善子「彼女とゲヘナへ堕ちたなら」 (67)

梨子「彼女は悪魔を律せない」

つづき。アニメ設定に合わせたところもあるので補完してください。


ラブライブ板で書いていましたが規制による規制でほとんど書き込めなくなったので、残り数レスでしたが、こちらで終わらせます。もし誘導してくださる方がいましたらお願いいたします。



梨子「あっ♡やっ♡」ビクビク



善子「ほらみて、ドロドロよ、リリー♡」

梨子「……や、やめてよっ」////

善子「ちゅ……れろ」

梨子「なっ////」

善子「はぁ……リリーの味がするわ♡」

梨子「なにしてるのさ! ばかっ!!」////

善子「最近リリーの、なんだか白くてドロドロしてる、どうして?」


梨子「っもう!!」



梨子「よっちゃんが……最初の時よりう、上手く……なってきてるから、だよ……///」ボンッ


梨子(弱いところあんなに責められ、たら……)

善子「ヨハネのテクニックは底知らずだものね、人間が正気を保っているだけ上出来よ♡」


ギュッ


善子「リリーの匂い、好き」

梨子「あの、恥ずかしい、んだけど……」///


スンスン

善子「安心する……いい匂い」


梨子(うー、よっちゃんこんなのばっかりー……)


梨子「よっちゃん、さっきまであんなに情けない声、だしてた」

善子「お互い様でしょ!!」

梨子「私はそんなに……」


梨子「大体、声出しすぎると、千歌ちゃんに聞こえちゃうから……」

善子「……リリーはヨハネのものってこと千歌ちゃんに教えてあげるいい機会で――」

ポカッ

梨子「ばか」



◇――――◇



梨子「熱い……」


梨子「……あつい」


梨子(なんでクーラー、ないの……)


梨子(音ノ木坂はあったのに……)

梨子(田舎だから……?)


梨子(一応私立なのに……)


梨子「……」ダラダラ…



千歌「梨子ちゃんすごい汗ー」

梨子「え、だって……あつ、くない?」

千歌「そうかな……まだ6月だよ」

梨子「でもすぐ7月だよ……」

梨子(他の子も全然汗掻いてない……)

梨子(ああもう……向こうにいた頃は汗描くの、登下校と体育の時だけだったのに……)


曜「海に入りたくなってきたー!!」

千歌「よし、海開きだー!!! 今日の放課後いこうっ!!」

曜「あ、また今年も水着買ってない……」

千歌「スクール水着でいいよー!」

曜「だよねっ!」

梨子「え」

梨子(……い、いい、の?)

梨子「そ、それより……」

千歌「ん? 梨子ちゃんも行こうね」

梨子「う、うん。それはいいんだけど」

千歌「?」

梨子「……ほ、本当にここの学校クーラー、ないの?」

千歌「――あるわけないじゃーんっ、学校にクーラーなんてっ」

曜「本当だよ、どうしたの梨子ちゃん」

梨子「そ、そうだよね……あはは」

曜「扇風機あるしね」

梨子「……」ダラダラ…


梨子(熱い……)


◇――――◇


善子「リリー」

梨子「?」

ポン

グシャ…

梨子「ひっ」

善子「リリー、汗掻きすぎよ、背中ぐっしょり」


梨子「よ、よっちゃんが背中なんて叩くからっ。もう、これじゃあシャツの上からでも、汗掻いてるのバレちゃうよ……」


善子「もう帰るだけなんだからいいでしょ、相変わらずリリーは汗っかきなんだからー」


梨子「……そんなこと言うならよっちゃんだって」

善子「なによ」

梨子「いっつも前髪気にしてる」

梨子「もう帰るだけなんだから、前髪なんて気にしなくてもいいのに」


善子「わかってないわね、ヨハネは天界と魔界から見られ続けてるの」

梨子「ふぅん」

梨子「あー、早くシャワー浴びたい……」

善子「♡」ギュッ

梨子「ひゃっ……い、いまは汗掻いてる、からっ」

スンスン

善子「……はぁぁ♡」

梨子「ち、ちょっとっ」

善子「なんか、懐かしい……リリーいっつもはすっごくいい匂い、なのにね」


善子「リリー……制汗剤と汗の匂い、混じってる……♡」スンスン



梨子「い、いやっ!!」ブンッ


善子「ちょ、そんな振りほどかなくっても」


梨子「っ……」ウルウル



善子「え……あの」

梨子「……今日、うちに来なくって、いいから」

善子「え」

梨子「もう、知らないっ!!!」ダッ


善子「ちょっとっ、待ちなさいよっ!!」

善子「……」


善子「な、なによぉ……」ウルウル

善子「……」


◇――――◇

梨子「……恥ずかしいに、決まってるでしょ」

梨子「なんでそんなことも、わからないの……」



 リリー、ごめんなさい。22:32


 ねえ、電話に出てよ。 22:33

 リリー、怒ってる?  22:33

 ごめんなさい……私  22:33


梨子「……」


プルルルルルル

梨子「……」プクッ…


梨子「今回は許さないんだから」

梨子「仕返し、だからね」
 

◇――――◇

お昼



善子「……リリー、なんで来ないの」

善子「……」

善子「ふ、ふん……一人で食べた方が落ち着くわよ」

善子「……」

善子「久しぶりに、悪くない、もん……」モグモグ



◇――――◇

千歌「あれ、善子ちゃんのところいかないの?」

梨子「ああ、今日はちょっと……」

千歌「そうなんだ」

梨子「あっついね……」パタパタ…

千歌「そうだね、ちょっと暑くなってきたね」

曜「うーみー!!!」

曜「早く行こうって!!」

千歌「うぅっ、行こうっ!!!!」

曜「あ、でも今日用事あったんだ……」

千歌「ええーーっ」


◇――――◇
練習中


善子「……」

花丸「善子ちゃんどうしたの?」

善子「べつに……」

善子「あと、ヨハネだから……」

善子(……リリー、全然目を合わせてくれない……話しかけても、くれない……)

善子「……」


梨子「よっちゃ――"善子ちゃん"、そこのラジカセ取って」

善子「え……」


梨子「……」


梨子「どうしたの、善子ちゃん」


善子「なん、で」

梨子「……それ、とって」

善子「……はい」

梨子「ありがとう」


梨子「ん、千歌ちゃんこれどうやって」

千歌「ん、これはね――」

梨子「わ、ありがとね」

千歌「ふっふー、機械に強い千歌ちゃんなのだ! 褒めて褒めて!」

梨子「ふふっ、よくできました♡」ナデナデ




善子「……」ウル…ウル


善子「と、トイレ……行ってくる」

花丸「……善子ちゃん?」

花丸「マルもトイレ行ってきます!」


◇――――◇


花丸「善子ちゃん!!」


善子「っ」ビクッ

善子「な、なによ……」ナミダメ…

花丸(涙目……)

善子「ぅ……」ウルウル

善子「っ」ゴシゴシッ

善子「き、今日はなんだか目にゴミがはいるわ」

花丸「……善子ちゃん」

花丸「大丈夫?」

善子「な、なにがよ……あと私は、ヨ、ハネ」ウル…ウル

花丸「……」

花丸「うん、善子ちゃん……ちょっとあそこの教室、いこ?」


善子「な、なによ私は……」

花丸「いいから」

◇――――◇

花丸「マルが力になれること、あるかな?」

善子「……」

花丸「もしかして、梨子さんのこと?」

善子「っ」

花丸「喧嘩、とか……」

善子「……ぅ」

善子「ひっぐ……ぅぅ」

花丸「よ、善子ちゃん!?」

善子「えぐ……ぅ、ぅ、どう、すればいいの」

花丸「えっと……謝るしか、、ないと思うずら」

善子「でも、でも」


花丸「よしよし」ギュッ

花丸「いつから善子ちゃんは泣き虫になったの? それじゃあ昔のマルとおんなじだよ」ポンポン

善子「だっ、て」

花丸「梨子さんのことは、好き?」

善子「――好き、好きに決まってる!!!」


◇――――◇


 軽い、気持ちだったんだ。

 今までだって、よっちゃんは私に恥ずかしいことばかりさせようとしてきたけれど、それはなんだか、嫌じゃなかった。

 今回だって、そういうはずだったんだけれど、今回は……私が気にしてること、だったし。

 だから、以前よっちゃんに怒ってるフリしたのと同様に今回も仕返ししてやるーって、気持ちだったの。

 本当に、怒ってたのも、事実だけど。

 さすがにいきなり津島さんて呼ぶのはメンバーのみんなにも迷惑かけちゃうし、ここは付き合う前に呼んでいた善子ちゃんって呼び方で……揺さぶって、みた。

 想像以上にしおらしくなっちゃって、大丈夫だったかな……姿が見えないけれど。

 ちゃんと謝ってくれてたし、今日の帰りにも許してあげないと。


果南「あれマルと善子戻ってこないね」

曜「どこかでさぼってるとか」

千歌「えーっ、そんな」

梨子「私が……見てくるよ」

果南「でも」

梨子「いいから、ちょっとっ待っててね」


 私は少しだけ、不安だったのかも、しれない。


◇――――◇



 トイレには、いなかった。わざわざ違う場所のトイレにいくだなんて、考えられないし、なら、一体……。

 その時点で、私の足は普段よりも早くどことも知れぬ場所を目指していた。怪我はしてないだろうし、保健室はないよね。じゃあ二人は一体どこに。

 
 そして、トイレの奥にある教室へ近づいた時だった。



善子「――好き、好きに決まってる!!!」


 いつだったか、雷を呼び寄せたみたいな、そんな叫び声を聞いた気がする。そう、向こうの教師から響いてきた、怒号は、それにかなり、近い。ううん、私が聞き間違えるはずなんて、ない。――よっちゃんの声だ。


