【デレマス】さちまゆアソート (37)
デレマス、付き合ってる幸子とまゆの短編集。
百合です。
キャラ崩壊、設定変更等あるかもしれませんので、苦手な方はご注意ください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1473258454
「キャラクター」
まゆ「ねぇねぇ幸子ちゃん」
幸子「なんですかー」
まゆ「まゆ、ふと思ったんですけど」
幸子「はいはい」
まゆ「幸子ちゃんって妙に偉そうですよね」
幸子「ボクに膝枕されてる人のセリフとは思えませんね」ナデナデ
まゆ「聞いてくださいっ、これには続きがあってっ」
まゆ「幸子ちゃんは偉そうだけど、イラッとはこないんです。なんでかなぁと思って」
幸子「フフン、簡単な話ですね! それはボクがカワイイから! カワイイは正義! 全てが許されちゃいます!」
まゆ「あっ……はい、えぇ……まぁそれもあると思いますけど」
幸子(なんか想定外って感じの反応)
まゆ「まぁそれは一旦置いといて」ポイッ
幸子(置いとかれた! 割りかし雑に!)
まゆ「敬語ですよけ・い・ご…… 常に敬語のキャラクターが幸子ちゃんに腰の低いイメージを与えてると思うんです」ムクッ
幸子「ふむ、そうかもしれませんね」
まゆ「でも、一番の存在、まゆの前でくらい……着飾らない幸子ちゃんを見せてくれてもいいんじゃないですか?」
まゆ「というか、タメ口で喋る幸子ちゃん見たいです!」
まゆ「そんなわけで、今から『敬語禁止タイム』スタートですっ!」
幸子「ええっ!? そ、そんないきなり……」
まゆ「もし敬語を使っちゃった場合……んー、デコピンしますよぉ」グッ
幸子「罰ゲームまであるんですか!?」
まゆ「幸子ちゃん、アウトー」ビシッ
幸子「ぎゃん!」
まゆ「もー、真面目にやって下さいっ」プンプン
幸子「デ、デコピンに迷いがないで……ないね、まゆさん……」
まゆ「うふふっ、そうそうっ」
まゆ「ついでですから、まゆ『さん』ってのも、取っ払っちゃいましょうかぁ」
幸子「ええっ!? い、いきなり呼び捨てですかぁ!?」
まゆ「」バチン
幸子「あぶっ!」
まゆ「ね、幸子ちゃん……お、ね、が、いっ」ウワメ
幸子「わ、わかりましたよぉ……今だけ……ですからね?」ビシッ
幸子「ぐえ」
幸子「今のは……見逃してくれても、いいんじゃ……ない?」
まゆ「いえいえ……」
まゆ「痛くないと覚えない、がまゆの持論ですからぁ」ニコォ
幸子「ノ、ノーコメントで……」
まゆ「うふふ……幸子ちゃんは、物覚えはいい方ですかぁ?」
幸子「ボク? ボクはそりゃあ人並み以上に出来るに決まって……る、けど? 」
まゆ(カワイイカワイイ慣れてない口調でちっちゃい子みたいに言葉に詰まる幸子ちゃんカワイイーー!!)ジタバタバタ
幸子「ん? どうかした? ま……ま……まま、まー……」カァー
まゆ「……はーい、ママはここですよー幸子ちゃーん」ナデナデ
幸子「ち、違っ! なで、ないでっ!」カァ
まゆ「もしかして、家ではまだママって呼んでます?」
幸子「よっ……! 呼んでない!」
まゆ(敬語がなくなったことで、幸子ちゃん年下なんだなーってこと思い出しますね。普段しっかりしてますから)
幸子「うぅ……敬語はボクのアイデンティティのひとつなのに……」グスッ
まゆ「よしよしカワイイカワイイほんとカワイイ……」ナデナデ
幸子「う、ぁ、こ、子供扱いしないで! ま、ま……まゆっ!」カァァ
まゆ「幸子ちゃん……?」キュン
幸子「あ、あーそういえばま、まゆだって敬語、だし、おんなじ、じゃないと、ずるいと思いま……思う!」
