【オリ主×シンフォギアGX】孤独な蒼い人形に、救いを【仮面ライダー系要素有り】 (24)

『戦力外、ですか……』

『ああ……君には数年間助けられてばかりだったのに、こんな形でしか最後を迎えさせてあげられなくて、済まないな……』

『……この怪我さえ、なければ』

『不幸な事故だったんだ、それに君にはコーチの席だって――』

『すみません、しばらく野球は……』

『そ、そうか……気が変わったらいつでも声をかけてくれよ、それじゃあ』

――どうして、こうなってしまったんだろう。

ただ、ただ、がむしゃらに頑張っていただけなのに。

地獄続きだった人生の自分が見つけた、唯一の光だったのに。

『なんでなんだよ……なんで俺だったんだよぉ……!!』

神様、そんなものはいない。

いたとしたら、こんな仕打ちは有り得ない。

どうして自分だったのか。

どうして、こんな人生を送らないといけないのか。

ほんの少しだけ見えた、手の届かない光なら、最初から無ければ良かった。

いっそずっと闇の方がどれだけマシだったか。

ずっと地獄にいた方が、どれだけ良かったか――



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「ん…………朝、か」

目を覚ますと、そこは何の変わり映えも無い自宅の自室だった。
明るい茶色の木製の天井が、今日も自分が生きていると言う事実を無責任に押し付けてくる。

「……もう二年も経つのか」

今日見た夢は、忘れたくても忘れられない悪夢の様な過去の夢だった。

『戦力外通告』

二年前言い渡された、現実だった。

――物心付いた時から、既に両親はいなかった。
生後間もない俺を、孤児院の前に置いていったらしい。

……孤児院での生活は、特別悪くは無かった。
だが逆に特別良くも無く。
まるで暗い暗い闇の中を、ただひたすらに歩き続けるかの様だった。

誰からも邪険にはされず、でも誰も必要最低限以上の関わりは持ってくれなかった。

一人で好きな野球選手のバッティングフォームや投球フォームを黙々とやっている、そんな毎日だった。

つまらない訳ではない。

寧ろ一日中野球の練習をしても最低限の事をこなしていれば何も言われない、そんな練習する場所としてはかなり良い環境だったとは今でも思う。

だが……寂しかった。

野球は本来最低9人対9人、18人でやるものだ。
それを一人黙々とやっていて、幼い少年の心が寂しくない訳がなかった。

だから、本格的にプロを目指した。
好きな野球で、一番になりたかった。
一番になれば誰もが注目して、寂しくなくなるはずと考えたからだ。

それは勿論、想像を絶する過酷な努力が必要だった。

それでも、人生を変えたい、光を掴み取りたいと中学卒業と同時に名門野球部のある高校の野球部寮に入った。

そしてそこで栄光を掴み、プロに入った、そしてそこでも活躍した、それこそ高卒とは思えない活躍を。

そこまでは順調だった。

そこまでは――

「……顔、洗ってくるか」

人生、一度崩壊したら二度と元には戻れない。

戻れるのはフィクションの世界だけだ。

「今時流行りのラノベでも有るまいし、有り得る訳がない」 

そう、有り得る訳がない。

――この時までは、そう思っていた。

「『オリックス金子一尋、プロ通算150勝達成!!ブラック、ウォレルも大爆発!!優勝マジックも残り3!!』、か……」

もう野球が出来ないのは分かっている。
それでもやはり、未練があるのも確かだ。

かつての古巣の記事を見ては何故、俺がその場にいる事が出来なかったのかとその度にしてもしきれない後悔の念に押し潰されそうになる。

「俺がエースだったのになぁ……」

「まあ、もう良いや。録画したアニメでも見るか……」

俺は寮生活の癒しの一環としてアニメを見ていた。
キッカケは寝れなかった時に偶々付けたテレビに映った、『理想の青春』を送っている彼等に確かな憧れを持ったからだ。

「アイツ等は良いよな……キラキラ輝いてて」

無縁だった生活だったからこそ、引き込まれた。
どれだけ憧れ様と取り戻せない時間なのに、ただ見ている、それだけでその時間だけは嫌な思い出を全て捨て去る事が出来た。

そんな俺が、アニメを見始めて一番気になったのがシンフォギアGXに出てきたとあるキャラ。

「…………」
 
敵として登場するガリィと言う、人形のキャラだった。
ガリィは、人形の癖に人一倍劣等感に敏感で、常に一番を狙って、主人公達を見下していたかと思えば他の人形達とのスペック差を気にして苛立ったりと、ある意味一番人間らしいキャラでもあった。