 でも、どういうこと? 好き? ……わかん、ない。


 そーっと、足音を忍ばせて、息を殺して……教室の中を覗き見る。


梨子「っ!?」



 わけが、わからなかった。

 
 教室の机に座り込むよっちゃんの正面から、マルちゃんが……抱きしめている。

 よっちゃんの背中をさすって、耳元で、なにか、囁いているようだ。

 よっちゃんのすすり泣く声が、微かに、聞こえる。


梨子「どういう、こと……?」


 好き? よっちゃん……マルちゃんのこと、好き……だった、の?

 わけが、わからないよ。あんなに、私のことを好きって言ってくれたじゃない、リトルデーモンの証って言って何回も何回も……契約をしたでしょう?

 ……全部、裏切る、の?


 それとも……なに、私が、ちょっといじわるしたから……愛想、つかされたの?


 涙が溢れそうになった。でも、まだ練習は続いてる。ここで泣いてしまったら戻ってからみんなに迷惑をかけて、しまう。見ていれば、みているほど、頭を抱えて、叫びたくなった。でも、出来なかった。

 どこか冷静にこの状況を判断している自分がいる。

 何かの間違いだよね、もう少し、様子を見てみよう……。


◇――――◇

果南「あ、ふたりは?」

梨子「え、えーと……見当たらなかった」

果南「ええ? どこか行ったのかなあ」

千歌「わかった!! 梨子ちゃんに秘密で、愛し合ってたふたり、梨子ちゃんの追求から逃れるためにっ! 愛の逃避行!!」


梨子「っ…………」



果南「逃避行、好きだよね千歌は」

千歌「なんかかっこよくない?」

曜「ふたり、どうしたんだろうね?」


果南「うーん」


花丸「あ、ごめん遅れちゃって」

果南「マル、どうしたの? あれ、善子は?」

花丸「善子ちゃんは……体調悪いから、帰ったずら」

千歌「え!?」

梨子「!?」

花丸「なんか、顔色悪かったから……」

梨子「……」

花丸「梨子さん、善子ちゃんのこと気にかけてくださいね」

 気にかける? ……それなら、なんで私に一言くれなかった、の?

梨子「……うん」


果南「大丈夫かな?」

千歌「そうだね……」

千歌「じゃあ明日海行くの中止かなあ」

梨子「?」

曜「明日ねおやすみだから、海いこーって話をしてたんだ」

梨子「ああ……それなら、よっちゃんは海には絶対行かないから、あんまり気にしなくっても……」

曜「?」

梨子「あ、と、とにかく……よっちゃんは行かないと、思う」

千歌「そうなんだー……残念」

果南「まあ、これから海なんていくらでも行くだろうし善子は機会があるときでいいんじゃないかな」

千歌「そっか、そうだよね! じゃあ明日は海いこっ!」

花丸「あ、マルも明日はちょっと……」

千歌「えー、なんでなんで」

花丸「おうちの用事が……」

千歌「そっかー、それなら仕方ないね」


梨子「海かあ……泳ぐのは久しぶり」


◇――――◇



梨子「よっちゃん……なにしてるのかな」

梨子「メール……こないし」


梨子「……体調悪いなんて、うそ」

梨子「なに、本当に……花丸ちゃんのこと好きなの? 私のことなんてどうでも、いいの?」


梨子「……」ウル…ウル

梨子「いいや……明日は久しぶりの海だし、眠っちゃおう……」


梨子「よっちゃん……誘っても、くるわけない、よね……」


◇――――◇

7月

千歌「う、み、だー!!!」

千歌「海開きだー!!」

果南「私たちのなかだけだけど、ね」


千歌「梨子ちゃん?」

梨子「え、あ……ごめん」

千歌「どーしたの、なんだか変だよ」

梨子「ううん……なんでも」

ギュッ

梨子「……」//

千歌「さ、はやくはいろー?」



◇――――◇


梨子「疲れちゃった……」

曜「まだまだいけるよ梨子ちゃん!!」

梨子「みんな、海……慣れすぎ」

果南「梨子は泳ぐの慣れてないんだし、仕方ないよ」

曜「果南ちゃん! あっちまで競争!!」グイグイッ

果南「いや勝てるわけないからー……」


梨子「ふぅ……みんな元気だなぁ……」


千歌「――リリー!」

梨子「へ……」


千歌「うん、なんだかいいねリリーって呼ぶのもっ!」

梨子「……リリー」

千歌「ねえねえ、私もリリーって、呼んでいい?」

梨子「……いい、けど」

千歌「やった!」

千歌「じゃ、リリーもっと泳ごっ!!」

梨子「……」モヤモヤ


◇――――◇

花丸「心頭滅却ずら、善子ちゃん」

善子「ヨハネ!!」

花丸「善子ちゃん」

善子「ぅ、う……うるさい――ずら丸!!」

花丸「?」

花丸「ということで善子ちゃん、あっちの部屋で座禅を……」

善子「な、なによ少しはなんか言いなさいよっ。いいの!? これからずら丸って呼ぶわよ!?」

花丸「あだ名みたいで、いいかもね?」

善子「……」

花丸「ほーら、梨子さんのこと好きなんでしょ。ちゃんと話し合いするために、いろんなものを滅却するずら」

善子「いやっ、座禅なんていやっー!!!!」

花丸「せっかくみんなと海行くの断ったんだから」

善子「海?」

花丸「ん、今頃千歌さんと梨子さんと果南さんは海だよ」

善子「……知らなかった」

花丸「梨子さんが、善子ちゃんは絶対来ないって」

善子「確かに、行かないけど……でも」

善子(行くってことくらい、言ってくれたっ、て……)

花丸「ほらいくずら!」


◇――――◇

善子「あし……あしがぁぁ……」

花丸「はい、冷たいお茶ずら」

善子「ふっ……ふ、ゼウスのイカズチもこの程度なのね、ヨハネなら足が少ししびれるくらい、よ」

花丸「……」

善子「ず、ずら丸なら、もう死んじゃってるくらいなんだからねっ!!!」

花丸「初めての座禅はどうだった?」

善子「……」

善子「少し、すっきり、したかも」

花丸「そっかあ、よかったよかった」

花丸「しばらくうちでのんびりしていきなよ」

善子「ま、まああなたがそういうのならそれでいいけれど。日の本の神を手なづけるのに、ここの知識も、必要よね」

花丸「善子ちゃん」

善子「ヨハネ!!」

花丸「はぁぁ……もう、じゃあマルもよっちゃんて、呼んでいい?」

善子「え……」

花丸「よっちゃん、結構言いやすいずら」

善子「ぁ……う、ん」

花丸「よっちゃん、よっちゃんね。うん」


善子「……」モヤモヤ


花丸「よっちゃん、どうしたの?」


梨子『よっちゃん、どうしたの?』

善子「っ」ブンブンッ!!