まゆ「……そうよね、幸子」
幸子「!」ドキ
幸子「な、なんで……そんなさらっと……」
まゆ「うふふ」
まゆ「私は、幸子よりちょっと大人で」
まゆ「ちょっとずるくて」
まゆ「ちょっと好きって気持ちが強いから……かな?」
幸子「…………」
幸子(なんだか大人っぽくてカッコいい……)
まゆ(毎晩寝る前にいろんな妄想してるからとは流石に言えないです……)
幸子「…………」ピョコ
まゆ「どうしたの? ソファの上に膝立ちなんてして」
幸子「こうすればボクのほうが背が高いから大人!」フンス
まゆ「余計子供っぽくないかしら? それ……」
まゆ「じゃあこうしちゃおっかな」ピョコ
幸子「うっ……うー……!」ピョコピョコ
まゆ「ほらほらどうしたの~? 膝立ちのままじゃまゆに勝てないわよ~?」
幸子「ソファの上に立つのは、お行儀悪い、から……」
まゆ「面白いところで育ちの良さが出てるのね、えらいわ~」
幸子「むっ」
まゆ「言われたことはちゃんと守る、ちっちゃくてもいい子ちゃんね~」ナデナデ
幸子「も、もう! だったらまゆが縮んで!」グイッ
まゆ「きゃっ……!?」ドサッ
幸子「フフン、これでボクが上だよ!」
幸子「もうちっちゃいなんて言わせ……」
まゆ「な、何ですか!? 急に押し倒したりして……」
幸子「あれっ、あ、え?」
まゆ「……もしかして幸子ちゃん、大人になりたいってそういう……?」テレ
幸子「ちちちち違います! 事故です事故っ! ほらどきました!」バッ
まゆ「あぁんいけず」
幸子「ていうかハメましたね!? わざとボクを煽るようなこと言って……!」
まゆ「ハメようとしてるのは幸子ちゃんじゃないですか」ボソッ
幸子「ななっ、何言ってるんですかもう! アイドルとしてそんな言葉使っちゃダメです!」カァ
まゆ「へぇー……意味、ちゃんとわかるんですねぇ」ニコ
幸子「あっ……! うぅっ……あぁ……」まっか
まゆ「一人でこっそり調べたりしてるんですかぁ? それとも、友達とそういうお話したり……?」
幸子「ほっ、ほほっといてくださいっ!」プイッ
まゆ「うふふ……やっぱり幸子ちゃんは敬語のキャラクターが似合ってますね~、カワイイですよっ」
幸子「あうぅ……今はちっとも嬉しくないです……」
まゆ「キャラクターといえば、まゆの前ではアレやってくれないですよね」
まゆ「『カワイイボクを見れて嬉しいでしょう? ほらもっとカワイイって言ってください!』みたいなの」
幸子(カワイイ)キュン
幸子「……今のまゆさんにそうゆうのしたら、恥ずかしいじゃないですか……なんかマジっぽくて」
まゆ「あれ、そんなこと言っちゃっていいんですか?」
幸子「もちろん、いつも皆さんに言ってるのも本気ですよ? 」
幸子「ただ……それはアイドル、輿水幸子としての発言であって……」
幸子「まゆさんの前では、着飾らない、ボク、だから……」モゴモゴ
まゆ「……!」ゾクッ
幸子「それに……ボクがお願いしなくたって、いつも言ってくれますから。それで充分です」
まゆ「~~っ!」ツンツンツン
幸子「ふぁふ、ふぁ、ひゃめ、くだふぁいー」
まゆ「幸子ちゃんが恥ずかしいこと言うからですもう幸子ちゃんがカワイクて仕方ありません!」プニプニプニ
まゆ「でもカワイイって言うのもなんだか悔しいのでほっぺをつんつんして発散します!」ビヨーン
幸子「ひょっ、ひょこは素直になってくらひゃいよー! ふへ……」
まゆ「いいんですか素直になって」
幸子「……いいですよー」
まゆ「日が暮れますよ?」
