りず申し訳ありません。安価では、四項目から一つ選び、同時にコンマ判定もするという意図でした。
今回は>>74の方の安価を採用致します。
特殊知識:ランクE
候補1
ヨークシン好き
主人公はヨークシンに旅行に行くのが好きです。
ヨークシンに土地勘があります。
候補2
ブラックリスト知識
主人公は有名な賞金首の顔を把握しています。
初対面でも、Aランク賞金首なら見逃すことはないでしょう。
候補3
運転知識
主人公はいくつかの乗物の運転が得意です。
バイク、中型車、大型車の運転技能にボーナスが付きます。
それでは、以上の中から一つ選択してください。>>↓1
特殊能力は運転知識に決まりました。
いよいよ、キャラ設定も最後です。主人公の善悪を安価で決めてください。
やや悪、中立、やや善から選択できます(悪は、賞金首専用項目であり、善はプロのハンターしか選べません)
この安価は、性格や物語の展開に大きな影響を与える重要な項目です。
>>↓1
これにて、全てのデータが出揃いました。
新たなる旅人はこの世界にどのような爪痕を残すのでしょうか。
再開は、明日の夜になると思います。
本編の開始は、夜8時くらいからを考えていますが、とりあえず決まった設定を整理します。
【名前】ヴォルト
【性別】女
【年齢】25~30歳
【性格】物の分解と組み立てが好き。処女である、恋人募集中。ヘビースモーカー。
【善悪】中立
【職業】ネオンのボディーガード:新入り
【得意系統】強化系(変化系寄り)
【念能力】
『人体鍵開け師(ボディ・ピッカー)』
<強化系+変化系>
能力者が、未開の奥地に住む部族に伝わる医術を、持ち前の器用さで独自に改良した念能力。極細の長い針を人間の精孔に突き刺し、閉じたり、逆に開いたりできる。
操作系の能力ではなく、原理的には電気針療法に似ている。
ただし、どちらの効果も、十数分しか続かない。
精孔を閉じた場合は、その精孔がある部位のみ(右腕や左足など)、硬も堅もできなくなる。人体には複数の精孔があるので、戦いの中で全て閉じきるのは不可能に近い。
逆に開いた場合は、潜在オーラを100%使えるようになるが、体への負荷を抑える為のリミッターを無理やり外すので、開かれた者は、戦いが長引くほど深刻なダメージを受ける。閉じるより開く方が難しいので、開く場合は対象者の協力が不可欠。
<制約>・・・特になし
備考・・・針を刺すのは直接でも、投擲でも構わないが、投擲の場合は成功率が大幅に下
がる。狙える精孔は、両腕、両足。胴体にある3つのの精孔。四肢の精孔を閉じると、そ
の部位は硬、堅ができなくなる。胴体の精孔を閉じると、敵のオーラが三分の一ダウンす
る。
また、念能力と言うより医療の範疇だが、激痛が走るツボ、疲労を取るツボ、食欲がわく
ツボ、痛みを感じにくくするツボも知っている。
【特殊技能】
運転知識
主人公はいくつかの乗物の運転が得意です。
バイク、中型車、大型車の運転技能にボーナスが付きます。
ステータスを忘れてました。
〈〈肉体〉〉 5
〈〈知力〉〉 4
〈〈精神〉〉 6
〈〈技術〉〉 9
〈〈練度〉〉 4
〈〈オーラ〉〉5
〈〈魅力〉〉 4
〈〈幸運〉〉 4
ルール補足説明
1、このssでは、行動の種類によっては、コンマ一桁で成功判定を行いますが、目標値を設定した上で
下方ロールを行います。
基本的には、その行動に関係するステータスを目標値としますが、相手のステータスや状況により
プラス、マイナスの補正が付きます。
コンマ一桁が0だった場合、アクシデントとして無条件で失敗。普通の失敗よりも重大な結果となります。
コンマ一桁が1だった場合、大成功となります。普通の成功よりも良い結果が得られます。
なお、目標値がマイナスの場合、自動的に失敗。10以上だった場合、自動的に成功します。
2、攻撃力や防御力など、ダメージ判定に関わる数値は、いくつかのステータスを計算式に当てはめて求めます。
全て、書く事は出来ませんが、肉弾攻撃力を例に上げてみます。
肉弾攻撃力=【肉体】+(【練度】×【オーラ】×【強化系適正】)÷3 (小数点以下四捨五入)
主人公の場合ですと、5+(4×5×100%)÷3=12 となります。
肉弾防御力も同じです。
【強化系適正】は六性図から求め、変化系の場合80%。具現化系の場合60%です。
HPなどの形で、数値化はしませんが、相手の攻撃力と、自分の防御力の差で軽傷か大怪我かなどのコンマ判定に補正がかかります。
補正がかかります。
4、今回の主人公の場合、基本の四大行に加え、応用技は硬、堅、凝、流、隠、周が使えます。
ssを再開いたします。
では、プロローグを始めましょう。
これはー・・・、うん、こっちかなぁ
あれ? でもそうしちゃうと、左手の薬指はどこに行ったんだろ。
あっ、そうかぁ。さっきの小さな骨は薬指の欠片か。直せるかなぁ。
顔も結構ズタズタだし。パックの上から、化粧すれば少しは誤魔化せ・・・無理か。
ぐっちゅ、ぐっちゅ、ぐっちゅ。
黒い髪を、適当にハサミで切ったようなベリーショートの女性が、赤く染まったテーブルの前に立っている。
背は150cm程度だろう。その小ささと、どことなく無邪気な印象を与える童顔は、彼女を本来の年齢よりも若く見せることが多かった。
無論、彼女が【念能力者】として、常人よりも若さを保っているせいでもあるわけだが。
おぞましい音が響き渡る地下室にノックの音が響いた。
「ヴ、ヴォルトさん、今よろしいでしょうか?」
この声は、私が今、地下室を使用させてもらっている病院の事務員だ。
名前は――、ルーチャって感じの響きだった気がする。オーチェかもしれないけど。
少し、事務員には目の毒かもねぇ。ドアを開ける前に、テーブルをカーテンで隠しとこう。
「なぁにぃ? まだ、閉院時間じゃないはずだけど」
「いえ、その。なんと言いますか。当院としましては、今回の仕事を最後にヴォルトさんに病院の施設の使用を最後にしていただきたいのですが・・・」
「えぇ! 二ヶ月前は、世の中に必要な仕事ですから喜んで施設をお貸しします、なんて言ってたじゃん。 こっちは高い使用料払ってんだからさぁ。一方的に出てけってどういうことよ!」
「ひぃっ!!」
つい、らしくもなく声を荒らげてしまった。素人相手に念で威嚇するようなことはしないが、自分の大声に事務員の女性は今にも泣き出しそうになっている。
少し、驚かせてしまったかな。今度は出来るだけ穏やかに声をかけよう。
「あー、怒鳴ったりしてゴメンネ。でも、実際さぁ、私の仕事をあなた達に負担させたりはしてないじゃない。 掃除だって運搬だって全部自分でやってるよ? お金の問題だったら20%位は上乗せしてもいいからさぁ」
「そ、そうじゃないんです。 ま、毎日毎日、粉々になったり、ズタズタに拷問されていたり、有り得ない形をしていたり! そんな遺体が、あなたが来てから月に十件以上も持ち込まれるようになったんですよ。 病院の規則で、あなたが持ち込んだ遺体も霊安室に保存していますけど、それを見たベテランの法医学の先生もノイローゼで二人休職しているんです。みんな、その内もっと恐ろしい、例えば、危険なウイルスに感染した遺体も持ち込まれるのではって不安が抑えきれなくなっているんです」
一度、恐怖に泣きかけた反動か。今度は、畳み掛けるように一方的に喋ってくる。
「ちょっ、それは大いなる誤解だって。ちゃんと衛生対策は万全に――」
「とにかくっ! 病院としてはこれ以上あなたに、施設を貸せません。今ある遺体の処理が全て終わったら、もう来ないでくださいっ」
入ってきた時の遠慮がちのノックが嘘のように、扉が乱暴に占められた。
だいぶ、情緒が不安定になってしまっているように感じる。
事務員でこれでは、医局員の中では更に不安が高まっているのだろう。
もう、ゴネて居座れるレベルじゃあないなぁ。
こうなったのは、別に初めてではないし、もう病院の限界を感じ取れるようにもなってきた。
力なく天井を見上げ今までの経緯を回想する。
ハンター証を取った時は嬉しかった。
その後、ひょんなことから受けた、行方不明になったハンターの死体捜索の依頼が予想外にうまくいって、その分野の仕事が沢山入ってくるようになったんだよなぁ。
金払いがいいから引き受けてたら、いつの間にか、遺体ハンターなんて呼ばれるようになってたっけ。
この仕事は割と気に入っている。
親しい人の死体を持ち帰ってあげた依頼人はみんな泣いて喜ぶ。これでやっと区切りを着けて前に進めるって。
孤児だった私にはイマイチわからないけど、なくしたジグソーパズルのピースをやっと見つけたような感覚なのかな。
それなら、私にも分かる。パーツが揃わないのって、すごく気持ち悪いもんねぇ。
この病院で、やっていた遺体修復、エンバーミングはまぁ顧客サービスってやつだ。
やっぱり依頼人の目に触れたらやばいからね。
大切な人の、犯罪者に無残に殺された遺体だの、危険な生物に食われて半分消化された遺体だのを、さ。
最悪、依頼人が取り乱して報酬を受け取るのに苦労する羽目になる。
最新医学だの薬学だのはよくわからないけれど、人体に関する知識ならある。
昔、ちょっとした事情で1年程、ある部族で古代医療の手解きを受けたから。
まぁ、そのちょっとした事情が原因で、ハンター証も無くしちゃったわけだけど。
だけど私が、健気にひどい状態になっている遺体を修復してるのに、何故か他の人は不気味がるだけだ。
生きてる人間ならともかく、死体をいじってるだけなんだから、裁縫やプラモデルの組立と大して違わないと思うんだけど。
始めは、少し臭いとかが気になったけど、慣れれば結構楽しくなってくる。
好きなことを続けられるんじゃなくて、続けることで好きになるって誰の言葉だっけ。
割と真を射ている気がする。
「ふぅ。 ま、いっか」
これも良い区切りかも知れない。
明日、千耳会で遺体探し以外の仕事を探してみよっと。
ハンター証を無くしても仕事は紹介してくれるはずだ。
そろそろ、独り身が寂しくなってきたし、出会いがありそうな、沢山人がいる職場がいいなぁ。
出来れば、私の仕事にも引かないような人がいる可能性がある職場、そんな都合の良いところがあるといいけど。
ぐっちゅ。ぐっちゅ。ぐっちゅ。
地下室に、再び肉をいじる音が響き出す。
その音はどこか、楽しげに弾んでいるようだった。
〈〈逆風のヨークシンオークション〉〉主人公
■■■■■■■■■■■■■■■■■■
“見つけた遺体は千以上 【屍漁りの麗人】”
ヴォルト
<遺体ハンター>
■■■■■■■■■■■■■■■■■■
プロローグは終了です。
本編に入るまで、30分くらい休憩します。
では、本編を始めましょう。
広大な庭に壮麗な屋敷。庭には多数の番犬が放たれていて、この屋敷に住む人物の用心深さが分かる。
「お金は、やっぱりある所にはあるんだなぁ」
ハンターである、ヴォルトの稼ぎでも、ここまで大きな屋敷には住めない。
ヴォルトが大きな鉄の門扉に備え付けられたブザーを押すと、中から老人の声が聞こえてきた。
「どちら様でいらっしゃいましょうか」
「千耳会で依頼を受けて来た、ヴォルトです」
「それを証明するものをお持ちでしょうか?」
相手は、ブザーについているカメラからこちらを見ているようだ。
相手が求めているであろうハンターライセンスは持っていない。
一応運転免許証は持っているが、それを出そうか?
それとも、ハンターライセンスを無くしたことを説明するしかないかな?
他に方法もなさそうだし・・・。
あなたはどうする>>↓1
広大な庭に壮麗な屋敷。庭には多数の番犬が放たれていて、この屋敷に住む人物の用心深さが分かる。
「お金は、やっぱりある所にはあるんだなぁ」
ハンターである、ヴォルトの稼ぎでも、ここまで大きな屋敷には住めない。
ヴォルトが大きな鉄の門扉に備え付けられたブザーを押すと、中から老人の声が聞こえてきた。
「どちら様でいらっしゃいましょうか」
「千耳会で依頼を受けて来た、ヴォルトです」
「それを証明するものをお持ちでしょうか?」
相手は、ブザーについているカメラからこちらを見ているようだ。
相手が求めているであろうハンターライセンスは持っていない。
一応運転免許証は持っているが、それを出そうか?
それとも、ハンターライセンスを無くしたことを説明するしかないかな?
他に方法もなさそうだし・・・。
あなたはどうする>>↓1
すいません、上の文は間違いです。
「あの、ダルツォルネ様。ハンター証を紛失したという女性が参りましたが、いかがいたしましょうか」
「ふん、だらしのない奴だ。証を紛失するとは・・・」
新人ハンターの5人の1人は、一年以内に証を紛失すると言われているが、多くの場合
それは、注意力がないハンターとう烙印となる。
お嬢様のボディーガードは、注意力が何より重要な仕事、千耳会にしか依頼を出していないため
今日面接があることを知っているということはハンターを装った暗殺者である可能性は低い。
ただ、無能では試験するだけ無駄か・・・?
いや、少し早計すぎるか。証を無くしていても実力があるハンターも存在しないわけではない。
せっかく集めたハンターをただで帰すのも勿体無いし一応試験だけはするか・・・。
「期待は出来んだろうがな」
――ヴォルトは門前払いを免れました。
老人がブザーのマイクから話しかける。
「どうぞお入りください」
ヴォルトが、執事らしい老人についていくと、大きな部屋へ通された。
部屋には、自分の他に5人の人間がいる。
ヴォルトは大きなソファに腰掛けると、ブラック・ムーンという葉巻タバコを取り出しシガーカッターで吸い口を切る。
マッチで火を点けた煙草を咥え、甘ったるい煙を口の中で転がした。
まだ、面接の開始時間まで10分くらいある。
ただ、待つのも暇だしなにかしようかな?
――部屋の中には、トチーノ、センリツ、スクワラ、バショウ、ヴェーゼの5人がいます。
>>1↓
ふと、ある一人がヴォルトの目にとまった。
男か女かはいまいち分からないが、とにかく目立つ姿をしている。
どんな、人なのかなぁ。
気になったヴォルトは話しかけてみることにした。
どんな話題がいいだろうか?
>>↓1
可能なら
向こう(センリツ達)がヴォルトを知ってるかとか
ヴォルトの方で見覚えがある/名前を知ってる
とかの判定欲しかったです
安価下
>>108さん。それは、確かに行った方がいいですね。ヴォルトもハンターとしてそこそこベテランになりますし。
センリツとの会話に移る前に、ヴォルトがここにいるハンターに知られているかの判定を行いましょう。
ヴォルト自身は、誰とも組まずに仕事をする上、他のハンターの知識もあまりないので、誰も知らないとします。
コンマで他のハンターがヴォルトのことを知っているかの判定を行います。
>>↓1 センリツ 一の位 目標値3
>>↓1 バショウ 十の位 目標値3
>>↓2 トチーノ 一の位 目標値3
>>↓2 ヴェーゼ 十の位 目標値3
>>↓3 スクワラ 一の位 目標値1
>>↓3 クラピカ 十の位 目標値4
遺体ハンターであるヴォルトは、賞金首を倒したりと言った派手な活躍はしないので、ハンター内でも知名度は低めです。
スクワラはアマチュアハンターなので、更に目標値を低めに、クラピカはクルタ族の遺体である緋の目を探していることから
少し、目標値を高くしました。
ダルツォルネは既に、ヴォルトの名前を聞いていますが反応が無かったので知りません。
センリツ 一の位 目標値3 出目 6 失敗
バショウ 十の位 目標値3 出目 0 失敗(本来大失敗ですが、知られていないより下がないので普通の失敗とします)
トチーノ 一の位 目標値3 出目 7 失敗
ヴェーゼ 十の位 目標値3 出目 1 大成功
スクワラ 一の位 目標値1 出目 7 失敗
クラピカ 十の位 目標値4 出目 7 失敗
「こんにちわぁ。私、ヴォルトって言うの。これから仲間になるかもしれないしよろしくね」
ヴォルトは、無難に挨拶から始めることにした。
「こんにちは、私はセンリツ。――お互いに、面接に通ればいいわね」
その声で、センリツが女性であることをヴォルトは理解した。
「あはは、そーだね。私、こういう護衛込みの仕事って始めてだから緊張しちゃうなぁ」
「そう・・・」
センリツの耳には、特に嘘を言っている時の心音は聞こえなかった。
これから試験で争うかも知れない相手に、自分の経験の無さを正直に話すとは・・・。
単なる馬鹿か、よほどの自信家か・・・頭のネジが飛んでいるかだ。
「ところで、あなたとっても小さいけど特別な部族か何か? その髪型も変わっているし」
・・・少なくとも、あまり礼儀は知らないらしい。
「あなたに話すようなことではないわ。そろそろ試験が始まるし、集中でもしていたら?」
――初対面で、女性に容姿について聞いたことで、センリツの心情を損ねました。
(ヴォルトっていうと、もしかして屍漁りのヴォルト! 危険な魔獣の胃袋の中や、テロリストの縄張りでも、必ず遺体を回収するハンター。
能力は知らないけど、手ごわいライバルにも、心強い仲間にもなるかもね)
――ヴェーゼは、ヴォルトの名前だけではなく、その活躍もある程度知っています。
すいません、魔獣は野獣の間違いです。
時間ぎりぎりになって金髪の少年? が入ってきた。
容姿は中性的だが、どちらかというと男性的だ。
「お待たせしました。契約に関する説明を行います」
老執事が、リモコンでモニターのスイッチを入れる。
一人の男が、現れる。
彼が依頼人だろうか? でも、過去のケースでは、命を狙われる立場にあるような用心深い依頼人は、簡単には姿を現さないことも
あった。もしかしたら、偽物かも知れない。
その後、正式契約の条件としてリストにある品物をどれか一つ手に入れてくるように指示された。
一応、所持するだけなら合法の品のようだ。
手に入れようとすれば、非合法な行為を行う必要がある品も多いが。
ヴォルトは遺体ハンターとしての経験と知識から、合法的に比較的容易に手に入れることができそうなものを幾つか見つける。
その後解散となり、バショウが、扉を開けようとするが何故か開かない。
「一つ、伝え忘れたが。――強いことが雇用の最低条件だ。その館から無事でられるくらい<最低>な」
扉から複数の剣が突き出て、多数の黒いローブを来た人間が部屋になだれ込んできた。
その内一人が、拳銃であなたを狙う。
周囲に適当な遮蔽物もない。
回避判定を行います。
『依存ステータス』
技術 9
『補正項目』
不意打ち -1
目標値8
>>↓1
【銃弾の回避】
目標値 8
出目 4 成功
この程度の、銃弾をかわせないようでは、ヴォルトは今まで生き残っていない。
肉体的にも、念の技術においても、突出したものを持たないヴォルトにとって動体視力と
身軽さは、まさに生命線と言ってもいい物だ。
数歩、後退しつつも、敵の銃弾を最小限の動きで躱す。
ヴォルトに剣を持った3人の人間が飛びかかってくる。
ヴォルトはどうする?
>>↓1
ヴォルトは、【人体鍵開け師】を使用することに決めた。
この者たちも、ノストラード組の一員なら、殺してしまうのはまずいだろう。
とりあえず、相手の怯みを狙ってみるべきだ。
ヴォルトは、目にオーラの集中させる凝により、相手のオーラを見る。
相手が纏うオーラの僅かなゆらぎから、正確に精孔の位置を見抜く超絶技巧をヴォルトは努力の末に身につけていた。
しかし、相手を凝で見たヴォルトは、この黒ローブの集団は人間ではなく、念の塊だということに気が付く。
だとすれば【人体鍵開け師】は使用できない。
どうするべきか。
>>1↓
ヴォルトが、どのような意図を持って敵と距離をとろうとしているのか
コンマで判定します。
推理判定を行います。
『依存ステータス』
知力 4
『補正項目』
なし
目標値 4
すいません、指定忘れてました。直下です。
【推理】
目標値 4
出目 3 成功
ひい、ふう、・・・、数は11体か。
さっき見た限りでは、具現化系ではなく放出系。
放出された念は、能力者から離れる程、操作するのが困難になるはず。
ってことは、この部屋の中に能力者がいるね。
ヴォルトは、部屋で最も高い位置にある天井のシャンデリアに向かい跳躍した。
そこから、部屋中で戦闘が繰り広げられているのが見える。
金髪の少年が、放たれた銃弾を鎖で受け止めたのを見る。
手元の動きを見る限り、自動で攻撃を防ぐ念能力ではなく、技術のみで行った防御。
それに、ヴォルトは内心で賞賛を送った。
(なかなかやるじゃん。ま、私程ではないけどねぇ)
こと技術において絶対の自身を持つヴォルトにとって、先ほどの防御はそこそこやる、程度の驚きしか生まない。
(そぉしてぇ、この部屋の中で唯一狙われていないヤツはぁ)
ヴォルトの目が、トチーノを捉えた。
ヴォルトはどうする>>↓1
攻撃の命中判定を行います。
『依存ステータス』
技術 9
『補正項目』
不意打ち 1
敵の技術差 -1
目標値 9
>>↓1
【攻撃の命中】
目標値 9
出目 5 成功
ちなみに、補正にある、敵との技術差というのは、ヴォルトとトチーノの技術ステータスが、1しか差がないという
わけではありません。
基本、命中判定は敵の技術により妨害補正を受けますが、X=【自分の技術】-【相手の技術】で求められる数値が5~6の場合、-1の妨害補正を
受けるという仕組みになっています。
もう、零時もまわりましたので、本日はこれまでとします。
続きは明日の夜の予定です。
ssを、再開します。
前回の続きから始めましょう。
それから、前回のレスで数値が5~6の場合、-1の妨害補正と書きましたが、4~6の間違いでした。訂正します。
――ダメージを与えることが目的ではないので、ダメージ判定は無しとします。
たん。
軽やかな音をたて、トチーノの後ろに降り立ったヴォルトは
トチーノを、剣を持つ一体の黒ローブの元へと押すように、蹴り飛ばした。
完全に不意をつかれたトチーノは、流れるようなヴォルトの動きに対応できない。
「がっ」
ヴォルトの唐突な行動に、部屋の中にいた他のハンターの視線がヴォルト、そしてトチーノに集中する。
トチーノが、黒ローブを巻き込み地面に転がる。
しかし、トチーノが黒ローブに接触したのにも関わらず、この人形は一番近くにいる
トチーノを無視して他の人間の攻撃に向かった。
(なるほどな、そういうことかよ。さっき殴った感触で、念の塊だということはわかっていたが・・・。)
バショウが、トチーノとの距離を詰め首に手刀を突きつけた。
「今すぐ、こいつらを止めろ。3秒だけ待つ。いーち・・・」
「わ、わかった。すぐに止める」
黒ローブたちは、服の中身が抜けたことで地面へと崩れ落ちる。
「ところで、嬢ちゃん。どうして、こいつが動かしているってわかったんだ?」
ヴォルトは全員に、判断の理由を説明した。
(この短時間でそこまで推理したのか――。オレは、あいつらが念の塊だということにも気付けていなかった)
――誰よりも早く、この襲撃のカラクリに気がついたことで、ここにいるメンバーからの評価が上がりました。
「こんなに早くバレるとは思わなかったぜ。 ま、君たち5人の力なら館から脱出できるだろ。 がんばりな。」
5人・・・つまり、この中にもう一人潜入者が居るってことかな?
私たちを混乱させる為のブラフの可能性もあるけど、この試験がこんなもので終わりっていうのは呆気なさすぎる。
事実の可能性もあるわねぇ。
だが、金髪の少年が、鎖のついた指を突き出すと、潜入者がいるか調べると言い出した。
その鎖は、髪を後ろで束ねている長身の男の前で揺れる。
「お前が、潜入者だ」
少年の、その判断に最初に話しかけたセンリツという女性も、賛成する。
センリツは異常に耳がいいのか、長身の男の心音の乱れを聞き取ったと言っている。
6人中、2人が賛成――。確定では無いがこの男が潜入者である可能性は高いように感じる。
このまま、成り行きに任せてみようか。それとも、確信を得るため私も尋問に参加しようか。
ヴォルトはどうする>>↓1
結局、バショウという男と、ヴェーゼという女ハンターの念能力で長身の男は口を割った。
彼はスクワラという名前の、操作系の念能力者で数匹の犬を操る能力を持つようだ。
館の中の罠を把握したヴォルトたちは、無事脱出に成功した。
とりあえずは全てうまくいった、かな。
リストの品物の入手はなんとかなりそうだし、他のメンバーの念能力もだいたい把握出来た。
センリツの耳の良さが、念能力によるものじゃなければ、まだ隠し技を持っていそうだけど。
クラピカっていう子も、まだ全ての能力は見せていないように感じる。それに、あの子からはある種の臭いを感じた。
大切なものを奪われた復讐に、執念を燃やす者の臭い。依頼人の中にも、同じような執念を持つ者はいた。
・・・だけど、強すぎる想いは爆発的な力を生み出すモチベーションとなる一方で、目を曇らせ破滅へと導きもする。
あの子は、どんな結末を辿るんだろうなあぁ。
クラピカがどんな理由で、強い執念を燃やしているかをヴォルトはまだ知らない。
例え、知ったとしてもしてもヴォルトにはその感情は理解できないだろう。
今までの人生で、誰一人、大切な人などいなかった彼女には。
屋敷の門を出て、ヴォルトは歩き出した。
お気に入りの煙草を加えて、空を見ると、夕暮れ時の薄紫色に染まっていた。
とりあえず、面接は終了です。
次は、品物の入手に成功し、契約成立の場面からはじめます。
少なくとも契約にはこぎつけなければ、ネオンのボディーガードにはなれないので、殆ど原作沿いに展開しました。
今後は、安価内容によっては、当然原作と展開が異なってきます。
30分ほど、休憩します。
では、そろそろ再開します。
面接のとき、モニターに映っていた男に5人それぞれが入手してきた品を見せる。
「OK。5人とも正式に採用だ。 オレは、護衛団団長ダルツォルネ、よろしく」
やはり、この男は本当のボスでは無かったようだ。
「さて、諸君らには早速任務についてもらう。
それは、ヨークシンまでのボスのガード! 無事にボスをホテルの部屋まで送ること」
そこから、ダルツォルネは任務の内容を説明した。
ヨークシン郊外にあるリンゴーン空港までは、専用の飛行船で35時間かけて移動。
空港からホテルまでは車で90分。
ヴォルトたち新入りの配置は、陣形の最も外側。
「さて、説明はこんなところだが、何か質問は?」
>>1↓ヴォルトはどうする?