◇――――◇

千歌「リリー、みてみて!!!」


善子『リリー、みてみて!!!』

梨子「っ……」

梨子「綺麗な夕日だね」

千歌「ねっ!」

千歌「たのしかったなーんっ、ふふふ」


梨子「うん」


千歌「はー、でも疲れたぁ!」

梨子「そうだね」クスッ

千歌「ねーねー、今日お泊りしよーリリー」

梨子「へ!?」

千歌「だめ?」

梨子「あ、いやだって……」

梨子(普通は問題ないんだけど……よっちゃん、いるし、な……)

千歌「?」

梨子(やめておいた方がいい、よね)

梨子「……?」

千歌「どしたの?」

梨子「あれ、よっちゃんと――マルちゃん?」

千歌「あれれ、本当だ」

千歌「なにしてるのかな……あれ、どこかいっちゃった」


梨子「……」

梨子「……」プツ

 ああ、なるほど。

 マルちゃんがなんで今日来なかったか、わかったよ。よっちゃんとふたりきりで遊んでたから、なんだね。

 私に内緒で、ふたりきりだなんて。そっか、そうなんだ。もう、私のことなんて、どうでも、いいんだね?


梨子「……お泊り、する」

千歌「やった!」

梨子「まあ、隣の家だし……」

千歌「あはは……」

 どうなっても、知らないんだから。



◇――――◇


善子「無理よぉっ、謝りに行くなんてむりぃ!!」

花丸「もうよっちゃんいつまでここでグダグダしてるずらぁ」

花丸「もう梨子さんちはすぐなのに」

善子「待って、まだ心の準備が、だってリリーすごい怒って――」


花丸「ああもう、い、い、からいくのー!!」

善子「きゃぁぁっ!!」


花丸「お邪魔しまーす!!」


花丸「あ、桜内梨子さんのお母さんですか?」

善子「あ……毎度……ど、どうも」

善子「え、リリー、泊まりに行ってる?「

善子「――千歌ちゃん、ち?」

花丸「……」


善子「はい……はい、失礼します」



善子「……」

花丸「よっちゃん?」


善子「うぅ、ひっく……ぅぅ、なん、で……うう」


善子「うああああああああ!!!」ダッ


花丸「ちょっとー!!!」



◇――――◇

花丸「待って、待って!!!」

善子「離して!! 離しなさい!!」

花丸「そっち、海だから! 死んじゃうからー!!」

善子「知らない! もう、知らないわよ!!!」


花丸「そんなの、梨子さんが悲しむに決まってるずら!!!」

ピタッ


善子「でも……私……リリーに、捨てられて……ひっぐ……ぅぅ」

花丸「よっちゃん、そんなことないよ、梨子さんはきっと……」

善子「あなたに何がわかるのよ!!!」

花丸「っ……ごめ、ん」



善子「あ……」




善子「とにかく、もういい、から……」

善子「もう、知らない……」ヘナヘナ……グスッ…



花丸「どうして、泣くの」

善子「どうしてって」

花丸「よっちゃん、梨子さんのことまだ、諦めきれないからずら」

善子「っ……」

花丸「よっちゃんのそんな悲しそうな顔、見たくないよ」


花丸「……もー、わかったずら。じゃあ、マルが勝手に間を取り持つって、ことでいい?」

善子「……」

善子「なによ、ずら丸のくせに……」

花丸「あそこにバス停あるから……バスが来たら乗るんだよ、いい?」

善子「……」コクッ…

花丸「じゃあマルは帰るから……少しだけ考えてみてね。ばいばい、また学校で」




善子「……」


善子「ぐす……リリー……」


◇――――◇
梨子「……」

千歌「梨子ちゃんなんか、元気ないね」

梨子「え、ああ……ちょっと疲れちゃって……」

千歌「あはは、そっか、そうだよね」


千歌「善子ちゃんはどうして海に来ないの?」

梨子「へ……あ、あの」

千歌「?」

梨子「堕天使が肌を見せると、リトルデーモンが群がるからっ、て……」

千歌「なるほど!!!」

千歌「って、あの子らしいね」

梨子「……うん」

梨子(きっと、そんなこと言うよね……あの身体じゃ……)

千歌「リリーは善子ちゃんばっかりなんだもーん」

梨子「そ、それは……一応、そういう関係、だし……//」

千歌「いーっつも楽しそうに話しててさー、ずるいよ」

千歌「千歌も構ってよー」ギュッ

梨子「///」


梨子(なんか、罪悪感……でも)


梨子(よっちゃんだって、マルちゃんとふたりきりで遊んでたんだもん、なにしてたか、わかんないよね)


梨子「ふふ、千歌ちゃんどうしてそんなに私を困らせるの」ナデナデ

千歌「だってー」


千歌「リリーいい匂い……」

梨子「っ……」

千歌「ね、一緒に寝よ」

梨子「……」


千歌「だめ?」

梨子「……いい、よ」


梨子(ごめん……よっちゃん)





学校


梨子「……ふぅ、なんのジュース買おうかな……」




善子「っ……!」


花丸「梨子さん!」


梨子「?……あっ」



善子「り、リリー……」

善子「っ」バッ

花丸「だめ」ギュッ

善子「ひ」


梨子(また、一緒……なんで、なんでなんで)ギリリ…


梨子(手まで、繋いじゃって、さ……)





梨子「――なに……津島、さん……」






善子「……え」

花丸「……」

梨子「ごめんなさい、用事があるから」

花丸「梨子さん!!」


梨子「……」スタスタッ

花丸「よっちゃん……」


善子「……もう、やだ……」ウル…ウル

善子「もうやだぁ……」クズグズ

花丸「マル、行ってくる」

善子「え……」

善子「ちょ、ちょっとっ!!」



タッタッタッ!


◇――――◇

花丸「梨子さん!」

梨子「……」ピタッ

花丸「はぁ、はぁ……」

花丸「梨子さん、どうして"よっちゃん"を避けるんですか」

梨子「っ」


梨子「……だって、あの人、もう私のこと、好きじゃないんでしょ。マルちゃんのことが好きなんでしょ」


花丸「え!?」


花丸「そ、そんなことないですよ!! 梨子さんのことが好きって、いつも……」


梨子「じゃあどうして、空き教室で、抱きしめてたのっ!!」

花丸「あ、あれは……違うんです、ほんとに」

花丸「とにかく、二人で話し合って下さい!!」

花丸「それからどうするか決めても遅くないずら!!」

花丸「いいから、いきますよ!!!」グイッグイッ!!


◇――――◇

校舎裏



花丸『じゃああとはふたりで!!がんばって下さい!!』



梨子(って、言われたって……)

善子「……」



善子「あの」



善子「――あなたは、私と、契約解除、したい、の……?」ウル…ウル



梨子「!? そ、それはあなたの方でしょ!!!」


善子「な、なんでそうなるのよ!?」


梨子「だ、だって、私見たんだから。空き教室で花丸ちゃんに抱きしめられてたとこ、好きって言ってたこと!! お休みの日、ふたりで歩いてたところ!!」


善子「あ、あれはちがくって!」


梨子「なにが、違うの……。あなた、もう私なんてどうでもいいんでしょ、そうだよね、私は地味だもんね、一緒にいて、つまんないよね。あなたが面白いようなこと、してあげられなかったもんね。花丸ちゃんの方が、かわいいよね……昔は仲が良かったんだもんね。良かったね!! 再会できて……」