幸子「はい」
まゆ「多分暮れてもやめませんよ?」
幸子「でしょうね」
幸子「そのラージスケールな愛こそがまゆさんのキャラクター……だと思いますから」
おわり
「腹パン」
幸子「一人きり、落ち着いた午後のティータイムというのも、たまには悪くないですねぇ」
幸子「はっ! もしかして今、オトナなボクの新境地とか開拓しちゃったりしているんじゃ……」
バァン
まゆ「幸子ちゃん!」
幸子「あづっ!? な、なんですかまゆさん、突然に……」
まゆ「聞きましたよ幸子ちゃん……幸子ちゃん、実は……」
まゆ「腹パン、をされるのが大好きなんですって!?」
幸子「なんですかその情報っ!?」
まゆ「ごめんなさい、今まで気づいてあげられなくて……」
まゆ「でも大丈夫! これからはまゆ、いくらでも、どんな時でも幸子ちゃんに腹パンしてあげる覚悟です!」
幸子「いやいやいやいや!」
まゆ「えぇ……たしかにまゆ、筋力に自信はありませんし、格闘技の経験もありません」
まゆ「ですが一時期、とあるきっかけで相手を一撃KOする右ストレートの秘密特訓をしたことがありまして……集中できる環境なら多少自信があります!」
幸子「いや、別にパンチ力の心配とかじゃなくてですね!? ていうか何て特訓してるんですか!?」
まゆ「ふぅ……じゃあ、いきますねぇ……」シュッシュッ
幸子「なんですかそのCuアイドルに似つかわしくない腰の入ったフットワークは!?」
まゆ「気張ってくださいねぇ……あ、気張らない方がいいんですかねぇ……? ま、お好きな方でどうぞ……」ググッ
幸子「ちょっ! やめっ! やめてっ! マジでっ! 殴らないで! 絶対殴らないでっ! 絶対で」オタオタ
まゆ「とおっ!」スパーン
幸子「げぶぅっ!?」ゴブー
幸子(あぁ……いし、きが……)フラー
その時の感情は、自分でもその瞬間には説明が付きませんでした。
なんでこんなことになってしまったんだろう。
間違いなく痛い。間違いなく苦しい。のに。
そういった後悔の感情の裏で、痛みの裏で、確かに蠢く背徳的な快感。
お腹の奥から押し寄せるそれは、次第に体全体に広がり、寒さとも恐怖とも違うゾクゾクとした感覚を与えます。
ダメです、こんなの……。
目を背けようとすればするほど、それは心の中で大きくなってゆき、唇から一つの意思となって滑りだします。
――もう、いっかい……。
まゆ「もう、いっかい……殴らせてくださぁい……」ゾクゾク
幸子「だっ、ダメに決まってますよぉ!?」ガタガタ
まゆ「大丈夫です……確かに拳がまだちょっと痛みますけど、全然問題ないですからぁ……!」ハァハァ
幸子「こっちはちょっとどころの騒ぎじゃないんですけど!? 死ぬかと思いましたよ!?」
まゆ「はぁ……はぁ……殴りたい……もうどこでもいいから殴らせてください……」ゾクゾク
幸子「ちょっ! その発言だと完全にアブナイ人ですよまゆさん!」
まゆ「顔面でもいいですから……!」
幸子「ダメでしょ!? 他のどこが良いとしても顔だけは殴っちゃダメでしょ!? アイドルですから!」
まゆ「顔以外なら良いんですね……!」パァァ
幸子「良くないですよ! 言うと思いましたけど!」
まゆ「お願いします……! 先っぽ、先っぽだけでいいですから……!」ゲザァ
幸子「土下座やめてください! ていうかどこの先っぽですか! 下手すりゃ折れますよ!?」
幸子「あーもーキリがありませんよ! このままじゃあ……」
幸子「仕方ないですね! もー……まゆさんっ!」グイッ
まゆ「幸子ちゃ、きゃ、っ……んっ……!」チュー