「はいはーい。私質問ありまーす」
静まりかえっていた部屋に、ヴォルトの緊張感のない声が響く。
少し、ダルツォルネが顔をしかめたが言葉には出さず、ヴォルトの発言を促す。
「もし敵に襲われるとするじゃないですかぁ。その場合、全て殺しちゃってもいいんですか?
それとも、出来るだけ生け捕りにして雇い主の情報を引き出します? マフィアって報復を重要視するんですよね」
「我々は、系列の組員とは目的が違う。 一番重視するべきはボスを守ること。 そのために、無用なリスクは極力避けろ。 殺せる時には殺しておけ」
だが、とダルツォルネは付け加える。
「情報を引き出すことがボスの安全の確保に繋がることもある。 反撃されてもボスに危険が及ぶ可能性がない時は、尋問することもあるが
それを決めるのはオレだ。 基本、ボスに近づく者は全て殺せ」
「りょうかい」
私としては、その方が助かる。生け捕りより殺す方が難易度は低いし。
その後、あのクラピカって子が、敵の心当たりを質問してリーダーに威圧混じりに心得を教えられてた。
クラピカの言うことにも一理ある。危険な森林に入るときとかは、そこに住む危険生物の情報を仕入れておくのが基本だから。
でも、人間は時に自然よりも複雑怪奇。
下手に先入観に凝り固まると大きな間違いの元になるのは確かだ。
「来な、諸君。ボスを紹介しよう」
ダルツォルネに続いて5人は屋敷の廊下を歩いていく。
途中に、人の死体が埋め込まれたキャンバスが設置してあった。
ダルツォルネによると、敵の偽情報に踊らされてボスを危険にさらした罪で始末されたらしい。
要するに、このまま生かしておくよりも、殺して見せしめにでも使った方が有意義と思われただけのことだろう。
ヴォルトは特に恐怖も、嫌悪感も感じない。
ただ・・・。
うーん、死体を飾る趣味ってやっぱり理解はできないなぁ。
そんなに、綺麗なものでもないと思うけど・・・。
ヴォルトにとって遺体は、愛でる対象でも、嫌悪する対象でもない。
どんな状態の遺体を見ても、その心に一切の波風の立つことはない。 だからこそ、遺体ハンターなどという仕事を続けられた。
――人は、死体を見てその人物の死に様を連想する。
苦痛に顔を歪めた死体なら、その人が味わった苦しみを。 薄らと微笑んだ遺体なら、その人の最期が安らかであったことを。
でも、それはあくまでも錯覚に過ぎない。
死体を見たものがどのようなことを感じるかは、当人の死への恐れ、あるいは、羨望を反映しているだけなのだから。
やっと、ボスの部屋の前までついたようだ。
「ボス、新入りを連れてきました」
「どうぞ」
扉の先には、一人の少女がベッドに腰掛けていた。
ノストラード組の組長は、初老の男性だと聞いていたけれどその娘かな?
「ふーん、この人たちが新人さん? これからよろしくね」
これが、組長の娘であり護衛団のボス、ネオンとヴォルト達の最初の出会いとなった。
――目的発生 ネオンをヨークシンオークション期間中護衛する。
キリの良いところですので、今日はこれで終了とします。
次回は、明後日の夜から開始します。
では、ssを再開します。
ヴォルトたちが、ヨークシン行きの飛行船が出る飛行場へ着くと、そこには既にノストラード組の
専用飛行船が、準備されていた。
見たところ大きさはかなりの物で、一般旅客便ならば200人以上は入る容量があるだろう。
これを、ネオンと付き人、護衛団の20人足らずで独占するというのだからノストラード組の財力が伺える。
タラップを上り、飛行船に入ると少人数で利用することを前提に設計されているとわかった。
船内は2層構造で廊下と、幾つかの部屋で構成されている。船の2層部分は全てネオンのプライベートルームとなっており、新入りたちは
2人と3人に分かれて、一層の部屋に待機することになった。
ヴォルトは2人部屋と3人部屋のどちらを希望する>>↓1
誰と相部屋になるか、コンマで判定します。
00~25 ヴェーゼ
26~50 センリツ
51~75 バショウ
76~99 クラピカ
出目 47
センリツに決定しました。
結局、センリツと同室に決定した。
初対面のとき、ちょっと地雷踏んじゃったぽいし、気まずいなぁ。
部屋は要人の宿泊は想定されていないからか、質素な作りだった。二つのベッドが2メートルほど離れて置いてあり、その他には小さな文机と
金庫しか置かれていない。
枕元にあった金庫に貴重品をしまうとベッドに腰掛ける。
ふと見るとセンリツも同じようにして座っていた。
やっぱり、気まずいぃ。
煙草が吸えるなら、それで時間が潰れるんだけど、リーダーに船内は禁煙って言われちゃったし・・・。
ヴォルトは、沈黙に耐えられずセンリツに話しかけることにした。
話題はどうする>>↓1
話題が決定しました。
それと、今気がついたのですが、自由度の高い安価の場合、直下では唐突すぎる気がしますので
安価の内容によっては、シンキングタイムや会議時間として10分か20分ほど、安価指定までの時間を作ろうと思います。
その間に、ご自由に意見交換などをなさってください。
やっぱり、この先長い付き合いになるかもしれないんだし、気まずいままじゃあダメだよね。
ヴォルトは、初対面のときの失礼について謝罪することにした。
「あの、センリツちゃん。 始めてあったときはごめんね。 いきなり不躾な質問なんかして・・・、私失礼でした」
ふう、とセンリツは息を一つ吐くと、笑みを作った。
「――いいわよ。 私も、物事を悪く取りすぎていたみたいね。 私はもう気にしないから、あなたも気にしないで」
「ホント! ありがと、センリツちゃん。 あ、そうだコーヒーでも入れるね。それとも紅茶がいい?」
「コーヒーの方がいいわね。角砂糖は一つ、ミルクはなしで。
というか私を、センリツちゃんなんて呼ぶ人なんて、あなたの方が珍しいんじゃないかしら」
「そうかな・・・。 まあ同年代くらいの女の子には、基本ちゃん付けでよんでるから。 あなた、筋肉のつき方や、肌の状態から見て
多分20代半ば、ってところでしょ?」
「・・・よくわかったわね。この姿になってからは、もっと老けて見られることが多いのに」
「あはは、人の体については、ちょっと色々知ってるから」
「えっ、ちょっと待って。 てことは、まさかあなたも20代半ば?」
「まぁね、若く見られることはあるけど」
「若く見えるってレベルじゃないと思うけど・・・。バショウなんて、あなたのこと10歳前半って思ってたわよ!」
思った以上に、センリツちゃんとの会話は弾んだ。
これなら、残りの空の旅を快適に過ごせそうだ。
センリツちゃんと話すうちに、誤解は解けて、気まずい思いをすることもなくなった。
夕食も食べたし、シャワーも浴びて寝衣にも着替えた。
あとは、ただ寝るだけなんだけど・・・。
あーあぁぁぁ。ダメだ、全然眠れない。 私の体の奥が波打って煙草を求めてしまっている。
センリツちゃんのベッドを見ると、彼女はもう寝息を立てていた。
これじゃ、話でもして気を紛らすこともできないかぁ・・・。
そうして、悶々とすること数十分。 もう限界だ。
リーダーに怒られたって構うものか。
センリツちゃんを起こさないように、そっと部屋を出る。
目指すは、機関室。
昼間、船の中を見回った際に、この船の機関室には、船外との換気装置が備え付けられていることに気がついた。
あそこで取り入れた空気をダクトから船内に運び。同時に、船内の空気を、排出している。
排気設備をうまく利用すれば匂いを残さずに煙草が吸えるはずだ。
あとは、朝にシャワーを浴びて、歯を磨けばよほど鋭い鼻を持っていない限りバレる心配は無い。
バレても、その程度の微弱な匂いなら、昨日船外で喫煙したときに着いたとシラを切ればいい。
私は足早に、しかし静かに機関室へと向かった。
夜の機関室には、飛行船のタービン音と、ダクトを通る風の唸りだけが響いていた。
この音は、昼間にも聞いたはずなんだけど、どことなくもの寂しげに趣を変えたような気がする。
この部屋に限らず、船内全てのドアは光が漏れ出さないようになっているので、この部屋の照明を付けている。
暗闇で煙草を吸ったせいで、落とした灰に気がつかなかったら最悪だから。
煙草、特に葉巻を吸うとき肺に入れるのはあまり好きじゃない。
肺ではなく、喉を動かすようにゆっくりと葉巻を吸うと、口の中に甘さと苦味が混じりあった何とも言えない味が広がる。
それを、舌の上で幾度か転がした後、排気ダクトに向けて吐き出す。
黒い穴に、吸い込まれていく紫煙を眺めているとヴォルトの全身を、ゆったりとした幸福感が包んだ。
不意に、ドアノブが回る音が、室内に響いた。
まさか、バレた!?
一体誰だろう。どうやって言い訳しよう、という思考が一瞬の内に駆け巡ったが、そこにいたのは一人の少女。
私の護衛対象であり、雇い主。
ネオン・ノストラードだった。
30分程度、休憩します。
そろそろ、再開します。
「げぇっ。 ボ、ボスどうしたんですかこんなところに!?」
確か、ボスは自室で就寝していたはずだ。
出口の扉の前を、護衛団が見張っているから、一人で船内を歩き回れるはずがない。
「ちょっとぉ、私を見て『げぇっ』はないでしょ。一応あなたの雇い主だよ」
ネオンはその後少し考えて、正確にはパパだけどね、と付け加えた。
「ところで、どうやって部屋から出たんですか? 確かあの部屋の前には、見張りがいたはずですけど」
「えっへっへぇ、そこは頭の使いどころですよ新人さん。 この飛行船って太いダクトがそこら中に通っててね、私の部屋からも格子を外せば
入ることができるの。 そこを通ってこの近くまできたのよ。 少し狭い上に、埃っぽいけどね」
「な、なるほど。でも、そんな危ない遊びはしないほうがいいと思いますよ。 ボスに何かあったら、大変なことになりますし」
ネオンは、その言葉に少し表情を顰めた。
「知ってるよ。 どこに行くにも、何をするにも、人の後をぞろぞろ付いてきてさ。 うっとおしいって言ったら、ボスの身に何かあれば
っていうだけ。 何がボスの身に――よ。 私に何かあって困るのは自分たちだから心配してるだけでしょ!」
その言葉は否定できないなぁ。 能天気で、悪趣味なだけの子だと思っていたけど、割と鋭いようだ。
「ま、飛行船の中だし、特に危ない人とかはいないでしょう。 少し、誰も見張っていないところに散歩してみたくなっただけよ」
「そう、ですか。 でも、戻るときはダクトからじゃなく、普通に戻ったほうがいいですよ」
「そうだね。 膝とかに埃ついちゃって最悪。 なんで、一人で部屋から出るのにこんな事しなきゃならないんだろ」
それは、あなたの念能力が、かけがえのない貴重なものだからです。もちろん声には出さないけど。
手で、服を軽く払いながらボスが落ち込んだ声を出している。
性には合わないけど、私は今この人に雇われてるわけだし、少しフォローをしておくかなぁ。
「それも、御父君がボスのことをそれだけ心配しているということですよ。 中々おりませんよ、一人娘を守るためでも、ここまでする方は」
「・・・それって、パパが『私』を心配しているって意味?」
表情は、微笑みに近い形を維持している。
だが、ネオンの目からは今までの子供めいた輝きは消え、鋭い眼光が宿っていた。
不意な変化に思わずヴォルトはたじろく。
ネオンの問いかけを肯定するべきか。
それとも、沈黙を保つべきか。
この選択肢について、23:45分まで、会議時間とします。
では、最終決定をしてください。
>>↓1
「え、ええ。御父君は、ボスのことを大変気にかけておられます」
「・・・そっか、うん。えへへ、分かりきったこと聞いちゃったね」
そう、わかりきっている。
雇われた身である以上、私はこう答えるしかない。
ネオンの父、私たちの直接の雇い主、ライト・ノストラードは『娘』と言うより『娘の力』を失うことを恐れていることは誰にもわかる。
だって、本当にネオンを大切にしていれば、命を狙われる危険すらある裏社会の占い師なんてさせるわけがないから。
でも、私はそれを答えるわけにはいかない。証は無くしても、ハンターとしての矜持くらいある。
雇われた者として、直接の雇い主の不利になることなど言えるはずもないのだ。
「じゃあね、『新人さん』。 眠くなっちゃったしもう寝るよ」
「おやすみなさいませ、ボス」
飛行船は夜の雲の下をゆっくりと、進んでいる。
欲望と富の渦巻く都市、ヨークシンを目指して。
そこで起こる出来事が、ノストラード組に、何をもたらすのか。
それは、まだ誰も知らない。
0時を回りましたので、今日は終了します。
次回は、明後日の夜となります。
ssを再開します。
夕暮れの小学校。
校舎前にあるベンチに座り、私は図書館で借りた文庫本を読んでいた。
内容は、よくある少年探偵物。
沢山の友人に囲まれ、ピンチに陥っても機転と幸運で切り抜ける。 実際はこんなにうまくいくはずが無いと、子供ながらに思うが
今は、最悪の気分を忘れる為に本を読んでいるだけだ。
このくらいのくだらない内容でちょうどいい。
「あのぉ、隣座ってもいいかなぁ」
「はぁ?」
そこに、いたのは私と同じクラスの女。
今まで、あまり話したことはないが、もう十歳以上だというのに、舌っ足らずな幼い喋り方をする奴だ。
一応、私と違い孤立はしていないようだが友人グループの中では一番下に見られているようで、よく馬鹿にされている。
別に、私には関係無いけど。
「別のベンチも空いているから、そっちに座れば」
「いやぁ、それじゃダメっていうかぁ。 あなたとお話したくて」
「私は別に話したくないけど」
「ホント、ちょっとで終わるから、ね」
「・・・勝手にすれば」
あの時拒絶しなかったのは、心が弱っていたからだろうか。
それとも、彼女の瞳に毒気を抜かれたのかも知れない。
真正面から覗いたその瞳は、今までに見たことの無いような澄んだ青色をしていたから。
「どうなったの? あの後」
彼女が言う、あの、とは私がクラスメートの女子を殴り、流血沙汰を起こしたことか。
クラスメイトからの人気もあり、教師からの評価も高いが、実は影で、立場の弱い生徒を取り巻きたちと攻撃することで
自分の求心力を保っている女。
私も、度々嫌がらせを受けていたが我慢の限界を超えて、今日ついにやってしまった。
「別に、予想通りの展開になったって感じだね。 担任は、私があいつを妬んで一方的に殴ったって方向に持っていきたいみたいだし
他の生徒も私がいきなり殴りかかったって証言してるみたい。 まあ、巻き込まれたくないのか、そもそも興味も無かったのかは知らないけど」
「でも、私はあなたは悪くないと思うなぁ。 あの子、ホントに酷いし何でみんな、あんな奴の味方するのかわかんないよ」
「あいつの方が人気があるからでしょ。 ノリが良くて、明るくて、男子とも普通に接することができて、友達想いで、いじめが好き。
実際、私みたいに暗い奴より、あいつに味方したほうが圧倒的に得だね」
「そんなのって・・・」
彼女は、何も言えずに俯く。
それを見て、思い出したことがあった。
こいつ、騒動の後、担任がその場にいた全員に何があったか聞いていた時に私を庇うようなこと言ってたっけ。
まあ、弱々しすぎて、殆ど無視されてたけど。
「そろそろ日が暮れちゃうよぉ。あなた帰らなくていいの?」
「別にいいわ。 どうせ帰っても、今日のことで怒鳴られるだけだし。 多分夕食も抜きね」
人の話を聞かないということでは、孤児院の職員も担任といい勝負だ。 彼らにとって正しいかどうかより、面倒が少ない方が優先なのだろう。
わざわざ学校に、掛け合って事実関係を確認するようなことは絶対にしない。
彼らは親ではなく、所詮、雇われ職員だから。
もし、私に親がいたら。
そんな想像を、昔はよくしていたが、惨めな気分になるだけだと悟ってからは辞めてしまった。
ぐぅぅ。
お腹が鳴る。騒ぎを起こしたのがランチタイムの最中。
そこから、放課後まで一時間以上説教されていたせいで、今日は昼食を食べていない。
「あ、もし良かったら私、サンドイッチ持ってるから食べて。 昼に食べる予定だったんだけど、あなたが心配だったから結局食べてなくて・・・」
「下らない同情はしないで。 アンタに恵まれる義理はないわよ」
「ううん。私もあの子に昔、いじめられてたから、あなたがやり返したのを見て、ホントに凄いなって思ったんだぁ。 だからこれは、そのお礼」
「・・・私はお礼は言わない。 勝手にくれただけだから」
ランチボックスを開けると、色とりどりの果物とクリームが挟まれたサンドイッチがあった。
小さな、沢山の種類のそれを見て、手間暇をかけた事が伺える。
こんな物を作ってもらえる彼女を少しだけ、羨ましく思ってしまった。
私が、それを頬張る様子を彼女は、嬉しそうに微笑みながら見つめている。
変わった奴だ。 下手に私に関わったら、こいつもロクなことにならないかもしれないのに。
クラスメイトの名前なんて興味なかったけど、コイツの名前くらいは覚えておこうかな。
「ごちそうさま。――アンタ、なんて名前だっけ」
「私は、エミリ。 よろしくね、ヴォルトちゃん」
少し、ヴォルトの過去に触れてみました。
30分ほど休憩します。
そろそろ、再開します。
目を開けると、そこには白い天井があった。
この夢を見るのも、久しぶりだ。
何故か、私が忘れかける度にエミリは夢に現れる。
別に、友達とかじゃないのに。
横を見ると、センリツちゃんはいない。
どうやら、私よりも早くに起きて、食堂にいったようだ。
顔を冷水で洗い、服を着替える頃には、飛行船はヨークシン郊外のリンゴーン空港に近づきつつあった。
食堂へいくと、そこにはリーダー等、護衛団の面々が揃っている。
食事をしながら、空港からヨークシンにあるホテルまでの護衛について説明される。
護衛団は、ボスを中心とする車列を組み、ホテルまでの安全を確保する。
新人である私の担当は、車列の最も後方を、もう一人の新人と共に固めること。
私の同乗者は――。
同乗者を決めるコンマ判定を行います。
00~25 ヴェーゼ
26~50 センリツ
51~75 バショウ
76~99 クラピカ
>>↓1です。
出目 9
ヴェーゼに決定しました。
荒野の中を、蛇のように横切る道路を、ヴォルトが運転する車は走っていく。
助手席には、ヴェーゼという女ハンターがいた。
彼女とは、あまり話したことは無いが、キスをした相手を180分間、奴隷にすることが出来るという恐ろしい能力を持っている。
「あなた、遺体ハンターのヴォルトでしょ」
唐突にヴェーゼが、訪ねてきた。
「え、まあ、そうだけど。知ってるんだぁ、私のこと」
「まあね。昔あなたに仕事を依頼した人と、依頼で関わったことがあるから」
一旦会話が途切れ、しばらく無言のまま車は進む。
「あなたは、遺体回収以外の仕事はしないって噂を聞いたんだけど、今回の依頼を受けたのはどういう風の吹き回し? ふふ、もしかして
あの娘のコレクションと何か関わりがあったりして」
冗談めかしているけど、本当に疑われているかんじだなぁ。
ここは、どう答えようか・・・。
この質問への回答について、21:55まで会議時間とします。
では、時間になりましたので決定を。
どのように答える?>>↓1
「あはは、そんな深読みしなくてもいいって。 ちょっと、仕事の都合で病院とトラブっちゃってさ。ここは一つ、違うタイプの仕事もしてみようって
思っただけ。 この職場なら、変に気味悪がられもしないだろうし」
「そうだったの。 ここのボスの趣味だいぶ変わってるし、この仕事を受けているのは何か事情があるハンターが多いかもって思ってね。
ちょっと、興味本位で聞いてみただけよ」
「ふふ、そういうあなたはどうなのよぉ。私が教えたんだから、自分だけ秘密ってのはなしだよぉ」
「お金よ、お金。 千耳会に出されていた依頼のうち、金払いが一番いいのがここだったってだけ」
ふうん、お金かあ。
やっぱり、世の中お金も大事だよね。 遺体回収の依頼も、生命保険や遺産相続絡みが結構あったし。
話している内に、ヨークシンシティの影が地平線に浮かんできた。
「組長、今回の占いで気になることが・・・」
ダルツォルネは、ライト・ノストラードに、オークション会場を何者かが襲撃し、死亡者が多数出るという占いの結果を報告する。
「・・・よし、とにかくネオンを会場には連れて行くな。ネオンが欲しがるものは金を惜しまず手に入れろ。競売はお前たちだけで落札するんだ」
「承知いたしました」
「諸君、任務ご苦労。 早速だが、次の仕事に入ってもらう」
ダルツォルネの前には、護衛団全員が揃い話を聞いている。
「地下競売には、我々護衛団のメンバーが参加することになった。 コルコ王女の全身ミイラ、俳優ソン・リマーチの使用済みティッシュ
DNA鑑定書付き、クルタ族の眼球 通称 緋の眼。 以上の3つだ」
そして一つ注意が、と付け足す。
「オークション会場を何者かが襲うという情報が入っている。 いかなる不測の事態をも臨機応変に対処し、「目的物の入手」を大前提に行動せよ」
その後の会場によると会場はセメタリービル。マフィアン・コミュニティーにより厳重に守られており、今まで殆ど問題は起きていないようだ。
「競売担当は三人一組。絶対に些細な揉め事も起こすな。仲間以外との会話も慎め。 メンバーは、トチーノ、イワレンコフ、それから・・・」
そういえば、新人のヴォルトは、試験の時も緊急事態に冷静に対処していたし腕も確かなようだ。
言動に多少不安があるが、アクシデントが起こる可能性が高い今回の地下競売は実力重視で行くか・・・。
「ヴォルト、お前に任せる」
逆風のヨークシンオークションも導入部が終わり本番です。
ここから先は、選択一つでゲームオーバーになる可能性が出てきます。
今日は、これで終了とします。
再開は、明後日の夜です。
文に誤りがありました。
>>194の
その後の会場によると⇒その後の説明によると、です。
質問です。
原作でマチが遺体の見目を整えようとするシーンがありますが、エンバーミングの技術繋がりでヴォルトと面識があるかの判定っておこなえますか?