善子「っっ!! そ、そっちこそみんなで海に行くこと教えてくれないし、それに私に内緒で――千歌ちゃんちに泊まったくせに!!!!」


梨子「っ……な、なんで」


善子「……昨日、あなたの家に行ったら、あなたのお母さんが」


梨子「……あれはっ」


梨子「……ごめん、なさい」



善子「あなたが見たずら丸とのことは……本当に勘違いなの……。空き教室の時は私があなたを怒らせたってことでぐずぐずしてたから……励まして、貰ってて」

梨子「ほ、本当に?」

善子「ええ」

善子「私は、ずっとずっと、気持ちは変わってないの!!!!」

善子「一緒にいて、楽しかったし、というかそうじゃなくても、一緒にいて私の話を聞いてくれるだけで、聞くだけで、それだけで、嬉しい、の!!」



梨子「……」

善子「いやっ、だから、別れたく、ないっ!!」ウルウル

梨子「……ごめん」

善子「え……」

梨子「――……私、最低……ね」


梨子「ごめん、なさい……」

善子「どう、いう」

梨子「最初は前みたいに、ちょっとイジワルしようと思っただけ、なの」

梨子「でも、マルちゃんと中が良いの見て……私、不安になっちゃっ、て……だってマルちゃんは、私の知らないあなたを知ってる! そういうのに、色々嫉妬して……」


梨子「よっちゃんのこと、好きだから……」


善子「!!」


梨子「好きなら、あんなこと、しちゃ……だめだよね……。私、なんで避けたり、したんだろう、余計嫌われるだけなのに……」


梨子「ごめんなさい……ごめんなさいっ……!」

善子「リリー……」

梨子「ねえ……よっちゃん」


善子「な、なに?」

梨子「……//」



梨子「――すき」

善子「//////」


梨子「あの、だから……こんな私で、いいなら……まだ恋人でいたい、の」

善子「……ゴク」


梨子「契約の更新……は、だ、だめ……かな?」


善子「べ、べつに私は契約を解除したつもりなんて、これっぽっちもないんだから」


善子「これまで通りってことで、良いのよね」


梨子「……」コクッ


梨子「ごめんね、何回も謝ってくれたのに」

善子「リリー、不安だったの?」

梨子「……うん」


ギュッ


梨子「ふぇ……」///

善子「こ、こうしてれば、不安じゃなくなる、でしょ……///」


梨子「う、うん……嬉しい」


梨子「でもよっちゃん、そ、その……熱い……よ。汗掻いちゃう、から……」

善子「ヨハネはね、ゲヘナの焔を身にまとっているのよ、熱くて当然なの」

梨子「で、でもぉ」

善子「私、そんなの気にしないけど」

梨子「私が気にするのっ……」///

善子「そんなので気にしてたら、私の"悪魔"はどうなるのよっ!」

梨子「ま、まあ……」

スッ

善子「リリーは私を受け入れてくれたんだから、私はなんでも受け入れられるわ」

梨子「////」

梨子「恥ずかしいこと、真正面から、言わないでよ」カァァアアアア///

善子「は、恥ずかしいってなによ///」

善子「このゲヘナの焔はね、ヨハネとリリー以外の者が触れたら、焼け焦げてしまうの」


善子「この焔は、あなたを守ることが、できるの、わかってる?」


梨子「えっと、うん」





花丸「仲直りできたみたいずら♡」



◇――――◇

千歌「あ、"リリー"遅かったねえ」

千歌「善子ちゃんも!」


花丸「"よっちゃん"、よかったね」


梨子「……」

梨子(よっちゃん……)

善子「……」

善子(リリー、か……)


◇――――◇

千歌「お話って、なあに?」

梨子「あの、ね……千歌ちゃん」

千歌「うん」

梨子「良かったら、私への呼び方、変えて欲しい、の」

千歌「え?」

千歌「リリー、って、呼び方?」

梨子「うん」

梨子「あ、あのね嫌なわけじゃないんだよ……」

千歌「……?」

梨子「――その……その呼び方は、よっちゃんだけのもの、だから……////」

梨子「お願い、出来ない、かな……?」

千歌「おぉ……らぶらぶ……」

梨子「ぅ///」


千歌「うん、わかった。いーよ、ま梨子ちゃんて呼ぶね」

梨子「ありがとう……」

千歌「ねえねえ、そんなにらぶらぶなら……スノハレみたいな恋愛の歌詞、書けるんじゃない?」

梨子「む、むりだよっ!」

千歌「えー、絶対かけるよ、書いて書いてー!!」

梨子「無理だってばー!」


◇――――◇

花丸「どうしたのよっちゃん」

善子「さ、さっきのことは感謝してるわ! その……あなたのおかげで、仲直り、できた……から」

花丸「そっかあ、良かったね!」

花丸「ニヤけてるずら」

善子「……ニヤけてないわよ!!」

善子「なによずら丸のくせに!!」

花丸「くすくす」

善子「あ、と……一ついい?」

花丸「?」

善子「よっちゃんて呼ぶの、やめて欲しいの」

花丸「え? なんで?」

花丸「……」

花丸「あっ、なるほど」

善子「なにがなるほどなのよっ!」

花丸「善子ちゃん、梨子さんにしか呼ばれたくないんだね?」

善子「そ、そういうことじゃなくって////」

善子「け、契約でそういうことになってるから、仕方なく、よ!!」

花丸「そっか、そっかぁ……うんうん」

善子「あと善子言うな!」

花丸「善子ちゃんだもん、仕方ないよ」

善子「ヨハネと呼びなさいヨハネとー!!!」


◇――――◇

千歌「梨子ちゃーん」


善子「!?」

花丸「善子ちゃんちょっと来てー!」

梨子「……!」


梨子「……」チラッ

善子「……」チラッ


梨子「よっちゃん……」

善子「な、なによ……」

梨子「ううん、なんでもない。ありがとう、ね」

善子「う、うるさい……。あなた、こそ……」ボソッ

梨子「ふふっ、かわいいね」

善子「なにがよ!」


◇――――◇


善子「今日はリリーの家に行く!」ウキウキウキウキ


梨子「――だめ、今日はお泊まりセット持ってきてないんでしょ?」

善子「え……ぅ、で、でも……」

梨子「私は逃げないから、ね?」


善子「……い、行くだけだから」

梨子「練習終わってウチに来たらもう沼津まで帰るバスなくなっちゃうでしょ」

善子「そうだけど」

善子「ふたりきりに、なり……たい」

梨子「……もう、そんなにわがままいわないの」ナデナデ


善子「こ、子供あつかいするなぁ!」


梨子「じゃあ1日くらい我慢できる、よね?」

善子「ぅ、あたりまえ、よ!」




◇――――◇






千歌「梨子ちゃん、楽しそうに電話してるなあ」

曜「窓開いてるから、聞こえてくるんだ」


千歌「そう、時々善子ちゃんと電話してるみたいなんだけど、今日は一段と楽しそう」

千歌「善子ちゃんが泊まってる時なんか話し声でうるさいんだからあ」

曜「あはは、ここまで近いと確かに」


◇――――◇

善子「リリー、迎えに来たわよっ!」

梨子「おはよう、よっちゃん」

善子「ふっ、朝日に照らされるヨハネを直視できるだなんて……流石はリトルデーモン」

善子「見惚れちゃっても、構わないのよ」

梨子「うん、今日もかわいいね」ナデナデ

善子「だ、だからぁっ」///


イチャイチャ


曜「うわー……想像以上にらぶらぶじゃん」

千歌「でしょー、き、気がつかれないうちに早くバスに……」



梨子「気がついてるんだからね! そこのふたり!」

千歌「ひっ」

梨子「ほら! 遅れるから行くよよっちゃん!!」

善子「はい……」


◇――――◇

梨子の家


梨子「よっちゃんがここに来るの、なんだか久しぶりな気がするね」


善子「ん……そうね」ギュッ


梨子「ふふっ、どうしたの?」


善子「や、やっと……ふ、ふたりきりになれたから」///


梨子「今日はちょっと、素直、だね」

善子「なによ……じゃないと、リリーが不安になるんでしょ」

梨子「そ、そうだけど///」

善子「あの……」

梨子「?」


善子「今からだ、堕天……したい」


梨子「そういうことはちょっと雰囲気作ってから……」///


善子「あ、えと……」

善子「ごめん、忘れてた…」


梨子「ま、まあ、いいけど……ごめんね私のせいでしばらく出来なくって」



善子「……ハッ……ハッ///」


梨子(ちょっとくっついただけなのに、もう興奮しちゃってる……かわいい)


梨子「今日は、私がしてあげるわ」

モゾモゾ


善子「ひっ♡」


梨子「も、もう硬くなってきてる///」


梨子「どんなこと想像しちゃったの?」ササヤキ


梨子「教えて?」


善子「い、いや///」

梨子「くす……ちゃんと我慢してた? 私の前以外で、射精しちゃだめなんだからね」

善子「じ、自分でしても……気持ちよくない、から……」

善子「リリーじゃ、ないと私……」ウル…ウル

梨子「そっかぁ」ゾクゾク


梨子「我慢させてごめんね、よっちゃん……ちゅ……ん」


善子「はぁ……はぁ♡リリー……♡」


梨子「そんな……」


梨子「そんな泣きそうな声出されたら……♡」

梨子(ちょっと、いじめたくなっちゃう、よ)


梨子「脱がせるわね」


善子「……」コクリ

スルッ


梨子「……れろ」

善子「はっ、ぅ♡」ビク


梨子「くす……ふぅぅ」


善子「ぁぁ……♡」


梨子「よっちゃん前までは、毎日毎日シたいって言ってたけど、今回みたいに我慢すると……すっごく敏感になるんだね」

梨子「ほら、さきっぽ、トロトロよ♡」

善子「はっ、はっ……リリー、もっと、してよぉ……」

梨子「焦らないで……ゆっくり、楽しもうよ……ね?」

梨子「ぺろ……れろ」

善子「あっ♡あっぁ♡」

梨子「ちゅ……ふふ」


◇――――◇

善子「はっぁ♡い、きたい、射精したい、リリー……///」ハァハァ

善子(弱い刺激ばっ、かり……これじゃ、イケない)