幸子「……ふは、どう、ですか……正気に戻りましたか……?」カァ
まゆ「ま、まゆってばなんてことを……ごめんなさい幸子ちゃん……」
幸子「いえ、まゆさんが暴走するのはいつものことですからね、全然平気ですよ! フフーン!」マッカ
まゆ「まゆ、幸子ちゃんに腹パンした快感でトリップしちゃってました……」
幸子「な、なんかヤな表現ですねそれ……」
まゆ「幸パンキメちゃってましたから……」
幸子「ちょっ! ダメですその略し方は! 絶対変な誤解されちゃいますって!」
まゆ「……変な誤解?」
幸子「そうですよ! その略だとまるでまゆさんがボクのパン……」
幸子「…………!」カァ
まゆ「幸子ちゃんは、どんな誤解をされると思ったんですかぁ?」ニヤニヤ
幸子「ちちちっ、違いますっ! ボクのこれはあくまで一般論としてですね……」
まゆ「まゆ聞きたいですぅ~、幸子ちゃんの、思春期の芳醇なキ・ラ・メ・キ」
幸子「……かんべんしてください」プシュー
まゆ「うふふ、蚊の鳴くような声で聞き取れませんねぇ」ニコニコ
幸子「うゥ……わかりましたょぉ」
幸子「今度から指先噛むぐらいなら、許してあげます、から……」
幸子「それで、いいでしょう……?」
まゆ「幸子ちゃん……!」パァァ
幸子「はぁ……痛いのキライなんですけど……」ボソ
まゆ「これから顎を鍛えて、がんばって幸子ちゃんの肌を貫けるようになりますね!」
幸子「やめてください!」
まゆ「でも噛むっていったら」
幸子「こうして口に含んで」アグ
幸子「痛くないように噛むのが甘噛みです」アー
幸子「噛むというよりは挟むという感じですね」
まゆ「なるほど」アグ
まゆ「…………」アー
まゆ「……全然痛くないじゃないですかっ!」バンバン
幸子「最初に『痛くないように』って言いましたよね!?」
まゆ「うぅ……駄目です……痛くしなきゃ幸子ちゃんのあのカオが見られない……」
幸子「へ? ボクですか?」
まゆ「そうです……! あの幸子ちゃんの苦痛に歪んだ顔……! はぁ……思い出しただけで……」コーコツ
幸子「いっ、いやいや! やめてくださいよ! ボクはもうあんなの二度とゴメンですからね!」
まゆ「へっ?」
幸子「へっ? じゃありませんよ! あんな痛いの……!」
まゆ「だって……幸子ちゃんは腹パンされるのが大好きだって……!」
幸子「デマですよ! ていうかまだ信じてたんですかソレ!」
まゆ「そんな……ウソよ……」ヘタッ
幸子「諦めてください」マガオ
おわり
「SM」
幸子「全く……別にそんなことしなくてもほら、ほ、ほかにもいろいろ、二人でやることも、あると……思いま、せんか……?」モジモジ
まゆ「まだ……わかりませんよぉ……」
幸子「えっ? 何が……」
まゆ「幸子ちゃんが……無自覚Mという可能性もありますから……!」
幸子「ありませんよ!」
まゆ「いえいえいえ……無自覚Mの方はみんなそう言うんです……なんせ無自覚ですから」チッチッチ
幸子「なんですかその論法! なんでもありじゃないですか!」
幸子「それなら、そう! まゆさんだってMじゃないんですか!?」
まゆ「まゆが……M?」
まゆ「くすくす、ありえませんよ、幸子ちゃん。まゆは幸子ちゃんの悶える姿が見たくて見たくてたまらないんですから……」
幸子「そうでしたー!」ガーン
まゆ「さぁ、SM診断を始めましょうかぁ……!」
まゆ「これは診断ですから……私情で拒否は出来ませんよぉ~?」ハァハァハァ
幸子「滅茶苦茶私情入ってませんか!?」
まゆ「さぁ……お楽しみタイムです……!」
幸子(どうみても私情です!)
