仁奈「みくおねーさん、猫さんですよ？」

みく「いや……確かにみくはカワイイ猫チャンだけど、猫チャンだけど」

仁奈「仁奈、梨沙おねーさんが動物となかよしなところがみてーですよ！」

梨沙「あのね、仁奈。みくのこれはキャラであってね」

みく「にゃぁっ！　キャラだけどー、キャラじゃないにゃ！」

梨沙「今は黙っときなさいよ！　話がややこしくなるでしょ――」

仁奈「わくわく」ｷﾗｷﾗｷﾗ

梨沙「うぐっ」

みく「な、なんて純真無垢な期待の視線……あーだこーだ理屈をこねられる状況じゃないにゃぁ」

梨沙「しょうがないわね……とりあえず、テキトーにやっときましょ」

みく「それしかないね……」

みく「にゃ、にゃあ♪　梨沙ちゃん、だいすきにゃ～。ごろごろ」

梨沙「お、おおーよしよし。みくはいつもながらカワイイ猫ね」

みく「当然にゃ♪」

梨沙「よしよし」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ


仁奈「おおー！」

梨沙「どう？　これで満足でしょ」

みく「じゅーぶん仲良しなところを見せたつもりだよ」

仁奈「そうでごぜーますなぁ。なでなでされて気持ちよさそうだったし」


？？「ククク……甘い、甘いぞ仁奈ちゃん！」

みく「！？　誰にゃ！」





？？「その甘さ、笑っちゃうくらいにスウィーティーだな☆」

梨沙「あーもうわかったわ。誰が来たのか」

仁奈「はぁとおねーさんですよ！」

心「んもう、せっかくもったいつけて登場シーンに凝ろうとしたのに♪」

みく「じゃあもっとバレにくいセリフを言うべきにゃ」

心「ま、それはそれとして」

心「仁奈ちゃん仁奈ちゃん。動物とのコミュニケーションは、さっきみたいな薄っぺらいやり取りとは比べ物にならないでしょ？」

仁奈「？」

心「動物番組とか見ない？　どうぶつ奇想天外とか」

仁奈「？？」

みく「何年前に終わったと思ってるの。今は志村動物園の時代にゃ」

心「あ、そうだった♪　はぁとったらうっかりさん☆　こつん☆」


心「………奇想天外終わって7年たつの？　うそでしょ？」

梨沙「なんか急に暗くなってるんだけど」

みく「時の流れに絶望してる表情」

仁奈「時のながーれはふしぎだね♪」

心「まあ、今はそこんところの絶望は忘れるぞ♪」

心「動物番組における動物との触れ合いかた、教えてしんぜよう☆」

心「おーい、ありペディアー♪」

ありす「呼びましたか」

梨沙「ありペディアってなに」

心「ありすちゃん物知りだから、ついついそう呼びたくなっちゃうの♪」

ありペディア「どうも、物知りのタチバナです」ﾌﾌﾝ

みく「めっちゃうれしそうだし」

仁奈「ありペディアおねーさん！　動物とのこみゅにけーしょんを教えてくだせー！」

ありペディア「いいでしょう」

ありペディア「動物とのコミュニケーションは頭をなでるだけにあらず。ハグしてあげたり、あごを軽く触ってあげたり。人間同士と同じように、手をつないだり見つめあったりすることも、動物番組ではよく見る光景ですね」