善子(いつもみたいに、咥えてくれれば)

梨子「だめだよ、我慢して我慢してだしたら……きっと、気持ちいいよ」ササヤキ…

善子「~~~///」ゾクゾク

善子「も、我慢、できないっ……///」

梨子「え――んぐっぅ!!」

善子「はぁぁ……♡口の中、あったかい」

梨子「よ、ひゃぁ……んぐぅっぅ♡」

ズンッッ

善子「もっと、奥まで咥え、なさいっ」

梨子「ぅっ、ぅ」ゾクゾク

善子「ふふっ、イイ顔ね♡」ハァハァ///

善子「動く、から……ちゃんとする、のよ」

ズンッズンッ

梨子「んっんっぅ♡」

善子「あぁぁ……きも、ち……やば、あっぁ♡♡///」

梨子(苦しい……っ)


梨子(でも、よっちゃん気持ち良さそう……なんか私、よっちゃんに支配、されてるみたい……♡////)

善子「いくっ……だすから、ね♡♡」ガシッズンズンッ

梨子「ん゛ん゛ん゛んっ゛!!!」

善子「あぅっっ♡~~~♡♡////」ビュッビュッビュルルルルルッッッ

梨子「ん゛っぅ゛!! ぁっ゛」

梨子(す、すごい量っ……喉の奥でからまっ、て……♡)



善子「はぁぁ……♡♡♡」アヘ……

梨子「ごく……ごっ、く……」

梨子(ねばねば……変なにおい……でも)

梨子(わたし、おかしくなっちゃった、のかな……)ポ-////


善子「ぁ……」ヌプ…

梨子「げほっ、げほっ……」


善子「ご、ごめんなさい……私……」サ-…




梨子「――んっ♡へんな、味……」////トロ-ン…

善子「♡」ドキ


梨子「私、無理やりされるの……嫌いじゃない、かも……」


善子(ひ、表情、いやらしすぎ///)


梨子「よっちゃん……」ギュッ


善子「ん……」


梨子「あ……あの、ね……わたし、興奮……しちゃってる、みたい……なの」///


善子「り、リリー……」///

梨子「だ、だから……続き、しよっか……」ボソ…//

善子「あ、あの……」

梨子「うん?」

善子「た、多分……さっきので全部、だしちゃっ、た……」

梨子「へ?」

善子「……」

善子「興奮、しない……」

梨子「うそ……」

フニャフニャ

梨子「……」

善子「あ、あのこれは」

梨子「――もう、知らない!」

梨子「わたし、寝るからっ」

善子「ちょ、ちょっと」

善子「そんなに怒らないで、ごめんね、リリー」ギュッ


梨子「……中途半端にしておいて、そんなのないよ」プク-

梨子「まあ、でも……」

善子「?」

梨子「またこうやって、一緒に眠れるから、そのくらいは、、許してあげる」

梨子(と、いうか……)

梨子(自分から、したいって言ってたよね……私)///

梨子(うぅ、変な風に思われたかなあ……)


善子「リリー……」

梨子「もう眠いでしょ、明日も学校だし、寝よ?」

善子「わ、わたしは別に眠くないけど、リリーがそばにいて欲しいなら、一緒にいてあげる」

梨子「うん、よっちゃんと一緒じゃないと眠れないから、早く寝よう?」

善子「ぁ、うん//」


◇――――◇

休日


梨子「白菜は絶対いるよね」


善子「いちご!」


梨子「あとは……あ、えのき」


善子「チョコレート!」



梨子「あ、ねぎも」

善子「ちょっと!!」

梨子「もう……なに?」

善子「なんで私の意見は無視するのよ!」

梨子「よっちゃんがふざけるからでしょ」

梨子「夏なのにお鍋がしたいって聞かなかったのはよっちゃんのほうなんだから、少しは協力してよ」


善子「リリーもこの地獄の炎の中で、ゲヘナの焔をまとう私と……断罪の業火に呑まれた食物を食らうこと……ふふっ、リリーの反応が楽しみだわ」

梨子「なにか食べたいのは?」

善子「そうね……魔なる土より収穫され、腐乱させたものが良いわ。それが白磁のような白さを誇っているのはね、ヨハネ達悪魔が、それの魂を抜いているからなの」

梨子「……」


善子「ふふっ、知らなかったでしょう? 白き悪魔を体内にいれるとね――」


梨子「……」スタスタ









善子「――ま、まってリリー! 豆腐! お豆腐が食べたいっ!!!!」


◇――――◇

梨子「あっ……」

善子「? あ……七夕、ね」

梨子「スーパーはこういうこともするんだね」

善子「書いていきましょ!!」

梨子「え、うん」

梨子「どんな願い事があるのかな」


梨子「頭が良くなりますように……」



善子「μ'sに会えますように……黒澤ダイヤ……あれ、これってルビィのお姉さん……」

梨子「おねえちゃんになれますように……これは、ルビィちゃん?」


梨子「というか来てたんだ……というか、なにこれ……」



善子「じゃあヨハネはこれ!!!」

梨子「え?」

梨子(どれどれ……そ、そんなにヨハネって、呼ばれたいんだ……)

善子「リリーも、はやく」

梨子「えと……」

梨子「これ、で……どう、かな///」

善子「///」



よっちゃんと一緒にいられますように。



善子「こ、こんなのダメよ」

梨子「ええ、一緒にいて、くれないの?」

善子「そうじゃなくって、あなたが願わなくたって……私は勝手にでもそばにいる!!」

梨子「か、勝手にでもって……あはは」

善子「と、とにかくだめなのっ」///

梨子「えと、じゃあ……」



 ――よっちゃんみたいに歌がうまくなりますように。



善子「ふふっ、いいわね、それ」

梨子「でしょ」

善子「さ、願い事が叶うのを信じて、お鍋よお鍋!!」


◇――――◇

善子「クーラーの効いた部屋で熱いものを食べるのは最高ねっ♡」

梨子「寒い日にアイスを食べると美味しいのと、おんなじだね」

善子「あっ、それ私のっ」

梨子「え、そうだっけ?」

善子「ううっ」

善子「こうなったら、えいっ」

梨子「へっ、なんでピーマン!?」

梨子「自分ちで使うって言ってたのに!」

善子「ふふっ、嫌いなものがあるだなんて、子供ねリリーは」

梨子「さっき私が見てないうちに切っておいたの!?」



梨子「な、なに……私が食べなきゃいけないの!?」

善子「そうよ♡」


◇――――◇

善子「はい、茹で上がった」

善子「これは、リリーのよ♡」


梨子「ぴ……ぴー、まん……」


善子「んー……この苦味が美味しいわ」

梨子「……」プルプル…

梨子「あ、む……」

梨子「んんっぅ……」ブンブンッ!

梨子「ごく……」

善子「なんだ、食べられるんじゃない」


梨子「に、にがい……」ウル…ウル


善子(かわ、いい……)ドキドキ


梨子「……もう、やっぱり苦手……」

善子(あれ、怒らないんだ)


梨子「はぁ、いいから食べよ」


梨子「はい、このお肉、よっちゃんの」ニコニコ

善子「あ、ありがと」

善子(なんかこわい……)


◇――――◇

善子「ヨハネの魔翌力に換わるにふさわしいものだったわ♡」

梨子「よかった。じゃ、デザート食べよっか」

善子「え、デザート!?」キラキラ

梨子「うん」

梨子「ちょっと待っててね?」




梨子「……」


◇――――◇


善子「み、みかんじゃないっ!!!」

梨子「ん? 美味しいんだよ、静岡のみかんて」

善子「……」

梨子「千歌ちゃんから貰ったんだ」

梨子「いっぱいあるから、いっぱい食べてもいいよ」

善子「な、なによ……私がみかん嫌いなの、知ってるくせに……」

梨子「うーん、嫌いなものが食べれないなんて、子供だと思うな」

梨子「よっちゃんは子供扱いされるの、嫌いだもんね?」ニコニコ

善子「ぅ、た、食べられるわよ!!」

梨子「あむ」

梨子「んー、採れたてなんだって。美味しい♡」

善子「……」

梨子「食べられないの?」

善子「だっ、て」

梨子「うーん、それなら」


パク…

梨子「――わたひが、咥えてるから……これなら、どお?」

善子「っ♡」ドキドキ

梨子「みかん、おいひいよ?」


善子(リリー、かわいい……♡)

梨子「ん……」


スッ


善子(き、きす……したい)

善子(で、でもみかん……)

善子(わ、私がそんなので止まるわけないでしょ!!!)