まゆ「さぁ……構えてくださいねぇ……」シュッシュッ
幸子「ひいぃ! これじゃさっきと同じ流れじゃないですか!」
幸子「ボクは痛いのキライなんですって! 辛いのも苦しいのも縁遠い温室のカワイイお嬢様で居たいんですよ!」
まゆ「えぇ……でも、なんかそうやってムキになって否定すると、かえってMっぽくないですか?」
幸子「どうしろって言うんですか……」
幸子「あんなに痛いのもう一度食らったら、ボクもう立ち上がれませんよぉ……」
まゆ「はっ……! それはそういう遠回しなフリですか! そうなんですね!?」
幸子「だからボクはリアクション芸人でもありませんって!」
まゆ「……こんなに頼んでもダメですか?」
幸子「逆に聞きますけど……何がそんなにイイんですか?」
まゆ「幸子ちゃんのカワイイ顔が苦痛に歪んでって、耐えて、耐えて、耐えて、耐えられなくて、涙がポロって出て、肩がガクって震えて、弱々しくすがるような瞳でまゆを見て、もう抱きしめてあげたいくらいカワイイの。でも殴ったのもまゆで、見つめられた瞬間に罪悪感と高揚感が一気に高まって頭ん中一気に真っ白になっちゃって何も考えられなくて、ドクンドクンってばかみたいなまゆと幸子ちゃんの心臓の音だけ聞こえるの」
幸子「…………」ドンビキ
まゆ「幸子ちゃん? なんでそんなに離れてるんですか?」
幸子「いや、予想以上に、まゆさんの考えてることが、その……レベル違いなアレだったので……今更身の危険を」
まゆ「あと。こんなことしても側にいてくれるなんてまゆは愛されてるなぁ、とか思えるのも大きな理由です」
幸子「…………」
幸子「まぁ、悪気がないのは、わかってますから……」ソッ
まゆ「うふふ、戻ってきてくれました、幸子ちゃんっ」ヒシッ
幸子「いきなり殴ったりなんて、するわけないですよね」
まゆ「もちろん、幸子ちゃんが嫌がってる限りするつもりなんてありませんよぉ」
幸子「全く、華奢でカワイイボクに腹パンなんて、論外ですよ!」
まゆ「最初のは勘違いだったのでノーカンです」テヘペロ
幸子「もぅ、調子いいんですから……」
まゆ「結局、SM診断では何にもわかりませんでしたね」
幸子「…………」
まゆ「まぁ、これといったことはさせてもらえなかったので、当然と言えば当然ですけど」
幸子「……そうですね、折角ですし、してみますか、診断」
まゆ「えっ? いいんですか!?」キラーン
幸子「えぇ、じゃあそのソファーの前に立ってください」
まゆ「はい、ですけど、なんで急に」
幸子「えいっ!」ドーン
まゆ「きゃあっ!?」ボフンッ!
まゆ「いたた……なにするんですかさちこちゃ……ん?」
幸子「ふふ……今日さんざ振り回されたボクからのささやかなプレゼントですよ……!」ウマノリ
まゆ(まゆ、何故かソファーの上で押し倒されてます!?)
幸子「ねぇまゆさぁん……SMって、必ずしも痛みを伴うってワケではないですよねぇ……?」
まゆ「えっ、ええ……でもやっぱりSMといえば叩いたり鞭とか……」
幸子「まゆさん」
幸子「誰がボクに口答えして良いって言いましたか?」アゴクイッ
まゆ「!!?」ドキッ
幸子「…………」ジー
まゆ「……?」
幸子「悪いことしたら、謝罪の言葉」
幸子「これくらい、小学校で習いませんでしたかぁ?」
まゆ「あ……は、はい、ゴメンナサイ……」
幸子「はぁ……まったく」
まゆ(た、ため息……いつもの幸子ちゃんじゃない……)
幸子「……ん」ヒョイ
まゆ「……手?」
幸子「指」
まゆ「指……?」
幸子「舐めてください」
まゆ「指を舐めっ……! な、なんでっ!?」
幸子「わからない人ですねー?」
幸子「舐めろ、って言ってるんですよ」ズボッ
まゆ「ん、んむぁ、んむぅっ……!?」ゾクッ
幸子「あ、口答えしたからもう一本追加ですね」ズボッ
まゆ「あっ、ん、んむちゅっ、はむうっ、あむうっ……」ゾクゾクッ
幸子「んー……下手ですね」グリグリ
まゆ(何これ……口の、中がぁ)
まゆ(幸子ちゃんの指で、いっぱいで……)
まゆ(まゆのぜんぶを支配されちゃってるみたいで、ゾクゾクして……たまりません……)
まゆ「んっ……ちゅぱっ……ちゅるるっ、れるっ、はむっ」
幸子「ぅ、あ、ひゃ……」ビクッ
幸子(な、なんか指にまゆさんの舌が絡み付いて……すごくくすぐっ……ヘンになってきました……)
幸子(どうしよう、なんか悪ふざけでしたじゃ済まない感じになってきてませんかコレ……?)
幸子(まゆさん、すごいコーコツとした表情になって……いるような……)
まゆ「んふぁ……んちゅ……」トローン
幸子(っていうか、吸い付いて離してくれません!)