そんな彼女に、何時しか俺は自分を重ねて見ていた。

馬鹿馬鹿しいと思われるかも知れない、たかがアニメキャラと言われるかも知れない。

それでも俺は、思ってしまっていた。

 



『会えるものなら彼女に会いたい』と――
  

 


「所詮は泡沫の夢って奴だがな……」

会って、出来るならばこの手で彼女を救いたい、最期を変えたいと思っていた。
あんな人間臭いキャラだからこそ、救いはある、救える何かがあると。

「俺、何考えてんだか……」

そう、呟いた瞬間だった。

『その願い、叶えてやろうか?』

「――ッ!?」

一瞬空耳かと思ったが、場の空気が数秒止まったと感じた事から、空耳ではないだろう。

しかし。

周りを見渡せど見渡せど、人のいる気配は勿論、何か俺以外の生物がいる様な雰囲気は無かった。

「……誰だ、どこにいる?」

『おっと、これは失礼』

その声が聞こえてきたかと思えば、一つ指を鳴らす音が聞こえ、ボンッと言う効果音と共に――

 
 


「やあ、初めまして同志辻垣内」

「早速だがその願い、この神である俺と叶えてみないか?」

目の前に、自称神が現れた。

取り敢えず今は触りだけ

構想から約10ヶ月越しでのスタートになった訳ですが、また長い目で見て下されば幸いです。

ではまた。

投下はもう少し時間掛かりそう

あともう酉芸人とは言わせないからな……多分

少しだけ投下やで

「おいおい……勝手に人の家に上がらないでもらえないか?」

自称神、もとい不審者への第一声としてはまあ、そこそこ常識的な言葉だったと我ながらに思う。

幾ら自称神と名乗られても、この世の中に存在し得る訳の無い抽象的なものを信じる様な物好きでは俺はない。

「聞いているのか?同志辻垣内よ」

何はともあれ、コイツが気配も無く語りかけ、突如現れたタネは分からないままだ。して特にコイツの容姿や話し方、声に気になるものがあるのも確かであるし、話を聞いてみるのも良いかも知れない。

「ああ、済まん。取り敢えず一つ、質問しても良いか」

「ほう、言ってみたまえ」

「お前の苗字って、もしかして杉な――」

「フッ……神に苗字も名前も必要など無い」

この誤魔化し方を見て、容姿や話し方、声を含め俺はある一つの結論に至った。

コイツは某恋愛ゲームに出てくる謎の人気を誇るキャラだと。

「ああ、そう……」

「っと、まあそれは良いが」

だがこれ以上詮索したところで、コイツがまともな返しをする訳がない。

取り敢えずは、願いが叶うと言っていた明らかに胡散臭い話の詳細でも、聞いてみるとするか。

「まあ一旦その話は置いておくとして、さっきの話……ありゃどういう意味だ?」

「どういう意味も何も俺の言った言葉通りだ」

有り得ない、ここはラノベの世界でも何でもない。
コイツがいるのは何故か違和感が無いが、どうしても現実離れした話にそう思わずにはいられなかった。

それなのに。

俺はコイツの話に興味以上の何かを感じていた。

「……と、言う事はだ」

「俺をアニメの世界に飛ばすと、そう言いたいのか?」

「ご名答、しかも今なら…………その怪我も治せるぞ?」

瞬間、俺は目を見開いてたと思う。
下らない様な話なのに、引き込まれずにいられない雰囲気に加え、今のコイツの話し方は間違いなく嘘を言ってる様には聞こえなかった。

怪我が治ると言う言葉に踊らされているとか、そう言うのを払拭して改めて冷静にその言葉を受け止めても尚、そう想ったのだから。

「その話が本当であるなら……」

「ん?」

「証拠を見せろ、幾らお前が別次元の人間でも俺を別次元……しかもお前が元いた世界とは別の次元に飛ばすなんて魔法信じられる訳がない」

「ほう……ならばどうする」

「別次元の物を何か一つ用意しろ。別次元である確かな証拠も含めてだ」

コイツがおそらくいたであろう世界には別次元と確信出来る様なものは存在しないだろう。
だからこそ、コイツが本当に今流行りのラノベに出てくる様な神である証拠として最も簡潔且つ明確だと思った。