善子「……リリー」ズイッ…

善子「あ、む……んっ」

梨子「ちゅ……はっ♡んっ」

善子「り、リリー……ちゅ、じゅっ」///ウルウル

梨子「よっちゃん……♡れろ……じゅっ、はっぁ♡」

善子(んっっ、みかんの、味……っ)ウルウル

梨子「ぷは……」

善子「ごく……ん……まず」

善子「はぁ、はぁ……」


梨子「みかん、食べられたね」


梨子「よくできました」ナデナデ

善子「なんで食べられたのに子供扱いするのっ!」

梨子「だって……全部食べなきゃ、だめだよ?」


善子「え……」


◇――――◇

梨子「……」


善子「リリー」

梨子「んー?」

善子「リリー……なに縫ってるの? その黄色いの、なに?」

梨子「ひーみつ」

善子「なんで」

梨子「もう少ししたら、教えてあげるから」

善子「ねえ、それより私とお話する方が先ー」

梨子「んー、お話はこの状態でもできるでしょ」チクチク

善子「こっちみて」

梨子「ちょっとまって」

善子「んー、リリー」ユサユサッ



チクッッ

梨子「いっ、たっ……!」

善子「あ……は、針が……大丈夫!?」

梨子「はあ、指にちょっとささっちゃった」

善子「ごめんなさい、私のせいで……怪我……」

梨子「ううん、私がよっちゃんのことほったらかしにしたのがいけないの」

善子「……ごめん。それ、みせて」

梨子「ん……」

善子「血……」

善子「――ちゅ……ちゅぅ」

梨子「よっちゃん///」

善子「ちゅ……はぁぁ……れろ……」

善子「ん……これで暗黒の瘴気は吸い取ったわ」

善子「絆創膏……」

梨子「そこにあるから、とって?」

善子「ああ、これね。はい」

梨子「ありがと。ま、まさか……指を……///」

善子「あのままだと、あなたが暗黒の瘴気にやられる、から……仕方なく……」

梨子「よっちゃん……ちゅっ……ん」

善子「ぁっ……んっぅ♡♡」

善子「はぁぁ……リリー……♡」

梨子「どうしよっか、よっちゃん。そろそろ……良い時間、だね」


梨子「織姫さまと、彦星さまは……一年ぶりに会ってなにをするのかな」

善子「……えっと」

善子「///」

梨子「あ、変なこと考えた」

善子「考えてない!」

梨子「よっちゃんは、私と一年ぶりにあったらどうしたい?」




梨子「――したい?」

善子「///」

善子「……」コク…


◇――――◇

梨子「やっ♡やだっ♡わたし、もうっ、イッて――ひゃぁぅっ♡♡」ビクビク///

善子「はっはっ♡この前♡あんなに興奮、してたじゃない♡きょうは、んっぁ♡そのぶん、よっ!!」ズンッ!!!!

梨子「あっ゛ぁぁ……♡♡」

梨子「よっちゃん、むり♡わたひ、おかしく、なっちゃぅ……///」

善子「ふっ♡ふっぅ♡そ、んな声出すと、千歌ちゃんに聞こえちゃう、わよっ♡」パンパンッッ

梨子「やっ、だめっ♡だめっ♡」

梨子「あっ♡またっ、またぁっ♡」

梨子「――っっっぅぅっ!!!!」ビクッビクッ!!!!!

善子「ぁぅっ♡♡/////」ビュッビュッビュルルルルッ!!!!!

梨子「はぁっ、はぁ……」ビク…ビク

善子「はぁ……ん、はぁ」ヌプ…

梨子「……////」

善子「どうしたの、リリー」

梨子「は、恥ずかしい、の!」

善子「なんでよ、別に恥ずかしがらなくても」

梨子「もうっ、ばかっ」

梨子「あ、あんなにへんな声だしちゃっ、て……」

善子「可愛かったわよ、リリー」

梨子「……ぅぅ////」

梨子(あ、あんなに攻められたら……へんなになっちゃうよ。……よっちゃんは平気なのかな)



梨子「……ん?」


梨子(よっちゃんとは、男の人のモノでしかそういうことしたことないけど……女の人のところは……どうなんだろ)


善子「どうしたのよ」

梨子「……ねえ



◇――――◇

梨子「わ……濡れてる」クチュ…

善子「ん……ぅ」

善子「や、やめようよ、そ、そんなところ……」

梨子「よっちゃんは女の子なんだから、本来はこうするのが普通でしょ?」

梨子「よっちゃんは、ここ使って……その、気持ちよくなったことは、あるの?」

善子「……ない」

梨子「そっか、じゃあ私がよっちゃんに攻められてる時の気持ち、わかってもらえるんだね」

善子「な、なにするつもり!?」

梨子「よっちゃん……痛かったらいってね?」

クニクニ

善子「あ、ぅっ♡」

ヌププ……

善子「あっっ♡り、リリー……♡」ウルウル…ビク

梨子「大丈夫、怖くないから力抜いて?」

善子「う、ん……」ハァ…ハァ

梨子「男の人のモノ使うときは私がリードされるけど、こっちだと……乙女になるんだね、よっちゃんは」

善子「だ、だっ、て……」


善子「あっ♡あっぅ♡」

梨子(すっごいせまい……指に吸い付いてくる……)


善子「はぁぁっ♡り、リリー……ちょっ、と……いたい」

梨子「ん……大丈夫?」

善子(指一本でも、こんななのに……リリーは、わたしの受け入れてくれて……)


善子「リリー……ありがと」

梨子「え?」

善子「な、なんでもないっ」///


梨子「いたいなら、今日はやめよっか」

善子「ぁ……や、やめなくていい」

梨子「?」

善子「えと……リリーの気持ち……知りたいって、いうか……」


梨子「じゃあ、無理はしないでね?」

善子「ええ」

クチュ…クチッ

善子「はぁっ、はあ♡」

梨子「女の子はね、ここのざらざらしたところが、気持ちよくなれるの」

善子「んぅうっ♡♡」キュンキュンッッ

梨子「いっつも、よっちゃんはこういうところを攻めてくるの」ササヤキ…

善子「あっっ♡ふ、ぅぁ♡♡」

梨子「……ね、ちょっとは感覚、わかった?」スッ…

善子「……」コク…

梨子「今日はこれくらいでやめておこう? またして欲しくなったら、してあげるから」

善子「わかった……」


善子「リリー……」ギュッ

梨子「……ん、もう寝よっか」

善子「ねえ」





善子「――海、行きたい」


梨子「え、海?」

梨子「でも……」



善子「わかってる! この身体だから……昼間は、無理……。夜、ふたりで……私はTシャツとかで入るから」

梨子「……うん、わかった。近いうちに、入りにいこうか」

善子「うんっ」パアッ

梨子(でも夜の海って寒そう……ま、いっか……)

善子「とりあえず明日は久しぶりにふたりで沼津に行くんだから、早く寝ましょ♡」


◇――――◇




梨子「暑い……」

梨子「三十五度くらいって、しんじゃう、よ……」グッタリ…

梨子「……はぁ」ダラダラ…

善子(リリー、すごい汗……本当に暑さに弱いのね)

梨子「はぁ、メイクしてこなくてよかった」

善子「だからお化粧しなかったの?」

梨子「うん、すぐ落ちちゃうもん」

梨子「よっちゃん、なんでそんなに汗かかないの? さらさら……」

善子「ふふ、あたりまえでしょ。ヨハネはこの世の存在じゃあないの。、ここの物理法則なんて、意味をなさないのよっ!」

梨子「はぁぁ……」

ガサゴソ

梨子(制汗剤……あ、あれ?)



善子「?」


梨子(ない、ないっ、なんで!?)