幸子「も、もう終わりですっ、離してくださいー」
まゆ「んっ……やぁ、もっとぉ……」チュー
幸子(厄介なわがままゆさんです!)
幸子(はっ! そうだ、逆に今の状況を生かして……)
幸子「まさかボクの言うことが……聞けないっていうんですかぁ? ま・ゆ・さ・ん……?」
まゆ「はっ! はひぃ……ごめんなさぁい……」アーン
幸子(効いた! 流石ボク! とっさの機転に定評がありますね!)
幸子(指がデロデロ……これはウエットティッシュで拭けばいい……としても)フキフキ
まゆ「はぁ……はぁ……はぁ……」トローン
幸子(なんでまゆさんはソファに倒れこんだままなんでしょうか……)
幸子(それに心なしかさっきよりも更に……その、蕩けた表情をしているような)ドキドキ
まゆ(次は幸子ちゃんにどんなことしろって言われちゃうんでしょうか……?)ドキドキ
幸子「…………」
まゆ「…………」
幸子「あ、あーもう! 直球に聞きます!」
幸子「もしかして、まゆさんはえ、Mなんですか?」
まゆ「……っ、かも、しれないです……激しく求めたり、求められたりっていうのが、まゆには合っているみたいで……」
幸子「で、ですよねー、すごい、物欲しそうな目でしたから……」
まゆ「幸子ちゃん、は……?」
幸子「…………」
幸子「嘘はつきたくないので、正直に言います」
幸子「ボクはさっきも今も、そういう……ことをしたからといって、特別興奮したりは、しませんでした。たぶんノーマルってやつです」
まゆ「そう……ですよね。いいんです。それがふつ」
幸子「待ってください、まだ続きます……!」
幸子「ボクはまゆさんをいじめるようなことをして楽しいとは思いません。ですが……」モゴモゴ
幸子「…………」チラ
まゆ「……?」
幸子「まゆさんのそーゆー姿を見るのは、好きです」カァ
まゆ「…………」カァ
幸子「でっ、ですからっ! まゆさんがしてほしいというのであればボクがするのもやぶさかではないということです! 以上!」
幸子「うぅ……恥ずかしいです……」
まゆ「ありがとう、しっかり伝わりましたよぉ、幸子ちゃんの気持ち」
まゆ「でも最初ノリノリだったから、てっきり幸子ちゃんもそっちなのかと思ってました」
幸子「あれは冗談のつもりで……ちょっと聞きかじったものを真似てみただけです」
まゆ「そうなんですかぁ……迫真の演技、でしたよぉ」
幸子「まゆさんもボクにしてほしいことがあるなら……教えてくれれば、今すぐにでもやってあげますよ?」チラ
まゆ「……!」ゴクリ
幸子「あるんですね?」
まゆ「実は、ちょっと前に噂に聞いたモノがあって」
まゆ「その時は変だと思ったんですけど、今ならその衝動がまゆにも理解できます……!」
幸子「な、なんですか一体……?」ドキドキ
まゆ「首絞めしてください!」
幸子「えっ?」
まゆ「首絞めです」
幸子「九尾使目?」
まゆ「まゆの首を締めてください」
幸子「……なんで?」
まゆ「気持ちいいからです」
幸子「……なにが?」
まゆ「そうですね……サイトに書いてあったこととまゆの妄想を合わせて考えるとやはり生死与奪の全てがパートナーの腕に委ねられるのが最大のポイントですね。もうその時点でまゆは幸子ちゃんに絶対に逆らえない、絶対的な支配下にあるんです。その絶望感と退廃的な安心感を想像しただけでもうまゆのカラダが」バクンバクン
幸子「すみません、急用を思い出しました、今日はこれで失礼します」トリハダ
まゆ「えっ? そんなはずはないですよぉ、だって幸子ちゃんの今日のスケジュールは変更の余地なんてあるはずが」
幸子「すみませんホントすみません無理です帰らせてくださいさようならまた明日」バタン
タッタッタッ
まゆ「…………」
まゆ「本当に帰っちゃいました」ポツン
まゆ「いったいどうして……」
まゆ「……!」ハッ
まゆ「まさか……これが放置プレイというヤツですか!?」