知人であれば、会話で九死に一生できるかもしれないので……
>>201さん。
基本的に、幻影旅団との面識は存在しません。
賞金首ルートだと、面識判定も行うのですが、今回の主人公は
人との繋がりが少ないハンターですので・・・。
それと、申し訳ありません。
この先、本格的な戦闘を行う場面が出てきますが、その前に新しいステータス<<感覚>>を導入したいと思います。
今まで唐突な攻撃は全て【不意打ち】とし、回避に-1の補正を加えていましたが、今後は不意打ちの成功は<<感覚>>
により、コンマ判定を行います。
また、罠の発見や、敵の強さの看破など直感が関わる判定に影響します。
回避や命中は、今まで通り<<技術>>で判定します。
【感覚】 >>↓1 コンマ一桁 0の場合は5と読み替える。
出目9
ステータスは以下のように決定しました。
〈〈肉体〉〉 5
〈〈知力〉〉 4
〈〈精神〉〉 6
〈〈技術〉〉 9
〈〈感覚〉〉 9
〈〈練度〉〉 4
〈〈オーラ〉〉5
〈〈魅力〉〉 4
〈〈幸運〉〉 4
ssを再開します。
セメタリービルの入口にある、金属探知機を潜りエントランスホールの中に入った。
拳銃などある程度サイズの大きい金属製品を探知するタイプだったので、服の中に仕込んである長針は
探知されずに済んだようだ。
競売が始まるまで、二十分ほど間があるのでホールで待機しながら、辺りを軽く見渡す。
リーダーの話では、ボスの占い情報によって、会場内の警備をより厳重にすることが決定されたらしいが、ヴォルトの目から見ると大したことはない。
警備役のマフィアらしき男たちが、所々でホール内を警戒しているが、大部分は戦闘のプロとは言えないようだ。
隠し銃で武装しているが、それを意識しすぎて、遠目からでも違和感が丸出し。
隠している意味をなしていない。
そこそこ鍛えられた念能力者なら、簡単に突破できる警備レベルだろう。
世界中のマフィアを敵に回そうというのだ。
襲撃者は間違いなく、腕に自信を持ったかなりの実力者。
警備が思ったより当てにならない以上、できる限り自衛の策を練らなければ。
ふと、ヴォルトは襲撃者の侵入経路が気になる。
「トチーノさん。ここに入る時に、入場券を渡していたけどそれって偽造の心配はないの?」
「それに関しては心配ないさ。 あの入場券は単なる紙に見えるけど、内部に小型のチップが仕込んであるって話だ。
国家レベルの技術力を持っていないとコピー出来るものじゃない。
それに、入場券は1つの組織に付き1枚まで。例え、偽造できても同じ組織の入場券が二枚となれば矛盾が生じるようになっている」
「だが、襲撃者が紛れ込んでいない保証にはならないぜ」
口を挟んだのは、護衛団の中で一番の巨漢、イワレンコフだ。
「どっかの馬鹿が、入場券を奪われてたらかなりヤバイ。 俺たちみたいに、部下に代理で行かせる組も多いからな。
偽造に関しては警戒しているが、だからこそ本物の入場券を持っている人間なら簡単に入れるってわけだ」
「なるほど」
彼は厳つい見た目とは裏腹に、頭も切れるようだ。
「私も侵入時は強行突破は避けるかなぁ。 セメタリービルの周りには競売に参加する人以外立ち入り禁止だけど
多くの組は、遠巻きに会場の様子を伺ってるし。派手に騒ぎすぎると、すぐに人が集まっちゃうもんねぇ」
話をしている内に、時間が来たことを知らせるベルがなった。
アナウンスの音声が響く。
「ご来場の皆様、長らくお待たせいたしました。 もうじき競売を開始します。 所定のお席へご着席ください」
重厚な音を立てて、オークションホールの扉が開かれた。
オークションホール内の席に座る。
私たちに割り当てられた席は、ホールの出口に比較的近い席だ。
ここなら不測の事態が起こった時も逃げやすいだろう。
これから、地下競売が始まる。
この競売で、どれだけ高額の物を競り落とすかは、マフィアンコミュニティからの評価に直結するため
お互いを牽制しあうような視線が、飛び交っている。
その時ステージ脇から二人の男が、進行役のテーブルへと近づいていく。
ヴォルトはその二人を見て・・・
【危機感知】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
感覚 9
『補正項目』
なし
目標値 9
>>↓1
目標値 9
出目 5 成功
ヴォルトは、その二人の男を見て全身が総毛立つのを感じた。
間違いない、奴らはここにいる全員を殺そうとしている。
身のこなしから、相当の実力者。念能力者ではないと考えるのは希望的観測が過ぎるだろう。
「トチーノ、あいつら襲撃者。 多分勝てないから、何かアクションを起こした瞬間に逃げるよ。 イワレンコフにも伝えて」
隣の席に座っていたトチーノだけに聞こえるような小声で話しかける。
その普段のヴォルトとは異なる切羽詰まった話し方に、トチーノが目だけをヴォルトの方に向け様子を伺う。
トチーノは、試験の時にヴォルトに、あっという間に追い詰められた為にヴォルトの洞察力を高く評価している。
ヴォルトの眼差しを見たトチーノは、彼女が本気であることを悟り、イワレンコフに同じことを伝えた。
巨漢の男と、目つきの鋭い小柄の男が進行役のテーブルに着く。
「皆様ようこそお集まりいただきました。 それでは、堅苦しい挨拶は抜きにして」
そこまで言ったところで、巨漢の男のオーラが膨れ上がったことを、彼らを凝視していた三人は察知する。
その時には三人は、既に出口へ向けて走り出していた。
「死ぬといいね」
巨漢の男の十指から、無数の念弾が発射された。
【回避判定】
『依存ステータス』
技術 9
『補正項目』
事前察知 +1
目標値 10 自動成功
ヴォルト達は間一髪で念弾を回避するが、一時的に射線から逃れただけだ。
早くオークションホールから、脱出しなくては。
三人は、閉ざされている出口の扉へと近づく。
「俺に任せろ」
イワレンコフが、左腕にオーラを移動させ扉に突進した。
【伏兵の感知】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
感覚 9
『補正項目』
ドア越し -3
目標値 6
>>↓1
【伏兵の感知】
目標値 6
出目 2 成功
このドアの向こうに敵がいる!
数々の死線を潜り抜けた、ヴォルトの直感が扉の向こうに潜む殺意を感知した。
イワレンコフは、今まさに扉を突き破ろうとしており、もはや止まれないだろう。
ヴォルトはどうする?
この選択について、22:10まで会議時間とします。
>>↓1 ヴォルトはどうする?
もう、イワレンコフは止まれない。
私に出来ることは、イワレンコフに攻撃してくるであろう敵を迎撃することだけだ。
ついに、イワレンコフがドアを突き破った。
【タイミング】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
幸運 4
『補正項目』
なし
目標値 4
>>↓1
【タイミング】
目標値 4
出目 1 大成功!
イワレンコフが扉を突き破り、外へ転がり出る。
ヴォルトも、イワレンコフのすぐ後に続くが、出口の横から一人の女が棒状の物を振りかぶりイワレンコフに
振り下ろそうとしているのに気が付く。
ヴォルトは、右足にオーラを集中させ強烈な蹴りを繰り出した。
相手は、イワレンコフに攻撃する体勢でいる為に反応が遅れた。
【攻撃の命中】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
技術 9
『補正項目』
不意打ち +1
目標値 10 自動成功
【敵のダメージ】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
敵の肉体 5
『補正項目』
攻防力差 +1
基準値 6
※ダメージ判定の際は、基準値を設定し、出目との差でダメージ量を求めます。
目標値の時とは異なり、数字が高いほど良い結果が出ます。
なお0は、出目10として扱います。
>>↓1
【敵のダメージ】
基準値 6
出目 7 中傷
ヴォルトの横合いからの蹴りは、相手へと真っ直ぐに突き刺さった。
黒髪のその女は、咄嗟に右腕でガードしたものの、十分に攻防力を移動させることが出来なかったようだ。
ヴォルトの足に、黒髪の女の腕の骨が軋む音が伝わる。蹴りの衝撃は胸部まで届いたようだ。
感触からして骨は折れてはいないようだが、確実にヒビは入っただろう。
吹き飛ばされ地面を転がる黒髪の女を見て、ヴォルトは再び走り出す。
「た、助かったぜ」
イワレンコフが礼を言ってくるが、少しでもタイミングが遅ければ、彼は頭を砕かれていた。
助かったのは、彼の運の良さによるところも大きい。
「二人共、とにかく逃げるぞ」
三人はエントランスホールに向かっていた。
「うっ、これは!」
三人がエントランスホールへ到着すると、そこでは警備のマフィア三十人近くが既に殺されていた。
遺体に近づいて詳しく観察する暇は無いが、どうやら斬り殺されたであろう遺体と、一見外傷のない遺体の二種類がある。
外傷が無い様に見えると言っても、口から泡を吹き出し、苦痛に歪んだ形相をしていることから生きていないことは一目瞭然だが。
しかしそれに構っている場合ではない。
三人は、ヴォルトが先頭となってホテルの外へと繋がる出口へと進んでいく。
【危機感知】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
感覚 9
『補正項目』
??? -2
目標値 7
>>↓1
【危機感知】
目標値 7
出目 7 成功
ヴォルトの全身に鳥肌が立つ。
「止まって!」
「うぉっと」
ヴォルトの鋭い声に反応し、トチーノとイワレンコフがたたらを踏む。
「どうしたんだ。 もうすぐ出口だぞ!」
イワレンコフが、いきなりの停止に疑問をぶつけるがヴォルトは聞いていない。
ヴォルトは、自身の感じた違和感の正体を確かめるため、目にオーラを集める凝を用いて周囲を探った。
すると、自分たちの十メートル程前方の床にオーラを発見する。
数本の、非常に細い糸のようなオーラ。
見え方からして変化系の念能力者が作ったものだろう。
「凝をして周囲を警戒。この近くに念能力者がいるわ。オーラを糸状にすることができるみたい」
「わかった」「ああ」
本来、新人のヴォルトが指揮することは不自然だが、文句は出ない。
ここは一歩間違えれば死が待っている修羅場。
二人は、この場にいる仲間の中で最も直感に優れているのはヴォルトだと無意識のレベルで認めていた。
「あ~あ、バレちゃったか」
「結構、鋭いのがいるみたいだな」
静まり返ったエントランスに男女の声が響く。
三人から死角になっている、柱の影から黒髪を後ろで束ねた男と、女が出てきた。
男が持っている剣は、確かジャポンで使われている剣、カタナ。
よく見れば、二人共ジャポン風の格好をしている。
ヴォルトたち三人は、この二人を突破しなければセメタリービルを脱出できないことを悟った。
今日はここまでとなります。
それと、年末に暫く出かける予定がありますので
12月30日~1月5日まではssは更新出来ません。
年末は忙しいので具体的な日時はわかりませんが
次回は、12月29日までに一回ssを再開したいと思っております。
ヴォルトの念能力【人体鍵開け師】について、精孔を開く場合の説明が足りなかったので補足説明をします。
自分にも、他人にも使用可能。ただし、体の数箇所に針を刺すので発動まで5秒程かかります。
自分のオーラを100%引き出せるようになり、一時的にステータス〈〈練度〉〉が10となります。
ただし、無理矢理リミッターを外す副作用として、精巧を開かれた者は、効果が切れた後、最低でも十時間以上能力値が大幅にダウンする上
オーラを使い果たし強制的に絶状態になります。
もし使用後に連戦になると、勝利は絶望的になりますので、ヴォルトの最後の切り札としての扱いです。
自身への使用は、生死に大いに関わりますので、本当に使用するか否かの多数決を行います。
ちなみに、今の状況で仲間に使用すると、イワレンコフの場合は一時的に旅団とも渡り合えるレベルの近接戦闘力になり
トチーノの場合は、体外に大量のオーラを出せるようになり、黒子の戦闘力が上昇します。
なお、ヴォルトの善悪は中立ですので、故意に仲間を犠牲にする安価は無効となります(仲間が危機の時に、自分の逃走を優先することはできます)。
もし可能であればトチーノ開放して強化黒子展開、その隙にイワレンコフも解放して、残った黒子とあわせて強行突破か?
効果が十数分で切れて体に強烈な反動来るとなると、逃走用の車の運転のために、ヴォルト自身に能力使うのは不味そう
ssを再開します。今日は十時頃までの予定です。
「念の為、入口を固めておいて正解だったなマチ」
「油断するんじゃないよノブナガ。フェイタン達から生き残ったってことは、かなりの念能力者だ」
「いいじゃねえか、折角の大仕事なんだからよ。お粗末な警備蹴散らして終わりじゃあ拍子抜けってヤツだ。
おい、オレらは地下競売のお宝目当てだから、お前らに用はないんだが今逃げられると困るんだわ。 金庫を破る時間があるからな」
そう言うとノブナガと呼ばれた男は、ヴォルト達と入口の経路上で腰を低くし、カタナに手を当てる。
「先に言っておく。俺の間合いに入ったら斬るぜ」
マチも戦闘の構えを取る。凝で周りにあの糸が張っていないのは確認したが、格闘戦でもかなりの腕前を持つ気配が伝わってくる。
逃げようにも、このセメタリービルのどこに奴らの仲間が潜んでいるかわからない上に、大人しく見逃してくれる相手でもなさそうだ。
戦うしかない、ヴォルトはどうする?
20:00まで会議時間とします。
>>↓1 ヴォルトはどうする?
問題は出来る時間が有るかだけど...コンマか?
再安価です。 >>↓1 ヴォルトはどうする?
オークション会場にいた三人が何時追撃してくるかわからない為、戦いを長引かせるわけには行かない。
ヴォルトは、切り札を使う決意をした。
あくまでも目的は、相手を倒すことではなく逃げること。
その為にはトチーノの出す黒子に盾になってもらうのが一番現実的か。
試験の時の強さでは、彼らを攪乱することは出来ないだろうがトチーノの精孔を開けば可能性はある。
その為にはまず・・・。
ヴォルトは、マチとノブナガに少し近づいて話しかける。
「ねえ、あなた達一体何者なの? マフィアンコミュニティーに手を出すなんてよほどの犯罪者でも、いや犯罪者だからこそ
その恐ろしさは知っているはずだけど」
話しながら、ヴォルトは左手を後ろに回して空中に念で字を書く。
(私に作戦あり。トチーノ、私がやることに抵抗しないで。イワレンコフは時間稼ぎ)
極力、腕を動かさず素早く書いたので字は歪んでいるが、二人はなんとか読めたようだ。
【説得成功】二人が、ヴォルトの作戦を信用するかのコンマ判定を行います。
『依存ステータス』
魅力 4
『補正項目』
信頼度 +3
目標値 7
>>↓1
【説得成功】
目標値 7
出目 6 成功
「ははっ、マフィアンコミュニティーねえ。 そんなもん恐れるってんなら・・・ん?」
ヴォルトは、話の途中で瞬時に踵を返しながら、スーツの袖から7本の針を出し指の間に挟む。
ほぼ、同時にイワレンコフが近くにあった大きなソファを持ち上げると、ノブナガ達に向かって思い切り投げつけた。
ヴォルトの腕が、高速で動く。
【敵の妨害】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
マチの精神力 7
10-7=3
『補正項目』
イワレンコフの妨害 +2
目標値5
>>↓1
【敵の妨害】
目標値 5
出目 4 成功
「ちっ!」
マチはヴォルトの行動を警戒し、すぐさま攻撃しようとしたが、そこにソファが投げつけられた。
ノブナガは、能力の発動条件の為すぐにはソファに対応出来ない。
マチはソファに打撃を当て、はじき飛ばそうとするが角度が悪く、重量を受け流し切れず僅かに隙ができてしまう。
その間にも、イワレンコフはスタンドランプや椅子を投げつけマチの気を逸らし続ける。
ついに、ヴォルトが動き出してから5秒程が経過した。
「がっ・・・、うぉぉ!」
「なんだ、ありゃ!?」
ノブナガが驚がくの声を挙げる。
彼の視線の先では、纏うオーラが一瞬で倍以上に膨れ上がったトチーノがいた。
「風船黒子よ、俺たちをガードせよ」
トチーノの手元から、11体の風船黒子が展開される。その大きさ、込められたオーラは、通常時の2倍以上に膨れ上がっていた。
ヴォルトはどうする?
21:50まで会議時間とします。
>>↓1 ヴォルトはどうする?
では、イワレンコフはまだ強化されておりませんので
トチーノに旅団を牽制させつつイワレンコフを強化するところまで、ということにいたします。
22時になったので、今日はここまでとします。
次回は、1月4日以降になると思います。
乙です
しかし会議が弾むと先々の展開まで安価に入ってくるね
それはそれでいいのか
次の更新楽しみ
>>307さん
基本的に一つの安価でワンアクションと考えておりますので
先の展開まで入り過ぎた場合は、適度に区切ることもあります。
今日再開の予定でしたが帰宅が遅くなりすぎたので、再開は明日の夜となります。
ssを再開します。
逃げられる確率は、少しでも高いほうが良い。
ヴォルトは、トチーノに続きイワレンコフの精孔の開放を試みることにした。
「行くよ! イワレンコフ」
その宣言にマチとノブナガが焦る。
この女の能力が詳しくわかるわけではないが、仲間のオーラを一時的に増強することが出来るようだ。
先に、何かをされた男のオーラの増幅具合を見ると、同じことをあの巨漢にされるのはまずいと判断する。
「ちぃっ、止めるぞ」
ノブナガが居合の構えを解いて、マチと共にヴォルトに襲いかかろうとするが、彼らの前にトチーノの風船黒子が
立ちふさがった。
再びヴォルトの手が、その速度に霞む。
【敵の妨害】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
マチの技術 7
10-7=3
ノブナガの技術 5
10-5=5
『補正項目』
トチーノの妨害 +4
目標値 7及び9
>>↓1 一の位 目標値7
>>↓1 十の位 目標値9
複数の敵による妨害のため、両方のコンマ判定をクリアする必要があります。
【敵の妨害】
『マチの妨害』
目標値 7
出目 0 アクシデント!
『ノブナガの妨害』
目標値 9
出目 2 成功
「しまった!」
風船黒子はサイズと力は大きくなっているが、動作の精密性に難があることは変わっていない。
マチとノブナガの前に立ちふさがる黒子の、すき間を掻い潜りマチが二人に接近する。
マチは右手にオーラを集めると、ヴォルトに強烈な掌底を放ってきた。
精孔を開くことに集中していたヴォルトは、少し反応が遅れる。
【回避判定】
『依存ステータス』
技術 9
『補正項目』
敵の技術 -2
不意打ち -1
目標値 6
>>↓1
【回避判定】
目標値 6
出目 7 失敗
【自分のダメージ】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
肉体 4
『補正項目』
攻防力差 0
基準値 4
>>↓1 コンマ一桁
【自分へのダメージ】
基準値 4
出目 1 軽傷
もはや回避は間に合わない。
マチの掌底は、振り返ろうとしていたヴォルトの顔面へと迫る。
しかしヴォルトは右肩にオーラを集めると、体の回転を利用してマチの攻撃を肩でいなす。
ヴォルトの顔のすぐ横を、十分に自身の命を奪いうる速度で掌底が通過していった。
すぐさま牽制に蹴りを放つが、マチはそれを先読みし難なく距離を取った。
右肩には、多少痺れが残るが戦いには概ね支障はない。
しかし両腕を使い、尚且つ精密な動作を必要とする精孔を開く技は、暫く使えないだろう。
閉じるだけなら片手でも不可能では無いが、動きが限定される分、成功の確率は大幅に下がる。
横目で、トチーノの風船黒子を見ると4体がノブナガに切られ、その数を7体に減らしている。
イワレンコフは、今もヴォルトの横で出口を伺っていたが、隙を見いだせないでいるようだ。
イワレンコフ・・・彼には、同じボディーガードの仲間ということで、完全では無いが発の概要を教えてもらった。
手で触れた物体を一つまで、自由に動かすことが出来るらしい。
最も、複雑な動作は不可能で浮かべるや、投げつけるなど単純な動きのみ。
物体の重量も、彼のオーラ量では200kg程度が限界ということだ。
今、彼の周りにある操ることが出来そうな物は、木製の椅子にテーブル、三人がけのソファ、高さ2メートル程の木の鉢植え位か。
この状況で、なんとか隙を作り出すには・・・。
ヴォルトはどうする?
22:30まで会議時間とします。
22:30となりましたので、安価をとります。
>>↓1 ヴォルトはどうする?
そうだ。何も、真正面から戦う必要などない。
このセメタリービルの半径500メートル以内には、参加者以外は立ち入り禁止となっているが
どの組も、ノストラード組のように遠巻きにビルの様子を伺っているはずだ。
何らかの方法で、非常事態を伝えることができればすぐにでも大勢のマフィアがやってくる。
ビルの窓は、狙撃対策として防弾となっており、偏光ガラスを使っている為、外からは全く内部がわからない。
となれば、狙うのは入口だ。入口のガラス扉は重量の問題なのか、防弾ガラスは使用されていなかった。
ここのガラスを、イワレンコフの能力を使い打ち破ることが出来れば、異常事態が起きていることがわかるだろう。
ヴォルトは、木製のテーブルと入口の扉を指差す簡単なジェスチャーをイワレンコフに見せる。
ノストラード組の中でも、頭脳派であるイワレンコフにはそれで、ヴォルトの意図が伝わったようだ。
ノブナガは、トチーノの風船黒子が抑えている。既に4体切られているが、入口にテーブルを投げるまでの時間稼ぎは
十分出来そうだ。
問題は、マチと呼ばれていた女の方。
彼女の実力は、先程の僅かな攻防で理解した。隙を見せれば間違いなく一瞬で殺される。
彼女は自分が抑えるしかなさそうだ。
イワレンコフは、ヴォルトが動いた瞬間に、自身も行動に移ろうと構えている。
ヴォルトは呼吸を整え、意識をマチに集中させた。
ヴォルトはどうする?
23:35まで会議時間とします。
23:35となりましたので、安価をとります。
>>↓1 ヴォルトはどうする?
どの精孔を閉じるかを、安価で決定します。
いずれかの四肢の精孔を閉じると、その部位はオーラを練ることが出来ず、堅も硬も不可能になります。
また、その部位を使うタイプの発も封じることが出来ます(一度に閉じられる精孔は一つなので、一部分ですが)。
マチの場合は手を封じると、封じられた手の指先では、念糸を作ることができなくなり、既に仕掛けられているトラップも
無効化出来る可能性があります。
胴体には3つの精孔があり、一つ閉じると【オーラ】が三分の一ずつ減少していきます。
どの精孔を閉じる?
00:15まで会議時間とします。
補足説明です。
胴体と四肢で成功率に差はありません。
23:35となりましたので、安価をとります。
>>↓1 どの精孔を閉じる?
【???】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
幸運 4
『補正項目』
なし
目標値 4
>>↓1 コンマ一桁
マチは自然体で構えているが、その実、全く隙がない。
しかし、マチはまだイワレンコフに伝えた作戦について知らないはずだ。
だとすれば、自分がイワレンコフと距離を取れば意図を図りかね、注意を分散させることが出来るかも知れない。
ヴォルトは、短く息を吐き出すとマチの近くにあった大理石の柱へ勢いよく飛んだ。
イワレンコフも、近くのテーブルに手を伸ばすのが見えた。
・・・その瞬間、ヴォルトは自身の失敗を悟った。
イワレンコフは操作系の能力者。ヴォルトが見たところ、オーラはマチという女より大幅に劣る上に、技術、身体能力共に
平凡の域を出ない。
このマチという女に攻撃されれば、なすすべもなく殺されてしまうだろう。
それなのに、自分は有利な状況を作ることに気を取られ、作戦の要であるイワレンコフを孤立させてしまった。
この状況で、マチがイワレンコフを狙えば、誰にもそれを止めるすべはない。
だが、幸運の女神はヴォルトに微笑んだようだ。
マチは、イワレンコフよりもヴォルトを警戒すべき対象と判断したのか、視線をヴォルトの方に向ける。
ヴォルトは、大理石の柱まで飛ぶと、垂直な柱の側面を足場に、他の柱へと跳躍する。
屋内という特性を最大限に生かしながら、立体的に動き回るヴォルトは、マチの僅かな視線のゆらぎを感知し
高速移動の最中にも関わらず、針の穴を通すような精度でマチの右手の精孔へ向け針を投擲した。
同時に、イワレンコフもテーブルを入口の方へと放り投げる。
【外部への警報】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
ノブナガの感覚 7
10-7=3
『補正項目』
トチーノの妨害 3
目標値 6 >>↓1 コンマ一桁
【精孔の封印】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
技術 9
『補正項目』
マチの技術 -2
片手(投擲) -1
投擲 -2
精密攻撃 -2
目標値 2 >>↓1 コンマ十桁
少し中途半端ですが、夜も遅くなりましたので今日はこれで終了とします。
次回は、明後日の夜八時頃からの予定です。
ssを再開します。
「よっと!」
イワレンコフの投げたテーブルは、ノブナガにより呆気なく切り裂かれた。
二つに両断されたテーブルは、操作を失い虚しく地面に落ちていく。
ヴォルトの投げた針も、マチに避けられてしまう。
片腕にはまだ痺れが残っており、それが生んだ違和感が動きの精密さを損なってしまったのだろう。
始めから成功する確率は低いと踏んでいたが、外部へと危機を知らせる計画が破綻した以上、少しでも敵の戦力を
削っておきたかった。
再び外部に知らせようとしても、それは既に二人に知られてしまった。
同じ手は、二度は通用しないことは明白だ。
ヴォルトは、悪化するばかりの状況に奥歯を噛み締めた。
【奇襲】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
感覚 9
『補正項目』
???の感覚 -2
目標値 7
>>↓1 コンマ一桁
【回避判定】コンマ判定を行います
『依存ステータス』
技術 9
『補正項目』
???の技術 -2
事前察知 +1
目標値 8
>>↓1 コンマ一桁
その時、ヴォルトは自分に向けられた微かな、しかし濃密な殺気を感知した。
自分の感覚を信じ、エントランスホール2階のバルコニーに目をやると、スーツ姿の男がヴォルト目掛けて跳躍したところだった。
あの服は確か、オークションホールにいた男の内、小柄な方だ。
ヴォルトは、まだ空中であり回避行動は取れない。男の目が、勝利を確信したように三日月のように歪む。。
だが・・・。
(舐めんじゃ、ないわよ!)