善子「……」ニヤ♡

梨子(どうしよう……で、でもよっちゃんの前で制汗剤買うの、なんだか恥ずかしい……)



善子(出発する前にリリーのカバンから制汗剤の類いを全部抜いてきたんだもの♡)




◇――――◇


梨子「……」ダラダラ…

梨子「ね、よっちゃん……」

善子「なによ、そんな死んじゃいそうな顔して」

梨子「……き、今日はもうよっちゃんち、いかない?」

善子「うーん」

梨子「あの、暑くって……。よっちゃんの部屋でふたりでゲーム、しよ?」


梨子「……」ダラダラ…

善子「しょうがないわね、じゃ、私の家に行きましょうか」

◇――――◇


善子の部屋



梨子「あっつ……あの、クーラー……」

善子「そうね、クーラーつけないとこの部屋、とても暑いのよね」

梨子「ほんとだね……」パタパタ…

梨子「あの……シャワー借りて、いいかな?」



善子「――だめ」

ギュッ

梨子「へ、や、やめてよ……今、汗掻いてる、から……」


善子「……」

梨子「あ、あついよ、よっちゃん……」

善子「ゲヘナの焔を纏っていると、言ったはずよ」

梨子「うぅ」


梨子「よっちゃん……嫌じゃ、ないの……」

善子「嫌じゃない」

善子「リリーの全部、受け入れるって言ったはずよ」

梨子「……」

善子「どんなリリーも、可愛い」

梨子「////」

善子「脱がせるわね」


梨子「ちょ、この状態で、するの!?」

梨子「こんな暑い部屋で!?」






善子「――ふたりで煉獄地獄(ゲヘナ)へ堕ちるの、覚悟はできた?」


梨子「ほ、ほんとに嫌じゃ、ない? 汗、掻いてるよ……? ぜ、ぜったい変な匂いする、よ……」


善子「うん」

梨子「ぅぅ」



梨子「なら、いい、よ……」

善子「……♡」



スンスン


善子「はぁぁ……♡♡♡」

梨子「ぅぅ……」////

梨子(そういえば、私とよっちゃんの始まりも、こんな変なことだった……よね)

梨子(あの時も、私のタオルで……)

梨子(よっちゃん、変な匂いがすきなの、かな……)

善子「ぺろ……♡はぁぁ♡」

梨子「や♡わ、脇はだめっ♡///」

善子「いい、から♡」ガシッ

梨子「は、恥ずかしすぎて……しんじゃう、よ……////」

善子「リリーの匂いが、する……♡」




梨子(でも、それでいいって言うなら……いいの、かな……)


◇――――◇

梨子「はっぅ♡」

善子「リリーが上になるの……大丈夫?」


梨子「だい、じょぶ」


ヌプヌプ


善子「あぁぁ……♡」

梨子「ぅぅ、おく、まで……♡」プルプル

梨子「いつも、してもらってるんだから、たまには……私が……♡」

モニュモニュ…クリクリ


善子「ひ、んっ♡♡」


梨子「ふふっ、よっちゃんも女の子だもん。胸、気持ちいい、よね?」


善子「はぁ、はぁ……リリー♡♡」


梨子「ここ、下とおんなじでピンク色でぷくってなってる、かわいい……♡」


梨子「ちゅぅ……れろ……じゅっぷっ♡」グッチャグッチュ

善子「あぁっ♡♡」


梨子「ん、っふっ♡はぁっ、よっちゃんも、あせだく、だね♡からだ、べと、べと……ちょっと、しょっぱい♡」

善子「んぁぅ♡ぅぅ//リリーも、すごい、わよ」

梨子「ん……仕方ない、でしょ」ギュッ ダラタラ


梨子「あっつい、ね……んちゅ……じゅっ…れろ……はぁぅ♡よっちゃん……♡」ズチュズチュッ///

善子「ぁっぅ♡り、リリー……わたし、もうっ♡♡」


梨子「いいよ、だしてっ?♡」


善子「んっぅ♡じゅぅ、れろ……ん、ぅっ♡ふっぁ♡じゅぷ……ちゅぅっ♡」ズンッ!!パンパンッ!


梨子「んんんむぅう♡♡♡♡////」ビクビク

善子「ちゅぅぅ♡♡っ~~~~~/////」ビュッビュッッビュッゥウッ!!!!

善子「ん……ふっぅ♡んっぁ……ぷは……」

梨子「はぁぁ……♡」ギュッ…グッタリ♡

梨子「ちから、はいんない、よ……」

善子「わたし、も……」

梨子「……はぁ、はあぁぁ……暑い、ねえ」ダラダラ

善子「くっついてるから、余計に、ね……」ダラダラ

梨子「くす、よっちゃん汗すごいよ」

善子「リリーにだけは言われたくないわ」

梨子「ひどいなあ」


梨子「普通ならこのまま眠りたいけど……さすがに、暑すぎるね」


梨子「……シャワー借りていい?」

善子「うん」

スッ

梨子「じゃ、シャワー浴びてくるね」

梨子「――ん?」

善子「どうしたの?」

梨子「よっちゃんのこのカバンの中……」

善子「あ、それは!」

梨子「これ、わたしの制汗剤じゃない!?」

善子「え、えっと」

梨子「か、隠してたわけ!? どうりでないと思ったよ……!!!」

善子「い、いやほら……リリーの全部を受け止めようと……」


梨子「もうっ! わざわざ制汗剤隠してまで、汗掻かせるなんてっ」

梨子「よっちゃんのへんたいっ!」

善子「ごめんなさい……」

善子「でもへ、へんたいってなによ! そ、そっちこそ無理やりされるの好きなくせにっ!」

善子「へんたいっ!」

梨子「ぅ……」

梨子「な、なら……お、お互いさまに、しよ……?」

善子「そ、そっちがそういうなら……まあ」

梨子「シャワー、浴びてくる……」

善子「ええ、クーラーつけとくわね」

梨子「うん、ありがと」


◇――――◇


7月13日



善子「ふふっ、ヨハネがこの世に堕天してからはや十六年。みんなしてヨハネの堕天祭を祝うだなんて、愛されるのも困りものだったわね」


梨子「楽しかった?」

善子「ええ!」

梨子「でもみんな帰っちゃうと、少し寂しいね?」

善子「まあ、そうね……」

善子「こんな楽しかった誕生日、初めてよ」

梨子「……よかった」

梨子「これ、よっちゃんに」

善子「え?」

善子「スマホケース……」


善子「なにこ、この堕天使的で悪魔的なデザインは!?」

善子「全体がダークブルーで、この薔薇と漆黒の羽……」


梨子「気に入ってくれた……かな」

梨子「でね、わたしのはこれなの」

善子「色違い……」

梨子「そう、控えめなピンクに、青い薔薇……白い羽。ちょっと恥ずかしいけど……」

善子「わざわざ買ってくれたの?」


梨子「一応……私がデザイン、したんだ……どう、かな」

善子「で、デザイン? オーダーメイドって、こと?」

梨子「うん」

善子「そ、そういうのってお金かかるんじゃ……」

梨子「んー、でもそんなにしなかったよ?」

善子「そうなんだ……」

善子「ありがとう……大事にする……」


梨子「あともう一つあるんだ」

善子「?」


梨子「はい、これ! よっちゃんのリトルデーモンだよ」


善子「!!!」


善子「こ、これはっ!!!」


善子(黄色くてまるっこい、角が生えたぬいぐるみ……か、かわいいっ……♡♡♡)


善子「これ、もしかしてリリーが縫ってたやつ!?」


梨子「うん、ちょっと前から作ってたの。まあメインはケースだから、こっちは片手間程度なんだけど……」

善子「ふ、魔翌力を感じるわ……そうね、名前をつけなきゃね」


梨子「リトルデーモンじゃ、だめ、なの?」


善子「それじゃ他のと一緒になるでしょ」


善子「――こ、これはリリーがくれたものだから……と、特別に決まってるじゃない///」


梨子「そっ、か///」


善子「そうね、決めたわこいつの名は『下天ニ堕チシ黄檗ノ遣い魔』よ!!!!」


梨子「え、名前? 長くない……」

善子「かわいいっ……『下天ニ堕チシ黄檗ノ遣い魔』」ギュッゥゥ


善子「……下天でいっか……」


梨子「ま、まあ、喜んで貰えたならよかった」

善子「ねえ、リリー」

梨子「どうしたの?」



善子「これから、海に行かない……?」


◇――――◇

善子「千歌ちゃんから聞いた。あなた、、ここから飛ぼうとしたんだって?」

梨子「あ、あれは……」

善子「なかなか大胆なのね♡」

梨子「ちょっと悩んでて」

善子「今は?」

梨子「今は……大丈夫だよ」

善子「そっか」


善子「こうやって海を眺めるの、いいわね」


 よっちゃんは桟橋に座り込んで、私の肩に頭を預ける。心地よい重みが肩に加わって、なんだか心がぽかぽかしてくる、みたい。



梨子「うん……」


梨子「はいらなくていいの?」

善子「飛び込めってこと?」

梨子「そうじゃなくて」


善子「そうね……でも、こうやってリリーと見てるの、好きだから」

梨子「そっか」

善子「……私、もしかしたら運が良いのかもしれない」

梨子「?」


善子「だって……行きたくなかった高校に来て、本来来る気はなかったのよ? そこでリリーが、転校してきて……こんな風に、ふたりでいられて」


善子「……これ以上ラッキーなことなんて、きっとないわ」

梨子「なら、堕天使、やめる?」

善子「やめるとかそういうあれじゃないの」

梨子「くす、そうだね……。私も本当に、運が良いよ」

梨子「……よっちゃんが、生まれてきてくれて、よかった」

善子「な……なんてこと言ってるの///」

梨子「本当ことだから」

善子「……む」///


ポツポツ

梨子「雨……? さっきまであんなに晴れてたのに」

ザァアアアアアアッ!!