仁奈「おおー！　ありペディアすげーです」

ありペディア「たいしたことではありません。今の世の中、検索すれば簡単に情報が出てきます」

ありペディア「そう、iPadなら」ｷﾘｯ

梨沙「なんでドヤ顔なの」

心「もうひとりくらい聞いてみようか♪」

心「おーい、ふみペディアー☆」

文香「お呼びでしょうか……」

みく「ありすチャンも文香チャンも、呼ばれたらどこからともなく現れるのはなんなのにゃ」

心「いつもニコニコあなたの隣に♪」

ありす「ありペディアと」

文香「ふみペディアです……」

みく「なんなの？　事前の打ち合わせでもしてたの？」

梨沙「でも、一家に一台あったら便利かもね。いろいろ教えてくれるなら」

仁奈「わからないことがあったら、なんでも聞いていいでごぜーますか？」

ありす「もちろんです。どうぞ」

仁奈「じゃあ……」

仁奈「赤ちゃんは、どうやってできるですか？」

ありす「！？」

文香「………！」

心「うおう、ぶっこんできやがった。ちびっこつよい」

仁奈「仁奈、前からずーっと気になってやがったですよ」

ありす「え、えとえと」

梨沙「前からずーっと？」

ありす「莉嘉さんの歌ではありませんっ！」

仁奈「文香おねーさんも知らねーですか？」

文香「………」ｶｱｧ

みく「む、無理ないにゃ。こんなの反応しようがないにゃ」

みく「だって、純真無垢な仁奈ちゃんに、そんなこと言えるわけ――」



ありす「言えません……き、きききキスだなんて、そうおいそれと口にしていい言葉では」

みく「コウノトリ派がいたにゃ！」

梨沙「？」←わかってない

仁奈「？」←わかってない

心「☆」←わかっている

仁奈「あっ！　そういえば、動物ともキスするのが仲良しの証拠でごぜーますよ」

仁奈「テレビで見たことありやがるですよ！」

梨沙「き、キスって。まさか、アタシとみくが？」

みく「んにゃあっ！？」

仁奈「わくわくわく」ｷﾗｷﾗｷﾗｷﾗ

梨沙「うぐぐっ！」

みく「ま、まぶしいにゃあ……で、でもいくら仁奈チャンの頼みでも、さすがにキスは」




P「その通りだああああ！！」ﾄﾞﾝ☆

みく「ぴ、Pチャン！？」

P「みくが俺以外とキスするなんてゆるさんぞおおおおおお！！」

みく「い、いきなりなに言ってるにゃあ！　そういうこと言うのは二人きりの時だけにしてっていつも言ってるでしょ！」

梨沙「二人きりならいいんだ」

心「いいんだぞ☆」

P「ハグをするのもナデナデするのも顎をさわさわするのも俺だけの特権！　絶対特権主張します！！」

みく「も、もう……ばかぁ」

みく「Pチャンってほんと空気読めないし強引だよね！」

P「でもそういうところが？」

みく「………嫌いじゃないにゃ♡」

P「みくううううう！！」

みく「Pチャン！！」




文香「………」

心「あいっかわらずラブラブだなー。みくちゃんとみくちゃんのプロデューサーは」

仁奈「動物番組で見たことある感じでごぜーます」

梨沙「こういうの、あれよね！」

梨沙「夫婦喧嘩は猫も食わない！」

ありペディア「犬です」



おしまい

おまけ



数日後

仁奈「梨沙おねーさん！」

梨沙「なに、仁奈」

仁奈「えいっ」ﾀﾞｷｯ

梨沙「わっ！？」

仁奈「今日の仁奈はペンギンですよ！　かわいがりやがってくだせー！」

梨沙「アンタ、よく毎日違うキグルミ用意できるわね」

仁奈「毎日違う動物のきもちになって、梨沙おねーさんとこみゅにけーしょんとりやがりますよ！」ｷﾞｭｰｯ

梨沙「はいはい。まったく、甘えたがりなんだから」

梨沙「ほーら、よしよし♪」

仁奈「えへへ」ｺﾞﾛｺﾞﾛ

文香「………」

文香「仲睦まじきは、よきこと……ですね」

ありす「文香さん」

文香「なんでしょう」ｸﾙﾘ

文香「………」

文香「あの……その、きぐるみは」

ありす「えっと……リスです」

りす「橘りすです……コミュニケーション、とってみますか？」

文香「………」

文香「ふふ……素直じゃ、ないんですね」

ありす「な、何の話ですかっ」

文香「ふふっ」

ありす「も、もう」


今度こそおわり