ヴォルトは持ち込んだ中で最も大きな、長さ20cmほどの針を袖から出すと、男の繰り出すナイフに
斜めに沿わせるように当て、衝撃をいなす。
「ちっ!」
同時に、体を捻り靴の裏で男を足場にし、イワレンコフとトチーノの側へと移動した。
男も、空中で体勢を立て直し軽やかに地面へと降り立つ。
「オメェも来たのかフェイタン。 もう、オークション会場の掃除は終わったのかよ」
「もう終わったね。 シズクとフランクリンはもう気球に向かってるよ」
掃除、というのは会場の人間を皆殺しにしたことを暗に示しているのだろうか。
彼らは一体何者なのだろうか。一つ分かるのは、ただでさえ分の悪い戦いに、もう一人敵が追加されてしまった。
ただで、殺されるつもりは無いが、自分たちの命は風前の灯火であることをヴォルトは悟ってしまった。
「はあ? 少し気が早いんじゃねえか。 まだ、このビルにある全ての死体を掃除し終わってないだろ。 団長が出来るだけ証拠は
消してこいって言ってたじゃねえか」
彼らは、何らかの方法で死体を処理する方法を持っているのだろうか。
十中八九、念能力だろうが・・・、確かに法律など気にしない者たちにとっても
自分達が殺した死体をそのまま放置していくのはリスクを伴うのは確かだ。
死体の殺され方から、自分の戦闘スタイルや性格など、様々な情報を抜き取ることが可能な上に
念能力を使えば、更に多くのことが知られる可能性がある。
フェイタンと呼ばれた男は今も油断なくヴォルト達に注意を向けているが
少なくともすぐに戦闘に移ろうとしているわけではないようだ。
ヴォルトは黙って様子を見ることにする。
「シズクが、そこの女にやられて負傷したね。 大した傷では無いけど、あの状態で陰獣に襲撃されたら遅れを取る可能性が高いよ。
事前に進行役に聞いたとおり、金庫をあけて中は空だったってウヴォー達から報告が来たし、無駄なリスクを負ってここに残る必要はないね」
「シズクの能力はレアだからね・・・。しかし、そいつ結構できるって思ってたけどシズクに傷を負わせたんだ」
「出来ればさっきので殺しておきたかったけどね。時間ないし、今度にしとくよ」
「折角いいとこだったのに、勿体無えなぁ。 じゃあな、オメェら。 今度は邪魔の入らないところで闘ろうぜ」
三人はバルコニーへと飛ぶと、通路の奥に消えていく。
既に脱出経路は確保してあるのだろう。
彼らの目的が、ビルにいる全員を皆殺しにすることだったら、自分たちは既に殺されていた。
絶体絶命の状況から、生還した幸運にヴォルト、トチーノ、イワレンコフの三人は大きな息を吐き出した。
30分ほど休憩します。
ssを再開します。
「これは・・・警備の死体か?」
「うちのボスはどこに行ったんだ! お前ら探せ」
「クソ、客が一人もいねぇ」
セメタリービルの中には、各組織のマフィア達が集まり、怒号が飛び交っている。
トチーノが、このまま三人だけビルの中で立っていると血気にはやったマフィアに犯人だと勘違いされると考えた。
二人もそれに同意し、適当な場所に隠れてエントランスホールの様子を伺っているが、この混乱ぶりを見るとそれで正解だったようだ。
「お、クラピカくんとセンリツちゃんだ」
ビルの中も、かなり混み合ってきたし、頃合かな。
三人は、柱の影から出ると人混みにうまく溶け込み、二人の元へ急ぐ。
「やっほい。お二人さん」
「!!君達、生きていたのか」
トチーノが、さっと周りを見渡すと、クラピカの耳に口を近づける
「辛うじて、ってとこだな。 とにかく、リーダーと他の団員に何があったか報告する必要がある。
ここじゃ落ち着いて離せないし、外に出よう」
入口から抜け出し、人の数が少なくなってきたところで三人はクラピカとセンリツに何があったのかを話していく。
「ノブナガ、マチ、フェイタン、シズク、フランクリン、か」
クラピカは噛み締めるように、イワレンコフが伝えた名前を呟く。
「互いのことを呼ぶとき、その名前が出てたぜ。 俺たちの前でも、堂々と喋ってたから偽名かも知れないが」
「いや、偽名ではないだろう。 そいつらは今更、名前が露見することを恐れる必要などないからな。 知らない名前も混ざっているが
ノブナガ、フランクリンの名前は、ハンター専用の情報サイトで見たことがある」
「奴らと少しやりあったけど、明らかに只者じゃあなかった。 有名な犯罪者なの?」
ああ、とクラピカは答えると、その名前を口にした。
「奴らは、幻影旅団。 私が殺さなければならない・・・クズどもだ」
賞金首ハンターとは畑違いだった上に、微妙に知識が偏っているヴォルトはその名前をよく知らなかったが、ヴォルト以外の
三人は目を見開き驚がくしている。
「幻影旅団だと! Aランク賞金首の集団、世界最悪と呼ばれる盗賊じゃないか。 そんな大物だったのかよ」
トチーノは、自身が生き残れたことの奇跡を改めて感じた。
「君達は、幻影旅団の内、三人と戦って生き残ったんだろう。 相手の力量は、私よりも理解しているんじゃないか?」
「いや・・・、実は直接的な戦闘は全てヴォルトが行ったんだ。 オレもイワレンコフも肉弾戦は苦手だからな」
「まあ、トチーノは風船黒子を出して時間を稼いでくれたし、助かったわ。 私も、マチとノブナガの二人を相手したら死んでたよ、マジで」
「そうか、まあオレも戦いに役立ててよかった。それと、アンタに針に刺された後、急にでかいオーラを操れるようになったがどういう仕組みなんだ?」
あ! そういえば、トチーノの精孔を開いてからもう、十五分くらい経つ頃か。
「トチーノ、地面に座ったほうがいいよ。 始めてだと気絶しちゃうこともあるから」
「はぁ? それはどうい・・・、なんだ、急に暗く・・・」
「おっとぉ、アブねっ」
案の定、精孔を開いた反動で顔面から倒れたトチーノを受け止める。
これって、初回が一番きついみたいなんだよね。私も、初めて自分で開いたときは気絶した記憶がある。
「トチーノは、暫くリタイアだねぇ。この様子じゃあ、一日はまともに動けないや」
「すげぇ能力だって思ってたけど反動があんのかよ・・・」
自分も同じことをされそうだったイワレンコフは、顔色を青くした。
その時、クラピカの携帯から着信音が響いた。
その着信は、ダルツォルネからだった。
『クラピカか? オレだ。オークション会場を襲ったと思われるヤツらは気球に乗ってゴルドー砂漠の方向へ移動しているそうだ
マフィアンコミュニティから、捕縛指令と褒賞が出た。オレたちもすぐに追うぞ。オークション会場で何かわかったことはないか?』
「リーダー、会場には生存者はいないって情報が出ていますが、イワレンコフ、ヴォルト、トチーノの三人が生き残っていました。
今は面倒事を避けるため、秘密裏にビルからは脱出したところです」
『本当か! 誰でもいい。直ぐに替わってくれ』
クラピカが、電話のマイクを手で抑えて、2人の方に向く。
「コミュニティから襲撃者の捕縛指令と褒賞も出たそうで、リーダーも乗り気のようだ。まだ旅団だとは気付いていないようだがな。
リーダーが、君達の誰かに替わってほしいそうだ。 恐らく敵の情報などを知りたいんだろう。 誰に替わる?」
ふむ・・・、トチーノが倒れてしまった以上、古株のイワレンコフが出るべきかな。
そう思いイワレンコフを見上げると、彼は首を振った。
「オレは、直接奴らと戦ったわけじゃない。 奴らの強さや、戦術なんかは多分アンタの方が理解しているはずだ」
「そっか。じゃ、私が出るよ。・・・もしもし、リーダー?」
それからリーダーに向けて、敵が幻影旅団であること。 私たち三人以外は全員殺されてしまったことを話していく。
『なるほどな。しかし、奴らの一人に傷を負わせたってことはチャンスかもしれん。 足手纏いを一人抱えているわけだからな
俺たちも追うぞ。中央広場沿いの立体交差点で合流だ』
不味いなぁ。完全に褒美に目がくらんでいる。
それに私が、あのシズクって女に傷を負わせられたのは幸運もあってのことなのに、敵を甘く見させてしまったようだ。
右腕の違和感はもう治ったけど、奴らともう一度闘うのは本気でヤバイのに・・・どうしようかな?
ヴォルトはどうする?
23:45まで会議時間とします。
ちなみにダルツォルネとの電話はまだ繋がっています。
時間になりましたので安価をとります。
ヴォルトはどうする?
>>↓1
安価が決定いたしました。
本日はこれで終了とします。
次回は明日の夜の予定です。
それと、申し訳ありません。
>>363のコンマ判定で、数字を読み間違え、秒の方で判定してしまいました。
今後、気をつけます。
ssを再開します。
「いやぁ、少し戦ってみただけですけど、アイツら強すぎますって。うちの護衛団全員で掛かっても一人捕縛できるかどうかですよ。
それが集団ですからねぇ、はっきり言って勝ち目は無いかと」
『そうか・・・。 だが、会場で殺された客の中にはウチの親戚筋の組も入っている。 十分な戦力を有しているにも関わらず、追跡に参加しなければ
今後、ノストラード組の立場は著しく悪くなるだろう』
「じゃあ、とりあえず気球を追跡して、他の組の闘いを偵察だけするというのはどうですか? どうせやり合うにしても、事前に
情報はあったほうがいいですし。 まあ十中八九、他の組は蹴散らされるだけでしょうけど」
『・・・いいだろう。実際に奴らと戦ったお前の判断を信じよう。
我々の最優先目的はボスの護衛だしな。 オレも無駄な戦力の損失は避けたい』
電話が切られた。
ヴォルトは他の団員たちに、ダルツォルネの指令を説明していく。
「偵察、か」
クラピカが、軽くうつむき呟く。
彼以外のメンバーは概ね納得したようだが、クラピカに関しては複雑な感情を押し殺しているような気配をヴォルトは察した。
クラピカくんと幻影旅団。 なんか因縁ありそうだけど、平常心を失うようなことになれば怖いなぁ。
悪いけど、私まで危険に晒されるようならそのときは・・・。
ヴォルトは思考をそこまでで辞めた。
まだ、クラピカの性格を掴めたわけではない。
下手に先入観を持ちすぎるのは、それはそれで避けるべきことだ。
「行こうぜ、中央広場沿いの立体交差点だろ? ビルの駐車場に、乗ってきた車がある」
トチーノを、セメタリービルの近くに集まっていた系列組織の組員に任せ、駐車場へ向かう。
ヴォルトの運転で4人は、待ち合わせ場所へ走っていった。
「なんて、強さだ・・・」
結局、数十人もの人数が集まった武装マフィアたちも敵の一人、多分強化系と思われる毛皮を纏った大男に
為すすべもなく皆殺しにされた。
拳銃弾は勿論のこと、ライフル弾や対戦車バズーカ砲が直撃しても目立ったダメージは無い。
少なくともあの男が単純な戦闘力において、圧倒的に自分よりも上に位置していることは疑いようが無い。
「リーダー。 奴らの内、一人だけでもアレですよ。 それと同程度の強さを持っているかもしれない仲間が恐らく6、7人。
どう考えても勝ち目なんか無いですって」
ヴォルトはダルツォルネに提言する。
「オレも嫌だぜ! ただ、死ににいくようなもんだ。」 「アタシも嫌よ。 勝てるわけがないわ」
「だが、ここで大人しく引き下って終わりというわけにもいかん。 チャンスを伺うんだ」
「しかしよォ、チャンスたってあの化物にそんな隙ができるわけねえよ」
ダルツォルネは、まだ引き際では無いと思っているようだが、この場にいる殆どの団員が既に逃げ腰になっていた。
「!? 警戒して」
そんな中、ヴォルトが突然鋭い声を上げる。
団員が辺りを見渡すと地面が、地下を何かが這いずっているかの様に盛り上がった。
【感知】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
感覚 9
『補正項目』
隠密 -3
目標値 6
>>↓1 コンマ一桁
【感知】
目標値 6
出目 2 成功
ずるり、と地面から全裸の男が這い出てきた。
体毛はなく、鼻や肩などは地中を移動する為に変形している、異様な風体を持った男。
「オレは陰獣の蚯蚓。 お前らどこの組のモンだ?」
問いかけに、ダルツォルネが代表して答える。
「ノストラード組のノストラードさんに雇われているボディーガードだ」
「・・・なるほど。少しは念が使えるようだがやめときな」
「あなた達、4人なら勝てるって言いたいの?」
「4人? どういう「そういうことだ」 !?」
ダルツォルネの言葉に割り込む形で、気配を消して護衛団の近くに集まっていた者の一人が答える。
人並み外れた感覚を持っているヴォルトでさえも、かなり近づかれるまで気が付かなかった隠密技術。
この4人の暗殺者としての技量の高さを、如実に物語っていた。
「あいつらただのコソ泥じゃねえ」
「殺しが生活の一部になってるな。 いわば殺しのプロだな、うんうん」
「餅は餅屋っていうだろ。 嬢ちゃんも勘は鋭いようだが、だからこそ奴の強さも分かってんだろ」
初めに応えた、痩せぎすの男を始めとして、小柄の禿頭の男、腹の出た肥満体の男が気配を表す。
「オレ達に任せときな」
確かに陰獣というだけあって、身のこなしや纏うオーラを見るだけでも、鍛えられた念能力者であることが伺える
敵は強大。それなのに助力を求められないということは、護衛団が格下にしか見えていないということだろう。
ここは、大人しく見送るべきだろうか。
それとも・・・。
ヴォルトはどうする?
21:47まで会議時間とします。
22:47になりました。
>>↓1 ヴォルトはどうする?
「あいつらの正体は、幻影旅団だよ。 しかも、敵はここから見えるだけでも7人いる。 単純に数の上で不利だと思うけど」
「旅団・・・それは本当か」
蚯蚓が、興味を持ったようで問い返してくる。
「私と、そこのイワレンコフはセメタリービルで奴らの内二人と戦ったからね。 用が済んだみたいで途中で帰ったけど、あのまま戦っていたら
確実に死んでいたと思う」
「そうか・・・」
【回避判定】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
技術 9
『補正項目』
???の技術 -1
??? +1
目標値 9
>>↓1 コンマ一桁
【回避判定】
目標値 9
出目 1 大成功!
前触れもなく、蚯蚓の拳がヴォルトに向かい振り下ろされた。
「なっ!」
スクワラがいきなりの凶行に驚がくする。
だが当のヴォルトの瞳は冷静さを失ってはいなかった。
その右手で放たれたストレートを体を、横に捻るだけの最小限の動きで交わし、逆に蚯蚓の右手を掴み
肘間接の裏に、掌底を突きつける。
腕が伸びきった状態で、肘関節を裏から攻撃すれば確実に関節を破壊できる。
一瞬の攻防は、ヴォルトに軍配が上がった。
「理解してくれたかなぁ?」
「ああ、結構やるなオマエ」
「こんな、わざわざ手加減までされた攻撃、当たる方が難しいよ」
「・・・そうか」
蚯蚓の拳には、殺意が篭っていなかった。
ヴォルトの力量を確かめることで、間接的に旅団の実力を推測しようとした攻撃だろう。
同じ任務で動いているコミュニティ絡みの人間を殺すのはまずいと思ったのか、大分威力が殺されていた。
「思ったよりも、厄介な相手かも知れないな。一応、他のメンバーの合流を待つか」
「オレは、特に異論はないな、うん」
「・・・だな。 奴らが逃げ出す前に来れるなら、の話だが」
「勝手にしてくれ」
陰獣の4人は、ヴォルトの情報から、仲間の合流を待つことにしたようだ。
直ぐに、蚯蚓が電話で仲間と連絡をとり、待つ間にヴォルトとイワレンコフが、旅団メンバーの能力などの
情報を話していく。
幸い、旅団は第一陣のマフィアが全滅したにも関わらず、逃げてはいない。
まだ暴れ足りないのか、新手が来るまで少し待つつもりのようだ。
少し、中途半端な時間ですが、今日はこれで終了とします。
次回は明後日の夜の予定です。
ssを再開します。
今日は文章がメインで安価は、ほぼ無いと思います。
「十、二十、三・・・、ヒヒヒッ、死体は全部で百体近くあんなぁ。雑魚の死体ばかりなのが玉に瑕だが」
双眼鏡で旅団の方を伺いながら、黒い貫頭衣を身につけている、長身の男が笑う。
体つきはスマートだが、それは意図的に無駄な肉を削った結果だろう。
ついさっき、集まってきた陰獣のメンバーだ。
最後に到着したのは彼であり、この場には既に陰獣の10人が揃っている。
「なあ、病犬。あそこに転がってる奴ら、全てあの筋肉ダルマがやったってことで間違いないんだな」
「ああ。割と初めの方から見物してたぜ。ロケットランチャーを素手で弾くレベルの念能力者だ」
「へぇー。あいつはオレにくれ。 お前らも文句ねぇだろ? 今の状況ならよ」
沈黙。それは、全ての陰獣メンバーの了承の意を表していた。
「じゃあ、そろそろ行くか。 全員打ち合わせ通りにな」
梟と呼ばれている、陰獣の一人が作戦開始を告げる。
それを合図に10人は旅団から遠く離れた岩陰から出ると、各方向へ散っていった。
「よォ、元気に暴れてくれたもんだなあ」
最初に陰獣と接触したのは、先程まで追手のマフィアを蹴散らしていた男。
旅団の仲間から、ウヴォーギンと呼ばれていた偉丈夫だった。
「へっ、やっと陰獣のお出ましってわけかい。 でも、がっかりだぜ。 折角、準備運動もしたのに本番の相手が一人だけってのはよ」
目の前の男は、かなり鍛えられた戦闘のプロであることは、ウヴォーギンは既に察していた。
しかし、根本的な身体能力。纏うオーラの量。
全てが自分よりも劣ると判断せざるを得ない相手に、まだ見ぬ強敵との戦いを期待していたウヴォーギンは、些か落胆していた。
「ヒヒ、言うねえ。 でも準備運動か。 じゃあ、オレにも、ちっとばかし準備をさせてくれよ」
「別にいいぜ。 少しでも、オレを楽しませてくれるってんならな」
(・・・やっぱりコイツは単純な脳筋野郎。扱いやすくていいねェ。でも、迂闊だぜ。オレに"準備"をさせるなんてなァ)
心の中で、ウヴォーギンを嘲笑うと男は口を大きく開ける。
すると、男の近くにあったマフィアの死体から靄の様にエネルギーが立ち上る。
それは、一体の死体だけではなく。徐々に男の近くから、遠くの死体へと同様の現象が伝播していく。
エネルギーが抜けた死体は、一瞬の内に干からび、風化して砂漠の砂に溶けてゆく。
百体近くの死体から、抜け出した靄状のエネルギーは男の口の中へと吸い込まれていった。
「へぇ、これはこれは」
思わず、ウヴォーギンは口に出し感嘆した。
口の中に吸い込まれていく靄に比例するように、陰獣の男のオーラが膨れ上がっていく。
そして、ついにそのオーラは、ウヴォーギンを凌駕するまでになる。
「ヒヒッ、オレの名は憎蠅(ニクバエ)。 オマエに殺されたマフィアどもの怨念と、苦痛に濁った血肉がオレに力を与えるってわけよ。
オレが言うのも変な台詞だけどよ。 自分の殺した者たちの恨み、噛み締めて死になァ 」
「へぇ、あそこまで増幅させられんのか」
髪を髷にしている、刀を持った男。ノブナガは、憎蠅と名乗った男の変容を見て驚く。
陰獣という、マフィアンコミュニティーの最大戦力。
その実力の程は詳しく知らなかったが、この分だと多少は期待してもいいのだろうか。
「こっちにも、お客さんが到着したみたいよ」
フェイタンの声とほぼ同時に、旅団の周囲の岩陰から数人の陰獣が襲いかかる。
とは言っても陰獣の攻撃は、まだ本気のものではない。
相手を殺すことよりカウンターを喰らわないことを優先し、わざとガードしやすい様に動いている。
(まずは、こちらの戦力を分散させるつもりか)
金髪の大きな瞳をした青年、シャルナークは陰獣側の策略を理解しつつも、それに乗ることにする。
仲間と敵が密集した場所では、暴れづらいのは旅団側も同じ。
両者の思惑が一致した結果、場は大きく、六つの戦場に分けられた。
「ぐしゅしゅ、アンタたちの相手はオレ達だ。正直女を殺すのはあまり好きでは無いんだがね。
だが、ま、どうせやるからには盗人に相応しい惨めな最期を与えてやろう」
「なんか、蛭が言うと白々しく聞こえるんだな、うん」
陰獣の蛭と豪猪。
彼らの前には、幻影旅団の女性メンバー、シズクとマチが立っていた。
「グダグダ言ってないで、さっさとかかって来なよ。 アンタらの声を聞いていると気分が悪くなってくる」
(怒らせて、冷静さを失わせようとしているのがバレバレなんだな、うん)
ヴォルトという同業の女からの事前情報によれば、今喋ったマチという女は、オーラを糸状に変化させる能力者。
糸を引っ掛けるところも無いこの砂漠では、能力は大幅に制限されるはずだ。
シズクと言う女は、掃除機を具現化させる能力者らしい。
掃除機の能力は、まだ掴めていないが攻撃の際は普通に掃除機を用いて殴っていたと聞いた。
だとすれば、豪猪の体毛で十分に防御可能。 しかも、この女は深手では無いようだが、傷も負っている。
一人は能力を満足に使えず、もう一人は手負い。
二人は勝利を確信し唇を歪めた。
30分ほど休憩します。
ssを再開します。
空中に、火花が生じ、すぐに消えていく。
フェイタンが空中に向かい仕込み刀を振るうと、甲高い金属の衝突音が鳴り響き幾筋もの火花が走る。
フェイタンと向かい合っているのは黒い毛皮のコートを羽織り、革のジーンズを履いている一人の男。
彼もまた陰獣だった。
彼が何も持たない腕を振るうたび、フェイタンが動き、見えない何かを弾いていく。
「流石ですね。 私の能力は凝を使ったとしても、僅かしか見えないはずですが・・・。仮に音や、直勘だけで全て捌いているのだとしたら
驚異的な戦闘センスと言わざるを得ません」
「既に種は割れてるよ。仲間に同じような能力を使う奴がいるからね。オーラを薄く金属鞭に纏わせて、周りの景色に応じて
色を変えることで迷彩として機能させている。 でも、そろそろ慣れてきたよ」
フェイタンは、この男の能力の弱点を既に掴んでいた。
鞭の速度が一定以上になると、速度に変化がついて行かず不自然に鞭のある空間が歪む。
それにさえ注意していれば、鞭の軌道、通るタイミングもかなり正確に予測することが出来る。
「困りましたねぇ。 ああ、そういえば、まだ自己紹介していませんでしたっけ。 殺り合う仲にも礼儀あり、が私のモットーでして。
私の名は、不見蛸(ミズダコ)。 陰獣の一員です。 短いお付き合いになるかと思いますが、どうぞよろしく」
「・・・」
フェイタンは自己紹介を無視し、更に正確に鞭の軌道を見極めようとする。
今まで防戦一方だった、フェイタンも徐々に余裕を持ち攻撃を裁くようになり、攻撃の間合いが、少しずつ不見蛸に近づいていく。
「・・・仕方ありませんね。 もう少し遊びたかったのですが・・・。 膿亀(ウミガメ)さん、お願いします」
「ぐっ!?」
瞬間、フェイタンの右手に激痛が走る。なんとか、刀を取り落とすのは耐えたが、痛みで体が硬直したことで、右肩を
不見蛸の鞭で切り裂かれてしまう。
「ふぉふぉ、結構効くじゃろ、不意の痛みってやつは。 痛みは確かに訓練すれば、ある程度耐えることは不可能ではない。
じゃがそれは、あくまで事前に心構えができている場合のみ。 不意打ちにはどうしても本能の部分が反応してしまうものじゃ」
不見蛸の近くの岩陰から、自分の右手の甲に釘を刺している、矮躯の老人が現れた。
その釘は、老人の手を貫通しているのにも関わらず、その部分からは一切の血が出ていない。
「悲しいのぉ、その鍛え上げた肉体、そして技量。 全て痛みの前では薄紙の如く脆い。お前さんもよく知っておろう?」
ワシと、同じ匂いがするからのぉ。
「よっとっと!」
シャルナークは、上空から打ち出された念弾を軽快な動きでかわしていく。
念弾を撃ち出したのは、夜空を飛び回る一人の男。
その姿はまさに人間離れしている。異常発達し盛り上がった両肩の間にある、見開かれた目に、起伏のない鼻を持つ小さな顔。
その両腕は、人成らざる皮膜がついた翼となっており、人間ならば心臓に当たる場所には、大きな穴があいている。
その外見をそのまま表す、蝙蝠(コウモリ)の名を持つ陰獣の一人であった。
シャルナークの知識の中には、多少体の形を変えることができる念能力者には何人も心当たりがあるが
このような、まさに人外としか言いようが無い姿になる能力者は一人も知らない。
魔獣の中にも、今戦っている彼と似た姿の種族はいなかったように思う。
だが、今は知的好奇心に従っている場合ではない。
彼の体のどこかにアンテナを突き刺して、操作すればそれで勝負が決まるのだ。
遠距離からの念弾では自分は仕留められない。
そろそろ、痺れを切らして接近戦を仕掛けてきても・・・来た!