「ふむ、良いだろう……良ーく見ておけよ」

ニヤリと不敵な笑みを浮かべたかと思うと、空中に手を伸ばした。
そして手を軽く振ると


 


空間が割れた。

「これは……!?」

「証拠を見せろと言われたからな、分りやすく見せているのだ」

割れた空間に手を入れながら、これまた不敵な笑みを浮かべる自称神。

コイツが現れてから約五分くらいは経っているだろうが、その間に現実では絶対的に有り得ない事が二つも起きている事に動揺を隠せなかった。

「っと、まあ証拠を見せるだけならこれでも良いだろう」

「それは……」

「先程お前の記憶に干渉したところ、これの記憶があったからな」

記憶に干渉――そんな事をされていたとは、初めて聞いた。
だが冷静に考えてみれば、記憶に干渉するのにわざわざ事前に申告するとなれば、干渉される側の記憶に不純物が混じり、本当の記憶に干渉出来ない可能性が充分にある。

そう考えてみると、申告しなかったのは当然と言えるだろう。

……しかし。

今、コイツから見えるのは

「銀色のベルト……まさか……」

「そのまさかだよ、同志辻垣内。これは仮面ライダー龍騎に出てくるバックルさ」

「……本物だとでも言うのか?それを」

「勿論さ、何なら変身してやろうか?」

正直な話、これは予想外過ぎた。
仮面ライダー龍騎なんてもう14年前の仮面ライダー、とっくに記憶の隅に置いてきてしまっていたはずだと言うのにそれを見た瞬間に克明に思い出していた。

「いや、俺が変身する」

思わずそう口が動いていた。
子どもの頃、何気なく見ていたがあの時は何とも思わなかったのに。
何処か心の奥底に、なってみたいと言う思いがあったのかも知れない。

「フッ……その回答は予想済みさ」

「……そうか」

「まあ、兎にも角にも、今は変身してみてはどうだ?」

「ああ……」

ベルトを下腹部に宛がう。
するとガシャン、と腰辺りで自動的に巻き付けられる様な音が鳴った。

ああ、そうか………

これは正真正銘、本物のベルトだ。

「変身!」

そう思いながら、合い言葉を呟いた。

その掛け声のあと一瞬、光ったかと思い目を反射的に瞑ってしまったが目を開けると自分の体に、間違いなくドッシリとした冑が付いているのが分かった。

「変身……出来た、のか」

「これで信じただろう、俺が無数に存在する有りとあらゆる時空を行き来出来る存在だと、な」

「そう、だな。間違いない、お前はあらゆる時空を行き来出来る能力がある」

このベルトが本物であると証明された今、コイツの言っている言葉が真実であったと認めざる負えないだろう。

だがそれならそれで、俺が別の世界で、もう一度やり直すチャンスがあると言う事に相違ない。

「漸く分かったか、同志よ」

「ま、それは置いておくとして、だ」

自称神はしてやったりと言う表情で一言二言喋ると、一旦黙ってから、懐から何かを取り出した。

「お前も気付いていただろうが、それは契約がなされていない『ブランク』のベルトだ」

「ああ。それで、ミラーワールドに行って契約でもするのか?」

そう、このベルトは本来真ん中にデッキをセットしてから変身するのだが、これには無かった。
だから、これから契約に行くのかと思っていた。

「いや、デッキは俺が用意した――シザースのな」

「……どう言う事だ、それは」

しかし、自称神から発せられた言葉は、余りにも衝撃的な言葉だった。

本当に短くてスマンな

みんな大好き○並くんが神や
それとほんの少しだけコミカルっぽい感じにもしてみた、どうやろうか

あと遅レスになるかも知れんけど、ハメとかやと絶対エタると思ったから、一定期間で落ちると言う危機感がある速報を選んだと言うのが理由やな

取り敢えずまた今度や

おー、かなりレスがあってほっこりっすわ

シザースに付いてはちゃんと理由があるのでそこは抜かり無いはず(だと思いたい)

さてそれでは執筆に戻るのでまた

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