梨子「きゃああ!! なにこれ!」

善子「やっぱり私って、運がー!!!」

梨子「はやくもどろ!!!」

 よっちゃんの腕を引こうとするけど、なぜか、抵抗される。動かない。

善子(……ふたりとも、ビショビショ……)

梨子「どうしたの、はやく!!」

 もう一度強く引こうとした時だった。

善子「こっち!!!」グイッ-!!!!


 逆に、引き込まれてしまう。よっちゃんは迷いなく、ある方向へ。漆黒の、暗闇へ。


梨子「へ、そっち、海――」



梨子「きゃああああ!!!!」

 抵抗する前に、私は宙に放り出されていた。初めて千歌ちゃんに会った時とは立場が逆だけれど、なんだか懐かしいような。



ザバ-ッ!!!

 夏とはいえ、夜。冷たい海水に身体を打ち付けられ、私は腕が悲鳴をあげていた。うう、打った……。

 あわてて顔を地表に出すと、千歌ちゃんちの灯りが向こうに見えるだけで、辺りは真っ暗闇。

 あれ、よっちゃん、は?



善子「――ぷは……海、気持ちいいー!!!」


 私のすぐそば、まるでイルカのように軽快な動きで海面に顔を出してきた。



梨子「もう、なに考えてるのー!!」

善子「だって、やっぱり入りたかったんだもの。どうせ濡れてたし、いいでしょ?」


 額に張り付いた髪の毛を剥がしながら、犬歯を見せる。

梨子「そういう問題じゃないよお」

 いつもいつも、振り回して……まったく。


梨子「うぅ、冷た……早く浜にあがろ?」


善子「ちょっと待って」

善子「上見て」


梨子「え?」

 よっちゃんが上を差しながら、感嘆の声をあげる。雨粒を顔に受けながら、大きな目を、見開く。

梨子「どうしたの!?」

善子「いいから見てっ」

 私もよっちゃんと同じように、生暖かい雨を受けながら、夏の夜空を見上げる。

梨子「わ……」


 ――綺麗だった。

 確かに雨は降り続いている。私のまつげは雫を垂らし、少し目の中まで入り込んでくる。そうやって見上げた夜空に、映り込んだのは、満天の星空だった。


 目元に雨が打ち付けるせいだろうか。一つ一つが万華鏡のように、大きく強く輝いている。焦点の定まりにくい視界のなかで、そのどれもが違う輝きを、放っていた。


梨子「なんで雨なのに、星が見えるの?」


善子「天気雨の夜バージョンなんじゃないかしら」


 顔を手で拭いながら、星空にも負けない満面の笑みを浮かべたよっちゃん。それを見たらなんだか、細かいことはどうでもよくなってしまった。

梨子「こういうのも、いいね」

善子「ええ」

梨子「私たちも、あんなふうに、なりたいね」

善子「……私の中では、一番輝いてる、けどね」

梨子「もう//よっちゃんだって人のこと言えないんだから……///」

善子「さ、浜まで競争よ!!」


◇――――◇

善子「くしゅんっ」

梨子「ほらあ、だから言ったのに」

善子「ふ、ふん、大丈夫よ!」

梨子「大丈夫じゃないでしょ、風邪引くわよ」

ザアアアアア

梨子「よっちゃんがうちに入ったら止んだのに、また降ってきたね」

善子「さっきのはにわか雨で、今度のは普通のでしょ」

善子「にわか雨にと愛されるだなんて……ヨハネは罪ね」


ゴロゴロ!!!!

善子「ひぃぃっ、かみなり……っ」ギュッ

梨子「……かみなりが怖いの?」

善子「怖くないから!!! こ、これはあなたが好きだから、くっついてるの!!」


梨子(……あれ? どっちでもかわいいんじゃ……)

梨子「大丈夫だよ、怖くないから」ギュッ

梨子「このまま眠れそう?」

善子「……もっと、くっつかないと、無理」ブルブル

梨子「こう?」ギュッ

善子「うん……」

梨子「大丈夫だからね」ナデナデ


善子「……ん」


梨子(かわいい……)

梨子(……よっちゃんのこと、独り占め出来たらいいのに。そうしたら、また不安になることなんてないし)

梨子「ちゅ……」

善子「//」

 よっちゃんと喧嘩してから、よっちゃんがいない生活なんて考えられないって、感じた。一緒になってからそんなに時間は経ってないから、ここから世間のカップルは良い距離感に落ち着いていくのかも、しれない。

 でも、この感情がずっと続いたら、どうだろう。ありえないなんて、言えないでしょう。

 よっちゃんが誰かと仲良くするたびに不安に、なって、迷惑かけて。それは全部よっちゃんを失いたくないって気持ちからくる行動で……。

 まるで、禁断の果実、だ。

 一度味わったら……もう、抜け出すことなんて、できない。ずっと、その味を、確かめたい。

 そう思うのは……ダメ、なんだろう、な。






梨子「――ねえ、よっちゃん。私がよっちゃんのこと、独り占めしたいって言ったらどうする?」


善子「独り占め?」



梨子「うん……高校、やめてもいいよ。お勉強は私が見てあげる」

梨子「お勉強が嫌いならお家でずっとゲームしててもいいよ。ご飯も、私が作ってあげる」


梨子「こうやってふたりで眠れるなら……それでいいから。そばに、いてくれるならそれで、いいから……。私がよっちゃんのお世話、するから」

梨子「よっちゃんの綺麗な瞳も、高い鼻もかわいいお口も……長い脚も、細い腕も……全部、全部……」

梨子「私……よっちゃんのこと、独り占め、したい」





梨子「――そう、堕天だよ……ふたりで、堕天するの。堕天、しよう?」





梨子「そう言ったら、どう、思う?」



善子「――ばーか」



梨子「え?」

善子「それじゃ、飼われてるのと同じじゃない」

梨子「……」


善子「それじゃ、対等……ううん、こ……恋人じゃない、と、思う……///」

梨子「そう、だね」

善子「あなたが不安になったら、こうやって」ギュッ

善子「いつでも抱きしめてあげる」

善子「だから、私が不安になったら……おんなじように、し、しなさい……///」

梨子「……う、うん///」

梨子(と、時々かっこいい、んだから……///)

ゴロゴロ!!!

善子「きゃぁあ!!」ギュッ

梨子「ふふ、よしよし」

梨子(やっぱり、かわいい)


◇――――◇


梨子「んー……」


 つーっと、グランドピアノの鍵盤蓋の表面を、指でなぞる。ここにきて最初にそうやった時、埃がかぶっていたのを覚えている。このピアノは授業でしか使われてなかったんだね

 でも、今はかなりの頻度で使ってあげられてる。この子も、嬉しいって思ってくれるかな。

善子「今日はなにを弾くの?」

梨子「そうだなあ、よっちゃんがいっつも口ずさんでる曲、にしようかな」


善子「え?」


 椅子に腰を下ろして、鍵盤に指を滑らせる。ふっと、息を吐く。

梨子「なにかわかる、かな?」


 指先に、体重を少しだけかける。鍵が沈み込んで、音が私の中に響き渡る。ふっと、肩が軽くなる。全身が軽くなる。

 続けて、音色を紡いでいく。身体全体が軽くなる。


善子「!!!」

 気がついたみたい。


梨子「ね、好きでしょ。――歌ってみて」

善子「え」

梨子「ね?」


善子「ごく……」





善子「――――」



 大切な人の声と、私と人生を共にしてきた音色が混じり合って、そう……これは、まるで空を飛んでいる感覚。私はきっと何度でも、この感覚を――。











おわり。

見てくださった方、ありがとうございます。
これからも生えているやつやっていきます。

次はダイマリルビィの予定ですが……生えてるのが映えそうなカプとシチュエーションがあったら、是非教えてください。


ありがとうございました。

乙!前作も良かったけど今回も良かった!
よしりこさらに好きになったよ
個人的には
ようちかで千歌ちゃんがモテモテ曜ちゃんに嫉妬して
千歌棒で犯しちゃう話読みたい

>>60
おそらく書かせていただきます。ありがとうございます。

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