蝙蝠が、空中で急に方向を変えるとシャルナークに念を纏った翼を叩きつけようとしてくる。
だがシャルナークは、後ろには下がらずに、あえて蝙蝠の方へ踏み込んだ。
研ぎ澄まされた刃のように、洗練されたオーラを纏う翼のすぐ下を、潜り抜け蝙蝠の腹部にアンテナを突き刺す。
手と蝙蝠の肉体が勢いよく擦れ、熱さを感じた。
シャルナークは、勝利を確信し携帯電話を見る。
しかし、そこには誰にもアンテナが刺さっていないことを示している画面があるだけだった。
蝙蝠は、アンテナを意にも介さず、また念弾を放ってくる・・・。
23:35くらいまで休憩します。
ssを再開します。
ノブナガの服を、剣が軽く掠る。
たったそれだけで、触れた部分からは赤い火が上がり、着物を黒く焦がしていく。
「ちぃっ、ちょこまかと動き回りやがって!」
白い服を着た体格の良い男が、ロングソードを両手に持ちノブナガに幾度となく斬撃を放っている。
その剣は、溶鉱炉の中で溶けた金属の様に、赤を通り越し白色を呈している。。
鉄よりもはるかに融点の高い特殊合金で出来た剣。
念の炎で熱されたそれを、ノブナガの持つ鉄製の刀で受ければ、たちまちの内に焼き切られてしまうだろう。
だが白熱する剣を持つ男は、ノブナガの服に攻撃を掠らせることには何度か成功しているが、その体までは一度も届いていない。
なぜなら・・・。
「!? ふっ」
ノブナガの放った居合抜きを間一髪で交わした男は、また攻撃を続行するが、常に一定の距離を置いている。
ノブナガが時折放つ高速の居合抜き。
不用意に距離を詰めすぎれば、一瞬で両断されてしまうことを予感させる一撃。
これが、男の踏み込みを躊躇わせ、双方を確実に相手の攻撃を躱せる間合いに押しとどめ続けていた。
「くっそがぁ! この陰獣、火熊(ヒグマ)にちょこまかした闘いをさせやがって。 小汚い盗人らしく、突っ込んできたらどうだ!?」
勿論、ノブナガはこの挑発に乗らない。
移動しながら剣を振るよりは、万全の体勢で構えておいた方が、より早く、より精密な攻撃が出来ることは明白。
だとすれば、先に下手に動いて相手の必殺圏内に入ったものが負ける。
剣の達人のみがわかる境地、二人は神経を研ぎ澄ませ、互いの心を探り合っていた。
零時を回りましたので今日はここまでとします。
次回の更新は、今週の金曜日の予定です。
ただ、それまでにも、安価を含まない文章のみの更新はあるかもしれません。
文章だけですが、少し更新します。
二人の男が、十五メートル程の距離をおいて向かい合っている。
「威勢良く、襲ってきた割には大人しいな。 来ないのか?」
声を上げたのは旅団の一員。オークション会場でヴォルト達に念弾を放ったフランクリンという大男だった。
「アンタみたいな上玉と闘るのは久しぶりなんでな。 緊張感を楽しませろよ。 どうせオレが本気を出せば直ぐに勝負が
ついちまうからな」
彼と向かい会うのは、陰獣の病犬。 フランクリンから発せられる、凄まじいオーラを意にも介さず、不敵な笑みを浮かべている。
「はは、じゃあ、こっちから行かせてもらうぜ」
フランクリンの両手の指先が外れる。 念能力は覚悟と制約により、その威力が倍増するが彼の場合は自らの指先を切り落とすことで
鉄板をも軽く貫く威力の念弾を放つことを可能にしていた。
病犬も、前傾姿勢をとり足にオーラを集めていく。
(オレの念弾をかわしながら、直接攻撃を加えるつもりか? いや、単純にオレの能力を知らねえだけってのも考えられるが)
まあ、どちらでもいい。
自分の念弾の雨を真正面から、全て躱したものはいない。
奴が、無謀な自信家だろうが、単なるバカだろうが穴だらけになるだけ。
とはいえ、念能力によっては、完全に念弾を防ぐという可能性もある。
フランクリンは、不測の事態が起きた時すぐに逃げられる様に身構えつつ、指にオーラを集める。
そして、念弾が発射される直前。
病犬が、とん、と足踏みをした。
ほぼ同時に、地面から伸びてきた手がフランクリンの足を地中に引きずり込む。
流石に予想していなかった事態に、体勢は大きく崩され、両手の指の照準を外してしまった。
咄嗟に地面に向かい念弾を撃つが、地中に潜む何者かは足を引きずり込んだ直後に離れてしまったらしく、砂だけが虚しく舞い上がる。
すぐに病犬の方を見るが、既に先程の場所にはいない。
フランクリンは右足の太腿に、焼け付くような痛みを感じた。
豪猪の毛が、バネの様に弛みシズクの掃除機の一撃を弾き返す。
マチとシズクの二人は、豪猪の硬柔自在の体毛による防御に苦戦していた。
シズクの攻撃は柔らかい毛により勢いを殺され、マチが鋭い棒手裏剣を投げつけても、体毛を鋼の様に固くすることで防がれる。
そして・・・。
「ちぃっ」
マチが、猛スピードで飛んできた数匹のヒルから身を躱す。
体内に無数のヒルを住み着かせているという陰獣、蛭。
彼が、豪猪による防御の間を縫い、口の中からヒルを飛ばしてくる。
ヒルの中には、神経毒や出血毒を持つもの。危険な病原菌のキャリアとなっているものも多く存在し、たかが小さい虫と
侮ることはできない。
「ぐしゅしゅ。 そろそろ、疲れてきたんじゃないのか? 君達には、オレが品種改良した最高傑作。 獲物の体内に入り
生きたまま貪り食うヒルをプレゼントしてやろう」
「はっ、願い下げだねっと」
また、マチが蛭に向かい棒手裏剣を飛ばす。
「いい加減学習するんだな。何度やっても無駄だって、うんうん」
豪猪が、蛭の前に出ると、体毛を硬化させ棒手裏剣を弾き飛ばす。
「もう、飽きたしそろそろ終わりにするな、うん」
「八割殺しくらいで止めといてくれよ。試したいヒルが沢山いるんだ」
豪猪が、全身の体毛を鋭い針の様に硬化させ、マチに向かい突進する。
防御、反撃不能の突進。残るは回避だけだが、マチの後ろにはシズクもいる。
その場は、躱すことが出来ても、手負いのシズクでは豪猪の追尾から逃げ切ることはできないだろう。
豪猪は、勝利を確信し・・・、自分の左足が消えていることに気がついた。
「い、痛、いだィぃぃぃ」
思わず、普段の口調を忘れ声を上げてしまう。
「アンタさっき、学習しろって言ってたよね。 ちゃんとしてたさ、アンタの毛の間合いをね」
そう言う、マチの両手の人差し指の間には一本の細い糸が伸びていた。
物体に加えられる圧力は、力×表面積で決まる。
極細の糸にマチが力を込めれば、それは鋭い刃物にも匹敵する切れ味となり人体など容易に切断できる。
唯一の懸念は、豪猪の毛の間合いだけだった。 糸自体は豪猪の毛の間をすり抜けることが出来るが自分の手はそうはいかない。
マチは何度も豪猪に攻撃を加え毛の針の長さを見極めた後、その間合いの外から豪猪の足に、両手の間に伸びる糸をかけ断ち切ったのだ。
「懐かしいね。あやとりは久しぶりだよ」
「ひぃっ!」
マチが動いたかと思うと、続いて豪猪の首が落ちた。
それを見た、蛭はマチの後ろに立っていたシズクの方へと襲いかかる。
豪猪が破られた今、ニ対一では勝ち目がない。
ならば、シズクを人質に取りこの場を切り抜けようという判断だったが、それはシズクを甘く見すぎていたと言わざるを得ない。
細身の大人しそうな女性であっても幻影旅団の一員。
なんの策も持たずに、突っ立っているだけなど有り得ない。
「いくよ、デメちゃん、私の半径二メートル以内にあるマチの念糸を吸い取れ」
シズクの掃除機、デメちゃんが唸ると同時に蛭の腹部が強烈に締め付けられた。
「注意不足。 心に余裕のない人は単純な罠にも引っ掛かるものですね」
「ぐ、うぉぉ」
蛭が腹部を見ると、先程までは見えなかった念糸が巻き付いている。その糸の両端はマチの親指とシズクの掃除機に伸びていた。
マチが途中で輪状にした念糸を絶状態にし、一方の端をシズクの近くに配置しておいただけの単純なトラップだが、マチの剛力とシズクの掃除機の
吸引力が合わさった威力は凶悪の一言に尽きる。
「き、切れない。がぁ、く、苦し・・・がはァ」
蛭の上半身が砂に崩れ落ち、続いて下半身が倒れた。
ここまでで、今日は終了とします。
再開は予定通り明日です。
ssを再開します。
「そろそろ、決着つけようかい」
ノブナガは腰を落とし、居合の構えを取る。
ところどころ服は焼け焦げているが、未だ目立った傷は無い。
「先に言っておく。オレの間合いに入れば・・・斬るぜ」
「斬る、ねえ」
火熊も白熱したロングソードを構えるが、同時にノブナガの意図について思考する。
自分の剣ならば、相手の鉄製の刀などバターの様に断ち切ることが出来る。
もし、相手が馬鹿正直に居合抜きを放ってくるなら、その軌道上に剣を置いておくだけで、刀を破壊することが出来るはずだ。
しかしながら、敵もそこまで馬鹿ではあるまい。
自分がそのように考えているところに、突きで不意をつく作戦という可能性もある。
ノブナガは依然として、身じろぎせず居合の構えのまま動かない。
火熊の額に、汗が一筋流れた。
(まあ、どちらだろうといい。アレを使うか)
火熊は、服の隠しポケットを探ると細身の剣を取り出す。
「ノブナガ、とか呼ばれてたな。 わざわざ心理戦までかけてご苦労なことだが、オレには通用しねえ」
火熊が能力を発動すると、細身の剣もロングソードと同様に白熱してゆく。
相手の取りうる行動が二通りなら、どちらにも対応できる様にすればいい。
これが、彼の出した結論だった。
「行くぜ」
ロングソードを体を庇う様に、右側に立てる様にする。
火熊の周りの景色が、高速で過ぎ去り、ついにノブナガの間合いへと入った。
(動かねえ? もしかして、間合いに入れば攻撃すると言ったのもフェイク。 オレの攻撃をすかして、隙を狙うつもりか?)
火熊は、ノブナガの後退に対応する為に足を動かそうとするがなぜか動かない。
急に視点が下がり、上半身が地面にぶつかった。
何が起こったのかすら、理解できない火熊の前に刀身半ばで断ち切られたロングソードが転がった。
「・・・なぁんで」
なぜか呂律が回らなくなった舌で、問う。
それにノブナガが応えた。
「オマエは剣に刀を当てれば、簡単に壊すことができるって考えてたみたいだけどよ。 そんなもん、溶かされる前に切っちまえばいい
話だ。 最初っから、切ろうと思えばいつでも切れた」
「だったら・・・どうして」
初めからそうしなかったんだ、と聞こうとして途中で途切れる。 だが、ノブナガは火熊が言おうとした言葉の続きを理解し続ける。
「普通の居合じゃあ、流石に刃が痛むだろうからな。 だがオレの本気の居合は
事前に相手に斬る条件を告知したりと手間が多くて、警戒されやすい。 だから、オマエがオレの間合いに飛び込んできやすい様に
オマエの剣と打ち合うのを避けてる振りをしただけだ、ってもう死んじまったか」
腹部を真っ二つに断ち切られた火熊は、言葉の途中で息絶えたようで、血だまりだけが広がり続けていた。
「オマエなかなか剣筋はよかったぜ。くだらねえ小細工に頼ってなかったら、もっと楽しく闘えたのにな」
30分ほど休憩します。
ssを再開します。
膿亀が、左足の太腿に釘を突き刺す。
一瞬フェイタンの体勢が崩れるも、致命的な隙では無い。
右手、左足に絶え間ない激痛を感じつつも、フェイタンは未だに不見蛸の攻撃を捌き続けていた。
「くっ、こいつ。膿亀さん! こんなものじゃ足りませんよ。 更なる痛みを与えてください」
(・・・若造が、簡単に言いおって)
膿亀は自分の体に具現化した釘を刺し、その痛みを敵に肩代わりさせることが出来る。
神経を直接掻き毟られるような激痛に大抵のものは、まともな思考力を失い、一方的に嬲り殺されるだけだ。。
そのアドバンテージは、精神を極限まで集中させなければ対処不可能な能力を持つ不見蛸と組むことで更に大きいものとなっていた。
だが、強力な念能力には相応の代償が必要。
具現化した釘には、常に五分の一の割合で外れとなる場合がある。
それを刺してしまうと、外れの釘を刺した部位に加え、相手に今まで与えた痛みが二倍となり自分に跳ね返ってくるのだ。
下手に重要部位に刺し、自分に痛みが跳ね返るとショック死の危険もあるため、膿亀も比較的ショックの少ない四肢に刺すことが
精一杯であった。
「これで、どうじゃ」
次は、左腕の甲。
・・・当たりだ。しかし、フェイタンの動きは止められない。
流石に動きに精細を欠きだして、不見蛸の攻撃も所々に当たり出しているが、二人に叩きつける濃密な殺気は更に強さを
増したように思われた。
「痛ぁっ。ぐっ、しねぇ」
ついに、フェイタンの攻撃が不見蛸に届いた。 不見蛸は咄嗟に、左腕で急所をかばったが左指を二本飛ばされてしまったようだ。
不見蛸は、縦横無尽に鞭を振り回しフェイタンを切り刻もうとするが、既に冷静さを失っている。
次にフェイタンが攻撃を仕掛ければ対処できないだろう。 膿亀はこの夜、始めて命を賭ける覚悟を決めた。
(これが決まって生き残ったものはいない、例外なく2分以内にショック死。 裏を返せば失敗すればワシも確実に死ぬがな・・・)
膿亀が心臓に釘を突き立てた。
膿亀は思わず目を瞑るが、心臓に痛みは襲ってこない。
自身の状況を理解すると、口元を歪めフェイタンへと視線を戻す。
見ると先程までは痛みに耐え、自分達を殺そうと動き回っていた男が、胸を押さえ地面に両膝をついていた。
「かはっ、ひゅ。 ごほっ」
通常でも、心臓に痛みを感じる時はあるが、それは心臓に通っている血管の痛みを錯覚しているだけだという。
だが、それだけでも呼吸は困難になり、頭の中で鳴り響くような動悸に行動など到底できるものではない。
ならば、本来痛覚の無い心臓に無理矢理『痛み』を打ち込まれた苦痛はどれほどのものか。
世界最悪と恐れられる幻影旅団のメンバーであっても、耐えられるというのは希望的観測が過ぎるだろう。
動きを封じられたフェイタンを見て、ほくそ笑んだのは膿亀だけでだ無い。
不見蛸もまた歪んだ笑みを浮かべながら能力を解除し、その悍ましい鞭が姿を表した。
極細かつ柔軟なワイヤーを束ねたその鞭は、至る所に返しのついたスパイクが突き出ている。
相手を一撃で死に至らしめるというよりは、少しずつ肉を削ぎ落としながら苦痛を与えることに特化した鞭。
不見蛸の残虐性が如実に表現されていた。
「くくく、さあてチェックメイトですよぉ。 どこから行きましょうかねえ、とりあえず最初は」
鞭が唸り、空気を切り裂く。
「右腕、左足ぃ。腹ァ。 ふふ、ショック死までの残り時間は多くないそうですが、できる限りのおもてなしをさせてもらいますよ」
「・・・」
「あん? なにか言いました?」
「ちょっと、はぁ、負けた気分になるよ。ワタシに、ここまでの・・・痛みをっ、与えてくれた奴を楽に死なせるなんてね」
「何を言って・・・」
「すぐに教えるよ。ワタシの痛みを・・・灼熱に変えて」
"許されざる者(ペインパッカー)"
フェイタンが、全身を覆う服を具現化し身にまとう。
"太陽に灼かれて(ライジング・サン)"
フェイタンから放たれた、直径二メートル程の特大の念弾は不見蛸と膿亀の上空で小型の太陽へと変化する。
「な・・・」
二人は断末魔を上げる時間さえも与えられず、消し炭となってしまった。
かつてない大きさの太陽は、この場のみならず、離れた場所で戦っている者たちにも熱を伝える。
「この能力は、もう少し考えるべきだったかもね。 結局、頭にきた奴程、痛みなく殺してしまうよ」
灼熱が支配する太陽のすぐ近く。 フェイタンが誰に聞かれるともなく呟いた。
今日はここまでとします。
再開は明日の夜の予定です。
また、順調に行けば、次回で陰獣 対 旅団は完結すると思います。
本文に書き忘れましたが、膿亀の能力は膿亀が死ね、または膿亀から百メートル以上距離をとれば無力化されます。
>>471 訂正
膿亀が死ね→膿亀が死ぬ、です。
フェイタンの能力が、観察されるのは予定していましたが
ノブナガについては、センリツのことを忘れていました。
そこで、センリツがノブナガの言葉に集中して、聞き取っていたかのコンマ判定を行います。
【聞き取り】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
ヴォルトの運 4
『補正項目』
なし
目標値 4
>>↓1 コンマ一桁
【聞き取り】
目標値 4
出目 7 失敗
そういえば念糸って吸い込めたんか?(無知)
ssを再開します。
>>483さん
少し、情報不足でした。
そういえば念糸の場合、変化させているだけのオーラなので不可能でしたね。
念糸の先に、石ころか何かを結びつけておいて、それを吸い込んだ、ということに変更致します。
(・・・オレの能力が効かない、か。可能性として一番考えられるのは、相手が自分の体を操作している、ということかな)
操作系の能力は上書きができない。能力者の、優劣に関わらず同じ物を操作しようとすれば、先に能力を発動している方に
優先権がある。
人間を対象としている操作系能力者の中には、他人に操作されるのを防ぐため、自分自身を操作する能力をもつ者も多い。
他でもないシャルナーク自身もそうだが、あの陰獣の男も同様なのだろう。
(自分の肉体を操作して、形状を変化させる能力者、か)
そうと分かれば、幾らでもやりようはある。
先程アンテナを刺すため近接戦に持ち込んだ時に感じたが、肉体の強度、反応の素早さは大したことは無い。
だとすれば、アンテナに頼らずとも普通の戦闘で十分。 もう一つの切り札を切る必要もない、か。
そうと決まれば・・・。
「ぐうっ!」
シャルナークの脇腹に念弾が命中した。
しかし、これはシャルナーク自身が狙ったものだ。 多少痛みはあるが、オーラを集中させガードしたこと、念弾そのものが
大した威力では無いことにより、後を引くダメージではない。
念弾が効いた振りをして体勢を崩すと、その隙をつこうと、また蝙蝠が翼で攻撃を仕掛けてきた。
だが、崩れた振りをしているだけで、体の重心は安定している。
瞬時に体勢を立て直すと、既に滑空に入った蝙蝠へと体を向ける。
シャルナークの拳が蝙蝠の顔面に突き刺さった。
20分ほど休憩します。
ssを再開します。
(もうそろそろ、意識を失う頃か)
蝙蝠は、シャルナークを落とした後の手順の為に、地面に"ある物"を置いた。
「もう出て・・・」
言葉の途中で蝙蝠は固まってしまう。
蝙蝠の視線の先にはシャルナーク。
彼は突如として、髪の毛を逆立たせ膨大なオーラを纏う。
全身の筋肉が、緊張したかと思うと、一瞬で蝋の拘束が弾けとんだ。
「な、なんだその力はぁ!」
蝙蝠が、両義手の形状を鋭い剣に変化させシャルナークに向けて振りぬく。
しかし一瞬の後、剣は手刀で呆気なく叩き壊される。
「た、助けてくっ・・・ごふっ」
己の両手を切り落としてまで強さを求めた男、蝙蝠。
彼の心臓は、シャルナークの手により貫かれ呆気なく生命を落とした。
ターゲットの死亡を確認したシャルナークの髪とオーラが元に戻り、地面に腰をつく。
「いてて、やっぱ結構くるなこの能力は」
他の、団員達はどうなっただろうか。
そう思い、辺りを見渡そうとすると後ろから、車のエンジン音が鳴り響く。
「えっ」
シャルナークの目の前には、大きな風呂敷が広がっていた。
・・・陰獣側は、敵が幻影旅団だという情報を得た時点で、今この砂漠にいるメンバーで全員では無いことを理解している。
その為、団員の誰かを生け捕りして情報を得ようと画策。最も生け捕りに向く能力を持つ蝙蝠と梟にその役目が任された。
梟の能力、【不思議で便利な大風呂敷(ファンファンクロス)】は、梟自身も中に入り小型化することが可能。
その代わり、自分では行動できなくなるため、車ごと中に入った梟は蝙蝠に運ばれタイミングを伺っていたのだ。
「無駄死にじゃなくて、よかったじゃねぇか蝙蝠。 後のことは、オレに任せな」
シャルナークと梟を乗せた車は、ヨークシンシティへと向かい走っていった。
頻繁になってしまいますが、一区切り付きましたので
30分ほど休憩します。
ssを再開します。
「ふう、ようやく効いたか。 本来これは即効性なんだがな」
「毒か・・・」
フランクリンの体に痺れが走る。
なんとか動かせるのは首だけで、他の部位には全く力が入らない。
蚯蚓が、地面から上半身だけ出しフランクリンに話しかける。
「いい機会だし、一つ聞いておこう。 オマエの仲間は、ここに居る奴で全員じゃないだろ?
他には何人この街に来ているか、そいつらの能力は何か。答えろ」
「へっ、誰が」
まだ言い切らない内に、病犬の拳がフランクリンの顔面を直撃した。
口の中を切ったようで、フランクリンの口から血が垂れる。
だが、病犬も顔を顰めて手を振っていた。
「痛てて、なんつう硬さだ。 なれないパンチなんてするもんじゃねえな。 よし、次から質問に一つ答えない度に、指を一本切り落とす。
根元からな。 まず、最初の質問だ。お前の仲間は何人この街に来ている?」
「・・・」
「あん、もう少し大きな声で言えよ? 口まで毒が回っちまったか?」
病犬が、フランクリンの口に顔を近づけた。
「おい、あまり顔を近づけすぎるなよ。 噛み付く気かもしれん」
「わかってるよ。 で、なんて言ってんだオマエ」
「悪いな、世話かけちまって」
「は? それは「気にすんなよ」!?」
病犬は咄嗟に振り向こうとするが、その時には既にノブナガは刀を振りきっていた。
病犬の首が地面に落ちる。
続いてノブナガは蚯蚓も切ろうと刀を構え直すが、半身を地面に埋めたままだった蚯蚓は、ノブナガの姿を認めた瞬間、地中に消えており
既にいない。
ノブナガは円を発動させ、地中を探るも蚯蚓は感知されなかった。
(逃げたか・・・、まあフランクリンは動けない様子だし、深追いは辞めておいたほうが良いな)
「多分、他のヤツらも終わる頃だろ。 毒は、シズクに吸い取ってもらいな」
ノブナガは、円を発動したままフランクリンの近くにたち、仲間が来るのを待つことにした。
(マジかよ。オレは百人近くの死体からエネルギーを吸収したんだぞ? なのに・・・)
「オラァァ、チンタラしてると、首が飛んじまうぜ」
「ぐっ」
憎蠅とウヴォーギンの対決は、明らかにウヴォーギンが優勢だった。
オーラの量では憎蠅が勝っている。
憎蠅の能力は、ある人物に殺された死体に残留する生命エネルギーを吸い取ることで
その人物との闘いの際、吸い取ったオーラを自分の物として使うことができるというものだ。
しかも、発動中は強化系統が百パーセント扱えるようになる。
能力発動中その人物以外の相手に触れると、絶状態になるという制限があるがタイマンでは最強の能力と自負している。
だが、憎蠅とウヴォーギンでは地力が違いすぎた。
念の量で優っていても、肉体能力、戦闘技術、念の技術。
それらの差が、ウヴォーギンと憎蠅との間に決定的な差を生み出す。
とはいえ、憎蠅とて一方的にやられるままというわけではない。
事実、ウヴォーギンの体は至る所に痛々しい傷の後がある。
手刀で切り裂かれ、肉を抉られ、衝撃に内蔵をかき乱され、しかしウヴォーギンの戦意は衰えない。
「かはっ」
ついに、ウヴォーギンの拳が憎蠅の腹部に、まともに命中し、勢いよく地面を転がっていく。
咄嗟に堅でガードしたものの、凄まじい衝撃が体内を駆け抜けていった。
(あー、やべぇ。内蔵が破裂したな。 肋骨もかなりイカれたか)
憎蠅の意識が薄れようとするが、皮肉にも攻撃による痛みが気絶することを防いでいる。
(逃げるか? いや、ムリだ。 この体じゃあ、すぐに追いつかれちまう。 他の陰獣も・・・ダメかもしれねぇな。幻影旅団が
ここまでの化物集団だとは思わなかったぜ)
起き上がらない憎蠅の姿を見ると、ウヴォーギンが口に溜まった血を地面に吐き出す。
「もう、お終いか? まあ、いい線行ったほうだと思うぜ。 ここまでのダメージを受けるのも久しぶりだ」
その言葉を聞き、憎蠅の全身に力が戻る。
最後の命を振り絞った力。今彼を動かしているのは怒りだった。
「ごふっ、何、言ってんだよ。 勝負はこれからが本番だぜ」
「おっ、立ったか。 ・・・でも、立ってるだけでやっとだろ? オマエみたいな、無謀な奴は好きだけどよ」
(・・・正解)
「死ねや、クソがぁぁ」
ウヴォーギンに向かい、突き進む憎蠅。
だが、現実は無慈悲だ。
憎蠅の腹に再び拳が突き刺さる。
あまりのダメージに満足に念を練ることも出来ない憎蠅は、腹に大穴を開けられてしまった。
だが、彼の目はまだ死んでいない。
むしろ、狂的な熱を帯び爛々とした光さえ湛えている。
憎蠅は腹に突き刺さったウヴォーギンの腕を掴んだ。
「いい線だぁ? テメェはここで死ぬんだよ。 マフィア舐めんな、幻影旅団ん!」
「っんだ? こいつぁ」
ウヴォーギンの、視界は僅かに歪む。
それと同時に、体から何かが抜けていくような感覚がした。
憎蠅の持つもう一つの能力。それは自身が血を流している時に、敵に触れるとその敵からも同じ量の血を抜き取ることができるという
ものだった。
自爆にしか使えない能力。正真正銘の最期の攻撃。
ウヴォーギンも、憎蠅が何かをしているということに気が付き、手を引き剥がそうとするが血で滑り上手く掴めない。
結局、憎蠅は息絶えるまで手を離すことはなかった。
しかし・・・。
「ちぃっ、結構キツかったな」
それでもウヴォーギンの息の根を止めるには至らなかった。 ウヴォーギンと憎蠅の体格差、憎蠅が能力発動前にも内蔵からかなり出血
していたことなどが作用し、憎蠅の能力発動後の出血量は、ウヴォーギンの致死量には届かなかったのだ。
「やべぇな、病院から輸血用の血を盗ってこねえと」
だが、死なないまでも大量の血を失ったのは確か。
ウヴォーギンは立っていられず地面に転がった。
今日はここまでとします。
再開は来週の火曜日、夜の予定です。
ssを再開します。
ヴォルト達は四百メートル程、離れた地点で陰獣と旅団の闘いの様子を伺っていた。
ここから、見えるのは三組。
始めにマフィアの集団を蹴散らした大男と、陰獣のメンバー憎蠅。
そこから、百メートル程離れた位置にフランクリンと、蚯蚓、病犬。
蚯蚓達と、岩山を挟んだ位置にオークション会場で見たもう一人の男と、不見蛸、膿亀。
残りは、岩山の影になってしまい様子がわからない。
始まって五分程は旅団側と陰獣側は拮抗・・・、むしろ数で勝る分陰獣側が押していたが、不見蛸と膿亀が旅団の男の放った技で死亡。
更に病犬が、既に自分の相手を片付けたのだろう。 増援にきたノブナガという男に斬られてしまった。
残るは憎蠅だけだが・・・、様子を見る限り明らかに敵の方が格上だ。
「くそっ、陰獣でも駄目なのか。 仕方ない、旅団の戦力を殆ど削れていないと思われる以上、ここで見つかったら命が無い。
撤退も視野に入れるぞ」
「そうですね。 今すぐ車回します」
実はヴォルトも、相手の戦力に内心舌を巻いていた。
ヴォルトが今まで会った念能力者の中でも、陰獣達は間違いなく指折りの実力を持っていた。
それを、多少苦戦したとはいえ、人数的不利にも関わらず勝利するとは。
少し気になりクラピカの方を見るが、特に変わった行動はとっていない。
流石に、今突っ込んだところで無駄死にするだけだと判断したのだろうか。
「「!?」」
その時、護衛団達の近くの地面が盛り上がった。 とはいえ、二回目なので先程よりは驚きも小さい。
地面の中から、蚯蚓がその姿を現した。
「蚯蚓、さん。 どうしたんだ?」
先程まで旅団と戦っていた相手が現れたことに面食らいつつも、ダルツォルネが尋ねる。
「あれ以上続けても勝ち筋はねえ。 ここは一旦引いたほうが賢明だと思ってな。
奴らの目的が競売品である以上、まだチャンスは来るだろう」
「本当か? ここまでの騒ぎになっちまったら流石に逃げると思うが・・・。
コミュニティーも、もう同じ手は喰わないだろうしな」
ダルツォルネの言葉に、蚯蚓は首を振る。
「いや、あれほどの実力を持った連中が一箇所に集まってるんだ。 何も無しで、解散ってことはねえ。
それに、例え警戒しても・・・、ちょっとメールだ。」
蚯蚓が、股間に手をやるとそこから携帯を取り出す。
先程は、肉に食い込んでいて気がつかなかったが、蚯蚓はブーメランパンツを着用していたようだ。
彼の唇が、笑みの形に歪む。
「梟が、旅団を一人確保。 あの金髪の小僧だ。 こいつを上手く使えば、旅団を誘き出せるぜ」
その言葉に、いち早く反応したのはクラピカだった。
「本当か?」
「ああ、今ヨークシンシティまで輸送中だってよ」
「輸送した後は、どうするんだ?」
「わからん。決めるのは上だからな。 だが情報を引き出してから、他の奴らを誘う餌にするってところだろう?」
「・・・そうか」
クラピカはそれだけ聞くと、また何か考え込むように黙ってしまった。
「ところで、どうしてオレたちの所へ来たんだ?」
ヴォルトもそれは気になっていた。
わざわざ情報をくれるために、私たちの所まで来る程親切な男では無いとおもうけど。
「ああ、そうだった。 オマエたちも、これから街に帰るんだろ?
