前川みく「人になったネコチャン」 (41)
もしも、前川みくは本当はPが拾った捨て猫だったらと言うIFなお話。
公式の前川みくとは設定が大きく異なるのでご注意ください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1471187195
吾輩はネコである。
名前は前川みくと言う……にゃ。
うぅ……頭……痛い……
奇妙な夢から覚めるとみくは真っ先に体の違和感を覚えたにゃ。
爪を伸ばすことが出来ない代わりに、自由に動く五本の手。
地面を蹴って体をジャンプさせるには到底非力な細い足。
そして、沢山の記憶がぐるぐると頭の中を渦巻いていて、酷い頭痛に見舞われる。
この記憶がなんなのかみくには判別がつかないのにゃ……
「うぅ……」
自分の声なのに聞いたこともないような、うめき声に違和感を覚えつつも、みくは頭を抑えながら二本足で立ち上がる。
……立ち上がる……?
おかしい……おかしいにゃ!
みくは……みくは……
その時渦巻いていた記憶の一部がみくの頭の中にスッと入ってくる。
みくの名前は前川みく……
「みくの名前は……前川……みく……?」
自分の名前を口に出すと、その響きはひどく聞き慣れないフレーズだった。
その様はまるで記憶を失ったようで……
違う……違う……!
みくは記憶なんか失ってにゃい!
−−−−−−
−−−
−
「おーい、みくー!こっちおいでー」
−−−−−−
ひどく聞き慣れた声色の男の人の声が頭の中にフラッシュバックした。
そうにゃ……みくは……みくは……!
ネコチャンだったはずなのにゃ!
今日はここまでです
ゆっくりと書いていきますので、よろしければ、お付き合いして頂けると嬉しいです
−−−−−−
「ニャーン、ニャーン。」
吾輩は猫である。
名前はまだ無い…にゃ。
これは、みくが捨て猫だった頃のお話にゃ。
その日、雨が振り続ける中でみくは何度も何度も鳴き続けたにゃ。
そこは、とある住宅街の路地にある電柱の下。
白猫の子供で長い尻尾が特徴の生まれて間もない子猫チャンだったみくは、住み慣れていたダンボールの中でいつものように眠っていたにゃ。でも、いつの間にかダンボールは外にあったのにゃ。
最初は驚いたにゃ。
だって寝ていたらいつの間にか外にいたんだもん。
みくは捨てられたんだと……今ならわかるにゃ。
でも、当時のみくにはたまに通り過ぎていく人々に向かって小さな声で鳴くことしかできなかったのにゃ……
お腹空いたにゃ……
気づかずにに通り過ぎていく人。
チラッとこっちを見るも顔をしかめて通り過ぎる人々。
みくのことをまじまじと見つめていた人間の子供は、母親らしき人間に連れて行かれたにゃ。
結局、みくは誰にも拾われなかったのにゃ。
世知辛い世の中にゃ。
そして、雨は依然として降り続き、日が沈んでから長い時間が経ったのにゃ。
その時、みくは白い体を縮こまらせて、鳴いても無意味だと悟ってじっとしていたにゃ。
「ん……捨て猫……?」
そこに、傘をさした一人の若い男の人が近づいて来たにゃ。
その男の人は黒いスーツを着ていて、疲れ切った目をした薄幸そうな人だった……。
みくを見下ろしながら思案顔の男の人は、決心を決めたのか、しゃがむとひょいとみくを持ち上げたのにゃ。
うぅ……疲れた……にゃ……
お腹……空いた……
拾い上げられたみくは、しばらく鳴いて、その後眠りに落ちていったのにゃ……
遅れてしまい申し訳ありません。
今日はここまでです。
男の人という表記ですが後々の誰のことかは予想はつくと思います。
−−−
みくが次に目を覚ましたのはふかふかなタオルの上だったにゃ……
みくは外に捨てられていた時に入っていた物とは違う、新品のダンボールにタオルが敷き詰められていて、その上に座っていた。
ここはどこにゃ……?
みくは自分のいる部屋を見渡してみる。
ふむふむ……白い壁に無駄な装飾のないさっぱりとした部屋だにゃ。
どうやら、みくは屋内にいるようにゃ。
ってことはみくは拾われたのかにゃ?
誰に?……って普通に考えてみればあの男の人かにゃ?
……うぅ……お腹空いたにゃ……
拾われたことで心に余裕が出てきたのか、急激な疲労感、空腹感に襲われながらもみくは、なんとか声を振り絞ってニャーニャーと鳴いてみる。
捨てられる前ならみくが鳴いているとお母さん猫がミルクをくれたはずなんだにゃ……
うぅ……でもみくは生まれてすぐに捨てネコチャンになっちゃったからお母さん猫のことをよく覚えてないのにゃ……
「ん? おー、目が覚めたみたいだな。」
みくが鳴いていると部屋の奥からさっきの男の人がワイシャツ姿で現れた。
「よしよし……ん? そんなに鳴いてどうしたんだ?」
お腹が空いたのにゃ!
でも、子猫チャンだったみくは鳴くことしかできない。
うぅ……わかってもらえるまでみくは諦めないにゃ!
ニャーニャー!
「ん? そうか、お腹が空いているんだな? ちょっと待ってろ。」
そう言うと男の人は、また奥に行ったのにゃ。
やった!伝わったのにゃ!
子猫チャンだったみくには、人間の言葉はわからないのにゃ。
でも、当時のみくは男の人がゴハンを持ってきてくれる。そう確信したのにゃ。
「うーん、生後数週間……ってところか? それなら今、食べさせられるのは……牛乳とかか? 後で調べておかなきゃいけないことがたくさんあるな……」
奥の方から声が聞こえてくる。
後少しで辛抱にゃ……
しばらくすると、男の人がお皿に牛乳を入れて持ってきた。
やったにゃ!ゴハンにゃ!
クンクン……チロチロチロ……
みくはお皿に注がれた牛乳を舌ですくい取って飲む。
ふー、生き返ったにゃぁ……
うん?男の人がさっきからこっちを見てるにゃ……そうだ!今日からこの人がみくの新しいご主人だにゃ!
うん、みくにこうやってゴハンをくれたし、またみくを外に捨てたりしないはずだにゃ! ……捨てないよね?
うぅ……みくの飼い主になってほしいにゃぁ……
でも、子猫チャンのみくには、言葉で訴えることができなかったのにゃ。
だから、行動で訴えることにしたのにゃ。
スリスリスリ……
「おお? くすぐったいな。」
スリスリスリ……
「こうやって擦り寄ってくれるってことは、懐いてくれたんだよな……?」
スリスリスリ……ニャー
「拾ったときから名前を考えていたんだが……うーん。 『みく』なんてどうだ?」
ニャー!
あっ、ご主人がみくから離れていくにゃ。待ってほしいにゃー
「おーい、みくー!こっちおいでー」
トテトテ……スリスリスリ……ニャー
「あはは、可愛いやつめ!」
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これが、みくのご主人であり、そして前川みくが今、一番会いたい人との出会いだったのにゃ。
今日はここまでです。
猫時代での回想のお話はもうちょっとだけ続きます。
かなり間が開いてしまって申し訳ありません
更新再開するまで、まだ時間がかかってしまいそうです
それまで、気長にお待ちしていただければ幸いです
取り敢えず、生存報告です。
予想以上に私事長引いてしまい、まだ更新ができそうではありません。
再開できそうになったら、報告します。
すみませんm(_ _)m
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