まゆ「あんなこと言ってぇ……! やりますね幸子ちゃんっ……!」ゾクゾクッ
おわり
「ビフォーアフター」
幸子「あ、これまゆさんがファッションモデルしてる雑誌ですねー、読んでいいですか?」
まゆ「えぇ、どうぞ」
幸子「おぉ……」パラパラ
幸子「ありました! 今号もカワイク写ってますね! まゆさん!」
幸子(後で自分用に買いに行きましょう)
まゆ「えへへ、ありがとうございます」
幸子「まゆさんの載る雑誌はロリータ系が多いですから、ボクも素で読んでて参考になりますね……」ペラ
幸子「あ、この子とかカワイイですね~、やっぱり髪長いといろいろ遊ばせられて自由度高そうです……」
まゆ「まゆもこういうロングヘアーとか、憧れるときがあります……カワイイですよねー」ホワー
幸子「この子背ぇ低いのにすごい胸おっきい……いいなぁ……」ペラ
まゆ「幸子ちゃん……声に出てますよ……」
幸子「えっ!? いやあの今のはっ」ドキッ
まゆ「もー、幸子ちゃん、めっ、ですよっ」
幸子「…………」
まゆ「幸子ちゃん?」
幸子「あっ……いや、ちょっとまゆさんと付き合い始めた頃のことを思い出してました」
まゆ「思い出す、って……そんな前でもないじゃないですかぁ」
幸子「はい……だけど、その短い間でも結構変わるものだなぁって」
まゆ「えぇ……まゆは、幸子ちゃんのことがもっともおっと好きになりましたよ?」
幸子「そういうところは全然変わりませんね、あはは……」
まゆ「幸子ちゃんはまゆのどういうところが変わったと?」
幸子「う、うーん……言いづらい、というかむしろ今だから言えるというか……」
まゆ「そんな勿体ぶられたら気になるじゃないですかぁ、ほら早くっ」
幸子「……覚えてませんか? 前にも似たようなやりとりがあって……」
――――
―――
――
幸子『あ、これまゆさんの載ってる雑誌ですね……? 見てもいいですか?』
まゆ『えぇえぇ、ぜひ見てくださいっ』
幸子『わあぁ……とってもカワイイ……よく似合ってますよ!』
まゆ『うふふふっ、ありがとうございます、幸子ちゃん』
幸子『でもやっぱり……ホンモノのまゆさんが一番カワイイです……』
まゆ『幸子ちゃんったら……まゆ嬉しいです……』
まゆ『よ、良かったらその本どうぞ……まゆは家にもう一冊あるので、プレゼント……です』
幸子『良いんですか!ありがとうございます!』
幸子『では早速……』ペラペラ
まゆ『……?』
幸子『まゆさんが載っているだけあって、他のモデルの子たちもレベルが高いですねぇ……』ジー
まゆ『幸子ちゃん?』ユラァ
幸子『なんです……ひっ!?』
まゆ『なんでページをめくるんですか?』
幸子『え……? だって』
まゆ『なんでまゆのページ以外を見る必要があるんですか?』
まゆ『それってまゆ以外のカワイイ女の子に興味があるってことですか?』
幸子『違います違います!』
まゆ『あとやたらページ左下の子を見てましたけど、まゆより胸の大きい子の方がお好みですか?』
幸子『そっ……れは……その隣のコラムを、見てました……』
まゆ『……ロングヘアアレンジのコラムを、ですか?』
幸子『…………』
まゆ『幸子ちゃん……まゆ、ウソだけは絶対に許せないんです……』
幸子『……その子見てました。羨ましいなぁって思って』
まゆ『本当ですか?』
幸子『本当にそれだけです! ボクはまゆさんのことが一番好きですし!』
幸子『証明だって……して、みせますよ……』カァ
まゆ『幸子、ちゃん……』ドキ
幸子『目、閉じてください……』
まゆ『んっ……』
――
―――
――――
まゆ「思い出しました……」
幸子「あの頃は……何かとまゆさんが不安がって……」
幸子「そのほとんどをキスで納得させてましたね……」カァ
まゆ「だって……男の子女の子問わず大人気の幸子ちゃんですから」
まゆ「悪い虫が……いつ寄り付くかわからないじゃないですか……」ユラ
幸子「でも最近はそこらへんゆるくなりましたよね」