オレも乗せて行ってくれ。 車の運転席はオレには窮屈すぎてな、運転は苦手なんだ。
かと言って地下を進むと時間がかかりすぎるし、走って帰るには目立ちすぎる格好だからな」
なるほど、と、それを聞いた誰もが納得した。 確かに二メートルを軽く超える大男に、普通の車を運転することは困難だろう。
「ねえ、皆アレみて!」
不意にヴェーゼが声を上げた。
一同がヴェーゼの差し示す方向に目を向けると、そこには憎蠅と戦っていた男が地面に倒れ込むのが見えた。
20分ほど休憩します。
ssを再開します。
「倒れ・・・た? 奴も、それほどのダメージを食らってたのか?」
「いや、見ていた限り行動不能になるほどの傷は負っていなかったみたいだぞ?
その証拠に直前に憎蠅の腹をぶち抜いたじゃねえか。 戦闘が終わって気が抜けただけじゃないのか?」
スクワラが希望的観測をするが、リンセンがすぐに打ち消す。
確かに憎蠅も善戦していたけど、そこまでのダメージとは思えない・・・よね。
ということは、リンセンの考えが正解?
しかし、あの百戦錬磨の男が敵が近くに潜んでいるかもしれない状態で、あんな無防備な体勢をとるかなぁ。
ヴォルトにも、男の真意は測りかねた。
「蚯蚓さん。 あなた、あの憎蠅って人のこと知ってるよね。彼が、旅団の男に何かしたってことはないの?」
とりあえず、この中では一番情報を持っていそうな蚯蚓に尋ねてみる。
「オレが知っている憎蠅の能力は、死体からエネルギーを吸い取ることによるパワーアップだけだ。
とは言え、それが全てかは分からねえ。 陰獣のメンバーはあくまでも、十の組織から集まった者だからな。
連携の為に、ある程度は能力を明かしあっているが、いつか敵になるかもしれねぇ相手に手の内全てを晒す奴はいないと思うぜ」
「そう、だよねぇ。 どうしますか? リーダー」
そう言って、ヴォルトがダルツォルネを見ると、彼も悩んでいる顔をしていた。
旅団の実力を見て一度は萎えた名声欲が、あの男が倒れたことで再び蘇ってきたのだろう。
「リーダー、私に考えがある。 やらせてくれ」
クラピカが名乗りを上げた。
すいません。
うっかり、トリを忘れました。
23:20まで会議時間とします。
意見とは、質問や、賛成、反対の意思表明など、どのようなことでも可です。
但し、賛成または反対の場合は、その理由、条件などを併記してください。
ちなみにクラピカは、自分の能力を鎖を伸ばし、敵を縛る能力、としか説明していません。
制約などは秘密のままです。
22:20になりました。
ヴォルトはどうする?
直下です。
「まあ、私も賛成ではあるかなぁ。 目の前に、捕まえられそうな旅団がいるわけだし、マフィアの組に雇われてる身としては
捕縛に挑むべきじゃないかな。 他の旅団メンバーの横槍とかは、車に乗った人が常に凝をして警戒すれば、いくらかは防げるだろうし」
「だけど、横槍がなくたって本当にクラピカに捕縛できるのかしら? クラピカ、あなた裏ハンター試験通って何年になるの?」
「まだ、一年も立っていない」
「ふぅん。 いくらなんでも一年間であれほどの敵を相手取れる程、念は甘くないわ。多分、鎖を操る操作系ってところでしょうけど
念を習得したばかりで自分の実力を把握できていないんじゃない? その能力で、それなりの実力者を捕まえたことがあるってんなら
話は別だけど」
「・・・使うのは初めてだ」
「なっ、本当かクラピカ。 それでは話にならんぞ!」
賛成派だったリーダーも、不安がぶり返してきたみたいね。
流れは、反対派に傾いているようだ。
クラピカから、何かを逡巡しているような気配を感じる。
恐らく、自分の手の内を明かそうか迷っているのだろう。
ここは、どうするのが良いだろうか。
ヴォルトはどうする?
今日はここまでです。
次回は明後日の夜の予定です。
この安価は、次回の始まりに取りますので
それまでは会議時間とします。
ssを再開します。
ヴォルトはどうする?
>>↓1
参加する、に決定です。
上は、トリを忘れました。
23:00まで会議時間とします。
これまでに決まった設定などを纏めます。
【名前】ヴォルト
【性別】女
【年齢】25~30歳
【性格】物の分解と組み立てが好き。処女である、恋人募集中。ヘビースモーカー。
【善悪】中立
【職業】ネオンのボディーガード:新入り
【得意系統】強化系(変化系寄り)
【念能力】
『人体鍵開け師(ボディ・ピッカー)』
<強化系+変化系>
能力者が、未開の奥地に住む部族に伝わる医術を、持ち前の器用さで独自に改良した念能力。極細の長い針を人間の精孔に突き刺し、閉じたり、逆に開いたりできる。
操作系の能力ではなく、原理的には電気針療法に似ている。
ただし、どちらの効果も、十数分しか続かない。
精孔を閉じた場合は、その精孔がある部位のみ(右腕や左足など)、硬も堅もできなくなる。人体には複数の精孔があるので、戦いの中で全て閉じきるのは不可能に近い。
逆に開いた場合は、潜在オーラを100%使えるようになるが、体への負荷を抑える為のリミッターを無理やり外すので、開かれた者は、戦いが長引くほど深刻なダメージを受ける。閉じるより開く方が難しいので、開く場合は対象者の協力が不可欠。
<制約>・・・特になし
備考・・・針を刺すのは直接でも、投擲でも構わないが、投擲の場合は成功率が大幅に下
がる。狙える精孔は、両腕、両足。胴体にある3つのの精孔。四肢の精孔を閉じると、そ
の部位は硬、堅ができなくなる。胴体の精孔を閉じると、敵のオーラが三分の一ダウンす
る。
また、念能力と言うより医療の範疇だが、激痛が走るツボ、疲労を取るツボ、食欲がわく
ツボ、痛みを感じにくくするツボも知っている。
【特殊技能】
運転知識
主人公はいくつかの乗物の運転が得意です。
バイク、中型車、大型車の運転技能にボーナスが付きます。
【ステータス】
〈〈肉体〉〉 5
〈〈知力〉〉 4
〈〈精神〉〉 6
〈〈技術〉〉 9
〈〈感覚〉〉 9
〈〈練度〉〉 4
〈〈オーラ〉〉5
〈〈魅力〉〉 4
〈〈幸運〉〉 4
ルール
1、このssでは、行動の種類によっては、コンマ一桁で成功判定を行いますが、目標値を設定した上で
下方ロールを行います。
基本的には、その行動に関係するステータスを目標値としますが、相手のステータスや状況により
プラス、マイナスの補正が付きます。
コンマ一桁が0だった場合、アクシデントとして無条件で失敗。普通の失敗よりも重大な結果となります。
コンマ一桁が1だった場合、大成功となります。普通の成功よりも良い結果が得られます。
なお、目標値がマイナスの場合、自動的に失敗。10以上だった場合、自動的に成功します。
2、攻撃力や防御力など、ダメージ判定に関わる数値は、いくつかのステータスを計算式に当てはめて求めます。
全て、書く事は出来ませんが、肉弾攻撃力を例に上げてみます。
肉弾攻撃力=【肉体】+(【練度】×【オーラ】×【強化系適正】)÷3 (小数点以下四捨五入)
主人公の場合ですと、5+(4×5×100%)÷3=12 となります。
肉弾防御力も同じです。
【強化系適正】は六性図から求め、変化系の場合80%。具現化系の場合60%です。
HPなどの形で、数値化はしませんが、相手の攻撃力と、自分の防御力の差で軽傷か大怪我かなどのコンマ判定に補正がかかります。
補正がかかります。
4、今回の主人公の場合、基本の四大行に加え、応用技は硬、堅、凝、流、隠、周が使えます。
ssを再開します。
トリ付け忘れました・・・。安価↓
【???】
目標値 4
出目 2 成功
できる限り静かに、そして慎重に。
ギリギリまで敵に気づかれないよう、岩山の陰を上手く利用しながら、4人を乗せた車は男に接近していった。
そして、ついに目標地点まで百五十メートル程の距離に到達し、ヴォルトたちは岩陰から、相手が見える位置へと飛び出す。
既に肉眼でも、余裕で識別可能な距離。
見えるのは先程までと同様、地面に倒れている男。 そして傍らに立つ二人の人影だった。
「ありゃあ・・・、女が二人?」
「一人は、オークション会場で見かけた糸使いね。多分変化系。 もう一人も覚えてる。 掃除機を出す具現化系能力者だと思うよ」
操作系って線も無きにしもあらずだけど、私がアイツだったら、掃除機なんてかさばる物を持ち運ぶなんて、絶対避けたい。
「クラピカ、どうするんだ?」
バショウがクラピカに尋ねた。 私たちは結局クラピカの能力を具体的には知らない。
簡単に妨害できるような能力ならば、この状況での捕縛は避けるべきだろう。
「問題は無い。 このまま行ってくれ」
「よしきた! じゃ、隠れる必要も無くなったことだし、少し飛ばすよ」
ヴォルトが車のアクセルを踏み込むと、タイヤが砂を派手に巻き上げた。
「毒、ではないわけ?」
「ああ、こりゃ多分貧血だ。 あの陰獣に何らかの方法で血を抜かれたんだろうな」
マチとシズクはウヴォーギンが憎蠅を倒した後、倒れたことを目撃し、毒を使われたのだと思い駆けつけたが違ったようだ。
「そっか。 なら、とりあえず血をとってこなきゃね。 シズクは、フランクリンの方に行ってみて。 さっきから、ノブナガと二人で
突っ立ってるけど、もしかしたら何かあったのかも」
「そうですね、では」
シズクが踵を返し、フランクリン達の方へ向かおうとしたその時、ウヴォーギンの体に一瞬で鎖が巻き付いた。
「「!?」」
咄嗟に、マチが念糸をつけた針を投げ、ウヴォーギンの服に刺す。
ウヴォーギン引きずりこまれた、先には一台の黒い車。
車は、自分達から五十メートル程の距離を掠めるように走り、ヨークシンシティの方向へと消えていった。
ウヴォーギンが攫われ、フランクリンとノブナガは未だ動けず。フェイタンとシャルナークは姿さえ見えない。
「ちっ、嫌な流れだね・・・」
今できる行動は、直ぐにマチとシズクで車を追うか、ノブナガ、フランクリンと合流するか。
とはいえ、車の速度はかなりのもので、念糸からこの瞬間にも距離を離されていることが伝わってくる。
恐らく敵も念能力者の以上、いつまでも糸に気がつかないというのは希望的観測が過ぎるだろう。
だが、敵の戦力が不明瞭な状況で、旅団の中では正面戦闘が得意ではない、マチとシズクの二人のみで追跡するのはリスクが大きすぎる。
旅団員の生命より、幻影旅団が優先。 強力ではあるが、替えの効く能力でしかないウヴォーギンの為にシズクや他のメンバーを危険に晒す
ことは避けるべき。
そう、マチが判断した瞬間。
手に伝わる感触が糸が外されたことを伝えた。
30分ほど休憩します。
ssを再開します。
「よくやった! まさか、こうまで上手くいくとはな」
ダルツォルネが所有する不動産の一つ。
あるマンションの地下二階の一室。ウヴォーギンが拘束台の上に縛り付けられていた。
予想されていた追撃も無く、マチが付けたと思われる念糸もオークション会場で事前に見ていた為に、すぐに気が付くことが出来た。
勿論、単なる拘束では無理矢理破壊される可能性があるので、筋弛緩剤を注射しようとしたが、筋肉に阻まれ血管まで針が刺さらなかった
為、筋弛緩ガスを吸入させた。
周りにはヴォルト達、護衛団と蚯蚓がいる。
蚯蚓はノストラード組と同じ系列の組織に所属しているらしく、ウヴォーギンをマフィアンコミュニティーに引き渡すまで一緒に行動する
ことになったのだ。
蚯蚓本人は移動を手伝ってくれた礼の助っ人、と言っていたが、本音は陰獣が全滅してしまった為、何かしらの働きをしておかないと
今後の立場が悪くなると思ってのことだろう。
リーダーは手柄をノストラード組で独占したかったようだが、同系列のボス直属の蚯蚓を無下には出来ない。
結局は受け入れたようだ。
実際私たちはそっちの方が助けるけどね。
ウヴォーギンに暴れられた時は、蚯蚓はかなり力になるだろうし。
「そろそろ、ガスも行き渡った頃か・・・。おい、起きろ!」
リーダーがウヴォーギンの近くで怒鳴ると、彼は薄目を開けた。
本来なら、わざわざ起こさずに直接コミュニティーに突き出せばいいのだが、今後の自分達の動き方を決めるためにも
受け渡しの前にウヴォーギンから出来るだけ情報を引き出しておくことになっている。
「これから何をされるか、わかるな? まずは何から聞こうか。 今ヨークシンには何人仲間が来ている?」
リーダーはまず競売品の場所を聞こうとしていたが、蚯蚓に、同じ陰獣の梟が全ての競売品を運び出したことを教えられていた。
「・・・今何時だ? オレはどのくらい寝てた?」
「立場がわかってないようだ。質問は」
リーダーが刀を振り上げる。
「このオレがするんだ!」
刀はそのまま、ウヴォーギンの右太腿に突き立てられたが、刀の方が折れてしまった。
(すごい精神力。 このウヴォーギンって奴には明らかに貧血状態。 しかも、筋弛緩ガスまで使われてる上に、拷問されようとしてる状況で
ここまでのオーラを練ることができるなんて・・・)
しかしまあ、この場にいる人材を考えれば幾らでもやりようはある。
何か、口を割らせる方法を提案してみようかな。
ヴォルトはどうする?
23:30まで会議時間とします。
時間になりました。
ヴォルトはどうする?
>>↓1
本日はこれで終了します。
次回は、次の水曜日の夜となります。
ssを再開します。
一つ、補足を。
ヴォルトが、地下室の場面でウヴォーギンの名前を知っているのはセンリツが、ウヴォーギンとマチ、シズクとの会話を聞いて
名前を知ったからです。
「リーダー、ヴェーゼの能力なら簡単に吐かせられるんじゃないかな」
「そうか! 確か試験の時もスクワラを操っていたな」
話を向けられたヴェーゼはと言うと、少し嫌そうに顔を歪めている。
「あんまり、気が進まないわね・・・。 コイツ、噛まないかしら?」
その可能性はあるかも。
筋弛緩ガスが効いているみたいだけど、喋れるということは口を動かす筋力は残っているということだ。
「あー、クラピカ。 あの鎖で口を縛ることって出来ない?」
「可能だ。 顎を動かせなくすればいいんだな」
そして、クラピカの鎖がウヴォーギンの顔に巻き付き顎を固定して開けないようにする。
「よしヴェーゼ、やってくれ」
「了解」
「!」
ヴェーゼの唇が、ウヴォーギンの唇に触れる。
ヴェーゼが"180分の恋奴隷"の発動の手応えを感じると、クラピカに合図し口を解放させる。
「まずは、さっきリーダーが質問してたことから聞こうかしら。ヨークシンには今何人の仲間が来ているの?」
「オレを含めて、十三人のメンバー全員が来てます!」
ウヴォーギンの口調と態度が、ガラリと変わった。 まるで目がハートになったかのような錯覚さえ覚えるほどだ。
しかし、それ以上にここにいるメンバーを驚かせたのは旅団のメンバー全員がこのヨークシンにいるということ。
七人で陰獣をほぼ全滅させたような化物と同格が、あと六人もいるとは。
勿論、ヴォルトのみならず他の者も、可能性は考えていただろうが、想定の一つであった時と紛れもない事実ではその重さが違う。
「リーダー、ほかに聞くことはあるかしら?」
「そうだな・・・。こいつらの目的、他の団員の能力や弱点、仲間の居場所ってところか、ほかに何か提案があるものはいないか?」
リーダーが護衛団員に問いかける。
ヴォルトはどうする?
21:25まで会議時間とします。
ヴォルトはどうする?
>>↓1
「一応、幻影旅団がコミュニティー側の情報をどれだけ握っているか聞いてみるというのは?」
「こっちの情報か。確かに、内通者がいたりした場合厄介だな。 ヴェーゼ、それも聞いてくれ」
「わかりました。 ウヴォーギン、あなたたちの目的、他の団員の能力と弱点、居場所、こっちの情報をどれだけ持っているかと情報源
を教えなさい」
問いかけにウヴォーギンが答える。
「オレたちの目的は地下競売のお宝を全て頂くことです。 可能なら、コルトピっていう物体を複製できる能力者がいるんですが
そいつの能力で、マフィアどもに偽物を売りつけて二重に儲ける計画もありました」
「そんな能力者がね・・・」
蚯蚓が呟く。 今回のオークションを成功させるべく動いていた彼からすれば、ここまで舐められていたことは相当不快だろう。
「能力は・・・、マチはオーラを糸にすることができます。それで、よく傷を治療してもらってました。シズクは、具現化した掃除機で
生物以外を吸い込む能力を持ってます。ノブナガは・・・とにかく居合が凄いです。なんか全力を出すには条件があるって言ってましたが。
シャルナークはアンテナを刺したやつを操ることが出来て・・・」
それから、ウヴォーギンはメンバーの能力を次々と話していく。
しかし、それらは有益な情報であることは確かだが、表面的な情報のみで細かい制約などは知ることが出来ない。
聞けば、情報を引き出すことが出来る念能力者への対策として仲間同士でも能力は出来るだけ教えないようにしているらしい。
事実、パグノダという記憶を読む念能力者もメンバーにいるらしい。
ウヴォーギンが話す情報は、教えられたものではなく仲間が能力を行使するのを見て得た物のようで、重要な部分が抜けている。
例えば、パグノダに関しては銃を具現化しているところを見たという情報があったがその銃の用途はわからなかった。
そして、団長は他人の念能力を盗むことができるらしいが、その条件は誰も知らないらしい。
ボノレノフ、ヒソカの二人については、あまり一緒に仕事をしたことがないらしく情報も殆どない。
辛うじて、ヒソカは伸縮自在のオーラを使うということだけがわかった。
「居場所は・・・とりあえず、街の南の方にある廃ビルをアジトにしてました。 でも、多分オレが捕まったってことを警戒して
アジトを移してると思います。」
「なるほどね。 で、こっちの情報はどこまで知ってるの?」
「シャルナークが、ハンター証持ってるんで専用サイトで色々調べてました。 内通者とかは、知りません」
「ハンター証を持っているのか」
声を上げたのはクラピカだが、、ここにいる証を持つハンター殆どがことの重大さに気がついた。
ヴォルトは自分の証で、サイトにはアクセスできないが、証を持っている他のハンターに手数料を渡してサイトを利用することもあった。
そのサイトには、あらゆる情報が扱われており、内通者などいなくてもコミュニティーのことをかなり深くまで知ることが出来るだろう。
勿論、ノストラード組も。
「ああ、内通者って言えば、オレは金庫から品物が移されていたことでオレ達の中に内通者がいると思ったんですが、団長は
警備が中途半端だったってことから、具体的ではないがマフィアンコミュニティーの上層部に情報を提供した奴がいて、上層部も
そいつの予言を信じていることだろうって言ってましたよ」
「なっ!?」
リーダーが声を上げる。
間違いなくそれってボスのことだよね。 そんな僅かな手がかりからそこまで推理するなんて・・・。
しかも、ハンター専用サイトも使えるならノストラード組にたどり着くのも時間の問題だろう。
自分たちの情報を流す念能力者なんて、可能ならば始末したいと考えるのが自然だろう。
いや、団長が他者の念を盗む能力を持つなら、ボスの念能力を盗もうとするかも・・・。
ウヴォーギンを捕まえる前から、結構危ない状況だったようだ。
「情報はこんなものか。 もう、コミュニティーに連絡しよう」
「それならオレがかけるぜ。 武闘派ってわけでもないノストラード組が旅団を捕縛したって言っても陰獣が全滅したんだ。信じさせる
までに手間取るかもしれないだろ。 だが、オレは捜索班の人間とも知り合いだからすんなり信じさせる自信がある」
「しかし・・・」
「勿論。 直接捕縛したのはノストラード組だとも伝えるよ。 オレだって他人の手柄を奪ったりはしないさ」
とは言うが、奪いはしなくても自分が捕縛に一枚噛んだ、くらいのことは印象づけたいという下心あってのことだろう。
渋々納得した様子のリーダーを横目でみて、蚯蚓は携帯から電話をかける。
「おう、オレだ」
「・・・すまん。少し電話の調子が悪くてな。 名前を頼む」
【推理】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
蚯蚓の知力 5
『補正項目』
知り合い +2
目標値 7
>>↓1
【推理】
目標値 7
出目 6 成功
「・・・陰獣の蚯蚓だ。オレに旅団狩りの命令が来たってことは、お前らのリーダーの髭達磨から聞いてるだろ?」
「ああ。残念だったな。陰獣はほぼ全滅らしいじゃないか」
「まあ結局、別組織の人間の集まりだからな。 あまりウェットな感情はないさ。
実は、ノストラード組が主体となって旅団の一人を生け捕りにした。 引き渡したいから来てくれ、住所は・・・にある廃ビルの地下一階だ」
どういうことだろう? このビルは別に廃ビルでは無いし、部屋は地下二階だけど。
「そうか、すぐ行く。 そいつには色々と聞きたいことがあるから生かしたままにしておいてくれ」
「わかった」
携帯の電源を切ると蚯蚓は鋭い目で、私たちを見渡す。
「まずいぞ、多分捜索班は偽物に入れ替わってる」
「どういうことだ?」
「捜索班には、ギーゼルっていう顎鬚を生やした筋肉質の男がいて、一見そいつがリーダーの様に見られることが多いんだ。 リーダーの
右腕的な立場で他の班員に指示を出すことも多いしな。 しかし、本当のリーダーは細身の若い優男だ。 大きな組のボンボンで、縁故で
入っただけのやつだが、プライドだけは高い。 オレは、電話に出た声に覚えがなかったのとオレの声がわからなかったことから、少しカマをかけてみたんだが
オレがギーゼルをリーダーと言ったことに、少しも反応しなかった。 本来なら、本物のリーダーの手前、少しは動揺するはずだ。
多分、既に旅団に成り代わっているんだろうな」
「ということはさっきの住所は・・・」
「ああ、ここから百メートル程離れた別のビルを言っておいた。 多分あと三十分くらいで来る」
護衛団の中に緊張が走る。
スクワラがリーダーに聞いた。
「どうするんだ、リーダー。 とにかく離れたほうがいいんじゃねえか」
「そうかもしれん、だがコイツはどうする? ヴェーゼ、後どれぐらい操作は持つんだ?」
「使ったのが二十一分前だから、後159分よ。 だけど効果時間が切れたら、もう一度操作することはできないわ」
「まだ余裕はあるか。 しかし、旅団がもうすぐ来る場所がわかるというのに何もしないというのもな・・・」
「マフィアンコミュニティーに連絡してみたらどうだ?」
リンセンが提案するが、それにイワレンコフが答える。
「それは下策だぜ。 バズーカ砲まで持ち出しても歯が立たなかったような相手だろ? 普通の人間に太刀打ちできる相手じゃない。
コミュニティー側の戦闘員も街中ってことでそこまで目立つ武器は使いにくいだろうしな。 オレ達の通報の結果、無駄死にが大量に
出ると逆にノストラード組の立場が弱くなるかもしれねえ」
話し合いは紛糾している。 私も何か提案してみようかな?
ヴォルトはどうする?
23:50まで会議時間とします。
時間になりました。
ヴォルトはどうする?
>>↓1
すいません、安価指定を忘れて慌てて付け足しました。
今日はここまでにします。
再開は27日の夜の予定です。
ssを再開します。
「私も、変に迎え撃つとか考えずに、ここから離れた方がいいと思うな」
「オレも賛成。 あんな奴らに、これ以上関わりたくねえよ」
私の発言にスクワラも賛意を示す。続いて、イワレンコフも口を開いた。
「オレも同意見だ。 それに、オレ達の本来の目的も考える必要がある」
「どういう意味だ?」
リーダーの疑問に、イワレンコフが答える。
「さっき、ウヴォーギンが、コミュニティーの上層部に情報を流している奴が居るってことを、旅団の団長が勘付いているって話をしていたろ。
うちのボスは裏社会で、それなりの有名人だからな。 旅団がボスの存在にたどり着くのも時間の問題だ。そして、団長の念能力は他者の
能力を盗むことが出来る」
「なるほどね。 そんな便利な能力、盗賊なら機会があれば盗みたいはず。 旅団を追うことより、ボスの護衛に本腰を入れる必要が出てきたって
わけか」
「そういうことだ、リンセン」
なるほど、確かにイワレンコフの言うとおりだ。 旅団を追っている内に、つい本来の任務から意識がそれてしまっていた。
そうだとすれば、私たちが取る行動は一つ。
「リーダー、さっさとアイツ始末しちゃって、コミュニティーに引き渡しましょうよ。 現段階で、これ以上欲張るのは危険な気がしますし」
「・・・それしかないな。 我らの最優先事項はボスの身の安全だ」
「けどよ、引き渡すって言ったって、電話して終わりってわけにはいかないぜ?」
これまで沈黙を守っていた蚯蚓が口を挟む。
「幻影旅団の手がどこまで伸びているかはわからねぇ。 さっきとは違う所に電話しても、そいつらが入れ替わってねえって保証は無いしな」
「確かにそれは言えるな」
「なら、オレたちの手でセメタリービルまで運ぶしかないんじゃねえか。 流石に、セメタリービルがまるごと乗っ取られてるってことは
ねえだろ」
バショウの提案に、リーダーも頷いた。
「それで行くか。 しかし、だとすればここで殺すのはダメだな。 手持ちの車のトランクは、ウヴォーギンの体が入るほど大きくないし
座席に、死体を座らせるわけにもいかん。 流石に目立ちすぎだからな」
「まずセメタリービルに行く班は、ウヴォーギンを操っているヴェーゼに、万が一操作が切れた時の為にクラピカ。それから蚯蚓さんと
バショウ、ヴォルト、イワレンコフの7人だ。 残りは俺と共に、ボスの所へ戻るぞ」
結局ただ引き渡す為だけに、護衛団全員で動くのは非効率だし、目立つということで引渡し班と、ボスの護衛班に一時的に別れることになった。
蚯蚓は、引渡しが終われば再び元の組織に合流する。
ヴォルト達は、ダルツォルネがこのビルに用意しておいた八人乗りのワンボックスカーに乗る。
ヴォルトが運転席。
ヴェーゼが助手席に、蚯蚓とバショウ、イワレンコフが2列目の後部座席、クラピカとウヴォーギンが3列目の後部座席に座ることになった。
「じゃ、いくよ」
ヴォルトは夜の街に、車を出す。
世界中から、数多くの人が集まっているヨークシンシティは真夜中だというのに明るく、車が多く走っていた。
ここから、セメタリービルまでは二十分もあれば到着する。
「こうして街中を走っていると、さっきまでの修羅場との落差を感じるねぇ。 プライベートで来ていたなら、ぶらりとショッピングでも
したいくらい」
ヴォルトは街の様子を見て、張り詰め続けていた意識が少し緩み、ほぼ無意識の内にタバコを口元に運び、シガーライターで火をつけた。
「うっ、それ結構クセがきついわね。 ヴォルト悪いけど消してくれないかしら。 私タバコ苦手なの、それは特にダメなタイプ」
「ああ、ごめんごめん」
ヴォルトは名残惜しさを感じながらも灰皿で葉巻の火を消す。
マフィアって言うと皆、葉巻をふかしてるイメージだけど、現実はそうもいかないか。 世知辛いなぁ。
ヴェーゼは、助手席の窓を少し開ける。
「イワレンコフさん。 そっちの窓も開けてくれない? 一つ窓開けただけじゃ煙が逃げていかないし」
「わかった」
イワレンコフが、二列目の窓を半ばまで開けた。
【不運】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
幸運 4
『補正項目』
なし
目標値 4
>>↓1 コンマ一桁
【不運】
目標値 4
出目 8 失敗
イワレンコフが窓を開いたかと思うと、またすぐに閉めてしまった。
「・・・まずい事になったかもしれん」
バックミラーでイワレンコフの顔を見ると心無しか青ざめている気がする。
「どういうこと?」
「窓を開けたとき、対向車に乗っていた男と一瞬目があった。 多少格好を変えていたようだが、あの視線の圧力、間違いねえ。
オークション会場で戦ったノブナガって男だ」
「なんだって!?」
車内に、緊張が広がる。 まだイワレンコフの勘違いという線もあるが・・・。
ヴォルトは、すぐにその考えを捨てざるを得なかった。
先程すれ違った黒いセダンが、転回しながら強引に車線を変更し護衛団の乗る車に近づきつつあった。
距離は今の所百五十メートル程。
カーチェイスになれば、車体の大きいこちらの方が不利。
しかも、民間人を巻き込むと警察が出てくる可能性がある。
コミュニティーが鼻薬を嗅がせているといっても、一般市民にまで被害が拡大すると抑えきれないだろう。
ヴォルトはどうする?
22:25まで会議時間とします。
ヴォルトはどうする?
「とりあえず、逃げるよ! あと、バショウ。相手がこっちを見失う様に出来ない?」
「人間の意識に直接働きかけるのは無理だ。 だが、とりあえずやってみるぜ」
『我ら追う 盗賊どもを 煙に巻く』
ヴォルト達の車の周囲に、分厚い煙が出現する。
ヴォルトはその煙に隠れつつ、前方の交差点を左に曲がったが流石にこの程度ではごまかされない。
旅団は依然としてついてきていた。 しかも、速度は向こうの方が速く、距離も徐々に詰められている。
「お、おい。 もっと派手な攻撃はないのか? 相手の車を潰したり」
イワレンコフが尋ねるが、バショウが大声で反論する。
「俳句は季節の移り変わりを読むもんだから、季語ってやつが必要なんだ。 今は夏だから、火だな。それに関係のある力しか使えねえ。
それに、相手との距離が遠すぎる。 直接効果を及ぼしたきゃ少なくとも十五メートル以内に近づいてくれ」
「今は無理。 クラピカ、イワレンコフ、なんとかならない?」
「車内に入られているとな・・・、走って追ってくるのなら使いようがあるんだが」
「この車の中に、投げるもんなんてないぜ」
話をしている内に、旅団の車は五十メートル程の距離にまで近づいてきていた。
その時、セダンのサンルーフが開き、そこから長い耳を持つ男が出てきた。
ウヴォーギンの情報によるとフランクリン、放出系の・・・ってアイツら、まさか!
【回避】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
無し・・・基本値5
『補正項目』
大型車 -2
運転技能 +2
目標値 5
説明・・・車の運転技術は特殊な扱いで、【技術】では定義されず、基本値5に運転技能などにより補正が行われます。
また書き忘れましたが、直下で判定させて頂きます。
【回避】
目標値 5
出目 8 失敗
フランクリンの指先から、十数発の念弾が飛び出す。
狙いが下に偏っていたことから、おそらく狙ったのは車のタイヤ。
ウヴォーギンが乗っている可能性がある為、本体は狙わなかったのだろう。
咄嗟に曲がり角を、右に曲がり回避しようとするが、左後部タイヤが被弾してしまったようだ。
車のバランスが崩れ、スリップしかけたところを無理に立て直す。
しかし、長続きはしそうにない。
もってあと三分か。
「もう車で逃げるのは無理そう。 逃がしてくれる相手でも無いだろうし、戦うしかないわね。
この近くに、広くて、人が少ないところって誰か知らない?」
「なら、ここから五百メートル程の距離にヨークシン中央公園がある。 深夜だから、人も少ないはずだ。 一応、コミュニティーに応援を
要請しとこう。 ちゃんと繋がるかは分からんが、これ以上状況が悪化することは無いだろ」
蚯蚓のアドバイス通りに車を走らせると、街中らしからぬ木々と、柔らかそうな芝生のある大きな公園が見えた。
カラーコーンとコーンバーで車の通行は止められていたが、それを強引に突っ切り園内に突入する。
あそこの芝生のグラウンドの真ん中が、応援が来たとき、目立ちやすそうだ。
そこに向かい、車のアクセルを踏み込む。
旅団の車も、こちらの思惑を悟ったのだろう。
五十メートル程の距離を保ちつつ、追いかけてきている。
車から降りた直後の行動について、今の内に相談しておくべきね。
ヴォルトはどうする?
00:15まで会議時間とします。
ヴェーゼの能力について、既に護衛団には説明しているという設定ですが、本文には書いていないので補足説明をします。
能力発動中は、ヴェーゼの命令に百パーセント従います(自分の命に関わることでも)。
ただしヴェーゼが死亡すると、どうなるかは不明です。
また、操作系能力のルールとして、念の強さに関わらず、優先順位は先に操作した者が勝ちます。
補足説明をしましたので、相談時間を00:25まで延長します。
ヴォルトはどうする?
>>↓1
今日はここまでにします。
再開は、日曜日の夜の予定です。
ssを再開します。
激しく揺れる車の中で、ヴォルト達は生き残る可能性を上げるために、話し合う
「ヴェーゼ、私の能力でウヴォーギンを強化するから、命令して突っ込ませるのはどう?」
「それは可能だけど・・・、強化って言ってもどうやってやるの?」
「時間がないから詳しくは話せないけど、車から降りて五秒もあれば十分だから。目標は、殲滅力が高そうなフランクリンがいいと思う
バショウはさっきみたいに煙で、私たちを隠して」
恐らく、ウヴォーギンが防御可能な状態か分からない場合、いきなりフランクリンの念弾の様に、彼を巻き込みかねない攻撃はしてこないだろう。
「わかった」
「でもよ、下手に突っ込ませて、旅団にウヴォーギンを捕獲されちまったら効果時間が切れたときヤバくねえか?」
そこに、イワレンコフが口を挟む。
「あー、そっか。 じゃあ、動きを封じられそうになったり、一定時間が経ったら自害するように命令しておくのは?」
旅団から、かなりの恨みを買いそうな作戦ではあるが、この状況では贅沢は言っていられない。
「いいわね、それ。 上手くすれば無傷で逃げられるわ。 ・・・そういえば確認だけど、ウヴォーギンを突っ込ませたらすぐに逃げるのよね。
私は、残って戦うのは絶対嫌だから」
「当然だろ、そりゃ。 奴らと正面からやり合うなんて死ににいくようなもんだ。 流石にクラピカもそう思うだろ?」
「・・・車がなければ、旅団を捕縛しても運べないからな。 今は、それで異存はない」
当然のごとく、士気は最悪だ。 まあ元々、成り行きで敵対することになっただけだし、個人的な恨みもそれほど無い相手・・・クラピカの場合はよく
分からないが・・・、実は私も、これ以上関わりたくないというのが本音だ。
「その作戦なら、オレは何も出来そうにねえな。 悪いが、車が止まったらすぐに逃げさせてもらう」
蚯蚓も、すぐ逃げるつもりか・・・。 もしかしたら、地中に逃げやすいように、地面が土になっている公園を指定したのかもしれない。
私も、やることが終わったらすぐに逃げようか。 それとも、まだ何かできることがあるだろうか?
ヴォルトはどうする?
21:10まで会議時間とします。
ヴォルトはどうする?
直下です。
「もちろん、私も逃げるよ。 ところで、逃げるときに車も燃やしたほうがいいと思う。 旅団にはパグノダっていう記憶を読む能力者が
いるんでしょ? もしかしたら、車から何か情報を読み取れるかもしれないし」
しかし、この提案にバショウは難色を示す表情をした。
「だけどよ、どのみちウヴォーギンの死体が敵に渡っちまうんだろ? わざわざ、そこまで念入りに証拠を隠滅しようとするのは時間の無駄だと
思うぜ? 車を燃やすって言っても、完全に原型を止めないレベルまで燃やすのは無理だしな」
「それは・・・そうだね」
ヴォルトたちの車はついに目的地のグラウンドの真ん中に到着する。
日中は、スポーツに興じる人で賑わうであろうそこも、今は人気がなく、青白い灯が照らすだけだ。
護衛団の七人と、ウヴォーギンは素早く車外に飛び出す。
それと同時にバショウが、俳句を読んだ。
『夜も更けて 静まる広場に 煙立つ』
護衛団を包み込むように、分厚い煙の膜が周囲に展開する。
しかし、旅団の車のエンジン音も近づいてきているのが分かる。
ヴォルトは、針をウヴォーギンの精孔に突き刺した。
【開放の成功】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
幸運 4
『補正項目』
作戦補正 +3
目標値 7
>>↓1 コンマ一桁
【開放の成功】
目標値 7
出目 7 成功
「一応、ノストラード組の構成員の顔写真見といてよかったわ」
パクノダが運転する車は、ノストラード組構成員が乗っていたワンボックスカーを追っていた。
先程、フランクリンの念弾で後部タイヤをパンクさせたが、しぶとく走り続けている。
ただ、それほど長くは持たないだろう。
既に、車は僅かに蛇行しながら走っていた。
「だけどよ、あの中にウヴォーギンが乗ってるのかね?」
「それについては分からないわ。あの車スモークフィルムのせいで中見えないし。だけどノブナガ、間違いないんでしょ。
蚯蚓から連絡が来たあと、団長が調べたノストラード組に所属する念能力者のリストの一人と窓が開いた時、目があったって」
「ああ、あいつはオークション会場でも戦った。 一日も経ってねえんだ、流石に間違うかよ」
「なら追ってみるべきだな。ビルで待ってるはずのノストラード組がワンボックスカーに乗って移動しているってのは、何か臭う」
フランクリンの言葉に、車内にいるフィンクス、シズクも頷いた。
「あら、あちらさんも、鬼ごっこはお仕舞いにするようね。 中央公園に入って行ったわ」
カラーコーンを派手に吹っ飛ばしながら、園内に突入する車を旅団は追う。
ついにノストラード組のワンボックスカーは、競技用のグラウンドの中に停車する。
そして、車のドアが空いたと同時に車の周囲に分厚い煙が立ち込めた。
「ちっ、煙幕のつもりか。 んなもん、全部攻撃しちまえばいいだけだ!」
フランクリンが、指を向け念弾を発射しようとするがシズクがそれを止める。
「ちょっと待ってください。 もしウヴォーギンさんが乗っていた場合危険です。 意識を失っていたりした場合防御もできないでしょうし」
それを聞きフランクリンが攻撃を停止すると、シズクは掃除機を具現化させ煙の方に向ける。
「煙自体は、念で構成されているわけでもなさそうなので吸い取ってみます。 煙を吸い取れ」
煙幕となっていた煙が掃除機に吸い取られ、視界が晴れると同時に旅団に向かい飛びかかってきたのは一人の大男。
彼らの仲間であるウヴォーギンだった。
20分ほど休憩します。
ssを再開します。
「ウヴォーギン!?」
一瞬、敵の拘束から抜け出し自由になれたのか、と考えたパグノダだったが、すぐにウヴォーギンから自分たちに殺気が向けられていることに気がついた。
マチからの情報では、貧血状態だと聞いていたのに、ウヴォーギンの放つオーラは普段の1.5倍ほどに膨れ上がっている。
「何か様子が」
そこまで言いかけたところでウヴォーギンは地面を強く踏み込み、一気に距離を詰めてきた。
その視線の先には、フランクリンがいる。
ウヴォーギンが拳を振り上げた。
【命中】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
ウヴォーギンの技術 7
『補正項目』
フランクリンの技術 -2
奇襲 +1
目標値 6
>>↓1 コンマ一桁
【命中】
目標値 7
出目 5 成功
突然の事態に、フランクリンの回避行動が遅れる。
もう回避することは出来ない。
ウヴォーギンの拳が、フランクリンに迫った。
【敵のダメージ】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
フランクリンの肉体 7
『補正項目』
攻防力差 -4
基準値 3
>>↓1 コンマ一桁
ダメージ判定は久し振りなので、少し説明をします。
ダメージ判定では基準値というものを設定し、それよりも出目が高い程ダメージが大きくなります。
【敵のダメージ】
基準値 3
出目 4 中傷
「ぐっ!」
フランクリンは、攻撃が当たる瞬間後ろへと飛んだ。
それにより僅かに打撃の勢いを殺すことができたが、攻撃を受け止めた右腕から嫌な音が響く。
骨が折れたようだ。
そのまま、後ろへ吹き飛ぶフランクリンにウヴォーギンが追撃をかけた。
【追撃】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
ウヴォーギンの技術 7
『補正項目』
フランクリンの技術 -2
追撃 -2
目標値 3
>>↓1コンマ一桁
【追撃】
目標値 3
出目 6 失敗
フランクリンは、紙一重でウヴォーギンの追撃を躱した。
ウヴォーギンは攻撃の勢いのまま、数メートル進みフランクリンと距離が離れる。
だが、フランクリンも回避の為に無理な体勢を取ったせいで、バランスを崩し地面に倒れてしまった。
フランクリンとの間に、ノブナガが立ち塞がる。
「操られてやがるのか・・・。 悪いが手荒に止めさせてもらうぜ。 オレの間合いに入れば・・・斬る」
ヴェーゼの能力で操作されているウヴォーギンは躊躇いなくフランクリンに向かって行く。
フランクリンは体勢が崩れており、ノブナガがウヴォーギンを止められるかに全てが掛かっている。
ウヴォーギンが攻撃態勢を取ると同時に、ノブナガの手元が霞んだ。
【捨て身の一撃】コンマ判定を行います。
『依存ステータス』
ウヴォーギンの精神 8
『補正項目』
ノブナガの妨害 -5
目標値 3
>>↓1コンマ一桁
【捨て身の一撃】
目標値 3
出目 8 失敗
ウヴォーギンの体が地面に崩れ落ちる。
その両足は、半ばで断ち切られていた。
「操作系の能力者か、ふざけやがって・・・」
ノブナガの手は怒りに小刻みに震えている。
ウヴォーギンは尚も、フランクリンの方へ這っていこうとしているが、足を失った彼が最早戦い続けることは出来ない。
「今は、治療が先よ。 すぐにマチを呼びましょう」
パグノダが携帯電話を取り出し、番号を入力していく。
その時だった。
ウヴォーギンのオーラが再び膨れ上がった。
「っ!? なに? もう戦うことなんて・・・」
ウヴォーギンのオーラは、手刀を形作った右手に集中する。
そして、その右手が・・・。
ウヴォーギンの首へと、全力の力で突き刺さった。
噴水の様に血が噴き出し、芝生を紅く染めていく。
手刀は脊髄まで達したようで、首は本来有り得ない方向に折れ曲がっている。
もはや、誰の目から見ても、彼が生きていないことは一目瞭然だった。
あまりの衝撃に、すぐには誰も言葉を発することが出来ない。
どれくらいたったのだろうか。旅団には、ほんの数秒にも数十分にも感じる時間の後、ノブナガの声が公園に響く。
「・・・おい。ウヴォーギン、よぉ」
彼の目は憎しみに充血し、涙が頬を伝っている。
「オマエ、どんな気分だった? 極限まで鍛え上げた肉体と精神を、汚え念能力で人形みてえにされてよぉ」
握り締めた拳から、血が滴り落ちた。
「約束する。オマエをこんな汚え手で殺した奴らを必ず探し出す。 例え、何人、何十人ぶっ殺してでも絶対に!」
既にノストラード組の構成員達は、旅団がウヴォーギンの相手をしている隙に逃げてしまっていた。
彼らが応援を呼んだのだろう。
公園に多数の車のエンジン音が、近づいている。
今日はここまでとします。
次回は、木曜日の夜の予定です。
ssを再開します。
「やっと着いたか・・・」
ヴォルト達はウヴォーギンに時間稼ぎをさせ、中央公園から逃げ出したあと、セメタリービルに向かっていた。
道中、旅団の追手を警戒して身を隠しながら来たため時間が掛かったが、なんとか無事に到着できたようだ。
時間はもう零時を回り、9月3日になっている。
「止まってください」
セメタリービルの入口前にいた、コミュニティーの警備がヴォルトたちを止める。
旅団の襲撃を受けたことで、警備レベルを引き上げたようだ。
警備は全員がマシンガンやショットガンで武装していた。
「どのような、ご要件でしょうか。 この時間にビルに入るには許可証が必要となっておりますが」
「オレは陰獣の蚯蚓。こっちはノストラード組の構成員たちだ。 許可証はオレは持ってねえが・・・、とりあえず上に繋いでくれ」
「陰獣、の方ですか」
警備が、通信機で管理室に連絡をとっているようだ。
「少々お待ちください。 もうすぐ、身元確認できる方が来ます」
「ああ」
その場で三分ほど待つと、ビルの中から痩せた長身の男が出てきた。
「おう蚯蚓。 公園から連絡が来た後、携帯に繋がらなくなったから死んじまったのかと思ってたが・・・まだ生きていたのか」
「ベンゼルか。旅団の奴らが、捜索班の奴らと入れ替わってたからな。
こっちに向かう途中、携帯を利用して探されたらマズイから電源を切っておいたんだ」
「そうか・・・。 そっちの五人は、ノストラード組所属だったな。 あそこは、占い師の娘を守るため複数の念能力者を雇ってるって噂
だったけど、アンタたちもそのクチか」
流石に、プロ、アマ問わずハンターを十名程度雇えば、それなりに話は広がるか。 ボスの警護の厳重さは有名なのだろう。
「そうだ。 とりあえず外じゃ落ち着いて話ができねえ。 色々報告したいことがあるし、中に入れてくれないか」
イワレンコフの提案に、ベンゼルと名乗った男が頷く。
「それもそうだな。 着いてきてくれ、小会議室が空いてたから、そこを使おう」
ヴォルトたちはビルの内部へと入っていく。
「なるほどな。 その旅団のウヴォーギンって奴の身柄を確保できなかったのは残念だ。 死体だけでもあれば見せしめに使えたんだが」
公園に向かった五十人程のマフィアも大半が殺されたそうだ。
だが旅団側は、逃げる者に、深追いをしてこなかったそうなので二十人程は生き残ったらしい。
その生き残りの話によると、旅団のメンバーは誰かの死体を運んでいったとか・・・、十中八九ウヴォーギンのことだろう。
「だがまあ、ウヴォーギンを殺すことができたなら、旅団側の戦力を削ぐことには成功したってことだ。 この手柄は十老頭にも報告しておこう」
「そうか、助かるぜ」
ベンゼルから聞いたところによると、彼はコミュニティーの幹部の一人で、セメタリービルの警備を担当しているらしい。
ちなみにベンゼルとの会話は五人の中で一番キャリアが長く、コミュニティーの事情にも通じているイワレンコフが主に進めている。
「それに、梟もシャルナークっていうメンバーの一人を確保したからな。 見せしめにはそっちを使えばいいか」
「シャルナーク・・・。そいつを、どうするつもりなんだ?」
クラピカが尋ねる。
「そうだなぁ。奴は今、とある場所に監禁している。最終的には出来るだけ派手にぶち殺して見せしめに使う予定なんだがな。
その前に、今日の夜に行われるオークションの警備が優先だ。
このオークションで昨日梟が運び出した分も合わせて、二日分の品を出品する予定なんだが、旅団が襲撃してくる可能性は高いと十老頭は見ている」
どういうことだろう?