まゆ「まゆはもう幸子ちゃんを信頼してますから……」
まゆ「付き合って話をして、仲を深めていくたび幸子ちゃんの人柄がどんどん理解できるようになって、それが嬉しくて仕方ないんです」
まゆ「まゆを見るときと、それ以外のときの幸子ちゃんの目つき……そこに込められてる違いが、今ならなんとなく感じられます」
幸子「まゆさん……」
まゆ「それに、幸子ちゃんのお部屋に……あっ、いえ、これはなんでもないです」
幸子「え、ちょっと待ってください」
まゆ「いや、幸子ちゃんのお部屋素敵だったなーって……」
幸子「それだと唐突すぎますよね!? えっ、何があるんですボクの部屋に!? 怖い!」
まゆ「大丈夫ですよ……幸子ちゃんが悪い事をしなければなにも問題ないですから……」
幸子(問題あるでしょう……)
まゆ「安心してくださいねぇ……まゆ、ずーっと、見て、ますから」ニコォ
幸子「ヒイッ……!」メソラシ
幸子(あ、しまっ……)
まゆ「幸子、ちゃん……?」
幸子(まゆさんと長い間一緒にいて分かったこと)
幸子(まゆさんにとって見つめ合うという行為は特別な意味を持つらしく)
幸子(今みたいに慌てて目をそらそうものなら……)チラ
まゆ「どぉして、まゆから、目をそらすんですかぁ?」
まゆ「まゆはこんなにまっすぐに、じっと幸子ちゃんを見つめているというのに」
まゆ「どうして、どうして、どうして……?」
まゆ「やましいことがあるから……? 心に引っかかるものがあるから……?」
まゆ「まゆの目が届かないところで、まゆの耳が聞こえないところで」
まゆ「そんなの、絶対に……ゆるせない」ゴゴゴ
幸子(ほぼ確実に、こうなります……)ゲッ
幸子(でもこうなるのもある意味、慣れっこですからね)
幸子(パートナーへの失態をサラッとフォローしてこその、阿吽の呼吸というものでしょう?)
幸子(こういうときのまゆさんには、『愛』を絡めたロマンチックな言葉が効果的!)
幸子「すみません、つい……」
幸子「太陽のように照り付けるあまりにも大きなまゆさんの愛を前に、咄嗟に目を閉じることしかできなかったボクを許してください……」
幸子「あぁ、なんと罪深くも甘い、禁断の果実のような人なのでしょうか……」ドヤァ
幸子(決まった!)フフン
まゆ「それ、ちょっと……まゆがはずかしいです……」カァァ
幸子(やり過ぎた!)カァァ
まゆ「ご、ごめんなさい……変なこと言わせちゃって」
幸子(謝らないでください! 余計恥ずかしいです!)プルプル
まゆ「…………」
幸子「…………」
幸子(そしてこの空気!)
幸子(阿吽の呼吸なんて、ボク達にはまだまだ遠いみたいですね……)
幸子「……はぁ」
まゆ「…………」モジ
幸子「…………」モジ
さちまゆ「……あのっ!」
幸子「えっ……?」
まゆ「あら?」
幸子「…………」
まゆ「…………」
さちまゆ「……まゆさん(幸子ちゃん)からどうぞ!」
幸子「あれー?」
まゆ「うふふっ」
幸子「もう、いつまでやる気ですか……まゆさん、お先にどうぞ」
まゆ「いえ、大したことではないので、幸子ちゃんからどうぞ」
幸子「すみません、実はボクも全然つまらないことで……」
まゆ「……というとまゆ達は、お互いどうでもいいことを言おうとしてこんなにつっかえて……?」
幸子「ハハハ……今日はなんだか噛み合いませんねー……」
まゆ「なかなか阿吽の呼吸、とはいかないものなんですねぇ」
幸子「!」
幸子「そっ、そうですよね! でもでもっ……そんなに、そんなに遠くないと思いますよっ? ねっ!」
まゆ「急に嬉しそうに……どうしたんですか?」
まゆ「変な幸子ちゃん」クスッ
おわり
以上です。ハッピーバースデイ!(微遅刻)
日常のやり取りを目指したはずでしたが、気づいたら甘々な感じになっていました。
ご覧頂きありがとうございました。
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