警備に重点を置きたいなら、旅団が取り戻しにくる可能性があるシャルナークをさっさと殺して、全ての戦力をオークションの方に回せばいいとおもうけど。
「それってシャルナークを生かしておくことが、旅団に対抗する作戦の一部ってことですか?」
「くく、鋭いな嬢ちゃん。 そのとおりだ。 詳しくは幹部であるオレも知らねえが、何らかの方法で、そのシャルナークを旅団をぶっ殺す道具に
仕立て上げるつもりらしい。 まあ、コミュニティーには陰獣の他にも、色々な念能力者が所属しているからな。 大方そのうちの誰かが何かするんだろう」
「まあ陰獣は、いかに戦闘向きかって基準で選ばれてるからな。 直接戦闘には、あまり向かないが強力な能力者もいないわけじゃねえ」
蚯蚓が、補足を入れてくれた。 そういえば、陰獣は、ほぼ全滅してしまったけれど、この後どうするのだろうか。
まあ、そこまで聞くのは余計なお世話か。
「じゃ、アンタらは、そろそろ帰りな。 今夜の競売に参加するなら、参加証を忘れるなよ。 上から特に警備を厳重にせよって命令が来てるから
忘れたら入れてやれなくなる・・・それと、シャルナークの件は誰にも話すなよ。 この程度の情報ならどうってことはねえと思うが、口が軽いやつと
思われたくねえ」
「わかった。 ところで車を一台貸してくれ。 ウヴォーギンを運んできた車は壊れちまってな」
キーを受け取り、車に乗り込むと、警護班と合流するべく出発する。
車に乗る前の電話によると、別のホテルにセンリツ名義で部屋を借りたらしい。
20分ほど休憩します。
一つ訂正があります。>>851で
時間はもう零時を回り、9月3日になっている。
という箇所ですが、2日の間違いでした。
>>852の、『その前に、今日の夜に行われるオークションの警備が優先だ』
という記述ですが、今日⇒明日と変更します。
ssを再開します。
「よし、とりあえずウヴォーギンをオレ達で始末したことは認めさせたんだな。 よくやった」
ホテルでダルツォルネと合流し、旅団との遭遇、セメタリービルでの顛末を報告し終えた。
ダルツォルネも、旅団捕縛の手柄が無効とならなかったことには胸をなでおろしたようだ。
「今はボスは寝ているが・・・これ以上ヨークシンシティにボスを留まらせるのは危険だと判断してな。
先程、組長に連絡した。 明日の昼過ぎには、こちらに来て、ボスに帰るよう説得していただけるそうだ」
明日の昼過ぎ、か。
結構長いかな。 安全を考慮するならもっと早い方がいいとおもうけど
「今日の朝にでもってわけには、いかないんですか?」
「そうしたいのは、やまやまだがな。 ボスは非常に競売を楽しみにしていたし、我々だけで帰るように説得するのは不可能だろう。
本気で機嫌を損ねたボスは手に負えん」
「それは、そうですね・・・」
昨日のオークションに行けなかった時の取り乱しようは凄かった。
しかも、今度はヨークシンから帰るように説得するんだから、段違いの難しさか。
この護衛の仕事を受けたのは、報酬が割高だったのも理由なんだけど、護衛対象の性格を考慮してのことかもしれない。
「でもボス。 センリツ名義で部屋を借りたとしても安心は出来ないんじゃないかしら」
沈黙の中、口を開いたのはヴェーゼだ。
「どういうことだ? ハンターサイトを覗いてみたが、新入りの名前までは出ていなかったが」
「でも向こうには、物の記憶を読み取る能力者がいるんでしょ。 それにウヴォーギンの死体も渡ってしまっている。
もしかしたら、新入りの名前にも行き着く可能性は否定できないわ」
「・・・なるほどな、他にも手を打った方がいいかもしれん。 何か案はないか?」
リーダーが全員の顔を見渡す。
クラピカが手を上げた。
「囮作戦はどうだ。 他の古参メンバーの名前でいくつかのホテルに部屋を借りれば、敵の狙いを分散できる」
「うーん、すぐにバレるんじゃねえか。 オレはこのホテルで警備を固めるほうがいいと思うぜ」
「ふむ・・・悪くないが完全に受身というのもな。 逆に旅団を探してみるのはどうだ?
どうやらマフィアンコミュニティーは、旅団を指名手配するつもりらしいし、情報が手に入れやすくなるかもしれん」
最後の提案はリーダーだ。 ウヴォーギンの捕縛が上手くいったことで、かなり強気になっているのかもしれない。
「おいおい、流石にリーダーの案でも、また旅団と戦うのはごめんだぜ?」
当然の如く、スクワラが異論を挟む。
「戦うとは言っていない。 だが、相手の挙動を掴むことができれば、常に先手を打って行動することが出来るだろう。
ただ引きこもっているだけでは、確実に相手に主導権を握られるわけだからな」
「そう言われれば・・・、悪くない案かもしれないな」
なるほど、そういうことか。
賛意を示したのはリンセンだが、他のメンバーも有効な作戦だということには納得しているようだ。
「だが、メインは護衛。 旅団の情報を集めるとすれば、三人回すのが限界だな。 だれか立候補者はいないか?」
うーん、情報集めか。
護衛の手段としては有効かもしれないが、外に出る分危険性は高い。 変装すれば、幾らかはごまかせるかもしれないけど。
でも確かに、閉じこもっているだけというのは、この状況下では危険だ。
この部屋を爆弾で破壊なんかされれば、一巻の終わりだし、行動も完全に後手に回ることになってしまう。
ヴォルトはどうする?
23:10まで会議時間とします。
ヴォルトはどうする?
>>↓1
決定しました。
また捜索班に回る場合、安価無しでも変装することになります。
今日はこれで終了します。
次回は明後日の夜の予定です。
ssを再開します。
「私は、やってもいいよ」
結局、立候補することにした。
私の顔は、オークション会場で見られているし、変装するつもりとは言え危険といえば危険だ。
ただ、このままホテルに閉じこもり続けるよりはいいだろう。
幸い逃げ足には自信があるし。
「そうか。 これで一人目は決定だ。
・・・残りのメンバーだが、やはりハンター専用サイトに情報が出ていない新人のほうがいいだろう。
クラピカは戦闘になった時の為、センリツの能力は、不意打ちを防ぐために残しておきたい。
ヴェーゼ、バショウ。 オマエたちに任せる」
「はぁ、せっかく黙ってたのに。 まあ、わかりました。 戦わなくていいって言うならやるわ」
「オレも、同じく」
情報班は私とバショウ、ヴェーゼに決定した。
旅団との戦闘が避けられなくなった時の為に、クラピカに同行して欲しかったが確かにボスの警護が優先だ。
まあ、仕方ないかぁ。
「まずは、セメタリービルに言って旅団の捜索がどこまで進んでいるか聞いてこい。 その後の行動は各自に任せるが、今夜の10時までには
帰還するように。 一時間毎に、誰かがオレの携帯に電話をしてワンコールで切れ。 それが途切れた場合、オマエたちが旅団に捕まったと
判断する」
「了解、リーダー」
「ああ、班の指揮はヴォルト、お前がとれ。 イワレンコフに勘が鋭いと聞いたからな」
「私が班のリーダーですかぁ。 二人もそれでいい?」
ヴェーゼ、バショウは黙って頷いた。
「あまり無茶なこと言い出すと、逃げさせてもらうかも知れないけどね」
「ははは、そっか。 まあ、旅団を見つけても極力、戦闘は避けるから大丈夫だよ」
あれ、そういえば・・・。
「リーダー、トチーノは今どうしてるの?」
「トチーノか。 奴はこっちに来ているノストラード組の組員に任せている。 まだ眠っているそうだが
お前の話では今日の夜には、回復するんだったな?」
「おそらくは。 夕方には目を覚まして、夜には普通に動けるようになるはずだよ」
「なら明日のオークションには間に合うか。 よし、捜索班は朝八時まで仮眠をとり、それから出発しろ。 定期連絡を忘れるなよ」
ヴォルト達は、ベッドへと横たわると、張り詰めていた気を少し緩めて眠りについた。
ヴォルト達はセメタリービルにいた。
コミュニティーの幹部であるベンゼルに旅団の情報を聞いていく。
「ダメだ。 コミュニティーの総力を挙げ、血眼になって探しているようだが手がかりすら掴めていねぇ。
こっちとしても、なんとか明日のオークションまでに旅団は始末しときたいからな。 どうやら
今日の五時から、コミュニティー外の者にも指名手配をかけるらしい」
「それって一般人ってこと?」
流石に、大々的にマフィアが指名手配を触れ回るのは、目立ちすぎる気がする。
しかし、ベンゼルは首を振り、それを否定する。
「いんや。 本当は今夜、裏格闘技の興行を行う予定だったんだ。 そこには格闘家崩れやら、ごろつきの集団が集まるからな。
そいつらに、形式上は競売として旅団探しに協力させる予定みたいだ。 ま、所詮アマチュアの暴力集団なんかに旅団が捕縛できる
とは思えねえが、情報の一つも入りゃ御の字だろ」
「コミュニティーも、そんだけ切羽詰まってるわけかよ。 旅団が本気で隠れれば、情報すら手に入れられないと思うがな」
バショウと同感。
奴らの実力は、昨夜嫌というほど理解した。
もし、奴らがそんなヘマをするとしたら、わざと情報を流した可能性のほうが高いだろう。
「ま、そうなんだよなぁ。 だから少しでも確率を上げるために、今実力者を探してるんだ。
オマエらも、誰か心当たりがあったら今日の五時、ここまで来るように掛け合ってくれ。
こっちも、色々な情報を元にその作業に入るつもりだ。 明らかに胡散臭いネタも混じってるがな」
そうして住所を渡された後に、ベンゼルは部屋を出て行った。
「で、今後どうしようか」
「とりあえず、昨日ウヴォーギンから聞き出した旅団の隠れ家に行ってみる? 既に、移ってるでしょうけど痕跡くらいはあるかも」
「・・・オレは気が進まんなぁ。 向こうもそれを予見していたら何らかの罠が仕掛けられているかもしれねぇ。
それより、ベンゼルが言っていた実力者探しってのに興味があるな。 旅団の手がかりを探しがてらオレ達も手伝ってみないか?
本物の実力者がいれば、一時的にノストラード組の助っ人を頼むことも出来るだろうしな」
「うーん、そっか。 私は、ヨークシンにいるノストラード組の構成員を集めて、ホテルへの主要な道を警戒させればって
思ったんだけど・・・」
「それは、やめておいた方がいいわね。 逆に旅団をおびき寄せるリスクが高まるだけだし、マフィアって言っても、そういうことは素人。
大した役にも立たないと思う」
「それも・・・そうだね」
一応私がリーダーなのに、二人の方が積極的に考えてる気がする・・・。
ここは頼りがいがあるところを見せるため、ビシッと作戦を決定しなければ。
ヴォルトはどうする?
22:15まで会議時間とします。
シズクとフェイタンが来たのは9月1日のことなので、2日の今はいません。
また、実力者探しの対象がゴン達のみ、とは限らないです。
ヴォルトはどうする?
>>↓1
「バショウの言うとおり、隠れ家に行くのはリスクが大きすぎるわね。 とりあえずベンゼルさんが言ってた実力者探しを手伝ってみようよ。
あと五時になったら、裏格闘場も覗いてみたいな。 思わぬ大物がいるかもしれないし」
「わかったわ。 でもリーダーが言ってた旅団の情報集めって趣旨から離れてしまうんじゃない?」
「大丈夫だよ」
ヴォルト達はベンゼルの後を追いかけ、話しかける。
「ベンゼルさん、私たちも実力者を探すの手伝うよ」
ベンゼルは少し怪訝そうに眉をひそめた。
「ん? そりゃありがたいが・・・アンタらは旅団の調査をしているんじゃなかったか?」
「そうだよ。 だからさ、少しでも旅団の情報が入ったら優先的に私たちに教えて欲しいの。 その見返りに実力者探しも手伝うってことでさ。
念能力者の私達が協力すれば捜索もはかどるでしょ。 それに旅団に対抗できるほどの人材をスカウトできれば、旅団の排除につながって
こっちにも利益があるし」
ベンゼルは少し考えていたが、やがて口を開いた。
「まあ筋は通っているな・・・、わかった。 手伝ってもらおう。
今のところ目ぼしい情報は、この3つだな。 多分、能力者のアンタたちの方が説得もしやすいだろ。
これから二つ選んでくれ」
ベンゼルに渡された書類に載っている三件の情報を見る。
一人目は、腕相撲に勝つことを条件とした、条件競売に昨日から勝ち続けている少年。
昨日は300人近くに勝利したらしい。 本当ならば念能力者の可能性は大だ。
・・・ただ経験上、子供の念能力者に実力者はそれほどいなかったけど。
二人目は、このヨークシンで行われている裏格闘技興行・・・コミュニティーが開こうとしていたものとは別口の・・・に
昨日飛び入りで参加して、20連勝を果たした男。
試合は、ほぼ全てが数秒で決着しているらしい。
・・・わざわざ裏格闘技興行に参加するということは、大金を求めているか、戦闘好きか。
説得はしやすいかも知れない。
三人目は、泥棒だ。
このヨークシンには、オークション期間中に世界中から資産家が集まる。
そして、それに目をつけた盗人も多く集まっている。
しかし彼は去年もオークション期間中に出現し、他の泥棒が手を付けないような厳重に警備された品を多数盗みだしたそうだ。
その被害額は十日間で十億円にのぼったとか。
この男と取引のある盗品商がヨークシンにいるのだが、コミュニティーの息が掛かっているらしいので、張り込めば会えるだろう。
・・・証拠はないけど、この成果は腕のいい程度のコソ泥に挙げられるものだとは思えない。
何か潜入、索敵に向いた能力を持つ念能力者の可能性もあるわね。
どの二人にしようかな?
23:35まで会議時間とします。
一つ、補足を。
マフィアも旅団の情報は、血眼で集めており、そこには引っかかっていないので旅団の可能性は非常に低いと思われます。
情報を補足しましたので、会議時間を23:40まで延長します。
時間になりました。
安価は一人目や三人目、など一人一つの指定でお願いします。
かぶった場合は、飛ばし二人揃った時点で決定とします。
>>↓1から
三人目に決定しました。
もう一人を決めてください。
>>↓1
一人目
すいません。
直前に来てましたので、三人目と二人目で決定です。
今回はこれで終了します。
次回は、明日の夜の予定です。
このスレも、900を超えましたので、次回が終われば、次のスレに移行しようと思います。
ssを再開します。
ヴォルト達は、まず闇闘技場に向かうことにした。
泥棒の方は、盗品商に品を持ってくるのは午後二時位という情報があり、ひとまず後回しだ。
書類に書いてある住所を辿っていくと、煤けたビルと、老朽化した建物が目立つ一角へと入っていく。
壁に書いてある大量の落書きを見る限り、あまり治安のいい地区では無いようだ。
さして広くもない表通りから、更に狭い路地に入ると、ビルの壁に取り付けられた一枚のドアを開ける。
そこには地下へと続く階段があり、ヴォルト達が降りていくに従い熱気が漂ってきた。
興奮した人間の放つ独特の空気。
外部からは想像もつかない広い空間が広がっている。
バーカウンターに、安物の椅子、テーブル。
柄の悪い者たちが、見えるだけでも、三百人以上は集まっていた。
そして彼らの視線は一様に、部屋の中央に設置されたリングへと注がれている。
雰囲気からして、これから試合が始まるようだ。
そう思った時、司会の声が闘技場に響いた。
「イェーース、よーく来たなァ! ゲスいレディースに、ビチグソ野郎ども!
今日も第一試合からフルスロットルだァ。一瞬たりとも見逃すんじゃねえゾ、瞼を切り取ってもなァーーー。
まずは、挑戦者の登場だァーーー」
赤いコーナーから現れたのは、細身の男。
白いシャツと、ジーンズ姿のシンプルな格好だが、それがかえって、その下にある鍛え上げられた肉体を引き立てている。
年の頃は、二十代後半くらいだろうか。
凝により見える、全身を覆うオーラを見る限り念能力者で間違いないだろう。
確かに、これなら能力者ではない選手など簡単に倒せるでしょうね。
この男が、二十連勝の強者で間違いないみたい。
・・・ただ、戦う姿を見るまでは断定はできないものの、所詮は闇闘技場の強者どまり。
オーラにムラがあるし、ハンターとしては、そこまでの実力者とは思えない。
ヴォルトは少し落胆していた。
司会の口上が始まる。
「暗黒街にその名を轟かす殺し屋集団、金刃会!
死を齎す、金色の刃がダークネスファイトに刺客を送り込んだ!
マフィアだろうが、善人だろうが情け容赦なくぶっ殺死! 気鋭の殺人者は、不敗の蝶の羽を、もぎ取ることは出来るのかァ。
"死のダンサー" リベロ・シュータァァァ!!!」
「「うぉぉぉ!」」
会場の空気が震える。
ヴォルトは知らないが、どうやらそれなりに有名人なのだろう。
だが話を聞く限り、この男は二十連勝の男ではない無い?
そして、リベロという男の紹介が終わりスポットライトが、青のコーナーへと注がれる。
会場が、先程までのざわめきが嘘のように静まりかえった。
「幾多の強者が地に伏せた。 我々の伝説もまた、破壊された・・・。
しかし、あの男は今日もリングに立つ。 その瞳は何を求めるかァーー。
突如としてダークネスファイトに現れ、闇を切り裂いた流星。
興行史上間違いなく最強! 新チャンピオン、エンペラー・ザ・パピヨンだァァ」
スポットライトの照らす中、スモークと共に登場してきたのは、派手な蝶をモチーフにした仮面で、顔の上半分を隠した青年。
流れるような黒髪を肩にかかるくらいに伸ばし、どこか中性的な雰囲気を持っている。
薄い毛皮のローブを羽織っており、ところどころ光って見えるのは、小さな反射材を取り付けているのだろう。
相当の高級品に見えるし、もしかしたら宝石かも知れない。
彼は、手を高く掲げると指を三本出した。
「おっとォ、三分でK.O.宣言かァ。 昨日は、8割の相手を10秒以内で倒したチャンピオン!
だが、今日の相手は一味違うと認めているゥ」
司会の実況を聞き、チャンピオンは口を軽く歪めた。
「では今日一番の試合ということでルール説明だ! ダークネスファイトはなんでもあり。
ナイフだろうがチェーンソーだろうがバッチこい! 但し、銃などの飛び道具はNGだぜェ。
勝利条件は、相手の降参、もしくは意識を失った場合だ。 ちなみに死んだ場合も意識を失ったとみなすのでヨロシク。
では、両者。 準備はいいか。 始めェェ!!」
20分ほど休憩します。
ssを再開します。
最初に動いたのはリベロだ。
彼が、自分の着ていたシャツを破ると、胴体に巻かれたベルトが見える。
そのベルトには、ナイフが複数本取り付けられていた。
「まず、三本!」
リベロが、ナイフを三本、チャンピオンに向けて投げつける。
当然、チャンピオンはこれを回避・・・するが、ナイフがチャンピオンの後ろで急に180°方向を変える。
「「!?」」
会場から驚愕し、息を呑む声が聞こえた。
しかし、観客はすぐに、それは杞憂だったと気付く。
チャンピオンが後ろに手を回すと、まるで背中に目がついているかのような精密な動きで三本のナイフを指の間に挟んで見せた。
そして、それをリベロの方に投げ返す。
ナイフは空中で止まり、リベロの周囲に浮遊した。
「へっ、流石にこのくらいで、くたばられたら拍子抜けだぜ・・・」
「お、おっとー。 リベロの"踊るナイフ"がいきなり炸裂ゥ。 どうやってんだか分かんねえけど、とにかくスゲーー!
だが、それを見もせずに受け止めるチャンピオンもスゲェェ。 戦士の直感ってヤツなのかァァ、誰かオレに教えてくれェェ!!」
司会が騒いでいるが、ヴォルト達は全く違う視点から戦いを眺めていた。
「円、ね。 半径は二メートルくらいかしら」
「それで限界ってわけでもねえだろうがな。 まあ、この状況ならそれで十分ってことだろ」
「それに、あの反射速度。 戦闘技術もかなりあるね・・・」
三人は思いがけない強者の存在に内心驚きを隠せない。
三人が話している間にも、試合は急速に進行していく。
「ここまで本気を出すのも久しぶりだ。 こっちも全力で行くぜ!」
リベロはベルトから全てのナイフを取り出す。
全八本のナイフが空中を乱舞し、チャンピオンに襲いかかった。
・・・会場は、あまりの光景に静まり返っている。
縦横無尽に飛び回る、八本のナイフ。 だが、その全てをチャンピオンは蝶のような華麗な動きで躱し続けていた。
たまに、手を使い弾くこともあるが、それは先程ナイフを掴んだのと同じ左手だけ。
身を翻す度に、ローブが舞い光を反射する。
集まった、ならず者達も、この幻想的とすら言える光景に息を呑む。
「やるじゃねえか。 だけどよ、そのローブは失敗だったな!」
リベロのナイフが、ローブに突き刺さり、リングの床に縫いとめた。
それは一本のみならず、八本中七本のナイフがローブを捉え、チャンピオンを動きを封じる。
リベロが一気にチャンピオンと距離を詰める。
途中で宙に浮いていた、最後の一本のナイフを取ると、チャンピオンの心臓へと突き出す。
ナイフはローブに吸い込まれ・・・チャンピオンの口から、赤い液体が溢れた。
「し、信じられないぃぃ。 リベロ・シューター、チャンピオ」
司会が、予想外の番狂わせに興奮した声を出すが、その声は途中で途絶える。
重い衝突音が響いたかと思うと、リベロはリングの外へ弾けるように吹き飛ばされる。
リベロの方を見ると、吹き飛ばされた勢いでテーブルに派手に突っ込み、ピクピク痙攣している。
死んではいないようだが、確実に意識は飛んでるね。
視線をリングに戻すと、致命傷を受けたかと思われたチャンピオンが、左の拳をパンチの形で突き出している。
そして、彼はおもむろにローブを脱いでいく。
中には黒いズボンに、裸の上半身。 ナイフに刺されたはずの胴体には傷一つついていない。
右手には、トマトジュースの缶を持っていた。
「・・・試合開始、五十六秒、勝者はエンペラー・ザ・パピヨンだァァ。
つーか、無口な上に、右手を使わないと思ったらトマトジュースを飲んでたのかよォ。
いやいや、それよりもアンタ、ナイフで刺されてただろォ。 もう、突っ込みどころが多すぎて、どこから触れればいいのかわかんねェェ。
まっ、とにかく勝利おめでとゥ、チャンピオン。 いかしたコメント、一言たのむぜェ」
司会が、チャンピオンにマイクを投げつけるように渡した。
「みんな、今日も声援ありがとう!
それはそうと、酷いじゃないか、ダイナソー・ぺぺ。 試合開始の前に、まだ朝食の最中だから三分待ってって言ったのに!
おかげで、食後の運動を食べながらする羽目になったっつーの」
「おっとォ、あれはノックアウト宣言じゃなかったァ。
しかし朝食がてら、名うてのファイターを倒しちまうとは流石チャンピオン!
ここにいる良い子とはかけ離れた野郎どもは、喧嘩中に食事しちゃダメだぞォォォ!!」
・・・まあ、あの男が、かなり目立ちたがり屋だってことは理解できた。
しかし、実力は十分。
対戦相手のリベロという男、正直ナイフの操作の精度は、お粗末だった。
とにかく、速さでごまかしているだけで単調な動きしかできていない。
多分、練習不足ね。
最後にローブを縫いとめることが出来たのも、チャンピオンが、わざと受けたからだ。
だが、そんな相手とは言え、攻撃を全て躱し、最後の渾身の一撃も、硬で合わせることで無傷で凌いだチャンピオンの実力は
一般のハンターの水準を、軽く超えている。
もし勧誘できれば、旅団相手にも頼れる戦力になるかも知れない。
ヴォルトは、ヴェーゼとバショウに目で合図すると、控え室へと歩き出した。
今日は、これで終了します。
次回は、水曜日の夜の予定です。
明日あたり、2スレ目を建てようと思います。
2スレ目をを立てました。
【ハンター×ハンター】逆風のヨークシンオークション その2【安価】
【ハンター×ハンター】逆風のヨークシンオークション その2【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486464179/)
【敵のダメージ】
基準値 8
出目 7 軽傷→補正によりワンランクダウン→無傷
【自分のダメージ】
基準値 5
出目 1 軽傷→クリティカルによりワンランクダウン→無傷
二人の攻撃は、ほぼ同時に相手に到達した。
だが、先程と同じ攻撃を押し戻す感触をヴォルトは感じる。
ジンジャーは、またしても無傷のまま、ふわりと飛ぶように距離を取る。
一方ヴォルトも、念による腕のガードが間に合った為、ダメージはほぼ無かった。
そして、違和感を感じた瞬間、凝を発動し相手の能力の正体を掴むことが出来た。
念の放出だ。
相手の攻撃に合わせ、念を放出し、攻撃の威力を殺すと共に放出の反動で自分も距離を取る。
特に意識した様子も無かったので、攻撃されると自動的に発動する能力かも知れない。
だとするならば、押し戻しにくい攻撃ならば効果がある?
例えば針での攻撃なら、形状的に圧力による影響を受けにくいので、通るかも知れない。
すいません。
ミスにより、上のレスはニスレ目に書き込む文章を書き込んでしまいました。
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